説明

オリゴ糖アルコール組成物及びそれを用いて得られた分散体及び樹脂粒子

【目的】融点が高く溶融粘度が高い樹脂を用いた場合に、水溶性の糖組成物(乳化媒体、水溶性助剤)の溶融粘度が適合し、糖組成物と樹脂を溶融混練することで球状微粒子を製造する。
【構成】20糖以上の糖組成比が30重量%以上かつ80重量%以下、2糖の糖組成比が5重量%以上かつ25重量%以下かつ、2糖と単糖の糖組成比の和が5重量%以上25重量%以下であるオリゴ糖アルコールを糖組成物として用いる。このような糖組成物を用いると溶融粘度が高い樹脂成分を用いた場合でも分散体のマトリックスを形成するオリゴ糖アルコールが高い溶融粘度を保つので安定した樹脂の分散状態を示し、粒径が均一な球状微粒子を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂などの溶融可能な有機固体成分と組み合わせて用いることにより、有機固体成分の粒子(樹脂粒子など)や多孔体を得るのに有用なオリゴ糖アルコール(糖組成物、水溶性助剤又は乳化媒体、加工助剤)とその用途(前記オリゴ糖アルコールを含む溶融成形可能な組成物、分散体及び得られた粒子など)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂粒子を製造する方法としては、機械的な粉砕法、例えば、樹脂や樹脂組成物を、クラッシャーなどで粗粉砕した後、ジェットミルなどを用いて微粉砕し、その後風力分級機などにより分級する方法が利用されている。しかし、このような方法では、製造機器が高価であることに加え、得られた粒子も不定形で、粒子サイズにばらつきがある。また、樹脂粒子のサイズを揃えるためには、分級する必要があり、分級により、利用できないサイズの樹脂粒子が大量に生成するため、経済的にも不利である。さらに、粒子同士のブロッキング、分散性、流動性などの観点から、球状の粒子が好ましいものの、機械的な粉砕法では、球状の微粒子を得ることは不可能である。
【0003】
特開平10−176065号公報(特許文献1)には、微粉末化する熱可塑性樹脂(a)に、他の1種類以上の熱可塑性樹脂(b)を溶融混練することにより、樹脂(a)が分散相、樹脂(b)が連続相を構成する樹脂組成物を得て、樹脂(a)は溶解せず、樹脂(b)が溶解するような溶媒で前記樹脂組成物を洗浄することにより、樹脂(a)の球状微粒子を得る方法が開示されている。しかし、この方法では、分散相と連続相とがそれぞれ非相溶である必要があるだけでなく、分散相の樹脂の種類によって、連続相の樹脂と溶媒との適正な組み合わせを選択する必要があるため、樹脂同士の組み合わせが制限されるだけでなく、樹脂及び溶媒の組み合わせについても制限される。
また、連続相を形成する樹脂は、製品となる樹脂微粒子にはなんら関与しないため、最終的に回収されるか、あるいは溶解状態のまま廃棄されることになる。しかし、溶液中の樹脂を回収することは、非常に困難であるばかりか、樹脂微粒子の製造コストを上昇させる要因となる。また、樹脂溶液を廃液としてそのまま廃棄した場合、環境への悪影響も懸念される。
【0004】
特開昭60−13816号公報(特許文献2)には、ポリエチレングリコールと熱可塑性樹脂とを溶融撹拌した後に、水中に投入して両ポリマーを凝固させ、その後、水を用いて、ポリエチレングリコールを除去する熱可塑性樹脂粒子の製造方法が提案されている。
特開昭61−9433号公報(特許文献3)には、熱可塑性樹脂とポリエチレンオキサイドとを溶融撹拌した後に冷却させ、水を用いて、ポリエチレンオキサイドを除去する熱可塑性樹脂粒子の製造方法が開示されている。
特開平9−165457号公報(特許文献4)には、ポリビニルアルコール系樹脂、変性澱粉、ポリエチレンオキサイドなどの溶融成形可能な水溶性高分子と、熱可塑性樹脂とを混合して溶融成形物を得た後、水を用いて、成形物から水溶性高分子を除去する樹脂微粒子の製造方法が開示されている。
【0005】
しかし、これらの方法においても、樹脂と水溶性高分子との非相溶性が必要であるため、選択できる樹脂の組み合わせが限定されるだけでなく、得られる樹脂粒子の粒子径分布の均一性は十分ではない。特に、溶融状態での剪断粘度を高めて樹脂との溶融混練性を高めると、水溶性高分子の水への溶解度が小さいため、溶解させるために大量の水が必要であるとともに、溶解速度が遅いため、生産性を著しく低下させる。また、水溶性高分子の水溶液の粘度が高いため、樹脂粒子の回収をさらに困難にする。
一方、水に対する水溶性高分子の溶解性を高めると、溶融状態での剪断粘度が低下するため、樹脂と均一に溶融混練できず、樹脂を粒子状などの形態に成形できなくなる。さらに、このような水溶性高分子は、非天然物由来である場合が多いため、このような水溶性高分子を溶解した廃液は、環境に悪影響を及ぼす。
【0006】
このような問題点を解決するため、オリゴ糖を用いた水溶性助剤が開示されている。例えば、特開2004−51942号公報(特許文献5)には、樹脂成分(A)及び水溶性乳化媒体(B)で構成された分散体であって、乳化媒体(B)が、少なくともオリゴ糖(B1)で構成されている分散体、および前記分散体から乳化媒体(B)を溶出し、樹脂成分(A)で構成された成形体を製造する方法が開示されている。
この文献には、(i)前記乳化媒体(B)が、海島構造における連続相または共連続相を形成していてもよいこと、(ii)前記分散体は、樹脂成分(A)と乳化媒体(B)とを混練することにより調製できることが記載されている。
【0007】
このような技術の中で、特開2005−162841号公報(特許文献6)には、オリゴ糖(A1)と、このオリゴ糖(A1)を可塑化するための水溶性可塑化成分(A2)とで構成され、かつ実質的に水を含むことなく溶融成形可能な水溶性助剤が開示されている。この文献には、オリゴ糖を必須成分とする水溶性助剤成分と熱可塑性樹脂とを溶融攪拌し、熱可塑性樹脂を分散相、水溶性助剤成分を連続相とする分散体を得た後に、水溶性助剤成分を水により除去して、熱可塑性樹脂の粒子が得られることが記載されている。
【0008】
しかし、これらの文献に記載の水溶性助剤は、オリゴ糖で構成されており、オリゴ糖を熱可塑化するための助剤として開示されている単糖類、特にソルビトールとの組み合わせでは、溶融粘度を上昇させるには限界があり、樹脂の種類(例えば、粘度の比較的大きい樹脂)などによっては、溶融混練して成形体(例えば、樹脂粒子)を得ることには、困難性を要する場合がある。すなわち、開示されている糖組成物では、樹脂などの有機固体成分の溶融温度における剪断粘度が小さいため、有機固体成分と水溶性助剤とを均一に混合できず、その結果、効率よく粒子化などにより成形体を得られなくなる場合がある。特に、溶融粘度の高い熱可塑性樹脂では、粒子化、さらには小粒径化することが困難になる。
【0009】
特開2007−119674号公報(特許文献7)では、水溶性助剤を、少なくとも1つの環状構造(例えば、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで構成された環状構造)を有する多糖類で構成することにより、水溶性糖組成物の溶融混練時の粘度を上昇させた水溶性助剤が開示されている。
この文献で、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで構成された環状構造を有する多糖類として開示されているクラスターデキストリンを、水溶性可塑化成分であるソルビトールと組み合わせた糖組成物は、220℃を超える高温で溶融混練した際に、茶褐色の着色度合いが大きく、また高剪断速度で急激に粘度が下がるチキソトロピー性を示すことから、高温での溶融混錬を必要とする熱可塑性樹脂を上記特開2007−119674号公報に記載の方法で微粒子化した場合には、得られた粒子が着色したり、また糖組成物の再利用が困難であるという問題点があった。
特に、樹脂組成物の融点やガラス転移温度が高く、かつ溶融時の粘度が高い樹脂である場合には、上記特開2007−119674号公報に記載の方法で粒子化する場合には、高剪断速度で糖組成物(乳化媒体)の粘度が急激に低下して、分散相である樹脂組成物への剪断力が伝わりにくくなり均一な微粒子を得ることができないという問題点があった。
【特許文献1】特開平10−176065号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開昭60−13816号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開昭61−9433号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開平9−165457号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開2004−51942号公報(特許請求の範囲、段落番号[0103])
【特許文献6】特開2005−162841号公報(特許請求の範囲)
【特許文献7】特開2007−119674号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明が解決しようとする課題は、融点が高く溶融粘度が高い樹脂を用いた場合に、水溶性の糖組成物(乳化媒体、水溶性助剤)の溶融粘度が、このような溶融粘度が高い樹脂と適合する溶融粘度を示し、溶融粘度が高い樹脂であっても、この樹脂との溶融混練性を改善できるとともに、溶融混練又はその後の成形加工に伴って形成された所定形状の有機固体成分を溶融混練物(又は分散体)から容易に分離できる水溶性糖組成物(乳化媒体水、溶性助剤)とその用途(樹脂などの有機固体成分を含む溶融成形可能な組成物や分散体、特に粒子)がなかったことである。
【0011】
本発明の他の目的は、水に対する溶解性が高いとともに水溶液粘度が低く、水溶性成分を工業的に有利に溶出でき、水による溶出分離性の高い糖組成物(乳化媒体、溶性助剤)とその用途を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、溶融粘度が比較的高い樹脂であっても、小さい粒子径で樹脂粒子を得ることができる糖組成物(乳化媒体、溶性助剤)とその用途を提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、溶融粘度が比較的高い樹脂であっても、狭い粒径分布で粒子(有機固体粒子)を得ることができる糖組成物(乳化媒体、溶性助剤)とその用途を提供することにある。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、適性加工温度が比較的高い樹脂であっても、水溶性助剤の着色に起因する着色を抑えた粒子を得ることが出来る糖組成物(乳化媒体、溶性助剤)とその用途を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、樹脂粒子などの粒径のサイズ(および粒径分布)や成形体の孔径を簡便にかつ効率よくコントロールできる糖組成物(乳化媒体、溶性助剤)とその用途を提供することにある。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、溶融粘度が高い樹脂の樹脂粒子などの成形体を工業的に有利に製造するのに適した糖組成物(乳化媒体、溶性助剤)とその用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、20糖以上の糖組成比が30重量%以上かつ80重量%以下、2糖の糖組成比が5重量%以上かつ25重量%以下かつ、2糖と単糖の糖組成比の和が5重量%以上25重量%以下であるオリゴ糖アルコールを糖組成物(水溶性助剤、乳化媒体)として用いることにより糖組成物の溶融粘度が上がり、溶融粘度が高い樹脂と適合する溶融粘度を示し、溶融粘度が高い樹脂であっても、この樹脂との溶融混練性を改善できるとともに、溶融混練又はその後の成形加工に伴って形成された樹脂粒子を溶融混練物(又は分散体)から容易に分離できる水溶性助剤(乳化媒体)を得られることを見出し本発明に到達した。
しかも、この様なオリゴ糖アルコールと溶融粘度が高い樹脂からなる分散体は、混練後に水等の溶媒で抽出することにより分散体から容易に糖組成物を分離できることを見出し、本発明を完成した。
【0018】
すなわち、本発明のオリゴ糖アルコールは水溶性助剤(糖組成物)として用いられるものであり、20糖以上の糖組成比が30重量%以上かつ80重量%以下、2糖の糖組成比が5重量%以上かつ25重量%以下かつ、2糖と単糖の糖組成比の和が5重量%以上25重量%以下であるオリゴ糖アルコールである。そして還元糖の含有量が1重量%以下である。
本発明の、オリゴ糖アルコールは、温度220℃、剪断速度128sec−1で測定したせん断粘度(η1)が、η1が5以上かつ100以下PaSecであり、かつ
温度220℃、剪断速度128sec−1で測定したせん断粘度(η1)と220℃、362sec−1で測定したせん断粘度(η2)の比であるη1/η2が2未満であり、このようなオリゴ糖アルコールは、溶融粘度が高い樹脂と混錬した場合でも、溶融粘度が高い樹脂を用意に球状化できる。
【0019】
更に本発明は、220℃以上の加工温度(T℃)で、上記加工温度であるT℃において剪断速度362sec−1で測定した剪断粘度(ηr)が3PaSec以上、50PaSec以下である熱可塑性樹脂(C)と請求項1から4のいずれかに記載のオリゴ糖アルコールとを溶融混練することにより得られる分散体を提供する。
本発明は更に糖組成物を連続相、熱可塑性樹脂を分散相とする海−島構造を有する分散体を提供する。
更に本発明は上記の分散体を水に浸漬し、糖組成物を除去することにより、熱可塑性樹脂からなる粒子を得る方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明を用いると、溶融可能な樹脂成分とオリゴ糖アルコール(糖組成物、乳化媒体、水溶性助剤)を組み合わせて溶融混合又は混練し、オリゴ糖アルコールで構成されたマトリックスと、このマトリックス中に分散し、かつ溶融可能な樹脂成分で構成された分散相とで構成された分散体を、溶融可能な樹脂成分に対する貧溶媒であり、かつオリゴ糖アルコールに対する良溶媒である溶媒(好ましくは水)で溶出又は溶解し、固液分離し、粒子状の樹脂成形物を得る方法において、溶融粘度が高い樹脂成分を用いた場合でも分散体のマトリックスを形成するオリゴ糖アルコール(糖組成物、乳化媒体、水溶性助剤)が高い溶融粘度を保つので安定した樹脂の分散状態を示す分散体を得ることができる。
【0021】
さらに溶融可能な二成分を溶融状態で混練して得られた分散体より、一方の成分を除去することにより、他方よりなる粒子状形状を有した成形体を得るための製造方法において、除去された成分の固形化が容易に出来ることから、これらの樹脂成形体を工業的に有利に製造するのに適している。マトリックス(連続相)のオリゴ糖アルコール組成物(乳化媒体、水溶性助剤)を溶出した液を廃棄する必要がなく、環境負荷も低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[オリゴ糖アルコール]
本発明のオリゴ糖アルコールは20糖以上の糖組成比が30重量%以上かつ80重量%以下、2糖の糖組成比が5重量%以上かつ25重量%以下かつ、2糖と単糖の糖組成比の和が5重量%以上25重量%以下である。
尚、本発明においては特に断り書きが無い場合には、オリゴ糖アルコールとは、澱粉などの多糖を加水分解して得られたオリゴ糖を水添し、分子鎖の末端を非還元型としたものである。多糖は組成上の多様性を有している。例えば、澱粉代表的な多糖類ではあるが、その構造によって アミロースと アミロペクチンに分けられる。
アミロースは直鎖状の分子で、 分子量が比較的小さい。アミロペクチンは枝分かれの多い分子で、分子量が比較的大きい。アミロースとアミロペクチンの性質は異なるが、澱粉の中には両者が共存している。澱粉の直鎖部分は、グルコースがα1-4結合で連なったもので、分岐は直鎖の途中からグルコースのα1-6結合による。アミロースはほとんど分岐を持たないが、アミロペクチンは、平均でグルコース残基約25個に1個の割合でα1-6結合による分枝構造をもつ(直鎖部分の長さは18〜24残基、分岐間は5〜8残基の間隔がある)。
【0023】
このような多様性を有している澱粉を加水分解したオリゴ糖も多様性を有している。そして当然、このオリゴ糖を水添したオリゴ糖アルコールも多様性を有しているものである。
したがって、糖アルコールであれば、原理的に還元末端を持たないものであるので、非還元性であるはずであるが、上記の多様性や水添の均一性に従い還元糖を微量に含むものである。本発明においては、このような還元糖を微量に含む糖アルコールと還元糖の混合物を糖アルコールと称するものとする。このような澱粉などの高分子の多糖類を加水分解した場合は加水分解の程度により構成糖の糖数は様々な割合を取る。そして構成糖の糖数が20糖以上のものを多く含有させようとすると必然的に単糖や二糖の成分は少なくなる。
【0024】
このため、通常の方法により加水分解して水添した場合は本発明のような20糖以上の糖組成比が30重量%以上かつ80重量%以下、2糖の糖組成比が5重量%以上かつ25重量%以下かつ、2糖と単糖の糖組成比の和が5重量%以上25重量%以下であるような糖アルコールを得ることはできない。このため本発明においては糖構成比の異なる二種類の糖アルコールを混合することで、本発明の構成に即した糖構成比の糖アルコールを得ることができる。
【0025】
すなわち本発明では、上記の通り4糖以上のオリゴ糖アルコールの糖組成比が80重量%以上のオリゴ糖アルコール(A)と二糖アルコール(B)とを混合することからなる糖アルコール組成物をオリゴ糖アルコールと称する。尚、オリゴ糖アルコール(A)と二糖アルコール(B)に加えて単糖の糖アルコールを加えたものも本発明に用いても良い。
尚、本発明のオリゴ糖アルコールの糖構成比においては20糖以上の糖組成比は30重量%以上かつ80重量%以下であり、好ましくは35重量%以上70重量%以下であり、更に好ましくは40重量%以上60重量%以下、より良く好ましくは45重量%以上55重量%以下である。
【0026】
また、2糖の糖組成比が5重量%以上25重量%以下、好ましくは5重量%以上20重量%以下、より好ましくは5重量%以上11重量%以下、特に好ましくは、7重量%以上11重量%以下である。
また2糖と単糖の糖組成比の和は5重量%以上25重量%以下、好ましくは7重量%以上20重量%以下、特に好ましくは7重量%以上22重量%以下、より良く好ましくは10重量%以上15重量%以下である。単糖の糖構成比は少なくても良く、0.1重量%以上6重量%以下、好ましくは0.1重量%以上1.5重量%以下である。
これらの糖構成比の組み合わせとしては、好ましくは20糖以上の糖組成比が35重量%以上70重量%以下であり、かつ2糖の糖組成比が5重量%以上20重量%以下、かつ2糖と単糖の糖組成比の和が7重量%以上20重量%以下であり、より好ましくは20糖以上の糖組成比が45重量%以上55重量%以下でかつ、2糖の糖組成比が5重量%以上11重量%以下でかつ、2糖と単糖の糖組成比の和が10重量%以上15重量%以下である。
【0027】
20糖以上の糖構成比が80重量%を超える場合には、熱可塑性樹脂との溶融混錬時にオリゴ糖アルコールが十分に可塑化されない。また20糖以上の糖構成比が30重量%未満の場合は、熱可塑性樹脂との溶融混錬時にオリゴ糖アルコールの溶融粘度が高くならない。また、2糖の糖組成比が5重量%未満の場合は、やはり熱可塑性樹脂との溶融混錬時にオリゴ糖アルコールが十分に可塑化されない。
また2糖と単糖の糖組成比の和が5重量%未満の場合は熱可塑性樹脂との溶融混錬時にオリゴ糖アルコールが十分に可塑化されない。そして2糖と単糖の糖組成比の和が25重量%を超える場合は熱可塑性樹脂との溶融混錬時にオリゴ糖アルコールの溶融粘度が高くならない。
【0028】
本発明のオリゴ糖アルコールにおいては、20糖以上の糖構成比を高く(例えば45重量%以上)して、2糖の糖組成比を低く(例えば12重量%以下)とし、かつ2糖と単糖の糖組成比の和を2等の糖組成比と近くすうる、すなわち単糖成分を少なくした場合に熱可塑性樹脂との溶融混錬時にオリゴ糖アルコールの粘度を最も高くし、かつ十分に可塑化させることができる。
【0029】
[オリゴ糖アルコール(A)]
以下本発明で用いる4糖以上のオリゴ糖アルコールの糖組成比が80重量%以上のオリゴ糖アルコールについて説明する。
【0030】
オリゴ糖アルコール(A)は、ホモオリゴ糖多糖類の糖アルコールであってもよくヘテロオリゴ糖多糖類の糖アルコールであってもよい。しかしながらホモオリゴ多糖類の糖アルコールである方が好ましい。オリゴ糖アルコール(A)としては、4糖以上の糖組成比が80重量%以上のオリゴ糖アルコールであれば用いることができ、好ましくは4糖以上の糖組成比が90重量%以上のオリゴ糖アルコール、更に好ましくは4糖以上の糖組成比が95重量%以上のオリゴ糖アルコールが用いることができる。
このようなオリゴ糖アルコールの中でも、20糖以上の糖組成比が高いものが熱可塑性樹脂との溶融混錬時の耐熱性の点から好ましく用いることができる。具体的には20糖以上の糖組成比が30重量%以上、より好ましくは20糖以上の糖組成比が30重量%以上、更に好ましくは20糖以上の糖組成比が40重量%以上、より好ましくは20糖以上の糖組成比が50重量%以上のオリゴ糖アルコールが用いることができる。
【0031】
これらのオリゴ糖アルコールの糖構成としては、例えば、二糖類〜二十糖類で構成されていても良い。特には五糖から十糖が5重量%から20重量%程度で構成されていても良い。なお、オリゴ糖アルコール(A)は無水物でもあってもよい。また、オリゴ糖アルコール(A)において、一部の構成糖が糖類である糖と糖アルコールとが結合しているものであってもよい。これらの、糖と糖アルコールから構成されるオリゴ糖アルコール(A)としては、オリゴ糖の部分水添加物などが挙げられる。
しかしながら、耐熱性の観点から分子鎖末端が還元末端であるのが好ましい。さらに、オリゴ糖アルコール(A)は複数の糖アルコール成分で構成されたオリゴ糖アルコールの混合物であってもよく、多糖類の水添と分解により生成するオリゴ糖アルコール組成物であってもよい。
【0032】
本発明においては、オリゴ糖アルコール(A)と二糖アルコール(B)との混合物であるオリゴ糖アルコールにおいて還元糖の含有量が1重量%以下範囲内で、オリゴ糖アルコール(A)にオリゴ糖などの糖(この場合の糖は糖アルコールを示すものではない)を含有していても構わない。
上記の通り、オリゴ糖アルコール(A)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。オリゴ糖アルコールは水に対する溶解速度が速いため、前記分散体から樹脂粒子を効率よく生成できる。
【0033】
このようなオリゴ糖アルコール又はオリゴ糖アルコール組成物としては、例えば、還元デンプン糖(還元デンプン糖化物)、還元ガラクトオリゴ糖化物、などが挙げられ、これらの成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。例えば、還元デンプン糖化物は、デンプンに酸又はグルコアミラーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖を還元したオリゴ糖アルコール組成物であり、実質的には複数個のグルコースが結合したグルコースの構成糖の数が異なるオリゴ糖アルコールの混合物である。
【0034】
デンプン糖アルコールとしては、例えば、東和化成工業(株)製の還元デンプン糖化物(商品名:PO−10、四糖類の以上の糖構成比90重量%以上)などが挙げられる。
【0035】
オリゴ糖アルコール(A)は実質的に還元型(マルトース型)である必要があり、このようなオリゴ糖は、耐熱性に優れるため好ましい。
【0036】
具体的にはデンプン部分加水分離物を還元して得ることができる。これらの還元水飴の製造法としては、例えばデンプンの加水分離物により得られる単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、デキストリンなどを含むDE20〜50の糖液を精製、濃縮後、水素で還元得ることができる。
【0037】
[オリゴ糖アルコールの物性]
混練により樹脂成分(樹脂成分など)を分散させるためには、オリゴ糖アルコール(A)粘度は高いのが望ましい。具体的には、B型粘度計を用いて温度25℃で測定したとき、オリゴ糖アルコール(A)の50重量%水溶液の粘度は、例えば、1〜500Pa・ses、好ましくは2〜250Pa・sec(例えば、3〜100Pa・sec)、さらに好ましくは4〜50Pa・sec(例えば、6〜50Pa・sec)程度である。
【0038】
オリゴ糖アルコール(A)の融点又は軟化点は、溶融可能な樹脂成分(樹脂成分など)の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)より高いのが好ましい。なお、融点又は軟化点を示さず、熱分解するオリゴ糖アルコール(A)[例えば、還元デンプン糖化物などのデンプン糖など]では、分解温度をオリゴ糖アルコール(A)の「融点又は軟化点」としてもよい。
明瞭な融点や軟化点を示さない熱分解性オリゴ糖アルコール(A)糖であっても、水溶性可塑化成分(A2)で可塑化できるため、有効に使用できる。オリゴ糖アルコール(A)の融点又は軟化点は、樹脂成分(C)の種類などに応じて、70〜300℃の範囲で選択でき、例えば、90〜290℃、好ましくは100〜280℃(例えば、110〜270℃)、さらに好ましくは120〜260℃(例えば、130〜260℃)程度であってもよい。
【0039】
なお、一般にオリゴ糖アルコール(A)の無水物は、高い融点又は軟化点を示す。オリゴ糖アルコール(A)糖の融点又は軟化点と樹脂成分(C)の熱変形温度との温度差は、例えば、1〜80℃、好ましくは10〜70℃、さらに好ましくは15〜60℃程度である。
【0040】
[二糖アルコール(B)]
本発明で二糖アルコール(B)と称しているものは、単糖2分子がグリコシド結合あるいはガラクシド結合により1分子となった二糖のアルドースやケトースのカルボニル基が還元されて生成する糖アルコールである。
このような二糖アルコール(B)を生成することができる二糖は、単糖と単糖の結合様式がグルコース環の1-1結合、1-2結合、1-3結合、1-4結合、1-6結合の結合様式が考えられ、またα体とβ体の結合様式が考えられるためグルコース二分子からなる二糖としては、トレハロース、イソトレハロース、コージビオース、ソホロース、ニゲロース ラミナリビオース、マルトース(麦芽糖)、セロビオース、イソマルトース、ゲンチオビオースなどが挙げられる。またヘテロオリゴ糖としてはβ-ガラクトースとβ-グルコースが1,4ガラクシド結合したラクトース、あるいは β-グルコースとフルクトースがグリコシド結合したスクロース、パラチノースなどが挙げられる。
そしてこれらの二糖のオリゴ糖に対応した二糖アルコールが考えられるが、本発明に好適な具体的な二糖アルコール(B)としては、マルチトールもしくはラクチトールである。
【0041】
尚、本発明においては、二糖糖アルコール(B)以外に単糖アルコールを添加することができる。単糖アルコールとしてはソルビトールが最も好適である。単糖アルコールは少なくとも二糖アルコールよりも少ない重量比で使用され、二糖アルコールと単糖アルコールの比率は重量比で前者/後者で、50/50以下であり、好ましくは70/30以下、より好ましくは80/20以下である。
本発明のオリゴ糖アルコール以外の糖アルコールとしては二糖アルコールのみで構成されても良い。これらの二糖アルコール以外の糖アルコールは少なくとも二糖アルコールよりも少ない重量比で使用され、二糖アルコールと二糖以外の糖アルコールの比率は重量比で前者/後者で、50/50以下であり、好ましくは70/30以下、より好ましくは80/20以下である。本発明のオリゴ糖アルコール以外の糖アルコールとしては二糖アルコールのみで構成されても良い。
【0042】
本発明においてはオリゴ糖アルコール(A)と二糖アルコール(B)との重量割合は、例えば、前者/後者=99/1〜50/50(例えば、95/5〜50/50)程度の範囲から選択でき、通常、95/5〜60/40(例えば、90/10〜55/45)、好ましくは90/10〜65/35(例えば、85/15〜70/30)程度である。
【0043】
[分散体及びその製造方法]
このようなオリゴ糖アルコールは、溶融可能な熱可塑性樹脂と組み合わせて溶融混合又は混練し、前記樹脂で構成された分散相を生成させるための乳化媒体として有用である。すなわち、本発明では、熱可塑性樹脂と組み合わせて溶融混合又は混練し、糖組成物で構成されたマトリックス(連続相)と、このマトリックス中に分散し、かつ熱可塑性樹脂成分で構成された分散相とで構成された分散体を生成させる。 このような分散体の製造方法としては特開2004−51942号公報、特開2005−162841号公報、特開2007−119674号公報に記載された方法を用いることができる。
【0044】
[オリゴ糖アルコールの還元糖]
上記の通り、本発明のオリゴ糖は好ましくは澱粉の加水分解物の水添加物をその構成に含む。このような、ものは水添の不均一に起因する還元糖を含む場合がある。本発明では、このオリゴ糖アルコールに含まれる還元糖は少ない方が好ましい。具体的な還元糖の含有量としては還元糖の含有量が1重量%以下、好ましくは0.8重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。還元糖はトレース量程度含まれるものであっても良い。具体的には0.01重量%程度の還元糖の含有量で、上記の1重量%以下、好ましくは0.8重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下であれば本発明に好ましく用いることができる。
【0045】
還元糖の測定方法(定量方法)としてはベルトラン法を用いることができる。ベルトラン法とはフェーリング液を還元糖をとともに加熱すると、 Cu2+は糖によって還元されてCu2Oの赤色沈殿となる。 この反応(反応式)は化学量論的には進行しないが、反応条件を定めれば生成するCu2O量は還元糖の量によってきまる。生成したCu2OをFe2(SO4)3溶液 (Feは3価のFe3+)に溶かすと、還元されてFeSO4(Feは2価のFe2+)となる。このFeSO4をKMnO4標準溶液で滴定することによって、還元糖と反応したCu量を求めるというものである。
【0046】
[オリゴ糖アルコールの糖組成比]
オリゴ糖アルコールの糖組成比は、高速液体クロマトグラム(HPLC)を用いてもとめることができる。オリゴ糖アルコールを構成するさまざまな糖アルコールについてその分子量に応じて分配されるカラムであれば、本発明の糖組成比を分析するのに用いることができる。好適なカラムとしてはサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)カラムを用いて、構成糖数が大きいオリゴ糖アルコールを分離し、配位子交換モードとサイズ排除モードとの組み合わせにより糖類を分離するカラムを用いて単糖や二糖に近いものを分離するカラムの組み合わせが好ましい。カラム温度は低温で分析を行なった場合は分離性能が悪くなるので、80℃程度のカラム温度で分析を行なうのが好ましい。
また抽出溶媒は水を用いるのが好ましく、水で分離できるカラムを選択するのが好ましい。抽出速度についてはピークの分離ができる範囲であれば特に限定はないものの、0.5から1mL/min 程度の抽出速度で分析を行なうのがピークの分離上好ましい。
【0047】
[オリゴ糖アルコールの剪段粘度]
本発明のオリゴ糖アルコールは特定の糖構成比を取ることにより高温でかつ高剪断応力下でも高い剪断粘度を保つ。本発明のオリゴ糖アルコールの高剪断応力下での粘度としては温度220℃、剪断速度128sec−1で測定したせん断粘度(η)が、ηが5以上かつ100以下PaSecであり、かつ温度220℃、剪断速度128sec−1で測定したせん断粘度(η)と220℃、362sec−1で測定したせん断粘度(η)の比であるη/ηが2未満である。
【0048】
この場合の剪断粘度とは粘性流動下での非ニュートン流での粘性を指し示す尺度であり、モデル的には無限平行板間での剪断速度に依存した粘度である。これらの粘度は通常はキャピラリー式のレオメータで、溶融樹脂の流動特性である溶融せん断粘度を測定する専用機でJIS-K7119、ISO-11443の測定法で測定することができる。
例えば株式会社東洋精機製作所が製造する装置では、このようなキャピラリレオメータをキャピログラフと呼ばれている。そして高分子材料を加熱されたバレル内からキャピラリを通して押出するときの押出速度、圧力から、溶融粘度を求めることができる。また、回転式レオメーターの定常流モードを用いても測定することができる。
【0049】
本発明ではこのような、剪断下での溶融粘度を剪断粘度と称する。剪断粘度は一般的に剪断速度に依存し、剪断速度が高くなると剪断粘度は低くなる。また同一剪断速度であれば一般的に温度が高くなるほど剪断粘度は低下する。本発明の糖組成物はこのような高温度でかつ高剪断速度であっても高い剪断粘度を保持する。
【0050】
[熱可塑性樹脂]
以下本発明において用いる熱可塑性樹脂について説明する。
なお、本明細書において、「高分子」「疎水性ポリマー」「親水性ポリマー」「水溶性高分子」「プラスチック」「熱可塑性樹脂」などの用語は、「新版高分子辞典」(朝倉書店発行 高分子学会編:19988年11月25日初版)の定義を参照できる。ただし、粒子に対して「高分子」という用語を用いている場合には、上記の「新版高分子辞典」の「プラスチック」という用語と同義(天然および合成樹脂を主原料に、これに充填剤、可塑剤、安定剤、顔料などの添加剤を加えたもの)を意味する場合がある。また、「樹脂粒子」のように粒子の構成物質として「樹脂」という用語を用いている場合は上記の「新版高分子辞典」で定義する「プラスチック」と同義である場合がある。また、特定高分子の名称の後に「樹脂」という用語を用いている場合は、JIS工業用大辞典 (財団法人 日本規格協会発行・編集:1996年10月20日発行 第3刷)の広義の意味、すなわち「プラスチック用の基盤材料であるいくつかの重合体を明示するためにも使用される。」と同一の意味である。
【0051】
熱可塑性樹脂としては、前記糖組成物で形成された分散相すなわち糖組成物(乳化媒体、水溶性助剤)に対して非相溶の種々の熱可塑性樹脂が使用できる。代表的な熱可塑性樹脂としては、例えば、ビニル重合高分子(スチレン樹脂、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル樹脂又はその誘導体など)、縮合高分子(ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ(チオ)エーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂など)、天然物由来樹脂(セルロース誘導体など)などが例示できる。
これらの樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0052】
スチレン樹脂としては、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど)の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体など)、が挙げられる。
【0053】
オレフィン樹脂としては、α−C2-6オレフィンの単独又は共重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(メチルペンテン−1)などのオレフィンの単独又は共重合体、オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)が挙げられる。特に、本発明では、環状ポリオレフィンからなる高分子(例えばノルボルネンをモノマーとして用いた高分子)などの比較的溶融粘度が高いオレフィン樹脂であっても、好適に使用できる。
【0054】
環状オレフィン樹脂(シクロオレフィン樹脂など)は、環状オレフィンを少なくとも重合成分とする高分子であればよい。環状オレフィンは、単環式オレフィンであってもよく、多環式オレフィンであってもよい。また、環状オレフィンは、置換基{例えば、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基などのC1-10アルキル基、好ましくはC1-5アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのC5-10シクロアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6-10アリール基)、アルケニル基(例えば、プロペニル基などのC2-10アルケニル基など)、シクロアルケニル基(例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などのC5-10シクロアルケニル基など)、アルキリデン基(例えば、エチリデン基などのC2-10アルキリデン基、好ましくはC2-5アルキリデン基など)など]、アルコキシ基(例えば、メトキシ基などのC1-10アルコキシ基、好ましくはC1-6アルコキシ基)、アシル基(例えば、アセチル基などのC2-5アシル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1-10アルコキシ−カルボニル基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基(=O)、複素環基(ピリジル基などの窒素原子含有複素環基など)など}を有していてもよい。環状オレフィンは、単独で又は2種以上組みあわせて置換基を有していてもよい。
【0055】
具体的な環状オレフィンとしては、単環式オレフィン類[例えば、シクロアルケン(例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのシクロC3-10アルケンなど)など、シクロアルカジエン(例えば、シクロペンタジエンなどのシクロC3-10アルカジエン)など];二環式オレフィン類{例えば、ビシクロアルケン[例えば、ノルボルネン類(例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5又は5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,6−ジメトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,6−ジ(トリフルオロメチル)−2−ノルボルネン、7−オキソ−2−ノルボルネンなど)などのC4-20ビシクロアルケンなど]、ビシクロアルカジエン[例えば、ノルボルナジエン類(例えば、2,5−ノルボルナジエン、5−メチル−2,5−ノルボルナジエン、5−シアノ−2,5−ノルボルナジエン、5−メトキシカルボニル−2,5−ノルボルナジエン、5−フェニル−2,5−ノルボルナジエン、5,6−ジメチル−2,5−ノルボルナジエン、5,6−ジ(トリフルオロメチル)−2,5−ノルボルナジエン、7−オキソ−2−ノルボルナジエンなど)など]など}、三環式オレフィン{例えば、トリシクロアルケン[例えば、ジヒドロジシクロペンタジエン類(ジヒドロジシクロペンタジエンなど)などのC6-25トリシクロアルケンなど]、トリシクロアルカジエン[例えば、ジシクロペンタジエン類(ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなど)、トリシクロ[4.4.0.12,5 ]ウンデカ−3,7−ジエン、トリシクロ[4.4.0.12,5 ]ウンデカ−3,8−ジエンなどのC6-25トリシクロアルカジエンなど]など}、四環以上の多環式オレフィン{例えば、四環式オレフィン[例えば、テトラシクロアルケン(例えば、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンなどのC8-30テトラシクロアルケンなど)など]、五環式オレフィン[例えば、ペンタシクロアルカジエン(例えば、トリシクロペンタジエンなどのC10-35ペンタシクロアルカジエン)など]、六環式オレフィン[例えば、ヘキサシクロアルケン(例えば、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘプタデセンなどのC12-40ヘキサシクロアルケン)など]など}などの多環式オレフィン類などが挙げられる。
【0056】
環状オレフィン樹脂は、環状オレフィンモノマーの単独又は共重合体(例えば、単環式オレフィンと多環式オレフィンとの共重合体など)であってもよく、環状オレフィンと共重合性単量体との共重合体であってもよい。共重合性単量体としては、共重合可能な限り特に限定されないが、鎖状オレフィン[アルケン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどのC2-20アルケン)、アルカジエン(例えば、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役C5-20アルカジエン)など]、重合性ニトリル化合物(例えば、(メタ)アクリロニトリルなど)、(メタ)アクリル系単量体(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸など)、不飽和ジカルボン酸又はその誘導体(無水マレイン酸など)などが挙げられる。共重合性単量体は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
【0057】
好ましい環状オレフィン樹脂には、多環式オレフィン(例えば、二乃至六環式オレフィンなど)を重合成分とする樹脂、特に、多環式オレフィンのうち、ノルボルネン系単量体(又はノルボルネン骨格を有する単量体、例えば、前記ノルボルネン類、前記ジシクロペンタジエン類など)を重合成分とする高分子などが挙げられる。環状オレフィン樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
【0058】
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリルなど)の単独又は共重合体からなる高分子からなる樹脂が挙げられる。
【0059】
ハロゲン含有樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン系樹脂、フッ素樹脂などが例示できる。
ビニルエステル樹脂又はその誘導体としては、例えば、カルボン酸ビニルエステルの単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、これらのケン化物(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系樹脂)、ケン化物(ビニルアルコール系樹脂)からの誘導体(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール系樹脂など)などが例示できる。エチレン−ビニルアルコール共重合体において、エチレン含量は5〜40重量%程度であってもよい。
【0060】
ポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分、ジオール成分、オキシカルボン酸、ラクトン類を用いた種々の樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロへキシルジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2-6アルキレンアリレート系樹脂、C2-6アルキレンアリレート単位を主成分(例えば、50重量%以上)として含むコポリエステル(例えば、共重合成分が、オキシアルキレン単位を有する(ポリ)オキシC2-4アルキレングリコールやC6-12の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸などの非対称性芳香族ジカルボン酸などのコポリエステル)、ポリアリレート系高分子、液晶性ポリエステルなどの芳香族ポリエステル;ポリC2-6アルキレンオギザレート、ポリC2-6アルキレンサクシネート、ポリC2-6アルキレンアジペートなどのポリ(C2-6アルキレングリコール−C2-10脂肪族ジカルボン酸エステル)、ポリオキシカルボン酸ポリマー(例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸、グリコール酸−乳酸共重合体など)、ポリラクトン系ポリマー(例えば、ポリカプロラクトンなどのポリC3-12ラクトン系樹脂など)、これらのコポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン−ポリブチレンサクシネート共重合樹脂など)などが挙げられる。
【0061】
ポリアミド樹脂、例えば、脂肪族ポリアミドポリマー(例えば、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1212など)、コポリアミド(例えば、ポリアミド6/11,ポリアミド6/12,ポリアミド66/11,ポリアミド66/12など);脂環式ポリアミド高分子;芳香族ポリアミド高分子などが挙げられる。ポリアミド高分子のジカルボン酸成分はダイマー酸単位を含んでいてもよい。
【0062】
ポリウレタン樹脂としては、例えば、ジイソシアネート類と、ポリオール類(例えば、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなど)と、必要により鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタンポリマーが例示できる。
【0063】
ポリ(チオ)エーテル樹脂としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリマー、ポリフェニレンエーテルポリマー、ポリフェニレンエーテルケトンポリマー、ポリスルフィドポリマー、ポリエーテルケトンポリマー(ポリエーテルエーテルケトン系ポリマーを含む)などが含まれる。
【0064】
ポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂などのビスフェノール類をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。 ポリスルホン樹脂としては、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリールスルホン樹脂などが例示できる。ポリイミド樹脂としては、ポリエーテルイミドポリマー、ポリアミドイミドポリマー、ポリベンズイミダゾールポリマーなどが例示できる。
【0065】
セルロース誘導体としては、セルロースエステル類(、セルロースエーテル類、セルロースカーバメート類などが挙げられる。
【0066】
熱可塑性樹脂には、熱可塑性エラストマー(ハードセグメントとソフトセグメントで構成されたブロック共重合ポリエステル及び同ポリアミド)なども含まれる。
【0067】
樹脂と糖組成物との重量割合は、樹脂及び糖組成物の種類や粘度、樹脂と糖組成物との相溶性などに応じて選択でき、通常、成形性を損なわない範囲、例えば、樹脂/糖組成物=55/45〜1/99、好ましくは50/50〜5/95、さらに好ましくは45/55〜10/90程度である。
【0068】
[添加剤]
前記溶融混合又は混練系には、種々の添加剤(溶融混練温度で融解してもよい添加剤など)を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤又は軟化剤、滑剤又はワックス類、充填剤、安定剤、分散剤、難燃剤、帯電防止剤、電荷制御剤(ニグロシン染料、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、アミン系化合物などの正荷電制御剤;サリチル酸金属錯体、アゾ染料金属錯体、銅フタロシアニン染料、ニトロイミダゾール誘導体、尿素誘導体などの負電荷制御剤など)、流動化剤、架橋剤、結晶核剤、抗菌剤、防腐剤、油溶性染料などを含んでいてもよい。
なお、着色剤は、蛍光顔料又は染料、蓄光顔料などであってもよい。充填剤は、粉粒状であってもよく繊維状であってもよい。これらの充填剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0069】
これらの添加剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤は、樹脂成分と添加剤とを溶融混練して樹脂成分に予め含有させていてもよく、樹脂成分と前記糖組成物との溶融混合又は混連過程で混合又は混練系に含有させてもよい。
前記添加剤は、最終製品である複合樹脂粒子の用途などに応じて選択でき、例えば、電荷制御剤、流動化剤、ワックス類などを用いてもよい。糖組成物糖組成物と溶融可能な樹脂成分との溶融混合又は混練は、糖組成物及び樹脂が溶融可能な温度で行えばよく、溶融混合又は混練は、慣用の混練機(例えば、単軸もしくは二軸スクリュー押出機、ニーダー、カレンダーロール、バンバリーミキサーなど)を用いて行なうことができる。
【0070】
[樹脂粒子]
分散体のマトリックスである糖組成物を、樹脂成分に対する貧溶媒であり、かつ糖組成物に対する良溶媒である溶媒(樹脂を溶解せず、マトリックスを溶解する溶媒)で、常圧、減圧又は加圧下で溶出又は溶解することにより、樹脂粒子を生成できる。
マトリックスの溶出又は溶解には、種々の溶媒、例えば、水、水溶性溶媒(例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)、エーテル類(セロソルブ、ブチルセロソルブなど)など)が使用できる。好ましい溶媒は水である。
【0071】
溶出は、慣用の方法、例えば、前記分散体を、前記溶媒中に浸漬、分散して、マトリックスを溶出・溶解又は洗浄(溶媒に移行)することに行うことができる。なお、糖組成物の分散及び溶出を促進するため、超音波を作用させたり、撹拌してもよい。分散体からの糖組成物マトリックスの溶出温度は、例えば、10〜100℃程度の範囲から選択できる。
生成した樹脂粒子は、濾過、遠心分離などの固液分離方法を用いて分離し、必要により乾燥することにより回収できる。なお、マトリックスの溶出又は溶解率は、通常、95重量%以上(95〜100重量%)、特に98重量%以上(98〜100重量%)である。
【0072】
樹脂粒子の平均粒子径(体積平均粒子径)は、特に制限されず、用途に応じて、0.1μm〜1mm(例えば、0.1〜800μm)程度の範囲から選択でき、例えば、0.2〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、さらに好ましくは0.7〜30μm、特に1〜20μm程度であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の糖組成物は、流動性及び取り扱い性が高く、粉塵爆発等の発生の危険がなく安全性も高い。また、糖組成物は樹脂成分と組み合わせて溶融混合又は混練し、樹脂粒子を製造するのに有用である。
【実施例】
【0074】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例では下記の成分を用いた。
【0075】
(A)樹脂1:環状オレフィン樹脂 (ポリプラスチックス株式会社製TOPAS(登録商標)5013)
(B)樹脂2:ポリアミドエラストマー樹脂(ダイセル・エボニック株式会社製、ベスタアミド(登録商標)E62)
(C)樹脂3:ポリエステルエラストマー樹脂(東洋紡株式会社製、ペルプレンS(登録商標)1002)
(D)樹脂4:フッ素系エラストマー樹脂(ダイキン化学工業株式会社製、RP4020)
【0076】
(E)A1:オリゴ糖アルコール(東和化成工業(株)製、還元デンプン糖化物PO−10、単糖組成比:1.1重量%、2糖組成比:1.7重量%、20糖以上の組成比:55重量%、還元糖含有量:0.5重量%以下)
(F)A2:環状構造を有する多糖(日本食品化工株式会社製 クラスターデキストリン)
(G)B1:二糖アルコール(マルチトール 三菱商事フードテック(株)製、Amalty、マルチトール含有量:90重量%以上、還元糖含有量:0.1重量%以下)
(H)B2:二糖アルコール(ソルビトール 三菱商事フードテック(株)製、LTS−P、D−ソルビトール含有量:90重量%以上、還元糖含有量:0.1重量%以下)
【0077】
糖類や樹脂粒子などの特性は以下のようにして測定した。
【0078】
[せん断粘度]
測定装置:回転式レオメーター(Perr Physica社製、UDS200)
プレート :パラレルプレート(25φもしくは50φ)
プレート間ギャップ: 1mm
測定モード:定常流
温度:220℃
【0079】
[糖組成比]
以下の構成の高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて糖組成比を分析した。
カラム : Shodex SUGAR KS-802, 803 (8.0mmID×300mm )
溶媒 : 水
検出器 : Shodex RI
カラム温度 : 80℃
流出速度 :0.5ml/min
サンプル濃度 :0.5W/V%
サンプル量 :20μml
得られたクロマトグラフから標準サンプルのリテンションタイムより構成糖を同定し、ピーク面積より糖組成比を求めた。
【0080】
[還元糖含有量]
以下に記載する手順でベルトラン法により還元糖含有量を測定した。
1. 過マンガン酸カリウム 5gを1リットルに溶かす。(KMnO4標準溶液 )
KMnO4溶液1mlに相当するCu量の測定( KMnO4標準溶液の標定)
(1) 特級Na224(デシケータ中で保存)を 約250mg精秤する。
(2) 蒸留水で溶解して、100mlに定容する。
(3) 濃硫酸1〜2ml加えて、加温する。
(4) 70〜80℃になったところでKMnO4溶液で 滴定を行う。滴定結果 よりKMnO4標準溶液の標定して、実際の規定数を算出しておく。
2. 還元糖の定量
(1) 硫酸鋼溶液、CuSO4・5H2O 40gを溶かして 1リットルにする(ベルトランA液)。酒石酸カリウム・ナトリウム200gとNaO H 150gを溶かして1リットルにする。(ベルトランB液)硫酸第2鉄溶液、Fe 2(SO4)3 濃硫酸110ml 溶解して1リットルにす る(ベルトランC液)
ベルトランA液20mlとベルトランB液20mlを混合する。
(2) 前もって予備試験を行い、試料溶液5ml中に還元糖として0.2〜0.8 gの糖を 含むように調整しておいた試料溶液を正確に20ml分取して、加える。
(3) 煮沸
(4) 3分経ったら、すぐに流水中で冷却する。
(5)Cu2Oの沈殿ができるが、 このとき上澄み液がまだ青色をしていること確 認する。
(6)吸引ろ過装置を用いて、沈殿を回収する。
(7)受器を交換し、沈殿をベルトランC液20mlで溶解する。ビーカー内、ガラス フィルター内を温水で洗浄して、すべてを受器に回収する。
(8)KMnO4標準溶液で 滴定を行う。
(9)試料を滴定したときの KMnO4溶液/の滴下量が Vmlならば、還元糖と 反応したCu量は KMnO4溶液1mlのCu量×Vとなる。このようにして、 求められたCu量に1/2倍することで還元糖の量とする。
【0081】
[粒子の外観および平均粒子径]
得られた粒子を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、FE−SEM、JSM−6700F)により観察し、表面形状及び全体形状の写真を得た。得られた走査型電子顕微鏡写真を用い、写真上に少なくとも200個の粒子が含まれるように任意のサイズの長方形を描き、その長方形内に存在する全粒子の真球換算の粒子径を算出した。得られた少なくとも200個の粒子径より、数平均粒子系及び体積平均粒子径を得た。
【0082】
[実施例1〜3、比較例1〜3]
上記のオリゴ糖アルコールA1、環状構造を有する多糖類A2、二糖アルコールB1及びB2をそれぞれ表1に記載の重量組成で、固体状態で混合した後、ブラベンダー(東洋精機(株)製、ラボプラストミル)を用いて、混練温度220℃および回転速度50rpmで10分間溶融混合(溶融混練)した。得られた組成物の、1糖組成比、2糖組成比、20糖以上の組成比、還元糖の含有量、220℃、128sec−1で測定したせん断粘度η、220℃、128sec−1で測定したせん断粘度η、及びη/ηを表1に記す。
また、この糖組成物を上記の溶融混錬後冷却し、水に溶解して熱可塑性糖組成物が10重量%溶解した水溶液を作成した。この水溶液をバーゼン標準の色見本を用いて目視により判定した。結果を表1に記す。
【表1】

【0083】
[実施例4〜8、比較例4〜6]
上記の熱可塑性樹脂1〜4、オリゴ糖アルコールA1、環状構造を有する多糖類A2、二糖アルコールB1及びB2をそれぞれ表1に記載の重量組成で、固体状態で混合した後、ブラベンダー(東洋精機(株)製、ラボプラストミル)を用いて、表2に記載の混練温度および回転速度50rpmで10分間溶融混合(溶融混練)し、冷却して塊状の樹脂組成物を得たのち、約5mm角に裁断した。
【0084】
得られた分散体(裁断物)を、25℃の純水中に浸漬し、樹脂粒子の懸濁溶液を得た。メンブレン膜(孔径0.45μm,ポリビニリデンフルオライド製)を用いて、前記懸濁液から不溶分を濾別し樹脂の微粒子を回収した。回収した微粒子を微粒子に対して重量比で20倍の蒸留水中に分散し、超音波槽において5分間超音波処理して懸濁液を得た。その後、再びメンブレン膜(孔径0.45μm,ポリビニリデンフルオライド製)を用いて、前記懸濁液から不溶分を濾別し、樹脂粒子を回収した。
【0085】
回収した樹脂粒子を、熱風乾燥機中に放置して、45℃で8時間乾燥し、その後、メノウ乳鉢とすり棒とを用いて、目視で凝集した部分がなくなるまで粉砕した。得られた樹脂粒子の数平均粒子径と体積平均粒子径を上記の測定方法により測定した。結果を表2に記す。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
20糖以上の糖組成比が30重量%以上かつ80重量%以下、2糖の糖組成比が5重量%以上かつ25重量%以下かつ、2糖と単糖の糖組成比の和が5重量%以上25重量%以下であるオリゴ糖アルコール。
【請求項2】
還元糖の含有量が1重量%以下である請求項1記載のオリゴ糖アルコール。
【請求項3】
温度220℃、剪断速度128sec−1で測定したせん断粘度(η)が、ηが5以上かつ100以下PaSecであり、かつ
温度220℃、剪断速度128sec−1で測定したせん断粘度(η)と220℃、362sec−1で測定したせん断粘度(η)の比であるη/ηが2未満であるオリゴ糖アルコール。
【請求項4】
温度220℃、剪断速度128sec−1で測定したせん断粘度(η)が、ηが5以上かつ100PaSec以下であり、かつ
温度220℃、剪断速度128sec−1で測定したせん断粘度(η)と220℃、362sec−1で測定したせん断粘度(η)の比であるη/ηが2未満である請求項1もしくは請求項2記載のオリゴ糖アルコール。
【請求項5】
220℃以上の加工温度(T℃)で、上記加工温度であるT℃において剪断速度362sec−1で測定した剪断粘度(η)が3PaSec以上、50PaSec以下である熱可塑性樹脂(C)と請求項1から4のいずれかに記載のオリゴ糖アルコールとを溶融混練することにより得られる分散体。
【請求項6】
オリゴ糖アルコールを連続相、熱可塑性樹脂を分散相とする海−島構造を有する請求項5記載の分散体。
【請求項7】
請求項6記載の分散体を水に浸漬し、糖組成物を除去することにより、熱可塑性樹脂からなる粒子を得る方法。

【公開番号】特開2009−197104(P2009−197104A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39158(P2008−39158)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】