説明

オートズームフィーチャーを有するグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーン

【課題】アイコンのフィーチャーをユーザによって容易にアクセスしうるようにする。
【解決手段】各アイコンの個々の機能を認識しうるが、この機能のフィーチャーを容易にアクセスするには小さすぎる大きさで表示されるアイコンの全集合体を有するグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーンにおいて、アイコン領域を含むスクリーン領域にタッチすると、スクリーンにその領域のズームインバージョンが得られ、ユーザが所望のフィーチャーを選択しうるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、グラフィカルユーザインターフェースを提供する比較的小型のディスプレイを有する電子デバイスに関する。特に、ハンドヘルド電子デバイスであって、グラフィカルユーザインターフェース(“GUI”)と、電子デバイスの機能の全集合体をアクセスするための“タッチスクリーン”とを有する当該ハンドヘルド電子デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アイコンは、情報処理システムを制御するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の技術分野で周知である。アイコンは、かなり大量の情報を小さな絵で表示したものである。アイコンは、基礎となるシステムの内容あるいは状態についての情報を凝縮した形式で提供する。アイコンは、システムの内容あるいは操作を迅速に伝達するオペレータ概念を視覚認識によってトリガするように設計されている。従って、システムは、アイコンの駆動によって容易にアクセスあるいは利用できる。
【0003】
家庭用娯楽システムのためのコントローラユニットの一例に、ケンウッド社のステージ3コントローラユニットがあり、ケンウッド社の使用説明書“STAGE3/Setting up your KC−Z1 Controller”(1996)に記述されている。このコントローラユニットは、GUIのためのタッチスクリーンの機能性を有するハンドヘルドコントローラを具えている。GUIは、システムの多数の機能性に相当する多数のアイコンを提供する。これらの機能性は、タッチスクリーン上のアイコンによって起動される。GUIは、メインメニュー内に存在すべきアイコン及びメインメニュー内に存在すべきではないアイコンを選択するようにユーザがプログラミングしうるようになっている。これは、GUIにとって利用できるスクリーンスペースが比較的わずかであるためである。
【0004】
現在の家庭用娯楽システムは、ユーザにとって利用できる機能を多数持っている。ケンウッド社は、利用可能な機能の個数を増大させるためにGUIを用いている。例えば、家電用電子デバイスや、個人用デジタル補助装置や、更に写真複写機に対する遠隔制御装置のようなハンドヘルドデバイスに用いるGUIディスプレイに関する問題は、これらのディスプレイが比較的小さいということである。タッチスクリーンの機能性をこれらのディスプレイに追加するということは、表示されたアイコンが人間の指でアクセス可能なほど充分に大きくなければならないこと、あるいはアイコンを小さくする場合でも、これらアイコンは、ある種類のスタイラスを用いてアイコンに“タッチ”しうる程度に大きくする必要があるということを意味する。これよりも大きいアイコンを用いると、表示されるべき機能性の数が減少する。これらの欠点により、ハンドヘルドデバイス上にタッチスクリーンディスプレイを用いることを制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、ハンドヘルドデバイス上のGUIタッチスクリーンディスプレイであって、アイコンのフィーチャーをユーザによって容易にアクセスしうるようにした当該ハンドヘルドデバイス上のGUIタッチスクリーンディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、アイコンの機能が、ユーザによって認識できるが容易にアクセスできない程度に比較的小さくなっているこのアイコンがGUI上に設けられているが、ユーザがアイコンにタッチすると、ユーザの指あるいはスタイラスによってアイコンの機能に正確にタッチすることができるようにアイコンが拡大されるようにするズームフィーチャーを与えることにより達成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】キーボードアイコンを示すPDAGUIタッチスクリーンの線図である。
【図1B】ユーザが文字‘H’の場所付近でキーボードアイコンにタッチした後の図1AのPDAの線図である。
【図1C】アイコンの拡大された領域がアイコン領域のみを占めている図1AのPDAの線図である。
【図2A】キーボードアイコンを示す遠隔制御装置GUIタッチスクリーンキーパッドの線図である。
【図2B】図2Aでアイコンのボリューム∧部分をタッチした場合の図2Aの遠隔制御装置の線図である。
【図3】本発明による電子デバイスである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
原アイコンがキーボードの絵であると仮定すると、この原アイコンは、本発明によれば、表示されたキーを認識しうる程度に充分大きいが、個々のキーをユーザが良好にアクセスするには小さすぎるようにする。本発明の一例では、ユーザがキーボードアイコンにタッチすると、タッチされたアイコンの領域、例えば‘G’キーを囲むキーを拡大すなわちズームインさせ、この領域が、原キーボードアイコンに対し与えられた全スペースを占めるようにする。あるいは又、他の例では、ユーザがキーボードアイコンにタッチすると、アイコン全体が、基本的にGUIスクリーンを占めるまで大きくなるようにするか、あるいはタッチされた領域のみが、GUIスクリーンを占めるのに充分なだけ大きくなるようにする。
【実施例】
【0009】
本発明の更に他の例では、ユーザは、新たな領域が拡大するようにキーボードに亙るスクロールを行ないうるようにする。
【0010】
本発明は、タッチスクリーンGUIを形成するための比較的小型のディスプレイを有する電子デバイスや、遠隔制御装置及び個人用デジタル補助装置(パーソナルデジタルアシスタント:PDA)のようなハンドヘルド電子デバイスにも関するものである。これらのデバイスは、GUI表示ディスプレイと、GUIのタッチスクリーンの機能性によってユーザがシステムを制限できるようにするコントローラとを具えている。GUIは各アイコンに対するレイアウトを与え、コントローラとGUIとが合俟ってアイコンをタッチスクリーン起動のための拡大バージョンにズームインする拡大機能性を与える。
【0011】
従って、本発明はいくつかの工程を有すると共に、1つ以上の工程とその他の工程との関係を有し、構造の特徴を具現化する装置と、これらの工程を行なうのに適する素子の組合せ及び部品の配置と、以下の図面に関する説明で例示したすべてと、本発明の他の範囲とを請求の範囲に示す。
【0012】
[好適な実施例の詳細な説明]
グラフィカルユーザインターフェースは当該技術分野で周知である。米国特許第5,463,725号は、タッチスクリーンの機能性を有するGUIの一例である。この米国特許は参考のために記載したものである。
【0013】
図1A及び図1Bは、本発明によるタッチスクリーンGUI13を有するPDA10を示している。キーボードアイコン12は、その機能性を見るには充分な大きさで表示されているが、単一キーを良好にタッチスクリーン起動するには小さすぎる。ユーザがキーボードアイコン12の領域14にタッチした場合、その結果のディスプレイ16を図1Bに示す。このディスプレイ16から明らかなように、領域14を囲む個々のキーが拡大され、‘G’キー18あるいはその他近隣のキーのような単一キーを指で容易にタッチスクリーン起動するのに充分なだけ大きくなっている。‘G’キー18をリリースすると、‘G’キー18はハイライト(反転表示)されてその起動を示し、次に、GUI13は最初のアイコン12を再表示する。図1Bは、アイコンを増大させた際の実寸法を示しているが、これは本発明の必要条件ではない。あるいは又、アイコンを同じ大きさに維持して、アイコンのフィーチャー(特徴事項)を、図1Cに示すように、拡大すなわちズームインするようにする。
【0014】
本発明の他の例では、アイコン12が領域14でタッチされ、リリースされ、アイコンのフィーチャーが拡大されると、ユーザはキーすなわちフィーチャーを選択でき、キーを選択した後にユーザの指を離すると、アイコンは自動的にディスプレイ16を初期状態12に戻さず、その代わりにユーザが別の選択を行ないうるようにしている。キーを選択せずに予め決められた期間が経過した後、アイコンは初期状態12に戻る。
【0015】
本発明の更なる実施例では、拡大された領域の特定のエッジ部分にユーザがタッチし、これによりキーボードの次の領域を拡大させ、従ってスクロール効果を実現することによって、ユーザはキーボードをその全体に亙って移動させることができる。本発明のこの実施例では、アイコンの機能すなわちキーが選択されたら、アイコンが最初の大きさに戻るようにするか、あるいはこの実施例の場合もキーを選択しない状態で予め決められた期間が経過するまでアイコンを拡大された状態に維持するようにできる。
【0016】
図2Aは、タッチスクリーンGUI22を有する、家電用電子デバイス用遠隔制御装置20を示している。VCRアイコン23、DVDアイコン24及びTVアイコン25の3つのアイコンが表示されている。アイコンのそれぞれが小さすぎるので、アイコンと関連する複数のキーを容易にアクセスすることはできないが、キーは認識可能である。アイコンの1つにタッチすると、タッチした点26を囲む領域が図2Bに示すように拡大されるか、あるいは又、ディスプレイが充分大きければ、特定のデバイスに対するすべてのキーをアクセスしうるようになる。PDAに関して上記で説明した、スクロール効果30のような機能性も遠隔制御装置内に含めることができる。更に、アイコン自体は同じ大きさを維持するが、アイコンのフィーチャーはズームインさせるようにすることができる。
【0017】
図3は、GUIタッチスクリーンディスプレイ30’と、これに関連する、GUIのタッチスクリーン駆動を可能にするコントローラ35とのブロック図を示している。
【0018】
上述したところから明らかなように、前述した本発明の目的は有効に達成される。本発明は上述した実施例に限定されず、幾多の変更を加えうることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスの制御可能な機能を表示するためのグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーンであって:
機能はユーザによって認識しうるが、前記機能のフィーチャーに容易にアクセスするには小さすぎる大きさのサイズでアイコンの形態で前記機能を表示する手段と;
ユーザが前記アイコンの一領域にタッチすると、前記アイコンの少なくとも前記一領域の拡大バージョンを提供する手段と;
前記拡大バージョンを前記アイコンに亙ってスクロールさせ、前記アイコンの新たな領域を拡大する手段と;
を有することを特徴とする、グラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーン。
【請求項2】
フィーチャーが選択された後、前記アイコンを前記大きさのサイズに復帰させる手段、を更に有することを特徴とする、請求項1記載のグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーン。
【請求項3】
フィーチャーがユーザによって選択されたことを示す手段、を更に有することを特徴とする、請求項1記載のグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーン。
【請求項4】
前記アイコンはn×nのサイズを有し、前記拡大バージョンは同じサイズであることを特徴とする、請求項1記載のグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーン。
【請求項5】
アイコンの機能を認識しうるが前記機能のフィーチャーを容易にアクセスするには小さすぎる大きさのサイズで前記アイコンの形態でPDAの機能を表示するためのグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーンと;
ユーザがアイコンの少なくとも一領域をタッチしたら、前記アイコンの前記一領域の拡大バージョンを提供し、前記アイコンの前記一領域を、ユーザにより前記機能のフィーチャーを容易に選択するのに充分に大きくし、これによって前記PDAを制御するようにするためのコントローラと;
を有し、
前記コントローラは、前記ユーザが前記アイコンの前記一領域をタッチすると、少なくとも前記一領域の拡大バージョンを提供することを特徴とするPDA。
【請求項6】
家電用電子デバイスを制御する遠隔制御装置であって、
アイコンの機能を認識しうるが、前記機能のフィーチャーを容易にアクセスするには小さすぎる大きさのサイズのアイコンの形態で前記遠隔制御装置の機能を表示するグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーンと、
ユーザがアイコンの少なくとも一領域をタッチしたら、前記アイコンの前記一領域の拡大バージョンを提供でき、前記アイコンの前記一領域を、ユーザが前記タッチスクリーンをタッチすることによって前記アイコンのフィーチャーを容易に選択するのに充分に大きくするコントローラと、
を有し、
前記コントローラは、前記ユーザが前記アイコンの前記一領域をタッチすると、少なくとも前記一領域の拡大バージョンを提供することを特徴とする遠隔制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の遠隔制御装置であって、前記アイコンの少なくとも1つが、特定の種類の家電用電子デバイスのための遠隔制御装置を表示することを特徴とする遠隔制御装置。
【請求項8】
電子デバイスを操作する方法であって、
グラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーン上に前記電子デバイスの機能を、前記機能がユーザによって認識しうるが前記機能のフィーチャーを容易にアクセスするには小さすぎる大きさのサイズのアイコンの形態で表示する工程と、
ユーザがアイコンの少なくとも一領域をタッチしたら、前記アイコンの前記一領域の拡大バージョンを提供する工程であって、前記アイコンの前記一領域を、ユーザが前記タッチスクリーンをタッチすることによって前記アイコンの前記一領域内のフィーチャーを容易にアクセスするのに充分に大きくする、工程と、
を有し、
前記拡大バージョンを前記アイコンに亙ってスクロールさせ、前記アイコンの新たな領域を拡大することを特徴とする方法。
【請求項9】
コントローラと、
グラフィカルユーザインターフェースとを有することを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の電子デバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−89159(P2012−89159A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−282959(P2011−282959)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【分割の表示】特願平11−552660の分割
【原出願日】平成11年2月15日(1999.2.15)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】