説明

オブジェクト配置決定支援システム、オブジェクト配置決定支援方法およびプログラム

【課題】表示されているオブジェクトの配置を移動させようとしたときに、オブジェクトごとにどの場所に配置する意見が多いかを実感として知ることができるオブジェクト配置決定支援システムを提供する。
【解決手段】表示部3は、仮想空間におけるオブジェクトの配置を画面に表示する。記憶部2はオブジェクトの仮想空間における配置に関する意見データを記憶する。意見データ集約部4は、意見データをオブジェクトごとに集約してオブジェクトの画面上での移動特性を表すデータを、集約した意見データで示されるオブジェクトの位置の方向に変化させる変化分を生成する。移動入力部5で、画面上のオブジェクトの位置を移動する指令を入力した場合に、そのオブジェクトの画面上での位置を移動する指令に対応する移動の状態を、意見データ集約部4で生成された変化分に基づいて変化させて、オブジェクトの移動を画面に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間におけるオブジェクトの配置を決定することを支援するオブジェクト配置決定支援システム、オブジェクト配置決定支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特にインターネットによって、関与参加者の意見を集約し、その結果を示すことが行われるようになってきた。
【0003】
例えば文献1には、意思を決定するための判断情報を提供可能な意思決定支援システムの技術が記載されている。特許文献1の技術は、入力されたテーマに関連する意見テキスト群の中からテーマに関連する複数の論点を抽出し、論点に一の立場を有する意見の割合を表す固有度と、論点毎に一の立場を含んでいる意見の重要度を算出する。また、複数の論点に関連する関連語を抽出し、論点毎に対する肯定又は否定の意見における複数の代表意見を選択する。そして、論点毎の固有度及び重要度を出力する。
【0004】
意見が多数ある場合にはコンセンサスを得ることが難しくなってくる。その一例として、新たな都市計画における住民のコンセンサス獲得が挙げられる。近年、都市計画のようなオブジェクト配置におけるコンセンサス獲得のために、事前に建築物オブジェクトを配置し、都市完成後のイメージを見せるシステムが提案されている。
【0005】
特許文献2では仮想的な3次元空間での都市設計支援システムを提案している。仮想3次元地図生成は、ユーザーによる都市計画は土地枠を規定した2次元の地図データベース上に予め用意された3次元の建造物モデルの配置によって行われる。モデル配置はシステムに組み込まれた建築基準法などの規定制約の範疇内であれば、そのユーザーが自由に設計・配置できる。
【0006】
特許文献2の技術では、都市計画に利用可能な程度に現実的な3次元電子地図を生成する。仮想3次元地図生成システムは、生成サーバとクライアントから構成される。3次元地図の生成は、建造物を建造する土地枠を規定した2次元の地図データベースに基づいて行われる。生成サーバは、各土地枠に設定された建築基準法や消防法に基づく規制などの生成条件を満足するよう、予め用意された3次元の基礎モデルを配置して、3次元地図を生成する。モデル配置は生成条件の範囲内で、ユーザーが自由に設計・配置できる。
【0007】
特許文献3は、一般住民等の参加者に対し、都市再生の際に必要となる街づくりの知識や手順を容易に理解させることを目的とする。特許文献3の技術は、都市再生を所定の手順でシミュレーションするゲーム状に設定されており、参加者の情報及び/又は街の情報、状況を他の参加者に対して理解させ且つ共有させる情報開示手段と、新たな街づくりの目標を参加者に設定させる目標設定手段と、各参加者の目標に基づき、建造物の建替えや街づくりを具体化する具体化手段と、具体化手段で具体化された都市再生の成果を所定の項目に従って各参加者に評価させる成果評価手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−241901号公報
【特許文献2】特開2008−83728号公報
【特許文献3】特開2003−296513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の関連する技術を用いた場合、特許文献3の技術ではオブジェクト配置に関してインタラクティブな設計はできるものの、計画参加は現実の対面状況にのみ限られることから、ユーザーが参加するには場所と時間が限定され、多数が参加することは困難である。
【0010】
一方、特許文献2のような仮想空間でのオブジェクト配置に関しては、仮想空間をネットワーク上で共有できることから、オブジェクトの配置に遠隔の複数ユーザーの関与が期待できる。しかしながら特許文献2のオブジェクト配置支援システムでは、配置はある一人のユーザーの恣意的な判断に委ねられ、特許文献3のように他のユーザーの意見を参照しながらのインタラクティブな設計手段は提案されていない。
【0011】
また、特許文献1のように複数のユーザーからの意見を集約し、肯定又は否定意見を2次元マップとして呈示するシステムは存在するが、3次元空間でのオブジェクト配置に関して集約された意見の効果的な呈示方法についてはいまだ検討されていない。
【0012】
従って、共有仮想空間内で複数の参加者がオブジェクト配置に関与しながら、その中で、互いの意見内容を認識しながら合意形成を支援するオブジェクト配置決定支援システムが期待される。
【0013】
本発明は上述のような状況に鑑みてなされたもので、仮想空間のオブジェクトの配置について複数の参加者が関与する場合に、画面に表示されているオブジェクトの配置を移動させようとしたときに、オブジェクトごとにどの場所に配置する意見が多いかを実感として知ることができるオブジェクト配置決定支援システム、オブジェクト配置決定支援方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の観点に係るオブジェクト配置決定支援システムは、
仮想空間におけるオブジェクトの配置を画面に表示する表示手段と、
前記オブジェクトの前記仮想空間における配置に関する意見を表すデータである意見データを取得する意見取得手段と、
前記意見取得手段で取得した意見データを前記オブジェクトごとに集約して、そのオブジェクトの前記画面上での移動速度、移動距離もしくは移動位置を含む移動特性を表すデータを、前記意見データで示される前記オブジェクトの位置の方向に変化させる変化分を生成する意見データ集約手段と、
前記オブジェクトの位置を前記画面上で移動する指令を入力する移動入力手段と、
前記移動入力手段で前記オブジェクトの位置を移動する指令を入力した場合に、そのオブジェクトの前記画面上での前記位置を移動する指令に対応する移動の状態を、前記意見データ集約手段で生成された変化分に基づいて変化させて、前記オブジェクトの移動を前記画面に表示する移動表示手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の第2の観点に係るオブジェクト配置決定支援方法は、
仮想空間におけるオブジェクトの配置を画面に表示する表示ステップと、
前記オブジェクトの前記仮想空間における配置に関する意見を表すデータである意見データを取得する意見取得ステップと、
前記意見取得ステップで取得した意見データをオブジェクトごとに集約して、そのオブジェクトの前記画面上での移動速度、移動距離もしくは移動位置を含む移動特性を表すデータを、前記意見データで示される前記オブジェクトの位置の方向に変化させる変化分を生成する意見データ集約ステップと、
前記オブジェクトの位置を前記画面上で移動する指令を入力する移動入力ステップと、
前記移動入力ステップで前記オブジェクトの位置を移動する指令を入力した場合に、そのオブジェクトの前記画面上での前記位置を移動する指令に対応する移動の状態を、前記意見データ集約手段で生成された前記移動特性を表すデータの変化分に基づいて変化させて、前記オブジェクトの移動を前記画面に表示する移動表示ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、コンピュータに
仮想空間におけるオブジェクトの配置を画面に表示する表示ステップと、
前記オブジェクトの前記仮想空間における配置に関する意見を表すデータである意見データを取得する意見取得ステップと、
前記意見取得ステップで取得した意見データをオブジェクトごとに集約して、そのオブジェクトの前記画面上での移動速度、移動距離もしくは移動位置を含む移動特性を表すデータを、前記意見データで示される前記オブジェクトの位置の方向に変化させる変化分を生成する意見データ集約ステップと、
前記オブジェクトの位置を前記画面上で移動する指令を入力する移動入力ステップと、
前記移動入力ステップで前記オブジェクトの位置を移動する指令を入力した場合に、そのオブジェクトの前記画面上での前記位置を移動する指令に対応する移動の状態を、前記意見データ集約手段で生成された前記移動特性を表すデータの変化分に基づいて変化させて、前記オブジェクトの移動を前記画面に表示する移動表示ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、仮想空間でのオブジェクト配置において、様々な方法で収集・蓄積された配置に関する参加者の意見を、オブジェクトの移動特性パラメーターにフィードバックさせて呈示することにより、参加者の意見を参照しながらインタラクティブな合意形成的配置を支援/誘導することができる。
その理由は、オンライン上では認識しにくい他者の意見を、あらかじめ収集された意見やユーザー自身の意見入力や行動などで得られた意見情報をオブジェクトの移動特性に反映させることで、他者の意見を知覚しながらの合意形成的なオブジェクト配置を効率的に支援/誘導することが可能であるためである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係るオブジェクト配置決定支援システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1のオブジェクト配置決定支援システムの各部の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1に係る移動変化分生成部の構成例を示すブロック図である。
【図4】実施の形態に係る仮想空間とオブジェクトのデータの例を示す図である。
【図5】実施の形態に係る意見データの例を示す図である。
【図6】仮想空間とオブジェクトの表示例を示す図である。
【図7】仮想空間とオブジェクトの異なる表示例を示す図である。
【図8】一次元の場合の移動特性の変化の例を説明する図である。
【図9】二次元の場合の移動特性の変化の例を説明する図である。
【図10】実施の形態1に係るオブジェクト配置表示の動作の一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態2に係るオブジェクト配置決定支援システムの構成例を示すブロック図である。
【図12】移動結果を意見データとする場合を説明する図である。
【図13】グループ分け計画を仮想空間とする表示の例を示す図である。
【図14】実施の形態2に係るオブジェクト配置表示の動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】オブジェクト配置決定支援システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明で仮想空間とは、現実の空間または概念上の空間をコンピュータデータで表現したモデルである。現実の空間とは、人または物の配置のシミュレーションを行う対象となりうる空間であって、例えば、都市、建築物、事務室、作業場、倉庫、会議室、宴会場、舞台などがある。その場合、仮想空間はそれぞれ、人または物の配置のシミュレーションを行うためにコンピュータデータで表現したモデルである。
【0020】
概念上の空間は、概念の要素を1つまたは2つ以上の要因で識別して、視覚的に相互の関係を表すためにそれらの要素を配置する場である。例えば、事象生起予測図、要因分析図、PERT図(Program Evaluation and Review Technique chart)などがある。その場合、仮想空間はそれぞれ、概念の要素の配置をシミュレーションするために、それらの場をコンピュータデータで表現したモデルである。概念上の空間は典型的には、要因を座標軸とする座標系で表される。
【0021】
本発明でオブジェクトとは、現実の人もしくは物体、または概念上の要素をコンピュータデータで表現したモデルである。現実の空間に人または物を配置するシミュレーション、または概念上の空間に概念の要素を配置するシミュレーションは、仮想空間にオブジェクトを配置することによって表される。
【0022】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付す。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るオブジェクト配置決定支援システムの構成例を示すブロック図である。以下、オブジェクト配置決定支援システム1を配置支援システム1と略称する。配置支援システム1は、記憶部2、表示部3、意見データ集約部4および移動入力部5を備える。配置支援システム1は、オブジェクト入力部6を備える場合がある。
【0024】
記憶部2は、仮想空間およびオブジェクトを定義するデータと、オブジェクトの配置に関する意見データを記憶する。また、オブジェクトの仮想空間における位置のデータを記憶する。表示部3は、仮想空間とオブジェクトを視覚的に認識できる画面を表示する。移動入力部5は、オブジェクトの位置を移動させる指令を入力する。
【0025】
意見データ集約部4は、記憶部2の意見データを集約して、オブジェクトを画面上で移動させるときの移動特性を表すデータを、意見データで示されるオブジェクトの位置の方向に変化させる変化分を生成する。オブジェクトの移動特性を表すデータは、オブジェクトの移動速度、移動距離または移動位置を含む。
【0026】
オブジェクト入力部6は、仮想空間内のオブジェクトを定義するデータを入力する。また、仮想空間を定義するデータを入力する場合がある。仮想空間およびオブジェクトを定義するデータは、配置支援システム1とは別の装置で生成されて、通信を介して、または記憶媒体によって記憶部2に供給されてもよい。記憶部2、意見データ集約部4、表示部3および移動入力部5から構成される部分を狭義の配置支援システムである配置支援装置10と考えることができる。なお、オブジェクト入力部6は、オブジェクトの配置に関する意見データを入力する手段として用いることができる。
【0027】
図2は、図1のオブジェクト配置決定支援システムの各部の構成を示すブロック図である。記憶部2は、仮想空間・オブジェクト記憶部8と、意見データ記憶部9を含む。意見データ集約部4は、移動変化分生成部15、移動信号出力部14および移動信号変換部16を含む。表示部3は、仮想空間表示生成部11、オブジェクト表示生成部12および表示装置13を備える。移動入力部5は、移動操作装置18と移動検出センサ19から構成される。
【0028】
記憶部2の仮想空間・オブジェクト記憶部8は、仮想空間およびオブジェクトを定義するデータを記憶する。また、オブジェクトの仮想空間における位置のデータを記憶する。意見データ記憶部9は、オブジェクトの配置に関する意見を表すデータを記憶する。
【0029】
図4は、仮想空間とオブジェクトのデータの例を示す。図4の例では、仮想空間の名称は都市計画Pであり、その画像データがfile0に格納されている。仮想空間のデータには、仮想空間の範囲、その尺度、および範囲における原点の位置などが定義される。画像データはビットマップもしくはベクターデータの画像か、3次元のモデリングデータなどである。
【0030】
図4では、オブジェクトが3つ示されている。オブジェクト1は橋梁であり、それを表示する画像がfile1に格納され、属性が構造物であることが規定されている。オブジェクト2とオブジェクト3は、属性が建物であって、それぞれ名称がビルA、ビルBであり、表示する画像がfile2とfile3に格納されている。オブジェクトの画像データは、例えば、ビットマップまたはスケーラブルなベクターデータのアイコンや、3次元のモデリングデータで規定される。オブジェクトはそれぞれ、仮想空間内の位置を示すオブジェクトの基準点の座標が規定される。座標の値は、オブジェクトが定義されたときの初期値か、意見データを集計した結果の位置を示す値である。
【0031】
図5は、実施の形態に係る意見データの例を示す。意見データは、例えば、意見者ごとに、各オブジェクトの仮想空間における位置の座標を含む。意見データには、意見者ごとの重み付けを表すデータを含むこともできる。また、意見者の自由な記述である文字列、画像、または音声などを含めてもよい。
【0032】
図2の仮想空間表示生成部11は、仮想空間のデータから表示装置13に表示する画像を生成する。例えば、仮想空間の画像データがビットマップまたはベクターデータの場合、表示する画面に合わせて適宜拡大または縮小して表示する。画像データが3次元のモデリングデータで規定されている場合には、視点と視線方向を定めて、鳥瞰図または平面図などで表示する。
【0033】
オブジェクト表示生成部12は、オブジェクトを仮想空間に配置して、その画像を仮想空間の画像に重ねて表示装置13に表示する。すなわち、オブジェクトの画像を仮想空間の表示の拡大率に合わせて拡大して、その基準点がオブジェクトの仮想空間内位置になるように画像を重ねて表示する。
【0034】
移動入力部5の移動操作装置18は、例えば、マウス、キーパッド、タッチパネル、カーソルキーまたはジョイスティックなどを備え、画面上に表示されたオブジェクトを選択して、それを移動する指令を入力する。例えば、画面上に表示されたポインタを目的のオブジェクトの画像に重ねて、それをマウスなどでドラッグすることによって、移動の指令を入力する。移動検出センサ19は、オブジェクトを移動する操作から、オブジェクトを移動する方向と速度、移動する距離もしくは移動する位置の指令を検出する。
【0035】
意見データ集約部4の移動変化分生成部15は、記憶部の意見データをオブジェクトごとに集約して、そのオブジェクトを画面上で移動する場合の移動特性を意見データで示される位置の方向に変化させる変化分を生成する。オブジェクトを移動する場合の移動特性を表すデータは、オブジェクトを移動する速さと方向、移動する距離もしくは移動する位置などである。
【0036】
図3は、移動変化分生成部15の構成例を示す。移動変化分生成部15は、意見データ抽出部41と移動特性変化分演算部42を含む。意見データ抽出部41は、オブジェクトごとにその配置に関する意見データを抽出して、オブジェクトの仮想空間における位置を集約する。移動特性変化分演算部42は、集約されたオブジェクトの位置の方向に移動特性を変化させる変化分を生成する。
【0037】
意見データの集約には、各意見データで示されるオブジェクトの位置の重心を求める方法がある。意見データが2つ以上のクラスタに分類できる場合には、クラスタごとの重心としてもよい。その場合、クラスタごとの意見の数で重み付けすることができる。また、重心の算出には、意見者ごとの重み付けを加味した重み付け平均とすることができる。オブジェクトの位置が離散的な場合には、意見データの集約を、オブジェクトがとりうる位置ごとの意見の度数としてもよい。
【0038】
移動特性を表すデータの変化分は、意見データを集約した結果のオブジェクトの位置から遠ざかる向きに移動する場合には、速度を小さく、または移動距離を小さくする。意見データを集約したオブジェクトの位置に近づく方向に移動する場合には、速度を大きく、または移動距離を大きくする。移動する方向については、オブジェクトの表示位置から意見データを集約した位置の方向へのベクトルで、変化分を表すことができる。
【0039】
図2の移動信号出力部14は、移動検出センサ19で検出した移動指令のデータを、画面上のオブジェクトの移動特性データとして出力する。すなわち、画面上のオブジェクトを移動する方向と速さ、または移動する距離もしくは移動する位置を出力する。
【0040】
移動信号変換部16は、移動信号出力部14から出力された移動特性データを、移動変化分生成部15で生成した変化分で変化させて、オブジェクト表示生成部12に送る。オブジェクト表示生成部12は、変化分で変化した移動特性データに従って、オブジェクトの移動を表示する。その結果、多くの意見がある位置に近づく方向には、移動指令の速度よりも速くまたは移動指令の距離よりも長くオブジェクトが移動し、多くの意見がある位置から遠ざかる方向には、移動指令の速度よりも遅くまたは移動指令の距離よりも短くオブジェクトが移動するように表示される。
【0041】
図6は、事象生起年代の仮想空間とオブジェクトの表示例を示す図である。仮想空間内のオブジェクト配置の例として、図6のようにある事象の生起年代に関する予測を行う場合が挙げられる。幾つかの未来の事象が今後何年後に生起するかについて年表上に配置する場合に、実施の形態1の配置支援システム1を用いて、蓄積された予想意見を集約して事象オブジェクトの移動特性の変化として反映させることができる。例えば移動入力部5によって特定の事象オブジェクトを移動させようとした場合に、多くの賛同が得られている事象オブジェクトに関しては、移動が困難となるように表示させることができる。その結果、表示されている事象の配置を移動させようとする場合に、移動の容易度または困難度で、事象ごとにどの年代で生起すると予想する意見が多いかを実感として知ることができる。
【0042】
図7は、都市計画の仮想空間とオブジェクトの表示例を示す図である。計画上の都市空間を仮想空間とし、仮想の建物などをオブジェクトとした場合である。建物の配置を計画する場合に、配置支援システム1を用いて、蓄積された意見データを集約して、オブジェクトの移動特性のパラメーター変化として反映させることができる。例えば移動入力部5によって特定の建物のオブジェクトを移動させようとした場合に、多くの賛同が得られている位置のオブジェクトに関しては、移動速度が低下したり、移動距離が収縮したりと移動が困難となるように表示させることができる。その結果、表示されている建物の配置を移動させようとする場合に、移動の容易度または困難度で、建物ごとにどの場所に配置する意見が多いかを実感として知ることができる。
【0043】
図8は、オブジェクトの移動が一次元の場合の移動特性の変化の例を説明する図である。これは、図6の事象生起年代について、事象の実現可能性が一定であるとした場合に適用される。図8の例では、対象の事象の生起年代予想の意見の数が、2050年は5、2020年は10、2030年は20である。
【0044】
あるオブジェクトを移動させる場合に、そのオブジェクト位置に対する合意数(度数)を仮想深度と想定する。意見データ抽出部41は、オブジェクトが取り得る位置ごとの仮想深度を計算する。仮想深度の点を結ぶ線を重力場の斜面に見立てて、オブジェクトの位置と移動方向に応じてオブジェクトの移動速度を変化させる。例えば、斜面を登る方向に移動する場合は、斜面の角度の余弦を移動速度に乗じ、斜面を降る方向に移動する場合は、斜面の角度の余弦の逆数を移動速度に乗じて表示する。この移動速度の変化により、移動感度を通して他ユーザーの意見を実感することができる。
【0045】
例えば、図8の年代2030のように仮想深度が深い(賛成数が多い)位置からオブジェクトを移動させる場合、マウス移動から入力される速度V.moベクトルを、仮想深度の傾斜ベクトルを用いて変換する(斜面の角度の余弦を移動速度に乗じる)ことで、変換後のオブジェクト速度V.obj'を算出し、表示する。その結果、仮想深度の深い位置にあるオブジェクトを移動させるときは、オブジェクトが坂道を登るかのように移動速度が減少して表示される。逆に仮想深度が深い位置に移動する場合は、オブジェクトが斜面を下るかのように移動速度(V.mo)を増加して(斜面の角度の余弦の逆数を移動速度に乗じて)表示する(V.obj")ことができる。このような速度変化によって、ユーザーは移動の容易さや困難さを実感することができる。
【0046】
図8の方法は、仮想空間の表示画面では、入力された移動速度に比例して仮想深度の深い位置に向かう変化ベクトルを、入力された移動速度を表す速度ベクトルに加算したベクトルを表示速度ベクトルとしたものになっている。移動特性変化分演算部42は、この変化ベクトルを算出する。
【0047】
図9は、オブジェクトの移動が二次元の場合の移動特性の変化の例を説明する図である。これは、図7の建物の配置のような場合に適用される。図9の例では、オブジェクトの配置をx、yの座標の格子点ごとに賛成数(度数)を意見の集約として採用している。意見データ抽出部41は、格子点ごとの意見の度数を計算する。
【0048】
例えば、あるオブジェクトの位置からみて、その位置の賛成数よりも賛成数の多い位置に向かい、賛成数の差に比例する大きさのベクトルを考える。それらのベクトルを合成して変化ベクトルとする。表示されたオブジェクトの位置から移動する指令は、速度ベクトルまたは変位ベクトルで表される。速度ベクトルまたは変位ベクトルに、変化ベクトルを加算したベクトルを表示する速度ベクトルまたは変位ベクトルとして、オブジェクトの移動を表示する。
【0049】
図9の例では、変化ベクトルがopinionで与えられる。移動特性変化分演算部42は、この変化ベクトルを算出する。入力された移動速度V.objベクトルに変化ベクトルopinionを加算して、表示する速度ベクトルV.obj'を得る。図9に示すように、オブジェクトを二次元表面上で移動させる場合も、賛成数を仮想深度として変化ベクトルを算出し、移動速度または移動変位に加えることで、賛成数の多い方向に引きずられるようなオブジェクトの移動を表示できる。
【0050】
オブジェクト配置の決定に参加するユーザーは、オブジェクトの移動を通して、他の参加者の意見を実感することができる。その実感に基づいて、オブジェクトの配置に関する意見データを(例えば、オブジェクト入力部6から)入力することによって、参加者の意見を参照したインタラクティブな合意形成的配置を支援/誘導することができる。
【0051】
オブジェクトの移動を表示するのに、オブジェクトを移動する指令の速度および位置を表示する画像と、実際に移動するオブジェクトの画像を分けてもよい。例えば、移動する指令に追随する画像をオブジェクトの画像より薄い半透明な画像にして、指令の入力では薄い画像を移動し、そののちまたは移動の指令と同時に、オブジェクトの画像を移動するように表示することができる。
【0052】
図10は、実施の形態1に係るオブジェクト配置表示の動作の一例を示すフローチャートである。オブジェクト入力部6で、仮想空間と新規オブジェクトの入力または既存オブジェクトを選択するユーザーの入力を受け付ける(ステップS11)。表示部3は、ユーザーからの提示要求により、仮想空間とその空間内でのオブジェクトの配置を決定して、表示する画像データを生成する(ステップS12)。このときに、意見データ集約部4は、意見データを集約してオブジェクトの位置を決定しておく(ステップS12)。そして、表示装置13に仮想空間とオブジェクトの配置の画像を表示する(ステップS13)。
【0053】
その状態で、オブジェクトを移動する入力を受け付ける(ステップS14)。表示しているいずれかのオブジェクトを移動する指令が入力された場合(ステップS15;YES)、移動変化分生成部15はそのオブジェクトについて変化ベクトルを生成し、移動信号変換部16で移動特性を変換して、オブジェクトの移動を表示する(ステップS16)。
【0054】
オブジェクトを移動する指令が入力されなければ(ステップS15;NO)、オブジェクトの移動表示を行わない。仮想空間のオブジェクト配置表示を終了しない場合は(ステップS17;NO)、表示データ生成(ステップS12)に戻ってオブジェクトの移動表示を繰り返す。表示の終了が選択された場合は(ステップS17;YES)、オブジェクト配置表示を終了する。
【0055】
以上説明したように、実施の形態1のオブジェクト配置決定支援システムによれば、表示されているオブジェクトの配置を移動させようとする場合に、移動の容易度または困難度で、オブジェクトごとにどの場所に配置する意見が多いかを実感として知ることができる。そして、参加者の意見を参照しながらインタラクティブに合意形成的配置を支援/誘導することができる。
【0056】
なお図1および図2では、表示部3および移動入力部5が意見データ集約部4と同じ装置にあるように記載しているが、表示装置13および移動入力部5が意見データ集約部4とは異なる端末にあって、通信ネットワークを介して接続する形態とすることができる。表示装置13および移動入力部5を備える複数の端末を、オブジェクト配置決定支援システムに接続することができる。
【0057】
(実施の形態2)
図11は、本発明の実施の形態2に係るオブジェクト配置支援システムの構成例を示すブロック図である。実施の形態2の配置支援システムは、実施の形態1の構成に意見データ入力部7と意見データ生成部17を加えた構成になっている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0058】
実施の形態2の配置支援システムは、移動入力部5で入力したオブジェクトの移動指令の結果の位置を、そのユーザーのオブジェクト配置に関する意見データとして生成する。また、意見データ入力部7から或るオブジェクトに対する意見がユーザーに明示的に入力され、意見データ生成部17を通してその入力意見を収集し、意見データ記憶部9に新たに蓄積される。
【0059】
オブジェクトの移動結果の位置は、意見データ生成部17で意見データとして生成される。意見データ生成部17は生成したオブジェクトの位置のデータをそのユーザーの配置意見として意見データ記憶部9に記憶する。そして、移動変化分生成部15は、新たに記憶した意見データを含めて意見データを集約し、オブジェクトの位置を決定する。そして、移動信号変換部16は、移動変化分生成部15で決定した新たな位置を仮想空間・オブジェクト記憶部8に記憶する。こうしてオブジェクトデータが更新される。
【0060】
また、意見データ入力部7からは、あるオブジェクトの配置に関する意見データがユーザーに明示的に入力される。意見データ生成部17は、その意見データをを収集し、意見データ記憶部9に新たに記憶する。新たな意見データが記憶されたのちは、オブジェクトの移動結果の位置から意見データを生成した場合と同様に、オブジェクトの位置を決定し、オブジェクトデータを更新する。
【0061】
図12は、オブジェクトの移動結果を意見データとする場合を説明する図である。図12は、図7の都市計画を例にしている。図12では、ユーザーA,B,Cは1つのオブジェクトを同じ位置に移動させている。図12に示すように、各ユーザーにおけるオブジェクトデータ移動の最終位置もそのユーザーの配置意見としてデータ蓄積装置にデータが保存される。その後、ユーザーDが表示されたそのオブジェクトを移動しようとすると、いずれの方向にも移動させることが困難になるように、移動特性を設定して表示する(図12)。このように、複数のユーザーの操作で移動位置、すなわち位置の意見データが一致した場合には、そのオブジェクトの移動が困難になるように移動特性を変化させることができる。同様の意見データ収集は仮想都市計画だけではなく、仮想部屋空間内での家具オブジェクトのレイアウトに対する配置の場合にも採用できる。
【0062】
図13は、意見データを明示的に入力する場合の例を示す。図13は、グループ分け計画を仮想空間とする表示の例である。図13に示すように、複数のグループ間での人員配置をインタラクティブに行う場合に、例えば、人員配置に関しての賛否意見をアンケート方式の入力部分Iや自由記入部分Fでオブジェクトの配置に関する意見を入力する。意見データ入力部7は、送信ボタンEが押された(マウスボタンでクリックされた)ことにより、意見データを入力する。このようにして、意見データ記憶部9に意見データを蓄積することができる。また、移動入力部5で入力したオブジェクト移動Mによって移動された最終位置も、そのユーザーのオブジェクトの配置に関する意見データとして意見データ記憶部9に蓄積される。
【0063】
それら蓄積された意見データを対象となる人オブジェクトの移動特性のパラメーター変化として反映させることで、例えば移動入力部5によって特定の人オブジェクトを移動させようとした場合に、多くの賛同が得られている人オブジェクトに関しては、移動速度が低下したり、移動距離が収縮したりと移動が困難となるようにグループ分け(仮想空間)と人(オブジェクト)を表示することができる。
【0064】
図14は、実施の形態2に係るオブジェクト配置表示の動作の一例を示すフローチャートである。図14の動作では、オブジェクト入力(ステップS11)からオブジェクト移動入力(ステップS14)までは図10の実施の形態1の動作と同じである。
【0065】
表示しているいずれかのオブジェクトを移動する指令が入力された場合(ステップS15;YES)、移動変化分生成部15はそのオブジェクトについて変化ベクトルを生成し、移動信号変換部16で移動特性を変換して、オブジェクトの移動を表示する(ステップS16)。さらに、意見データ生成部17は、オブジェクトを移動した結果の位置を、そのユーザーの意見データとして生成する。そして、生成した意見データを意見データ記憶部9に記憶する(ステップS21)。
【0066】
オブジェクトを移動する指令が入力されなければ(ステップS15;NO)、オブジェクトの移動表示および意見データ抽出を行わない。仮想空間のオブジェクト配置表示を終了しない場合は(ステップS17;NO)、表示データ生成(ステップS12)に戻ってオブジェクトの移動表示を繰り返す。表示の終了が選択された場合は(ステップS17;YES)、オブジェクト配置表示を終了する。
【0067】
オブジェクトの移動表示を繰り返す場合、意見データ集約部4は、新たに記憶された意見データを含めて、意見データを集約してオブジェクトの位置を決定する。そして、表示装置13に仮想空間とオブジェクトの配置の画像を表示する。
【0068】
実施の形態2に係る配置支援システムは、以上のように構成されているので、仮想空間でのオブジェクト配置において、様々な方法で収集・蓄積された配置に関する参加者の意見を、オブジェクトの移動特性パラメーターにフィードバックさせて呈示することにより、参加者の意見を参照しながらインタラクティブな合意形成的配置を支援/誘導することができる。
【0069】
図15は、図2または11に示す配置支援システム1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。配置支援システム1は、図15に示すように、制御部21、主記憶部22、外部記憶部23、操作部24、表示部25、入出力部26および送受信部27を備える。主記憶部22、外部記憶部23、操作部24、表示部25、入出力部26および送受信部27はいずれも内部バス20を介して制御部21に接続されている。
【0070】
制御部21はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部23に記憶されている制御プログラム30に従って、配置支援システム1の表示部3、移動入力部5、意見データ集約部4および意見データ入力部7の各処理を実行する。
【0071】
主記憶部22はRAM(Random-Access Memory)等から構成され、外部記憶部23に記憶されている制御プログラム30をロードし、制御部21の作業領域として用いられる。
【0072】
外部記憶部23は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、配置支援システム1の処理を制御部21に行わせるためのプログラムを予め記憶し、また、制御部21の指示に従って、このプログラムが記憶するデータを制御部21に供給し、制御部21から供給されたデータを記憶する。配置支援システム1の仮想空間・オブジェクト記憶部8および意見データ記憶部9は、外部記憶部23に構成される。仮想空間・オブジェクト記憶部8は、外部のサーバに記憶される場合がある。
【0073】
操作部24はキーボードおよびマウスなどのポインティングデバイス等と、キーボードおよびポインティングデバイス等を内部バス20に接続するインターフェース装置から構成されている。操作部24を介して、表示されたオブジェクトを移動する指令および意見データなどが入力され、制御部21に供給される。
【0074】
表示部25は、CRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、仮想空間およびオブジェクトの画像や、意見データ入力画面などを表示する。
【0075】
入出力部26は、シリアルインタフェースまたはパラレルインタフェースから構成されている。入出力部26は、オブジェクト入力部6が記憶媒体のドライブの場合は、それと接続する。
【0076】
送受信部27は、ネットワークに接続する網終端装置または無線通信装置、およびそれらと接続するシリアルインタフェースまたはLAN(Local Area Network)インタフェースから構成されている。表示装置13および操作部が意見データ集約部4とは別の端末に含まれる構成では、端末(図示せず)は、送受信部27を介して接続される。送受信部27は、ネットワークを介して、端末に仮想空間表示とオブジェクト表示のデータを送信し、また、オブジェクトを移動する指令を受信する。仮想空間・オブジェクト記憶部8が外部のサーバに構成される場合は、送受信部27を介して、仮想空間・オブジェクト記憶部8に接続する。
【0077】
図2または11に示す配置支援システム1の意見データ集約部4、表示部3、移動入力部5および意見データ入力部7、さらには、オブジェクト入力部6の処理は、制御プログラム30が、制御部21、主記憶部22、外部記憶部23、操作部24、表示部25、入出力部26および送受信部27などを資源として用いて処理することによって実行する。
【0078】
その他、本発明の好適な変形として、以下の構成が含まれる。
【0079】
本発明の第1の観点に係るオブジェクト配置決定支援システムについて、
好ましくは、前記意見データ集約手段は、前記移動特性を表すデータの変化分として、前記オブジェクトを前記画面上で移動する速度を、前記意見データで示される前記オブジェクトの位置の方向に変化させる変化ベクトルを生成し、
前記移動表示手段は、前記オブジェクトの前記画面上での前記位置を移動する指令に対応する移動を表す速度ベクトルに、前記意見データ集約手段で生成された前記変化ベクトルを加算した表示速度ベクトルに基づいて、前記オブジェクトの移動を前記画面に表示する。
【0080】
好ましくは、前記オブジェクトを前記仮想空間に設定するデータを入力する、オブジェクト入力手段を備える。
【0081】
好ましくは、前記意見取得手段は、前記画面上で前記オブジェクトの位置を設定するデータを入力する手段を含み、
前記意見データは、前記意見取得手段で設定された前記オブジェクトの位置のデータを含む、
ことを特徴とする。
【0082】
好ましくは、前記意見データ集約手段は、前記オブジェクトごとの前記意見データの数に比例して、前記移動特性を表すデータの変化分を生成する。
【0083】
本発明の第2の観点に係るオブジェクト配置決定支援方法について、
好ましくは、前記意見データ集約ステップは、前記移動特性を表すデータの変化分として、前記オブジェクトを前記画面上で移動する速度を、前記意見データで示される前記オブジェクトの位置の方向に変化させる変化ベクトルを生成し、
前記移動表示ステップは、前記オブジェクトの前記画面上での前記位置を移動する指令に対応する移動を表す速度ベクトルに、前記意見データ集約手段で生成された前記変化ベクトルを加算した表示速度ベクトルに基づいて、前記オブジェクトの移動を前記画面に表示する。
【0084】
好ましくは、前記オブジェクトを前記仮想空間に設定するデータを入力する、オブジェクト入力ステップを備えることを特徴とする。
【0085】
好ましくは、前記意見取得ステップは、前記画面上で前記オブジェクトの位置を設定するデータを入力し、
前記意見データは、前記意見取得ステップで設定された前記オブジェクトの位置のデータを含む、
ことを特徴とする。
【0086】
好ましくは、前記意見データ集約ステップは、前記オブジェクトごとの前記意見データの数に比例して、前記移動特性を表すデータの変化分を生成することを特徴とする。
【0087】
その他、前記のハードウエア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0088】
記憶部2、表示部3、意見データ集約部4および移動入力部5等から構成されるオブジェクト配置決定支援を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読みとり可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する活動データ提示装置を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで配置支援システム1を構成してもよい。
【0089】
また、配置支援システム1を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合等には、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0090】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 オブジェクト配置決定支援システム(配置支援システム)
2 記憶部
3 表示部
4 意見データ集約部
5 移動入力部
6 オブジェクト入力部
7 意見データ入力部
8 仮想空間・オブジェクト記憶部
9 意見データ記憶部
10 配置支援装置
11 仮想空間表示生成部
12 オブジェクト表示生成部
13 表示装置
14 移動信号出力部
15 移動変化分生成部
16 移動信号変換部
17 意見データ生成部
18 移動操作装置
19 移動検出センサ
21 制御部
22 主記憶部
23 外部記憶部
24 操作部
25 表示部
26 入出力部
27 送受信部
30 制御プログラム
41 意見データ抽出部
42 移動特性変化分演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間におけるオブジェクトの配置を画面に表示する表示手段と、
前記オブジェクトの前記仮想空間における配置に関する意見を表すデータである意見データを取得する意見取得手段と、
前記意見取得手段で取得した意見データを前記オブジェクトごとに集約して、そのオブジェクトの前記画面上での移動速度、移動距離もしくは移動位置を含む移動特性を表すデータを、前記意見データで示される前記オブジェクトの位置の方向に変化させる変化分を生成する意見データ集約手段と、
前記オブジェクトの位置を前記画面上で移動する指令を入力する移動入力手段と、
前記移動入力手段で前記オブジェクトの位置を移動する指令を入力した場合に、そのオブジェクトの前記画面上での前記位置を移動する指令に対応する移動の状態を、前記意見データ集約手段で生成された変化分に基づいて変化させて、前記オブジェクトの移動を前記画面に表示する移動表示手段と、
を備えることを特徴とするオブジェクト配置決定支援システム。
【請求項2】
前記意見データ集約手段は、前記移動特性を表すデータの変化分として、前記オブジェクトを前記画面上で移動する速度を、前記意見データで示される前記オブジェクトの位置の方向に変化させる変化ベクトルを生成し、
前記移動表示手段は、前記オブジェクトの前記画面上での前記位置を移動する指令に対応する移動を表す速度ベクトルに、前記意見データ集約手段で生成された前記変化ベクトルを加算した表示速度ベクトルに基づいて、前記オブジェクトの移動を前記画面に表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載のオブジェクト配置決定支援システム。
【請求項3】
前記オブジェクトを前記仮想空間に設定するデータを入力する、オブジェクト入力手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のオブジェクト配置決定支援システム。
【請求項4】
前記意見取得手段は、前記画面上で前記オブジェクトの位置を設定するデータを入力する手段を含み、
前記意見データは、前記意見取得手段で設定された前記オブジェクトの位置のデータを含む、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のオブジェクト配置決定支援システム。
【請求項5】
前記意見データ集約手段は、前記オブジェクトごとの前記意見データの数に比例して、前記移動特性を表すデータの変化分を生成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のオブジェクト配置決定支援システム。
【請求項6】
仮想空間におけるオブジェクトの配置を画面に表示する表示ステップと、
前記オブジェクトの前記仮想空間における配置に関する意見を表すデータである意見データを取得する意見取得ステップと、
前記意見取得ステップで取得した意見データをオブジェクトごとに集約して、そのオブジェクトの前記画面上での移動速度、移動距離もしくは移動位置を含む移動特性を表すデータを、前記意見データで示される前記オブジェクトの位置の方向に変化させる変化分を生成する意見データ集約ステップと、
前記オブジェクトの位置を前記画面上で移動する指令を入力する移動入力ステップと、
前記移動入力ステップで前記オブジェクトの位置を移動する指令を入力した場合に、そのオブジェクトの前記画面上での前記位置を移動する指令に対応する移動の状態を、前記意見データ集約手段で生成された前記移動特性を表すデータの変化分に基づいて変化させて、前記オブジェクトの移動を前記画面に表示する移動表示ステップと、
を備えることを特徴とするオブジェクト配置決定支援方法。
【請求項7】
前記意見データ集約ステップは、前記移動特性を表すデータの変化分として、前記オブジェクトを前記画面上で移動する速度を、前記意見データで示される前記オブジェクトの位置の方向に変化させる変化ベクトルを生成し、
前記移動表示ステップは、前記オブジェクトの前記画面上での前記位置を移動する指令に対応する移動を表す速度ベクトルに、前記意見データ集約手段で生成された前記変化ベクトルを加算した表示速度ベクトルに基づいて、前記オブジェクトの移動を前記画面に表示する、
ことを特徴とする請求項6に記載のオブジェクト配置決定支援方法。
【請求項8】
前記オブジェクトを前記仮想空間に設定するデータ令を入力する、オブジェクト入力ステップを備えることを特徴とする請求項6または7に記載のオブジェクト配置決定支援方法。
【請求項9】
前記意見取得ステップは、前記画面上で前記オブジェクトの位置を設定するデータを入力し、
前記意見データは、前記意見取得ステップで設定された前記オブジェクトの位置のデータを含む、
ことを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載のオブジェクト配置決定支援方法。
【請求項10】
前記意見データ集約ステップは、前記オブジェクトごとの前記意見データの数に比例して、前記移動特性を表すデータの変化分を生成することを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1項に記載のオブジェクト配置決定支援方法。
【請求項11】
コンピュータに
仮想空間におけるオブジェクトの配置を画面に表示する表示ステップと、
前記オブジェクトの前記仮想空間における配置に関する意見を表すデータである意見データを取得する意見取得ステップと、
前記意見取得ステップで取得した意見データをオブジェクトごとに集約して、そのオブジェクトの前記画面上での移動速度、移動距離もしくは移動位置を含む移動特性を表すデータを、前記意見データで示される前記オブジェクトの位置の方向に変化させる変化分を生成する意見データ集約ステップと、
前記オブジェクトの位置を前記画面上で移動する指令を入力する移動入力ステップと、
前記移動入力ステップで前記オブジェクトの位置を移動する指令を入力した場合に、そのオブジェクトの前記画面上での前記位置を移動する指令に対応する移動の状態を、前記意見データ集約手段で生成された前記移動特性を表すデータの変化分に基づいて変化させて、前記オブジェクトの移動を前記画面に表示する移動表示ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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