説明

オートフォーカス装置、該オートフォーカス装置を搭載した撮像装置、及び、該撮像装置を搭載した携帯電子機器

【課題】本発明は、オートフォーカスの時間を短縮できるオートフォーカス装置、撮像装置、及び、携帯電子機器を提供する。
【解決手段】被写体からの光を集光するレンズ13を収容するレンズホルダ15と、レンズホルダ15を介してレンズ13を移動させるアクチュエータ18と、アクチュエータ18を駆動・制御する駆動部20と、レンズ13を通して被写体像を撮像する撮像素子14と、レンズ13を所定位置へ移動させる際に駆動部20を制御し、かつ撮像素子14から出力される撮像信号の積算値を演算する制御部21とを備え、制御部21は駆動部20に対して、アクチュエータ18を介したレンズ13を現在位置から目標位置まで移動させるよう指示を行うと共に、レンズ13が目標位置へ移動し終わるまでの間にアクチュエータ18の移動速度を停止させるように、駆動部20へ停止信号を送信する構成を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートフォーカス装置、該オートフォーカス装置を搭載した撮像装置、及び、該撮像装置を搭載した、デジタルカメラやカメラ機能付きの携帯電話機や携帯情報端末(PDA)等の携帯電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、オートフォーカス装置では、撮像光学系に駆動波形が通電されて、現在位置から目的位置へと移動されるときに、撮像光学系はメカニカルな応答遅れやバウンド等で振動しながら目的位置へ収束されていく。一般的には、移動開始時にはアクチュエータの移動速度を速くするため、アクチュエータに供給する駆動電流等は目的位置で停止するために必要な駆動電流量よりも大きく設定され、目的位置付近までレンズを駆動させて後に、目的位置で停止するために必要な駆動電流量に再設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−276091
【特許文献2】特開平3−249712
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のオートフォーカス装置では、撮像光学系が現在位置から目的位置に移動する際、レンズの移動速度が速いため、目的位置へ到着後にバネ等の慣性の影響でリンギングなどが発生し、目的位置に収束するまでの時間が長くなるため、オートフォーカスの時間を短くすることができないという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するもので、オートフォーカスの時間を短縮できる、オートフォーカス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係るオートフォーカス装置では、被写体からの光を集光するレンズと、該レンズを収容するレンズホルダと、該レンズホルダを介して前記レンズを移動させるアクチュエータと、該アクチュエータを駆動・制御する駆動部と、前記レンズを通して被写体像を撮像する撮像素子と、前記レンズを所定位置へ移動させる際に前記駆動部を制御し、かつ前記撮像素子から出力される撮像信号の積算値を演算する制御部とを備え、前記制御部は前記駆動部に対して、前記アクチュエータを介した前記レンズを現在位置から目標位置まで移動させるよう指示を行うと共に、前記レンズが前記目標位置へ移動し終わるまでの間に前記アクチュエータの移動速度を遅くする、又は停止させるように、少なくとも1回前記駆動部へ停止信号を送信することを特徴とする。
かかる構成によれば、前記レンズが現在位置から前記目標位置へ移動し終わるまでの間に、前記駆動部へ停止信号を送信することにより、アクチュエータの移動速度を遅くする、又は停止させることで、前記アクチュエータが前記目的位置に到着する際の移動速度が低減され、前記目的位置へ移動した際に発生するリンギングまたはオーバーシュートを抑制することができる。その結果、AF時間を短縮することができる。
【0006】
本発明の請求項2に係るオートフォーカス装置では、前記制御部は前記駆動部に対して、前記停止信号を送信した後、所定の時間経過後に前記目標位置へ前記レンズを移動開始させるよう指示することを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、前記制御部は前記駆動部に対し、前記停止信号後に再び前記目的位置へ移動させるタイミングを時間経過のみを管理すればよく、制御が非常に簡単となる。
【0008】
本発明の請求項3に係るオートフォーカス装置では、前記アクチュエータは形状記憶合金からなるものであって、前記駆動部は、前記アクチュエータに電流を供給する通電部と、前記アクチュエータの抵抗値を検出する抵抗値測定部と、前記通電部と前記抵抗値測定部とを制御する駆動制御部を有し、該駆動制御部は前記抵抗値測定部で検出された前記抵抗値を用いて現在位置を求め、必要な電流量を前記通電部に指示することでアクチュエータの制御を行うものであり、前記制御部は、前記駆動制御部に前記停止信号を送信した後、前記駆動制御部は前記抵抗値測定部から得られる前記形状記憶合金の抵抗値が極大値または極小値となる停止点を観察すると共に、該停止点となったことを知らせるための確認信号を前記制御部にフィードバックし、再び前記駆動制御部に対して前記目標位置へ前記レンズを移動開始させるような指示を行うことを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、抵抗値を用いたフィードバック制御を行うことで、停止信号後のアクチュエータの加速度が0になったのを確認できるため、正しく停止させてから動作ができかつ時間が最小にできる。
【0010】
本発明の請求項4に係るオートフォーカス装置では、前記アクチュエータは形状記憶合金からなるものであって、前記駆動部は、前記アクチュエータに電流を供給する通電部と、前記アクチュエータの抵抗値を検出する抵抗値測定部と、前記通電部と前記抵抗値測定部とを制御する駆動制御部を有し、該駆動制御部は前記抵抗値測定部で検出された前記抵抗値を用いて現在位置を求め、必要な電流量を前記通電部に指示することでアクチュエータの制御を行うものであり、前記制御部は、前記駆動制御部に前記停止信号を送信した後、前記駆動制御部は前記抵抗値測定部から得られる前記形状記憶合金の抵抗値が極大値または極小値となる停止点の観察を行い、該停止点が確認された後に再び前記制御部より支持されていた前記目的位置へと移動を開始することを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、前記制御部の指示が必要なく駆動部だけで処理を行うため、前記アクチュエータの停止を確認してから前記目的位置へ移動を開始するまでの時間が短縮され、オートフォーカスの時間の短縮が可能となる。
本発明の撮像装置では、請求項1から請求項4のいずれか1項のオートフォーカス装置を搭載したことを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、撮像装置においても上記同様な効果を得ることができる。
本発明の係る携帯電子機器では、請求項5の撮像装置を搭載したことを特徴とする。
かかる構成によれば、携帯電子機器においても上記同様な効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来のオートフォーカス装置と比較して、オートフォーカスの時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯電子機器の開いた状態を示す全体外観図であって、(a)は、正面側を示す全体外観図、(b)は、背面側を示す全体外観図
【図2】同実施形態に係るオートフォーカス装置を含む撮像装置を示す断面図
【図3】同実施形態に係るオートフォーカス装置を含む撮像装置を示すシステム構成のブロック図
【図4】(a)は、同実施形態に係るオートフォーカス装置の時間とレンズの位置との相間を示す図、(b)は、同実施形態に係るオートフォーカス装置の時間と通信タイミングの相関を示す図
【図5】(a)は、従来のオートフォーカス装置の時間とレンズの位置との相間を示す図、(b)は、従来のオートフォーカス装置の時間と通信タイミングの相関を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るオートフォーカス装置、撮像装置、及び、携帯電子機器における一実施形態について、図1〜図4を参酌して説明する。なお、本実施形態に係るオートフォーカス装置は、撮像装置に採用されている場合を説明する。本実施形態に係る撮像装置は、携帯電子機器に採用されている場合を説明する。
【0016】
まず、本実施形態に係る携帯電子機器の概略構成について、図1を参酌しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る携帯電子機器の全体図である。本実施形態に係る携帯電子機器1は、いわゆる、折り畳み式携帯電話機である。図1(a)は、この折り畳み式携帯電話機が開いた状態にあり、メイン画面(後述する第1ディスプレイ10)を視認可能な方向からの斜視図である。同図(b)は、同図(a)に示す携帯電話機の背面側(メイン画面が嵌め込まれた面の反対面側)からの斜視図である。
【0017】
本実施形態に係る携帯電子機器1は、デジタルカメラ機能を搭載した、即ち、撮像装置2を備える携帯電話機である。携帯電話機1は、第1本体3と、該第1本体3とヒンジ機構4を介して折り畳み自在である第2本体5とを備える。
【0018】
第1本体3には、携帯電話機1を折り畳んだ際の内面側に、数字キーなどによって構成されて携帯電話機1の操作の入力を行う操作キー部6と、送話音声を入力するマイク7とが設けられている。また、第1本体3には、携帯電話機1を折り畳んだ際の外面側に、着信状態などを通知するサウンダ8が設けられている。
【0019】
第2本体5には、携帯電話機1を折り畳んだ際の内面側に、受話音声を出力するスピーカ9と、文字や画像を表示する第1ディスプレイ10とが設けられている。また、第2本体5には、携帯電話機1を折り畳んだ際の外周面に、第1ディスプレイ10と同様に文字や画像を表示する第2ディスプレイ11と、光を放射する発光素子12と、被写体で反射した光(発光素子12の光や太陽光などの光)を集光する撮像装置2とが設けられている。
【0020】
本実施形態に係る携帯電子機器1の構成については以上の通りであり、以下、本実施形態に係る撮像装置2の構成について、図2及び図3を参酌して説明する。図2は、同実施形態に係る撮像装置2の断面図である。図3は、同実施形態に係る撮像装置2のシステム構成を示すブロック図である。
【0021】
図2又は図3に示すように、本実施形態に係る撮像装置2は、被写体からの光を集光するレンズ13(撮像レンズ)と、レンズ13を通して被写体像を撮像する撮像素子14と、レンズ13を収容するレンズホルダ15と、レンズホルダ15を介してレンズ13を収納するフレーム16と、フレーム16の被写体側の上部および下部に取り付けられ、レンズホルダ15を光軸方向(図2におけるA矢印方向)に弾性的に支持する、例えば金属(又は樹脂等)の板バネである支持部材17と、フレーム16とレンズホルダ15に接続され、伸縮することでレンズホルダ15を介してレンズ13を移動させるアクチュエータとなる形状記憶合金18とを備える。そして撮像素子14を電気的に接続し且つフレーム16に固定される基板19と、形状記憶合金18を駆動・制御する駆動部20と、レンズ13を所定位置へ移動させる際に駆動部20を制御し、かつ撮像素子14から出力される撮像信号の積算値を演算する制御部21とを備える。制御部21は駆動部20に対し、次の目的位置への移動指示やその後の保持、移動を停止する停止信号などの指示を行う。なお、レンズホルダ15は、上記実施形態に限らず、内側にレンズ13を保持し、外側に雄ネジが形成され、図示していないアウタホルダ(又はレンズキャリア)の内側に形成された雌ネジと螺合する構成をとってもよい(例えば、特表2010−518438号公報の図2等を参照)。その場合、アウタホルダが支持部材17(サスペンション要素)により光軸方向に弾性的に支持される構成となる。
オートフォーカス装置22は上記レンズホルダ15、フレーム16、支持部材17、形状記憶合金18、駆動部20とを備える。なお、駆動部20や制御部21は、撮像素子14に内蔵されていてもよい。
レンズ13は、レンズホルダ15と一体になって、撮像装置2におけるフォーカス領域を光軸方向(図2におけるA矢印方向)に移動可能となるように構成される。また、レンズ13は、本実施形態においては、一つ備えるが、かかる場合に限らず、二つ又は三つ以上備える場合でもよい。
【0022】
レンズホルダ15は、筒状に形成され、レンズ13の軸心が光軸(一点鎖線)と一致するようにして配置される。また、レンズホルダ15は、光軸方向に安定して移動すべく、フレーム16に設けられた案内部(図示及び採番しない)に案内される被案内部(図示及び採番しない)を備える。
【0023】
形状記憶合金18は、フォーカス領域を光軸方向の移動量を大きくするために、例えばV字状に構成し、形状記憶合金18の長さ方向の寸法を長くしている(図2においては、V字状の二辺が重なって図示されている)。つまり、形状記憶合金18は、V字の両端部18a、18cをフレーム16に、V字の谷部18bをレンズホルダ15にそれぞれ固定されている。形状記憶合金18には、V字の両端部18a、18cより熱量(例えば電圧(電力、電流))が供給され、その熱量によって、光軸方向に変形(伸縮)し、その結果、レンズホルダ15及びフレーム16間の距離を調整して、レンズ13を移動させる。なお、熱量を供給する手段として、外部ヒータ等を別に設ける場合でもよい。
【0024】
具体的には、形状記憶合金18は、電圧が印加されることにより発熱して縮むことでレンズ13を一方方向に移動させるとともに、自然放熱して伸びることでレンズ13を一方方向とは反対方向に移動させるように構成される。より具体的には、形状記憶合金18は、縮むことにより、レンズ13と撮像素子14とを離反させる一方、伸びることでレンズ13と撮像素子14とを接近させる。
そして、駆動部20は、制御部21からの移動指示(動作指示)、例えば通信信号を受けることで形状記憶合金18を伸縮させ、レンズホルダ15を光軸方向に移動させるもので、具体的には、駆動部20は、制御部21からの移動指示に基づきレンズ13を指定された位置に移動させ、制御部21から次の移動指示を受けるまではその位置を保持する動作を行う。
駆動部20は、図3に示すように、形状記憶合金18に電流を供給する通電部23と、通電部23によって通電されているときの形状記憶合金18の抵抗値を計測する抵抗値計測部24と、通電部23と抵抗値測定部24とを制御する駆動制御部25とを備える。具体的には、駆動制御部25は制御部21からの指示に従ってレンズホルダ15を所定の位置に移動させるために、抵抗値計測部24によって計測された形状記憶合金18の抵抗値に基づき現在位置を求め、必要な電流量を通電部23に指示して通電を制御する。レンズ13の移動や保持を行う場合は、形状記憶合金18の変形量に対応する形状記憶合金18の抵抗値を、抵抗値計測部24でモニターしながら、その抵抗値に基づき駆動制御部25により、通電部23から形状記憶合金18へ供給される通電量を制御して形状記憶合金18の変形量を調整することにより、レンズ13の位置を制御する。なお、駆動部20は、形状記憶合金18に印加する電圧を、パルス制御(PWM制御)、即ち、所定の電圧値を印加する時間(パルス幅)を変調することによって、供結する電力量を調整している。
また、駆動部20は、形状記憶合金18の測定抵抗を監視することで極大抵抗値および極小抵抗値を検出し、極大抵抗値と極小抵抗値の間の抵抗範囲を導出し記憶する予備較正動作が実行できる。予備較正動作以後に使用する抵抗値範囲は、記憶された極大抵抗値と極小抵抗値の間の値を使用する。
次に、本実施形態に係る撮像装置2のオートフォーカス動作について、図4、5を参酌しつつ、詳細に説明する。図4(a)は同実施形態に係るオートフォーカス装置の時間とレンズの位置との相間図、(b)は、同実施形態に係るオートフォーカス装置の時間と通信タイミングの相関図であり、図5(a)は、従来のオートフォーカス装置の時間とレンズの位置との相間図、(b)は、従来のオートフォーカス装置の時間と通信タイミングの相関図を示す。
【0025】
本発明の構成では、図4(a)に示すように、現在位置P1から目的位置P2へ移動する場合、まずt1のタイミングで制御部21は駆動部20に目的位置へ移動するよう指示を行い、駆動部20はレンズ13の移動を開始する。このとき、駆動部20は移動速度を速めるために、移動開始直後はアクチュエータに供給する駆動電流等を目的位置へ速く移動するため、必要な駆動電流量よりも大きく設定する。レンズ13が目的位置P2付近まできたタイミングt2において、制御部21は駆動部20に対し停止信号を出し、駆動部20はレンズ13を停止させることで、移動速度を急激に遅くする。その後再度、所定の時間経過後に制御部21は駆動部20に対し目的位置P2へ移動する指示を行い、駆動部20はレンズ13を目的位置P2へ移動させる処理を行う。
【0026】
これにより、通常移動速度を速めた状態から停止するような動作に対し、目的位置P2の付近でレンズ13の移動加速度が0、またはそれに近い値まで小さくなっているため、停止の際にバネ等の慣性の影響で発生するリンギングなどを小さくできる。よって、現在位置P1から目的位置P2までの収束時間Tを短くすることができ、結果としてオートフォーカスの時間を短縮することができる。
【0027】
なお、制御部21は駆動部20に対して、形状記憶合金18を介したレンズ13を現在位置P1から目標位置P2まで移動させるよう指示を行うと共に、レンズ13が目標位置P2へ移動し終わるまでの間に駆動部20へ停止信号を送信するタイミングが(P2+P1)/2以上の位置、好ましくは2×(P2+P1)/3以上の位置であると、後述する図5に示す従来のオートフォーカス装置よりも、上記リンギングを小さくできる。その結果、オートフォーカスの時間を短縮することができる。
【0028】
他の実施形態では、制御部21は、駆動制御部25に停止信号を送信した後、駆動制御部25は抵抗値測定部24から得られる形状記憶合金18の抵抗値が極大値または極小値となる停止点を観察すると共に、停止点となったことを知らせるための確認信号を制御部21にフィードバックさせ、制御部21は再び駆動制御部25に対して目標位置へレンズ13を移動開始させるような指示を行う構成を成す。この構成によれば、駆動部20が停止信号を確認後、所定時間を待つことなく、最短の時間で停止位置を判断でき、制御部21は、駆動部の確認信号を受けた後に目的位置へ移動を駆動制御部25に指示すればよい。
具体的には、現在位置P1から目的位置P2へ移動する場合、まずt1のタイミングで制御部21は駆動部20に目的位置へ移動するよう指示を行い、駆動部20はレンズ13の移動を開始する。このとき、駆動部20は移動速度を速めるために、移動開始直後はアクチュエータに供給する駆動電流等を目的位置で停止するため、必要な駆動電流量よりも大きく設定する。レンズ13が目的位置P2付近まできたタイミングt2において、制御部21は駆動制御部25に対し停止信号を出力し、駆動制御部25はレンズ13を停止させる処理を行う。その後駆動制御部25は抵抗値測定部24から得られる形状記憶合金18の抵抗値が極大値または極小値となる停止点の観察を行う。停止点を確認後、停止点となったことを知らせるための確認信号を制御部21にフィードバックさせ、制御部21は再び駆動制御部25に対して目標位置へレンズ13を移動開始させるような指示を行う。
【0029】
これにより、通常移動速度を速めた状態から停止するような動作に対し、目的位置P2の付近でレンズ13の移動加速度が0、またはそれに近い値まで小さくなっているため、停止の際にバネ等の慣性の影響で発生するリンギングなどを小さくできる。よって、現在位置P1から目的位置P2までの収束時間Tを短くすることができ、結果としてオートフォーカスの時間を短縮することができる。また停止信号から所定時間を待つ必要がなく、より短時間で動作を行うことが可能となる。
【0030】
さらに他の実施形態では、制御部21が駆動制御部25に停止信号を送信した後、駆動制御部25は抵抗値測定部24から得られる形状記憶合金18の抵抗値が極大値または極小値となる停止点の観察を行い、停止点が確認された後に再び制御部21より指示されていた目的位置へと移動を開始する。これにより駆動制御部25が停止信号を確認後、制御部21の指示を待つことなく目的位置へ移動を開始することができる。
具体的には、現在位置P1から目的位置P2へ移動する場合、まずt1のタイミングで制御部21は駆動制御部25に目的位置へ移動するよう指示を行い、駆動制御部25によりレンズ13の移動を開始する。このとき、駆動制御部25は移動速度を速めるために、移動開始直後はアクチュエータに供給する駆動電流等を目的位置で停止するため、必要な駆動電流量よりも大きく設定する。レンズ13が目的位置P2付近まできたタイミングt2において、制御部21は駆動制御部25に対し停止信号を出し、駆動制御部25により、レンズ13を停止させることで、移動速度を急激に遅くする。その後再度、駆動制御部25は再びレンズ13を目的位置P2へ移動させる処理を行う。
制御部21は駆動制御部25に対し停止信号を出力し、駆動制御部25はレンズ13を停止させる処理を行う。その後駆動制御部25は抵抗値測定部24から得られる形状記憶合金18の抵抗値が極大値または極小値となる停止点の観察を行う。停止点を確認後、停止点が確認された後に再び制御部21より指示されていた目的位置P2へと移動を開始する。
【0031】
これにより、通常移動速度を速めた状態から停止するような動作に対し、目的位置P2の付近でレンズ13の移動加速度が0、またはそれに近い値まで小さくなっているため、停止の際にバネ等の慣性の影響で発生するリンギングなどを小さくできる。よって、現在位置P1から目的位置P2までの収束時間Tを短くすることができ、結果としてオートフォーカスの時間を短縮することができる。また停止信号から最短の時間で目的位置への移動を開始することができる。
一方、従来の構成では、図5(a)に示すように、現在位置P1から目的位置P2へ移動する場合、t1のタイミングで制御部21は駆動部20に目的位置へ移動するよう指示を行い、駆動部20はレンズ13を移動させる。その後は、駆動部20の制御により目的位置P2へ移動していく。
【0032】
ところが従来の構成の場合、駆動部20に対する制御は移動開始時の1回のみであり、そのため駆動部20は移動速度を速めるために移動開始直後はアクチュエータに供給する駆動電流等を目的位置で停止するために必要な駆動電流量よりも大きく設定し、目的位置付近までレンズを駆動させて後に、目的位置で停止するために必要な駆動電流量に再設定する制御を行うため、目的位置へ到着後にバネ等の慣性の影響でリンギングなどが発生し、目的位置に収束するまでの時間が長くなってしまう。つまり、オートフォーカスの時間が長くなってしまう。
【0033】
なお、本発明の実施例では、アクチュエータが形状記憶合金の場合で説明をしたが、これに限定されるものではなく、使用するアクチュエータは、例えばボイスコイルモータでもよい。
また、本発明に係る携帯電子機器1、撮像装置2、及び、オートフォーカス装置22は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明にかかるオートフォーカス装置、該オートフォーカス装置を搭載した撮像装置、及び、該撮像装置を搭載した携帯電子機器は、デジタルカメラやカメラ機能付きの携帯電話機や携帯情報端末(PDA)などを構成するものとして有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
13 レンズ
15 レンズホルダ
16 フレーム
17 支持部材
18 形状記憶合金(アクチュエータ)





















【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光を集光するレンズと、該レンズを収容するレンズホルダと、該レンズホルダを介して前記レンズを移動させるアクチュエータと、該アクチュエータを駆動・制御する駆動部と、前記レンズを通して被写体像を撮像する撮像素子と、前記レンズを所定位置へ移動させる際に前記駆動部を制御し、かつ前記撮像素子から出力される撮像信号の積算値を演算する制御部とを備え、
前記制御部は前記駆動部に対して、前記アクチュエータを介した前記レンズを現在位置から目標位置まで移動させるよう指示を行うと共に、前記レンズが前記目標位置へ移動し終わるまでの間に前記アクチュエータの移動速度を遅くする、又は停止させるように、少なくとも1回前記駆動部へ停止信号を送信することを特徴とするオートフォーカス装置。
【請求項2】
前記制御部は前記駆動部に対して、前記停止信号を送信した後、所定の時間経過後に前記目標位置へ前記レンズを移動開始させるよう指示することを特徴とする請求項1のオートフォーカス装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは形状記憶合金からなるものであって、前記駆動部は、前記アクチュエータに電流を供給する通電部と、前記アクチュエータの抵抗値を検出する抵抗値測定部と、前記通電部と前記抵抗値測定部とを制御する駆動制御部を有し、該駆動制御部は前記抵抗値測定部で検出された前記抵抗値を用いて現在位置を求め、必要な電流量を前記通電部に指示することでアクチュエータの制御を行うものであり、前記制御部は、前記駆動制御部に前記停止信号を送信した後、前記駆動制御部は前記抵抗値測定部から得られる前記形状記憶合金の抵抗値が極大値または極小値となる停止点を観察すると共に、該停止点となったことを知らせるための確認信号を前記制御部にフィードバックさせ、前記制御部は再び前記駆動制御部に対して前記目標位置へ前記レンズを移動開始させるような指示を行うことを特徴とする請求項1に記載のオートフォーカス装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは形状記憶合金からなるものであって、前記駆動部は、前記アクチュエータに電流を供給する通電部と、前記アクチュエータの抵抗値を検出する抵抗値測定部と、前記通電部と前記抵抗値測定部とを制御する駆動制御部を有し、該駆動制御部は前記抵抗値測定部で検出された前記抵抗値を用いて現在位置を求め、必要な電流量を前記通電部に指示することでアクチュエータの制御を行うものであり、前記制御部は、前記駆動制御部に前記停止信号を送信した後、前記駆動制御部は前記抵抗値測定部から得られる前記形状記憶合金の抵抗値が極大値または極小値となる停止点の観察を行い、該停止点が確認された後に再び前記制御部より支持されていた前記目的位置へと移動を開始することを特徴とする請求項1に記載のオートフォーカス装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のオートフォーカス装置を搭載したことを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5の撮像装置を搭載したことを特徴とする携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−15700(P2013−15700A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148916(P2011−148916)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】