説明

オゾン発生装置

【課題】 オゾンの発生量を容易に調整できるとともに、オゾンの発生量を確実に安定させることができるオゾン発生装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るオゾン発生装置100は、放電体で覆われた第1の電極10と、第1の電極10に対向するとともに放電体で覆われた第2の電極20とを備え、第1の電極10と第2の電極20との間で放電を起こすことによってオゾンを発生させる。第1の電極10は、所定の放電領域を有する第1電極部材(例えば、大電極部材11)と、第1電極部材と異なる放電領域を有する第2電極部材(例えば、中電極部材12)とを備える。第2の電極20は、第1電極部材及び第2電極部材の何れか一方と放電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の電極と第2の電極との間で放電を起こすことによってオゾンを発生させるオゾン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、オゾン発生装置は、放電体で覆われた第1の電極及び第2の電極をそれぞれ対向させ、第1の電極及び第2の電極に高電圧を印加することによって、第1の電極と第2の電極との間で放電(無声放電)を起こし、オゾンを発生させる。
【0003】
この種のオゾン発生装置として、板状の第1の電極及び第2の電極を相対的にスライドさせる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、第1の電極と第2の電極との間で放電が起こる空間の体積、すなわち、第1の電極と第2の電極とが対向する表面積を変更することによって、オゾンの発生量を容易に調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−110549号公報(第2〜第4頁、第1及び第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のオゾン発生装置では、第1の電極及び第2の電極が一定の領域(第1の領域)で長時間放電された場合、第1の電極及び第2の電極のそれぞれの表面において放電部と非放電部とが形成されてしまう。このため、放電部と非放電部とによって第1の電極及び第2の電極のそれぞれの表面上にムラが生じてしまう。
【0006】
そして、オゾンの発生量を変更するために、第1の電極及び第2の電極の放電領域を上記第1の領域から他の領域へ変更した場合、表面にムラが生じた第1の電極及び第2の電極との間で放電が起こり、偏った放電が生じてしまう(偏放電が生じてしまう)。従って、従来のオゾン発生装置では、オゾンの発生量を容易に調整できるものの、オゾンの発生量が安定しないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、オゾンの発生量を容易に調整できるとともに、オゾンの発生量を確実に安定させることができるオゾン発生装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、放電体で覆われた第1の電極(第1の電極10)と、前記第1の電極に対向するとともに前記放電体で覆われた第2の電極(第2の電極20)とを備え、前記第1の電極と前記第2の電極との間で放電を起こすことによってオゾンを発生させるオゾン発生装置(オゾン発生装置100)であって、前記第1の電極は、所定の放電領域を有する第1電極部材(例えば、大電極部材11)と、前記第1電極部材と異なる放電領域を有する第2電極部材(例えば、中電極部材12)とを備え、前記第2の電極は、前記第1電極部材及び前記第2電極部材の何れか一方と放電することを要旨とする。
【0009】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記第1電極部材及び前記第2電極部材は、それぞれ円筒状に形成されることを要旨とする。
【0010】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1又は第2の特徴に係り、前記第1電極部材又は前記第2電極部材の何れかを前記第2の電極に近づける電極部材変更手段(電極部材変更手段30)を備えることを特徴とするオゾン発生装置。
【0011】
本発明の第4の特徴は、本発明の第1乃至第3の特徴に係り、前記第2電極部材は、前記第1電極部材の内側に設けられることを要旨とする。
【0012】
本発明の第5の特徴は、本発明の第1乃至第3の特徴に係り、前記第2電極部材は、前記第1電極部材と異なる位置に設けられることを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の特徴によれば、オゾンの発生量を容易に調整できるとともに、オゾンの発生量を確実に安定させることができるオゾン発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、第1実施形態に係るオゾン発生装置100を説明するための概略図である。
【図2】図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る減速手段34を示す斜視図である。
【図3】図3(a)は、第1実施形態に係る中電極部材12と第2の電極20との放電を示す模式図である。図3(b)は、第1実施形態に係る小電極部材13と第2の電極20との放電を示す模式図である。図3(c)は、第1実施形態に係る大電極部材11と第2の電極20との放電を示す模式図である。
【図4】図4は、第2実施形態に係るオゾン発生装置200を説明するための概略図である。
【図5】図5(a)は、第2実施形態に係る第1の電極10及び電極部材変更手段30を示す側面図である。図5(b)は、第2実施形態に係る第1の電極10及び電極部材変更手段30を示す平面図である。
【図6】図6(a)は、第2実施形態に係る中電極部材12と第2の電極20との放電を示す模式図である。図6(b)は、第2実施形態に係る小電極部材13と第2の電極20との放電を示す模式図である。図6(c)は、第2実施形態に係る大電極部材11と第2の電極20との放電を示す模式図である。
【図7】図7は、第2実施形態の変更例に係るオゾン発生装置300Aを説明するための概略図である。
【図8】図8は、第3実施形態に係るオゾン発生装置300を説明するための概略図である。
【図9】図9(a)は、第3実施形態に係る中電極部材12と第2の電極20との放電を示す模式図である。図9(b)は、第3実施形態に係る小電極部材13と第2の電極20との放電を示す模式図である。図9(c)は、第3実施形態に係る大電極部材11と第2の電極20との放電を示す模式図である。
【図10】図10は、第3実施形態の変更例1に係るオゾン発生装置300Aを説明するための概略図である。
【図11】図11は、第3実施形態の変更例2に係るオゾン発生装置300Bを説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係るオゾン発生装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)第1実施形態、(2)第2実施形態、(3)第3実施形態、(4)その他の実施形態について説明する。
【0016】
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0017】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0018】
(1)第1実施形態
まず、第1実施形態に係るオゾン発生装置100について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係るオゾン発生装置100を説明するための概略図である。図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る減速手段34を示す斜視図である。図3(a)は、第1実施形態に係る中電極部材12と第2の電極20との放電を示す模式図である。図3(b)は、第1実施形態に係る小電極部材13と第2の電極20との放電を示す模式図である。図3(c)は、第1実施形態に係る大電極部材11と第2の電極20との放電を示す模式図である。
【0019】
(1−1)オゾン発生装置100の構成
図1及び図2に示すように、オゾン発生装置100は、第1の電極10と第2の電極20との間で放電(いわゆる、無線放電)を起こすことによってオゾンを発生させる装置である。オゾン発生装置100は、第1の電極10と、第2の電極20と、電極部材変更手段30と、高圧電源40と、制御部50と、操作部60とを備える。
【0020】
第1の電極10は、放電体(不図示)で覆われる。第1の電極10は、高圧抵抗3を介して導線5により高圧電源40に接続される。第1の電極10は、大電極部材11(第1電極部材)と、中電極部材12(第2電極部材)と、小電極部材13とを備える。
【0021】
大電極部材11は、円筒状に形成され、所定の放電領域(円筒縁部)を有する。大電極部材11は、中電極部材12及び小電極部材13よりも太く形成される。また、大電極部材11では、中電極部材12及び小電極部材13よりもオゾンの発生量が多い。大電極部材11内には、中電極部材12が設けられる。
【0022】
中電極部材12は、円筒状に形成され、大電極部材11と異なる放電領域(円筒縁部)を有する。中電極部材12は、大電極部材11よりも細く形成され、小電極部材13よりも太く形成される。また、中電極部材12では、大電極部材11よりもオゾンの発生量が少なく、小電極部材13よりもオゾンの発生量が多い。中電極部材12内には、小電極部材13が設けられる。
【0023】
小電極部材13は、円筒状に形成され、大電極部材11及び中電極部材12と異なる放電領域(円筒縁部)を有する。小電極部材13は、大電極部材11及び中電極部材12よりも細く形成される。また、小電極部材13では、大電極部材11及び中電極部材12よりもオゾンの発生量が少ない。このような第1の電極10(大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13)に対向するように、第2の電極20が設けられる。
【0024】
第2の電極20は、放電体(不図示)で覆われる。第2の電極20は、導線7により高圧電源40に接続される。第2の電極20は、第1の電極10と所定距離(任意の間隔)を隔てて設けられる。また、第2の電極20は、円盤状に形成され、第1の電極10と同心円上に設けられる。第2の電極20は、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13の何れか一つと放電する。このような第2の電極20に、電極部材変更手段30によって大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13の何れかが近づくようになっている。
【0025】
電極部材変更手段30は、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13の何れを第2の電極20に近づけるように構成される。電極部材変更手段30は、第1支持体31と、第2支持体32と、歯車33と、減速手段34と、モータ35とによって構成される。
【0026】
第1支持体31は、小電極部材13を支持する。また、第1支持体31の一方の面には、歯車33が噛合する歯部が形成される。第1支持体31には、歯車33を介して第2支持体32が対向する。この第2支持体32は、大電極部材11を支持する。第2支持体32の一方の面には、歯車33が噛合する歯部が形成される。
【0027】
歯車33は、第1支持体31と第2支持体32との間で回転可能に配置される。具体的には、歯車33は、第1支持体31の歯部と第2支持体32の歯部と噛合する。また、歯車33は、歯車33の回転を減速可能な減速手段34に接続される。
【0028】
減速手段34は、モータ35に接続される。具体的には、減速手段34は、図2(a)に示すように、モータ35の軸心に連結される大歯車34Aと、大歯車34Aに噛合するとともに歯車33と同軸に連結される小歯車34Bとによって構成される。
【0029】
なお、減速手段34は、必ずしも大歯車34Aと小歯車34Bとによって構成される必要はない。例えば、図2(b)に示すように、減速手段34は、モータ35の軸心に連結される大ドラム34Cと、歯車33と同軸に連結される小ドラム34Dと、大ドラム34Cと小ドラム34Dとの外周に巻きつけられる平ベルト34Eとによって構成されていてもよい。
【0030】
モータ35は、減速手段34及び制御部50に接続される。モータ35は、電気エネルギーを力学エネルギーに変換するものであればよく、例えば、ステッピングモータや超音波モータによって構成される。特に、モータ35は、静音で精度の高いモータであることが好ましい。
【0031】
制御部50は、各部の制御を行う。制御部50は、上述した高圧電源40、モータ35に接続される。また、制御部50は、使用者に操作される操作部60にも接続される。
【0032】
(1−2)オゾン発生装置100の動作
高圧電源40のスイッチがONになると、導線5を介して第1の電極10に電流が流れるとともに、導線7を介してと第2の電極20に電流が流れる。そして、第1の電極10及び第2の電極20に高電圧を印加されることによって、第1の電極10と第2の電極20との間で放電が起こる。第1の電極10と第2の電極20との間で放電が起こると、高いエネルギーを持つ電子と気体中の酸素分子が衝突し、オゾンが生成される。なお、オゾンの発生量は、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13によって可変し、大電極部材11のように太い方がオゾンの発生量が多くなる。
【0033】
図3(a)に示すように、通常時として、中電極部材12が第2の電極20の中心位置に最も近づいている状態で、中電極部材12と第2の電極20との間で放電が起こる。
【0034】
また、オゾンの発生量を下げる場合、すなわち使用者が操作部60からオゾンの発生量を下げるように操作した場合、この情報を含む信号が制御部50へ送られ、モータ35が作動することによって、歯車33が時計回り方向へ回転する。これにより、歯車33を介して第1支持体31が第2の電極20側(図面では上方)に移動し、第2支持体32が第2の電極20から離れる方向(図面では下方)に移動する。そして、図3(b)に示すように、小電極部材13が第2の電極20の中心位置に最も近づいている状態で、モータ35の回転が停止し、小電極部材13と第2の電極20との間で放電を起こすことが可能となる。
【0035】
一方、オゾンの発生量を上げる場合、すなわち使用者が操作部60からオゾンの発生量を上げるように操作した場合、この情報を含む信号が制御部50へ送られ、モータ35が作動することによって、歯車33が反時計回り方向へ回転する。そして、図3(c)に示すように、大電極部材11が第2の電極20の中心位置に最も近づいている状態で、モータ35の回転が停止し、大電極部材11と第2の電極20との間で放電を起こすことが可能となる。
【0036】
(1−3)作用・効果
以上説明した第1実施形態では、第2の電極20は、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13の何れか一つと放電する。これにより、オゾンの発生量を変更する場合、異なる放電領域で放電できる、すなわち、第2の電極20との間で放電する部材(大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13)そのものを変更できる。このため、例えば、通常時として、中電極部材12と第2の電極20との間で長時間放電されても、従来のように中電極部材12に放電部と非放電部とが形成されることがない。従って、偏った放電(偏放電)が生じることを抑制でき、オゾンの発生量を確実に安定させることができる。また、第2の電極20との間で放電する部材(大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13)を変えるのみで、オゾンの発生量を容易に調整できる。
【0037】
第1実施形態では、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13は、それぞれ円筒状に形成される。これにより、外周面が平坦状であるため、角柱と比べてオゾンの発生量をさらに安定させることができる。
【0038】
第1実施形態では、オゾン発生装置100は、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13の何れかを第2の電極20に近づける電極部材変更手段30を備える。これにより、第2の電極20との間で放電する部材(大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13)を容易に変更することができる。従って、オゾンの発生量をさらに容易に調整できる。
【0039】
第1実施形態では、大電極部材11内に中電極部材12が設けられ、中電極部材12内に小電極部材13が設けられる。このため、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13がそれぞれ異なる位置に設けられる場合と比較して、省スペース化を実現できる。
【0040】
第1実施形態では、第1の電極10と第2の電極20とは、同心円上に設けられる。これにより、第2の電極20との間で放電する部材の位置決めが不要となる。従って、オゾンの発生量をさらに容易に調整できるとともに、位置決めする機構を設ける必要がないため、製造コストの低減に寄与する。
【0041】
(2)第2実施形態
次に、第2実施形態に係るオゾン発生装置200について、図面を参照しながら説明する。なお、上述した実施形態に係るオゾン発生装置100と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0042】
上述した第1実施形態では、大電極部材11内に中電極部材12が設けられ、中電極部材12内に小電極部材13が設けられる。これに対して、第2実施形態では、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13は、それぞれ異なる位置に設けられる。なお、第2実施形態に係るオゾン発生装置200は、第1実施形態で説明した制御部50及び操作部60を備えていない。
【0043】
(2−1)オゾン発生装置200の構成
まず、第2実施形態に係るオゾン発生装置200の構成について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、第2実施形態に係るオゾン発生装置200を説明するための概略図である。図5(a)は、第2実施形態に係る第1の電極10及び電極部材変更手段30を示す側面図である。図5(b)は、第2実施形態に係る第1の電極10及び電極部材変更手段30を示す平面図である。
【0044】
図4及び図5に示すように、大電極部材11は、大電極部材11が載置される台座部11Aに固定される。この大電極部材11には、中電極部材12が隣接する。中電極部材12は、中電極部材12が載置される台座部12Aに固定される。台座部12Aは、絶縁体10Dによって台座部11Aと離間される。このような中電極部材12には、小電極部材13が隣接する。小電極部材13は、小電極部材13が載置される台座部13Aに固定される。台座部13Aは、絶縁体10Dによって台座部12Aと離間される。
【0045】
このような大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13は、電極部材変更手段230によって第2の電極20の中心位置に配置されるようになっている。
【0046】
電極部材変更手段230は、第1の電極10を支持しつつ第1の電極10を移動可能な移動部231と、移動部231を案内する案内レール232と、案内レール232上において移動部231を位置決めするストッパー233とによって構成される。
【0047】
移動部231には、台座部11A、台座部12A及び台座部13Aが固定される。この移動部231は、案内レール232上を移動可能である。案内レール232は、移動部231を案内することによって、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13の何れかを第2の電極20に対向させる(放電可能な)ように構成される。また、ストッパー233は、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13の何れかが第2の電極20の中心位置に配置された状態で、案内レール232上において移動部231を位置決めする。
【0048】
ここで、図5(c)に示すように、複数の電極部材を同時に放電させないために、台座部11A、台座部12A及び台座部13Aのそれぞれの間に絶縁体10Dが設けられるため、移動部231の移動に対して導線5と各電極部材の接点を切り替えることが好ましい。
【0049】
(2−2)オゾン発生装置200の動作
次に、上述したオゾン発生装置200の動作について、図6を参照しながら説明する。図6(a)は、第2実施形態に係る中電極部材12と第2の電極20との放電を示す模式図である。図6(b)は、第2実施形態に係る小電極部材13と第2の電極20との放電を示す模式図である。図6(c)は、第2実施形態に係る大電極部材11と第2の電極20との放電を示す模式図である。
【0050】
図6(a)に示すように、通常時として、中電極部材12が第2の電極20の中心位置に配置された状態で、中電極部材12と第2の電極20との間で放電が起こる。オゾンの発生量を変更する場合、使用者が移動部231を案内レール232上に沿って移動させることによって、第2の電極20との間で放電する部材(大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13)を変更する。この際、ストッパー233が段切替の役割となり、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13の何れかが第2の電極20の中心位置に配置された状態で、移動部231が案内レール232上で停止する。これにより、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13の何れかと第2の電極20との間で放電を起こすことが可能となる。
【0051】
具体的には、オゾンの発生量を下げる場合、図6(b)に示すように、小電極部材13が第2の電極20の中心位置に配置された状態で、小電極部材13と第2の電極20との間で放電を起こすことが可能となる。一方、オゾンの発生量を上げる場合、図6(c)に示すように、大電極部材11が第2の電極20の中心位置に配置された状態で、大電極部材11と第2の電極20との間で放電を起こすことが可能となる。
【0052】
(2−3)作用・効果
以上説明した第2実施形態では、第1実施形態の作用・効果と同様に、オゾンの発生量を容易に調整できるとともに、オゾンの発生量を確実に安定させることができる。
【0053】
(2−4)変更例
次に、上述した第2実施形態に係るオゾン発生装置200の変更例について、図面を参照しながら説明する。図7は、第2実施形態の変更例に係るオゾン発生装置200Aを説明するための概略図である。なお、上述した実施形態に係るオゾン発生装置200と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0054】
上述した第2実施形態では、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13は、電極部材変更手段30によって第2の電極20の中心位置に移動する。これに対して、変更例では、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13は、移動せずに、電極部材変更手段250によって第1の電極10と第2の電極20との間が遮断される。
【0055】
具体的には、図7に示すように、電極部材変更手段250は、第1の電極10と第2の電極20との間に配置される。電極部材変更手段250は、第1の電極10と第2の電極20との間を遮断する絶縁板251と、絶縁板251を案内する案内部252とによって構成される。
【0056】
絶縁板251は、大電極部材11及び中電極部材12の何れか一方と第2の電極20とを遮断する第1絶縁板251Aと、中電極部材12及び小電極部材13の何れか一方と第2の電極20とを遮断する第2絶縁板251Bとを有する。案内部252は、絶縁板251(第1絶縁板251A及び第2絶縁板251B)を案内することによって、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13の何れか一つと第2の電極20とを放電可能なように構成される。
【0057】
なお、電極部材変更手段250は、絶縁板251と案内部252とによって構成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、案内部252上において絶縁板251を位置決めするストッパーが設けられていてもよい。
【0058】
ここで、変更例では、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13は、一つの台座部15に固定される。すなわち、変更例では、導線5と台座部15とが常に接触され、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13が通電可能状態となる。
【0059】
以上説明した変更例の構成であっても、第1実施形態及び第2実施形態の作用・効果と同様に、オゾンの発生量を容易に調整できるとともに、オゾンの発生量を確実に安定させることができる。
【0060】
(3)第3実施形態
次に、第3実施形態に係るオゾン発生装置300について、図面を参照しながら説明する。なお、上述した第1実施形態に係るオゾン発生装置100、第2実施形態に係るオゾン発生装置200と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0061】
上述した第2実施形態では、使用者が移動部231を案内レール232上に沿って移動させることによって、第2の電極20との間で放電する部材(大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13)を変更する。これに対して、第3実施形態では、自動的に第2の電極20との間で放電する部材が変更される。
【0062】
(3−1)オゾン発生装置300の構成
まず、第3実施形態に係るオゾン発生装置300の構成について、図8及び図9を参照しながら説明する。図8は、第3実施形態に係るオゾン発生装置300を説明するための概略図である。
【0063】
図8に示すように、オゾン発生装置300は、第2実施形態に係るオゾン発生装置200と異なる構成の電極部材変更手段330を備える。
【0064】
電極部材変更手段330は、第1の電極10の台座部に固定される案内レール331と、電極部材変更手段330に固定され且つ第1の電極10を移動可能な移動部332と、移動部332を移動可能な歯車333とを備える。また、電極部材変更手段330は、第1実施形態で説明した減速手段34及びモータ35も備えている。
【0065】
(3−2)オゾン発生装置300の動作
次に、上述したオゾン発生装置300の動作について、図9を参照しながら説明する。図9(a)は、第3実施形態に係る中電極部材12と第2の電極20との放電を示す模式図である。図9(b)は、第3実施形態に係る小電極部材13と第2の電極20との放電を示す模式図である。図9(c)は、第3実施形態に係る大電極部材11と第2の電極20との放電を示す模式図である。
【0066】
図9(a)に示すように、通常時として、中電極部材12が第2の電極20の中心位置に配置された状態で、中電極部材12と第2の電極20との間で放電が起こる。
【0067】
また、オゾンの発生量を下げる場合、すなわち使用者が操作部60からオゾンの発生量を下げるように操作した場合、この情報を含む信号が制御部50へ送られ、モータ35が作動することによって、歯車333が時計回り方向へ回転する。このとき、モータ35の回転が減速手段34により減速され、歯車333を介して移動部332が案内レール331上に沿って移動する。そして、図9(b)に示すように、小電極部材13が第2の電極20の中心位置に配置された状態で、モータ35の回転が停止することにより、小電極部材13と第2の電極20との間で放電を起こすことが可能となる。
【0068】
一方、オゾンの発生量を上げる場合、すなわち使用者が操作部60からオゾンの発生量を上げるように操作した場合、この情報を含む信号が制御部50へ送られ、モータ35が作動することによって、歯車333が反時計回り方向へ回転する。そして、図9(c)に示すように、大電極部材11が第2の電極20の中心位置に配置された状態で、モータ35の回転が停止し、大電極部材11と第2の電極20との間で放電を起こすことが可能となる。
【0069】
(3−3)作用・効果
以上説明した第3実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態の作用・効果と同様に、オゾンの発生量を容易に調整できるとともに、オゾンの発生量を確実に安定させることができる。
【0070】
(3−4)変更例
次に、上述した第3実施形態に係るオゾン発生装置300の変更例について、図面を参照しながら説明する。なお、上述した実施形態に係るオゾン発生装置300と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0071】
(3−4−1)変更例1
まず、第3実施形態の変更例1に係るオゾン発生装置300Aについて、図10を参照しながら説明する。図10は、第3実施形態の変更例1に係るオゾン発生装置300Aを説明するための概略図である。
【0072】
上述した第3実施形態では、電極部材変更手段330には、歯車333が用いられる。これに対して、変更例1では、電極部材変更手段330には、図10に示すように、棒状のネジ部材334と、ネジ部材334が挿入される挿入部335とを有するネジ機構が用いられる。
【0073】
この変更例1の構成であっても、第1実施形態及び第2実施形態の作用・効果と同様に、オゾンの発生量を容易に調整できるとともに、オゾンの発生量を確実に安定させることができる。
【0074】
(3−4−2)変更例2
次に、第3実施形態の変更例2に係るオゾン発生装置300Bについて、図面を参照しながら説明する。図11は、第3実施形態の変更例2に係るオゾン発生装置300Bを説明するための概略図である。
【0075】
上述した第3実施形態では、電極部材変更手段330には、歯車333が用いられる。これに対して、変更例2では、電極部材変更手段330では、図11に示すように、第1の電極10(大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13)自体が回転する。具体的には、電極部材変更手段330は、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13を指示する軸心部336と、軸心部336の回転を減速手段34に伝達する伝達手段337とを備える。なお、軸心部336には、大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13が所定間隔(60度)置きに設けられる。
【0076】
この変更例2の構成であっても、第1実施形態及び第2実施形態の作用・効果と同様に、オゾンの発生量を容易に調整できるとともに、オゾンの発生量を確実に安定させることができる。
【0077】
(4)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0078】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。具体的には、第1の電極10(大電極部材11、中電極部材12及び小電極部材13)は、円筒状に形成されるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1の電極10は、角柱状や中空状等に形成されていてもよい。
【0079】
また、第2の電極20は、円盤状に形成されるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第2の電極20は、環状や矩形状等に形成されていてもよい。
【0080】
また、オゾン発生装置は、タイマを内蔵し、第1の電極10の寿命を検知してオゾン発生量を低下させないように自動で放電領域を変更するようにしても良い。また、オゾン発生装置は、電流値を検知することにより、作業者が操作をしなくても制御部の指示により自動的に第2の電極20と放電する部材を変更してもよい。
【0081】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0082】
100,200,300…オゾン発生装置
10…第1の電極
11…大電極部材(第1電極部材)
12…中電極部材(第2電極部材)
13…小電極部材
20…第2の電極
30,230,250,330…電極部材変更手段
40…高圧電源
50…制御部
60…操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電体で覆われた第1の電極と、前記第1の電極に対向するとともに前記放電体で覆われた第2の電極とを備え、前記第1の電極と前記第2の電極との間で放電を起こすことによってオゾンを発生させるオゾン発生装置であって、
前記第1の電極は、
所定の放電領域を有する第1電極部材と、
前記第1電極部材と異なる放電領域を有する第2電極部材と
を備え、
前記第2の電極は、前記第1電極部材及び前記第2電極部材の何れか一方と放電することを特徴とするオゾン発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のオゾン発生装置であって、
前記第1電極部材又は前記第2電極部材の何れかを前記第2の電極に近づける電極部材変更手段を備えることを特徴とするオゾン発生装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のオゾン発生装置であって、
前記第1電極部材及び前記第2電極部材は、それぞれ円筒状に形成されることを特徴とするオゾン発生装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のオゾン発生装置であって、
前記第2電極部材は、前記第1電極部材の内側に設けられることを特徴とするオゾン発生装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のオゾン発生装置であって、
前記第2電極部材は、前記第1電極部材と異なる位置に設けられることを特徴とするオゾン発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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