オーダワイヤ通信システムおよびレイヤ2スイッチ
【課題】サーバ等を設置することなく複数のL2スイッチ間にオーダワイヤ回線を形成して複数の端末間の通信を低コストで実現するオーダワイヤ通信システムを提供する。
【解決手段】伝送路を介してループ状に接続された各L2スイッチが、自らの接続状態に関する情報を配下にある端末に通知する接続状態通知回路を備え、該各L2スイッチに収容された各端末は、前記接続状態通知回路からの情報を基に、自らが接続するL2スイッチの接続状態を自動的に認識して1つの端末をマスタ端末に設定し、該マスタ端末で判断したL2スイッチのトポロジーを残りの端末に伝達することにより、隣り合う端末の間を順に繋いだオーダワイヤ回線を形成する。
【解決手段】伝送路を介してループ状に接続された各L2スイッチが、自らの接続状態に関する情報を配下にある端末に通知する接続状態通知回路を備え、該各L2スイッチに収容された各端末は、前記接続状態通知回路からの情報を基に、自らが接続するL2スイッチの接続状態を自動的に認識して1つの端末をマスタ端末に設定し、該マスタ端末で判断したL2スイッチのトポロジーを残りの端末に伝達することにより、隣り合う端末の間を順に繋いだオーダワイヤ回線を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーダワイヤ(order wire)により音声等の通信を行うことが可能な通信システムおよび該システムに用いるレイヤ2スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の拠点間をオーダワイヤ機能により互いに接続してオーダワイヤ回線を形成し、該オーダワイヤ回線を利用して任意の拠点間で音声等を通信できるようにした通信システムが知られている。このオーダワイヤ通信システムでは、通常、IPマルチキャストにより各拠点間の通信が行われるため、各拠点に設けられる機器にIPアドレスを付与することが必要になる。
【0003】
例えば、特許文献1においては、端末に割り当てられたIPアドレスにより決まるマルチキャストアドレスを宛先として、参加表明コマンドおよび音声等のデータをマルチキャストすることにより、アドホックネットワークで多者間通信を実現する技術が開示されている。なお、通信システム内の各機器にIPアドレスを自動的に割り当てる仕組みに関しては、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)などがよく知られている。
【0004】
また、近年、レイヤ2スイッチ(以下、「L2スイッチ」とする)を使用した通信システムの構築が進められている。従来のL2スイッチは、例えば図1の機能ブロック図に示すように、LANポート部101、MAC(Media Access Control)アドレステーブル作成回路102および出力先選択回路103を備えている。
【0005】
具体的に、MACアドレステーブル作成回路102は、LANポート部101に入力されるフレーム信号の送信元情報に含まれるMACアドレスを認識(学習)し、該MACアドレスとLANポート部101の接続ポート番号との対応関係を示すMACアドレステーブルを作成および保存する。出力先選択回路103は、LANポート部101に入力されるフレーム信号の宛先情報に含まれるMACアドレスが、MACアドレステーブル作成回路102に保存されたMACアドレステーブルにあるか否かを判定し、該当するMACアドレスがある場合に当該フレーム信号がLANポート部101の対応する接続ポートに出力されるように出力先の切替えを行う。
【0006】
このような従来のL2スイッチ100を複数用意して互いに接続することにより、広域の通信システムを効率的に構築することが可能である。L2スイッチを使用した通信システムにおけるオーダワイヤに関しては、例えば、特許文献2において、L2スイッチに収容したオーダワイヤ電話機を含む複数の機器の間でIPパケットを送受信して音声通信を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−178236号公報
【特許文献2】特開2005−252371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記のような複数のL2スイッチを用いて構築される広域の通信システムについて、従来の技術によるオーダワイヤ回線を利用した各拠点間の通信を実現しようとすると、オーダワイヤ回線を形成するための特別な機器が必要になりコストの上昇が課題とな
る。
【0009】
具体的には、広域の通信システムにおける複雑なネットワーク構成に対応するために、例えば、各拠点にオーダワイヤ専用の機器を設置し、主信号を通信するためのネットワークとは別にオーダワイヤ用のネットワークを構築するか、または、オーダワイヤ専用のDHCPサーバを用意し、各拠点の機器にオーダワイヤ用のIPアドレスを自動的に割り当てる等の措置が必要になる。このような措置を施したオーダワイヤ通信システムは高コスト化なものになることが避けられない。
【0010】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、複数のL2スイッチを用いた通信システムについて、特別な機器を設置することなくオーダワイヤ回線を形成し、該オーダワイヤ回線を利用して複数の端末間の通信を低コストで実現するオーダワイヤ通信システムおよびL2スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明によるオーダワイヤ通信システムの一態様は、複数のL2スイッチと、前記複数のL2スイッチの間を互いに接続してループ状のネットワークを形成する伝送路と、前記複数のL2スイッチに収容される複数の端末と、を備える。前記複数のL2スイッチは、それぞれ、自らの接続状態に関する情報を、配下にある前記端末に通知する接続状態通知回路を含む。また、前記複数の端末は、前記L2スイッチの接続状態通知回路から通知される情報に基づいて、いずれか1つの端末をマスタ端末に設定し、該マスタ端末が、前記複数のL2スイッチのトポロジーを判断して、該判断結果を残りの端末に伝達することにより、隣り合う端末の間を順に繋いだオーダワイヤ回線を形成する。
【発明の効果】
【0012】
上記オーダワイヤ通信システムによれば、各L2スイッチの接続状態に関する情報が各々の接続状態通知回路により配下の端末に通知されるため、各端末は、自らが接続するL2スイッチの接続状態を自動的に認識して1つの端末をマスタ端末に設定することができ、該マスタ端末でL2スイッチのトポロジーを判断した結果が残りの端末に伝達されることで、従来のようにDHCPサーバなどの特別な機器を用意することなく、オーダワイヤ回線を形成することができる。これにより、該オーダワイヤ回線を利用した各端末間での音声等の通信を低コストで実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来のL2スイッチの構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるオーダワイヤ通信システムの全体構成を示す図である。
【図3】上記実施形態における各L2スイッチの構成例を示す機能ブロック図である。
【図4】上記実施形態における初期動作の概要を説明する図である。
【図5】上記実施形態における初期動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】上記実施形態におけるL2トポロジー把握動作の概要を説明する図である。
【図7】上記実施形態におけるL2トポロジー把握動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】上記実施形態におけるL2トポロジー把握動作の結果等を示す図である。
【図9】上記実施形態におけるMACトポロジーテーブルの作成方法を説明する図である。
【図10】上記MACトポロジーテーブルの作成方法の第1ステップを示す図である。
【図11】上記MACトポロジーテーブルの作成方法の第2ステップを示す図である。
【図12】上記MACトポロジーテーブルの作成方法の第3ステップを示す図である。
【図13】上記実施形態においてマスタ端末およびサブマスタ端末の間で行われる音声通信の概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は、本発明の一実施形態におけるオーダワイヤ通信システムの全体構成を示す図である。図2において、オーダワイヤ通信システムは、例えば、複数(ここでは4つ)のL2スイッチ(L2SW)1と、各L2スイッチ1の間を互いに接続してループ状のネットワークを形成する伝送路2と、各L2スイッチ1にそれぞれ収容される端末3と、を備える。
【0015】
図3は、各L2スイッチ1の構成例を示す機能ブロック図である。
図3において、各L2スイッチ1は、LANポート部11、MACアドレステーブル作成回路12、出力先選択回路13および接続状態通知回路14をそれぞれ備える。各L2スイッチ1は、ここでは、スパニングツリープロトコル(Spanning Tree Protocol:STP)に従って動作するものとする。STPは、ネットワーク内におけるループ構成を回避するための通信プロトコルであり、IEEE 802.1Dで定義および規格化されている。
【0016】
LANポート部11は、少なくとも3つの接続ポートを有し、両隣のL2スイッチに繋がる各伝送路2および端末3がいずれかのポートに接続される。なお、図2には1つのL2スイッチに対して1台の端末が接続される一例を示したが、LANポート部11の接続ポートに空きがあれば複数台の端末を同時に接続することが可能である。
【0017】
MACアドレステーブル作成回路12は、LANポート部11に入力されるフレーム信号の送信元情報に含まれるMACアドレスを認識(学習)し、該MACアドレスとLANポート部11の接続ポート番号との対応関係を示すMACアドレステーブルを作成して、該MACアドレステーブルを図示しないメモリに保存する。
【0018】
出力先選択回路13は、LANポート部11に入力されるフレーム信号の宛先情報に含まれるMACアドレスが、MACアドレステーブル作成回路12に保存されたMACアドレステーブルにあるか否かを判定し、その判定結果に応じて上記フレーム信号の出力先の切替えを行う。
【0019】
接続状態通知回路14は、MACアドレステーブル作成回路12に保存されたMACアドレステーブルに基づいて、LANポート部11の各接続ポートの接続状態を示すフレーム信号(以下、接続状態フレーム信号とする)を生成し、LANポート部11に接続する端末3に向けて上記接続状態フレーム信号を送信する。
【0020】
次に、本実施形態の通信システムにおける動作について説明する。
最初に、システム立ち上げ時の初期動作を図4および図5を参照しながら説明する。図4は、初期動作の概要を説明する図であり、図5は、初期動作の流れを示すフローチャートである。
【0021】
まず、図5のフローチャートにおけるステップ110(図中S110で示し、以下同様とする)では、任意のL2スイッチ1のLANポート部11に対して端末3が繋がると、
該端末3が、物理層接続を確認した後、自らのMACアドレスを送信元情報に含むブロードキャストフレーム信号をL2スイッチ1に送出する(図4の矢印線a1を参照)。
【0022】
ステップ120では、各L2スイッチ1が、端末3からのブロードキャストフレーム信号を受信したか否かの判定を行う。ブロードキャストフレーム信号の受信が判定されるとステップ130に進み、それ以外はブロードキャストフレーム信号の受信待機状態となる。
【0023】
ステップ130では、端末3からのブロードキャストフレーム信号を受信したL2スイッチ1において、MACアドレステーブル作成回路12が、該ブロードキャストフレーム信号の送信元情報に含まれるMACアドレスを認識(学習)し、該MACアドレスと、上記ブロードキャストフレーム信号を受けたLANポート部11の接続ポート番号との対応関係を示すMACアドレステーブルを作成および保存する。
【0024】
続いて、ステップ140では、端末3からのブロードキャストフレーム信号を受信したL2スイッチ1において、接続状態通知回路14が、MACアドレステーブル作成回路12に保存されたMACアドレステーブルを基に、当該L2スイッチ1の接続状態を示す接続状態フレーム信号を生成する。
【0025】
この接続状態フレーム信号には、図4の下段に例示するように、MACアドレステーブルに関する情報の他に、当該L2スイッチ1のLANポート部11のいずれかの接続ポートが、前述したSTPに規定されるブロッキングポートBP(図2および図4の×印参照)に該当しているか否かを示す情報が含まれるものとする。ブロッキングポートBPは、オーダワイヤ回線がループを形成することにより発話者の音声が再び発話者に戻ってハウリングが発生してしまうことを防止すべく、ループ上の任意箇所で回線が切断されるように予め設定されるものである。
【0026】
そして、上記接続状態通知回路14で生成された接続状態フレーム信号は、ブロードキャストフレーム信号が送られてきた配下の端末3に向けて送信される(図4の矢印線a2を参照)。このL2スイッチ1から端末3への接続状態フレーム信号の送信は、端末3からのブロードキャストフレーム信号の受信時だけでなく、所定の時間周期で定期的に行われる。接続状態フレーム信号の送信を定期的に行うことにより、例えば、他のL2スイッチ1に端末3が接続され、該端末3から送信されるブロードキャストフレーム信号が上記他のL2スイッチ1を経由して自らのL2スイッチ1で受信されることにより、MACアドレステーブル作成回路12に保存されたMACアドレステーブルが更新された場合にも、該更新後のMACアドレステーブルに対応した接続状態フレーム信号が、自らのL2スイッチ1の配下にある端末3に送信されるようになる。
【0027】
続いて、ステップ150では、L2スイッチ1からの接続状態フレーム信号を受信した端末3において、該接続状態フレーム信号が示す情報を基に、自らが接続するL2スイッチ1にブロッキングポートBPが有るか否かが判定される。ブロッキングポートBPが有る場合には、ステップ160において、自らの端末3がマスタ端末として動作するように動作モードが設定される。一方、ブロッキングポートBPが無い場合には、ステップ170において、自らの端末3がスレーブ端末として動作するように動作モードが設定される。図4の例では、ブロッキングポートBPが右端のL2スイッチ1Aに設定されており、該L2スイッチ1Aに接続する端末3Aがマスタ端末として動作し、その他の各L2スイッチ1B〜1Dに接続する各端末3B〜3Dがスレーブ端末として動作することになる。
【0028】
なお、ブロッキングポートBPが設定されたL2スイッチ1に対して2台以上の端末3が収容されている場合には、例えば、該各端末3のうちで接続ポート番号が最も小さい1
つの端末3がマスタ端末に設定され、残りの端末3がスレーブ端末に設定される。つまり、上記ステップ160における動作モードの設定は、通信システム内に設定されるマスタ端末は1台だけとなるように、その処理方法が規定されるものとする。
【0029】
上記ステップ110〜ステップ170の一連の処理により初期動作が完了すると、通信システム内の各L2スイッチ1のトポロジー(接続形態)を把握する動作(以下、L2トポロジー把握動作と表記する)が行われる。図6は、L2トポロジー把握動作の概要を説明する図である。また、図7は、L2トポロジー把握動作の流れを示すフローチャートである。
【0030】
L2トポロジー把握動作では、まず、図7のステップ210において、マスタ端末3A以外の各スレーブ端末3B〜3Dが、各L2スイッチ1B〜1Dから受信した接続状態フレーム信号よりMACアドレステーブルを抽出し、該MACアドレステーブルを示すフレーム信号をブロードキャストで送信する(図6の矢印線a3を参照)。
【0031】
ステップ220では、マスタ端末3Aが、各スレーブ端末3B〜3Dからブロードキャスト送信されるMACアドレステーブルを受信する(図6の矢印線a4を参照)。そして、ステップ230では、受信したMACアドレステーブルを基に、マスタ端末3AがMACトポロジーテーブルを作成する。このMACトポロジーテーブルは、通信システム内の各L2スイッチ1の接続状態を、各々に繋がる端末のMACアドレスを用いて表したものである。MACトポロジーテーブルの具体的な作成方法については後述する。
【0032】
MACトポロジーテーブルの作成が完了すると、ステップ240において、マスタ端末3Aが、MACトポロジーテーブルに対応したフレーム信号(以下、MACトポロジーフレーム信号と呼ぶ)を、L2スイッチ1AのブロッキングポートBPとは反対側にある隣のスレーブ端末3Bに宛てて送信する(図6の矢印線a5を参照)。このMACトポロジーフレーム信号は、例えば図6の下段に示すように、フレームの先頭に位置するオクテットが、マスタ端末3AのMACアドレス3AMACを表し、先頭から2番目に位置するオクテットが、マスタ端末3Aの隣のスレーブ端末3BのMACアドレス3BMACを表し、先頭から3番目に位置するオクテットが、スレーブ端末3Bの隣のスレーブ端末3CのMACアドレス3CMACを表し、先頭から4番目に位置する最終のオクテットが、スレーブ端末3Cの隣のスレーブ端末3DのMACアドレス3DMACを表す。
【0033】
続いて、ステップ250では、各スレーブ端末3B〜3Dにおいて、マスタ端末3Aから送られてくるMACトポロジーフレーム信号を受信したか否かの判定が行われる。MACトポロジーフレーム信号の受信が判定されるとステップ260に進み、それ以外はMACトポロジーフレーム信号の受信待機状態となる。
【0034】
ステップ260では、MACトポロジーフレーム信号を受信したスレーブ端末3Bが、該MACトポロジーフレーム信号を基にマスタ端末3Aで作成されたMACトポロジーテーブルを保存する。
【0035】
そして、ステップ270では、スレーブ端末3Bにおいて、受信したMACトポロジーフレーム信号の最終オクテットに、自らのMACアドレスが示されているか否かの判定が行われる。ここでは、スレーブ端末3BのMACアドレス3BMACは先頭から2番目のオクテットに示されているため(図6下段を参照)、ステップ280に進む。
【0036】
ステップ280では、スレーブ端末3Bが、MACトポロジーフレーム信号において自らのMACアドレス3BMACが示されているオクテットの次のオクテットに示されているMACアドレス、ここではスレーブ端末3CのMACアドレス3CMACに宛てて、上
記MACトポロジーフレーム信号を転送する。スレーブ端末3BからのMACトポロジーフレーム信号の転送を受けるスレーブ端末3Cでは、前述したステップ250〜ステップ280の処理が繰り返される。これと同様の処理が残りのスレーブ端末3Dでも行われることにより、マスタ端末3Aから送信されたMACトポロジーフレーム信号が、各スレーブ端末3B〜3Dに順に転送されて、MACトポロジーテーブルが各スレーブ端末3B〜3Dに保存されるようになる。
【0037】
そして、スレーブ端末3Dでの上記ステップ270の判定処理において、転送されたMACトポロジーフレーム信号の最終オクテットに、自らのMACアドレス3DMACが示されていることが判定されると、ステップ290に移って、端末3Dの動作モードの設定がスレーブ端末からサブマスタ端末に変更される。図8は、各端末3B〜3Dにおけるステップ270の判定処理の概略およびL2トポロジー把握動作の結果を示している。
【0038】
次に、前述したステップ220におけるMACトポロジーテーブルの作成方法を図9〜図12を参照しながら具体的に説明する。ここでは、図9の上段に示すように、各L2スイッチ1A〜1Dの1番ポートに端末3A〜3Bが接続され、2番ポートおよび3番ポートに両隣のL2スイッチに繋がる伝送路2が接続されているものとする。また、L2スイッチ1Aの2番ポートは、ブロッキングポートBPに設定されているものとする。
【0039】
図9の下段は、上述したステップ220において、MACトポロジーテーブルの作成に用いる、各L2スイッチ1A〜1Dにそれぞれ対応したMACアドレステーブルを示している。具体的に、マスタ端末3Aが1番ポートに接続するL2スイッチ1AのMACアドレステーブルは、1番ポートに対応するMACアドレスとしてマスタ端末3AのMACアドレス3AMACが登録され、3番ポートに対応するMACアドレスとして各スレーブ端末3B,3B,3DのMACアドレス3BMAC,3CMAC,3DMACが登録されている。
【0040】
また、スレーブ端末3Bが1番ポートに接続するL2スイッチ1BのMACアドレステーブルは、1番ポートに対応するMACアドレスとしてスレーブ端末3BのMACアドレス3BMACが登録され、2番ポートに対応するMACアドレスとしてマスタ端末3AのMACアドレス3AMACが登録され、3番ポートに対応するMACアドレスとして各スレーブ端末3C,3DのMACアドレス3CMAC,3DMACが登録されている。
【0041】
さらに、スレーブ端末3Cが1番ポートに接続するL2スイッチ1CのMACアドレステーブルは、1番ポートに対応するMACアドレスとしてスレーブ端末3CのMACアドレス3CMACが登録され、2番ポートに対応するMACアドレスとしてマスタ端末3AのMACアドレス3AMACおよびスレーブ端末3BのMACアドレス3BMACが登録され、3番ポートに対応するMACアドレスとしてスレーブ端末3DのMACアドレス3DMACが登録されている。
【0042】
加えて、スレーブ端末3Dが1番ポートに接続するL2スイッチ1DのMACアドレステーブルは、1番ポートに対応するMACアドレスとしてスレーブ端末3DのMACアドレス3DMACが登録され、2番ポートに対応するMACアドレスとしてマスタ端末3AのMACアドレス3AMACおよび各スレーブ端末3B,3CのMACアドレス3BMAC,3CMACが登録されている。
【0043】
マスタ端末3Aは、MACトポロジーテーブル作成の第1ステップとして、図10に示すように、全てのL2スイッチ1A〜1Dのうちで、自らが接続するL2スイッチ1Aを除いた、各L2スイッチ1B〜1Dに対応するMACアドレステーブルについて、自らのMACアドレス3AMACが登録されているポートに注目し、該注目ポートに対応するM
ACアドレスのうちから自らのMACアドレス3AMACを消す(図10中の二重取り消し線を参照)。そして、上記注目ポートのうちでMACアドレスが全て消えたポート(図10中の斜線部分を参照)を特定し、該ポートを有するL2スイッチ1Bの配下にあるスレーブ端末3Bを、マスタ端末3Aに最も近いスレーブ端末とする。
【0044】
続いて、マスタ端末3Aは、MACトポロジーテーブル作成の第2ステップとして、図11に示すように、全てのL2スイッチ1A〜1Dのうちで、自らが接続するL2スイッチ1Aと、マスタ端末3Aに最も近いスレーブ端末3Bが接続するL2スイッチ1Bとを除いた、各L2スイッチ1C,1Dに対応するMACアドレステーブルについて、スレーブ端末3BのMACアドレス3BMACが登録されているポートに注目し、該注目ポートに対応するMACアドレスのうちからスレーブ端末3BのMACアドレス3BMACを消す。そして、上記注目ポートのうちでMACアドレスが全て消えたポートを特定し、該ポートを有するL2スイッチ1Cの配下にあるスレーブ端末3Cを、マスタ端末3Aに2番目に近いスレーブ端末とする。
【0045】
次に、マスタ端末3Aは、MACトポロジーテーブル作成の第3ステップとして、図12に示すように、全てのL2スイッチ1A〜1Dのうちで、自らが接続するL2スイッチ1Aと、マスタ端末3Aに最も近いスレーブ端末3Bが接続するL2スイッチ1Bと、マスタ端末3Aに2番目に近いスレーブ端末3Cが接続するL2スイッチ1Cとを除いた、L2スイッチ1Dに対応するMACアドレステーブルについて、スレーブ端末3CのMACアドレス3CMACが登録されているポートに注目し、該注目ポートに対応するMACアドレスのうちからスレーブ端末3CのMACアドレス3CMACを消す。そして、上記注目ポートのMACアドレスが全て消えていることを確認し、該ポートを有するL2スイッチ1Dの配下にあるスレーブ端末3Dを、マスタ端末3Aに3番目に近いスレーブ端末とする。ここでは、スレーブ端末の数が3つであるので、スレーブ端末3Dは、マスタ端末3Aから最も遠いスレーブ端末に該当することになる。なお、端末3Dの動作モードは、上述したL2トポロジー把握動作のステップ290において、スレーブ端末からサブマスタ端末に変更される。
【0046】
上記のような一連の処理により作成されるMACトポロジーテーブルは、例えば図12の下段に示すように、先頭のデータ領域にL2スイッチ1A配下のマスタ端末3AのMACアドレス3AMACが格納され、2番目のデータ領域にL2スイッチ1B配下のスレーブ端末3BのMACアドレス3BMACが格納され、3番目のデータ領域にL2スイッチ1C配下のスレーブ端末3CのMACアドレス3CMACが格納され、4番目のデータ領域にL2スイッチ1D配下のスレーブ端末3DのMACアドレス3DMACが格納されたデータ構造となる。このMACトポロジーテーブルに対応させて、前述の図6下段に示したようなMACトポロジーフレーム信号が、マスタ端末3Aからスレーブ端末3Bに向けて送信されることになる。
【0047】
上述したような初期動作およびL2トポロジー把握動作が完了することにより、マスタ端末3Aからサブマスタ端末3Dに至るオーダワイヤ回線が形成され、該オーダワイヤ回線を利用した音声等の通信が開始される。図13は、マスタ端末3Aおよびサブマスタ端末3Dの間で音声データを双方向に通信する場合の概要を説明する図である。
【0048】
図13において、マスタ端末3Aは、サブマスタ端末3Dに向けて音声トラフィックT3Aを送信する。この音声トラフィックT3Aは、スレーブ端末3Bで受信され、該スレーブ端末3Bでは、受信した音声トラフィックT3Aと自らが発する音声トラフィックT3Bとがミキシングされ、該ミキシング後の音声トラフィックT3A+3Bが隣のスレーブ端末3Cに送られる。スレーブ端末3Cでは、さらに、スレーブ端末3Bからの音声トラフィックT3A+3Bと自らが発する音声トラフィックT3Cとがミキシングされ、該
ミキシング後の音声トラフィックT3A+3B+3Cが隣のサブマスタ端末3Dに送られる。サブマスタ端末3Dは、スレーブ端末3Cから送られてくる音声トラフィックT3A+3B+3Cを受信すると、該音声トラフィックを破棄する。
【0049】
また、上記のようなマスタ端末3Aからサブマスタ端末3Dへの音声トラフィックの通信とは逆方向に、サブマスタ端末3Dが、マスタ端末3Aに向けて音声トラフィックT3Dを送信する。この逆方向の音声トラフィックT3Dは、スレーブ端末3Cで受信され、該スレーブ端末3Cでは、受信した音声トラフィックT3Dと自らが発する音声トラフィックT3C’とがミキシングされ、該ミキシング後の音声トラフィックT3D+3C’が隣のスレーブ端末3Bに送られる。スレーブ端末3Bでは、さらに、スレーブ端末3Cからの音声トラフィックT3D+3C’と自らが発する音声トラフィックT3B’とがミキシングされ、該ミキシング後の音声トラフィックT3D+3C’+3B’が隣のマスタ端末3Aに送られる。マスタ端末3Aは、スレーブ端末3Bから送られてくる音声トラフィックT3D+3C’+3B’を受信すると、該音声トラフィックを破棄する。
【0050】
上記のようなマスタ端末3Aおよびサブマスタ端末3Dの間における音声トラフィックの双方向通信により、各端末3A〜3Dでのオーダワイヤ回線を用いた多者間通話が実現されるようになる。
【0051】
なお、上記のようなオーダワイヤ通信システムにおいて、任意の2つのL2スイッチ間を接続する伝送路2に障害等が発生して当該区間の通信ができなくなった場合には、該2つのL2スイッチのうちの一方のL2スイッチについて、障害区間側にある接続ポートをブロッキングポートBPに設定変更して、上述した初期動作およびL2トポロジー把握動作を改めて実行することにより、障害区間を回避したオーダワイヤ回線を形成することが可能である。
【0052】
上述したように本実施形態のオーダワイヤ通信システムによれば、各L2スイッチ1が、接続状態通知回路14を具備し、端末3の接続時に該端末3から送信されるブロードキャストフレーム信号に応答して接続状態フレーム信号を上記端末3に送信するようにしたことで、上記端末3は、自らが接続するL2スイッチ1の接続状態(MACアドレステーブルおよびブロッキングポートBPの有無)を自動的に認識して、マスタ端末およびスレーブ端末のいずれのモードで動作するかを判断することができる。そして、マスタ端末3Aが、各スレーブ端末3B〜3Dからブロードキャスト送信されるMACアドレステーブルを基に、MACトポロジーテーブルを作成してMACトポロジーフレーム信号を各スレーブ端末3B〜3Dに送るようにしたことで、各スレーブ端末3B〜3Dは、互いの接続関係を自動的に認識して、自らがサブマスタ端末として動作するか否かを判断することができる。
【0053】
これにより、本実施形態のオーダワイヤ通信システムは、DHCPサーバなどの特別な機器を用意することなく、オーダワイヤ回線を形成することができ、各L2スイッチ1を拠点にした各端末3間での音声等の通信を低コストで実現することが可能になる。また、このオーダワイヤ通信システムは、MACトポロジーフレーム信号を使用して各端末間の通信経路を固定しているため、各端末間の通信を共通のサーバを経由して行う場合と比べて、回線速度を抑えた通信が可能であり、かつ、サーバへのトラフィックの集中も回避することができる。さらに、上記オーダワイヤ通信システムは、従来のように各端末に対してIPアドレスを設定する必要がないので、ネットワークアドレスを考慮せずに各端末3を使用することができ、利便性の向上を図ることも可能である。
【0054】
上記のようなオーダワイヤ通信システムによって得られる作用効果は、例えば、多数のL2スイッチを用いた広域ネットワークが要求される鉄道ネットワークなどにおいて、オ
ーダワイヤ回線による複数の拠点間での音声通信を低コストで実現するのに有効である。特に、ループ状のネットワークのうちの一部を、当該鉄道事業者が所有する通信回線とは異なるキャリア回線を借用して実現している場合、具体的には、例えば上述の図4に示したネットワーク構成において、L2スイッチ1AからL2スイッチ1Dに至る経路上の隣り合うL2スイッチ間をそれぞれ接続する伝送路2に鉄道事業者の通信回線を適用し、L2スイッチ1DからL2スイッチ1Aに戻る伝送路2にキャリア回線を適用する場合などには、キャリア回線の速度を低く抑えることができるため、キャリア回線の借用コストを効果的に削減することが可能である。なお、上記の一例は、本発明のオーダワイヤ通信システムが鉄道ネットワークの用途に限定されることを意味するものではない。
【0055】
以上の実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 複数のレイヤ2スイッチと、
前記複数のレイヤ2スイッチの間を互いに接続してループ状のネットワークを形成する伝送路と、
前記複数のレイヤ2スイッチに収容される複数の端末と、
を備えたオーダワイヤ通信システムであって、
前記複数のレイヤ2スイッチは、それぞれ、自らの接続状態に関する情報を、配下にある前記端末に通知する接続状態通知回路を含み、
前記複数の端末は、前記レイヤ2スイッチの接続状態通知回路から通知される情報に基づいて、いずれか1つの端末をマスタ端末に設定し、該マスタ端末が、前記複数のレイヤ2スイッチのトポロジーを判断して、該判断結果を残りの端末に伝達することにより、隣り合う端末の間を順に繋いだオーダワイヤ回線を形成することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【0056】
(付記2) 付記1に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記複数のレイヤ2スイッチは、それぞれ、
少なくとも3つの接続ポートを有するLANポート部と、
前記LANポート部に入力される信号の送信元情報に含まれるMACアドレスを認識し、該MACアドレスと前記LANポート部の接続ポート番号との対応関係を示すMACアドレステーブルを作成するMACアドレステーブル作成回路と、
前記LANポート部に入力される信号の宛先情報に含まれるMACアドレスが、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルにあるか否かを判定し、該判定結果に応じて前記信号の出力先の切替えを行う出力先選択回路と、を含み、
前記接続状態通知回路が、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルに基づいて、前記LANポート部の各接続ポートの接続状態を示す信号を生成し、該信号を前記LANポート部に接続する前記端末に送信することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【0057】
(付記3) 付記2に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記複数のレイヤ2スイッチは、スパニングツリープロトコル(STP)に従ってそれぞれ動作し、
前記接続状態通知回路は、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルを示す情報、および、前記LANポート部のいずれかの接続ポートがブロッキングポートに該当するか否かを示す情報を含む信号を生成し、該信号を前記LANポート部に接続する前記端末に送信し、
前記複数の端末は、前記接続状態通知回路から前記ブロッキングポートに該当することを示す情報を含む信号を受信した端末をマスタ端末に設定すると共に、残りの端末をスレーブ端末に設定することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【0058】
(付記4) 付記3に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記複数のレイヤ2スイッチのうちで、前記LANポート部のいずれかの接続ポートがブロッキングポートに該当するレイヤ2スイッチが、2以上の前記端末を収容するとき、
前記複数の端末は、前記接続状態通知回路から前記ブロッキングポートに該当することを示す情報を含む信号を受信することになる前記2以上の端末のうちで、前記LANポート部の接続ポート番号が最も小さい端末をマスタ端末に設定することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【0059】
(付記5) 付記3または4に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記スレーブ端末は、前記接続状態通知回路から受信した信号より前記MACアドレステーブルを抽出し、該MACアドレステーブルを示す信号をブロードキャストで送信し、
前記マスタ端末は、前記スレーブ端末からブロードキャスト送信される信号を受信し、該信号が示すMACアドレステーブルを基に、前記複数のレイヤ2スイッチのトポロジーを各々に繋がる端末のMACアドレスを用いて表したMACトポロジーテーブルを作成し、該MACトポロジーテーブルに対応した信号を前記スレーブ端末に送信し、
前記スレーブ端末は、前記マスタ端末から受信した信号を基に、前記MACトポロジーテーブルにおいて前記マスタ端末のMACアドレスを格納するデータ領域に対し最も離れたデータ領域に自らのMACアドレスが格納されている端末をサブマスタ端末に変更することにより、前記マスタ端末から前記サブマスタ端末に至るオーダワイヤ回線を形成することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【0060】
(付記6) 付記5に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記マスタ端末は、前記MACトポロジーテーブルの作成において、前記スレーブ端末から受信したMACアドレステーブルについて、自らのMACアドレスが登録されているポートに注目し、該注目ポートに対応するMACアドレスのうちから自らのMACアドレスを消した後、前記注目ポートのうちでMACアドレスが全て消えたポートを特定し、該特定されたポートを有するL2スイッチの配下にあるスレーブ端末を、自らに最も近いスレーブ端末とすることを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【0061】
(付記7) 付記5または6に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記マスタ端末は、前記サブマスタ端末に向けて前記オーダワイヤ回線に音声トラフィックを送信すると共に、前記サブマスタ端末から前記オーダワイヤ回線に送信された音声トラフィックを受信したときに該音声トラフィックを破棄し、
前記サブマスタ端末は、前記マスタ端末に向けて前記オーダワイヤ回線に音声トラフィックを送信すると共に、前記マスタ端末から前記オーダワイヤ回線に送信された音声トラフィックを受信したときに該音声トラフィックを破棄し、
前記スレーブ端末は、前記マスタ端末または前記サブマスタ端末から送られてくる音声トラフィックと自らが発する音声トラフィックとをミキシングし、該ミキシング後の音声トラフィックを前記オーダワイヤ回線に送信することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【0062】
(付記8) オーダワイヤ通信システムに用いられるレイヤ2スイッチであって、
少なくとも3つの接続ポートを有するLANポート部と、
前記LANポート部に入力される信号の送信元情報に含まれるMACアドレスを認識し、該MACアドレスと前記LANポート部の接続ポート番号との対応関係を示すMACアドレステーブルを作成するMACアドレステーブル作成回路と、
前記LANポート部に入力される信号の宛先情報に含まれるMACアドレスが、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルにあるか否かを判定し、該判定結果に応じて前記信号の出力先の切替えを行う出力先選択回路と、
前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルに基づいて、前記LANポート部の各接続ポートの接続状態を示す信号を生成し、該信号を前記LA
Nポート部に接続する端末に送信する接続状態通知回路と、を備えたことを特徴とするレイヤ2スイッチ。
【0063】
(付記9) 付記8に記載のレイヤ2スイッチであって、
前記接続状態通知回路は、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルを示す情報、および、前記LANポート部のいずれかの接続ポートがスパニングツリープロトコル(STP)に規定されるブロッキングポートに該当するか否かを示す情報を含む信号を生成し、該信号を前記LANポート部に接続する前記端末に送信することを特徴とするレイヤ2スイッチ。
【符号の説明】
【0064】
1,1A〜1D…レイヤ2スイッチ(L2SW)
2…伝送路
3…端末
3A…マスタ端末
3B,3C…スレーブ端末
3D…サブマスタ端末
3AMAC,3BMAC,3CMAC,3DMAC…端末のMACアドレス
11…LANポート部
12…MACアドレステーブル作成回路
13…出力先選択回路
14…接続状態通知回路
BP…ブロッキングポート
T3A〜T3D…音声トラフィック
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーダワイヤ(order wire)により音声等の通信を行うことが可能な通信システムおよび該システムに用いるレイヤ2スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の拠点間をオーダワイヤ機能により互いに接続してオーダワイヤ回線を形成し、該オーダワイヤ回線を利用して任意の拠点間で音声等を通信できるようにした通信システムが知られている。このオーダワイヤ通信システムでは、通常、IPマルチキャストにより各拠点間の通信が行われるため、各拠点に設けられる機器にIPアドレスを付与することが必要になる。
【0003】
例えば、特許文献1においては、端末に割り当てられたIPアドレスにより決まるマルチキャストアドレスを宛先として、参加表明コマンドおよび音声等のデータをマルチキャストすることにより、アドホックネットワークで多者間通信を実現する技術が開示されている。なお、通信システム内の各機器にIPアドレスを自動的に割り当てる仕組みに関しては、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)などがよく知られている。
【0004】
また、近年、レイヤ2スイッチ(以下、「L2スイッチ」とする)を使用した通信システムの構築が進められている。従来のL2スイッチは、例えば図1の機能ブロック図に示すように、LANポート部101、MAC(Media Access Control)アドレステーブル作成回路102および出力先選択回路103を備えている。
【0005】
具体的に、MACアドレステーブル作成回路102は、LANポート部101に入力されるフレーム信号の送信元情報に含まれるMACアドレスを認識(学習)し、該MACアドレスとLANポート部101の接続ポート番号との対応関係を示すMACアドレステーブルを作成および保存する。出力先選択回路103は、LANポート部101に入力されるフレーム信号の宛先情報に含まれるMACアドレスが、MACアドレステーブル作成回路102に保存されたMACアドレステーブルにあるか否かを判定し、該当するMACアドレスがある場合に当該フレーム信号がLANポート部101の対応する接続ポートに出力されるように出力先の切替えを行う。
【0006】
このような従来のL2スイッチ100を複数用意して互いに接続することにより、広域の通信システムを効率的に構築することが可能である。L2スイッチを使用した通信システムにおけるオーダワイヤに関しては、例えば、特許文献2において、L2スイッチに収容したオーダワイヤ電話機を含む複数の機器の間でIPパケットを送受信して音声通信を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−178236号公報
【特許文献2】特開2005−252371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記のような複数のL2スイッチを用いて構築される広域の通信システムについて、従来の技術によるオーダワイヤ回線を利用した各拠点間の通信を実現しようとすると、オーダワイヤ回線を形成するための特別な機器が必要になりコストの上昇が課題とな
る。
【0009】
具体的には、広域の通信システムにおける複雑なネットワーク構成に対応するために、例えば、各拠点にオーダワイヤ専用の機器を設置し、主信号を通信するためのネットワークとは別にオーダワイヤ用のネットワークを構築するか、または、オーダワイヤ専用のDHCPサーバを用意し、各拠点の機器にオーダワイヤ用のIPアドレスを自動的に割り当てる等の措置が必要になる。このような措置を施したオーダワイヤ通信システムは高コスト化なものになることが避けられない。
【0010】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、複数のL2スイッチを用いた通信システムについて、特別な機器を設置することなくオーダワイヤ回線を形成し、該オーダワイヤ回線を利用して複数の端末間の通信を低コストで実現するオーダワイヤ通信システムおよびL2スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明によるオーダワイヤ通信システムの一態様は、複数のL2スイッチと、前記複数のL2スイッチの間を互いに接続してループ状のネットワークを形成する伝送路と、前記複数のL2スイッチに収容される複数の端末と、を備える。前記複数のL2スイッチは、それぞれ、自らの接続状態に関する情報を、配下にある前記端末に通知する接続状態通知回路を含む。また、前記複数の端末は、前記L2スイッチの接続状態通知回路から通知される情報に基づいて、いずれか1つの端末をマスタ端末に設定し、該マスタ端末が、前記複数のL2スイッチのトポロジーを判断して、該判断結果を残りの端末に伝達することにより、隣り合う端末の間を順に繋いだオーダワイヤ回線を形成する。
【発明の効果】
【0012】
上記オーダワイヤ通信システムによれば、各L2スイッチの接続状態に関する情報が各々の接続状態通知回路により配下の端末に通知されるため、各端末は、自らが接続するL2スイッチの接続状態を自動的に認識して1つの端末をマスタ端末に設定することができ、該マスタ端末でL2スイッチのトポロジーを判断した結果が残りの端末に伝達されることで、従来のようにDHCPサーバなどの特別な機器を用意することなく、オーダワイヤ回線を形成することができる。これにより、該オーダワイヤ回線を利用した各端末間での音声等の通信を低コストで実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来のL2スイッチの構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるオーダワイヤ通信システムの全体構成を示す図である。
【図3】上記実施形態における各L2スイッチの構成例を示す機能ブロック図である。
【図4】上記実施形態における初期動作の概要を説明する図である。
【図5】上記実施形態における初期動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】上記実施形態におけるL2トポロジー把握動作の概要を説明する図である。
【図7】上記実施形態におけるL2トポロジー把握動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】上記実施形態におけるL2トポロジー把握動作の結果等を示す図である。
【図9】上記実施形態におけるMACトポロジーテーブルの作成方法を説明する図である。
【図10】上記MACトポロジーテーブルの作成方法の第1ステップを示す図である。
【図11】上記MACトポロジーテーブルの作成方法の第2ステップを示す図である。
【図12】上記MACトポロジーテーブルの作成方法の第3ステップを示す図である。
【図13】上記実施形態においてマスタ端末およびサブマスタ端末の間で行われる音声通信の概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は、本発明の一実施形態におけるオーダワイヤ通信システムの全体構成を示す図である。図2において、オーダワイヤ通信システムは、例えば、複数(ここでは4つ)のL2スイッチ(L2SW)1と、各L2スイッチ1の間を互いに接続してループ状のネットワークを形成する伝送路2と、各L2スイッチ1にそれぞれ収容される端末3と、を備える。
【0015】
図3は、各L2スイッチ1の構成例を示す機能ブロック図である。
図3において、各L2スイッチ1は、LANポート部11、MACアドレステーブル作成回路12、出力先選択回路13および接続状態通知回路14をそれぞれ備える。各L2スイッチ1は、ここでは、スパニングツリープロトコル(Spanning Tree Protocol:STP)に従って動作するものとする。STPは、ネットワーク内におけるループ構成を回避するための通信プロトコルであり、IEEE 802.1Dで定義および規格化されている。
【0016】
LANポート部11は、少なくとも3つの接続ポートを有し、両隣のL2スイッチに繋がる各伝送路2および端末3がいずれかのポートに接続される。なお、図2には1つのL2スイッチに対して1台の端末が接続される一例を示したが、LANポート部11の接続ポートに空きがあれば複数台の端末を同時に接続することが可能である。
【0017】
MACアドレステーブル作成回路12は、LANポート部11に入力されるフレーム信号の送信元情報に含まれるMACアドレスを認識(学習)し、該MACアドレスとLANポート部11の接続ポート番号との対応関係を示すMACアドレステーブルを作成して、該MACアドレステーブルを図示しないメモリに保存する。
【0018】
出力先選択回路13は、LANポート部11に入力されるフレーム信号の宛先情報に含まれるMACアドレスが、MACアドレステーブル作成回路12に保存されたMACアドレステーブルにあるか否かを判定し、その判定結果に応じて上記フレーム信号の出力先の切替えを行う。
【0019】
接続状態通知回路14は、MACアドレステーブル作成回路12に保存されたMACアドレステーブルに基づいて、LANポート部11の各接続ポートの接続状態を示すフレーム信号(以下、接続状態フレーム信号とする)を生成し、LANポート部11に接続する端末3に向けて上記接続状態フレーム信号を送信する。
【0020】
次に、本実施形態の通信システムにおける動作について説明する。
最初に、システム立ち上げ時の初期動作を図4および図5を参照しながら説明する。図4は、初期動作の概要を説明する図であり、図5は、初期動作の流れを示すフローチャートである。
【0021】
まず、図5のフローチャートにおけるステップ110(図中S110で示し、以下同様とする)では、任意のL2スイッチ1のLANポート部11に対して端末3が繋がると、
該端末3が、物理層接続を確認した後、自らのMACアドレスを送信元情報に含むブロードキャストフレーム信号をL2スイッチ1に送出する(図4の矢印線a1を参照)。
【0022】
ステップ120では、各L2スイッチ1が、端末3からのブロードキャストフレーム信号を受信したか否かの判定を行う。ブロードキャストフレーム信号の受信が判定されるとステップ130に進み、それ以外はブロードキャストフレーム信号の受信待機状態となる。
【0023】
ステップ130では、端末3からのブロードキャストフレーム信号を受信したL2スイッチ1において、MACアドレステーブル作成回路12が、該ブロードキャストフレーム信号の送信元情報に含まれるMACアドレスを認識(学習)し、該MACアドレスと、上記ブロードキャストフレーム信号を受けたLANポート部11の接続ポート番号との対応関係を示すMACアドレステーブルを作成および保存する。
【0024】
続いて、ステップ140では、端末3からのブロードキャストフレーム信号を受信したL2スイッチ1において、接続状態通知回路14が、MACアドレステーブル作成回路12に保存されたMACアドレステーブルを基に、当該L2スイッチ1の接続状態を示す接続状態フレーム信号を生成する。
【0025】
この接続状態フレーム信号には、図4の下段に例示するように、MACアドレステーブルに関する情報の他に、当該L2スイッチ1のLANポート部11のいずれかの接続ポートが、前述したSTPに規定されるブロッキングポートBP(図2および図4の×印参照)に該当しているか否かを示す情報が含まれるものとする。ブロッキングポートBPは、オーダワイヤ回線がループを形成することにより発話者の音声が再び発話者に戻ってハウリングが発生してしまうことを防止すべく、ループ上の任意箇所で回線が切断されるように予め設定されるものである。
【0026】
そして、上記接続状態通知回路14で生成された接続状態フレーム信号は、ブロードキャストフレーム信号が送られてきた配下の端末3に向けて送信される(図4の矢印線a2を参照)。このL2スイッチ1から端末3への接続状態フレーム信号の送信は、端末3からのブロードキャストフレーム信号の受信時だけでなく、所定の時間周期で定期的に行われる。接続状態フレーム信号の送信を定期的に行うことにより、例えば、他のL2スイッチ1に端末3が接続され、該端末3から送信されるブロードキャストフレーム信号が上記他のL2スイッチ1を経由して自らのL2スイッチ1で受信されることにより、MACアドレステーブル作成回路12に保存されたMACアドレステーブルが更新された場合にも、該更新後のMACアドレステーブルに対応した接続状態フレーム信号が、自らのL2スイッチ1の配下にある端末3に送信されるようになる。
【0027】
続いて、ステップ150では、L2スイッチ1からの接続状態フレーム信号を受信した端末3において、該接続状態フレーム信号が示す情報を基に、自らが接続するL2スイッチ1にブロッキングポートBPが有るか否かが判定される。ブロッキングポートBPが有る場合には、ステップ160において、自らの端末3がマスタ端末として動作するように動作モードが設定される。一方、ブロッキングポートBPが無い場合には、ステップ170において、自らの端末3がスレーブ端末として動作するように動作モードが設定される。図4の例では、ブロッキングポートBPが右端のL2スイッチ1Aに設定されており、該L2スイッチ1Aに接続する端末3Aがマスタ端末として動作し、その他の各L2スイッチ1B〜1Dに接続する各端末3B〜3Dがスレーブ端末として動作することになる。
【0028】
なお、ブロッキングポートBPが設定されたL2スイッチ1に対して2台以上の端末3が収容されている場合には、例えば、該各端末3のうちで接続ポート番号が最も小さい1
つの端末3がマスタ端末に設定され、残りの端末3がスレーブ端末に設定される。つまり、上記ステップ160における動作モードの設定は、通信システム内に設定されるマスタ端末は1台だけとなるように、その処理方法が規定されるものとする。
【0029】
上記ステップ110〜ステップ170の一連の処理により初期動作が完了すると、通信システム内の各L2スイッチ1のトポロジー(接続形態)を把握する動作(以下、L2トポロジー把握動作と表記する)が行われる。図6は、L2トポロジー把握動作の概要を説明する図である。また、図7は、L2トポロジー把握動作の流れを示すフローチャートである。
【0030】
L2トポロジー把握動作では、まず、図7のステップ210において、マスタ端末3A以外の各スレーブ端末3B〜3Dが、各L2スイッチ1B〜1Dから受信した接続状態フレーム信号よりMACアドレステーブルを抽出し、該MACアドレステーブルを示すフレーム信号をブロードキャストで送信する(図6の矢印線a3を参照)。
【0031】
ステップ220では、マスタ端末3Aが、各スレーブ端末3B〜3Dからブロードキャスト送信されるMACアドレステーブルを受信する(図6の矢印線a4を参照)。そして、ステップ230では、受信したMACアドレステーブルを基に、マスタ端末3AがMACトポロジーテーブルを作成する。このMACトポロジーテーブルは、通信システム内の各L2スイッチ1の接続状態を、各々に繋がる端末のMACアドレスを用いて表したものである。MACトポロジーテーブルの具体的な作成方法については後述する。
【0032】
MACトポロジーテーブルの作成が完了すると、ステップ240において、マスタ端末3Aが、MACトポロジーテーブルに対応したフレーム信号(以下、MACトポロジーフレーム信号と呼ぶ)を、L2スイッチ1AのブロッキングポートBPとは反対側にある隣のスレーブ端末3Bに宛てて送信する(図6の矢印線a5を参照)。このMACトポロジーフレーム信号は、例えば図6の下段に示すように、フレームの先頭に位置するオクテットが、マスタ端末3AのMACアドレス3AMACを表し、先頭から2番目に位置するオクテットが、マスタ端末3Aの隣のスレーブ端末3BのMACアドレス3BMACを表し、先頭から3番目に位置するオクテットが、スレーブ端末3Bの隣のスレーブ端末3CのMACアドレス3CMACを表し、先頭から4番目に位置する最終のオクテットが、スレーブ端末3Cの隣のスレーブ端末3DのMACアドレス3DMACを表す。
【0033】
続いて、ステップ250では、各スレーブ端末3B〜3Dにおいて、マスタ端末3Aから送られてくるMACトポロジーフレーム信号を受信したか否かの判定が行われる。MACトポロジーフレーム信号の受信が判定されるとステップ260に進み、それ以外はMACトポロジーフレーム信号の受信待機状態となる。
【0034】
ステップ260では、MACトポロジーフレーム信号を受信したスレーブ端末3Bが、該MACトポロジーフレーム信号を基にマスタ端末3Aで作成されたMACトポロジーテーブルを保存する。
【0035】
そして、ステップ270では、スレーブ端末3Bにおいて、受信したMACトポロジーフレーム信号の最終オクテットに、自らのMACアドレスが示されているか否かの判定が行われる。ここでは、スレーブ端末3BのMACアドレス3BMACは先頭から2番目のオクテットに示されているため(図6下段を参照)、ステップ280に進む。
【0036】
ステップ280では、スレーブ端末3Bが、MACトポロジーフレーム信号において自らのMACアドレス3BMACが示されているオクテットの次のオクテットに示されているMACアドレス、ここではスレーブ端末3CのMACアドレス3CMACに宛てて、上
記MACトポロジーフレーム信号を転送する。スレーブ端末3BからのMACトポロジーフレーム信号の転送を受けるスレーブ端末3Cでは、前述したステップ250〜ステップ280の処理が繰り返される。これと同様の処理が残りのスレーブ端末3Dでも行われることにより、マスタ端末3Aから送信されたMACトポロジーフレーム信号が、各スレーブ端末3B〜3Dに順に転送されて、MACトポロジーテーブルが各スレーブ端末3B〜3Dに保存されるようになる。
【0037】
そして、スレーブ端末3Dでの上記ステップ270の判定処理において、転送されたMACトポロジーフレーム信号の最終オクテットに、自らのMACアドレス3DMACが示されていることが判定されると、ステップ290に移って、端末3Dの動作モードの設定がスレーブ端末からサブマスタ端末に変更される。図8は、各端末3B〜3Dにおけるステップ270の判定処理の概略およびL2トポロジー把握動作の結果を示している。
【0038】
次に、前述したステップ220におけるMACトポロジーテーブルの作成方法を図9〜図12を参照しながら具体的に説明する。ここでは、図9の上段に示すように、各L2スイッチ1A〜1Dの1番ポートに端末3A〜3Bが接続され、2番ポートおよび3番ポートに両隣のL2スイッチに繋がる伝送路2が接続されているものとする。また、L2スイッチ1Aの2番ポートは、ブロッキングポートBPに設定されているものとする。
【0039】
図9の下段は、上述したステップ220において、MACトポロジーテーブルの作成に用いる、各L2スイッチ1A〜1Dにそれぞれ対応したMACアドレステーブルを示している。具体的に、マスタ端末3Aが1番ポートに接続するL2スイッチ1AのMACアドレステーブルは、1番ポートに対応するMACアドレスとしてマスタ端末3AのMACアドレス3AMACが登録され、3番ポートに対応するMACアドレスとして各スレーブ端末3B,3B,3DのMACアドレス3BMAC,3CMAC,3DMACが登録されている。
【0040】
また、スレーブ端末3Bが1番ポートに接続するL2スイッチ1BのMACアドレステーブルは、1番ポートに対応するMACアドレスとしてスレーブ端末3BのMACアドレス3BMACが登録され、2番ポートに対応するMACアドレスとしてマスタ端末3AのMACアドレス3AMACが登録され、3番ポートに対応するMACアドレスとして各スレーブ端末3C,3DのMACアドレス3CMAC,3DMACが登録されている。
【0041】
さらに、スレーブ端末3Cが1番ポートに接続するL2スイッチ1CのMACアドレステーブルは、1番ポートに対応するMACアドレスとしてスレーブ端末3CのMACアドレス3CMACが登録され、2番ポートに対応するMACアドレスとしてマスタ端末3AのMACアドレス3AMACおよびスレーブ端末3BのMACアドレス3BMACが登録され、3番ポートに対応するMACアドレスとしてスレーブ端末3DのMACアドレス3DMACが登録されている。
【0042】
加えて、スレーブ端末3Dが1番ポートに接続するL2スイッチ1DのMACアドレステーブルは、1番ポートに対応するMACアドレスとしてスレーブ端末3DのMACアドレス3DMACが登録され、2番ポートに対応するMACアドレスとしてマスタ端末3AのMACアドレス3AMACおよび各スレーブ端末3B,3CのMACアドレス3BMAC,3CMACが登録されている。
【0043】
マスタ端末3Aは、MACトポロジーテーブル作成の第1ステップとして、図10に示すように、全てのL2スイッチ1A〜1Dのうちで、自らが接続するL2スイッチ1Aを除いた、各L2スイッチ1B〜1Dに対応するMACアドレステーブルについて、自らのMACアドレス3AMACが登録されているポートに注目し、該注目ポートに対応するM
ACアドレスのうちから自らのMACアドレス3AMACを消す(図10中の二重取り消し線を参照)。そして、上記注目ポートのうちでMACアドレスが全て消えたポート(図10中の斜線部分を参照)を特定し、該ポートを有するL2スイッチ1Bの配下にあるスレーブ端末3Bを、マスタ端末3Aに最も近いスレーブ端末とする。
【0044】
続いて、マスタ端末3Aは、MACトポロジーテーブル作成の第2ステップとして、図11に示すように、全てのL2スイッチ1A〜1Dのうちで、自らが接続するL2スイッチ1Aと、マスタ端末3Aに最も近いスレーブ端末3Bが接続するL2スイッチ1Bとを除いた、各L2スイッチ1C,1Dに対応するMACアドレステーブルについて、スレーブ端末3BのMACアドレス3BMACが登録されているポートに注目し、該注目ポートに対応するMACアドレスのうちからスレーブ端末3BのMACアドレス3BMACを消す。そして、上記注目ポートのうちでMACアドレスが全て消えたポートを特定し、該ポートを有するL2スイッチ1Cの配下にあるスレーブ端末3Cを、マスタ端末3Aに2番目に近いスレーブ端末とする。
【0045】
次に、マスタ端末3Aは、MACトポロジーテーブル作成の第3ステップとして、図12に示すように、全てのL2スイッチ1A〜1Dのうちで、自らが接続するL2スイッチ1Aと、マスタ端末3Aに最も近いスレーブ端末3Bが接続するL2スイッチ1Bと、マスタ端末3Aに2番目に近いスレーブ端末3Cが接続するL2スイッチ1Cとを除いた、L2スイッチ1Dに対応するMACアドレステーブルについて、スレーブ端末3CのMACアドレス3CMACが登録されているポートに注目し、該注目ポートに対応するMACアドレスのうちからスレーブ端末3CのMACアドレス3CMACを消す。そして、上記注目ポートのMACアドレスが全て消えていることを確認し、該ポートを有するL2スイッチ1Dの配下にあるスレーブ端末3Dを、マスタ端末3Aに3番目に近いスレーブ端末とする。ここでは、スレーブ端末の数が3つであるので、スレーブ端末3Dは、マスタ端末3Aから最も遠いスレーブ端末に該当することになる。なお、端末3Dの動作モードは、上述したL2トポロジー把握動作のステップ290において、スレーブ端末からサブマスタ端末に変更される。
【0046】
上記のような一連の処理により作成されるMACトポロジーテーブルは、例えば図12の下段に示すように、先頭のデータ領域にL2スイッチ1A配下のマスタ端末3AのMACアドレス3AMACが格納され、2番目のデータ領域にL2スイッチ1B配下のスレーブ端末3BのMACアドレス3BMACが格納され、3番目のデータ領域にL2スイッチ1C配下のスレーブ端末3CのMACアドレス3CMACが格納され、4番目のデータ領域にL2スイッチ1D配下のスレーブ端末3DのMACアドレス3DMACが格納されたデータ構造となる。このMACトポロジーテーブルに対応させて、前述の図6下段に示したようなMACトポロジーフレーム信号が、マスタ端末3Aからスレーブ端末3Bに向けて送信されることになる。
【0047】
上述したような初期動作およびL2トポロジー把握動作が完了することにより、マスタ端末3Aからサブマスタ端末3Dに至るオーダワイヤ回線が形成され、該オーダワイヤ回線を利用した音声等の通信が開始される。図13は、マスタ端末3Aおよびサブマスタ端末3Dの間で音声データを双方向に通信する場合の概要を説明する図である。
【0048】
図13において、マスタ端末3Aは、サブマスタ端末3Dに向けて音声トラフィックT3Aを送信する。この音声トラフィックT3Aは、スレーブ端末3Bで受信され、該スレーブ端末3Bでは、受信した音声トラフィックT3Aと自らが発する音声トラフィックT3Bとがミキシングされ、該ミキシング後の音声トラフィックT3A+3Bが隣のスレーブ端末3Cに送られる。スレーブ端末3Cでは、さらに、スレーブ端末3Bからの音声トラフィックT3A+3Bと自らが発する音声トラフィックT3Cとがミキシングされ、該
ミキシング後の音声トラフィックT3A+3B+3Cが隣のサブマスタ端末3Dに送られる。サブマスタ端末3Dは、スレーブ端末3Cから送られてくる音声トラフィックT3A+3B+3Cを受信すると、該音声トラフィックを破棄する。
【0049】
また、上記のようなマスタ端末3Aからサブマスタ端末3Dへの音声トラフィックの通信とは逆方向に、サブマスタ端末3Dが、マスタ端末3Aに向けて音声トラフィックT3Dを送信する。この逆方向の音声トラフィックT3Dは、スレーブ端末3Cで受信され、該スレーブ端末3Cでは、受信した音声トラフィックT3Dと自らが発する音声トラフィックT3C’とがミキシングされ、該ミキシング後の音声トラフィックT3D+3C’が隣のスレーブ端末3Bに送られる。スレーブ端末3Bでは、さらに、スレーブ端末3Cからの音声トラフィックT3D+3C’と自らが発する音声トラフィックT3B’とがミキシングされ、該ミキシング後の音声トラフィックT3D+3C’+3B’が隣のマスタ端末3Aに送られる。マスタ端末3Aは、スレーブ端末3Bから送られてくる音声トラフィックT3D+3C’+3B’を受信すると、該音声トラフィックを破棄する。
【0050】
上記のようなマスタ端末3Aおよびサブマスタ端末3Dの間における音声トラフィックの双方向通信により、各端末3A〜3Dでのオーダワイヤ回線を用いた多者間通話が実現されるようになる。
【0051】
なお、上記のようなオーダワイヤ通信システムにおいて、任意の2つのL2スイッチ間を接続する伝送路2に障害等が発生して当該区間の通信ができなくなった場合には、該2つのL2スイッチのうちの一方のL2スイッチについて、障害区間側にある接続ポートをブロッキングポートBPに設定変更して、上述した初期動作およびL2トポロジー把握動作を改めて実行することにより、障害区間を回避したオーダワイヤ回線を形成することが可能である。
【0052】
上述したように本実施形態のオーダワイヤ通信システムによれば、各L2スイッチ1が、接続状態通知回路14を具備し、端末3の接続時に該端末3から送信されるブロードキャストフレーム信号に応答して接続状態フレーム信号を上記端末3に送信するようにしたことで、上記端末3は、自らが接続するL2スイッチ1の接続状態(MACアドレステーブルおよびブロッキングポートBPの有無)を自動的に認識して、マスタ端末およびスレーブ端末のいずれのモードで動作するかを判断することができる。そして、マスタ端末3Aが、各スレーブ端末3B〜3Dからブロードキャスト送信されるMACアドレステーブルを基に、MACトポロジーテーブルを作成してMACトポロジーフレーム信号を各スレーブ端末3B〜3Dに送るようにしたことで、各スレーブ端末3B〜3Dは、互いの接続関係を自動的に認識して、自らがサブマスタ端末として動作するか否かを判断することができる。
【0053】
これにより、本実施形態のオーダワイヤ通信システムは、DHCPサーバなどの特別な機器を用意することなく、オーダワイヤ回線を形成することができ、各L2スイッチ1を拠点にした各端末3間での音声等の通信を低コストで実現することが可能になる。また、このオーダワイヤ通信システムは、MACトポロジーフレーム信号を使用して各端末間の通信経路を固定しているため、各端末間の通信を共通のサーバを経由して行う場合と比べて、回線速度を抑えた通信が可能であり、かつ、サーバへのトラフィックの集中も回避することができる。さらに、上記オーダワイヤ通信システムは、従来のように各端末に対してIPアドレスを設定する必要がないので、ネットワークアドレスを考慮せずに各端末3を使用することができ、利便性の向上を図ることも可能である。
【0054】
上記のようなオーダワイヤ通信システムによって得られる作用効果は、例えば、多数のL2スイッチを用いた広域ネットワークが要求される鉄道ネットワークなどにおいて、オ
ーダワイヤ回線による複数の拠点間での音声通信を低コストで実現するのに有効である。特に、ループ状のネットワークのうちの一部を、当該鉄道事業者が所有する通信回線とは異なるキャリア回線を借用して実現している場合、具体的には、例えば上述の図4に示したネットワーク構成において、L2スイッチ1AからL2スイッチ1Dに至る経路上の隣り合うL2スイッチ間をそれぞれ接続する伝送路2に鉄道事業者の通信回線を適用し、L2スイッチ1DからL2スイッチ1Aに戻る伝送路2にキャリア回線を適用する場合などには、キャリア回線の速度を低く抑えることができるため、キャリア回線の借用コストを効果的に削減することが可能である。なお、上記の一例は、本発明のオーダワイヤ通信システムが鉄道ネットワークの用途に限定されることを意味するものではない。
【0055】
以上の実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 複数のレイヤ2スイッチと、
前記複数のレイヤ2スイッチの間を互いに接続してループ状のネットワークを形成する伝送路と、
前記複数のレイヤ2スイッチに収容される複数の端末と、
を備えたオーダワイヤ通信システムであって、
前記複数のレイヤ2スイッチは、それぞれ、自らの接続状態に関する情報を、配下にある前記端末に通知する接続状態通知回路を含み、
前記複数の端末は、前記レイヤ2スイッチの接続状態通知回路から通知される情報に基づいて、いずれか1つの端末をマスタ端末に設定し、該マスタ端末が、前記複数のレイヤ2スイッチのトポロジーを判断して、該判断結果を残りの端末に伝達することにより、隣り合う端末の間を順に繋いだオーダワイヤ回線を形成することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【0056】
(付記2) 付記1に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記複数のレイヤ2スイッチは、それぞれ、
少なくとも3つの接続ポートを有するLANポート部と、
前記LANポート部に入力される信号の送信元情報に含まれるMACアドレスを認識し、該MACアドレスと前記LANポート部の接続ポート番号との対応関係を示すMACアドレステーブルを作成するMACアドレステーブル作成回路と、
前記LANポート部に入力される信号の宛先情報に含まれるMACアドレスが、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルにあるか否かを判定し、該判定結果に応じて前記信号の出力先の切替えを行う出力先選択回路と、を含み、
前記接続状態通知回路が、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルに基づいて、前記LANポート部の各接続ポートの接続状態を示す信号を生成し、該信号を前記LANポート部に接続する前記端末に送信することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【0057】
(付記3) 付記2に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記複数のレイヤ2スイッチは、スパニングツリープロトコル(STP)に従ってそれぞれ動作し、
前記接続状態通知回路は、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルを示す情報、および、前記LANポート部のいずれかの接続ポートがブロッキングポートに該当するか否かを示す情報を含む信号を生成し、該信号を前記LANポート部に接続する前記端末に送信し、
前記複数の端末は、前記接続状態通知回路から前記ブロッキングポートに該当することを示す情報を含む信号を受信した端末をマスタ端末に設定すると共に、残りの端末をスレーブ端末に設定することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【0058】
(付記4) 付記3に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記複数のレイヤ2スイッチのうちで、前記LANポート部のいずれかの接続ポートがブロッキングポートに該当するレイヤ2スイッチが、2以上の前記端末を収容するとき、
前記複数の端末は、前記接続状態通知回路から前記ブロッキングポートに該当することを示す情報を含む信号を受信することになる前記2以上の端末のうちで、前記LANポート部の接続ポート番号が最も小さい端末をマスタ端末に設定することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【0059】
(付記5) 付記3または4に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記スレーブ端末は、前記接続状態通知回路から受信した信号より前記MACアドレステーブルを抽出し、該MACアドレステーブルを示す信号をブロードキャストで送信し、
前記マスタ端末は、前記スレーブ端末からブロードキャスト送信される信号を受信し、該信号が示すMACアドレステーブルを基に、前記複数のレイヤ2スイッチのトポロジーを各々に繋がる端末のMACアドレスを用いて表したMACトポロジーテーブルを作成し、該MACトポロジーテーブルに対応した信号を前記スレーブ端末に送信し、
前記スレーブ端末は、前記マスタ端末から受信した信号を基に、前記MACトポロジーテーブルにおいて前記マスタ端末のMACアドレスを格納するデータ領域に対し最も離れたデータ領域に自らのMACアドレスが格納されている端末をサブマスタ端末に変更することにより、前記マスタ端末から前記サブマスタ端末に至るオーダワイヤ回線を形成することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【0060】
(付記6) 付記5に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記マスタ端末は、前記MACトポロジーテーブルの作成において、前記スレーブ端末から受信したMACアドレステーブルについて、自らのMACアドレスが登録されているポートに注目し、該注目ポートに対応するMACアドレスのうちから自らのMACアドレスを消した後、前記注目ポートのうちでMACアドレスが全て消えたポートを特定し、該特定されたポートを有するL2スイッチの配下にあるスレーブ端末を、自らに最も近いスレーブ端末とすることを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【0061】
(付記7) 付記5または6に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記マスタ端末は、前記サブマスタ端末に向けて前記オーダワイヤ回線に音声トラフィックを送信すると共に、前記サブマスタ端末から前記オーダワイヤ回線に送信された音声トラフィックを受信したときに該音声トラフィックを破棄し、
前記サブマスタ端末は、前記マスタ端末に向けて前記オーダワイヤ回線に音声トラフィックを送信すると共に、前記マスタ端末から前記オーダワイヤ回線に送信された音声トラフィックを受信したときに該音声トラフィックを破棄し、
前記スレーブ端末は、前記マスタ端末または前記サブマスタ端末から送られてくる音声トラフィックと自らが発する音声トラフィックとをミキシングし、該ミキシング後の音声トラフィックを前記オーダワイヤ回線に送信することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【0062】
(付記8) オーダワイヤ通信システムに用いられるレイヤ2スイッチであって、
少なくとも3つの接続ポートを有するLANポート部と、
前記LANポート部に入力される信号の送信元情報に含まれるMACアドレスを認識し、該MACアドレスと前記LANポート部の接続ポート番号との対応関係を示すMACアドレステーブルを作成するMACアドレステーブル作成回路と、
前記LANポート部に入力される信号の宛先情報に含まれるMACアドレスが、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルにあるか否かを判定し、該判定結果に応じて前記信号の出力先の切替えを行う出力先選択回路と、
前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルに基づいて、前記LANポート部の各接続ポートの接続状態を示す信号を生成し、該信号を前記LA
Nポート部に接続する端末に送信する接続状態通知回路と、を備えたことを特徴とするレイヤ2スイッチ。
【0063】
(付記9) 付記8に記載のレイヤ2スイッチであって、
前記接続状態通知回路は、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルを示す情報、および、前記LANポート部のいずれかの接続ポートがスパニングツリープロトコル(STP)に規定されるブロッキングポートに該当するか否かを示す情報を含む信号を生成し、該信号を前記LANポート部に接続する前記端末に送信することを特徴とするレイヤ2スイッチ。
【符号の説明】
【0064】
1,1A〜1D…レイヤ2スイッチ(L2SW)
2…伝送路
3…端末
3A…マスタ端末
3B,3C…スレーブ端末
3D…サブマスタ端末
3AMAC,3BMAC,3CMAC,3DMAC…端末のMACアドレス
11…LANポート部
12…MACアドレステーブル作成回路
13…出力先選択回路
14…接続状態通知回路
BP…ブロッキングポート
T3A〜T3D…音声トラフィック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレイヤ2スイッチと、
前記複数のレイヤ2スイッチの間を互いに接続してループ状のネットワークを形成する伝送路と、
前記複数のレイヤ2スイッチに収容される複数の端末と、
を備えたオーダワイヤ通信システムであって、
前記複数のレイヤ2スイッチは、それぞれ、自らの接続状態に関する情報を、配下にある前記端末に通知する接続状態通知回路を含み、
前記複数の端末は、前記レイヤ2スイッチの接続状態通知回路から通知される情報に基づいて、いずれか1つの端末をマスタ端末に設定し、該マスタ端末が、前記複数のレイヤ2スイッチのトポロジーを判断して、該判断結果を残りの端末に伝達することにより、隣り合う端末の間を順に繋いだオーダワイヤ回線を形成することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記複数のレイヤ2スイッチは、それぞれ、
少なくとも3つの接続ポートを有するLANポート部と、
前記LANポート部に入力される信号の送信元情報に含まれるMACアドレスを認識し、該MACアドレスと前記LANポート部の接続ポート番号との対応関係を示すMACアドレステーブルを作成するMACアドレステーブル作成回路と、
前記LANポート部に入力される信号の宛先情報に含まれるMACアドレスが、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルにあるか否かを判定し、該判定結果に応じて前記信号の出力先の切替えを行う出力先選択回路と、を含み、
前記接続状態通知回路が、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルに基づいて、前記LANポート部の各接続ポートの接続状態を示す信号を生成し、該信号を前記LANポート部に接続する前記端末に送信することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記複数のレイヤ2スイッチは、スパニングツリープロトコル(STP)に従ってそれぞれ動作し、
前記接続状態通知回路は、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルを示す情報、および、前記LANポート部のいずれかの接続ポートがブロッキングポートに該当するか否かを示す情報を含む信号を生成し、該信号を前記LANポート部に接続する前記端末に送信し、
前記複数の端末は、前記接続状態通知回路から前記ブロッキングポートに該当することを示す情報を含む信号を受信した端末をマスタ端末に設定すると共に、残りの端末をスレーブ端末に設定することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【請求項4】
請求項3に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記スレーブ端末は、前記接続状態通知回路から受信した信号より前記MACアドレステーブルを抽出し、該MACアドレステーブルを示す信号をブロードキャストで送信し、
前記マスタ端末は、前記スレーブ端末からブロードキャスト送信される信号を受信し、該信号が示すMACアドレステーブルを基に、前記複数のレイヤ2スイッチのトポロジーを各々に繋がる端末のMACアドレスを用いて表したMACトポロジーテーブルを作成し、該MACトポロジーテーブルに対応した信号を前記スレーブ端末に送信し、
前記スレーブ端末は、前記マスタ端末から受信した信号を基に、前記MACトポロジーテーブルにおいて前記マスタ端末のMACアドレスを格納するデータ領域に対し最も離れたデータ領域に自らのMACアドレスが格納されている端末をサブマスタ端末に変更する
ことにより、前記マスタ端末から前記サブマスタ端末に至るオーダワイヤ回線を形成することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記マスタ端末は、前記サブマスタ端末に向けて前記オーダワイヤ回線に音声トラフィックを送信すると共に、前記サブマスタ端末から前記オーダワイヤ回線に送信された音声トラフィックを受信したときに該音声トラフィックを破棄し、
前記サブマスタ端末は、前記マスタ端末に向けて前記オーダワイヤ回線に音声トラフィックを送信すると共に、前記マスタ端末から前記オーダワイヤ回線に送信された音声トラフィックを受信したときに該音声トラフィックを破棄し、
前記スレーブ端末は、前記マスタ端末または前記サブマスタ端末から送られてくる音声トラフィックと自らが発する音声トラフィックとをミキシングし、該ミキシング後の音声トラフィックを前記オーダワイヤ回線に送信することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【請求項6】
オーダワイヤ通信システムに用いられるレイヤ2スイッチであって、
少なくとも3つの接続ポートを有するLANポート部と、
前記LANポート部に入力される信号の送信元情報に含まれるMACアドレスを認識し、該MACアドレスと前記LANポート部の接続ポート番号との対応関係を示すMACアドレステーブルを作成するMACアドレステーブル作成回路と、
前記LANポート部に入力される信号の宛先情報に含まれるMACアドレスが、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルにあるか否かを判定し、該判定結果に応じて前記信号の出力先の切替えを行う出力先選択回路と、
前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルに基づいて、前記LANポート部の各接続ポートの接続状態を示す信号を生成し、該信号を前記LANポート部に接続する端末に送信する接続状態通知回路と、を備えたことを特徴とするレイヤ2スイッチ。
【請求項1】
複数のレイヤ2スイッチと、
前記複数のレイヤ2スイッチの間を互いに接続してループ状のネットワークを形成する伝送路と、
前記複数のレイヤ2スイッチに収容される複数の端末と、
を備えたオーダワイヤ通信システムであって、
前記複数のレイヤ2スイッチは、それぞれ、自らの接続状態に関する情報を、配下にある前記端末に通知する接続状態通知回路を含み、
前記複数の端末は、前記レイヤ2スイッチの接続状態通知回路から通知される情報に基づいて、いずれか1つの端末をマスタ端末に設定し、該マスタ端末が、前記複数のレイヤ2スイッチのトポロジーを判断して、該判断結果を残りの端末に伝達することにより、隣り合う端末の間を順に繋いだオーダワイヤ回線を形成することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記複数のレイヤ2スイッチは、それぞれ、
少なくとも3つの接続ポートを有するLANポート部と、
前記LANポート部に入力される信号の送信元情報に含まれるMACアドレスを認識し、該MACアドレスと前記LANポート部の接続ポート番号との対応関係を示すMACアドレステーブルを作成するMACアドレステーブル作成回路と、
前記LANポート部に入力される信号の宛先情報に含まれるMACアドレスが、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルにあるか否かを判定し、該判定結果に応じて前記信号の出力先の切替えを行う出力先選択回路と、を含み、
前記接続状態通知回路が、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルに基づいて、前記LANポート部の各接続ポートの接続状態を示す信号を生成し、該信号を前記LANポート部に接続する前記端末に送信することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記複数のレイヤ2スイッチは、スパニングツリープロトコル(STP)に従ってそれぞれ動作し、
前記接続状態通知回路は、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルを示す情報、および、前記LANポート部のいずれかの接続ポートがブロッキングポートに該当するか否かを示す情報を含む信号を生成し、該信号を前記LANポート部に接続する前記端末に送信し、
前記複数の端末は、前記接続状態通知回路から前記ブロッキングポートに該当することを示す情報を含む信号を受信した端末をマスタ端末に設定すると共に、残りの端末をスレーブ端末に設定することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【請求項4】
請求項3に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記スレーブ端末は、前記接続状態通知回路から受信した信号より前記MACアドレステーブルを抽出し、該MACアドレステーブルを示す信号をブロードキャストで送信し、
前記マスタ端末は、前記スレーブ端末からブロードキャスト送信される信号を受信し、該信号が示すMACアドレステーブルを基に、前記複数のレイヤ2スイッチのトポロジーを各々に繋がる端末のMACアドレスを用いて表したMACトポロジーテーブルを作成し、該MACトポロジーテーブルに対応した信号を前記スレーブ端末に送信し、
前記スレーブ端末は、前記マスタ端末から受信した信号を基に、前記MACトポロジーテーブルにおいて前記マスタ端末のMACアドレスを格納するデータ領域に対し最も離れたデータ領域に自らのMACアドレスが格納されている端末をサブマスタ端末に変更する
ことにより、前記マスタ端末から前記サブマスタ端末に至るオーダワイヤ回線を形成することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載のオーダワイヤ通信システムであって、
前記マスタ端末は、前記サブマスタ端末に向けて前記オーダワイヤ回線に音声トラフィックを送信すると共に、前記サブマスタ端末から前記オーダワイヤ回線に送信された音声トラフィックを受信したときに該音声トラフィックを破棄し、
前記サブマスタ端末は、前記マスタ端末に向けて前記オーダワイヤ回線に音声トラフィックを送信すると共に、前記マスタ端末から前記オーダワイヤ回線に送信された音声トラフィックを受信したときに該音声トラフィックを破棄し、
前記スレーブ端末は、前記マスタ端末または前記サブマスタ端末から送られてくる音声トラフィックと自らが発する音声トラフィックとをミキシングし、該ミキシング後の音声トラフィックを前記オーダワイヤ回線に送信することを特徴とするオーダワイヤ通信システム。
【請求項6】
オーダワイヤ通信システムに用いられるレイヤ2スイッチであって、
少なくとも3つの接続ポートを有するLANポート部と、
前記LANポート部に入力される信号の送信元情報に含まれるMACアドレスを認識し、該MACアドレスと前記LANポート部の接続ポート番号との対応関係を示すMACアドレステーブルを作成するMACアドレステーブル作成回路と、
前記LANポート部に入力される信号の宛先情報に含まれるMACアドレスが、前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルにあるか否かを判定し、該判定結果に応じて前記信号の出力先の切替えを行う出力先選択回路と、
前記MACアドレステーブル作成回路で作成されたMACアドレステーブルに基づいて、前記LANポート部の各接続ポートの接続状態を示す信号を生成し、該信号を前記LANポート部に接続する端末に送信する接続状態通知回路と、を備えたことを特徴とするレイヤ2スイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−195690(P2012−195690A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56909(P2011−56909)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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