説明

オフライン信号制御機の通知ユニット

【課題】 オフライン信号制御機の異常発生時に異常を通知する通知ユニットを提供する。
【解決手段】 要求出力部20は、所定の間隔(たとえば1分)ごとに照会要求を示す信号SIG1を出力する。情報処理部22は信号SIG1を受けたオフライン信号制御機2から実行履歴情報として送られるデータD1を受け、データD1に含まれる所定の情報に基づいて、オフライン信号制御機2の動作が正常であるか異常であるかを判定する。情報処理部22はオフライン信号制御機2の動作が異常と判定する場合には異常情報であるデータD12Aを出力し、送信回路24はデータD12Aをデータ送信に適した形式に加工し、交通管制センター4に向けてデータD3を送信する。よって交通管制センター4ではオフライン信号制御機2の異常状態を把握することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オフライン信号制御機の動作に異常が発生したことを検知して、交通管制センターに異常を通知する通知ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
信号灯の点灯を制御する信号制御機には大別すると2種類の交通信号制御機が存在する。そのうちの1つは自律的に動作し、内部に格納された点灯パターンに従って点灯の制御を行なう信号制御機(以下、オフライン信号制御機と称する)である。もう1つは電気通信回線を介して交通管制センターから送られる命令に応じて制御を行なう信号制御機(以下、オンライン信号制御機と称する)である。
【0003】
オンライン信号制御機の場合、実行結果が正常か異常かを示す実行履歴情報が一定周期(サイクル)ごとに交通管制センターに送信される。実行履歴情報は交通管制センターに備えられたデータベースに保存される。交通管制センターではデータベースに保存された実行履歴情報を効率的に検索したり照会したりすることが可能である。よって、たとえば交通事故発生時の実行履歴情報と照合しながら事故の状況を把握したり、原因を分析したりすることができる。
【0004】
遠隔制御によって交通信号制御機を制御する例として、特開2001−023080号公報(特許文献1)では、無線通信によって信号機制御を行なう交通信号制御システムおよび交通信号制御装置の例が開示される。また、遠隔監視を行なう制御システムの例として、特開2002−098562号公報(特許文献2)では地滑りの遠隔監視を無線LANによって行なう遠隔監視システムおよび地滑り監視システムの例が開示される。さらに、遠隔監視を行なう制御システムの例として、特開2001−114481号公報(特許文献3)では、エレベータの異常状態を遠隔監視によって検知するエレベータの遠隔監視システムの例が開示される。
【0005】
一方、オフライン信号制御機の場合、たとえば内蔵されるROM(Read Only Memory)等の記憶媒体に実行履歴情報が記憶されている。しかし、オフライン信号制御機は電気通信回線に接続されていないので交通管制センターから実行履歴情報を取得することができない。さらに、交通管制センターからオフライン信号制御機の動作に異常が発生したことが把握できない。このような理由から、オフライン信号制御機の実行履歴情報の取得や、動作状態の確認のため、作業員がノート型パーソナルコンピュータを持参し、オフライン信号制御機の設置場所に行く必要があった。
【0006】
オフライン信号制御機にはEIA(Electronic Industries Association)−232C規格に準拠したシリアルコンソールインターフェース(以下、単にインターフェースと称する)が実装されている。このインターフェースを介して受ける照会要求に応じてオフライン信号制御機は実行履歴情報を出力する。また、異常時にはオフライン信号制御機はインターフェースから入力される復旧要求に応じて再起動する。作業員の操作に応じ、パーソナルコンピュータから照会要求や復旧要求が出力される。
【特許文献1】特開2001−023080号公報
【特許文献2】特開2002−098562号公報
【特許文献3】特開2001−114481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
オフライン信号制御機の場合、実行履歴情報の取得や、動作状況の調査、異常発生時の復旧のためには作業員が設置場所に行く必要があった。
【0008】
一般的にオフライン信号制御機は過疎地域に設置されている場合が多く、また、オンライン信号制御機より設置数が多い。よって、オンライン信号制御機のようにオフライン信号制御機と交通管制センターとを電話線等の専用回線で接続すると回線を敷設するための費用が大きくなる。
【0009】
また、交通安全の観点から、信号制御機を復旧させる際には人による確認が必要となるので、オフライン信号制御機には異常時に自ら復旧要求を生成して再起動を行なう復旧機能を搭載することができない。また、このような復旧機能を搭載しても実行履歴情報の取得のために作業員が設置場所に行く必要がある。
【0010】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、オフライン信号制御機の異常発生時に異常を通知する通知ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は要約すれば、格納された点灯パターンに従い自律的に信号灯を点灯させ、点灯パターンの実行結果を示す履歴情報を保存し、照会要求に応じて履歴情報を出力するオフライン信号制御機の動作異常を交通管制センターに通知するための通知ユニットであって、照会要求を生成して出力する要求出力部と、履歴情報に基づいて実行結果が正常か異常かのいずれであるかを判定し、実行結果が異常であると判定する場合には異常情報を出力する情報処理部と、異常情報を交通管制センターに向けて送信する送信回路とを備える。
【0012】
好ましくは、オフライン信号制御機は、復旧要求に応じて動作を初期化し、通知ユニットは、交通管制センターから異常情報に応じて送信される復旧要求を受信する受信回路をさらに備え、要求出力部は、受信回路が受信する復旧要求をオフライン信号制御機に向けて出力する。
【0013】
より好ましくは、情報処理部は、実行結果が正常であると判定する場合には正常情報を出力し、通知ユニットは、複数の時点にわたる正常情報を逐次蓄積し、参照条件を含む参照要求に応じて蓄積した正常情報のうちから参照条件を満たす正常情報を出力し、消去条件を含む消去要求に応じて蓄積した正常情報のうちから消去条件を満たす正常情報を消去する蓄積部をさらに備え、受信回路は、交通管制センターから送られる参照要求および消去要求をさらに受信し、要求出力部は、受信回路が受ける参照要求および消去要求を蓄積部に出力し、送信回路は、蓄積部から出力される正常情報を交通管制センターに向けてさらに送信する。
【0014】
さらに好ましくは、要求出力部は、所定時間ごとに照会要求を生成して出力する照会部と、受信回路からの受信情報が復旧要求である場合には復旧要求をオフライン信号制御機に向けて出力するとともに、復旧要求と照会要求とのうちから復旧要求を選択してオフライン信号制御機に送ることを示す選択信号を活性化し、受信情報が参照要求および消去要求である場合には、参照要求および消去要求を蓄積部に出力するとともに、選択信号を非活性化する命令識別部と、選択信号に応じて照会要求の出力と復旧要求の出力のいずれか一方を選択する選択回路とを含む。
【0015】
さらに好ましくは、命令識別部は、受信情報に含まれる要求フラグに応じて復旧要求、参照要求および消去要求を識別する。
【0016】
より好ましくは、送信回路および受信回路は、交通管制センターと無線を用いてパケット通信を行なう。
【0017】
より好ましくは、オフライン信号制御機は、照会要求の入力、履歴情報の出力および復旧要求の入力を行なうための外部インターフェースを有し、通知ユニットは、外部インターフェースとの間で照会要求、復旧要求および履歴情報の伝送を行なうための第1のインターフェースと、運搬可能な端末装置との間でデータの入出力を行なうための第2のインターフェースと、第1のインターフェースを第2のインターフェースに接続するか、情報収集部および要求出力部に接続するかを選択するためのスイッチとをさらに備える。
【0018】
好ましくは、履歴情報は、実行結果が正常か異常かのいずれかを示すフラグを含む。
【発明の効果】
【0019】
この発明の検知ユニットによれば、費用を大幅に増大させることなく交通管制センターからオフライン信号制御機の異常状態を把握することが可能になるとともに、交通センターから復旧の指示を行なうことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下において、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0021】
図1は、本発明の通知ユニットが取り付けられるオフライン信号制御機を含む交通管制システムの概略を示す図である。
【0022】
図1を参照して、交通管制システム100は、信号灯1、オフライン信号制御機2、ユニット3、および交通管制センター4を含む。交通管制システム100において信号灯1は複数設置され、各信号灯に対してオフライン信号制御機2およびユニット3がそれぞれ1つずつ設置される。図1では代表的に信号灯1、オフライン信号制御機2およびユニット3がそれぞれ1つずつ示される。
【0023】
オフライン信号制御機2は、内部に格納する点灯パターンに従って信号灯1の点灯を制御する。オフライン信号制御機2は、信号灯1の制御を行なった結果を示す実行履歴情報を内部の記憶装置(図示せず)に蓄積する。
【0024】
ユニット3は、この発明の通知ユニットである。ユニット3は所定の期間毎にオフライン信号制御機2から実行履歴情報を取得する。ユニット3は、実行履歴情報の内容がオフライン信号制御機の動作異常を示すと判定する場合、交通管制センター4にその実行履歴情報(以下、異常情報と称する)を送信する。
【0025】
交通管制センター4は異常情報を受信する。交通管制センター4ではコンピュータあるいは作業員によって、たとえば異常が生じた原因が分析される。作業員がオフライン信号制御機2を復旧させてもよいと判断した場合、交通管制センター4からオフライン信号制御機2の動作を正常状態に戻すための復旧要求が送信される。ユニット3は、復旧要求を受けてオフライン信号制御機2に出力する。オフライン信号制御機2は復旧要求を受け、異常状態から正常状態に戻る。
【0026】
ユニット3はオフライン信号制御機2が正常であることを示す実行履歴情報(以下、正常情報と称する)を内部に蓄積する。交通管制センター4はユニット3に蓄積された正常情報を取得するための参照要求および正常情報を消去するための消去要求を送信する。ユニット3は蓄積された正常情報のうち、参照要求が指定する条件に応じた正常情報を交通管制センター4に送信する。交通管制センター4は正常情報をデータベース(図示せず)に格納する。これによって、交通管制センター4では複数のオフライン信号制御機から送られる実行履歴情報を効率的に検索することが可能になる。
【0027】
ユニット3と交通管制センター4とのデータ通信には、たとえばDopa(登録商標)のような従量制の無線パケット通信サービスが利用される。このような通信網を利用することにより、専用回線を敷設するよりも初期費用を低くすることができるとともに運用時の費用を低くすることができる。
【0028】
オフライン信号制御機2とユニット3とはケーブル6により接続される。また、ユニット3はケーブル8により、作業員(図示せず)が持参するパーソナルコンピュータ10と接続することもできる。作業員がパーソナルコンピュータ10を用いてオフライン信号制御機2の保守を行なう場合、パーソナルコンピュータ10から送られる復旧要求はユニット3を介してオフライン信号制御機2に送られる。よって、作業員はケーブル6を取り外すことなくパーソナルコンピュータ10からオフライン信号制御機2に復旧要求を送ることができる。
【0029】
なお、ユニット3が装着される後もオフライン信号制御機2は内部に記憶する点灯パターンに従って信号灯1の点灯の制御を行なう。この点で、オフライン信号制御機2およびユニット3はオンライン信号制御機と相違する。
【0030】
図2は、図1のユニット3のブロック図である。
【0031】
図2を参照して、ユニット3は、要求出力部20と、情報処理部22と、送信回路24とを含む。
【0032】
要求出力部20は、所定の間隔(たとえば1分)ごとに照会要求を示す信号SIG1を出力する。情報処理部22は信号SIG1を受けたオフライン信号制御機2から実行履歴情報として送られるデータD1を受け、データD1に含まれる所定の情報に基づいて、オフライン信号制御機2の動作が正常であるか異常であるかを判定する。情報処理部22はオフライン信号制御機2の動作が異常と判定する場合には異常情報であるデータD12Aを出力する。送信回路24はデータD12Aをデータ送信に適した形式に加工し、交通管制センター4に向けてデータD3を送信する。よって交通管制センター4ではオフライン信号制御機2の異常状態を把握することが可能になる。
【0033】
送信回路24は情報変換部24Aと送信部24Bとを含む。情報変換部24AはデータD12を受けてデータをパケット化するとともに、パケットにIP(Internet Protocol)ヘッダを付加する。送信部24Bは無線を用いてデータD3を送信する。
【0034】
なお送信回路24は情報処理部から送られるデータD12Aを一時的に保持するメモリ回路をさらに含むよう構成されてもよい。このメモリ回路は、たとえば送信部24Bによる送信処理が失敗し、データ再送信が行なわれる場合に情報変換部24Aが作成する再送信データのもとになる異常情報を保存するために用いられる。
【0035】
ユニット3は、さらに、交通管制センター4が復旧要求を送信した場合に、無線を用いて復旧要求を受ける受信部26を含む。図中において、信号SIG2は復旧要求を含む信号を示す。受信部26が受けた復旧要求は要求出力部20に送られ、要求出力部20はオフライン信号制御機2に向けて信号SIG2を送る。 ユニット3は、さらに、複数の時点にわたる正常情報を逐次蓄積する蓄積部28を備える。情報処理部22はデータD1が正常情報であると判定する場合に、蓄積部28に対して正常情報であるデータD12Bを出力する。蓄積部28は参照要求(図中、信号SIG3と示す)を受けると、蓄積された正常情報の中から参照要求に含まれる条件を満たすデータD12Bを出力する。また、蓄積部28は消去要求(図中、信号SIG4と示す)を受け、蓄積部28に蓄積された正常情報のうち、所定の消去条件を満たす正常情報を削除する。
【0036】
参照要求および消去要求は、交通管制センター4から受信部26に送られ、受信部26から要求出力部20に送られる。よって要求出力部20では交通管制センターから送られるデータD4が上記の復旧要求、参照要求、消去要求のいずれであるかを識別し、それぞれの情報に応じた出力先に情報を出力する必要がある。このような処理を実現する要求出力部の構成について説明する。
【0037】
要求出力部20は、所定の時間ごと(たとえば1分ごと)に信号SIG1を出力する動作状況照会部20Aと、受信部26から受ける情報が復旧要求か、参照要求か消去要求かのいずれであるかに応じて、信号SIG2をオフライン信号制御機2に出力するか信号SIG3,SIG4を蓄積部28に出力するかを切り換える命令識別部20Bとを含む。命令識別部20Bは、信号SIG2を出力する場合には信号SLCTを活性化し、信号SIG3または信号SIG4を出力する場合には信号SLCTを非活性化する。
【0038】
要求出力部20は、さらに、信号SLCTに応じて信号SIG1の出力と信号SIG2の出力のいずれか一方を選択する選択回路20Cを含む。信号SLCTが活性化される場合(信号SLCTが「1」を示す場合)、選択回路20Cは信号SIG2の出力を選択し、信号SLCTが非活性化される場合(信号SLCTが「0」を示す場合)には選択回路20Cは信号SIG2の出力を選択する。命令識別部20Bおよび選択回路20Cによって、オフライン信号制御機2に同時に2つの命令が入力されることがなくなるとともに、オフライン信号制御機2の動作に関係しない参照要求や消去要求が誤ってオフライン信号制御機2に送られることを防ぐことが可能になる。
【0039】
ユニット3は、さらに、オフライン信号制御機2が有するインターフェースIF1との間で信号SIG1,SIG2およびデータD1の伝送を行なうためのインターフェースIF2と、パーソナルコンピュータ10との間でデータの入出力を行なうためのインターフェースIF3とスイッチSWとを含む。スイッチSWは通常時にはインターフェースIF2を要求出力部20および情報処理部22に接続するよう設定される。作業員によってオフライン信号制御機2に対し保守やその他の作業が行なわれる場合、スイッチSWを切り換えることによりインターフェースIF2とインターフェースIF3とが接続される。よってパーソナルコンピュータ10からオフライン信号制御機2に対し、復旧要求を送信することが可能になる。スイッチSWはたとえば手動のスイッチでもよいし、電気信号に応じて切り換るスイッチング素子であってもよい。
【0040】
図3は、図2のデータD1の一例を示す図である。
【0041】
図3を参照して、データD1はEIA−232C規格に準拠したデータフォーマットに従って構成される。データD1はスタートビットD11,データD12,パリティビットD13およびストップビットD14を含む。データD12は実行履歴情報である。スタートビットD11,パリティビットD13およびストップビットD14は情報処理部22での処理により削除される。図2のデータD12A,D12Bの両方を図3ではデータD12と示す。
【0042】
また、図2の信号SIG1,SIG2のデータ構造はデータD1の構造と同様である。この場合、データD12の部分に復旧要求や照会要求が含まれる。
【0043】
図4は、図3のデータD12の一例を示す図である。
【0044】
図4を参照して、データD12は、時刻データD21,灯色データD22,フラグD23,詳細データD24を含む。以下、データD12の各項目について説明する。
【0045】
時刻データD21にはオフライン信号制御機2が信号灯1の点灯制御を行なった際の時刻が記録されている。時刻データD21の長さは、たとえば8バイトである。
【0046】
灯色データD22には信号灯の灯色を示すデータが記録されている。
【0047】
フラグD23には実行結果が正常か異常かを示すフラグが1バイトの長さで記録されている。なお、フラグの長さは1ビットでもよい。フラグが「1」の場合には実行結果が異常であることを示し、フラグが「0」の場合には実行結果が正常であることを示す。図2の情報処理部22はフラグD23をチェックしてオフライン信号制御機2が正常か異常かを判定する。同様に、交通管制センター4はフラグD23をチェックしてオフライン信号制御機2に異常が生じたか、または正常に動作しているかを判定する。情報処理部22はフラグD23をチェックすることにより、詳細データD24の各項目をチェックしてオフライン信号制御機2の動作を判定するよりも短時間で判定をすることができる。
【0048】
詳細データD24は、MPU(Micro Processing Unit)異常フラグD24A,感知器異常フラグD24B,停電フラグD24C,滅灯要求フラグD24Dを含む。なお各項目のデータ長は、たとえば1バイトである。
【0049】
MPU異常フラグD24Aにはオフライン信号制御機2に内蔵されるMPUの動作が異常モードになった場合に「1」が記録され、正常モードであれば「0」が記録される。
【0050】
感知器異常フラグD24Bには交差点の近くに設置されている車両検知器あるいは横断歩道の近くに設置されている歩行者用の感知器の状態が記録される。これらの感知器の状態が異常である場合には「1」が記録され、正常である場合には「0」が記録される。
【0051】
停電フラグD24Cにはオフライン信号制御機2に停電が発生した場合には「0」が記録され、正常時には「1」が記録される。
【0052】
滅灯要求フラグD24Dにはオフライン信号制御機が内部に保持する各灯色に対する点灯パターン及び点灯時間のデータと、信号灯の点灯を実行した際の点灯パターンと点灯時間とが保持されているデータと一致しているか否かを照合した結果が記録される。保持されているデータと実行結果とが一致していない場合には、オフライン信号制御機2は動作異常であると判断し、信号灯1に対して滅灯の指示を出す。この滅灯の指示が出されたことに応じ滅灯要求フラグD24Dには「1」が記録される。
【0053】
図5は、図2のデータD3の一例を示す図である。
【0054】
図5を参照して、データD3は図4あるいは図5のデータD12にIPヘッダD31と、検証用データD32とが付加された構成になっている。検証用データD32は、たとえばチェックサム等の検証に用いられるデータである。
【0055】
図6は、図2のデータD4の一例を示す図である。
【0056】
図6を参照して、データD4は図5のデータD3と同一の構成であり、データD5にIPヘッダD31および検証用データD32が付加された構成である。命令識別部20BはデータD4からIPヘッダD31および検証用データD32を削除する。データD5は要求フラグとして、照会要求フラグD51,復旧要求フラグD52および消去要求フラグD53の3つのフラグを含む。各フラグの長さはたとえば1バイトに設定される。
【0057】
データD5は、さらに、照会する履歴データの範囲の始まりを指定する情報が格納される開始データ指定部D54と、照会する履歴データの範囲の終わりを指定する情報が格納される終了データ指定部D55とを含む。これらのデータ指定部には時刻形式で指定される情報が格納される。これらの時刻情報は蓄積部28におけるデータ出力やデータ消去の条件を示す情報である。各データ指定部の長さはたとえば8バイトに設定される。
【0058】
命令識別部20Bは照会要求フラグD51が「1」であればデータD5(信号SIG3)を蓄積部28に送る。命令識別部20Bは消去要求フラグD53が「1」であればデータD5(信号SIG4)を蓄積部28に送る。命令識別部20Bは復旧要求フラグD52が「1」であれば、データD5にスタートビット,パリティビットおよびストップビットを付加し、信号SIG2を出力する。
【0059】
復旧要求フラグD52が「1」の場合、命令識別部20Bは信号SIG2を出力するとともに信号SLCTを「1」に設定する。一方、復旧要求フラグD52が「1」の場合、命令識別部20Bは信号SIG3,SIG4を出力する。この場合、命令識別部20Bは信号SLCTを「0」に設定する。
【0060】
以上のように本発明の実施の形態によれば、オフライン信号制御機の異常発生時に交通管制センターに異常を通知することが可能になるとともに、交通管制センターからオフライン信号制御機を復旧させることが可能になる。
【0061】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の通知ユニットが取り付けられるオフライン信号制御機を含む交通管制システムの概略を示す図である。
【図2】図1のユニット3のブロック図である。
【図3】図2のデータD1の一例を示す図である。
【図4】図3のデータD12の一例を示す図である。
【図5】図2のデータD3の一例を示す図である。
【図6】図2のデータD4の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 信号灯、2 オフライン信号制御機、3 ユニット、4 交通管制センター、6,8 ケーブル、10 パーソナルコンピュータ、20 要求出力部、20A 動作状況照会部、20B 命令識別部、20C 選択回路、22 情報処理部、24 送信回路、24A 情報変換部、24B 送信部、26 受信部、28 蓄積部、100 交通管制システム、D1,D12,D12A,D12B,D3〜D5 データ、D11 スタートビット、D13 パリティビット、D14 ストップビット、D21 時刻データ、D22 灯色データ、D23 フラグ、D24 詳細データ、D24A MPU異常フラグ、D24B 感知器異常フラグ、D24C 停電フラグ、D24D 滅灯要求フラグ、D31 IPヘッダ、D32 検証用データ、D51 照会要求フラグ、D52 復旧要求フラグ、D53 消去要求フラグ、D54 開始データ指定部、D55 終了データ指定部、IF1〜IF3 インターフェース、SW スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納された点灯パターンに従い自律的に信号灯を点灯させ、前記点灯パターンの実行結果を示す履歴情報を保存し、照会要求に応じて前記履歴情報を出力するオフライン信号制御機の動作異常を交通管制センターに通知するための通知ユニットであって、
前記照会要求を生成して出力する要求出力部と、
前記履歴情報に基づいて前記実行結果が正常か異常かのいずれであるかを判定し、前記実行結果が異常であると判定する場合には異常情報を出力する情報処理部と、
前記異常情報を前記交通管制センターに向けて送信する送信回路とを備える、オフライン信号制御機の通知ユニット。
【請求項2】
前記オフライン信号制御機は、復旧要求に応じて動作を初期化し、
前記通知ユニットは、前記交通管制センターから前記異常情報に応じて送信される前記復旧要求を受信する受信回路をさらに備え、
前記要求出力部は、前記受信回路が受信する前記復旧要求を前記オフライン信号制御機に向けて出力する、請求項1のオフライン信号制御機の通知ユニット。
【請求項3】
前記情報処理部は、前記実行結果が正常であると判定する場合には正常情報を出力し、
前記通知ユニットは、複数の時点にわたる前記正常情報を逐次蓄積し、参照条件を含む参照要求に応じて蓄積した前記正常情報のうちから前記参照条件を満たす正常情報を出力し、消去条件を含む消去要求に応じて蓄積した前記正常情報のうちから前記消去条件を満たす正常情報を消去する蓄積部をさらに備え、
前記受信回路は、前記交通管制センターから送られる前記参照要求および前記消去要求をさらに受信し、
前記要求出力部は、前記受信回路が受ける前記参照要求および前記消去要求を前記蓄積部に出力し、
前記送信回路は、前記蓄積部から出力される前記正常情報を前記交通管制センターに向けてさらに送信する、請求項2に記載のオフライン信号制御機の通知ユニット。
【請求項4】
前記要求出力部は、
所定時間ごとに前記照会要求を生成して出力する照会部と、
前記受信回路からの受信情報が前記復旧要求である場合には前記復旧要求を前記オフライン信号制御機に向けて出力するとともに、前記復旧要求と前記照会要求とのうちから前記復旧要求を選択して前記オフライン信号制御機に送ることを示す選択信号を活性化し、前記受信情報が前記参照要求および前記消去要求である場合には、前記参照要求および前記消去要求を前記蓄積部に出力するとともに、前記選択信号を非活性化する命令識別部と、
前記選択信号に応じて前記照会要求の出力と前記復旧要求の出力のいずれか一方を選択する選択回路とを含む、請求項3に記載のオフライン信号制御機の通知ユニット。
【請求項5】
前記命令識別部は、前記受信情報に含まれる要求フラグに応じて前記復旧要求、前記参照要求および前記消去要求を識別する、請求項4に記載のオフライン信号制御機の通知ユニット。
【請求項6】
前記送信回路および前記受信回路は、前記交通管制センターと無線を用いてパケット通信を行なう、請求項2に記載のオフライン信号制御機の通知ユニット。
【請求項7】
前記オフライン信号制御機は、前記照会要求の入力、前記履歴情報の出力および前記復旧要求の入力を行なうための外部インターフェースを有し、
前記通知ユニットは、
前記外部インターフェースとの間で前記照会要求、前記復旧要求および前記履歴情報の伝送を行なうための第1のインターフェースと、
運搬可能な端末装置との間でデータの入出力を行なうための第2のインターフェースと、
前記第1のインターフェースを前記第2のインターフェースに接続するか、前記情報収集部および前記要求出力部に接続するかを選択するためのスイッチとをさらに備える、請求項2に記載のオフライン信号制御機の通知ユニット。
【請求項8】
前記履歴情報は、前記実行結果が正常か異常かのいずれかを示すフラグを含む、請求項1に記載のオフライン信号制御機の通知ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−171983(P2006−171983A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−361522(P2004−361522)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】