説明

オーディオ装置

【課題】ユーザの使用状況に応じて、自動的にライン出力機能、またはRF出力機能の一方を有効に設定することができ、且つ装置本体のコストアップを抑えたオーディオ装置を提供する。
【解決手段】オーディオ装置1は、検知部12がライン出力端子16にケーブルが接続されていることを検知すると、デコーダ4に対して動作モードをラインモードにすることを指示する。一方、検知部12がライン出力端子16にケーブルが接続されていないことを検知すると、デコーダ4に対して動作モードをRFモードにすることを指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力されたディジタル音声信号を、サラウンド互換信号、またはダウンミックスしたRF信号で出力するオーディオ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音声が5.1ch等のサラウンドチャンネルである、ディジタルコンテンツがあった。ディジタルコンテンツを処理するセットトップボックス(STB)やDVDプレーヤ等の一般的なオーディオ装置には、ディジタルコンテンツのディジタル音声信号を、サラウンド互換信号で出力するライン出力機能と、ダウンミックスしたRF信号で出力するRF出力機能と、が設けられている。ライン出力機能は、音声信号を2chで出力する。左チャンネルのライン出力端子から出力する音声信号L’、および、右チャンネルのライン出力端子から出力する音声信号R’は、それぞれ、
L’=L+0.707*C-0.707*Ls-0.707*Rs
R’=R+0.707*C+0.707*Ls+0.707*Rs
とすることが規格により決められている。ここで、Lは左チャンネルの音声信号であり、Rは右チャンネルの音声信号であり、Cはセンタチャンネルの音声信号であり、Lsは左チャンネルのサラウンド信号であり、Rsは右チャンネルのサラウンド信号である。また、RF出力機能は、
L’=L+clev*C+slev*Ls
R’=R+clev*C+slev*Rs
をダウンミックスした(L’+R’)を、RF信号で出力することが決められている。
【0003】
上記の記載から明らかなように、ライン出力機能と、RF出力機能とでは、デコーダで生成する音声信号が異なっている。従来のオーディオ装置は、ライン出力機能およびRF出力機能にかかる音声信号を生成するデコーダを個別に設けるのではなく、すなわちデコーダを2つ設けるのではなく、ユーザの切換操作に応じて、ディジタル音声信号を処理するデコーダの動作モードを切り換える構成を採用している。
【0004】
また、入出力端子にケーブルが接続されているかどうかを検知する機能を設け、ケーブルが接続されたことを検知したときに、当該ケーブルが接続された入出力端子や、この入出力端子に入力されている信号等に応じて、本体の動作を切り替える装置が提案されている(特許文献1参照)。また、ディジタル入力端子にケーブルが接続されているかどうかを検知し、この検知結果に応じて本体の動作モードを切り替えるテレビ受像機が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−57657号公報
【特許文献2】特開2006−50170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の装置は、上述したように、ユーザの切換操作により、ディジタル音声信号を処理するデコーダの動作モードを切り換える構成であった。このため、ユーザがライン端子から出力されているサラウンド互換信号でディジタルコンテンツを視聴しているとき、装置本体がRF出力機能を有効とする誤った設定にしていると、ライン出力端子からは適性なサラウンド互換信号が出力されない。また、反対に、ユーザがRF端子から出力されているダウンミックスされた音声信号でディジタルコンテンツを視聴しているとき、装置本体がライン出力機能を有効とする誤った設定になっていると、RF端子からはサラウンド信号が打ち消された音声信号が出力される。したがって、ユーザは、ライン出力機能で使用するか、またはRF出力機能で使用するかの設定を誤ると、ディジタルコンテンツを適性な音声で視聴できない。また、適性な音声で視聴できていないことに気づかないユーザも多い。また、適性な音声でディジタルコンテンツを視聴できていないことに気がついても、デコーダに対する設定を切り換える操作を行わなければならず、ユーザにとっての使い勝手が良くないという問題があった。
【0006】
また、上述の特許文献1、2等で提案されている構成は、特定の入出力端子についてケーブルが接続されているかどうかを判断し、本体の動作モードを制御する構成であった。一方、ディジタルコンテンツを処理する装置では、サラウンド互換信号を出力するライン出力端子と、ダウンミックス信号を出力するRF出力端子とが、別々に設けられている。このため、特許文献1、2で提案されている構成を採用すると、出力端子毎にケーブルの接続状況を検知する構成を設けなければならず、装置本体のコストアップをまねくという問題がある。
【0007】
この発明の目的は、ユーザの使用状況に応じて、自動的にライン出力機能、またはRF出力機能の一方を有効に設定することができ、且つ装置本体のコストアップを抑えたオーディオ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のオーディオ装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を備えている。
【0009】
入力されたディジタル音声信号を処理し、2チャンネルのアナログ音声信号を生成する音声信号処理手段と、
前記音声信号処理手段により生成された2チャンネルのアナログ音声信号を、それぞれチャンネル毎に設けられたライン出力端子から出力する第1の出力手段と、
前記音声信号処理手段により生成された2チャンネルのアナログ音声信号を合成した合成信号を生成する合成信号生成手段と、
前記合成信号生成手段により生成された合成信号をRF出力端子から出力する第2の出力手段と、を備えたオーディオ装置において、
前記ライン出力端子におけるケーブルの接続有無を検知する接続検知手段と、
前記接続検知手段が前記ライン出力端子にケーブルが接続されていないことを検知しているとき、前記音声信号処理手段を、サラウンド信号が打ち消されていない前記合成信号が前記合成信号生成手段により生成されるRFモードで動作させ、反対に、前記接続検知手段が前記ライン出力端子にケーブルが接続されていることを検知しているとき、前記音声信号処理手段を、前記ライン出力端子から出力される前記アナログ音声信号がサラウンド互換信号になるラインモードで動作させる信号処理制御手段と、を備えている。
【0010】
この構成では、接続検知手段が、ライン出力端子にケーブルが接続されているかどうかを検知する。また、信号処理制御手段が、接続検知手段における検知結果に基づいて、音声信号処理手段の動作モードを制御する。サラウンドスピーカシステム等を所有し、ライン出力端子から出力されるサラウンド互換信号でディジタルコンテンツを視聴するユーザは、ケーブルをライン出力端子に接続している。また、サラウンドスピーカシステム等を所有しておらず、RF出力端子から出力されるダウンミックスされた音声信号でディジタルコンテンツを視聴するユーザは、ケーブルをRF出力端子に接続している。さらに、ケーブルをライン出力端子、およびRF出力端子の両方に接続しているユーザもいるが、このようなユーザの多くは、ディジタルコンテンツを視聴する場合、サラウンドスピーカシステム等を利用する。したがって、ライン出力端子にケーブルが接続されていれば、サラウンドスピーカシステム等を利用するユーザであると推定でき、反対にライン出力端子にケーブルが接続されていなければ、サラウンドスピーカシステム等を利用しないユーザであると推定できる。言い換えれば、ケーブルがRF出力端子に接続されているかどうかにかかわらず、ケーブルがライン出力端子に接続されているかどうかで、ライン出力端子から出力されるサラウンド互換信号でディジタルコンテンツを視聴するユーザであるか、RF出力端子から出力されるダウンミックスされた音声信号でディジタルコンテンツを視聴するユーザであるか、を精度良く推定することができる。
【0011】
したがって、音声信号処理手段を、ケーブルがライン出力端子に接続されていればラインモードで動作させ、ケーブルがライン出力端子に接続されていなければRFモードで動作させることにより、音声信号処理手段の動作モードを切り換えるという面倒な操作をユーザに行わせることなく、自動的に、ユーザの使用状況に応じた動作モードで音声信号処理手段を動作させることができ、ユーザにおける使い勝手の向上が図れる。また、ライン出力端子についてのみケーブルの接続有無を検知すればよいので、すなわちRF出力端子についてはケーブルの接続有無を検知するための構成を必要としないことから、装置本体のコストアップが抑えられる。
【0012】
また、ライン出力端子における、一方のチャンネルのライン出力端子にケーブルを接続し、他方のチャンネルのライン出力端子にケーブルを接続しない状態で本体が使用されることは、殆どありえない状況であるので、前記検知手段を、ライン出力端子の一方のチャンネルのライン出力端子についてのみ、ケーブルの接続有無を検知する構成としてもよい。このようにすれば、装置本体のコストアップが一層抑えられる。
【0013】
さらに、映像信号を、RF出力端子から出力されるRF信号に含ませることで、このRF信号を入力したテレビ等で、ディジタルコンテンツを視聴することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、ユーザの使用状況を精度良く推定でき、この推定結果に応じて音声信号処理手段の動作モードを自動的に切り換えるので、利用者の使い勝手の向上が図れる。また、装置本体のコストアップも抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態であるオーディオ装置について説明する。
【0016】
図1は、この発明の実施形態であるオーディオ装置の構成を示す図である。オーディオ装置1は、本体の動作を制御する制御部2と、入力されたディジタルコンテンツにかかるAVデータをディジタル映像信号、およびディジタル音声信号に分離して出力する入力処理部3と、を備えている。また、オーディオ装置1は、入力処理部3で分離されたディジタル音声信号を処理するデコーダ4、デコーダ4で処理されたディジタル音声信号をアナログ音声信号に変換するDAC5と、このDAC5から出力されたアナログ音声信号を増幅するアンプ6、7と、を備えている。また、オーディオ装置1は、入力処理部3で分離されたディジタル映像信号を処理し、アナログ映像信号を出力する映像処理部8を備えている。また、オーディオ装置1は、アンプ6、7の出力(アナログ音声信号)および映像処理部8の出力(アナログ映像信号)を合成して出力する信号合成部9と、信号合成部9で合成された信号を増幅するAMP10と、アンプ10の出力をRF信号に変換するRFコンバータ11と、を備えている。AMP6の出力はライン出力端子15に接続されており、AMP7の出力はライン出力端子16に接続されている。映像処理部8の出力は、ライン出力端子17に接続されている。さらに、RFコンバータ11の出力は、RF出力端子18に接続されている。さらに、オーディオ装置1は、ライン出力端子16にケーブルが接続されているかどうかを検知する接続検知部12を備えている。デコーダ4、およびDAC5が、この発明で言う音声信号処理手段に相当する。アンプ6、7が、この発明で言う出力手段に相当する。信号合成部9が、この発明で言う合成信号生成手段に相当する。アンプ10、およびRFコンバータ11が、この発明で言う第2の出力手段に相当する。検知部12が、この発明で言う検知手段に相当する。制御部2が、この発明で言う信号処理制御手段を有している。
【0017】
この実施形態にかかるオーディオ装置1は、セットトップボックス(STB)や、DVDプレイヤ等のディジタルコンテンツを処理する装置に適用される。セットトップボックスに適用した場合、入力処理部3は、ディジタル放送を受信するチューナ、チューナで受信しているディジタルコンテンツのストリームを処理し、映像データにかかるパケットと、音声データにかかるパケットとに分離して出力する構成になる。また、DVDプレイヤに適用した場合、入力処理部3は、DVDに記録されているデータの読取信号を処理し、映像データと、音声データとに分離して出力する構成になる。この場合、ピックアップヘッド等を有し、DVDから記録されているデータを読み取った読取信号を出力する構成が入力処理部3に接続される。
【0018】
入力処理部3から出力されたディジタル音声信号は、デコーダ4に入力される。デコーダは、入力されたディジタル音声信号を、指示されている動作モードに応じて処理する。具体的には、ラインモードが指示されているときには、ライン出力端子15、16からサラウンド互換信号を出力するための信号処理を行い、RFモードが指示されているときには、RF出力端子18からサラウンド信号が打ち消されていないRF信号を出力するための信号処理を行う。DAC5は、デコーダ4で処理されたディジタル音声信号を、2チャンネルのアナログ音声信号に変換し、出力する。DAC5から出力された左チャンネルのアナログ音声信号は、アンプ6で増幅され、ライン出力端子15から外部に出力される。また、DAC5から出力された右チャンネルのアナログ音声信号は、アンプ7で増幅され、ライン出力端子16から外部に出力される。
【0019】
デコーダ6がラインモードである場合、ライン出力端子15から外部に出力されるアナログ音声信号L’、およびライン出力端子16から外部に出力されるアナログ音声信号R’は、それぞれ、
L’=(L+0.707*C-0.707*Ls-0.707*Rs)*Z1
R’=(R+0.707*C+0.707*Ls+0.707*Rs)*Z2
である。ここで、Lは左チャンネルの音声信号であり、Rは右チャンネルの音声信号であり、Cはセンタチャンネルの音声信号であり、Lsは左のサラウンドチャンネルであり、Rsは右のサラウンドチャンネルであり、Z1はアンプ6の増幅率であり、Z2はアンプ7の増幅率である。また、デコーダ6がRFモードである場合、ライン出力端子15から外部に出力されるアナログ音声信号L’、およびライン出力端子16から外部に出力されるアナログ音声信号R’は、それぞれ、
L’=(L+clev*C+slev*Ls)*Z1
R’=(R+clev*C+slev*Rs)*Z2
である。アンプ6の増幅率Z1と、アンプ7の増幅率Z2とは、通常、同じ値に設定することから、以下の説明では、Z1=Z2として説明する。
【0020】
映像処理部8から出力されたアナログ映像信号は、ライン出力端子17から出力される。ライン出力端子15、16、17は、それぞれRCAコネクタのピンジャックである。また、信号合成部9には、アンプ6、7の出力、および映像処理部8の出力が入力される。信号合成部9は、アンプ6、7の出力であるアナログ音声信号をダウンミックスするとともに、このダウンミックスしたアナログ音声信号と、映像処理部8の出力である映像信号とを合成した合成信号を生成し出力する。アンプ10が、この合成信号を増幅し、RFコンバータ11がアンプ10で増幅された合成信号をRF信号に変換する。RFコンバータ11で変換されたRF信号は、RF出力端子18から出力される。
【0021】
デコーダ6がラインモードである場合、RF出力端子18から外部に出力される、ダウンミックスされたアナログ音声信号Aは、
A=L+R+2*0.707*C
となり、サラウンド信号が打ち消されている。一方、デコーダ6がRFモードである場合、RF出力端子18から外部に出力される、ダウンミックスされたアナログ音声信号Aは、
A=L+R+2*clev*C+slev*Ls+slev*Rs
となり、サラウンド信号が打ち消されていない。
【0022】
さらに、検知部12は、ライン出力端子16におけるケーブルの接続有無を検出する。検知部12は、ライン出力端子16におけるインピーダンスの変化を検出することにより、このライン出力端子16におけるケーブルの接続有無を検知する構成であってもよいし、ライン出力端16に接続されたピンプラグによって押圧されたときにオンするスイッチを設け、このスイッチのオン/オフ状態に基づいて、ライン出力端子16におけるケーブルの接続有無を検知する構成であってもよい。制御部2は、検知部12による、ライン出力端子16におけるケーブルの接続有無の検知結果に基づいて、デコーダ4の動作モード(ラインモード、またはRFモード)を制御する。具体的には、制御部は、検知部12により、ライン出力端子16にケーブルが接続されていないことが検知された場合に、デコーダ4に対してRFモードでの動作を指示し、反対に検知部12により、ライン出力端子16にケーブルが接続されていることが検知された場合に、デコーダ4に対してラインモードでの動作を指示する。デコーダ4は、この制御部2からの指示にしたがって、動作モードを切り換える。
【0023】
なお、ここでは、検知部12は、ライン出力端子16についてケーブルの接続有無を検知する構成としたが、ライン出力端子15、またはライン出力端子17についてケーブルの接続を検知する構成としてもよい。言い換えれば、検知部12は、ライン出力端子15、16、17のいずれか1つについて、ケーブルの接続を検知する構成であればよい。
【0024】
次に、この実施形態にかかるオーディオ装置1の動作について説明する。この実施形態のオーディオ装置1は、ユーザが視聴するディジタルコンテンツにかかるディジタルデータが入力処理部3に入力される。入力処理部3は、入力されているディジタルデータを処理し、このディジタルデータをオーディオ、および映像に分離して出力する。入力処理部3で分離されたオーディオデータは、デコーダ4で処理され、DAC5で2チャンネルのアナログ音声信号に変換される。デコーダ4は、制御部2から指示されているラインモード、またはRFモードで動作する。制御部2は、検知部12における検知結果に基づいて、デコーダ4の動作モードを決定する。DAC5から出力された2チャンネルのアナログ音声信号は、それぞれアンプ6、7で増幅され、ライン出力端子15、16から出力される。また、入力処理部で分離された映像にかかるデータは、映像処理部8でデコードされるとともに、アナログ映像信号に変換されて、ライン出力端子17から出力される。
【0025】
また、アンプ6、7から出力されたアナログ音声信号および映像処理部8から出力されたアナログ映像信号は、信号合成部9で合成される。信号合成部9では、アンプ6、7から出力されたアナログ音声信号をダウンミックスする。信号合成部9で合成された合成信号は、アンプ10で増幅され、RFコンバータ11でRF信号に変換され、RF出力端子18から出力される。
【0026】
オーディオ装置1は、デコーダ4の動作モードがラインモード、またはRFモードのどちらであるかにかかわらず、ライン出力端子15、16、17、およびRF出力端子18から信号を出力する。ただし、ライン出力端子15、16および、RF出力端子から出力されるアナログ音声信号については、デコーダ4の動作モードにより変化する。オーディオ装置1は、ライン出力端子15、16から出力されているアナログ音声信号、およびライン出力端子17から出力されているアナログ映像信号で、ディジタルコンテンツを視聴する場合には、デコーダ4をラインモードで動作させ、反対にRF出力端子18から出力されているRF信号で、ディジタルコンテンツを視聴する場合には、デコーダ4をRFモードで動作させることで、適正な音声でディジタルコンテンツを視聴することができる。
【0027】
ここで、制御部2が、デコーダ4の動作モードを決定するモード決定処理について説明する。図2は、この実施形態にかかるオーディオ装置1におけるモード決定処理を示すフローチャートである。オーディオ装置1は、このモード決定処理を装置本体の電源がオンされたときに開始し、オフされたときに終了する。オーディオ装置1の制御部2は、検知部12によりライン出力端子16にケーブルが接続されていることが検知されていると、デコーダに対してラインモードでの動作を指示する(S1、S2)。反対に、検知部12によりライン出力端子16にケーブルが接続されていないことが検知されていると、デコーダに対してRFモードでの動作を指示する(S1、S3)。
【0028】
オーディオ装置1の制御部2は、S2でデコーダ4に対してラインモードでの動作を指示すると、一定時間経過する毎に、検知部12によりライン出力端子16にケーブルが接続されていることが検知されているかどうかを判定する(S4、S5)。この一定時間は、例えば数分程度の時間とすればよい。制御部2は、検知部12によりライン出力端子16にケーブルが接続されていることが検知されていればS4に戻り、検知部12によりライン出力端子16にケーブルが接続されていないことが検知されていれば以下に示すS3にジャンプする。
【0029】
オーディオ装置1の制御部2は、S3でデコーダ4に対してRFモードでの動作を指示すると、一定時間経過する毎に、検知部12によりライン出力端子16にケーブルが接続されていないことが検知されているかどうかを判定する(S6、S7)。この一定時間も、S4と同じ時間に設定すればよい。制御部2は、検知部12によりライン出力端子16にケーブルが接続されていないことが検知されていればS6に戻り、検知部12によりライン出力端子16にケーブルが接続されていることが検知されていればS2にジャンプする。
【0030】
ここで、サラウンドスピーカシステム等を所有し、ライン出力端子15、16から出力されるサラウンド互換信号でディジタルコンテンツを視聴するユーザは、ケーブルをライン出力端子15、16、17に接続している。また、サラウンドスピーカシステム等を所有しておらず、RF出力端子18から出力されるダウンミックスされた音声信号でディジタルコンテンツを視聴するユーザは、ケーブルをRF出力端子18に接続している。さらに、ケーブルをライン出力端子15、16、17およびRF出力端子18の両方に接続しているユーザもいるが、このようなユーザの多くは、ディジタルコンテンツを視聴する場合、サラウンドスピーカシステム等を利用する。したがって、ライン出力端子15、16、17にケーブルが接続されていれば、サラウンドスピーカシステム等を利用するユーザであると推定しても問題はない。反対にライン出力端子15、16、17にケーブルが接続されていなければ、サラウンドスピーカシステム等を利用しないユーザであると推定しても問題はない。言い換えれば、ケーブルがRF出力端子18に接続されているかどうかにかかわらず、ケーブルがライン出力端子15、16、17に接続されているかどうかで、ライン出力端子15、16、17から出力されるサラウンド互換信号でディジタルコンテンツを視聴するユーザであるか、RF出力端子18から出力されるダウンミックスされた音声信号でディジタルコンテンツを視聴するユーザであるか、の推定が精度良く行える。
【0031】
また、ライン出力端子15、16の一方にケーブルを接続し、他方にケーブルを接続しない状態で本体が使用されることは、殆どありえない状況である。したがって、ライン出力端子16についてのみ、検知されたケーブルの接続有無にかかる検知結果に基づいて、ライン出力端子15、16、17から出力されるサラウンド互換信号でディジタルコンテンツを視聴するユーザであるか、RF出力端子18から出力されるダウンミックスされた音声信号でディジタルコンテンツを視聴するユーザであるか、の推定が精度良く行える。
【0032】
上述したように、この実施形態のオーディオ装置1は、ライン出力端子16にケーブルが接続されていればデコーダ4をラインモードで動作させ、ライン出力端子16にケーブルが接続されていなければデコーダ4をRFモードで動作させる。したがって、この実施形態のオーディオ装置1は、ユーザの使用状況に応じて、デコーダ4の動作モードを自動的に切り換えることができる。また、この実施形態にかかるオーディオ装置1は、電源がオンされている間、ライン出力端子16にケーブルが接続されているかどうかを、一定時間毎に判断し、その判断結果に基づいてデコーダ4の動作モードを決定する。したがって、ユーザが電源をオンしている状態で、ライン出力端子16に対するケーブルの接続、または切断を行っても、その状況の変化に応じて、本体の動作モードを自動的に切り換えることができる。
【0033】
これにより、ユーザが、デコーダ4の動作モードを切り換える面倒な操作を行う必要がなく、ユーザにおける使い勝手の向上が図れる。また、ライン出力端子15、16、17のいずれかについてのみ、ケーブルの接続有無を検知するだけでよいので、本体のコストアップも十分に抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の実施形態であるオーディオ装置の構成を示す図である。
【図2】この実施形態にかかるオーディオ装置1におけるモード決定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1−オーディオ装置
2−制御部
4−デコーダ
5−DAC
9−信号合成部
11−RFコンバータ
15、16−ライン出力端子
18−RF出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたディジタル音声信号を処理し、2チャンネルのアナログ音声信号を生成する音声信号処理手段と、
前記音声信号処理手段により生成された2チャンネルのアナログ音声信号を、それぞれチャンネル毎に設けられたライン出力端子から出力する第1の出力手段と、
前記音声信号処理手段により生成された2チャンネルのアナログ音声信号を合成した合成信号を生成する合成信号生成手段と、
前記合成信号生成手段により生成された合成信号をRF出力端子から出力する第2の出力手段と、を備えたオーディオ装置において、
前記ライン出力端子におけるケーブルの接続有無を検知する接続検知手段と、
前記接続検知手段が前記ライン出力端子にケーブルが接続されていないことを検知しているとき、前記音声信号処理手段を、サラウンド信号が打ち消されていない前記合成信号が前記合成信号生成手段により生成されるRFモードで動作させ、反対に、前記接続検知手段が前記ライン出力端子にケーブルが接続されていることを検知しているとき、前記音声信号処理手段を、前記ライン出力端子から出力される前記アナログ音声信号がサラウンド互換信号になるラインモードで動作させる信号処理制御手段と、を備え、
前記合成信号生成手段は、前記音声信号処理手段により生成された2チャンネルのアナログ音声信号、および映像信号を合成した合成信号を生成する手段であり、
前記接続検知手段は、一方のチャンネルの前記ライン出力端子について、ケーブルが接続されているかどうかを検知する手段である、オーディオ装置。
【請求項2】
入力されたディジタル音声信号を処理し、2チャンネルのアナログ音声信号を生成する音声信号処理手段と、
前記音声信号処理手段により生成された2チャンネルのアナログ音声信号を、それぞれチャンネル毎に設けられたライン出力端子から出力する第1の出力手段と、
前記音声信号処理手段により生成された2チャンネルのアナログ音声信号を合成した合成信号を生成する合成信号生成手段と、
前記合成信号生成手段により生成された合成信号をRF出力端子から出力する第2の出力手段と、を備えたオーディオ装置において、
前記ライン出力端子におけるケーブルの接続有無を検知する接続検知手段と、
前記接続検知手段が前記ライン出力端子にケーブルが接続されていないことを検知しているとき、前記音声信号処理手段を、サラウンド信号が打ち消されていない前記合成信号が前記合成信号生成手段により生成されるRFモードで動作させ、反対に、前記接続検知手段が前記ライン出力端子にケーブルが接続されていることを検知しているとき、前記音声信号処理手段を、前記ライン出力端子から出力される前記アナログ音声信号がサラウンド互換信号になるラインモードで動作させる信号処理制御手段と、を備えたオーディオ装置。
【請求項3】
前記合成信号生成手段は、前記音声信号処理手段により生成された2チャンネルのアナログ音声信号、および映像信号を合成した合成信号を生成する手段である、請求項2または3に記載のオーディオ装置。
【請求項4】
前記接続検知手段は、一方のチャンネルの前記ライン出力端子について、ケーブルが接続されているかどうかを検知する手段である、請求項2または3に記載のオーディオ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−318658(P2007−318658A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148548(P2006−148548)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】