説明

オプトエレクトロニクス半導体チップ、オプトエレクトロニクスモジュールおよびオプトエレクトロニクス半導体チップの製造方法

【課題】効率が改善されたオプトエレクトロニクス半導体チップを提供する。
【解決手段】半導体チップの成長方向において、以下の順序で複数の領域を有する、すなわち、アクティブ領域に対するpドープされたバリア層と、電磁放射の生成に適しており、六方晶系の化合物半導体をベースとするアクティブ領域と、アクティブ領域に対するnドープされたバリア層とを有し、前記アクティブ領域は放射生成のために設けられている量子井戸構造を含み、成長方向において、前記放射生成のために設けられている量子井戸構造の前段には、放射生成のためには設けられていない少なくとも1つの量子井戸構造が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオプトエレクトロニクス半導体チップ、オプトエレクトロニクスモジュールおよびオプトエレクトロニクス半導体チップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはオプトエレクトロニクス半導体チップが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US 2003/0085409A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、効率が改善されたオプトエレクトロニクス半導体チップ、オプトエレクトロニクスモジュールおよびオプトエレクトロニクス半導体チップの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
オプトエレクトロニクス半導体チップに関する課題は、半導体チップの成長方向において、以下の順序で複数の領域を有する、すなわち、アクティブ領域に対するpドープされたバリア層と、電磁放射の生成に適しており、六方晶系の化合物半導体をベースとするアクティブ領域と、アクティブ領域に対するnドープされたバリア層とを有し、前記アクティブ領域は放射生成のために設けられている量子井戸構造を含み、成長方向において、前記放射生成のために設けられている量子井戸構造の前段には、放射生成のためには設けられていない少なくとも1つの量子井戸構造が配置されていることによって解決される。
【0006】
オプトエレクトロニクスモジュールに関する課題は、上記のようなオプトエレクトロニクス半導体チップを有し、前記オプトエレクトロニクス半導体チップと電気的に接触可能な端子を備えていることによって解決される。
【0007】
オプトエレクトロニクス半導体チップの製造方法に関する課題は、以下の領域、すなわち、半導体チップのアクティブ領域に対するpドープされたバリア層、電磁放射の生成に適しており、六方晶系の化合物半導体をベースとするアクティブ領域、アクティブ領域に対するnドープされたバリア層(3)を上記の順序でウェハ上に析出することによって解決される。
【0008】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体チップはこの半導体チップのアクティブ領域に対するpドープされたバリア層を有し、このバリア層は成長方向においてアクティブ領域の前段に配置されている。すなわち、半導体チップの成長基板から見て、先ずアクティブ領域に対するpドープされたバリア層が現われ、次にアクティブ領域が続く。したがってpドープされたバリア層(閉じ込め層)はアクティブ領域よりも空間的に成長基板の近傍に配置されている。pドープされたバリア層は有利には、アクティブ領域に対するp導電型のバリア層である。pドープされたバリア層はpドープされた材料からなる複数の単層を含むことができる。
【0009】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、成長方向においてpドープされたバリア層の後段には半導体チップのアクティブ層が配置されている。有利にはアクティブ領域は放射の生成に適している。すなわち、電流が半導体チップに供給されると、アクティブ領域においてはキャリアの再結合により電磁放射が生成され、この電磁放射の少なくとも一部が半導体チップから放出される。アクティブ領域は有利には一連の層によって実現されている。
【0010】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、アクティブ領域は六方晶系の化合物半導体をベースとする。
【0011】
このことは本発明に関連して、アクティブ領域またはこのアクティブ領域の少なくとも1つの層が六方晶系の化合物半導体を含むことを意味している。すなわち、少なくともアクティブ領域は六方晶系の超格子構造を有する。例えば全てのオプトエレクトロニクス半導体チップは六方晶系の化合物半導体をベースとする。すなわち、半導体チップの半導体材料は六方晶系の超格子構造を有する。
【0012】
六方晶系の化合物半導体は例えば、化学元素周期表のII主族の元素とVI主族の元素との二元、三元および/または四元の化合物からなる半導体構造体である。例えば以下の化合物が考えられる:ZnO,ZnMgO,CdS,ZnCdS,MgBeO。さらに六方晶系の化合物半導体は、III主族の元素と窒化物との二元、三元および/または四元の化合物からなる半導体構造体である。例えば、以下の半導体構造のうちの1つが考えられる:BN,AlGaN,GaN,AlGaInNまたは別のIII−V族化合物。
【0013】
アクティブ領域における化合物半導体材料は必ずしも上述の式のうちのいずれか1つによる数学的に正確な組成を有していなくてもよい。むしろこの材料は、その特徴的な物理特性を実質的に変化させない1つまたは複数のドーパントならびに付加的な成分を含有することができる。しかしながら分かり易くするために、僅かな量の他の材料によって部分的に置換されている可能性があるにしても、上述の式には結晶格子の主要な構成成分のみが含まれている。
【0014】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、成長方向においてアクティブ領域の後段にはこのアクティブ層のnドープされたバリア層が配置されている。すなわち、成長方向においてアクティブ領域にはnドープされたバリア層が続く。したがってnドープされたバリア層はアクティブ領域よりも空間的に成長基板から離れて配置されている。有利には、nドープされたバリア層はnドープされた材料からなる複数の単層を含む。nドープされたバリア層はアクティブ領域に対するバリア層を表す。
【0015】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、半導体チップは成長方向において複数の領域を以下の順序で有する。アクティブ領域に対するpドープされたバリア層、電磁放射の生成に適しており、且つ六方晶系の化合物半導体をベースとするアクティブ領域、およびアクティブ領域に対するnドープされたバリア層である。すなわち成長方向において、アクティブ領域に対するp導電型のバリア層の後段にはアクティブ領域が配置されており、このアクティブ領域の後段にはやはりアクティブ領域に対するn導電型のバリア層が配置されている。p導電型のバリア層とn導電型のバリア層はアクティブ領域におけるキャリアを制限する。有利には、成長方向は半導体チップの結晶学的なc軸に平行である。
【0016】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、アクティブ領域はIII−V族半導体材料系InyGa1-x-yAlxN、但し0≦x≦1、0≦y≦1且つx+y≦1、をベースとする。
【0017】
このことは本発明との関連において、アクティブ領域またはこのアクティブ領域の少なくとも1つの層が窒化物−III/V族化合物半導体材料、有利にはInyGa1-x-yAlxN、但し0≦x≦1、0≦y≦1且つx+y≦1、を含むことを意味している。その際、この材料は必ずしも上述の式に従った数学的に正確な組成を有していなくてもよい。むしろこの材料は、InyGa1-x-yAlxN材料の特徴的な物理特性を実質的に変化させない1つまたは複数のドーパントならびに付加的な成分を含有することができる。しかしながら分かり易くするために、僅かな量の他の材料によって部分的に置換されている可能性があるにしても、上述の式には結晶格子、例えばAl,Ga,In,Nの主要な構成要素のみが含まれている。
【0018】
有利には、アクティブ領域は半導体チップの動作時に以下のスペクトル領域のうちの1つの電磁放射の生成に適している:紫外線、青、青緑、黄または赤。例えば、放出波長をインジウム濃度により調整することができる。有利には、アクティブ領域はIII−V族半導体材料系InyGa1-yN、但し0<y≦1、をベースとする。
【0019】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、半導体チップは成長方向において複数の領域を以下の順序で有する。アクティブ領域に対するpドープされたバリア層、電磁放射の生成に適しており、且つIII−V族半導体材料系InyGa1-x-yAlxN、但し0≦x≦1、0≦y≦1且つx+y≦1、をベースとするアクティブ領域、およびアクティブ領域に対するnドープされたバリア層である。すなわち成長方向において、アクティブ領域に対するp導電型のバリア層の後段にはアクティブ領域が配置されており、このアクティブ領域の後段にはやはりアクティブ領域に対するn導電型のバリア層が配置されている。p導電型のバリア層とn導電型のバリア層はアクティブ領域におけるキャリアを制限する。半導体チップは有利にはGa面(Ga-face)成長モードで成長されている。成長方向は結晶学的なc軸に平行である。
【0020】
オプトエレクトロニクス半導体チップはことに以下の認識を利用する。六方晶系の化合物半導体、例えばIII−V族半導体材料系InyGa1-x-yAlxN、但し0≦x≦1、0≦y≦1且つx+y≦1、をベースとする半導体チップでは、例えばInGaN量子箱を含むことができるアクティブ領域において、極性のウルツ鉱結晶構造およびアクティブ領域内の応力に基づき圧電フィールドが生じる。これらの圧電フィールドは成長方向に沿って配向されている。これらのフィールドの極性は半導体チップが成長される成長モードに依存する。例えば、有機金属気相エピタキシ(MOVPE)が使用される場合には、有利にはGa面成長モードで成長される。例えばこのことはGaN結晶に関して、結晶を形成するGaN二重層では結晶の成長基板側とは反対側の表面の方向にガリウム原子があることを意味している。成長方向が結晶学的なc軸に並行に延びるGa面成長モードで成長された結晶においては、結晶学的なc軸および電界は基板から結晶表面に向かって示される。アクティブ領域における応力に起因する圧電フィールドの極性は反対の方向を有する。極性によって誘導される格子電荷はアクティブ領域結晶表面と対向する側においては負であり、アクティブ領域の基板の切断面および成長された結晶に対向する側においては正である。c軸の方向における圧電フィールドの極性はGa面成長モードでは僅かにしか影響を受けない。
【0021】
成長方向、すなわち結晶学的なc軸に平行な方向においてn導電型のバリア層、アクティブ領域、p導電型のバリア層が連続して続く、アクティブ領域についての層の順序では、圧電フィールドにより不利なバリア構造が生じ、このバリア構造はアクティブ領域へのキャリア注入を弱める。この制限によって、その種のオプトエレクトロニクス半導体チップは、半導体チップ内に供給される電流密度と共に大幅に低下する内部量子効率を有する。本発明において提案される成長方向におけるpドープされたバリア層、アクティブ領域、nドープされたバリア層の順序は、アクティブ領域におけるキャリアの閉じ込めを支援するために圧電フィールドのこの極性を利用する。すなわち圧電フィールドは層構造のこの順序において、アクティブ領域におけるキャリアの改善された閉じ込めに寄与する。内部量子効率はこれによってほぼ電流密度に依存しなくなる。
【0022】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、pドープされたバリア層とアクティブ領域との間に拡散バリアが配置されている。拡散バリアは、バリア層からアクティブ領域へのpドーパントの侵入を阻止することに適している。すなわち、極僅かな量のpドーパントしか拡散バリアを通過してpドープされたバリア層からアクティブ領域に達しない。拡散バリアは成長方向においてpドープされたバリア層の後段に配置されており、またアクティブ領域の前段に配置されている。拡散バリアを直接的にpドープされたバリア層とアクティブ領域との間に配置することができる。すなわち、拡散バリアはオプトエレクトロニクス半導体チップの2つの領域とのそれぞれ1つの境界面を有する。拡散バリアは有利には複数の層を含み、これらの層は組成、例えばドーパントまたはドーパント濃度が異なる。有利にはバリア層は、pドーパントの拡散、例えばマグネシウムの拡散を阻止することに適している。
【0023】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、成長方向においてp型のバリア層の前段にはトンネルコンタクトが配置されている。このトンネルコンタクトはpドープされたバリア層よりもオプトエレクトロニクス半導体チップの成長基板の近くに配置されている。有利には、トンネルコンタクトは直接的にpドープされたバリア層に接している。すなわちトンネルコンタクトはこのバリア層との境界面を有する。
【0024】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、トンネルコンタクトは高nドープされた領域を有し、この高nドープされた領域はpドープされたバリア層側とは反対側にある。さらにトンネルコンタクトは高pドープされた領域を有し、この高pドープされた領域はpドープされたバリア層と対向している。さらに有利には、トンネルコンタクトはこのトンネルコンタクトの2つの領域の間に拡散バリアを有する。拡散バリアは有利には、トンネルコンタクトのnドープされた領域へのpドーパントの拡散を少なくとも阻止または防止することに適している。
【0025】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、成長方向においてトンネルコンタクトの前段には半導体チップのn導電型の領域が配置されている。すなわち、n導電型の領域はトンネルコンタクトよりも成長基板の近くに設けられている。有利にはn導電型の領域は直接的にトンネルコンタクトに接している。殊に有利にはn導電型の領域はトンネルコンタクトとの境界面を有する。この場合、トンネルコンタクトはn導電型の領域をpドープされたバリア層に接続する。トンネルコンタクトはキャリアをpドープされたバリア層に供給するために使用される。
【0026】
オプトエレクトロニクス半導体チップは殊に、n導電型の領域とpドープされたバリア層との間におけるトンネルコンタクトを用いることにより、n導電型の成長基板をオプトエレクトロニクス半導体チップを成長させるために使用することができるという着想を利用する。このことは、良好な導電性のn導電型の領域において電流輸送を十分に行うことができるという利点を有する。電流はトンネルコンタクトを介して、n導電型の領域に比べて比較的薄いp導電型のバリア層に供給される。
【0027】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体チップはp導電型の基板上に成長されている。チップの半導体層は有利にはGa面成長モードで基板上に成長されている。この実施形態においては、n導電型の領域ならびにトンネルコンタクトを省略することができる。p導電型の基板として例えば以下の基板のうちの1つを使用することができる:pドープされた窒化ガリウム、p−炭化ケイ素、p−Si(111)。
【0028】
p導電型の基板を層列の成長後に薄くすることもできる。すなわち、殊にアクティブ領域を含む半導体構造の成長後には、p導電型の基板の厚さを低減することができるか、p導電型の基板が完全に除去される。すなわちオプトエレクトロニクス半導体チップは薄くされた基板を有するか、基板を有していない。
【0029】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、アクティブ領域は少なくとも1つの量子井戸構造を含む。量子井戸構造は多重量子井戸構造または、殊に有利には単一量子井戸構造である。量子井戸構造におけるキャリアの量子化を行うことができるが、これは必ずしも必要とはされない。
【0030】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、アクティブ領域は放射のために設けられている単一量子井戸構造を1つだけ含む。すなわち、アクティブ領域はちょうど1つの単一量子井戸構造を有し、この単一量子井戸構造においては半導体チップの動作時に電磁放射が生成される。
【0031】
少なくとも1つの実施形態によれば、放射生成のために設けられている単一量子井戸構造の前段には、放射生成のためには設けられていない少なくとも1つの量子井戸構造が配置されている。すなわち、光学的に不活性の量子井戸構造(プレウェル;pre-well)は光学的に活性の量子井戸構造よりも空間的に成長基板の近くに配置されている。
【0032】
有利には、成長方向において光学的に活性な量子井戸構造の前段には光学的に不活性な複数の量子井戸構造が配置されている。例えば、成長方向において光学的に活性な量子井戸構造の前段には3〜5つの光学的に不活性な量子井戸構造が配置されている。光学的に不活性な量子井戸構造は有利には、光学的に活性な量子井戸構造よりもインジウムの含有量が少ない量子井戸構造である。光学的に不活性な量子井戸構造は半導体チップの動作時に電磁放射を生成しない、もしくは殆ど生成しない。これらの光学的に不活性な量子井戸構造を光学的に活性な量子井戸構造のための超格子として構成することができる。
【0033】
前述のオプトエレクトロニクス半導体チップは殊に、前述の光学的に不活性なプレウェルが光学的に活性な量子井戸構造の品質を改善するという知識を利用する。何故ならば、例えば電圧を要せずに成長させることができるからである。さらには、前述のプレウェル構造はpドープされたバリア層からのpドーパントに関する拡散バリアとして使用される。したがって有利には、プレウェルはpドープされたバリア層と光学的に活性な量子井戸構造との間に配置されている。
【0034】
少なくとも1つの実施形態によれば、p型にドープされたバリア層とアクティブ領域との間に拡散バリアが配置されており、この拡散バリアは例えばIII−V族半導体材料系AlxGa1-xNからなる材料を含有する。有利には、アルミニウム濃度は少なくとも20%である。その種の拡散バリアをまた上述のプレウェルに択一的に、pドープされたバリア層からのpドーパントに対する拡散バリアとして使用することができる。pドーパントは例えばマグネシウムである。
【0035】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、半導体チップはオフ角を有する成長基板上に成長されている。
【0036】
前述のオプトエレクトロニクス半導体チップは殊に、オフ角を有する成長基板上にはオフ角を有さない基板よりも著しく平坦な層が成長されるという認識を利用する。有利には成長基板は0.1°〜1.0°のオフ角(miscut-angle)を有する。殊に有利にはオフ角は0.2°〜0.5°である。成長基板は例えば以下の成長基板のうちの1つである:GaN,n−GaN,p−GaN,n−SiC,p−SiC,サファイア,n−Si(111),p−Si(111)。
【0037】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、半導体チップが成長されている成長基板は薄くされている。極端な場合、成長基板はこの基板上に成長された層列から完全に除去されている。この場合層列は基板を有していない。基板を例えばグライディング、エッチング、レーザアブレーションまたはこれらの方法の組み合わせを用いて成長基板から除去する、もしくは薄くすることができる。
【0038】
さらに本発明は、オプトエレクトロニクスモジュールに関する。少なくとも1つの実施形態によれば、オプトエレクトロニクスモジュールは、上述の実施形態のうちの少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップを有する。オプトエレクトロニクスモジュールは有利にはルミネセンスダイオード、すなわち発光ダイオードまたはレーザダイオードである。
【0039】
オプトエレクトロニクスモジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、オプトエレクトロニクスモジュールは少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップの他に、オプトエレクトロニクス半導体素子と電気的に接触可能な端子を有する。すなわち、モジュールの端子に電圧が印加されると、オプトエレクトロニクス半導体チップには電流が供給される。次いで、オプトエレクトロニクス半導体チップは電磁放射を生成する。
【0040】
さらに本発明は、上述の実施形態のうち少なくとも1つの実施形態によるオプトエレクトロニクス半導体チップの製造方法にも関する。本方法においては、以下の領域が時間的に順番にウェハ上に析出される:オプトエレクトロニクス半導体チップのアクティブ領域に対するpドープされたバリア層、半導体チップの動作時の電磁放射の生成に適しており、六方晶系の化合物半導体をベースとするアクティブ領域、およびアクティブ領域に対するnドープされたバリア層。ウェハは、既に半導体チップの別の領域、例えばp導電型の領域またはn導電型の領域を析出することができる成長基板である。
【0041】
オプトエレクトロニクス半導体チップの製造方法の少なくとも1つの実施形態によれば、以下の領域が時間的に順番にウェハ上に析出される:オプトエレクトロニクス半導体チップのアクティブ領域に対するpドープされたバリア層、半導体チップの動作時の電磁放射の生成に適しており、III−V族半導体材料系InyGa1-x-yAlxN、但し0≦x≦1、0≦y≦1且つx+y≦1、をベースとするアクティブ領域、およびアクティブ領域に対するnドープされたバリア層。ウェハは、既に半導体チップの別の領域、例えばp導電型の領域またはn導電型の領域を析出することができる成長基板である。
【0042】
さらには、前述の領域の前段または領域の間または前述の領域の後段にオプトエレクトロニクス半導体チップの別の領域をウェハ上に析出することもできる。オプトエレクトロニクス半導体チップの領域は有利には以下のエピタキシ方法のうちの1つを用いてウェハ上に析出される:有機金属気相エピタキシ(MOVPE)、分子ビームエピタキシ(MBE)、水素化物気相エピタキシ(HVPE)。領域の析出は有利にはGa面成長モードで行われる。
【0043】
オプトエレクトロニクス半導体チップの領域が析出される成長基板はn導電型の基板であるかp導電型の基板である。さらに、成長基板は上述のようなオフ角を有することができる。
【0044】
オプトエレクトロニクス半導体チップの製造方法の少なくとも1つの実施形態によれば、先ずpドープされたバリア層が析出される。続いて、すなわちアクティブ領域が析出される前に、成長プロセスが中断され、pドープされたバリア層が成長された半導体ウェハは成長炉から取り出される。続いて、例えば、成長炉の炉壁の被覆物が中性化される。すなわち、必要に応じて成長炉内に残存するpドーパントが除去される。これに続いて、pドープされたバリア層が成長されたウェハは炉に入れられ、成長を前述のように継続することができる。このようにして、pドーパントによるアクティブ領域の汚染を殊に効率的に低減することができる。
【0045】
しかしながらまた、pドープされたバリア層が析出される成長炉とは異なる成長炉においてさらに成長を行うことも可能である。
【0046】
アクティブ領域内の圧電フィールドがキャリア注入に対するバリアを表さないオプトエレクトロニクス半導体チップを製造する別の可能性は、N過剰のもとでの分子ビームエピタキシまたは有機金属気相エピタキシで構造を実現することである。これによって、エピタキシにおいてはN表面終端化を行うことができる。すなわち構造がN面成長モードで成長される。これによって圧電フィールドの極性が反転されており、構造をn導電型のバリア層、アクティブ領域、p導電型のバリア層の順序で成長させることができ、この際前述の不利なバリアは生じない。
【0047】
以下では本発明による半導体チップならびにその構成部分のさらなる利点、有利な実施形態および構成を実施例に基づき図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1A】本発明によるオプトエレクトロニクス半導体チップの第1の実施例の概略的な断面図を示す。
【図1B】本発明によるオプトエレクトロニクス半導体チップの第2の実施例の概略的な断面図を示す。
【図1C】本発明によるオプトエレクトロニクス半導体チップの第3の実施例の概略的な断面図を示す。
【図2A】本発明によるオプトエレクトロニクス半導体チップの第4の実施例の概略的な断面図を示す。
【図2B】本発明によるオプトエレクトロニクス半導体チップの第5の実施例の概略的な断面図を示す。
【図2C】本発明によるオプトエレクトロニクス半導体チップの第6の実施例の概略的な断面図を示す。
【図3】本発明によるオプトエレクトロニクス半導体チップの第1の実施例に関する価電子帯および伝導帯の概略的な経過を示す。
【図4】本発明によるオプトエレクトロニクス半導体チップの第4の実施例に関する価電子帯および伝導帯の概略的な経過を示す。
【図5】オプトエレクトロニクス半導体チップに関する価電子帯および伝導帯の概略的な経過を示す。
【図6】図1および図2の実施例によるオプトエレクトロニクス半導体チップのいずれかを有するオプトエレクトロニクスモジュールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
実施例および図面において、同一の構成要素または同じ働きをもつ構成要素にはそれぞれ同じ参照番号が付されている。図示されている構成要素は縮尺通りに示されたものではなく、むしろより良い理解のために個々の構成要素は部分的に誇張して大きく示されている場合もある。
【0050】
図1Aは、本発明によるオプトエレクトロニクス半導体チップ20の第1の実施例の概略的な断面図を示す。
【0051】
この実施例においては、成長基板7として有利にはn導電型の基板が使用されている。n導電型の基板としてn−GaN,n−SiC,n−Si(111)が考えられる。しかしながら、例えばサファイアのような非導電性の基板も使用することができる。
【0052】
基板7は僅かなオフ角を有していても良く、このオフ角は成長される層の結晶品質に関して有利である。基板7のオフ角は有利には0.2°〜0.5°、例えば0.3°である。その種のオフ角により、島成長が少なく且つ粗さが低減された著しく平坦な層が得られる。すなわちこれによって、成長される層の粗さを低減することができる。
【0053】
成長方向cにおいて基板7にはn導電型の領域6が続く。成長方向は結晶学的なc軸に平行に選定されている。半導体チップ20はGa面成長モードで成長されている。n導電型の領域6は有利にはnドープされた窒化ガリウムである。n導電型の領域の層厚は約1〜5μm、有利には3〜4μmである。有利には、n導電型の領域はシリコンでドープされている。
【0054】
成長方向cにおいてn導電型の領域6にはトンネルコンタクト5が続く。トンネルコンタクト5は有利には高ドープされたn−pトンネル接合部である。nドープ側はn導電型の領域6側にある。pドープ側はn導電型の領域6側とは反対側にある。トンネルコンタクト5はn導電型の領域6側に高nドープされたInyGa1-x-yAlxN層、但し0≦x≦1、0≦y≦1且つx+y≦1、もしくは高nドープされたInyGa1-x-yAlxN超格子、但し0≦x≦1、0≦y≦1且つx+y≦1、を含む。nドーパントとして例えばシリコンが適している。ドーパント濃度は有利には少なくとも1019、殊に有利には少なくとも1020である。高nドープされた層は有利には最大で20nmの厚さを有する。
【0055】
トンネルコンタクト5はn導電型の領域6側とは反対側に高pドープされたInyGa1-x-yAlxN層、但し0≦x≦1、0≦y≦1且つx+y≦1、もしくは高pドープされたInyGa1-x-yAlxN超格子、但し0≦x≦1、0≦y≦1且つx+y≦1、を含む。pドーパントとしてマグネシウムが考えられる。ドーパント濃度は有利には少なくとも1019、殊に有利には少なくとも1020である。高pドープされた層は有利には最大で20nmの厚さを有する。
【0056】
成長方向cにおいてトンネルコンタクト5にはp導電型のバリア層1が続く。p導電型のバリア層1は例えばpドープされたAlxGa1-xN層、但し0<x≦0.1、である。p導電型のバリア層の層厚は有利には50〜500nmである。有利なpドーパントはマグネシウムである。バリア層1はアクティブ領域2に対するp導電型のバリア層として使用される。
【0057】
n導電型の領域6とp導電型のバリア層1との間のトンネルコンタクト5により、半導体チップ20内の電流輸送が十分にn導電型の領域において行われる。これによってチップの動作時のオーム損失が最小になる。半導体チップ20の後続のアクティブ領域1に関する良好な結晶品質を得るために、トンネルコンタクト5に続くp導電型のバリア層1は所定の厚さを必要とする。
【0058】
有利にはpドープされたバリア層1には拡散バリア4が続く。拡散バリア4は有利には、pドーパント、すなわち例えばマグネシウムによるアクティブ領域2の汚染を低減または回避することに適している。拡散バリア4が無ければ、汚染は例えばpドープされたバリア層1からアクティブ領域2にpドーパントが拡散することにより行われる。図1Aの実施例において拡散バリア4は例えばAlxGa1-xN中間層を含む。拡散バリア4は有利には1〜20nmの厚さを有する。アルミニウム濃度は有利には最大で50%である。
【0059】
成長方向cにおいて拡散バリア4の後段にはアクティブ領域2が配置されている。図1Aの実施例においては、アクティブ領域は有利には放射生成のために設けられている単一量子井戸構造8を1つだけ有する(図3も参照されたい)。アクティブ領域2は有利にはIII−V族半導体材料系InyGa1-yN、但し0<y≦1、をベースとする。有利には、アクティブ領域2は紫外線、青、青緑、黄または赤のスペクトル領域の電磁放射の生成に適している。アクティブ領域2におけるインジウム濃度は有利には10〜60%である。
【0060】
成長方向cにおいてアクティブ領域2にはnドープされたバリア層3が続く。nドープされたバリア層3は例えばシリコンでドープされた窒化ガリウム層である。nドープされたバリア層3の厚さは有利には100〜200nmである。
【0061】
通常の場合、図1Aの実施例による半導体チップ20はこの図1Aには図示していない別の層と領域を含むことができる。つまり、半導体チップは例えば基板7の下面側におよびバリア層3の上面側にコンタクト層を有することができる。さらには、基板7が薄くされているか完全に除去されていることも考えられる。半導体チップ20を例えば基板7側とは反対側の表面を用いて支持体に固定することができ、この支持体を熱膨張係数に関して本来の成長基板7よりも良好に成長された層に適合させることができる。
【0062】
半導体チップ20は有利には以下のエピタキシャル方法のうちの1つによって製造されている:有機金属気相エピタキシ、分子ビームエピタキシ、水素化物気相エピタキシ。有利には半導体チップはGa面成長モードで結晶学的なc軸に平行な方向に成長されている。
【0063】
さらには、半導体チップ20が図1Bに示されているようにp導電型の成長基板70を有していることも考えられる。この場合、図1Aの実施例のn導電型の領域6をp導電型の領域60に置換することができる。トンネルコンタクト5を省略することもできる。p導電型の基板として例えばp−GaN,p−SiC,p−Si(111)が考えられる。
【0064】
図1Aの実施例とは異なり図1Cは、トンネルコンタクト5の高nドープされた層5aおよびトンネルコンタクト5の高pドープされた層5bの間に拡散バリア14が配置されている半導体チップ20を示す。拡散バリア14は有利には、高pドープされた層から高nドープされた層へのpドーパントの拡散を阻止または防止することに適している。有利には、拡散バリア14は少なくとも50%、有利には少なくとも60%、殊に有利には少なくとも80%のアルミニウム濃度を有するAlxGa1-xN層である。拡散バリア14の層厚は有利には1〜2nmである。
【0065】
図3は、伝導帯10の経過および価電子帯11の経過と図1Aの実施例による半導体チップ20に関する成長高さhの関係を概略的に示す。
【0066】
これに対し図5は、成長方向においてn導電型のバリア層3、アクティブ領域2およびp導電型のバリア層1の順序で設けられている半導体チップに関する成長高さhと伝導帯10の経過および価電子帯11の経過の関係を概略的に示す。図5から見て取れるように、本明細書の共通する部分において記載されている圧電フィールドの極性は、nドープされた領域3に由来する電子eの注入に関してバリア10aに向けられている。電子eは単一量子井戸8に閉じこめられるようになるためにエネルギ障壁10aを超えなければならない。この障壁10を超える電子eの一部は量子井戸8によって閉じこめられるのではなく、伝導帯の別の経過に従う。したがってこれらの電子eは放射生成に使用されない。半導体チップに印加される動作電圧が高まると、量子井戸構造8によって閉じこめられないキャリアの割合が高まる。結果として半導体チップの内部量子効率は層厚が増すにつれ大幅に低下する。
【0067】
価電子帯11におけるホールpにも同様のことが当てはまる。ホールpは単一量子井戸8に閉じこめられるようになるためにはエネルギ障壁11aを超えなければならない。
【0068】
本発明により提案される半導体チップ20は殊に、半導体チップ20のアクティブ領域2において差し当たり負として現われる圧電フィールドを量子井戸構造のキャリア閉じ込めの改善に使用できるという認識を基礎とする。
【0069】
図3から見て取れるように、成長方向cにおけるp導電型のバリア層1、アクティブ領域2およびn導電型のバリア層3についての層の順序を変更することにより、電子eないしホールpに対するエネルギ障壁10aおよび11aは量子井戸構造8におけるキャリア閉じ込めを大幅に改善することができる。これらの障壁は(矢印によって示唆されている)キャリアがそれぞれ流れる方向において量子井戸構造8の後段に配置されている。量子効率と電流密度との依存関係はこれによって大幅に低減されるか、それどころか全く存在しない。その種の半導体チップの放射出力は電流強度の広範な領域にわたり注入される電流に直接的に比例する。量子効率が改善されることにより、チップ面積が比較的小さい場合であってもチップの効率が失われることなくより大きな光出力を得ることができる。さらには、層の順序を前述のように変更することにより半導体チップ20の動作電圧Vは著しく低減される。
【0070】
図3にさらに示されているように、前述の利点は殊に単一量子井戸構造に関して得られる。成長方向cにおいて単一量子井戸構造8の前段に配置されている量子井戸構造ではもはやキャリアの注入は行われない。何故ならば、最初に障壁10a,11aを超えなければならなくなるからである。
【0071】
図2Aは本発明によるオプトエレクトロニクス半導体チップ20の第2の実施例を示す。図1Aの実施例とは異なり、この実施例においては拡散バリア4が2つの層4aおよび4bによって実現されている。層4aはInyGa1-yN層であり、この層は放射生成のためには設けられていない量子井戸構造9を含む。層4bを例えば真性の窒化ガリウム層によって実現することができる。
【0072】
図4は、図2Aに示されている半導体チップ20に関する成長高さhと伝導帯10および価電子帯11の関係を概略的に示す。成長方向において単一量子井戸構造8の前段には3つのやや深い量子井戸9が配置されており、これらの量子井戸9は放射生成のためには設けられていない。これらの量子井戸構造9は例えば、インジウムの割合が最大で10%であるIII−V属半導体材料系InyGa1-x-yAlxNをベースとする。これに対して、光学的にアクティブな量子井戸8内のインジウムの割合は10〜60%である。
【0073】
図2Aの半導体チップは殊に、光学的に不活性な量子井戸構造9が一方では例えばマグネシウムのようなpドーパントの拡散を防止するという認識を基礎としている。他方では量子井戸構造9が単一量子井戸構造8に対する超格子を形成し、したがってアクティブ領域2に関する結晶構造を改善する。
【0074】
図2Bは図2Aの実施例とは異なり、層列がp導電型の基板70の上に析出されているオプトエレクトロニクス半導体チップ20を示す。この場合、n導電型の領域6はp導電型の領域60に置換されており、またトンネルコンタクト5を省略することができる。
【0075】
図2Aの実施例とは異なり図2Cは、トンネルコンタクト5の高nドープされた層5aおよびトンネルコンタクト5のpドープされた層5bの間に拡散バリア14が配置されている半導体チップ20を示す。拡散バリア14は有利には、高pドープされた層から高nドープされた層へのpドーパントの拡散を阻止または防止することに適している。有利には、拡散バリア14は少なくとも50%、有利には少なくとも60%、殊に有利には少なくとも80%のアルミニウム濃度を有するAlxGa1-xN層である。拡散バリア14の層厚は有利には1〜2nmである。
【0076】
図6は、オプトエレクトロニクスモジュール200を示す。オプトエレクトロニクスモジュール200は有利にはルミネセンスダイオードである。したがって半導体チップ20はルミネセンスダイオードチップである。半導体チップ20は図1および図2と関連させて上記において説明した半導体チップによって実現されている。この半導体チップは例えばハウジング18の切り欠き内に配置されている。
【0077】
ハウジング18は例えばプラスチックまたはセラミック材料から形成されている。チップはその表面を用いて外部の端子183と導電的に接続されている。例えば、このためにチップをハウジング18の切り欠き内に露出されている端子183にボンディングすることができる。半導体チップ20はさらに外部端子184と接続されている。例えば半導体チップ20はワイヤボンディング線19によって端子184と導電的に接続されている。このためにハウジング18は例えば別の切り欠き185を有し、この別の切り欠き185内において第2の端子184に自由に接触することができる。
【0078】
チップ20の後段にはさらに反射器182が後置されており、この反射器182をハウジングの一部によって形成することができる。さらに半導体チップ20にはこの半導体チップ20を過電圧、例えばESD(静電放電)電圧パルスから保護するための素子17が並列または逆並列に接続されている。素子17として例えば発光ダイオード、ツェナーダイオードまたはバリスタが考えられる。
【0079】
チップ20はさらに有利には封止材料186によって包囲されており、この封止材料は例えばシリコーン、エポキシ樹脂またはPMMAを含有することができる。さらに封止材料186はルミネセンス変換材料を含有することができ、このルミネセンス変換材料は発光ダイオードチップ20によって動作時に生成された電磁放射の波長の少なくとも一部を変換することに適している。このようにして殊に白色光を生成することができる。例えばYAG:Ce粉末のような適切なルミネセンス変換材は、例えば刊行物WO98/12757に記載されており、ルミネセンス変換材料に関する開示内容は参照により本願に含まれるものとする。
【0080】
本発明は実施例に基づいたこれまでの説明によって限定されるものではない。むしろ本発明はあらゆる新規の特徴ならびにそれらの特徴のあらゆる組み合わせを含むものであり、これには殊に特許請求の範囲に記載した特徴の組み合わせ各々が含まれ、このことはそのような組み合わせ自体が特許請求の範囲あるいは実施例に明示的には記載されていないにしてもあてはまる。
【0081】
本願は、ドイツ連邦共和国特許出願第102005035722.9-33号の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照により本願に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オプトエレクトロニクス半導体チップにおいて、
半導体チップ(20)の成長方向(c)において、以下の順序で複数の領域を有する、すなわち
アクティブ領域(2)に対するpドープされたバリア層(1)と、
電磁放射の生成に適しており、六方晶系の化合物半導体をベースとするアクティブ領域(2)と、
アクティブ領域(2)に対するnドープされたバリア層(3)とを有し、
前記アクティブ領域(2)は放射生成のために設けられている量子井戸構造(8,9)を含み、
成長方向(c)において、前記放射生成のために設けられている量子井戸構造(2)の前段には、放射生成のためには設けられていない少なくとも1つの量子井戸構造(9)が配置されていることを特徴とする、オプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項2】
前記アクティブ領域はIII−V族半導体材料系InyGa1-x-yAlxN、但し0≦x≦1、0≦y≦1且つx+y≦1、をベースとする、請求項1記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項3】
前記pドープされたバリア層(1)と前記アクティブ領域(2)との間に拡散バリア(4)が配置されており、該拡散バリア(4)は前記アクティブ領域(2)へのドーパントの拡散の阻止に適している、請求項1または2記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項4】
成長方向(c)において前記pドープされたバリア層(1)の前段にはトンネルコンタクト(5)が配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項5】
前記トンネルコンタクト(5)は、高nドープされた領域(5a)、高pドープされた領域(5b)、および、前記トンネルコンタクト(5)の前記高nドープされた領域(5a)と前記高pドープされた領域(5b)との間の拡散バリア(14)を有する、請求項4記載の半導体チップ。
【請求項6】
成長方向(c)において前記トンネルコンタクト(5)の前段にはn導電型の領域(6)が配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項7】
半導体チップの領域はp導電型の成長基板上に析出されている、請求項1または2記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項8】
前記アクティブ領域(2)は、放射生成のために設けられている単一量子井戸構造(8)を1つ含む、請求項1から7までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項9】
前記拡散バリア(14)の層厚は1nmから2nmである、請求項5記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項10】
前記放射生成のためには設けられていない量子井戸構造(9)のインジウム濃度は、前記放射生成のために設けられている量子井戸構造(8)のインジウム濃度よりも低い、請求項1から9までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項11】
前記p型にドープされたバリア層(1)と前記アクティブ領域(2)との間に拡散バリア(4)が配置されており、該拡散バリア(4)はIII−V族半導体材料系AlxGa1-xN、但しx≧0.2、を含有する、請求項1から10までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項12】
前記アクティブ領域(2)はIII−V族半導体材料系InyGa1-yN、但し0<y≦1、をベースとする、請求項1から11までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項13】
オフ角を備えた成長基板(7)を有する、請求項1から12までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項14】
前記成長基板(7)の前記オフ角は0.1°〜1.0°である、請求項13記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項15】
前記成長基板(7)は薄くされている、請求項1から14までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項16】
半導体チップはGa面成長モードで成長されている、請求項2から15までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体チップを有し、前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(20)と電気的に接触可能な端子(183,184)を備えていることを特徴とする、オプトエレクトロニクスモジュール。
【請求項18】
半導体チップ(20)の成長方向(c)において、以下の順序で複数の領域を有する、すなわち
アクティブ領域(2)に対するpドープされたバリア層(1)と、
電磁放射の生成に適しており、六方晶系の化合物半導体をベースとするアクティブ領域(2)と、
アクティブ領域(2)に対するnドープされたバリア層(3)とを有し、
前記アクティブ領域(2)は放射生成のために設けられている量子井戸構造(8,9)を含み、
成長方向(c)において、前記放射生成のために設けられている量子井戸構造(2)の前段には、放射生成のためには設けられていない少なくとも1つの量子井戸構造(9)が配置されている、オプトエレクトロニクス半導体チップの製造方法において、
以下の領域、すなわち、
半導体チップの前記アクティブ領域(2)に対する前記pドープされたバリア層(1)、
電磁放射の生成に適しており、六方晶系の化合物半導体をベースとする前記アクティブ領域(2)、
前記アクティブ領域(2)に対する前記nドープされたバリア層(3)、
を上記の順序でウェハ上に析出することを特徴とする、オプトエレクトロニクス半導体チップの製造方法。
【請求項19】
電磁放射の生成に適している前記アクティブ領域(2)はIII−V族半導体材料系InyGa1-x-yAlxN、但し0≦x≦1、0≦y≦1且つx+y≦1、をベースとする、請求項18記載の方法。
【請求項20】
有機金属気相エピタキシ、分子ビームエピタキシ、水素化物気相エピタキシのうちのいずれか1つのエピタキシ方法を使用する、請求項18または19記載の方法。
【請求項21】
半導体チップをGa面成長モードで成長させる、請求項19記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−9013(P2013−9013A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224564(P2012−224564)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【分割の表示】特願2008−523121(P2008−523121)の分割
【原出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】