オーバーチューブ,内視鏡スコープおよび立体断層診断装置
【課題】三次元画像取得用プローブを検査部位に密着させる。
【解決手段】内視鏡の先端部14が挿通する内視鏡スコープ用挿通路21が形成されている。先端から少し基端側に離れた場所においてオーバーチューブ20の周面(下面)には側口29が開けられている。第1のワイヤ挿通路22内に挿通されている第1のワイヤ23が引っ張られると,オーバーチューブ20の先端部が上方向に曲がる。すると,内視鏡の先端部14に格納されている三次元画像取得用プローブ19の延長線上に側口29が位置する。三次元画像取得用プローブ19が側口29からオーバーチューブ20の外部に出されると,オーバーチューブ20の先端部分において三次元画像取得用プローブ19が検査部位に密着させられる。
【解決手段】内視鏡の先端部14が挿通する内視鏡スコープ用挿通路21が形成されている。先端から少し基端側に離れた場所においてオーバーチューブ20の周面(下面)には側口29が開けられている。第1のワイヤ挿通路22内に挿通されている第1のワイヤ23が引っ張られると,オーバーチューブ20の先端部が上方向に曲がる。すると,内視鏡の先端部14に格納されている三次元画像取得用プローブ19の延長線上に側口29が位置する。三次元画像取得用プローブ19が側口29からオーバーチューブ20の外部に出されると,オーバーチューブ20の先端部分において三次元画像取得用プローブ19が検査部位に密着させられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,オーバーチューブ,内視鏡スコープおよび立体断層診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立体断層診断装置は,先端から進出および退避自在な三次元画像取得用プローブを含む内視鏡スコープが利用される。内視鏡スコープ内には,撮像素子が含まれており,内視鏡スコープの先端に設けられている観察窓を介して撮像素子を用いて体腔内が撮像される。撮像された画像を見ながら,医師が内視鏡を操作して内視鏡スコープを検査箇所に挿入していく。内視鏡スコープが検査箇所近傍となると,医師は三次元画像取得用プローブを内視鏡スコープから進出させ,検査箇所に密接させながら回転させることにより検査箇所の三次元画像を得る。しかしながら,三次元画像取得用プローブを検査箇所に密接させなければ精度のよい三次元画像が得られない。
【0003】
また,内視鏡スコープを挿通するオーバーチューブが利用されている。このオーバーチューブは,たとえば,先端部にバルーンが付けられおり,そのバルーンを膨らませることにより腸を膨らませるものである。
【0004】
オーバーチューブには,オーバーチューブの先端面に貫通口を開け,その貫通口から電気メスなどを挿通するもの(特許文献1),オーバーチューブの先端部において周面を斜めに形成し,その斜面に挿通チャンネルを設け,挿通チャンネルから側視内視鏡を挿通するものなどがある(特許文献2)。しかしながら,オーバーチューブを利用して三次元画像取得用プローブを検査箇所に密着することは考えられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-268592号公報
【特許文献2】特開2008-212671号公報
【発明の概要】
【0006】
この発明は,三次元画像取得用プローブを検査箇所に密着させることを目的とする。
【0007】
この発明は,可撓性を有する長尺状のオーバーチューブにおいて,先端から進出および退避自在な三次元画像取得用プローブを含む内視鏡スコープを長手方向に挿通する挿通路,上記挿通路に貫通するように,オーバーチューブの先端部の周面に開けられた三次元画像取得用プローブが挿通自在な側口,上記側口よりもオーバーチューブの基端側に設けられている湾曲部,ならびに上記湾曲部よりも先端部分で,オーバーチューブを折り曲げる折り曲げ装置を備えていることを特徴とする。
【0008】
この発明によると,オーバーチューブには,内視鏡スコープを長手方向に挿通する挿通路が形成されており,オーバーチューブの先端部の周面には,その挿通路に貫通するように,三次元画像取得用プローブが挿通自在な側口が形成されている。側口よりもオーバーチューブの基端側には湾曲部が形成されており,その湾曲部よりも先端部分でオーバーチューブを折り曲げる折り曲げ装置が設けられている。
【0009】
内視鏡が挿通路に挿通されたオーバーチューブが体腔内に挿入され,内視鏡が検査箇所近傍となると,内視鏡はオーバーチューブの湾曲部よりも後ろに戻される。すると,オーバーチューブの湾曲部よりも先端部分が,側口が形成されている部分と反対側に折り曲げられる。オーバーチューブの湾曲部よりも先端部分がもともと,側口が形成されている部分と反対側に曲げられている場合には,折り曲げは不要となる。オーバーチューブの湾曲部よりも先端部分が,側口が形成されている部分と反対側に折り曲げられると,内視鏡から進出する三次元画像取得用プローブの進出方向の延長上に,オーバーチューブに形成されている側口が位置することとなる。内視鏡スコープから三次元画像取得用プローブが進出すると,三次元画像取得用プローブは側口を通り,オーバーチューブの外側に出る。三次元画像取得用プローブが検査箇所に密接させられて検査箇所の三次元画像が得られる。三次元画像取得用プローブは,側口によって動きが規制されるので,検査箇所に押し付けても検査箇所から逃げてしまうことを未然に防止できる。三次元画像取得用プローブを検査箇所に密接させることができ,精度のよい三次元画像が得られる。
【0010】
上記湾曲部よりも先端部分と上記湾曲部よりも基端側部分とが直線状である場合には,上記折り曲げ装置は,上記湾曲部よりも先端部分で,上記側口が形成されている部分と反対側の方向に,オーバーチューブを折り曲げるものとなろう。
【0011】
上記湾曲部よりも先端部分と上記湾曲部よりも基端側部分とが上記側口が形成されている部分と反対側の方向に折り曲げられている場合には,上記折り曲げ装置は,上記湾曲部よりも先端部分で,上記側口が形成されている部分と反対側から上記側口が形成されている方向に,オーバーチューブを折り曲げるものとなろう。
【0012】
オーバーチューブ外周面において上記側口から上記オーバーチューブ先端に向かって平坦部または溝からなる三次元画像取得用プローブ押さえ部を形成してもよい。
【0013】
オーバーチューブ内周面の上記側口と上記湾曲部との間において,内視鏡スコープから進出した三次元画像取得用プローブを上記側口に導くガイドを形成してもよい。
【0014】
上記側口の径は,たとえば,三次元画像取得用プローブの径よりも大きく,かつ内視鏡スコープの径よりも小さい。
【0015】
上記挿通路の径は,たとえば,オーバーチューブの基端から先端に渡って一定である。
【0016】
上記ガイドは,たとえば,弾性体またはゴム状のものである。
【0017】
上記挿通路に挿通され,先端から進出および退避自在な三次元画像プローブを含む内視鏡スコープを提供することもできるし,そのような内視鏡スコープを備えた立体断層診断装置を提供してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】立体断層診断装置を示している。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】オーバーチューブの平面図である。
【図5】オーバーチューブの底面図である。
【図6】オーバーチューブの斜視図の一部を示している。
【図7】内視鏡の挿入時の様子を示している。
【図8】内視鏡による測定準備時の様子を示している。
【図9】内視鏡による測定時の様子を示している。
【図10】内視鏡による測定時の様子を示している。
【図11】三次元画像取得用プローブが検査部位に接している様子を示している。
【図12】他の実施例を示すもので,オーバーチューブの断面図である。
【図13】他の実施例を示すもので,内視鏡による測定時の様子を示している。
【図14】他の実施例を示すもので,三次元画像取得用プローブが検査部位に接している様子を示している。
【図15】他の実施例を示すもので,三次元画像取得用プローブが検査部位に接している様子を示している。
【図16】他の実施例を示すもので,三次元画像取得用プローブが検査部位に接している様子を示している。
【実施例】
【0019】
図1は,この発明の実施例によるオーバーチューブ20を利用した立体断層診断装置を示している。
【0020】
立体断層診断装置には,画像診断装置1,内視鏡10およびオーバーチューブ20が含まれる。
【0021】
内視鏡10には,医師が操作する操作部11が含まれている。この操作部11から被験者の体内に挿入する挿入部15が伸びている。挿入部15には,軟性部12,湾曲部13および先端部14(内視鏡スコープ)が含まれている。先端部14の先端には後述するように,観察窓,光源窓,送水/送気口,鉗子口などが形成されている。光源窓から光源が照射され,観察窓から内視鏡スコープ内に設けられている固体電子撮像素子を用いて撮像される。送水/送気口からは観察窓に設けられているレンズを洗浄するための水,レンズについた水滴等を落とす空気が排出される。鉗子口からは鉗子チャネルが形成されており,鉗子チャネル内に三次元画像取得用プローブが入っている。
【0022】
ユニバーサル・チューブ6の一端部には,内視鏡10の操作部11が接続されており,他端部には,画像診断装置1が接続されている。画像診断装置1には,表示装置2,OCT(オプティカル・コヒーレンス・トモグラフィー)プロセッサ3,内視鏡プロセッサ4および光源装置5が含まれている。
【0023】
表示装置2は,内視鏡スコープ内の固体電子撮像素子によって撮像された画像および三次元取得プローブから得られるデータから生成される三次元画像を表示するものである。OCTプロセッサ3は,三次元取得プローブから得られるデータから三次元画像を生成するものである。内視鏡プロセッサ4は,内視鏡スコープから得られる画像データによって表わされる撮像画像を表示装置2に表示させるものである。光源装置5には,先端部14の光源窓から照射する光源が含まれている。
【0024】
オーバーチューブ20は,可撓性を有する長尺状のもので,内視鏡10の挿入部15を挿通させて内視鏡10に装着するものである。
【0025】
図2は,この実施例によるオーバーチューブ20の縦断面であり,図1のII−II線に沿う断面図である。図3もオーバーチューブ20の縦断面であり,図1のIII−III線に沿う断面図である。図4は,オーバーチューブ20の平面図,図5は,オーバーチューブ20の底面図である。図6は,オーバーチューブ20の先端部分が折り曲げられた様子を示す斜視図である。この実施例によるオーバーチューブ20は先端部分を上方向に折り曲げることができる。これらの図において,左側を先端側,右側を基端側(内視鏡10の挿入部12を挿入する側)とする。
【0026】
オーバーチューブ20は,ほぼ円筒状のもので,ポリウレタンなどを材料とする。オーバーチューブ20には,内視鏡10の挿入部15を挿通させる内視鏡スコープ用挿通路21が長手方向に形成されている。内視鏡スコープ用挿通路21の径は,内視鏡10の挿入部15の径よりも少し大きく,オーバーチューブ20の全体にわたって一定である。
【0027】
オーバーチューブ20の外周面(下面)において,オーバーチューブ20の先端から少し基端側に離れた位置に側口29が形成されている。側口29は,後述するように内視鏡10の先端部14に格納される三次元画像取得用プローブ19を挿通するものである(図6参照)。側口29の径は,三次元画像取得用プローブ19の径よりも少し大きく,内視鏡スコープ用挿通路21の径よりも小さい。側口29には,内視鏡スコープ用挿通路21の基端側に向かってテーパ状となっているガイド29Aが形成されている(図2,図3参照)。また,側口29には,オーバーチューブ20の外周面に先端側に向かってテーパ状となっているガイド29Bも形成されている。これらのガイド29Aおよび28Bは,後述するように,内視鏡10の先端部14にある三次元画像取得用プローブ19を側口29に導くとともに,側口29からオーバーチューブ20の外部に導くものである。
【0028】
図5に示すように,オーバーチューブ20の下面において側口29よりも先端にはオーバーチューブ20の長手方向に沿った溝29C(三次元画像取得用プローブ押さえ部)が形成されている。この溝29Cは,後述するように,三次元画像取得用プローブ19が側口29からオーバーチューブ20の外部に進出され,オーバーチューブ20の先端部分で三次元画像取得用プローブ19が下方向に抑えられたときに三次元画像取得用プローブ19がオーバーチューブ20から逃げないようにするものである。溝29Cを形成せずに平坦としてもよい。
【0029】
図6に示すように,内視鏡の先端部14には,上述した観察窓16,光源窓17A,送水/送気口17Bおよび鉗子口18が形成されている。鉗子口18は鉗子チャネルとつながっており,鉗子チャネルに鉗子口18から進出,退避自在な円柱状の三次元画像取得用プローブ19が入っている。オーバーチューブ20の先端部分が上方向に曲げられることにより,先端部14から進出した三次元画像取得用プローブ19は,ガイド29Aにより開口29に導かれ,オーバーチューブ20の外部に進出する。
【0030】
また,側口29よりも少し基端側の挿通路21の面に第1の凹所28Aが形成されている。また,その第1の凹所28Aに径方向に相対する位置であるオーバーチューブ20の外周面に第2の凹所28Bが形成されている。これらの第1の凹所28Aおよび第2の凹所28Bの部分においてオーバーチューブ20は,側口29を下にした場合に上方向に折り曲げ自在である(図6参照)。第1の凹所28A,第2の凹所28Bを形成しなくとも,オーバーチューブ20の先端部分が折れ曲がりやすくなるように第1の凹所28A,第2の凹所28Bに相当する部分を他の部分よりもやわらかい材料としてもよい。
【0031】
図2,図3および図6を参照して,オーバーチューブ20の内周面(内視鏡スコープ用挿通路21の外周面)とオーバーチューブ20の外周面との肉厚の部分には,側口29が開けられている部分と反対側の上の部分と,側口29が開けられている部分とに第1のワイヤ用挿通路22と第2のワイヤ用挿通路25とがオーバーチューブ20の長手方向に形成されている。
【0032】
第1のワイヤ挿通路22は,先端および基端では開口されていないが,オーバーチューブ20の基端側ではオーバーチューブ20の上面から外部に開けられている開口30が形成されている。第1のワイヤ挿通路22内には第1のワイヤ23が挿通されている。第1のワイヤ23の先端は,第1のワイヤ挿通路22の先端部においてワイヤ止め24によってオーバーチューブ20の先端に固定されている。第1のワイヤ23の後端部はオーバーチューブ20の基端部の周面に形成されている開口30からオーバーチューブ20の外部に露出している。第1のワイヤ23の後端には,医師が第1のワイヤ23を引っ張るための取っ手31が固定されている。
【0033】
第2のワイヤ挿通路25も第1のワイヤ挿通路22と同様に,先端および基端では開口されていないが,オーバーチューブ20の基端側ではオーバーチューブ20の下面から外部に開けられている開口32が形成されている。図2において下面に形成されている側口29を避けるように(迂回して)第2のワイヤ挿通路25が形成されている。第2のワイヤ挿通路25内には第2のワイヤ26が挿通されている。第2のワイヤ26の先端は,第2のワイヤ挿通路26の先端部においてワイヤ止め27によってオーバーチューブ20の先端に固定されている。第2のワイヤ26の後端部はオーバーチューブ20の基端部の周面に形成されている開口32から外部に露出している。第2のワイヤ26の後端には,医師が第2のワイヤ26を引っ張るための取っ手33が固定されている。
【0034】
図2に示す状態で,第1のワイヤ23に付けられている取っ手31が医師によって引っ張られると,第1のワイヤ23が引っ張られることとなる。第1のワイヤ23の先端はワイヤ止め24によってオーバーチューブ20に固定されているから,オーバーチューブ20の先端部分が第1の凹所28Aおよび第2の凹所28Bの所から上方向に曲げられる。
【0035】
図7は,オーバーチューブ20が装着された内視鏡10の挿入部12を腸などの体腔41内に挿入するときの様子を示している。
【0036】
オーバーチューブ20が装着された内視鏡10の挿入部12を,体腔41内に挿入する場合,医師によってオーバーチューブ20が基端側に引っ張られ,挿入部12の先端部14および湾曲部13がオーバーチューブ20の先端から出される。オーバーチューブ20の先端から湾曲部13が出ているので,湾曲部13はオーバーチューブ20が邪魔にならないで曲がることができる。医師は,必要に応じて湾曲部13を曲げながら挿入部12を体腔41内に挿入していく。
【0037】
図8は,測定準備時の様子を示している。
【0038】
内視鏡スコープ内の固体電子撮像素子を用いて体腔41内を撮像しながら,視鏡10の挿入部12を体腔41内に挿入していく。内視鏡10の先端部14が三次元画像を得る対象となる検査部位42の近くになると,内視鏡10が引っ張られて,内視鏡10の先端部14がオーバーチューブ20内に入る。先端部14が凹所28Aおよび28Bよりも基端側となるように内視鏡10が引っ張られる。
【0039】
図9から図11は,検査部位42の測定時の様子を示している。
【0040】
図9を参照して,内視鏡10の先端部14の先端が凹所28Aおよび28Bよりも基端側となるように内視鏡10が引っ張られると,医師によって第1のワイヤ23が基端側に引っ張られる。すると,上述したようにオーバーチューブ20の先端部分が上方向(側口29が形成されている部分と反対方向)に曲がる。
【0041】
図10を参照して,オーバーチューブ20の先端部分が上方向に曲がると,内視鏡10の先端部14の鉗子口18とオーバーチューブ20に形成されている側口29とが対向する。先端部14から三次元画像取得用プローブ19が進出させられる。すると,先端部14の鉗子口18から進出した三次元画像取得用プローブ19はオーバーチューブ20に形成されている側口29からオーバーチューブ20の外部に進出する。
【0042】
図11を参照して,三次元画像取得用プローブ19がオーバーチューブ20の側口29からオーバーチューブ20の外部に進出すると,引っ張られていた第1のワイヤ23が緩められる。すると,オーバーチューブ20自体がもつ弾性力の反作用により,オーバーチューブ20の先端部分が下方向に押し戻される。すると,三次元画像取得用プローブ19がオーバーチューブ20に開けられている側口29の内周面により下方向に押される。これにより,三次元画像取得用プローブ19は検査部位42に接する。検査部位42に接した状態で三次元画像取得用プローブ19が回転させられることにより,検査部位42についての三次元画像が得られる。三次元画像取得用プローブ19は検査部位42に接するので,精度のよい三次元画像が得られる。
【0043】
上述の実施例では,三次元画像取得用プローブ19がオーバーチューブ20の側口29からオーバーチューブ20の外部に進出すると,引っ張られていた第1のワイヤ23が緩められ,オーバーチューブ20自体がもつ弾性力の反作用により,オーバーチューブ20の先端部分が下方向に押し戻されて,三次元画像取得用プローブ19が検査部位42に接するようにされている。しかしながら,第1のワイヤ23を緩めるとともに,第2のワイヤ26を引っ張ることより,オーバーチューブ20の先端部分を検査部位42に接するようにしてもよい。
【0044】
図12から図14は,他の実施例を示している。
【0045】
上述した実施例では,第1のワイヤ23を利用してオーバーチューブ20の先端部分を折り曲げているが,この実施例ではバルーン51,52を利用してオーバーチューブ20の先端部分を折り曲げている。
【0046】
図12は,オーバーチューブ20Aの縦断面図であり,図2に対応するものである。図12において,図2に示すものと同一物については同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
オーバーチューブ20Aには,ワイヤ用挿通路22および25の代わりに第1の送気管22Aおよび第2の送気管25Aが形成されている。第1の送気管22Aは,側口29に相対する位置にオーバーチューブ20に形成されている内視鏡スコープ用挿通路21とオーバーチューブ20の外周との肉厚部分の間に,オーバーチューブ20の長手方向に沿って形成されている。第2の送気管25Aは,上述した第2のワイヤ用挿通路25と同様に,側口29が形成されている下面に側口29を回避するように内視鏡スコープ用挿通路21とオーバーチューブ20の外周との肉厚部分の間に,オーバーチューブ20の長手方向に形成されている。
【0048】
第1の送気管22Aの先端部には,オーバーチューブ20の外側に向かって開口22Bが形成されている。この開口22Bを塞ぎ,開口22Bから空気が入るように第1のバルーン51がオーバーチューブ20の外周面に接着されている。第1の送気管22Aの基端側は閉じられているが,その基端部においてオーバーチューブ20の外側に向かって開口30Aが形成されている。開口30Aから第1の送気管22Aの一部分がオーバーチューブ20の外側に露出している。開口30Aからオーバーチューブ20の外側に露出している第1の送気管22Aから送気/吸入ポンプ(図示略)を用いて送気されることにより,第1の送気管22A内を送気される。すると,開口22Bから第1のバルーン51に空気が入り,第1のバルーン51が膨らむ。
【0049】
同様に,第2の送気管25Aの先端部には,オーバーチューブ20の外側に向かって開口25Bが形成されている。この開口25Bを塞ぎ,開口25Bから空気が入るように第2のバルーン52がオーバーチューブ20の外周面に接着されている。第2の送気管25Aの基端側は閉じられているが,その基端部においてオーバーチューブ20の外側に向かって開口32Aが形成されている。開口32Aから第2の送気管25Aの一部分がオーバーチューブ20の外側に露出している。開口32Aからオーバーチューブ20の外側に露出している第2の送気管25Aから送気/吸入ポンプ(図示略)を用いて送気されることにより,第2の送気管25A内を送気される。すると,開口25Bから第2のバルーン52に空気が入り,第2のバルーン52が膨らむ。
【0050】
図13および図14は,検査部位42の測定時の様子を示している。
【0051】
図13を参照して,上述のように,検査部位42近傍でオーバーチューブ20Aの先端部分に設けられた第2のバルーン52に空気が入れられる。すると,第2のバルーン52によりオーバーチューブ20Aの下面が上方向に押される。先端部14から三次元画像取得用プローブ19が進出すると,オーバーチューブ20Aに形成されている側口29から三次元画像取得用プローブ19がオーバーチューブ20から外部に進出する。第2のバルーン52から空気が吸入されると,第2のバルーンがしぼむ。
【0052】
図14を参照して,三次元画像取得用プローブ19が側口29からオーバーチューブ20の外部に進出した状態で,第1のバルーン51に空気が入れられる。すると,第1のバルーン51によってオーバーチューブ20Aの上面が押さえつけられる。オーバーチューブ20の先端部分に下方向の力が加わり,側口29によって三次元画像取得用プローブ19が検査部位42に接する。上述したのと同様に,検査部位42について精度のよい三次元画像が得られる。
【0053】
図15は,変形例を示している。
【0054】
図14に示す例は,第1のバルーン51によってオーバーチューブ20Aの先端部分を下方向に押さえつけている。これに対して,図15に示す例では,三次元画像取得用プローブ19が側口29からオーバーチューブ20Aの外部に進出した状態で,第2のバルーン52を膨らませて,第2のバルーン52によって三次元画像取得用プローブ19が検査部位42に付けられている。このようにしても三次元画像取得用プローブ19を検査部位42に接することができる。
【0055】
上述の実施例では,オーバーチューブ20は,凹所28Aおよび28Bよりも先端側と凹所28Aおよび28Bよりも基端側とが通常は直線状であり,三次元画像取得用プローブ19が側口29からオーバーチューブ20の外部に出されるときに上方向に曲げられている。しかしながら,通常は,凹所28Aおよび28Bよりも先端側を上方向に曲げてあり,体腔41内に挿入するときに凹所28Aおよび28Bよりも先端側と凹所28Aおよび28Bよりも基端側とを直線状とし,三次元画像取得用プローブ19が側口29からオーバーチューブ20の外部に出されるときに元通りに上方向に曲がるようにしてもよい。
【0056】
上述の実施例では,側口29に導くテーパ状のガイド29Aがオーバーチューブ20の内部に形成されているが,テーパ状のガイド29Aでなくとも,三次元画像取得用プローブ19を側口29に導ければよく,側口29につづく溝のようなものをオーバーチューブ20の内部に形成してガイドとしてもよい。そのようなガイドは,弾性体またはゴム状のものであることが好ましい。
【0057】
図16は,図14に対応するもので,検査部位42の測定時の様子を示している。図16は,オーバーチューブ20Aの外周面に形成されている溝29Aを利用して三次元画像取得用プローブ19が検査部位42に接するようにするものである。
【0058】
上述したように,三次元画像取得用プローブ19が側口29からオーバーチューブ20の外部に進出した状態で,第1のバルーン51に空気が入れられる。すると,第1のバルーン51によってオーバーチューブ20Aの上面が押さえつけられる。オーバーチューブ20の先端部分に下方向の力が加わる。すると,側口29からオーバーチューブ20Aの外部に露出している三次元画像取得用プローブ19はオーバーチューブ20Aの外周面に形成されている溝29Cによって検査部位42に接するように押される。検査部位42について精度のよい三次元画像が得られるようになる。
【0059】
溝29Cは,へこんでいるので,オーバーチューブ20の外周面で三次元画像取得用プローブ19を下方向に押しても三次元画像取得用プローブ19がオーバーチューブ20から逃げないようにできる。
【符号の説明】
【0060】
1 画像診断装置
10 内視鏡
14 先端部(内視鏡スコープ)
20 オーバーチューブ
21 内視鏡スコープ用挿通路(挿通路)
28A,28B 凹所(湾曲部)
29 側口
22,25 ワイヤ用挿通路(折り曲げ装置)
23,26 ワイヤ(折り曲げ装置)
【技術分野】
【0001】
この発明は,オーバーチューブ,内視鏡スコープおよび立体断層診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立体断層診断装置は,先端から進出および退避自在な三次元画像取得用プローブを含む内視鏡スコープが利用される。内視鏡スコープ内には,撮像素子が含まれており,内視鏡スコープの先端に設けられている観察窓を介して撮像素子を用いて体腔内が撮像される。撮像された画像を見ながら,医師が内視鏡を操作して内視鏡スコープを検査箇所に挿入していく。内視鏡スコープが検査箇所近傍となると,医師は三次元画像取得用プローブを内視鏡スコープから進出させ,検査箇所に密接させながら回転させることにより検査箇所の三次元画像を得る。しかしながら,三次元画像取得用プローブを検査箇所に密接させなければ精度のよい三次元画像が得られない。
【0003】
また,内視鏡スコープを挿通するオーバーチューブが利用されている。このオーバーチューブは,たとえば,先端部にバルーンが付けられおり,そのバルーンを膨らませることにより腸を膨らませるものである。
【0004】
オーバーチューブには,オーバーチューブの先端面に貫通口を開け,その貫通口から電気メスなどを挿通するもの(特許文献1),オーバーチューブの先端部において周面を斜めに形成し,その斜面に挿通チャンネルを設け,挿通チャンネルから側視内視鏡を挿通するものなどがある(特許文献2)。しかしながら,オーバーチューブを利用して三次元画像取得用プローブを検査箇所に密着することは考えられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-268592号公報
【特許文献2】特開2008-212671号公報
【発明の概要】
【0006】
この発明は,三次元画像取得用プローブを検査箇所に密着させることを目的とする。
【0007】
この発明は,可撓性を有する長尺状のオーバーチューブにおいて,先端から進出および退避自在な三次元画像取得用プローブを含む内視鏡スコープを長手方向に挿通する挿通路,上記挿通路に貫通するように,オーバーチューブの先端部の周面に開けられた三次元画像取得用プローブが挿通自在な側口,上記側口よりもオーバーチューブの基端側に設けられている湾曲部,ならびに上記湾曲部よりも先端部分で,オーバーチューブを折り曲げる折り曲げ装置を備えていることを特徴とする。
【0008】
この発明によると,オーバーチューブには,内視鏡スコープを長手方向に挿通する挿通路が形成されており,オーバーチューブの先端部の周面には,その挿通路に貫通するように,三次元画像取得用プローブが挿通自在な側口が形成されている。側口よりもオーバーチューブの基端側には湾曲部が形成されており,その湾曲部よりも先端部分でオーバーチューブを折り曲げる折り曲げ装置が設けられている。
【0009】
内視鏡が挿通路に挿通されたオーバーチューブが体腔内に挿入され,内視鏡が検査箇所近傍となると,内視鏡はオーバーチューブの湾曲部よりも後ろに戻される。すると,オーバーチューブの湾曲部よりも先端部分が,側口が形成されている部分と反対側に折り曲げられる。オーバーチューブの湾曲部よりも先端部分がもともと,側口が形成されている部分と反対側に曲げられている場合には,折り曲げは不要となる。オーバーチューブの湾曲部よりも先端部分が,側口が形成されている部分と反対側に折り曲げられると,内視鏡から進出する三次元画像取得用プローブの進出方向の延長上に,オーバーチューブに形成されている側口が位置することとなる。内視鏡スコープから三次元画像取得用プローブが進出すると,三次元画像取得用プローブは側口を通り,オーバーチューブの外側に出る。三次元画像取得用プローブが検査箇所に密接させられて検査箇所の三次元画像が得られる。三次元画像取得用プローブは,側口によって動きが規制されるので,検査箇所に押し付けても検査箇所から逃げてしまうことを未然に防止できる。三次元画像取得用プローブを検査箇所に密接させることができ,精度のよい三次元画像が得られる。
【0010】
上記湾曲部よりも先端部分と上記湾曲部よりも基端側部分とが直線状である場合には,上記折り曲げ装置は,上記湾曲部よりも先端部分で,上記側口が形成されている部分と反対側の方向に,オーバーチューブを折り曲げるものとなろう。
【0011】
上記湾曲部よりも先端部分と上記湾曲部よりも基端側部分とが上記側口が形成されている部分と反対側の方向に折り曲げられている場合には,上記折り曲げ装置は,上記湾曲部よりも先端部分で,上記側口が形成されている部分と反対側から上記側口が形成されている方向に,オーバーチューブを折り曲げるものとなろう。
【0012】
オーバーチューブ外周面において上記側口から上記オーバーチューブ先端に向かって平坦部または溝からなる三次元画像取得用プローブ押さえ部を形成してもよい。
【0013】
オーバーチューブ内周面の上記側口と上記湾曲部との間において,内視鏡スコープから進出した三次元画像取得用プローブを上記側口に導くガイドを形成してもよい。
【0014】
上記側口の径は,たとえば,三次元画像取得用プローブの径よりも大きく,かつ内視鏡スコープの径よりも小さい。
【0015】
上記挿通路の径は,たとえば,オーバーチューブの基端から先端に渡って一定である。
【0016】
上記ガイドは,たとえば,弾性体またはゴム状のものである。
【0017】
上記挿通路に挿通され,先端から進出および退避自在な三次元画像プローブを含む内視鏡スコープを提供することもできるし,そのような内視鏡スコープを備えた立体断層診断装置を提供してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】立体断層診断装置を示している。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】オーバーチューブの平面図である。
【図5】オーバーチューブの底面図である。
【図6】オーバーチューブの斜視図の一部を示している。
【図7】内視鏡の挿入時の様子を示している。
【図8】内視鏡による測定準備時の様子を示している。
【図9】内視鏡による測定時の様子を示している。
【図10】内視鏡による測定時の様子を示している。
【図11】三次元画像取得用プローブが検査部位に接している様子を示している。
【図12】他の実施例を示すもので,オーバーチューブの断面図である。
【図13】他の実施例を示すもので,内視鏡による測定時の様子を示している。
【図14】他の実施例を示すもので,三次元画像取得用プローブが検査部位に接している様子を示している。
【図15】他の実施例を示すもので,三次元画像取得用プローブが検査部位に接している様子を示している。
【図16】他の実施例を示すもので,三次元画像取得用プローブが検査部位に接している様子を示している。
【実施例】
【0019】
図1は,この発明の実施例によるオーバーチューブ20を利用した立体断層診断装置を示している。
【0020】
立体断層診断装置には,画像診断装置1,内視鏡10およびオーバーチューブ20が含まれる。
【0021】
内視鏡10には,医師が操作する操作部11が含まれている。この操作部11から被験者の体内に挿入する挿入部15が伸びている。挿入部15には,軟性部12,湾曲部13および先端部14(内視鏡スコープ)が含まれている。先端部14の先端には後述するように,観察窓,光源窓,送水/送気口,鉗子口などが形成されている。光源窓から光源が照射され,観察窓から内視鏡スコープ内に設けられている固体電子撮像素子を用いて撮像される。送水/送気口からは観察窓に設けられているレンズを洗浄するための水,レンズについた水滴等を落とす空気が排出される。鉗子口からは鉗子チャネルが形成されており,鉗子チャネル内に三次元画像取得用プローブが入っている。
【0022】
ユニバーサル・チューブ6の一端部には,内視鏡10の操作部11が接続されており,他端部には,画像診断装置1が接続されている。画像診断装置1には,表示装置2,OCT(オプティカル・コヒーレンス・トモグラフィー)プロセッサ3,内視鏡プロセッサ4および光源装置5が含まれている。
【0023】
表示装置2は,内視鏡スコープ内の固体電子撮像素子によって撮像された画像および三次元取得プローブから得られるデータから生成される三次元画像を表示するものである。OCTプロセッサ3は,三次元取得プローブから得られるデータから三次元画像を生成するものである。内視鏡プロセッサ4は,内視鏡スコープから得られる画像データによって表わされる撮像画像を表示装置2に表示させるものである。光源装置5には,先端部14の光源窓から照射する光源が含まれている。
【0024】
オーバーチューブ20は,可撓性を有する長尺状のもので,内視鏡10の挿入部15を挿通させて内視鏡10に装着するものである。
【0025】
図2は,この実施例によるオーバーチューブ20の縦断面であり,図1のII−II線に沿う断面図である。図3もオーバーチューブ20の縦断面であり,図1のIII−III線に沿う断面図である。図4は,オーバーチューブ20の平面図,図5は,オーバーチューブ20の底面図である。図6は,オーバーチューブ20の先端部分が折り曲げられた様子を示す斜視図である。この実施例によるオーバーチューブ20は先端部分を上方向に折り曲げることができる。これらの図において,左側を先端側,右側を基端側(内視鏡10の挿入部12を挿入する側)とする。
【0026】
オーバーチューブ20は,ほぼ円筒状のもので,ポリウレタンなどを材料とする。オーバーチューブ20には,内視鏡10の挿入部15を挿通させる内視鏡スコープ用挿通路21が長手方向に形成されている。内視鏡スコープ用挿通路21の径は,内視鏡10の挿入部15の径よりも少し大きく,オーバーチューブ20の全体にわたって一定である。
【0027】
オーバーチューブ20の外周面(下面)において,オーバーチューブ20の先端から少し基端側に離れた位置に側口29が形成されている。側口29は,後述するように内視鏡10の先端部14に格納される三次元画像取得用プローブ19を挿通するものである(図6参照)。側口29の径は,三次元画像取得用プローブ19の径よりも少し大きく,内視鏡スコープ用挿通路21の径よりも小さい。側口29には,内視鏡スコープ用挿通路21の基端側に向かってテーパ状となっているガイド29Aが形成されている(図2,図3参照)。また,側口29には,オーバーチューブ20の外周面に先端側に向かってテーパ状となっているガイド29Bも形成されている。これらのガイド29Aおよび28Bは,後述するように,内視鏡10の先端部14にある三次元画像取得用プローブ19を側口29に導くとともに,側口29からオーバーチューブ20の外部に導くものである。
【0028】
図5に示すように,オーバーチューブ20の下面において側口29よりも先端にはオーバーチューブ20の長手方向に沿った溝29C(三次元画像取得用プローブ押さえ部)が形成されている。この溝29Cは,後述するように,三次元画像取得用プローブ19が側口29からオーバーチューブ20の外部に進出され,オーバーチューブ20の先端部分で三次元画像取得用プローブ19が下方向に抑えられたときに三次元画像取得用プローブ19がオーバーチューブ20から逃げないようにするものである。溝29Cを形成せずに平坦としてもよい。
【0029】
図6に示すように,内視鏡の先端部14には,上述した観察窓16,光源窓17A,送水/送気口17Bおよび鉗子口18が形成されている。鉗子口18は鉗子チャネルとつながっており,鉗子チャネルに鉗子口18から進出,退避自在な円柱状の三次元画像取得用プローブ19が入っている。オーバーチューブ20の先端部分が上方向に曲げられることにより,先端部14から進出した三次元画像取得用プローブ19は,ガイド29Aにより開口29に導かれ,オーバーチューブ20の外部に進出する。
【0030】
また,側口29よりも少し基端側の挿通路21の面に第1の凹所28Aが形成されている。また,その第1の凹所28Aに径方向に相対する位置であるオーバーチューブ20の外周面に第2の凹所28Bが形成されている。これらの第1の凹所28Aおよび第2の凹所28Bの部分においてオーバーチューブ20は,側口29を下にした場合に上方向に折り曲げ自在である(図6参照)。第1の凹所28A,第2の凹所28Bを形成しなくとも,オーバーチューブ20の先端部分が折れ曲がりやすくなるように第1の凹所28A,第2の凹所28Bに相当する部分を他の部分よりもやわらかい材料としてもよい。
【0031】
図2,図3および図6を参照して,オーバーチューブ20の内周面(内視鏡スコープ用挿通路21の外周面)とオーバーチューブ20の外周面との肉厚の部分には,側口29が開けられている部分と反対側の上の部分と,側口29が開けられている部分とに第1のワイヤ用挿通路22と第2のワイヤ用挿通路25とがオーバーチューブ20の長手方向に形成されている。
【0032】
第1のワイヤ挿通路22は,先端および基端では開口されていないが,オーバーチューブ20の基端側ではオーバーチューブ20の上面から外部に開けられている開口30が形成されている。第1のワイヤ挿通路22内には第1のワイヤ23が挿通されている。第1のワイヤ23の先端は,第1のワイヤ挿通路22の先端部においてワイヤ止め24によってオーバーチューブ20の先端に固定されている。第1のワイヤ23の後端部はオーバーチューブ20の基端部の周面に形成されている開口30からオーバーチューブ20の外部に露出している。第1のワイヤ23の後端には,医師が第1のワイヤ23を引っ張るための取っ手31が固定されている。
【0033】
第2のワイヤ挿通路25も第1のワイヤ挿通路22と同様に,先端および基端では開口されていないが,オーバーチューブ20の基端側ではオーバーチューブ20の下面から外部に開けられている開口32が形成されている。図2において下面に形成されている側口29を避けるように(迂回して)第2のワイヤ挿通路25が形成されている。第2のワイヤ挿通路25内には第2のワイヤ26が挿通されている。第2のワイヤ26の先端は,第2のワイヤ挿通路26の先端部においてワイヤ止め27によってオーバーチューブ20の先端に固定されている。第2のワイヤ26の後端部はオーバーチューブ20の基端部の周面に形成されている開口32から外部に露出している。第2のワイヤ26の後端には,医師が第2のワイヤ26を引っ張るための取っ手33が固定されている。
【0034】
図2に示す状態で,第1のワイヤ23に付けられている取っ手31が医師によって引っ張られると,第1のワイヤ23が引っ張られることとなる。第1のワイヤ23の先端はワイヤ止め24によってオーバーチューブ20に固定されているから,オーバーチューブ20の先端部分が第1の凹所28Aおよび第2の凹所28Bの所から上方向に曲げられる。
【0035】
図7は,オーバーチューブ20が装着された内視鏡10の挿入部12を腸などの体腔41内に挿入するときの様子を示している。
【0036】
オーバーチューブ20が装着された内視鏡10の挿入部12を,体腔41内に挿入する場合,医師によってオーバーチューブ20が基端側に引っ張られ,挿入部12の先端部14および湾曲部13がオーバーチューブ20の先端から出される。オーバーチューブ20の先端から湾曲部13が出ているので,湾曲部13はオーバーチューブ20が邪魔にならないで曲がることができる。医師は,必要に応じて湾曲部13を曲げながら挿入部12を体腔41内に挿入していく。
【0037】
図8は,測定準備時の様子を示している。
【0038】
内視鏡スコープ内の固体電子撮像素子を用いて体腔41内を撮像しながら,視鏡10の挿入部12を体腔41内に挿入していく。内視鏡10の先端部14が三次元画像を得る対象となる検査部位42の近くになると,内視鏡10が引っ張られて,内視鏡10の先端部14がオーバーチューブ20内に入る。先端部14が凹所28Aおよび28Bよりも基端側となるように内視鏡10が引っ張られる。
【0039】
図9から図11は,検査部位42の測定時の様子を示している。
【0040】
図9を参照して,内視鏡10の先端部14の先端が凹所28Aおよび28Bよりも基端側となるように内視鏡10が引っ張られると,医師によって第1のワイヤ23が基端側に引っ張られる。すると,上述したようにオーバーチューブ20の先端部分が上方向(側口29が形成されている部分と反対方向)に曲がる。
【0041】
図10を参照して,オーバーチューブ20の先端部分が上方向に曲がると,内視鏡10の先端部14の鉗子口18とオーバーチューブ20に形成されている側口29とが対向する。先端部14から三次元画像取得用プローブ19が進出させられる。すると,先端部14の鉗子口18から進出した三次元画像取得用プローブ19はオーバーチューブ20に形成されている側口29からオーバーチューブ20の外部に進出する。
【0042】
図11を参照して,三次元画像取得用プローブ19がオーバーチューブ20の側口29からオーバーチューブ20の外部に進出すると,引っ張られていた第1のワイヤ23が緩められる。すると,オーバーチューブ20自体がもつ弾性力の反作用により,オーバーチューブ20の先端部分が下方向に押し戻される。すると,三次元画像取得用プローブ19がオーバーチューブ20に開けられている側口29の内周面により下方向に押される。これにより,三次元画像取得用プローブ19は検査部位42に接する。検査部位42に接した状態で三次元画像取得用プローブ19が回転させられることにより,検査部位42についての三次元画像が得られる。三次元画像取得用プローブ19は検査部位42に接するので,精度のよい三次元画像が得られる。
【0043】
上述の実施例では,三次元画像取得用プローブ19がオーバーチューブ20の側口29からオーバーチューブ20の外部に進出すると,引っ張られていた第1のワイヤ23が緩められ,オーバーチューブ20自体がもつ弾性力の反作用により,オーバーチューブ20の先端部分が下方向に押し戻されて,三次元画像取得用プローブ19が検査部位42に接するようにされている。しかしながら,第1のワイヤ23を緩めるとともに,第2のワイヤ26を引っ張ることより,オーバーチューブ20の先端部分を検査部位42に接するようにしてもよい。
【0044】
図12から図14は,他の実施例を示している。
【0045】
上述した実施例では,第1のワイヤ23を利用してオーバーチューブ20の先端部分を折り曲げているが,この実施例ではバルーン51,52を利用してオーバーチューブ20の先端部分を折り曲げている。
【0046】
図12は,オーバーチューブ20Aの縦断面図であり,図2に対応するものである。図12において,図2に示すものと同一物については同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
オーバーチューブ20Aには,ワイヤ用挿通路22および25の代わりに第1の送気管22Aおよび第2の送気管25Aが形成されている。第1の送気管22Aは,側口29に相対する位置にオーバーチューブ20に形成されている内視鏡スコープ用挿通路21とオーバーチューブ20の外周との肉厚部分の間に,オーバーチューブ20の長手方向に沿って形成されている。第2の送気管25Aは,上述した第2のワイヤ用挿通路25と同様に,側口29が形成されている下面に側口29を回避するように内視鏡スコープ用挿通路21とオーバーチューブ20の外周との肉厚部分の間に,オーバーチューブ20の長手方向に形成されている。
【0048】
第1の送気管22Aの先端部には,オーバーチューブ20の外側に向かって開口22Bが形成されている。この開口22Bを塞ぎ,開口22Bから空気が入るように第1のバルーン51がオーバーチューブ20の外周面に接着されている。第1の送気管22Aの基端側は閉じられているが,その基端部においてオーバーチューブ20の外側に向かって開口30Aが形成されている。開口30Aから第1の送気管22Aの一部分がオーバーチューブ20の外側に露出している。開口30Aからオーバーチューブ20の外側に露出している第1の送気管22Aから送気/吸入ポンプ(図示略)を用いて送気されることにより,第1の送気管22A内を送気される。すると,開口22Bから第1のバルーン51に空気が入り,第1のバルーン51が膨らむ。
【0049】
同様に,第2の送気管25Aの先端部には,オーバーチューブ20の外側に向かって開口25Bが形成されている。この開口25Bを塞ぎ,開口25Bから空気が入るように第2のバルーン52がオーバーチューブ20の外周面に接着されている。第2の送気管25Aの基端側は閉じられているが,その基端部においてオーバーチューブ20の外側に向かって開口32Aが形成されている。開口32Aから第2の送気管25Aの一部分がオーバーチューブ20の外側に露出している。開口32Aからオーバーチューブ20の外側に露出している第2の送気管25Aから送気/吸入ポンプ(図示略)を用いて送気されることにより,第2の送気管25A内を送気される。すると,開口25Bから第2のバルーン52に空気が入り,第2のバルーン52が膨らむ。
【0050】
図13および図14は,検査部位42の測定時の様子を示している。
【0051】
図13を参照して,上述のように,検査部位42近傍でオーバーチューブ20Aの先端部分に設けられた第2のバルーン52に空気が入れられる。すると,第2のバルーン52によりオーバーチューブ20Aの下面が上方向に押される。先端部14から三次元画像取得用プローブ19が進出すると,オーバーチューブ20Aに形成されている側口29から三次元画像取得用プローブ19がオーバーチューブ20から外部に進出する。第2のバルーン52から空気が吸入されると,第2のバルーンがしぼむ。
【0052】
図14を参照して,三次元画像取得用プローブ19が側口29からオーバーチューブ20の外部に進出した状態で,第1のバルーン51に空気が入れられる。すると,第1のバルーン51によってオーバーチューブ20Aの上面が押さえつけられる。オーバーチューブ20の先端部分に下方向の力が加わり,側口29によって三次元画像取得用プローブ19が検査部位42に接する。上述したのと同様に,検査部位42について精度のよい三次元画像が得られる。
【0053】
図15は,変形例を示している。
【0054】
図14に示す例は,第1のバルーン51によってオーバーチューブ20Aの先端部分を下方向に押さえつけている。これに対して,図15に示す例では,三次元画像取得用プローブ19が側口29からオーバーチューブ20Aの外部に進出した状態で,第2のバルーン52を膨らませて,第2のバルーン52によって三次元画像取得用プローブ19が検査部位42に付けられている。このようにしても三次元画像取得用プローブ19を検査部位42に接することができる。
【0055】
上述の実施例では,オーバーチューブ20は,凹所28Aおよび28Bよりも先端側と凹所28Aおよび28Bよりも基端側とが通常は直線状であり,三次元画像取得用プローブ19が側口29からオーバーチューブ20の外部に出されるときに上方向に曲げられている。しかしながら,通常は,凹所28Aおよび28Bよりも先端側を上方向に曲げてあり,体腔41内に挿入するときに凹所28Aおよび28Bよりも先端側と凹所28Aおよび28Bよりも基端側とを直線状とし,三次元画像取得用プローブ19が側口29からオーバーチューブ20の外部に出されるときに元通りに上方向に曲がるようにしてもよい。
【0056】
上述の実施例では,側口29に導くテーパ状のガイド29Aがオーバーチューブ20の内部に形成されているが,テーパ状のガイド29Aでなくとも,三次元画像取得用プローブ19を側口29に導ければよく,側口29につづく溝のようなものをオーバーチューブ20の内部に形成してガイドとしてもよい。そのようなガイドは,弾性体またはゴム状のものであることが好ましい。
【0057】
図16は,図14に対応するもので,検査部位42の測定時の様子を示している。図16は,オーバーチューブ20Aの外周面に形成されている溝29Aを利用して三次元画像取得用プローブ19が検査部位42に接するようにするものである。
【0058】
上述したように,三次元画像取得用プローブ19が側口29からオーバーチューブ20の外部に進出した状態で,第1のバルーン51に空気が入れられる。すると,第1のバルーン51によってオーバーチューブ20Aの上面が押さえつけられる。オーバーチューブ20の先端部分に下方向の力が加わる。すると,側口29からオーバーチューブ20Aの外部に露出している三次元画像取得用プローブ19はオーバーチューブ20Aの外周面に形成されている溝29Cによって検査部位42に接するように押される。検査部位42について精度のよい三次元画像が得られるようになる。
【0059】
溝29Cは,へこんでいるので,オーバーチューブ20の外周面で三次元画像取得用プローブ19を下方向に押しても三次元画像取得用プローブ19がオーバーチューブ20から逃げないようにできる。
【符号の説明】
【0060】
1 画像診断装置
10 内視鏡
14 先端部(内視鏡スコープ)
20 オーバーチューブ
21 内視鏡スコープ用挿通路(挿通路)
28A,28B 凹所(湾曲部)
29 側口
22,25 ワイヤ用挿通路(折り曲げ装置)
23,26 ワイヤ(折り曲げ装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する長尺状のオーバーチューブにおいて,
先端から進出および退避自在な三次元画像取得用プローブを含む内視鏡スコープを長手方向に挿通する挿通路,
上記挿通路に貫通するように,オーバーチューブの先端部の周面に開けられた三次元画像取得用プローブが挿通自在な側口,
上記側口よりもオーバーチューブの基端側に設けられている湾曲部,ならびに
上記湾曲部よりも先端部分で,オーバーチューブを折り曲げる折り曲げ装置,
を備えたオーバーチューブ。
【請求項2】
上記湾曲部よりも先端部分と上記湾曲部よりも基端側部分とが直線状であり,
上記折り曲げ装置は,
上記湾曲部よりも先端部分で,上記側口が形成されている部分と反対側の方向に,オーバーチューブを折り曲げるものである,
請求項1に記載のオーバーチューブ。
【請求項3】
上記湾曲部よりも先端部分と上記湾曲部よりも基端側部分とが上記側口が形成されている部分と反対側の方向に折り曲げられており,
上記折り曲げ装置は,
上記湾曲部よりも先端部分で,上記側口が形成されている部分と反対側から上記側口が形成されている方向に,オーバーチューブを折り曲げるものである,
請求項1に記載のオーバーチューブ。
【請求項4】
オーバーチューブ外周面において上記側口から上記オーバーチューブ先端に向かって平坦部または溝からなる三次元画像取得用プローブ押さえ部が形成されている,
請求項1から3のうち,いずれか一項に記載のオーバーチューブ。
【請求項5】
オーバーチューブ内周面の上記側口と上記湾曲部との間において,内視鏡スコープから進出した三次元画像取得用プローブを上記側口に導くガイドが形成されている,
請求項1から4のうち,いずれか一項に記載のオーバーチューブ。
【請求項6】
上記側口の径は,三次元画像取得用プローブの径よりも大きく,かつ内視鏡スコープの径よりも小さいものである,
請求項1から5のうち,いずれか一項に記載のオーバーチューブ。
【請求項7】
オーバーチューブの基端から先端に渡って,上記挿通路の径が一定である,
請求項1から6のうち,いずれか一項に記載のオーバーチューブ。
【請求項8】
上記ガイドは,弾性体またはゴム状のものである,請求項5から7のうち,いずれか一項に記載のオーバーチューブ。
【請求項9】
請求項1に記載の挿通路に挿通され,先端から進出および退避自在な三次元画像プローブを含む内視鏡スコープ。
【請求項10】
請求項9に記載の内視鏡スコープを備えた立体断層診断装置。
【請求項1】
可撓性を有する長尺状のオーバーチューブにおいて,
先端から進出および退避自在な三次元画像取得用プローブを含む内視鏡スコープを長手方向に挿通する挿通路,
上記挿通路に貫通するように,オーバーチューブの先端部の周面に開けられた三次元画像取得用プローブが挿通自在な側口,
上記側口よりもオーバーチューブの基端側に設けられている湾曲部,ならびに
上記湾曲部よりも先端部分で,オーバーチューブを折り曲げる折り曲げ装置,
を備えたオーバーチューブ。
【請求項2】
上記湾曲部よりも先端部分と上記湾曲部よりも基端側部分とが直線状であり,
上記折り曲げ装置は,
上記湾曲部よりも先端部分で,上記側口が形成されている部分と反対側の方向に,オーバーチューブを折り曲げるものである,
請求項1に記載のオーバーチューブ。
【請求項3】
上記湾曲部よりも先端部分と上記湾曲部よりも基端側部分とが上記側口が形成されている部分と反対側の方向に折り曲げられており,
上記折り曲げ装置は,
上記湾曲部よりも先端部分で,上記側口が形成されている部分と反対側から上記側口が形成されている方向に,オーバーチューブを折り曲げるものである,
請求項1に記載のオーバーチューブ。
【請求項4】
オーバーチューブ外周面において上記側口から上記オーバーチューブ先端に向かって平坦部または溝からなる三次元画像取得用プローブ押さえ部が形成されている,
請求項1から3のうち,いずれか一項に記載のオーバーチューブ。
【請求項5】
オーバーチューブ内周面の上記側口と上記湾曲部との間において,内視鏡スコープから進出した三次元画像取得用プローブを上記側口に導くガイドが形成されている,
請求項1から4のうち,いずれか一項に記載のオーバーチューブ。
【請求項6】
上記側口の径は,三次元画像取得用プローブの径よりも大きく,かつ内視鏡スコープの径よりも小さいものである,
請求項1から5のうち,いずれか一項に記載のオーバーチューブ。
【請求項7】
オーバーチューブの基端から先端に渡って,上記挿通路の径が一定である,
請求項1から6のうち,いずれか一項に記載のオーバーチューブ。
【請求項8】
上記ガイドは,弾性体またはゴム状のものである,請求項5から7のうち,いずれか一項に記載のオーバーチューブ。
【請求項9】
請求項1に記載の挿通路に挿通され,先端から進出および退避自在な三次元画像プローブを含む内視鏡スコープ。
【請求項10】
請求項9に記載の内視鏡スコープを備えた立体断層診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−200349(P2012−200349A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66304(P2011−66304)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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