説明

オーバーヘッドコンソール装置

【課題】必要に応じて収納部の収納量を変えることができるオーバーヘッドコンソール装置を提供する。
【解決手段】本装置は、天井6に対して回動自在に支持された収納部3を備えるオーバーヘッドコンソール装置1であって、収納部は、フレーム4と、フレームに対して相対的に近接離間するカバー5と、を備え、フレーム及びカバーの相対的な近接離間により、フレーム及びカバーで囲まれる収納空間Sが拡縮される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーヘッドコンソール装置に関し、さらに詳しくは、必要に応じて収納部の収納量を変えることができるオーバーヘッドコンソール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のオーバーヘッドコンソール装置として、車両天井に対して閉鎖状態と開放状態との間で回動自在に支持された収納部を備えるものが一般に知られている(例えば、特許文献1参照)。このオーバーヘッドコンソール装置では、収納部を開放状態として収納物を入れ、収納部を閉鎖状態として収納物が収納されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−313699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のオーバーヘッドコンソール装置では、収納部の収納量が一定であるため、収納部の収納量を大きくして収納能力を高めると、オーバーヘッドコンソール装置の製品外形が大きくなり、車室内の乗員への圧迫感が増してしまう。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、必要に応じて収納部の収納量を変えることができるオーバーヘッドコンソール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、天井に対して回動自在に支持された収納部を備えるオーバーヘッドコンソール装置であって、前記収納部は、フレームと、該フレームに対して相対的に近接離間するカバーと、を備え、前記フレーム及び前記カバーの相対的な近接離間により、該フレーム及び該カバーで囲まれる収納空間が拡縮されることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載において、前記収納部は、前記フレームと前記カバーとを接続し可撓性を有する接続部材を更に備えることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2記載において、前記接続部材は、蛇腹状に形成されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか記載において、前記収納部は、前記フレーム及び前記カバーを近接した状態に保持する保持手段を更に備えることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4記載において、前記保持手段は、前記フレーム及び前記カバーのうちの一方に端部が連結される紐状又は帯状の連繋部材と、他方に設けられ該連繋部材を案内するガイド部と、一方又は他方に設けられ該フレーム及び該カバーが近接した状態で該連繋部材の他の端部が着脱自在に固定される固定部と、を有することを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4記載において、前記保持手段は、前記フレーム及び前記カバーのうちの一方に端部が連結される紐状又は帯状の第1連繋部材と、他方に回動自在に設けられ該第1連繋部材の他の端部が連結される回動軸と、該回動軸に端部が連結される紐状又は帯状の第2連繋部材と、一方又は他方に設けられ該フレーム及び該カバーが近接した状態で該第2連繋部材の他の端部が着脱自在に固定される固定部と、を有することを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項4記載において、前記保持手段は、前記フレーム及び前記カバーの近接離間する方向に交差する方向の相対的なスライドにより該フレーム及び該カバーを近接した状態に保持するロック機構を有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のオーバーヘッドコンソール装置によると、収納部を、フレームと、フレームに対して相対的に近接離間するカバーと、を備えて構成し、フレーム及びカバーの相対的な近接離間により、フレーム及びカバーで囲まれる収納空間が拡縮されるので、必要に応じて収納部の収納量を変えることができる。その結果、フレーム及びカバーを相対的に離間させて収納部の収納空間を拡大すれば、収納部の収納能力を向上させて比較的大きな収納物、具体的には、フレームに対してカバーが最も近接した状態の収納空間の高さ(即ち、収納空間が拡縮される方向の高さ)より厚い収納物を収納できる。一方、比較的小さな収納物、具体的には、フレームに対してカバーが最も近接した状態の収納空間の高さより薄い収納物を収納する場合又は収納物を収納しない場合、フレーム及びカバーを相対的に近接させて、フレームに対してカバーが最も近接した状態(即ち、収納部の収納空間が最も縮小された状態)にすれば、収納部ひいてはオーバーヘッドコンソール装置のコンパクト化を図ることができ、更に収納部が閉鎖状態にあるときの車室内の乗員への圧迫感を低減できる。
また、前記収納部が可撓性を有する接続部材を更に備える場合は、フレーム及びカバーの相対的な近接離間にともなって接続部材が拡縮される。これにより、接続部材とフレーム及びカバーとで形成される収納空間を円滑に拡縮させることができる。
また、前記接続部材が蛇腹状に形成されている場合は、接続部材の折畳み及び拡がりにより、収納空間を更に円滑に拡縮させることができる。
また、前記収納部が保持手段を更に備える場合は、保持手段によりフレーム及びカバーが近接した状態に保持される。
また、前記保持手段が、連繋部材と、ガイド部と、固定部と、を有する場合は、連繋部材を引っ張って固定部に固定することにより、フレーム及びカバーを近接した状態に容易に保持できる。また、固定部に対する連繋部材の固定を解除すれば、フレーム及びカバーを離間させてその保持を容易に解除できる。
また、前記保持手段が、第1連繋部材と、回動軸と、第2連繋部材と、固定部と、を有する場合は、第2連繋部材を引っ張って固定部に固定することにより、回動する回動軸に対して第1連繋部材が巻き付けられ且つ第2連繋部材が巻き外され、フレーム及びカバーを近接した状態に容易に保持できる。また、固定部に対する第2連繋部材の固定を解除すれば、回動する回動軸に対して第1連繋部材が巻き外され且つ第2連繋部材が巻き付けられ、フレーム及びカバーを離間させてその保持を容易に解除できる。
さらに、前記保持手段がロック機構を有する場合は、フレーム及びカバーの近接離間する方向に交差する方向の相対的なスライドにより、フレーム及びカバーを近接した状態に容易に保持できるとともに、その保持を容易に解除できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】実施例1に係るオーバーヘッドコンソール装置を備える車両の模式図である。
【図2】上記オーバーヘッドコンソール装置の斜視図である。
【図3】上記オーバーヘッドコンソール装置の分解斜視図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】図2のV−V線断面図である。
【図6】上記オーバーヘッドコンソール装置の収納部の伸張状態を示す縦断面図である。
【図7】図5の要部拡大図である。
【図8】上記オーバーヘッドコンソール装置の収納部の開放状態を示す斜視図である。
【図9】上記オーバーヘッドコンソール装置の収納部の伸張状態を示す斜視図である。
【図10】実施例2に係るオーバーヘッドコンソール装置の斜視図である。
【図11】上記オーバーヘッドコンソール装置の縦断面図である。
【図12】実施例3に係るオーバーヘッドコンソール装置の斜視図である。
【図13】上記オーバーヘッドコンソール装置の縦断面図である。
【図14】実施例4に係るオーバーヘッドコンソール装置の分解斜視図である。
【図15】上記オーバーヘッドコンソール装置の縦断面図である。
【図16】上記オーバーヘッドコンソール装置の作用を説明するための説明図であり、(A)はカバーを水平方向へスライドさせた状態を示し、(B)はフレームに対するカバーの一端側の係合を解除した状態を示し、(C)はフレームに対するカバーの他端側の係合を解除した状態を示す。
【図17】その他の形態のオーバーヘッドコンソール装置を説明するための説明図である。
【図18】更にその他の形態のオーバーヘッドコンソール装置を説明するための説明図である。
【図19】更にその他の形態のオーバーヘッドコンソール装置を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
1.オーバーヘッドコンソール装置
本実施形態1.に係るオーバーヘッドコンソール装置は、天井に対して回動自在に支持された収納部(3)を備えるオーバーヘッドコンソール装置(1、21、31、41)であって、収納部は、フレーム(4)と、フレームに対して相対的に近接離間するカバー(5)と、を備え、フレーム及びカバーの相対的な近接離間により、フレーム及びカバーで囲まれる収納空間(S)が拡縮されることを特徴とする(例えば、図4、図11、図13及び図15等参照)。上記収納部は、通常、天井に対して格納された閉鎖状態(P1)と、天井に対して開放された開放状態(P2)との間で回動自在に支持されている(例えば、図2及び図8等参照)。
【0011】
上記実施形態1.のオーバーヘッドコンソール装置としては、例えば、上記収納部は、フレームとカバーとを接続し可撓性を有する接続部材(8)を更に備える形態を挙げることができる。この接続部材は、例えば、蛇腹状に形成されていることができる。
【0012】
上記接続部材は、通常、上記フレーム及びカバーとの間で上記収納空間を形成するとともに、フレームに対してカバーを離間した状態に保持する機能を有する。この接続部材の材質としては、例えば、布(例えば、不織布、織物、編物等)、紙、樹脂、ゴム、金属等を挙げることができる。これらのうち、通気性を有する布製であることが好ましい。収納物に応じた適当な通気性を確保できるためである。
【0013】
上記実施形態1.のオーバーヘッドコンソール装置としては、例えば、上記収納部は、フレーム及びカバーを近接した状態に保持する保持手段を更に備える形態を挙げることができる。この保持手段としては、例えば、〔1〕上記フレーム及びカバーのうちの一方に端部が連結される紐状又は帯状の連繋部材(9、22)と、他方に設けられ連繋部材を案内するガイド部(10、23、24)と、一方又は他方に設けられフレーム及びカバーが近接した状態で連繋部材の他の端部が着脱自在に固定される固定部(12)と、を有する形態(例えば、図4、図11等参照)、〔2〕上記フレーム及びカバーのうちの一方に端部が連結される紐状又は帯状の第1連繋部材(32)と、他方に回動自在に設けられ第1連繋部材の他の端部が連結される回動軸(33)と、この回動軸に端部が連結される紐状又は帯状の第2連繋部材(34)と、一方又は他方に設けられフレーム及びカバーが近接した状態で第2連繋部材の他の端部が着脱自在に固定される固定部(12)と、を有する形態(例えば、図13等参照)、〔3〕上記フレーム及びカバーの近接離間する方向に交差する方向の相対的なスライドにより、フレーム及びカバーを近接した状態に保持するロック機構(42)を有する形態(例えば、図15等参照)などを挙げることができる。
【0014】
上記〔1〕〔2〕形態では、例えば、上記接続部材には、フレーム及びカバーの近接離間する方向に沿って複数の案内孔(8a)が形成され、紐状又は帯状の上記連繋部材(9、22)又は第1連繋部材(32)は、複数の案内孔に挿通されていることができる(例えば、図7等参照)。これにより、連繋部材の操作により収納空間を拡縮させる際に、連繋部材のガイド機能により接続部材を円滑に拡縮させることができる。なお、上記案内孔とは、通常の孔の他にスリット状の切り込みを含むものとする。
【0015】
上記〔1〕〔2〕形態では、例えば、上記固定部(12)は、カバーの車室内側を向く表面側に配設されていることができる。これにより、閉鎖状態の収納部において、閉鎖状態で固定部に対して連繋部材又は第2連繋部材を容易に着脱できる。
【0016】
上記〔1〕形態では、例えば、上記連繋部材は、フレーム及びカバーのうちの一方に連結される複数の分岐部(22a)を有することができる(例えば、図10等参照)。これにより、フレーム及びカバーを更に円滑に近接離間させることができる。
【0017】
上記〔1〕〜〔3〕形態では、例えば、上記保持手段は、フレーム及びカバーを最近接状態(Q1)と最離間状態(Q2)との間の中間状態に保持するように構成されていることができる(例えば、図19等参照)。これにより、収納物の大きさに応じて収納空間の大きさを適宜選択できる。
【0018】
上記〔3〕形態では、例えば、上記ロック機構は、フレーム及びカバーのうちの一方に形成された係止孔(43)と、他方に設けられ係止孔に近接離間する方向に交差する方向から挿脱する係止片(44)と、を有することができる(例えば、図15等参照)。これにより、ロック機構を簡易な構造にできる。また、上記ロック機構は、例えば、スライド方向に沿って複数配設されていることができる。
【実施例】
【0019】
以下、図面を用いて実施例1〜4により本発明を具体的に説明する。
【0020】
<実施例1>
(1)オーバーヘッドコンソール装置の構成
本実施例に係るオーバーヘッドコンソール装置(以下、「コンソール装置」とも略記する。)1は、図1に示すように、その長手方向が車両の前後方向を向くように車両天井6に装着されている。このコンソール装置1は、図2及び図3に示すように、天井基材6aに取り付けられるベース2と、このベース2に回動自在に支持される収納部3と、を備えている。この収納部3は、枠状のフレーム4と、フレーム4に対して相対的に近接離間する皿状のカバー5と、を備えている。
【0021】
上記フレーム4は、図4〜図6に示すように、回動軸7を介してベース2に水平軸回りに回動自在に支持されている。よって、上記収納部3は、天井6に対して格納された閉鎖状態P1(図2参照)と、天井6に対して開放された開放状態P2(図8参照)との間で回動自在に支持されている。なお、上記フレーム4の端部には、ベース2の端部に係脱するロック機構(図示省略)が設けられ、このロック機構により収納部3が閉鎖状態P1に位置保持されるようになっている。
【0022】
上記フレーム4とカバー5とは、蛇腹状で且つ筒状に形成された通気性を有する布製の接続部材8で接続されている。この接続部材8とフレーム4及びカバー5との間で囲まれる空間が収納空間Sとされている。この接続部材8は、フレーム4に対してカバー5が最も近接した状態Q1では折り畳まれるとともに、フレーム4に対してカバー5が最も離間した状態Q2では拡げられる。よって、接続部材8は、フレーム4及びカバー5を最離間状態Q2を保持する機能を有する。
【0023】
上記カバー5の上面側(車室外側を向く表面側)の4隅部のそれぞれには、紐状の連繋部材9の一端側が連結されている。これら各連繋部材9は、フレーム4に設けられた孔状のガイド部10に挿通されている。また、各連繋部材9は、接続部材8に形成された複数の案内孔8aに挿通されている(図7参照)。また、各連繋部材9の他端側は、フレーム4とベース2との隙間空間を通って収納部3の外部に露出している。また、各連繋部材9の他端側には、図示しない多数のフック(又はループ)からなる面ファスナ11が取り付けられている。さらに、上記カバー5の下面側(車室内側を向く表面側)には、図示しない多数のループ(又はフック)からなり、フレーム4及びカバー5が近接した状態で面ファスナ11が着脱自在に固定される面ファスナ12(本発明に係る「固定部」として例示する。)が取り付けられている。
【0024】
ここで、上記実施例の連繋部材9、ガイド部10及び面ファスナ12等によって、本発明に係る「保持手段」が構成されている。
【0025】
(2)オーバーヘッドコンソール装置の作用
次に、上記構成のコンソール装置1の作用について説明する。比較的大きな収納物、具体的には、フレーム4に対してカバー5が最も近接した状態Q1の収納空間Sの高さ(即ち、収納空間Sが拡縮される方向の高さ)より厚い収納物を収納する場合には、閉鎖状態P1の収納部3において、連繋部材9の面ファスナ11を面ファスナ12から取り外し、自重によりフレーム4に対してカバー5を離間(下降)させる。すると、接続部材8が拡がるとともにフレーム4及びカバー5が最も離間した状態Q2となる。この状態で、閉鎖状態P1の収納部3を回動して開放状態P2とし、この収納部3に収納物を収納してから閉鎖状態P1に戻す(図9参照)。
【0026】
一方、上記収納物を取り出す場合には、閉鎖状態P1の収納部3を回動して開放状態P2とし、収納部3から収納物を取り出してから閉鎖状態P1に戻す。その後、連繋部材9を引っ張ると、接続部材8が折り畳まれるとともにフレーム4に対してカバー5が近接(上昇)する。次いで、連繋部材9の面ファスナ11をカバー5の面ファスナ12に固定して、フレーム4及びカバー5を最も近接した状態Q1に位置保持させる。
【0027】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例のコンソール装置1によると、収納部3を、フレーム4と、フレーム4に対して相対的に近接離間するカバー5と、を備えて構成し、フレーム4及びカバー5の相対的な近接離間により、フレーム4及びカバー5で囲まれる収納空間Sが拡縮されるので、必要に応じて収納部3の収納量を変えることができる。その結果、フレーム4及びカバー5を相対的に離間させて収納部3の収納空間Sを拡大すれば、収納部3の収納能力を向上させて比較的大きな収納物、具体的には、フレーム4に対してカバー5が最も近接した状態Q1の収納空間Sの高さ(即ち、収納空間Sが拡縮される方向の高さ)より厚い収納物を収納できる。一方、比較的小さな収納物、具体的には、フレーム4に対してカバー5が最も近接した状態Q1の収納空間Sの高さより薄い収納物を収納する場合又は収納物を収納しない場合、フレーム4及びカバー5を相対的に近接させて、フレーム4に対してカバー5が最も近接した状態(即ち、収納部3の収納空間Sが最も縮小された状態)にすれば、収納部3ひいてはオーバーヘッドコンソール装置1のコンパクト化を図ることができ、更に収納部3が閉鎖状態P1にあるときの車室内の乗員への圧迫感を低減できる。
【0028】
また、本実施例では、収納部3を、可撓性を有する接続部材8を更に備えて構成したので、フレーム4及びカバー5の相対的な近接離間にともなって接続部材8が拡縮される。これにより、接続部材8とフレーム4及びカバー5とで形成される収納空間Sを円滑に拡縮させることができる。
【0029】
また、本実施例では、接続部材8を蛇腹状に形成したので、接続部材8の折畳み及び拡がりにより、収納空間Sを更に円滑に拡縮させることができる。
【0030】
また、本実施例では、接続部材8に、フレーム4及びカバー5の近接離間する方向に沿って複数の案内孔8aを形成し、連繋部材9を、複数の案内孔8aに挿通したので、収納空間Sを拡縮させる際に、連繋部材9のガイド機能により接続部材8を円滑に拡縮させることができる。
【0031】
また、本実施例では、保持手段として、連繋部材9と、ガイド部10と、面ファスナ12と、を有するものを採用したので、連繋部材9を引っ張って面ファスナ11を面ファスナ12に固定することにより、フレーム4及びカバー5を近接した状態に容易に保持できる。また、面ファスナ12に対する連繋部材9の面ファスナ11の固定を解除すれば、フレーム4及びカバー5を離間させてその保持を容易に解除できる。さらに、保持手段により、フレーム4に対してカバー5が最も近接した状態Q1の収納空間Sの高さより厚い収納物を収納する場合に、フレーム4に対するカバー5の離間距離(即ち、収納部3の収納空間Sの大きさ)を任意の距離に保持できる。それにより、必要に応じて収納部3の収納量を変えた状態が保持される。
【0032】
さらに、本実施例では、面ファスナ12を、カバー5の車室内側を向く表面側に配設したので、閉鎖状態P1の収納部3において、面ファスナ12に対して連繋部材9の面ファスナ11を容易に着脱できる。
【0033】
<実施例2>
次に、実施例2に係るオーバーヘッドコンソール装置について説明するが、上記実施例1のオーバーヘッドコンソール装置1と略同じ構成部位には同じ符号を付けて詳説を省略する。
【0034】
本実施例に係るオーバーヘッドコンソール装置(以下、「コンソール装置」とも略記する。)21は、図10及び図11に示すように、ベース2と、収納部3と、を備えている。この収納部3は、フレーム4と、カバー5と、を備えている。これらフレーム4及びカバー5は接続部材8で接続されている。
【0035】
上記フレーム4の4隅部のそれぞれには、帯状の連繋部材22の複数の分岐部22aの一端側が連結されている。これら各分岐部22aは、カバー5の上面側の4隅部に設けられたガイド部23に挿通されている。また、これら各分岐部22aは、接続部材8に形成された複数の案内孔8aに挿通されている。また、連繋部材22の本体部22bは、カバー5の上面側の中央部に設けられたガイド部24に挿通され、この本体部22bの端部は、フレーム4とベース2との隙間空間を通って収納部3の外部に露出している。この本体部22bの端部には、フレーム4及びカバー5が近接した状態でカバー5の面ファスナ12に着脱自在に固定される面ファスナ11が取り付けられている。
【0036】
ここで、上記実施例の連繋部材22、ガイド部23、24及び面ファスナ12等によって、本発明に係る「保持手段」が構成されている。
【0037】
(2)実施例の効果
以上より、本実施例2のコンソール装置21によると、上記実施例1のコンソール装置1と同様の作用・効果を奏することに加えて、連繋部材22に複数の分岐部22aを設けたので、フレーム4及びカバー5を更に容易且つ円滑に近接離間させることができる。さらに、保持手段により、フレーム4に対してカバー5が最も近接した状態Q1の収納空間Sの高さより厚い収納物を収納する場合に、フレーム4に対するカバー5の離間距離(即ち、収納部3の収納空間Sの大きさ)を任意の距離に保持できる。それにより、必要に応じて収納部3の収納量を変えた状態が保持される。
【0038】
<実施例3>
次に、実施例3に係るオーバーヘッドコンソール装置について説明するが、上記実施例1のオーバーヘッドコンソール装置1と略同じ構成部位には同じ符号を付けて詳説を省略する。
【0039】
本実施例に係るオーバーヘッドコンソール装置(以下、「コンソール装置」とも略記する。)31は、図12及び図13に示すように、ベース2と、収納部3と、を備えている。この収納部3は、フレーム4と、カバー5と、を備えている。これらフレーム4及びカバー5は接続部材8で接続されている。
【0040】
上記カバー5の上面側の4隅部のそれぞれには、帯状の第1連繋部材32の一端側が連結されている。これら各第1連繋部材32は、接続部材8に形成された複数の案内孔8aに挿通されている。また、各第1連繋部材32の他端側は、フレーム4に回動自在に支持され車両前後方向に延びる回動軸33に連結されている。この回動軸33の一端側には、帯状の第2連繋部材34の一端側が連結されている。また、第2連繋部材34の他端側には、フレーム4及びカバー5が近接した状態でカバー5の面ファスナ12に着脱自在に固定される面ファスナ11が取り付けられている。ここで、フレーム4及びカバー5が近接した状態Q1では、回動軸33には、各第1連繋部材32が巻き付けられ且つ第2連繋部材34が巻き外される。一方、フレーム4及びカバー5が離間した状態Q2では、回動軸33には、各第1連繋部材32が巻き外され且つ第2連繋部材34が巻き付けられる。
【0041】
ここで、上記実施例の第1連繋部材32、第2連繋部材34、回動軸33及び面ファスナ12等によって、本発明に係る「保持手段」が構成されている。
【0042】
(2)オーバーヘッドコンソール装置の作用
次に、上記構成のコンソール装置31の作用について説明する。比較的大きな収納物を収納する場合には、閉鎖状態P1の収納部3において、第2連繋部材34の面ファスナ11を面ファスナ12から取り外し、自重によりフレーム4に対してカバー5を離間(下降)させる。このカバー5の下降により、回動軸33に巻き付けられていた第1連繋部材32が巻き外されるとともに、回動する回動軸33に第2連繋部材34が巻き付けられる。すると、接続部材8が拡がるとともにフレーム4及びカバー5が最も離間した状態Q2となる。この状態より、閉鎖状態P1の収納部3を回動して開放状態P2とし、収納部3に収納物を収納してから閉鎖状態P1に戻す。
【0043】
一方、上記収納物を取り出す場合には、閉鎖状態P1の収納部3を回動して開放状態P2とし、収納部3から収納物を取り出してから閉鎖状態P1に戻す。その後、第2連繋部材34を引っ張ると、回動軸33に巻き付けられていた第2連繋部材34が巻き外されるとともに、回動する回動軸33に第1連繋部材32が巻き付けられる。すると、接続部材8が折り畳まれるとともにフレーム4に対してカバー5が近接する。次いで、第2連繋部材34の面ファスナ11をカバー5の面ファスナ12に固定して、フレーム4及びカバー5を最も近接した状態Q1に位置保持させる。
【0044】
(2)実施例の効果
以上より、本実施例3のコンソール装置31によると、上記実施例1のコンソール装置1と同様の作用・効果を奏することに加えて、第2連繋部材34の操作によりフレーム4に対してカバー5が近接離間されるので、フレーム4及びカバー5を更に用に近接した状態に保持・解除できる。さらに、保持手段により、フレーム4に対してカバー5が最も近接した状態Q1の収納空間Sの高さより厚い収納物を収納する場合に、フレーム4に対するカバー5の離間距離(即ち、収納部3の収納空間Sの大きさ)を任意の距離に保持できる。それにより、必要に応じて収納部3の収納量を変えた状態が保持される。
【0045】
<実施例4>
次に、実施例4に係るオーバーヘッドコンソール装置について説明するが、上記実施例1のオーバーヘッドコンソール装置と略同じ構成部位には同じ符号を付けて詳説を省略する。
【0046】
(1)オーバーヘッドコンソール装置の構成
本実施例に係るオーバーヘッドコンソール装置(以下、「コンソール装置」とも略記する。)41は、図14及び図15に示すように、ベース2と、収納部3と、を備えている。この収納部3は、フレーム4と、カバー5と、を備えている。これらフレーム4及びカバー5は接続部材8で接続されている。
【0047】
上記フレーム4とカバー5との間には、フレーム4及びカバー5の水平方向の相対的なスライドにより、フレーム4及びカバー5を近接した状態に保持するロック機構42(本発明に係る「保持手段」として例示する。)が設けられている。このロック機構42は、フレーム4の長手方向の両端側に水平方向に貫通して形成された係止孔43と、カバー5の上面側の長手方向の両端側に設けられ係止孔43に係止する係止片44と、を有している。
【0048】
(2)オーバーヘッドコンソール装置の作用
次に、上記構成のコンソール装置41の作用について説明する。比較的大きな収納物を収納する場合には、図16(A)に示すように、フレーム4に対してカバー5を車両前方に向かって水平方向にスライドさせて、収納部3の長手方向の一端側(車両後方側)において係止孔43及び係止片44の係止を解除する。次に、図16(B)に示すように、フレーム4に対してカバー5の一端側(車両後方側)を離間(下降)させると、収納部3の長手方向の他端側(車両前方側)において係止孔43及び係止片44の係止が解除される。すると、図16(C)に示すように、フレーム4に対してカバー5の他端側(車両前方側)が離間(下降)されてフレーム4及びカバー5が最も離間された状態Q2とされる。この状態で、閉鎖状態P1の収納部3を回動して開放状態P2とし、収納部3に収納物を収納してから閉鎖状態P1に戻す。
【0049】
一方、上記収納物を取り出す場合には、閉鎖状態P1の収納部3を回動して開放状態P2とし、収納部3から収納物を取り出してから閉鎖状態P1に戻す。その後、カバー5の一端側(車両前方側)を持ち上げて、収納部3の長手方向の一端側(車両前方側)において係止孔43及び係止片44を係止させる(図16(B)参照)。次に、カバー5の他端側(車両後方側)を持ち上げて、フレーム4に対してカバー5を車両後方に向かって水平方向にスライドさせて、収納部3の長手方向の他端側(車両後方側)において係止孔43及び係止片44を係止させる(図16(A)参照)。その結果、フレーム4及びカバー5が最も近接した状態Q1に位置保持される。
【0050】
(2)実施例の効果
以上より、本実施例4のコンソール装置41によると、上記実施例1のコンソール装置1と同様の作用・効果を奏することに加えて、保持手段としてロック機構42を採用したので、フレーム4及びカバー5の相対的な水平方向のスライドにより、フレーム4及びカバー5を近接した状態に容易に保持できるとともに、その保持を容易に解除できる。
【0051】
尚、本発明においては、上記実施例1〜4に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例1〜4では、フレーム4とカバー5とを可撓性を有する接続部材8で接続するようにしたが、これに限定されず、例えば、フレーム4とカバー5とをリンク機構、スライド機構、ピストン機構等で接続するようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施例1〜4では、蛇腹状に形成された接続部材8を例示したが、これに限定されず、例えば、蛇腹状でない接続部材としてもよい。また、上記実施例1〜4では、筒状に形成された接続部材8を例示したが、これに限定されず、例えば、紐状、帯状、面状等の接続部材としてもよい。さらに、上記実施例1〜4において、収納空間Sの全周側面を覆う接続部材8に収納物を出し入れするための開口を形成するようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施例1〜3では、接続部材8の案内孔8aに連繋部材9、22、32を挿通させるようにしたが、これに限定されず、例えば、図17に示すように、連繋部材9(22、32)を、接続部材8に干渉しないように接続部材8の外側又は内側に配設するようにしもよい。
【0054】
また、上記実施例1〜3では、固定部として面ファスナ12を例示したが、これに限定されず、例えば、フック部、嵌合部、締結部等としてもよい。さらに、上記実施例1〜3では、固定部(面ファスナ12)をカバー5の車室内側を向く表面側に設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、カバー5の車室外側を向く表面側に設けたり、フレーム4又はベース2に設けたりしてもよい。
【0055】
また、上記実施例1〜4では、フレーム4及びカバー5を近接状態Q1に位置保持する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、フレーム4及びカバー5を近接状態Q1と離間状態Q2との間の中間状態Q3,Q4(例えば、図19参照)に位置保持するように構成してもよい。この場合、例えば、図19に示すように、面ファスナ12を、連繋部材9,22、34の面ファスナ11の固定位置を変更し得る大きさとすれば対応できる。
【0056】
また、上記実施例1では、カバー5に連繋部材9の一端側を連結し、フレーム4に連繋部材9を案内するガイド部10を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、図18に示すように、フレーム4に連繋部材9の一端側を連結し、カバー5に連繋部材9を案内するガイド部10を設けるようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施例1では、複数の連繋部材9の端部のそれぞれをカバー5に固定する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、複数の連繋部材を連結してその連結部の端部をカバー5に固定するようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施例4では、フレーム及びカバーを近接状態から離間状態とするときに、車両後方側のロック機構を解除してから車両前方側のロック機構を解除するようにしたが、これに限定されず、例えば、車両前方側のロック機構を解除してから車両後方側のロック機構を解除するようにしてもよい。また、フレーム及びカバーを離間状態から近接状態とするときに、車両前方側のロック機構をロックしてから車両後方側のロック機構をロックするようにしたが、これに限定されず、例えば、車両後方側のロック機構をロックしてから車両前方側のロック機構をロックするようにしてもよい。
【0059】
さらに、上記実施例1〜4では、天井の車両前後方向の前方側に配設されるオーバーヘッドコンソール装置1、21、31、41を例示したが、これに限定されず、例えば、天井の車両前後方向の中央側や後方側に配設されるオーバーヘッドコンソール装置としてもよい。
【0060】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0061】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
収納物を収納するオーバーヘッドコンソール装置に関する技術として広く利用される。特に、乗用車、バス、トラック等の他、列車、汽車等の鉄道車両、建設車両、農業車両、産業車両などの車両用のオーバーヘッドコンソール装置として好適に利用される。
【符号の説明】
【0063】
1,21,31,41;オーバーヘッドコンソール装置、3;収納部、4;フレーム、5;カバー、8;接続部材、9,22;連繋部材、10,23,24;ガイド部、12;面ファスナ、32;第1連繋部材、33;回動軸、34;第2連繋部材、42;ロック機構、S;収納空間、Q1;近接状態、Q2;離間状態。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に対して回動自在に支持された収納部を備えるオーバーヘッドコンソール装置であって、
前記収納部は、フレームと、該フレームに対して相対的に近接離間するカバーと、を備え、
前記フレーム及び前記カバーの相対的な近接離間により、該フレーム及び該カバーで囲まれる収納空間が拡縮されることを特徴とするオーバーヘッドコンソール装置。
【請求項2】
前記収納部は、前記フレームと前記カバーとを接続し可撓性を有する接続部材を更に備える請求項1記載のオーバーヘッドコンソール装置。
【請求項3】
前記接続部材は、蛇腹状に形成されている請求項2記載のオーバーヘッドコンソール装置。
【請求項4】
前記収納部は、前記フレーム及び前記カバーを近接した状態に保持する保持手段を更に備える請求項1乃至3のいずれか一項に記載のオーバーヘッドコンソール装置。
【請求項5】
前記保持手段は、前記フレーム及び前記カバーのうちの一方に端部が連結される紐状又は帯状の連繋部材と、他方に設けられ該連繋部材を案内するガイド部と、一方又は他方に設けられ該フレーム及び該カバーが近接した状態で該連繋部材の他の端部が着脱自在に固定される固定部と、を有する請求項4記載のオーバーヘッドコンソール装置。
【請求項6】
前記保持手段は、前記フレーム及び前記カバーのうちの一方に端部が連結される紐状又は帯状の第1連繋部材と、他方に回動自在に設けられ該第1連繋部材の他の端部が連結される回動軸と、該回動軸に端部が連結される紐状又は帯状の第2連繋部材と、一方又は他方に設けられ該フレーム及び該カバーが近接した状態で該第2連繋部材の他の端部が着脱自在に固定される固定部と、を有する請求項4記載のオーバーヘッドコンソール装置。
【請求項7】
前記保持手段は、前記フレーム及び前記カバーの近接離間する方向に交差する方向の相対的なスライドにより該フレーム及び該カバーを近接した状態に保持するロック機構を有する請求項4記載のオーバーヘッドコンソール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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