説明

オランザピンの合成方法

本発明は、溶媒を用いることなく、あるいは低沸点の有機溶媒を用いることによりオランザピンを合成する方法を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連の米国特許出願データ
本願は、2003年12月22日に出願された米国仮出願番号第60/532,136号;2004年2月25日に出願された米国仮出願番号第60/547,901号;及び2004年4月12日に出願された米国仮出願番号第60/561,871号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、溶媒を用いることなく、又は低沸点の有機溶媒を用いることにより、オランザピンを合成する方法を包含する。
【背景技術】
【0003】
オランザピンはD−1及びD−2ドーパミン受容体のアンタゴニストであり、そしてまた、抗ムスカリン性及び抗コリン作用性の特性並びに5HT−2受容体部位アンタゴニスト活性を示す。オランザピンはまた、ノルアドレナリン作用性アルファ−受容体のアンタゴニストとして働く。これらの特性は、オランザピンが弛緩薬、抗不安薬、又は制吐薬としての特性を有することがあり、そして神経安定薬としての使用に適していることがあることを示している。オランザピンは、それ故に、精神病的症状、例えば統合失調症、統合失調症様の疾患、及び急性躁病を処置するのに有用である。オランザピンは更に、少量投与した場合、軽度の不安神経症の処置に使用することができる。
【0004】
統合失調症に罹患している精神病患者の臨床評価は、オランザピンが驚くほど少ない投与量レベルで高レベルの活性を示し、精神病患者の処置にとって非常に望ましい治療薬候補になることを示している。不幸なことに、オランザピンは、典型的に、市販の医薬として使用するのに相応しくない色を示すが、これは特に、時間とともに空気に曝されて色が変化するためである。
【0005】
オランザピンを合成するための現在の方法は、激しい反応条件、例えば高温及び/又は強塩基、例えばアルキルリチウム塩基と、不所望な変色に寄与しうる触媒とを必要とする。現在のオランザピン合成法に必要とされる高い反応温度を達成するために、高沸点溶媒が使用されており、これは一旦生成物が得られると除去するのが困難である。
【0006】
米国特許第5,229,382号は、チエノベンゾジアゼピン(4−アミノ−2−メチル−10H−チエノ−[2,3−b][1,5]ベンゾジアゼピン)とN−メチルピペラジンとを、高沸点有機溶媒であるトルエンとジメチルスルホキシドの混合物中で縮合することによるオランザピンの合成を開示している。この方法の収率は比較的低く、そして溶媒の回収は非常に困難である。
【0007】
本発明は、高沸点溶媒又は高温を必要としないオランザピンの合成法を包含する。
【0008】
本発明の要約
本発明の一態様は、適切な条件のもとオランザピンを合成する方法であって、N−メチルピペラジンとチエノベンゾジアゼピン(TBD)との反応混合物を約110℃〜約145℃に加熱し;当該反応混合物を、約110℃〜約145℃で少なくとも5時間、オランザピンが合成するまで維持し;当該反応混合物を冷却し;水、少なくとも2種類の有機溶媒、又は水と少なくとも1種類の有機溶媒を、オランザピンが沈殿するまで添加し;そして沈殿したオランザピンを回収すること、を含んで成る方法を包含する。任意に、当該方法は更に冷却段階を含むことがある。
【0009】
本発明はまた、オランザピンを合成する方法であって、TBDとN−メチルピペラジンとを、低沸点有機溶媒中で混合して反応混合物を形成させ;当該反応混合物を還流温度で約20〜約24時間加熱し;当該反応混合物を冷却し;当該反応混合物に対し、オランザピンが沈殿するまで水を添加し;そしてオランザピンを回収すること、を含んで成る方法、を包含する。
【0010】
本発明の方法は、反応混合物を加熱の間にパージすることを更に含んで成ることもある。
【0011】
本発明の詳細な説明
本発明は、溶媒を用いないか、又は容易に回収可能な低沸点有機溶媒を用い、そして、溶媒の回収が比較的単純である穏やかな反応温度を用いてオランザピンを合成するための方法、を包含する。「低沸点有機溶媒」とは、約120℃未満の沸点、好ましくは約100℃未満の沸点を有する医薬として許容される溶媒である。好ましい低沸点有機溶媒は、約40℃〜約120℃の沸点を有するものであり、より好ましくは、約50℃〜約90℃の沸点を有する溶媒である。好ましい低沸点有機溶媒には、約81℃〜約82℃の沸点を有し且つ従来技術で使用される溶媒よりも環境に優しいアセトニトリルが含まれる。別の好ましい低沸点有機溶媒は、約56℃の沸点を有するアセトンである。高沸点有機溶媒を欠くことで、粗製オランザピンの純度が増大し、オランザピンの合成が単純化し、そして空気に対するオランザピンの曝露による不所望な変色の可能性が低下することが明らかとなっている。
【0012】
オランザピンの合成の間、反応混合物をガスでパージすることもできる。加熱の間に反応混合物にガスをパージして、当該反応混合物を混合し、そして最終生成物中で不純物となり得る化合物を除去することで、不純物がより少ないオランザピンが生成し、その結果精製工程が単純化する。例えば、パージすることによりアンモニアを反応混合物から除去することで、副生成物がより少ないオランザピンが生成し、それにより精製工程が単純化する。
【0013】
本発明で使用するチエノベンゾジアゼピン(TBD)は、4−アミノ−2−メチル−10H−チエノ−[2,3−b][1,5]ベンゾジアゼピンを指す。TBDは、塩酸塩又は別の安定な酸性塩として存在することもある。好ましくは、TBDはチエノベンゾジアゼピン塩酸塩として存在する。チエノベンゾジアゼピンは、反応混合物中、化学量論的に制限のある試薬として存在することもある。N−メチルピペラジンは反応混合物中過剰に存在する。
【0014】
本発明の一態様は、適切な条件のもとオランザピンを合成する方法であって、N−メチルピペラジンとTBDとの反応混合物を約110℃〜約145℃に加熱し;当該反応混合物を、約110℃〜約145℃で少なくとも5時間、オランザピンが合成するまで維持し;当該反応混合物を冷却し;水、少なくとも2種類の有機溶媒、又は水と少なくとも1種類の有機溶媒を添加してオランザピンを沈殿させ;そしてオランザピンを回収すること、を含んで成る方法を包含する。
【0015】
TBDは、N−メチルピペラジンが加熱された後添加されることもある。典型的には、チエノベンゾジアゼピン塩酸塩とN−メチルピペラジンとのモル比は、約1:3〜約1:8であり、そして好ましくは、当該モル比は約1:8である。好ましくは、反応混合物は、窒素雰囲気のもと加熱される。反応混合物は、典型的には、約110℃〜約145℃で約5〜約6時間、好ましくは約5時間維持される。当該混合物は、好ましくは約125℃で加熱される。好ましくは、当該反応混合物は、ガスで反応混合物を泡立たせることにより加熱の間パージされる。好ましくは、ガスは窒素ガスであり、そしてより好ましくは当該ガスは乾燥窒素ガスである。
【0016】
反応混合物は、好ましくは約100℃未満の温度、より好ましくは室温から約80℃まで、そして最も好ましくは約80℃まで冷却される。
【0017】
オランザピンを沈殿させるのに使用する好ましい有機溶媒は、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン及びDMSOのうちの少なくとも1種類を含む。2種類の有機溶媒を使用する場合、2種類の溶媒比は体積当たり約1:2〜約1:10である。溶媒を一斉に又は連続的に、例えば一度に又は一滴ずつ添加してもよい。当業者は、ほとんど又は全く実験することなく、オランザピンの沈殿を誘導するのに必要な溶媒と水の量を容易に決定することができる。
【0018】
任意に、本発明の方法は、水、少なくとも2種類の有機溶媒、又は水と少なくとも1種類の有機溶媒を添加した後に更に冷却する段階であって、反応混合物を約70℃〜約−5℃に及ぶ温度に漸次冷却することを含んで成る段階を含むことがある。好ましくは、更なる冷却段階は、反応混合物を約70℃〜10℃未満まで、更に好ましくは約70℃〜約0℃まで、より更に好ましくは約70℃〜約50℃まで、そして最も好ましくは約70℃〜約60℃にまで冷却することを含んで成る。
【0019】
反応混合物は、任意に、オランザピンの回収前に一晩攪拌してもよい。オランザピンは、当業者に知られている種々の技術を用いて、例えば濾過又はデカンテーションにより、反応混合物から分離され、そして回収されうる。
【0020】
本発明の別の態様は、オランザピンを合成する方法であって、TBDとN−メチルピペラジンとを、低沸点有機溶媒中で混合して反応混合物を形成させ;オランザピンが合成されるまで当該反応混合物をほぼ還流温度で約20〜約24時間加熱し;当該反応混合物を冷却し;当該反応混合物に対し、オランザピンが沈殿するまで水を添加し;そしてオランザピンを回収すること、を含んで成る方法、を包含する。
【0021】
典型的には、TBDとN−メチルピペラジンとのモル比は約1:3〜約1:8である。この方法で使用されうる好ましい低沸点有機溶媒には、限定しないが、アセトン、アセトニトリル、ヘキサン、ヘプタン及びジメチルホルムアミドが含まれる。反応混合物は、加熱の間パージしてもよい。好ましくは、オランザピンは約22時間で合成される。好ましくは、反応混合物は約22℃〜約28℃に冷却される。
【0022】
水は、反応混合物に対し、オランザピンの沈殿を誘導するのに十分な量添加される。当業者は、ほとんど又は全く実験することなく、オランザピンの沈殿を誘導するのに必要な溶媒と水の量を容易に決定することができる。考慮されなければならないファクターには、使用する低沸点有機溶媒、低沸点有機溶媒の体積、反応液量、及び反応液のスケールに典型的に影響を及ぼす他のファクターが含まれる。水の添加後、反応混合物は、更に約10℃〜約−5℃に冷却してもよい。沈殿したオランザピンは、当業者に知られている種々の技術を用いて反応混合物から分離され、そして回収されうる。
【0023】
幾つかの好ましい態様を参照して本発明を説明してきたが、他の態様も、明細書を考慮することで当業者に明らかとなるであろう。本発明は、組成物、組成物の調製、及び本発明の投与方法を詳細に説明する以下の実施例を参照することで更に規定される。当業者にとっては、材料と方法の両方に対する多数の変更が、本発明の範囲を逸脱することなく実施可能であることは自明であろう。
【実施例】
【0024】
実施例1:
チエノベンゾジアゼピン塩酸塩(TBD、8.6g、32.3mmol)、N−メチルピペラジン(30ml、27.1g、270mmol)、及びアセトン(30ml)を、マグネティックスターラー及び還流冷却器を備え付けた100mlの丸底フラスコに添加し、反応混合物を形成させた。反応混合物を還流するまで(約56℃)窒素雰囲気のもと加熱した。22時間後、反応混合物をほぼ室温にまで冷却した。水(30ml)を反応混合物に添加し、そして反応混合物を氷浴内でオランザピンが沈殿するまで冷却した。オランザピン(5.2g)を濾過により回収し、収率は、HPLCで決定した場合51%であった。
【0025】
実施例2:
チエノベンゾジアゼピン塩酸塩(TBD、8g、30mmol)、N−メチルピペラジン(15ml、13.5g、135mmol)、及びアセトニトリル(15ml)を、マグネティックスターラー及び還流冷却器を備え付けた100mlの丸底フラスコに添加し、反応混合物を形成させた。反応混合物を還流するまで(約81〜82℃)窒素雰囲気のもと加熱した。22時間後、反応混合物を室温にまで冷却した。水(25ml)を反応混合物に添加した。沈殿が形成したら、沈殿物が溶解するまで更に水を添加し(25ml)、そしてこの混合物を30分間攪拌した。オランザピン(5g)を濾過により回収し、収率は、HPLCで決定した場合53%であった。
【0026】
実施例3:
チエノベンゾジアゼピン塩酸塩(TBD、8g、30mmol)、N−メチルピペラジン(10ml、9.02g、90mmol)、及びDMSO(15ml)を、マグネティックスターラー及び還流冷却器を備え付けた100mlの丸底フラスコに添加し、反応混合物を形成させた。反応混合物を還流するまで(約138℃)窒素雰囲気のもと加熱した。22時間後、反応混合物を室温にまで冷却した。水(30ml)を反応混合物に添加し、そして反応混合物を氷浴内でオランザピンが沈殿するまで冷却した。オランザピン(5.1g)を濾過により回収し、収率は、HPLCで決定した場合54%であった。
【0027】
実施例4:
チエノベンゾジアゼピン塩酸塩(TBD、8g、30mmol)、N−メチルピペラジン(10ml、9.02g、90mmol)、及びアセトン(16ml)を、マグネティックスターラー及び還流冷却器を備え付けた100mlの丸底フラスコに添加し、反応混合物を形成させた。反応混合物を還流するまで(約56℃)窒素雰囲気のもと加熱した。24時間後、反応混合物を室温にまで冷却し、そして固体が形成した。水(50ml)を固体に添加し、これは顆粒になった。オランザピンを濾過により回収し、収率は、HPLCで決定した場合91.6%であった。
【0028】
実施例5:
100mlの丸底フラスコ中のN−メチルピペラジン(9.75ml、8.8g、88mmol)を、油浴において、窒素のもと10分間125℃になるまで加熱した。その後、チエノベンゾジアゼピン塩酸塩(8g、30mmol)を添加して反応混合物を形成させた。12時間後、反応混合物を室温にまで冷却した。水(12ml)を一滴ずつ反応混合物に添加した。沈殿の形成時に、追加の水(12ml)を反応混合物に添加した。反応混合物を室温で攪拌した。形成した顆粒状の固体及び追加の水(18ml)を添加した。オランザピンを濾過により回収し、収率は、HPLCで決定した場合84%であった。
【0029】
実施例6:
100mlの丸底フラスコ中のN−メチルピペラジン(11ml、10g、100mmol)を、油浴において、窒素のもと10分間125℃になるまで加熱した。その後、チエノベンゾジアゼピン塩酸塩(8g、30mmol)を添加して反応混合物を形成させた。12時間後、反応混合物を80℃にまで冷却した。アセトニトリル(20ml)を漏斗を介してゆっくりと反応混合物に添加し、それにより沈殿が形成した。追加のアセトニトリル(30ml)を、沈殿が溶解するまで添加した。反応混合物を油浴から取り出し、そして攪拌しながら室温にまで添加した。10分後、結晶性の固体が沈殿し、そして90分後、反応混合物を氷浴内で冷却した。固体を濾過により回収し、アセトニトリル中で洗浄し、そしてHPLCによりオランザピンであることを決定した(4.53g、93.3%の収率)。
【0030】
実施例7:
三つ口フラスコ中のN−メチルピペラジン(48g、480mmol)とチエノベンザジアゼピン(thienobenzadiazepine)塩酸塩(16g、60mmol)の反応混合物を、油浴において、攪拌してパージしながら5時間125℃に加熱した。その後、反応混合物を80℃に冷却し、そしてテトラヒドロフラン(5ml)とトルエン(50ml)を別々に添加した。反応液を一晩攪拌し、氷浴内で1時間冷却し、そして沈殿物を形成させた。沈殿物を濾過で回収し、そして2時間真空下、100mmHg未満の圧力で、65℃で乾燥させ、そしてHPLCによりオランザピンであることを決定した(91.5%の収率)。
【0031】
実施例8:
三つ口フラスコ中のN−メチルピペラジン(30g、300mmol)とチエノベンザジアゼピン塩酸塩(10g、37.6mmol)の反応混合物を、油浴において、攪拌してパージしながら5時間125℃に加熱した。その後、反応混合物を80℃に冷却した。テトラヒドロフラン(5ml)を反応混合物に添加し、そしてトルエン(32ml)を反応混合物に添加した。反応液を一晩室温(25℃〜27℃)で攪拌し、氷浴内で1時間冷却し、そして沈殿物を形成させた。沈殿物を濾過で回収し、そして洗浄した(2xTHF:トルエン 5:32)。続いて、沈殿物を2時間真空下65℃で乾燥させ、そしてHPLCによりオランザピンであることを決定した(88.8%の収率)。
【0032】
実施例9:
三つ口フラスコ中のN−メチルピペラジン(96g、960mmol)とチエノベンザジアゼピン塩酸塩(32g、120mmol)の反応混合物を、油浴において、攪拌してパージしながら5時間125℃に加熱した。その後、反応混合物を80℃に冷却させ、そしてトルエン(100ml)を添加し、続いてドロップワイズで水を添加した(50ml)。反応混合物を一晩室温で攪拌し、氷浴内で1時間冷却し、そして沈殿物を形成させた。沈殿物を濾過で回収し、そして洗浄した(2xTHF:水 2:1)。続いて、沈殿物を2時間真空下65℃で乾燥させ、そしてHPLCによりオランザピンであることを決定した(91%の収率)。
【0033】
実施例10:
三つ口フラスコ中のN−メチルピペラジン(150g、1.5mol)とチエノベンザジアゼピン塩酸塩(50g、0.188mol)の反応混合物を、油浴において、145℃に加熱し、同時に、1.5時間穏やかに還流しながら、そして更に4.5時間攪拌してパージした。反応混合物は、わずかに0.18%のチエノベンザジアゼピンが残っている状態になるまでHPLCでモニタリングした。その後、反応混合物を100℃未満に冷却し、そしてトルエン(200ml)、ジメチルスルホキシド(200ml)及び水(200ml)を添加した。反応混合物を70℃に冷却した。反応混合物を更に50℃に冷却し、そして沈殿物を形成させた。反応混合物を一晩室温で攪拌し、氷浴内で1時間冷却し、そして沈殿物を形成させた。沈殿物を濾過で回収し、そして洗浄した(2x水、40ml)。湿った固体を回収し(66.2g)、そして次に一晩真空下65℃で乾燥させ、オランザピンを生成させた(49.3g、85%)。
【0034】
回収した湿った固体(5g)をアセトニトリル(36ml)と水(22ml)の中で混合し、そして材料が溶解して溶液を形成するまで80℃に加熱した。溶液を冷却し、そして沈殿を形成させた。溶液を一晩放置した。溶液を氷浴内で冷却し、そして沈殿物を濾過により回収した。沈殿物を一晩真空下65℃で乾燥させ、HPLCにより99.5%の純度のオランザピンであることを決定した。
【0035】
実施例11:
チエノベンゾジアゼピン塩酸塩(50g)とN−メチルピペラジン(150g)を、メカニカルスターラー、凝縮器、及びサーモメーターを備え付けた1Lの反応装置に添加し、反応混合物を形成させた。反応混合物を125℃で5時間加熱し、そして80℃に冷却した。DMSO(200ml)とトルエン(200ml)を添加した。反応混合物を更に60℃に冷却し、そして200mlの水を添加した。反応混合物を更に10℃に冷却し、そして上述の方法で2回以上50℃に加熱した。反応混合物を10℃に冷却し、そして2時間攪拌した。スラリーが生じた。スラリーを真空下で濾過し、そしてトルエン(100ml)と水(150ml)で洗浄し、そしてHPLCによりオランザピンであることを決定した(80.5g、99.5%の純度)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オランザピンを合成する方法であって:
N−メチルピペラジンとチエノベンゾジアゼピンとの反応混合物を約110℃〜約145℃に加熱し;
当該反応混合物を、約110℃〜約145℃で少なくとも5時間維持し;
当該反応混合物を冷却し;
水、少なくとも2種類の有機溶媒、又は水と少なくとも1種類の有機溶媒を、オランザピンが沈殿するまで添加し;そして
沈殿したオランザピンを回収すること、
を含んで成る方法。
【請求項2】
反応混合物が約110℃〜約145℃で約5〜約6時間加熱され、そして維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応混合物が約110℃〜約145℃で約5時間加熱され、そして維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
N−メチルピペラジンがチエノベンゾジアゼピンを添加する前に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
加熱段階が窒素雰囲気のもと実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
反応混合物が約125℃で加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
反応混合物が100℃未満の温度に冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
反応混合物が約80℃の温度に冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
約70℃〜約−5℃の温度に反応混合物を漸次冷却することを更に含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
有機溶媒がアセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、又はDMSOのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも2種類の有機溶媒が添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記2種類の溶媒が体積当たり約1:2〜約1:10である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
チエノベンゾジアゼピンとN−メチルピペラジンとのモル比が約1:3〜約1:8である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
チエノベンゾジアゼピンとN−メチルピペラジンとのモル比が約1:8である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
オランザピンを合成する方法であって:
チエノベンゾジアゼピンとN−メチルピペラジンとを、低沸点有機溶媒中で混合して反応混合物を形成させ;
当該反応混合物をほぼ還流温度で約20〜約24時間加熱し;
当該反応混合物を冷却し;
当該反応混合物に対し、オランザピンが沈殿するまで水を添加し;そして
オランザピンを沈殿させること、
を含んで成る方法。
【請求項16】
低沸点有機溶媒がアセトン、アセトニトリル、ヘキサン、ヘプタン及びジメチルホルムアミドのうちの少なくとも1つである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
低沸点有機溶媒がアセトン又はアセトニトリルのいずれかである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
チエノベンゾジアゼピンとN−メチルピペラジンとのモル比が約1:3〜約1:8である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
反応混合物が室温に冷却される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
水の添加後、反応混合物を約10℃〜約−5℃に冷却することを更に含んで成る、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
加熱の間反応混合物をパージすることを更に含んで成る、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
パージが窒素ガスを用いて実施される、請求項21に記載の方法。

【公表番号】特表2007−515428(P2007−515428A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545605(P2006−545605)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/043159
【国際公開番号】WO2005/063771
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】