説明

オーバードライブ装置を有しない螺旋型のコンベア

本発明は、スタッカ等のコンベア組立体(1)に関するものである。コンベア組立体(1)は、縦置きに配置され実質的に平滑な周面を有するドラム(2)と、ドラム(2)を少なくとも1回全周にわたって取り巻くようにしてドラム(2)の周面に巻き掛けられたコンベアベルト(7)とを備えている。コンベアベルト(7)は複数の支持部材(8)を有し、これらの支持部材(8)はその各頂部でコンベアベルト(7)の他の部分を支持している。ドラム(2)の底側部分(3)は外向きに広がり、ドラム(2)の底側部分以外の部分は円柱形である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にスタッカ(stacker)として知られているコンベア組立体(conveyer assembly)に関するものである。このようなスタッカにおいては、ドラムが縦置きに配置され、このドラムにコンベアベルトが巻き掛けられている。コンベアベルトはドラムによって駆動される。いわゆるフルスタッカ(full stacker)においては、コンベアベルトは積み重ねられてそれ自体を支持する。コンベアベルトの一部分である支持部は、該支持部の頂部で積み重ねられた部分を支持する。ハーフスタッカ(half stacker)においては、ドラムと隣り合うコンベアベルトの一方の側部は、この支持部の上で積み重ねられた部分を支持する。コンベアベルトの他方の側部は、静止しているガイドレールによって支持される。
【背景技術】
【0002】
初期のスタッカシステムは、コンベアベルトの積極的な駆動(positive driving)を用いるものであった。そして、ドラムには、例えば、コンベアベルトの側部と係合し、閉じられた形態の力の伝達(shape closed force transfer)を生じさせるリブが設けられていた。このような駆動は、コンベアベルトに非常に大きい力をかけ、その結果、コンベアベルトを早期に破損させるといった問題があった。
【0003】
コンベアベルトをドラムで駆動するためのもう1つの方式(principle)は、オーバードライブ(overdrive)方式である。この方式の場合、ドラムとコンベアベルトとの間に一定のスリップ(滑り)が維持される。コンベアベルト内の力が大きくなる傾向がある場合、スリップ量が増加し、コンベアベルト内の力及び張力を制限する。このようなスリップを生じさせるため、ドラムは平滑な周面を備えている。ドラムが駆動され、そして主としてコンベアベルトを駆動する。コンベアベルトの積極的な駆動を回避するため、コンベアベルトを異なる速度で駆動する第2の駆動手段が設けられる。かくして、スリップが生じ、このスリップはドラムとコンベアベルトとの間に維持される。とくに、このようなコンベア組立体の起動時には、ドラムのモータとコンベアベルトのモータとを、スリップが生じて該スリップが駆動手段によって維持されるように制御することは困難である。
【0004】
特許文献1は、コンベアベルトが巻き掛けられたドラムを有するコンベア組立体を開示している。特許文献1は、スタッカベルトは開示していないが、コンベアベルトはガイドレールによって十分に支持される。特許文献1は、ドラムとコンベアベルトとの間に必要なスリップを生じさせるために非円柱形のドラムを用いるといったことを教示している。このドラムは、コンベアベルトの移動方向に向かってその直径が小さくなっていなければならない。1巻きごとに、コンベアベルト及びドラムの直径は小さくなり、これにより、ドラムの周速度とコンベアベルトの周速度との間には、常に速度差が維持される。
【特許文献1】米国特許第3348659号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術に係るコンベア組立体と比べて、その構造がより簡素な(複雑でない)スタッカタイプのコンベア組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、縦置きに配置され(vertically arranged)実質的に平滑な周面(外周面)を有するドラムと、ドラムを少なくとも1回全周にわたって取り巻くようにしてドラムの周面に巻き掛けられたコンベアベルト(conveyer belt)とを備えている。ここで、コンベアベルトは複数の支持部材(support element)を有し、この支持部材は、その各頂部で(on top of eachother)、該コンベアベルトの他の部分を支持している。ドラムの底側部分は外向きに広がり、上記ドラムの底側部分以外の部分は円柱形である。
【0007】
全く予想外のことであるが、従来技術に係るコンベア組立体と同様にコンベアベルトがドラムによってのみ駆動され、かつ、スリップ(slip)を利用せず又は導入しないのにもかかわらず、コンベアベルト内の力及び張力は低く維持されるということが証明された。ドラムの外向きに広がる広がり部(widened portion)は、コンベアベルトがドラムに対して相対的に所定の位置に維持されるように設けられる。ドラムの底側部分に設けられた広がり部により、コンベアベルトはドラムの上に載り(rest)、コンベアベルトの重量は、ドラムがその本来の位置に維持されることを確実化する。広がり部の直径の差により、コンベアベルトをコンベアベルトの積み重ね部(stack)に円滑に導入することができる。コンベアベルトの導入の際には、広がり部の周速度(peripheral velocity)はコンベアベルトの速度よりも大きい。コンベアベルトはドラムに巻き掛けられているので、コンベアベルトは円柱形の部分に向かって上向きに進められる。ドラムの円柱形の部分では、該円柱形の部分の周速度はコンベアベルトの速度と実質的に同一である。この円柱形の部分では、コンベアベルトはドラムにグリップし(grip)、コンベアベルトは、ほとんどスリップを生じさせることなくドラムによって駆動される。
【0008】
ドラムの表面は平滑な表面として形成され、コンベアベルトと積極的(スリップせずに)に結合して規定された形態の力の伝達(shape defined force transfer)を生じさせる突起部あるいはその他の手段は有していない。平滑な表面は、コンベアベルトのスリップが必要な場合、例えばコンベアベルトが詰まった(block)場合には、コンベアベルトをドラム表面に沿ってスリップさせることを可能にする。しかしながら、このドラム表面は、コンベアベルトがドラム表面に沿ってスリップする可能性(ability)を損なわなければ、開口部を有していてもよい。
【0009】
複数の支持部材は、ハーフスタッカなどの場合は部分的に、フルスタッカなどの場合は全面的にコンベアベルトの部分を支持する。
【0010】
本発明に係るコンベア組立体の1つの実施態様においては、コンベア組立体は、該コンベア組立体を駆動するための駆動手段を備えている。ここで、コンベアベルトは、ドラムによって直接駆動される。非常に好ましい実施態様においては、ドラムの少なくとも円柱形の部分の周速度は、コンベアベルトの速度と実質的に同一である。
【0011】
本発明に係るコンベア組立体のさらなる利点は、実質的に黒小片(black speck)が発生しないことである。黒小片は、スタッカがドラムとコンベアベルトとの間に実質的なスリップを生じさせるのに伴って発生する。このスリップは、ドラムの摩耗を生じさせ、その結果、かなりの量の摩耗粒子(wear particle)が、輸送されている製品(product)を汚染するであろう。本発明では、コンベア組立体には実質的にはスリップは何ら生じないので、実質的な摩耗は起こらず、黒小片の発生は回避される。
【0012】
本発明に係るコンベア組立体のもう1つの実施態様においては、ドラムの広がり部の断面は放物曲線(parabolic curve)の部分を含んでいる。広がり部のこのような湾曲(curvature)は、コンベアベルト内に実質的に一定の力を生じさせ、これはコンベアベルトの寿命にとって好ましいということであるということが証明されている。
【0013】
本発明に係るコンベア組立体のさらにもう1つの実施態様においては、コンベア組立体は、コンベアベルトの少なくとも積み重ねられた部分を支持するための支持具(support)を備えている。
【0014】
本発明に係るコンベア組立体は、さらに、複数のロッド(rods)によって接続(結合)された複数の連結具(links)を有するコンベアベルトを備えている。ここで、少なくとも一部の複数の連結具は、コンベアベルトの積み重ねられた部分を支持するための支持部材(support element)を備えている。コンベアベルトのこれらの連結具は、好ましくはプラスチック製の連結具である。このコンベア組立体は、最小限の数の部品で構成されているので、低コストであり、良好な信頼性を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の特徴をさらに詳しく説明する。
【0016】
図1には、本発明に係るコンベア組立体1が示されている。このコンベア組立体1は、その底部に広がり部を有しているドラム2を備えている。この広がり部の断面は、放物曲線3を含んでいる。ドラム2のシャフト4には、モータ6によって駆動される歯車5が設けられている。
【0017】
図1には、コンベアベルト7が模式的に示されている。コンベアベルト7は、ドラム2の底部側(bottom side)でドラム2に導入され、ドラム2の上部でコンベアベルト7の積み重ね部(stack)を離れるようになっている。コンベアベルト7は、該コンベアベルト7をドラム2のまわりに積み重ねることを可能する複数の支持部材8を備えている。積み重ねられたコンベアベルト7の底部に、コンベアベルト7の積み重ね部を支持するガイド9が設けられている。
【0018】
ドラム2の周面は平滑面であり、コンベアベルト7はドラム2の平滑な周面と直接当接している。このドラム2の周面は、コンベアベルト7を、ドラム2の少なくとも円柱形の部分でスリップを生じさせることなく積極的に駆動することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るコンベア組立体を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
1 コンベア組立体、2 ドラム、3 放物曲線、4 シャフト、5 歯車、6 モータ、7 コンベアベルト、8 支持部材、9 ガイド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタッカ等のコンベア組立体であって、
縦置きに配置され、実質的に平滑な周面を有するドラムと、
上記ドラムを少なくとも1回全周にわたって取り巻くようにして、上記ドラムの周面に巻き掛けられたコンベアベルトとを備えていて、
上記コンベアベルトは複数の支持部材を有し、上記支持部材はその各頂部で該コンベアベルトの他の部分を支持し、
上記ドラムの底側部分は外向きに広がり、上記ドラムの底側部分以外の部分は円柱形であることを特徴とするコンベア組立体。
【請求項2】
該コンベア組立体を駆動するための駆動手段を備えていて、上記コンベアベルトが上記ドラムによって直接駆動されることを特徴とする、請求項1に記載のコンベア組立体。
【請求項3】
上記ドラムの少なくとも上記円柱形の部分の周速度は、ベルトの速度と実質的に同一であることを特徴とする、請求項2に記載のコンベア組立体。
【請求項4】
上記ドラムの外向きに広がった底側部分の縦断面は、放物曲線の部分を含んでいることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載のコンベア組立体。
【請求項5】
上記コンベアベルトの少なくとも積み重ねられた部分を支持する支持具を備えていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載のコンベア組立体。
【請求項6】
上記コンベアベルトが複数のロッドによって接続された複数の連結具を備えていて、少なくとも一部の複数の連結具は、上記コンベアベルトの積み重ねられた部分を支持する支持部材を備えていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載のコンベア組立体。
【請求項7】
上記コンベアベルトの上記連結部はプラスチック製の連結具であることを特徴とする、請求項6に記載のコンベア組立体。

【図1】
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【公表番号】特表2008−529925(P2008−529925A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554486(P2007−554486)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000993
【国際公開番号】WO2006/084639
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(506018617)アッシュウォルト・ヨンヘ・プーリンク・ベスローテン・フェンノートシャップ (2)
【氏名又は名称原語表記】Ashworth Jonge Poerink B.V.
【Fターム(参考)】