説明

オーディオビジュアル再生

例えばインタラクティブコンテンツを含むMHP放送コンテンツを再生するため、拡張されたDVDシステムを利用して、関連するアプリケーションコンテンツと共にオーディオビジュアルコンテンツを再生する方法が記載される。DVDディスクは、DVDプレイヤの機能を拡張するためのMHP APIを、少なくとも部分的に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ例えばインタラクティブなコンテンツを提供するアプリケーションと組み合わせられた、記録されたオーディオビジュアルコンテンツを出力する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インタラクティブテレビジョンは、ユーザ入力に応答することが可能なアプリケーションと共に、オーディオビジュアルコンテンツの配信を必要とする。インタラクティブTVの供給及び再生のためのオープンなプロトコルは、インタラクティブTVが広く採用されるために必須である。
【0003】
1つの規格は、インタラクティブな放送マテリアル向けのマルチメディア・ホーム・プラットフォーム(MHP)である。該規格は既に世界中の幾つかの国に導入されており、該規格においては、オーディオビジュアルコンテンツと共に、高度なアプリケーションが放送され得る。MHPアプリケーションを信号送信するため、アプリケーション情報テーブルが放送される。しかしながら該規格は、ディジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)のような着脱可能な媒体にかようなコンテンツを保存するという問題に対処していない。
【0004】
MHPは、アプリケーションが放送コンテンツを供給される唯一のインタラクティブTVシステムではない。他にはOpenTV(登録商標)、MediaHighway(登録商標)及びMHEG−5を含む。
【0005】
最新の規格はDSM−CC(digital storage media - command and control)規格であり、メッセージ及びセッションについての規格を規定している。
【0006】
放送されたインタラクティブTV伝送データが適切な受信器において受信されると、入力された伝送ストリームがアプリケーションデータを探すために検索され、アプリケーションデータがメモリに保存される。ユーザが該ユーザのリモートコントローラ又は他のデータ入力手段上の適切なボタンを押下すると、前記アプリケーションが動作する。実行されるキャッシュ処理の例が、OpenTV社に与えられた米国特許US6427238に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のDVDビデオレコーダがかようなマテリアルを記録する場合、伝送されたMHPストリームのオーディオビジュアル部分を再生することが可能であるのみであり、例えばインタラクティブな機能を実装するための付加的なアプリケーションは再生できない。従って、記録されたインタラクティブTV伝送データを再生するための方法についてのニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、オーディオビジュアルコンテンツ、制御アプリケーション及び少なくとも1つの付加的なリンクされたアプリケーションを保存する着脱可能な記憶媒体に、所定のインタラクティブテレビジョンのプラットフォーム非依存の規格で保存されたインタラクティブなオーディオビジュアルコンテンツを出力する方法であって、前記方法は、
前記着脱可能な記憶媒体に保存された制御アプリケーションを起動するステップと、
前記制御アプリケーションからオーディオビジュアル表示アプリケーションを呼び出すステップと、
前記オーディオビジュアル表示アプリケーションを利用して前記着脱可能な記憶媒体からオーディオビジュアルデータを読み取り、前記コンテンツに基づきオーディオビジュアル表示を提供するステップと、
前記制御アプリケーションから少なくとも1つのリンクされたアプリケーションを呼び出し、前記又はそれぞれのリンクされたアプリケーションを実行するステップと、
を有し、前記着脱可能な記憶媒体に保存された前記制御アプリケーションは、所定のプラットフォーム非依存の規格のアプリケーションプログラミングインタフェースの少なくとも一部を含む、前記所定のインタラクティブテレビジョンのプラットフォーム非依存の規格の機能の一部を実装し、
前記少なくとも1つのリンクされたアプリケーションは、実行時に、前記所定のプラットフォーム非依存の規格のアプリケーションプログラミングインタフェースを呼び出す方法が提供される。
【0009】
このようにして、プレイヤ自体がプラットフォーム非依存の規格を完全に実施化することができない場合、又は全く実施化することができない場合であっても、該プレイヤがインタラクティブなオーディオビジュアルコンテンツを再生することができる。
【0010】
前記オーディオビジュアル表示アプリケーション及び前記少なくとも1つの付加的なリンクされたアプリケーションは、前記制御アプリケーションによって、必要とされるいずれの順序で起動されても良いことに留意されたい。
【0011】
好ましくは、前記所定のインタラクティブテレビジョンのプラットフォーム非依存の規格の機能の少なくとも一部を実装する前記制御アプリケーションは、コンピュータプラットフォーム非依存の規格で記述される。後者の規格は、プレイヤによって解釈され得る、Java(登録商標)バイトコード又は他のコードであっても良い。
【0012】
前記リンクされたアプリケーションを識別するために、アプリケーション情報テーブルが備えられても良い。前記制御アプリケーションは、前記着脱可能な記憶媒体に保存されたアプリケーション情報テーブルを読み取り、前記アプリケーション情報テーブル中の情報に基づき前記少なくとも1つのリンクされたアプリケーションを呼び出しても良い。
【0013】
好適な構成においては、前記少なくとも1つの付加的なリンクされたアプリケーションはMHPアプリケーションであり、前記制御アプリケーションは少なくとも部分的にMHPアプリケーションプログラミングインタフェースを実装する。前記着脱可能な記憶媒体はDVDディスクであっても良く、前記オーディオビジュアル表示アプリケーションは、前記ディスクからDVD−Videoのコンテンツを読み取るためのDVD−Videoリーダであっても良い。
【0014】
DVDプレイヤはMHPのような放送アプリケーションフォーマットを実装する機能は持たないかも知れないが、前記ディスクに保存された制御アプリケーションが必要な付加的な機能を提供する。
【0015】
好ましくは、前記オーディオビジュアル表示アプリケーションが特定のイベントがいつ発生するかを決定し、1以上の前記特定のイベントが発生した場合に前記オーディオビジュアル表示アプリケーションから前記制御アプリケーションにコールバックする。このようにして前記制御アプリケーションは、オーディオビジュアルの提示中の特定の時点において、リンクされたアプリケーションを必要に応じて起動又は停止することができる。
【0016】
他の態様においては、本発明は、上述の方法のステップをプレイヤに実行させるためのコンピュータプログラムに関する。
【0017】
本発明はまた、オーディオビジュアルコンテンツと、所定のインタラクティブテレビジョンのプラットフォーム非依存の規格の形のアプリケーションコードと、前記アプリケーションコードを呼び出し、前記オーディオビジュアルコンテンツを表示するために仮想マシンを呼び出すための制御アプリケーションとを含む着脱可能な記憶媒体であって、前記着脱可能な記憶媒体は、所定のプラットフォーム非依存の規格のためのアプリケーションプログラミングインタフェースの少なくとも一部を含み、それにより前記アプリケーションコードが前記アプリケーションプログラミングインタフェースの一部を呼び出し、前記プラットフォーム非依存の規格の少なくとも幾つかを実装する、着脱可能な記憶媒体に関する。
【0018】
本発明の好適な実施例は、添付する図を参照しながら、単に例としてのみ、以下に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は原則的に、記録されたインタラクティブTV伝送データの再生に関する。
【0020】
本例においては、以下に説明される拡張されたDVD再生リーダにおいて再生が実行される。
【0021】
DVDビデオレコーダ/プレイヤ2は、該レコーダ/プレイヤ2に挿入されたDVDディスク6の形をとる着脱可能な記憶媒体を読み取るためのDVDリーダ4を含む。DVDビデオレコーダ/プレイヤ2はまた、プロセッサ10及びメモリ12を含む。前記DVDビデオレコーダ/プレイヤはまた、スタンドアロン型のレコーダ/プレイヤの場合におけるリモートコントローラ14のような、幾つかの他の構成要素を持っていても良い。そうではなくDVDビデオレコーダ/プレイヤ2が従来のパーソナルコンピュータにおいて実装される場合には、リモートコントローラ14はキーボード及びマウス、又は良く知られた他のデータ入力システムによって置き換えられても良い。
【0022】
DVDビデオレコーダ/プレイヤ2は、従来のテレビジョンのような、オーディオビジュアル再生システム16に接続される。当業者には良く理解されるであろうように、前記オーディオビジュアル再生システムは単純なテレビジョンよりも複雑なものであっても良く、サラウンド音声デコーダ、マルチチャネル増幅器及び他の多くのタイプの構成要素を含んでも良い。
【0023】
メモリ12は、DVDビデオレコーダ/プレイヤ2におけるプラットフォーム非依存の仮想マシンを実装するためのコード18を含む。「仮想マシン」とは、プラットフォーム非依存の形態でプログラムが実装されることを可能とするための、標準的な命令を実装することが可能なシステムを意味する。ここで説明される本例においては、前記仮想マシンは、前記DVDビデオレコーダ/プレイヤがJava(登録商標)バイトコードを実行することを可能とする、Java(登録商標)仮想マシン18である。例えばMHPアプリケーションが、Java(登録商標)バイトコードを利用する。しかしながら、当業者は理解するであろうように、他のプラットフォーム非依存のコードが存在し、例えばOpenTV(登録商標)アプリケーションはo−codeを利用する。これらが代替として又は付加的に利用されても良い。
【0024】
メモリ12はまた、DVD−V仮想マシンを実装するコード20を含む。該コードの機能の多くは標準的なものであり、DVDビデオレコーダ/プレイヤ2が単にオーディオビジュアルDVDビデオコンテンツを再生すること、リモートコントローラ14を利用してメニューにアクセスすること、及びDVDビデオレコーダ/プレイヤの全ての標準的な機能を実行することを可能とする。
【0025】
好適な実施例においては、DVD VM20は、プラットフォーム非依存の仮想マシン18のプラットフォーム非依存コードに実装される。このことは、DVD VM20とプラットフォーム非依存の仮想マシン18で動作する外部アプリケーションとの間の通信を単純にする。しかしながら当業者は、同一のDVDレコーダ/プレイヤ中の異なるアプリケーション上で動作するプロセス間の通信の方法を認識するであろう。従って、DVD VMが同一のプラットフォーム非依存の仮想マシン18において動作することは必須ではない。
【0026】
DVD VM20は、DVDビデオレコーダ/プレイヤ2に拡張された機能を与えるアプリケーションプログラミングインタフェース(API)30を含む。図2は、DVD
VM API30の構成要素を示す。これら構成要素は、DVD VM20の機能にアクセスするために独立して呼び出されても良い。
【0027】
前記APIはDVDビデオデータ及び仮想マシンの構造を呈し、APIへの呼び出しがデータにアクセスするために利用されることができる。前記データには、セル、ビデオオブジェクト及びDVDビデオデータの種々の他の標準的な部分が含まれる。前記APIへの呼び出しは、以下の機能を実行するために利用されることができる。
(1)VMの起動(32)。即ちDVDビデオのデコードの開始。
(2)VMの停止(34)。
(3)VMを用いた特定のイベント、例えば到達されたセル又は特定のメニューにおいて選択された特定の選択肢のようなDVDビデオデータ中の特定の位置の記録(36)。
(4)VMによって表示されるべきメニューの変更(38)。
【0028】
このことは完全なリストを必要とせず、必要ならば例えば単にメニューを変更するのではなくデータ構造を変更する他の方法を提供するといったような、他の機能が提供されても良いことは認識されるであろう。
【0029】
DVD VM20はまた、特定のイベントが発生したときに、DVD VM API30を呼び出したプログラムに処理を戻す機能を持つ。一般に、これらイベントはDVD VM API30への呼び出しによって予め登録されたイベントであるが、例えばDVDビデオデータの末尾への到達のような他のイベントがコールバックを引き起こしても良い。
【0030】
MHPストリームからの記録された情報を含むDVDディスク6が、図3に模式的に示される。
【0031】
DVDはビデオデータ22を含み、加えてDVDのUDF/ISOファイルシステムに保存された、例えばstart.jarのような標準的な名前を持つJava(登録商標)アーカイブファイル(.jarファイル)24を含む。前記アーカイブファイルは、Java(登録商標)アーカイブにおいては一般的であるように、META_INF/MANIFEST.MFと呼ばれるマニフェストファイル26を含む幾つかのファイルを保存する。該ファイルは、オートスタート制御アプリケーションファイル28の位置を含む。制御アプリケーションのようなアプリケーションはかくして、コンピュータの標準的なプラットフォーム非依存のコード、ここではJava(登録商標)バイトコードで保存される。他の適切なコンピュータの標準的なプラットフォーム非依存のコードも、これらコードがプレイヤ2によって解釈されることができる限り、利用されても良い。
【0032】
DVDはまた1以上のMHPアプリケーション29、即ちコード及びデータを階層ファイルシステムに保存する。前記コードは付加的な機能を提供し、とりわけインタラクティブTV機能を提供するために利用される。本実施例においては、MHPアプリケーションはDSM−CC(digital storage media - command and control)メッセージフォーマットで記録される。
【0033】
前記アーカイブはまた、MHPアプリケーションを信号送信するためにMHP放送環境において利用されるようなアプリケーション情報テーブル(AIT)27の表現を含む。前記AITは、MHPアプリケーション29及び起動パラメータを識別する。前記AITはJava(登録商標)アーカイブファイルに含まれる制御アプリケーション28によって解釈される。
【0034】
図4に示されるように、制御アプリケーション28は、記録されたインタラクティブなオーディオビジュアル表現の再生、即ち関連するアプリケーションと合わせたオーディオビジュアルコンテンツの再生を制御する。制御アプリケーション28は、オーディオビジュアルコンテンツを表示するためにDVD VM20を呼び出し、必要に応じてMHPアプリケーション29を呼び出す。DVD VM20は次いで、オーディオビジュアルデータ22をディスクから取得し、前記又はそれぞれのMHPアプリケーション29がMHP機能を実装するためMHP API40を呼び出す。
【0035】
本実施例においては、MHP機能にアクセスするために利用されるMHP API40を実装するコードも、通常Java(登録商標)バイトコード又は他の機械読み取り可能なフォーマットで、前記ディスクに保存される。
【0036】
DVDディスク6が前記リーダに挿入されると、Java(登録商標)アーカイブファイル24が復元され、Jarマニフェストが適切なパラメータで制御アプリケーション28を実行するために利用される。該制御アプリケーション28は、DVDビデオレコーダ/プレイヤ2におけるJava(登録商標)仮想マシン18上で動作する。
【0037】
制御アプリケーション28は、イベントを登録するためにDVDビデオAPIを呼び出す。とりわけ該アプリケーションは、制御アプリケーション28が例えばMHPアプリケーション29の1つを起動又は停止するといった動作を行う必要がある場合をイベントとして登録するために、DVDビデオAPIを呼び出す。
【0038】
理解されるであろうように、多くのMHPアプリケーションはオートスタートアプリケーションであり、従って制御アプリケーション28が、AIT27において示されるように、各オートスタートMHPアプリケーション29の1つのインスタンスを起動する。
【0039】
本例におけるMHPアプリケーションはJava(登録商標)仮想マシン18上で動作するが、付加的な機能を必要とする。該機能を提供するため、動作中は、MHPアプリケーション29は必要に応じて該機能にアクセスするためのMHP API40を呼び出す。
【0040】
これらの最初のステップの後、制御アプリケーション28は次いでDVDビデオAPIを呼び出し、DVD VM20のオーディオビジュアルデータ22の再生を開始させる。DVD VM20が登録されたイベントの1つを通過した場合、DVD VM20から制御アプリケーション28へと制御が戻され、制御アプリケーション28が前記イベントを処理することを可能とする。
【0041】
とりわけ、前記イベントの幾つかはMHPアプリケーション29を起動する。例えば、元の放送されたMHP信号は、オーディオビジュアル表現における特定の点に制御アプリケーションを含み得る。該信号は、前記制御アプリケーションが前記オーディオビジュアル表現における特定の点をイベントとして登録するように構成することにより、記録されたバージョンで再生される。前記点が到達されたときに、DVD VM20は、MHPアプリケーション29を起動する制御アプリケーション28に制御を戻し、これにより元のMHP放送の効果を得る。
【0042】
他のイベントは、MHPアプリケーションファイルシステムにおけるバージョンの変更を含み得る。例えば、元の放送の間に、放送ファイルシステム中のファイルがバージョンを変更した場合、該ファイルはオーディオビジュアルデータストリーム中のイベントにより、記録されたバージョンで再生される。該イベントが到達された場合、DVD VM20は制御を制御アプリケーションに戻す。前記制御アプリケーションは、該アプリケーションのデコーダをMHPアプリケーションファイルシステム用に更新し、これにより前記ファイルの正しいバージョンがMHPアプリケーションにとって可視とされる。
【0043】
幾つかの場合においては、DVD VMを停止することが望ましく、このことは制御アプリケーション28からDVD VM API30への適切な呼び出しによって実行される。他の場合においては、DVD VM20が単に続行することが望ましい。このことは全てMHPアプリケーション29の制御の下で可能である。MHPアプリケーション29は、API40を通して制御アプリケーション28を呼び出し、前記制御アプリケーションにMHP規格に従って要求を処理させる。このことはまた、オーディオビジュアル再生を開始若しくは停止又はさもなければ制御するため、制御アプリケーション28が正しいパラメータでDVD VM API30を呼び出すことを必要とする。
【0044】
イベントを処理した後、制御はDVD VM20に戻され、DVDビデオ再生を継続する。MHPアプリケーション29が並行して動作し、例えばユーザ入力を待機しても良い。かようなユーザ入力を受けると、前記MHPアプリケーションは制御アプリケーション28に実装されたMHP API40を呼び出し、例えばDVD VM API30を呼び出すことにより達成されるオーディオビジュアル再生の中止を要求しても良い。
【0045】
代替の実施例においては、DVDディスク6に備えられる機能の量は変化しても良いことは留意されたい。とりわけ、制御アプリケーション28はDSM−CCデータの処理へのアクセス、TV情報を提供するDVBサービス情報へのアクセス、及び他の特徴を持つ必要がある。該機能は、DVDディスク6に保存された制御アプリケーション28のコードの形で備えられても良いし、プレイヤ2自体に保存されたコードの形で備えられても良い。例えばプレイヤ2はJava(登録商標)仮想マシン及びPersonal Basis Profile(基本的なI/O及びグラフィクスAPIを提供するJava(登録商標) 2 Micro Edition仕様)に合致するAPIセットを含んでも良い。該APIセットは、MHPアプリケーションのグラフィクス要件の殆どを実装するが、DSMCC及びSI処理を制御アプリケーション28に任せるものである。この場合においては、MHP API40の機能の多くは、プレイヤに保存されたコードによって実装される。しかしながら、DSM−CC機能及びSI機能は、ディスクに保存されたコード上でも提供される。
【0046】
MHP API40は幾つかの機能を実装する必要がある。上述したDSMCC APIと同様に、MHPは、制御アプリケーション28によって種々の方法でエミュレートされ得るTV番組情報を提供するサービス情報APIのような、他のAPIを必要とする。例えば前記サービス情報APIは、オーディオビジュアルストリーム中に記録されたデータをパースすることができ、又は記録が開始されたときに生成されたディスク上のファイルの内容を単にレポートすることができる。
【0047】
かくして、制御アプリケーション28及びプレイヤ2は合わせてMHP API40を提供し、MHPアプリケーション29は該API40を全てのMHP機能を実装するものとして認識する。
【0048】
制御アプリケーション28は次いでDVD VM20を呼び出し、該UM20がMHPアプリケーション29に提供する機能の一部を実装することに留意されたい。かくして、前記制御アプリケーションは前記MHPアプリケーションに対して放送環境を模倣するように動作する。
【0049】
かくして、DVD VM API及びMHP APIを通して互いにアクセスする前記MHPアプリケーション、前記制御アプリケーション及びDVD VMのインタラクションによって、インタラクティブな再生を提供する機能が提供される。
【0050】
ここまでは、本発明の焦点を形成する再生に説明が集中させられた。初めからディスクにインタラクティブTVアプリケーションを含むオーディオビジュアルデータを記録するための、幾つかの異なる可能性がある。このことは全く些細なタスクであるというわけではない。なぜならアプリケーションによって認識されるファイルは、2つの重要な点においてディスク上の固定されたファイルシステムとは異なるからである。第1に、前記ファイルは時間によって変化し得、ファイルの新たなバージョンがいつでも出現し得る。第2に、認識される前記ファイルシステムは非ディレクトリ、非ファイルオブジェクトを含み、該オブジェクトはストリームイベント、メディアストリーム又は時間ベースを参照し得る。
【0051】
これらの問題に対処する幾つかのとり得るアプローチがある。
【0052】
第1のアプローチにおいては、前記ファイルシステムが単に、単一の時点においてプレイヤ上に存在するようなUDFファイルシステムとして保存される。ストリームオブジェクトは、再生時にデコードされる特殊なファイルに保存される。このアプローチは単純さという利点を持つが、理解されるであろうように、前記問題の全てには対処しない。なぜなら記録されるファイルシステムは固定され、時間とともに変化しないからである。それ故、該アプローチは全てのアプリケーションに対してはうまく働かず、とりわけ利用可能な記録されたアプリケーションが時間と共に変化する場合には該アプローチは働かない。
【0053】
第2のアプローチにおいては、DSMCCメッセージの放送ストリーム全体がディスクに保存され、単に前記ストリームが放送されたかのようにデコードされる。本アプローチはディスク空間及びデコーダのコストの点で非常に浪費的である。
【0054】
第3のアプローチにおいては、DSMCCメッセージの新たなバージョンのみが保存され、データベースが各メッセージの有効期間のものに維持される。デコーダは前記データベースを参照し、オーディオビジュアル時間に対する現在時間に基づき適切なメッセージを引き戻す必要がある。
【0055】
本発明は、これらのアプローチのいずれかを用いて記録されたMHPの再生に向けたものである。
【0056】
本発明は、組み合わせられたDVD/MHPレコーダ/プレイヤに特に応用可能なものであるが、いずれの適切なレコーダ/プレイヤにも適用され得る。DVDディスク6は、いずれかの特定の用途のため必要に応じてコンパクトディスク(CD)又はフラッシュメモリのような他の着脱可能な記憶媒体によって置き換えられても良い。とりわけ本発明は、組み合わせられたMHP/CDファイルシステムの実装に有用であり得る。
【0057】
上述の例においては、前記制御アプリケーション及びリンクされたアプリケーションの両方が同一の仮想マシン規格(Java(登録商標)仮想マシン)にコード化され、制御アプリケーション28は単にAPI40を通して付加的な機能を追加する。
【0058】
代替実施例においては、前記制御アプリケーションはより多くのサポートを提供する必要があり得る。例えば、十分に表現力のある仮想マシンは、別の仮想マシン環境をエミュレートする制御アプリケーションをサポートすることができる。
【0059】
第2の実施例においては、MHEG−5アプリケーション29(英国における「Freeview」放送において利用される)がディスクに保存される。Java(登録商標)制御アプリケーション28は、完全なMHEG−5APIランタイム環境をエミュレートし、リンクされたMHEG−5アプリケーションが前記制御アプリケーションによって命令毎に解釈される。かくして本例においては、制御アプリケーション28は完全なインタープリタとして動作する。
【0060】
本開示を読むことにより、当業者には他の変形及び変更が明らかであろう。かような変形及び変更は、オーディオビジュアルプレイヤ及び放送システムの設計、製造及び使用において既に知られた同等の及び他の特徴を含んでも良く、ここで説明された特徴に加えて、又は該特徴の代わりに利用されても良い。
【0061】
本出願においては、請求項が特徴の特定の組み合わせに表現されているが、本開示の範囲は、本発明が軽減するものと同一の技術的な問題のいずれか又は全てを軽減するか否かにかかわらず、ここで明確に又は暗黙的に開示された特徴のいずれの新規な特徴若しくはいずれの新規な組み合わせ又はその一般化をも含むことは理解されるべきである。本出願人はここで、本出願又は本出願から派生する更なる出願の中間処理の間に、いずれかのかような特徴及び/又はかような特徴の組み合わせに新たな請求項が表現され得ることを言及しておく。
【0062】
とりわけ、記載された実施例はMHPシステムに関するが、他の規格が存在し、本発明はこれらの代替の規格を利用して実施化されても良いことを、当業者は理解するであろう。
【0063】
更に、以上の記載は「制御アプリケーション28」を単一のアプリケーションとして言及しているが、実際には前記制御アプリケーションは、必要に応じて装備され得る幾つかの別個のルーチン及びモジュールから構成されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明による利用のために適した、拡張されたDVDプレイヤを示す。
【図2】拡張されたDVDのAPIを示す。
【図3】記録されたDVDディスクを示す。
【図4】プログラム制御を模式的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオビジュアルコンテンツ、制御アプリケーション及び少なくとも1つの付加的なリンクされたアプリケーションを保存する着脱可能な記憶媒体に、所定のインタラクティブテレビジョンのプラットフォーム非依存の規格で保存されたインタラクティブなオーディオビジュアルコンテンツを、プレイヤから出力する方法であって、前記方法は、
前記着脱可能な記憶媒体に保存された制御アプリケーションを起動するステップと、
前記制御アプリケーションからオーディオビジュアル表示アプリケーションを呼び出すステップと、
前記オーディオビジュアル表示アプリケーションを利用して前記着脱可能な記憶媒体からオーディオビジュアルデータを読み取り、前記コンテンツに基づきオーディオビジュアル表示を提供するステップと、
前記制御アプリケーションから少なくとも1つのリンクされたアプリケーションを呼び出し、前記又はそれぞれのリンクされたアプリケーションを実行するステップと、
を有し、前記着脱可能な記憶媒体に保存された前記制御アプリケーションは、所定のプラットフォーム非依存の規格のアプリケーションプログラミングインタフェースの少なくとも一部を含む、前記所定のインタラクティブテレビジョンのプラットフォーム非依存の規格の機能の一部を実装し、
前記少なくとも1つのリンクされたアプリケーションは、実行時に、前記所定のプラットフォーム非依存の規格のアプリケーションプログラミングインタフェースを呼び出す方法。
【請求項2】
前記所定のインタラクティブテレビジョンのプラットフォーム非依存の規格の機能の少なくとも一部を実装する前記制御アプリケーションは、コンピュータプラットフォーム非依存の規格で記述された、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御アプリケーションは、前記着脱可能な記憶媒体に保存されたアプリケーション情報テーブルを読み取り、前記アプリケーション情報テーブル中の情報に基づき前記少なくとも1つのリンクされたアプリケーションを呼び出す、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記オーディオビジュアル表示アプリケーションにより特定のイベントを登録するステップと、
1以上の前記特定のイベントが発生した場合に、前記オーディオビジュアル表示アプリケーションから前記制御アプリケーションにコールバックするステップと、
を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記所定のインタラクティブテレビジョンのプラットフォーム非依存の規格はMHPである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記媒体はDVDディスクであり、前記オーディオビジュアル表示アプリケーションは前記ディスクからDVD−Videoコンテンツを読み取るDVD−Videoリーダである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記制御アプリケーションは、前記リンクされたアプリケーションのコードを解釈するインタープリタとして動作する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
オーディオビジュアルコンテンツと、
所定のインタラクティブテレビジョンのプラットフォーム非依存の規格の形のアプリケーションコードと、
前記アプリケーションコードを呼び出し、前記オーディオビジュアルコンテンツを表示するために仮想マシンを呼び出すための制御アプリケーションと、
を含む着脱可能な記憶媒体であって、
前記制御アプリケーションは、所定のプラットフォーム非依存の規格のアプリケーションプログラミングインタフェースの少なくとも一部を含む、前記所定のインタラクティブテレビジョンのプラットフォーム非依存の規格の機能の一部を実装し、それにより前記アプリケーションコードが前記アプリケーションプログラミングインタフェースの一部を呼び出し、前記インタラクティブテレビジョンのプラットフォーム非依存の規格の少なくとも幾つかを実装する、着脱可能な記憶媒体。
【請求項9】
前記インタラクティブテレビジョンのプラットフォーム非依存の規格はMHPである、請求項8に記載の着脱可能な記憶媒体。
【請求項10】
前記着脱可能な記憶媒体はDVDディスクである、請求項8又は9に記載の着脱可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−503786(P2007−503786A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530647(P2006−530647)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001545
【国際公開番号】WO2004/102961
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】