説明

オゾン水製造装置

【課題】 汎用性が高く、より単純な構成でオゾン水を製造することができ、さらには、熱による分解を抑えてより高濃度のオゾン水を製造することができるオゾン水製造装置を提供する。
【解決手段】 OガスおよびNガスを、オゾナイザー2に導入し、オゾンナイザー2でオゾンを発生させる。発生したオゾンを供給された水と混合したのち、循環用ポンプ4へと導入し、オゾンを水中に溶解させる。循環用ポンプ4への水配管に、オゾナイザー2からの配管をT型のユニオン継ぎ手を用いて接続して、水と発生オゾンガスとを混合する。また、熱交換器5aによって温水を熱媒体としてオゾン水を所定の温度まで加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業全般の部品洗浄や、医用あるいは食品関係の器具、食品の消毒処理に用いるオゾン水の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン水は部品の洗浄処理や消毒処理等への適用が検討されている。この中でも特に部品の洗浄分野では、従来の薬剤を用いた洗浄方法に比べると、オゾン水による洗浄では環境汚染や安全性の問題はないものの、汚れの分解除去に長時間を要するという問題がある。
【0003】
この問題を解決するためには、オゾン水の更なる高濃度化と高温化とが必要である。このことを反応速度論的に考えると、汚染物質の分解における反応定数を大きくする必要がある。仮にこの分解の反応定数kが(1)式に示すようなArrhenius式に従うとすれば、kを大きくするためには頻度因子Aと温度Tとを高くすればよい。
【0004】
【数1】

【0005】
ここでEは活性化エネルギー、Rは気体定数である。また、この式中の頻度因子Aを大きくするには,オゾン水のオゾン濃度を高めることで実現可能である。
【0006】
このようにArrhenius式からも、オゾン水の更なる高濃度化と高温化が必要であることがわかる。
【0007】
特許文献1記載のオゾン水洗浄システムは、洗浄槽とオゾン水生成装置との間のオゾン水供給ラインに、オゾン水を昇温するためのヒータを設けることで、オゾン水の温度を高めている。
【0008】
特許文献2記載のオゾン混合装置は、エゼクタ内でオゾンガス供給管と先細流路部との間に形成される隙間に、霧吹き状の超純水を導入してオゾンガスと超純水との混合を促進させ、オゾン濃度を高めている。
【0009】
【特許文献1】特開2003−260342号公報
【特許文献2】特開2000−58496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
エゼクタ等の特殊な混合器の改良は、高度な技術を要するばかりか、例え高性能なものが開発できてもコストアップにつながる。したがって、特殊な構成ではなく汎用性の高い、より単純な構成でオゾン水の濃度を高くすることが望ましい。
【0011】
また、オゾン水の高温化については主に2種類の方法がある。第1の方法として、原水の温度をあらかじめ使用温度に昇温させてからオゾンガスを混合する方法がある。第2の方法としては室温の水にオゾンガスを混合してオゾン水を製造し、その後オゾン水を加熱することによって使用温度まで昇温させる方法がある。
【0012】
第1の方法は、原水の温度が高いことから高濃度のオゾン水が得られにくい。このために一般的には第2の方法が適用されることが多い。第2の方法で問題となるのは、オゾン水への過剰な熱エネルギーの供給による溶液中のオゾン分子の分解である。例えば、オゾン水をシーズヒーターで直接加熱すると、局所的に大きな熱エネルギーがオゾン水へ供給されてしまい、過剰な熱エネルギーが溶液中のオゾン分子を酸素へと分解してしまう。したがって、高濃度のオゾン水を加熱しても、その濃度は著しく低下してしまう。このために、オゾン水の加熱は、溶液中のオゾン分子の自己分解を最小限に抑え、且つ必要温度まで短時間で行う必要がある。
【0013】
本発明の目的は、汎用性が高く、より単純な構成でオゾン水を製造することができ、さらには、熱による分解を抑えてより高濃度のオゾン水を製造することができるオゾン水製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、供給された水とオゾンガスとを混合して水中にオゾンガスを溶解したオゾン水を製造するオゾン水製造装置において、
定容積移動型ポンプによって水を循環させ、循環する水にオゾンを混合することで、水中にオゾンガスを溶解させることを特徴とするオゾン水製造装置である。
【0015】
また本発明は、前記定容積移動型ポンプによる循環液量は、製造したオゾン水の排出流量の4倍以上であることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、循環液を一時的に貯留する循環槽を備え、
循環槽内の圧力を常圧よりも高い圧力で一定に保持することを特徴とする。
【0017】
また本発明は、循環中のオゾン水の一部を加熱する加熱手段を備え、
循環中のオゾンの濃度を、室温での飽和溶解濃度よりも低くかつ室温よりも高い所定の高温度での飽和溶解濃度よりも高い濃度とし、
前記加熱手段で加熱することにより、前記高温度での飽和溶解濃度よりも高いオゾン濃度の過飽和オゾン水を製造することを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記加熱手段は、温水を熱媒体とする熱交換器であることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記加熱手段は、所定の温度まで短時間で昇温させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、定容積移動型ポンプによって水を循環させ、循環する水にオゾンを混合することで、水中にオゾンガスを溶解させる。
【0021】
このような構成とすることで、エゼクタや溶解膜等の特殊な構成を備えずとも、ベローズポンプ、ダイヤフラムポンプなどの汎用性の高い定容積移動型ポンプを用いるので、より単純な構成でオゾン水を製造することができる。
【0022】
また本発明によれば、前記定容積移動型ポンプによる循環液量を、製造したオゾン水の排出流量の4倍以上とする。
【0023】
オゾン水濃度と循環液量との関係について検討したところ、オゾンの濃度は、循環液量を多くすると増加する傾向にあることがわかった。循環液量が排出流量の4倍以上ではオゾンの濃度が最大となるので、このように設定することが好ましい。
【0024】
また本発明によれば、循環液を一時的に貯留する循環槽を備えており、循環槽内の圧力を常圧よりも高い圧力で一定に保持する。
これにより、水中に溶解するオゾン濃度をより高濃度にすることができる。
【0025】
また本発明によれば、循環中のオゾン水の一部を加熱する加熱手段を備えており、循環中のオゾンの濃度を、室温での飽和溶解濃度よりも低くかつ室温よりも高い所定の高温度での飽和溶解濃度よりも高い濃度とする。また、前記加熱手段で加熱することにより、前記高温度での飽和溶解濃度よりも高いオゾン濃度の過飽和オゾン水を製造することが可能となる。
【0026】
また本発明によれば、前記加熱手段は、温水を熱媒体とする熱交換器である。
シーズヒーターなどでオゾン水を直接加熱すると、過剰な熱エネルギーによってオゾン分子を酸素へと分解してしまうので、熱交換器を用いて加熱することで、酸素への分解を抑え、より高濃度のオゾン水を製造することが可能となる。
【0027】
また本発明によれば、前記加熱手段は、所定の温度まで短時間で昇温させる。
室温から所定の温度にまで昇温させる場合、加熱にかかる時間が長いほどオゾンの濃度が低下することがわかった。したがって、所定の温度にまで、より短時間で昇温させることでより高濃度のオゾン水を製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、本発明の実施の一形態であるオゾン水製造装置1の構成を示す概略図である。オゾン水製造装置1は、オゾナイザー(オゾン製造器)2、循環槽3、循環ポンプ4、熱交換用温水槽5を含み、CO(二酸化炭素)ガス、O(酸素)ガス、N(窒素)ガスおよび水の各供給源からの導入配管、各配管に設けられたバルブ、流量計などを含む。
【0029】
オゾン水製造装置1では、オゾンガスと水とを混合するための混合器を設けず、循環ポンプ4を利用して混合し、水中へオゾンを溶解させている。
【0030】
COガスは、循環槽3のバブラー3aに導入され、循環槽3に貯留されるオゾン水へと供給される。COガスをオゾン水へ供給することによって、オゾン水を所望のpHに調整する。オゾン水のpHは、オゾン水の使用目的などによってその最適値が変わるが、概ねpH=4〜6である。
【0031】
COガスの供給量は、供給源とバブラー3aとの間に設けられたバルブV1の開閉および流量計FR1によって流量が調整される。COガスの供給としては、たとえば、供給圧力を0.31〜0.40 MPaとし、流量を100〜1000mL・min−1とする。
【0032】
ガスおよびNガスは、オゾナイザー2に導入され、オゾンナイザー2でオゾンを発生させる。発生したオゾンは供給された水と混合されたのち、循環用ポンプ4へと導入される。循環用ポンプ4への水配管に、オゾナイザー2からの配管をT型のユニオン継ぎ手を用いて接続して、水と発生オゾンガスとを混合している。
【0033】
ガスの供給量は、供給源とオゾナイザー2との間に設けられたバルブV2の開閉および流量計FR2によって流量が調整され、Nガスの供給量は、供給源とオゾナイザー2との間に設けられたバルブV3の開閉および流量計FR3によって流量が調整される。Oガスの供給としては、たとえば、供給圧力を0.31〜0.40 MPaとし、流量を1〜10 L・min−1とする。Nガスの供給としては、たとえば、供給圧力を0.31〜0.40 MPaとし、流量を10〜100mL・min−1とする。
【0034】
水の供給量は、供給源と循環用ポンプ4との間に設けられたバルブV4の開閉および流量計FR4によって流量が調整される。
【0035】
予め混合された水とオゾンガスとは、循環用ポンプ4内部でさらに混合され、オゾンガスを水に溶解させる。オゾン水は、循環用ポンプ4によって循環槽3へと排出され、前述のようにCOガスと混合される。
【0036】
ここで、循環用ポンプ4は、混合機能も兼ね備える必要があり、ベローズポンプやダイヤフラムポンプ等の定容積移動型ポンプを用いることが好ましい。循環用ポンプ4として、渦巻きポンプ等を用いた場合は、水の圧力変動のスピードが速く、力学的なエネルギーによってオゾン分子が酸素に分解されてしまう。また、供給するオゾンガスの量が多くなると正常に送液できなくなるので好ましくない。循環用ポンプ4としては、混合機能を考慮すると、吐出量として約0.5〜5L/サイクル程度の能力が好ましい。
【0037】
循環槽3に貯留されるオゾン水の一部は、水配管へと戻され、発生オゾンと混合されたのち循環ポンプ4へと導入される。オゾン水は、循環槽3から排出され、新たな水とオゾンガスと混合されて循環ポンプ4へ導入され、循環槽3へと戻る循環ラインを循環することになる。循環槽3からの排出量は、循環槽3と水配管への接続部との間に設けられたバルブV5の開閉によって調整される。
【0038】
循環槽3には、オゾン水を常に2〜20L(リットル)貯溜するようにし、循環液量は、循環槽3からの排出流量(使用量)1〜10L・min−1の4倍以上、すなわち4〜40L・min−1以上とすることが好ましい。
【0039】
循環槽3から排出されるオゾン水は、温水槽5内部に設けられた熱交換器5aと導入され、所定の温度にまで加熱される。温水槽5には、熱交換媒体としての温水が貯留され、ヒータ5bによって適正温度に加熱される。
【0040】
シーズヒーター等によるオゾン水の直接加熱は、局所的に大きな熱エネルギーが加えられ、その余剰な熱エネルギーがオゾン水中のオゾン分子を酸素に分解してしまうので、熱交換器による加熱が好ましい。熱交換器5aは、伝熱管にたとえばPFAまたはチタンを用いたものが好ましい。PFAは、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体である。
【0041】
熱交換器5aによって所定の温度にまで加熱されたオゾン水は、後段の洗浄装置などに供給される。
【0042】
循環槽3の容積は、5〜50Lであり、循環槽内の圧力は、圧力コントロール弁3bによって、たとえば0.30〜0.39MPaになるように調節される。
【0043】
また、この循環槽3はオゾン水中の気液分離のためにも設置されている。オゾン水中に溶解されない余剰のオゾンガスは、循環槽3で溶液から気液分離される。そして、この余剰のオゾンガスのみならず、オゾンガスが時間と共に自己分解した酸素ガスも、前述の圧力コントロール弁3bを介して排気される。なお、大気へ排出される前にオゾン分解器6によって排ガス中のオゾンガスは分解される。
【0044】
以下では、実施例について説明する。
本実施例では、循環用ポンプ4としてベローズポンプ(日本ピラー工業株式会社製、PE-80MA)と、熱交換器5aとして自作のPFA製熱交換器(1/4インチ径のPFAチューブ15mを5本束ねたもの)またはチタン製熱交換器(東京フレーズ株式会社,TBHE-TiM-21AV)を用いて、液温50℃の高濃度オゾン水(濃度約140mg・L−1)を製造する。
【0045】
バルブVからVまでを開き、水、酸素ガス、窒素ガス、二酸化炭素ガスをそれぞれ供給する。このときの酸素ガスと窒素ガスの供給圧力は0.32MPa以上で、流量はそれぞれ6L・min−1と50mL・min−1である。そして、オゾナイザー2(住友精密工業株式会社製、GR-RG)を動作させると、圧力0.32MPa、流量約6L・min−1のオゾンガスが290g・Nm−3の濃度で排出される。この動作を継続しながら、オゾン水の排出流量と同じ5L・min−1の流量で、水を供給する。このとき、循環槽3内には10Lの水が常に貯溜するように、槽内の液面を流量計FRで調整した。
【0046】
次に循環用ポンプ4を動作させると,循環ライン中にオゾンガスが水とともに吸引され、オゾン水が生成される。このとき、オゾン水のpHが5になるように、二酸化炭素をバブラー3aに供給した。COの供給量制御は流量計FRを用いて行った。これらの操作によって室温で161mg・L−1の濃度のオゾン水が製造される。
【0047】
このときの水の循環量は22L・min−1であり、この循環量はオゾン水の濃度に著しく影響する。このため、循環量は予め測定したオゾン水濃度と循環量との関係データから設定した。
【0048】
図2は、オゾン水濃度と循環量との関係を示すグラフである。横軸は循環量(L・min−1)を示し、縦軸はオゾン水濃度(mg・L−1)を示す。
【0049】
グラフからわかるように、オゾン水濃度は、循環量を多くすると増加する傾向にある。しかし循環量が約20L・min−1を超えると、オゾン水濃度は約160mg・L−1でほぼ一定になる。この流量はオゾン水排出流量(5L・min−1)の4倍に相当する。したがって、濃度の安定したオゾン水を製造するためには、20L・min−1より10%多い循環量22L・min−1でオゾン水を製造した。
【0050】
25℃におけるオゾンの飽和溶解濃度は219mg・L−1であるので、製造したオゾン水の濃度は飽和溶解濃度よりも少し低く、且つ高温時(例えば50℃、飽和溶解濃度126mg・L−1)の飽和溶解濃度よりも高い状態で混合できていることが分かる。
【0051】
なお、飽和溶解濃度の推算値は以下のようにして求めた。
液体に対する気体の溶解において、特に溶液中の溶解成分のモル分率が小さい場合には、そのモル分率と気体中のその成分の分圧が比例することが知られている。その比例定数はヘンリー定数Hとして以下の(2)式で定義されている。
【0052】
【数2】

【0053】
ここでp(atm)は気体中のオゾンの分圧,xは液体中のオゾンのモル分率である。
この(2)式を変形してxを求め、その上でxの値をmg・L−1単位に変換して飽和溶解濃度を算出した。また、計算に用いた定数Hの値は多くのデータが公表されているが、ここではpHや温度の影響が評価できるRoth−Sullivan式を用いて求めた近似値を採用した。以下に(3)式としてRoth−Sullivan式を示す。
【0054】
【数3】

【0055】
ここで[OH]は水酸イオンの濃度、Tは液温である。
次に、製造された25℃のオゾン水を、熱交換器5aを用いて熱エネルギーを供給しながら50℃にまで加熱した。このとき用いた熱交換器5aの熱交換面積とオゾン水の滞留時間および温水の温度は、0.87m、10sec、78℃であった。なお、チタン製熱交換器を用いた場合は、たとえば0.30m、8sec、62℃であった。
【0056】
加熱後のオゾン水濃度を測定した結果を図3のグラフに示す。
横軸は温度(℃)を示し、縦軸はオゾン水濃度(mg・L−1)を示す。
【0057】
PFA製熱交換器を用いた場合には、液温50℃でのオゾン水濃度は141mg・L−1であった。また、チタン製熱交換器を用いた場合には液温50℃でのオゾン水濃度は145mg・L−1であった。50℃におけるオゾン水の飽和溶解濃度は126mg・L−1であるので、製造されたオゾン水は飽和溶解濃度よりも十分高い濃度の過飽和状態のオゾン水が得られていることが分かる。
【0058】
ここで高温時におけるオゾン水と加熱時間との関係を確認するために,前記のPFA製熱交換器とチタン製熱交換器を直列に接続し、温水温度を60℃に設定して50℃のオゾン水を製造した。その結果,オゾン水の濃度は135mg・L−1を示した。このときの加熱時間は18秒間である。この結果を図3に追記した。
【0059】
オゾン水の加熱時間は必要とされる温度まで短時間で昇温させる方が好ましい。これは、図4のグラフに示す加熱後のオゾン水濃度と加熱時間との関係からわかる。
【0060】
横軸は加熱時間(sec)を示し、縦軸はオゾン水濃度(mg・L−1)を示す。
25℃で約160mg・L−1のオゾン水を、50℃まで昇温したときにかかった時間を変えて、加熱後のオゾン水濃度を測定した。50℃までの昇温時間は、熱交換器の種類を変えることで変化させた。
【0061】
グラフからわかるように、加熱時間が短いほど、オゾン水濃度の低下が抑えられたので、できるだけ短時間で目的の液温まで昇温させることが好ましい。具体的には、オゾン水の加熱時間は18秒間よりも8秒間、10秒間程度の短時間のほうが50℃におけるオゾン水濃度は高くなることか明らかになった。したがって、オゾン水の加熱時間は8〜10秒間程度の短い時間のほうが良いことが分かる。
【0062】
さらに参考として,前記のPFA製熱交換器とチタン製熱交換器とを直列に接続した装置で、温水温度を92℃に設定し、80℃のオゾン水を製造した。その時の80℃におけるオゾン水濃度は85mg・L−1を示し、その値を図3にさらに追記した。その結果から明らかなように、80℃においても,飽和溶解濃度(73mg・L−1)よりも十分高い濃度の過飽和状態のオゾン水が得られることが確認された。
【0063】
最後に過飽和状態のオゾン水は、熱力学的には非平衡状態にあるので、オゾン水の濃度は時間の経過とともに飽和溶解濃度に近づいていく。したがって、過飽和状態のオゾン水を使用する場合には、ユースポイントの直近に熱交換器を設置して使用することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の一形態であるオゾン水製造装置1の構成を示す概略図である。
【図2】オゾン水濃度と循環量との関係を示すグラフである。
【図3】オゾン水濃度と液温との関係を示すグラフである。
【図4】加熱後(50℃)のオゾン水濃度と加熱時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0065】
1 オゾン水製造装置
2 オゾナイザー(オゾン製造器)
3 循環槽
4 循環ポンプ
5 熱交換用温水槽
5a 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された水とオゾンガスとを混合して水中にオゾンガスを溶解させたオゾン水を製造するオゾン水製造装置において、
定容積移動型ポンプによって水を循環させ、循環する水にオゾンを混合することで、水中にオゾンガスを溶解させることを特徴とするオゾン水製造装置。
【請求項2】
前記定容積移動型ポンプによる循環液量は、製造したオゾン水の排出流量の4倍以上であることを特徴とする請求項1記載のオゾン水製造装置。
【請求項3】
循環液を一時的に貯留する循環槽を備え、
循環槽内の圧力を常圧よりも高い圧力で一定に保持することを特徴とする請求項1または2記載のオゾン水製造装置。
【請求項4】
循環中のオゾン水の一部を加熱する加熱手段を備え、
循環中のオゾンの濃度を、室温での飽和溶解濃度よりも低くかつ室温よりも高い所定の高温度での飽和溶解濃度よりも高い濃度とし、
前記加熱手段で加熱することにより、前記高温度での飽和溶解濃度よりも高いオゾン濃度の過飽和オゾン水を製造することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のオゾン水製造装置。
【請求項5】
前記加熱手段は、温水を熱媒体とする熱交換器であることを特徴とする請求項4記載のオゾン水製造装置。
【請求項6】
前記加熱手段は、所定の温度まで8〜10秒間の短時間で昇温させることを特徴とする請求項4または5記載のオゾン水製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−56442(P2009−56442A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228256(P2007−228256)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】