説明

オープンラック式気化装置の散水装置およびその操作方法

【課題】オープンラック式気化装置のトラフへの水の供給等が緊急停止した場合に生じる、パネル内の残存LNGに起因するパネルの変形などの損傷を防止ないしは最小限にとどめる散水装置およびその操作方法を提供する。
【解決手段】トラフ内への熱媒体の供給停止時に、トラフ内の熱媒体(水、海水)を利用して該熱媒体をパネルの両面に沿って流下させ、伝熱管内に残存する低温液化ガスを気化させる散水装置で、例えば、トラフ4から移送される熱媒体をパネルの両面に沿って流下させるための、多数の小孔10が設けられた散水パイプ8と、トラフ内の熱媒体を前記散水パイプ内へ移送するための接続配管9とを有する散水装置、トラフから移送される熱媒体を溢流させ、パネルの両面に沿って流下させるための下段トラフを有する散水装置等が好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス(以下、「LNG」という)、その他の低温液化ガスの気化に使用されるオープンラック式気化装置の散水装置およびその操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オープンラック式気化装置は、多数の伝熱管がパネル状に配列された熱交換パネルの外側から熱媒体により加熱して、伝熱管内を通過する低温の液化ガスを気化する熱交換器の一種であり、従来から、低温液化ガス、特にLNGの気化に多用されている。熱媒体としては、海水または循環水が使用され、この熱媒体を多数の伝熱管で構成されたパネルの外面に流すことにより、伝熱管内の低温液化ガスを気化させている。
【0003】
図1は、LNGの気化に使用されるオープンラック式気化装置の要部を構成する熱交換パネルとパネルの両面に沿って流下させる熱媒体を収容するトラフを模式的に例示する図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A矢視図(部分図)である。
【0004】
図1に示すように、熱交換パネル1は、熱交換効率を高めるためのフィン付きの伝熱管2を管径方向に多数配列するように構成され、熱交パネル1の上部および下部はそれぞれ上部ヘッダー3および下部ヘッダー(図示せず)に接続されている。このようなパネル1が容量に応じて多数並列に配置されて、一つのオープンラック式気化装置が構成されている。
【0005】
多数並列配置された各パネル1の上部ヘッダー3および下部ヘッダーはそれぞれ上部マニホールド、下部マニホールド(図示せず)に連結されている。さらに、各パネル1の両側には、パネル1の両面に沿って流下させる熱媒体(例えば、循環水)を保持するトラフ4が取り付けられている(図1(b)参照)。
【0006】
下部マニホールドを経て下部ヘッダーへ供給されるLNGは、伝熱管2内を上昇する間に、図1(b)に示すように、パネル1の外面に液膜をつくって流下する水との熱交換により気化し、天然ガス(以下、「NG」という)として上部ヘッダー3から上部マニホールドへ導かれる。流下して温度が低下した水は外部に排出される。
【0007】
このオープンラック式気化装置において、例えば、停電でトラフへの水の供給が緊急停止した場合、パネルの外面を流下していた熱媒体としての水も当然停止する。この時には通常はパネル内(正確には、パネルを構成する伝熱管内)へLNGを供給するラインも緊急停止される。しかし、パネル内に極低温のLNGが残存するため大きな熱応力が発生し、パネルが変形する。このように熱応力に起因してパネルが変形すると、その修理が完了するまでの間、気化装置を停止せざるを得なくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、停電、その他の事故により、トラフへの水の供給ラインが緊急停止した場合に、それに起因して生じるパネルの変形などの損傷を防止ないしは最小限にとどめ、ライン復旧後の操業の早期再開を可能とすることができる手段、具体的には、緊急時に、オープンラック式気化装置で使用する散水装置およびその操作方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明者らは、トラフ内に収容されている水を有効に活用する方法について検討した。パネルの外面に流下させる水は、前述の通り、トラフから溢流させることにより供給されているので、トラフへの水の供給ラインが緊急停止した場合においても、トラフ内は満水状態になっており、この大量の水を利用すれば、パネル内に残存している極低温のLNGを気化させることが可能になる。
【0010】
例えば、正常稼働時に使用しているトラフの底面に近い側壁部に、パネル方向に向けた多数の小さい散水孔を設けておけば、トラフへの水の供給が停止してトラフからの溢流水がストップしても、底面近傍の散水孔からパネル面への給水、流下を継続させることができる。
【0011】
また、トラフの下方に、パネルの方向に向けて多数の散水孔が設けられた散水パイプを配置しておき、トラフへの水の供給ラインが緊急停止した場合に、トラフ内の水を散水パイプへ移送し、前記散水孔から放出させることにより、パネル内に残存するLNGを十分に気化させることが可能である。散水パイプの代わりに、トラフの下段に別のトラフを使用し、この下段トラフから水を溢流させることによっても、目的を達成することができる。
【0012】
この場合、移送用の配管に、トラフ内への熱媒体の供給が停止されたときに「開」となる弁を設けておけば、トラフ内の水の散水パイプや下段トラフへの移送を自動的に行うことができる。
【0013】
本発明は、このような発想ならびに検討結果に基づきなされたもので、その要旨は、下記(1)のオープンラック式気化装置の散水装置、および(2)のこの散水装置の操作方法にある。
【0014】
(1)複数の伝熱管がパネル状に配列された熱交換パネルの上部両側に配設されたトラフから熱媒体をパネルの両面に沿って流下させることにより前記伝熱管内を通過する低温液化ガスを気化させるオープンラック式気化装置で使用する散水装置において、トラフ内への熱媒体の供給停止時に、トラフまたは熱媒体の供給配管内の熱媒体をパネルの両面に沿って流下させ、伝熱管内に残存する低温液化ガスを気化させる手段を備えることを特徴とするオープンラック式気化装置の散水装置。
【0015】
本発明のオープンラック式気化装置の散水装置に適用される「熱媒体」としては、主として海水、水(工業用水)が使用される。
【0016】
本発明のオープンラック式気化装置の散水装置において、前記トラフ内の熱媒体を流下させる手段として、トラフ内の熱媒体をパネルの両面に沿って流下させるための散水孔が底面近傍の側壁部にあらかじめ設けられているトラフを使用するという実施形態を採用することができる(この実施形態を、「実施形態1」という)。
【0017】
本発明の散水装置において、前記トラフ内の熱媒体を流下させる手段として、トラフよりも下方に配置され、トラフから移送される熱媒体をパネルの両面に沿って流下させるための散水パイプと、トラフ内の熱媒体を前記散水パイプ内へ移送するための接続配管とを有する散水装置を採用することもできる(これを、「実施形態2」という)。
【0018】
また、本発明の散水装置において、前記トラフ内の熱媒体を流下させる手段として、トラフ内へ熱媒体を導入するための散水管よりも下方に配置され、熱媒体をパネルの両面に沿って流下させるための散水パイプと、トラフまたは散水管内の熱媒体を散水パイプ内へ移送するための接続配管とを有する散水装置を採用することもできる(これを、「実施形態3」という)。
【0019】
さらに、本発明の散水装置において、前記トラフ内の熱媒体を流下させる手段として、トラフよりも下方に配置され、トラフから移送される熱媒体を溢流させ、パネルの両面に沿って流下させるための下段トラフと、トラフ内の熱媒体を前記下段トラフ内へ移送するための接続配管とを有する散水装置を採用することもできる(これを、「実施形態4」という)。
【0020】
前記の実施形態2〜4の散水装置は、いずれも、トラフ内への熱媒体の供給停止時に、該熱媒体をパネルの両面に沿って流下させる装置であるが、正常稼働時にも散水パイプまたは下段トラフには熱媒体が供給される。なお、正常稼動時に熱媒体の散水パイプまたは下段トラフへの供給を遮断することを目的として、前記実施形態2〜4の散水装置に共通の「移送するための接続配管」には、いずれも移送を遮断するための閉止弁を取り付けても良い。
【0021】
前記実施形態2〜4の散水装置において、この閉止弁が、トラフ内への熱媒体の供給停止時に、「開」となる弁であれば、熱媒体の供給停止時に弁を直ちに作動させ、迅速に対応できるので望ましい。
【0022】
(2)前記(1)に記載のオープンラック式気化装置の散水装置の操作方法であって、トラフ内への熱媒体の供給停止時に、トラフ内の熱媒体をパネルの両面に沿って流下させ、伝熱管内に残存している低温液化ガスを気化させることを特徴とするオープンラック式気化装置の散水装置の操作方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明のオープンラック式気化装置の散水装置を用いれば、停電、その他の事故により、トラフへの水(熱媒体)の供給ラインが緊急停止した場合に、トラフ内の熱媒体を有効に利用して、パネル内に残存している極低温のLNGなど、低温液化ガスを気化させることができ、パネルに生じる熱応力を低減してパネルの変形等を防止ないしは最小限にとどめることができる。また、パネルの変形等を修理するために気化装置を停止する必要がなくなり、復旧後の操業の早期再開が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明のオープンラック式気化装置の散水装置、およびその散水装置の操作方法について、図面を参照して具体的に説明する。
【0025】
本発明のオープンラック式気化装置の散水装置は、前述のように構成されたオープンラック式の気化装置で、トラフ内への熱媒体の供給停止時に、トラフまたは熱媒体の供給配管内の熱媒体を利用して該熱媒体をパネルの両面に沿って流下させ、伝熱管内に残存する低温液化ガスを気化させる手段を備える散水装置である。
【0026】
前記の「トラフ内への熱媒体の供給停止時」とは、停電、その他の事故により、トラフへの水(熱媒体)の供給が緊急停止した場合をいう。なお、この場合は、パネルの外面を流下していた熱媒体も停止するので、通常は、パネル内へLNG等の低温液化ガスを供給するラインも緊急停止される。
【0027】
本発明の散水装置の特徴は、このような緊急時に、トラフおよび散水管内の熱媒体を利用してパネル内に残存している極低温のLNGなどの低温液化ガスを気化させ、パネルに生じる熱応力を低減する点にある。
【0028】
トラフ内の熱媒体を何らかの手段によりパネルの両面に沿って流下させるのであるが、その手段について何ら限定はない。後述する本発明の実施形態でトラフ内の熱媒体の具体的な利用方法を例示するが、それらの散水装置以外でも、パネルの両面に沿って熱媒体を流下させ、伝熱管内に残存する低温液化ガスを気化させることが可能な装置であれば、いずれも本発明のオープンラック式気化装置の散水装置として採用できる。
【0029】
前記の実施形態1の散水装置は、トラフ内の熱媒体を流下させる手段として、トラフ内の熱媒体をパネルの両面に沿って流下させるための散水孔が底面近傍の側壁部にあらかじめ設けられているトラフを使用する散水装置である。
【0030】
図2は、この実施形態1の散水装置の概略構成を例示する図である。図示するように、トラフ内の熱媒体を流下させる手段として、底面近傍の側壁部に散水孔7が設けられたトラフ6を使用する。すなわち、正常稼働時に使用されるトラフ6が緊急時に使用するトラフを兼ねている。
【0031】
前記の散水孔の数、寸法、角度等は、熱媒体をパネルの両面に沿って適切に流下させ得るように、あらかじめ定めておけばよい。
【0032】
このトラフ6を使用すれば、図2(b)に示すように、正常稼働時には、トラフ6から溢流する熱媒体と、トラフ6の底面近傍の側壁部に設けられている散水孔7から流れ出る熱媒体とがパネル面に沿って流下し、トラフ6内への熱媒体の供給停止時には、散水孔7から流れ出る熱媒体のみがパネル面に沿って流下することになる。
【0033】
この実施形態1の散水装置は、熱媒体の供給停止という緊急時においても、特別の操作を必要としない。前記のように、パネル面への熱媒体の供給が、トラフ6内への熱媒体の供給停止によっても途切れることなく続くからである。コスト的にも安価であるため、
望ましい実施形態である。
【0034】
前記の実施形態2の散水装置は、トラフ内の熱媒体を流下させる手段として、トラフよりも下方に配置され、トラフから移送される熱媒体をパネルの両面に沿って流下させるための散水パイプと、トラフ内の熱媒体を前記散水パイプ内へ移送するための接続配管とを有する散水装置である。
【0035】
図3は、この実施形態2の散水装置の概略構成を例示する図である。図示するように、この装置は、トラフよりも下方に配置された散水パイプ8と、トラフ4内の熱媒体を前記散水パイプ8内へ移送するための接続配管9とを有している。散水パイプ8には多数の、パネル面へ向けられた小孔10が設けられている。このとき、接続配管9には、図3に示すように、閉止弁が取り付けられていないが、取り付けることもできる。
【0036】
前記散水パイプは、断面が円形のものを用いるのが一般的であるが、熱媒体をパネルの両面に沿って流下させ、伝熱管内に残存する低温液化ガスを気化させるという目的が達せられるものであれば、これに限定されない。散水パイプに設けられている小孔の数、寸法、角度等も、トラフやパネルの大きさに応じ、この目的が達成されるように、あらかじめ定めておけばよい。
【0037】
また、前記の接続配管についても、前記閉止弁が「開」の状態で、トラフ内の熱媒体を、前記散水パイプの大きさに見合った適度の流量で同パイプ内へ移送するという機能を備えるものであればよく、その形状は問わない。
【0038】
この実施形態2の散水装置の操作は、トラフ4内への熱媒体の供給が停止された後に開始される。すなわち、前記熱媒体の供給停止後、接続配管9に閉止弁が取り付けられている場合には、直ちに接続配管9に取り付けられている閉止弁を「開」にする。散水パイプ8はトラフ4よりも下方に配置されているので、トラフ4内の熱媒体は接続配管9を経由して散水パイプ8内へ移送され、散水パイプ8の多数の小孔10を通してパネルの両面に沿って流下する。これにより、パネル内に残存している極低温のLNGを気化させ、パネルに生じる熱応力を低減することができる。
【0039】
配管に取り付けられている閉止弁が、トラフ内への熱媒体の供給が停止されたときに自動的に「開」となる弁であれば、トラフ内への熱媒体の供給停止時に弁を直ちに作動させ、迅速に対応できる。
【0040】
前記の実施形態3の散水装置は、トラフ内の熱媒体を流下させる手段として、トラフ内へ熱媒体を導入するための散水管よりも下方に配置され、熱媒体をパネルの両面に沿って流下させるための散水パイプと、トラフまたは散水管内の熱媒体を散水パイプ内へ移送するための接続配管とを有する散水装置である。
【0041】
図4は、この実施形態3の散水装置の概略構成を例示する図である。図示するように、この装置は、散水パイプ8と、トラフ4内の熱媒体を散水管5を経由して散水パイプ8内へ移送するための接続配管12とを有している。接続配管12には、前記のように、閉止弁11を取り付けることができる。なお、散水パイプ8は、実施形態2の散水装置に取り付けられている散水パイプ8と同じもので、パネル面へ向けられた、多数の小孔が設けられている。
【0042】
この実施形態3の散水装置における散水パイプの形状、それに設けられている小孔の数、寸法、角度や、配管の形状、流量等については、前記実施形態2の散水装置の場合と同様である。
【0043】
この実施形態3の散水装置を操作するに際しては、前記熱媒体の供給停止後、直ちに前記閉止弁11を「開」にする。散水パイプ8は散水管5よりも下方に配置されているので、トラフ4内の熱媒体は、ヘッド差により散水管5および接続配管12を経由して散水パイプ8内へ移送され、散水パイプ8の多数の小孔を通してパネルの両面に沿って流下する。これにより、パネル内に残存している極低温のLNGを気化させることができる。
【0044】
この場合も、配管に取り付けられている閉止弁が、トラフ内への熱媒体の供給停止時に自動的に「開」となる弁であれば、直ちに作動させることができる。
【0045】
前記の実施形態4の散水装置は、前記トラフ内の熱媒体を流下させる手段として、トラフよりも下方に配置され、トラフから移送される熱媒体を溢流させ、パネルの両面に沿って流下させるための下段トラフと、トラフ内の熱媒体を前記下段トラフ内へ移送するための接続配管とを有する散水装置である。
【0046】
図5は、この実施形態4の散水装置の概略構成を例示する図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B矢視図(部分図)である。図示するように、この装置は、下段トラフ13と、トラフ4内の熱媒体を前記下段トラフ13へ移送するための接続配管14とを有している。
【0047】
前記下段トラフの形状、特に深さは、限定はしないが、熱媒体を溢流させ、パネルの両面に沿って流下させるという機能が損なわれない限り、極力浅くするのが望ましい。トラフ内の熱媒体を最大限に利用できるからである。また、前記の接続配管も、下段トラフの大きさに見合った適度の流量で熱媒体を同トラフ内へ移送できるものであればよい。
【0048】
この実施形態4の散水装置を操作するに際して、接続配管14に閉止弁が取り付けられている場合には、前記熱媒体の供給停止後、直ちに接続配管14の閉止弁を「開」にする。下段トラフ13はトラフ4よりも下方に配置されているので、トラフ4内の熱媒体は、接続配管14を経て下段トラフ13内へ移送され、該下段トラフ13から溢流してパネルの両面に沿って流下する。これにより、パネル内に残存している極低温のLNGを気化させることができる。
【0049】
本発明のオープンラック式気化装置で用いる散水装置の操作方法は、前述した本発明の散水装置の操作方法であって、トラフ内への熱媒体の供給停止時に、トラフ(および散水管)内の熱媒体をパネルの両面に沿って流下させ、伝熱管内に残存している低温液化ガスを気化させるオープンラック式気化装置の散水装置の操作方法である。
【0050】
すなわち、本発明の操作方法は、トラフ内への熱媒体の供給が停止された、緊急時における操作方法で、トラフ内に保持されている大量の熱媒体を利用して、これをパネルの両面に沿って流下させることを特徴としている。流下させる方法については、何ら限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のオープンラック式気化装置の散水装置、その操作方法によれば、トラフへの熱媒体の供給ラインが緊急停止した場合に、トラフ内の熱媒体を利用して、パネル内に残存している極低温のLNG等の低温液化ガスを気化させることができ、熱応力に起因して生じるパネルの変形等を防止ないしは最小限にとどめることができる。これにより、パネルの変形等を修理するための気化装置の停止を回避することが可能となる。
【0052】
したがって、本発明のオープンラック式気化装置の散水装置、その操作方法は、特に、LNGの気化に使用されるオープンラック式の気化装置において、トラフへの水の供給等が緊急停止した場合に、好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】LNGの気化に使用されるオープンラック式の気化装置の要部を構成する熱交換パネルとパネルの両面に沿って流下させる熱媒体を収容するトラフを模式的に例示する図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A矢視図(部分図)である。
【図2】本発明の実施形態1の散水装置の概略構成を例示する図である。
【図3】本発明の実施形態2の散水装置の概略構成を例示する図である。
【図4】本発明の実施形態3の散水装置の概略構成を例示する図である。
【図5】本発明の実施形態4の散水装置の概略構成を例示する図である。
【符号の説明】
【0054】
1:熱交換パネル
2:伝熱管
3:上部ヘッダー
4:トラフ
5:散水管
6:トラフ
7:散水孔
8:散水パイプ
9:接続配管
10:小孔
11:閉止弁
12:接続配管
13:下段トラフ
14:接続配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の伝熱管がパネル状に配列された熱交換パネルの上部両側に配設されたトラフから熱媒体をパネルの両面に沿って流下させることにより前記伝熱管内を通過する低温液化ガスを気化させるオープンラック式気化装置で使用する散水装置において、トラフ内への熱媒体の供給停止時に、トラフまたは熱媒体の供給配管内の熱媒体をパネルの両面に沿って流下させ、伝熱管内に残存する低温液化ガスを気化させる手段を備えることを特徴とするオープンラック式気化装置の散水装置。
【請求項2】
前記トラフ内の熱媒体を流下させる手段として、トラフ内の熱媒体をパネルの両面に沿って流下させるための散水孔が底面近傍の側壁部にあらかじめ設けられているトラフを使用することを特徴とする請求項1に記載のオープンラック式気化装置の散水装置。
【請求項3】
前記トラフ内の熱媒体を流下させる手段が、トラフよりも下方に配置され、トラフから移送される熱媒体をパネルの両面に沿って流下させるための散水パイプと、トラフ内の熱媒体を前記散水パイプ内へ移送するための接続配管とを有することを特徴とする請求項1に記載のオープンラック式気化装置の散水装置。
【請求項4】
前記トラフ内の熱媒体を流下させる手段が、トラフ内へ熱媒体を導入するための散水管よりも下方に配置され、熱媒体をパネルの両面に沿って流下させるための散水パイプと、トラフまたは散水管内の熱媒体を散水パイプ内へ移送するための接続配管とを有することを特徴とする請求項1に記載のオープンラック式気化装置の散水装置。
【請求項5】
前記トラフ内の熱媒体を流下させる手段が、トラフよりも下方に配置され、トラフから移送される熱媒体を溢流させ、パネルの両面に沿って流下させるための下段トラフと、トラフ内の熱媒体を前記下段トラフ内へ移送するための接続配管とを有することを特徴とする請求項1に記載のオープンラック式気化装置の散水装置。
【請求項6】
前記接続配管に、トラフ内への熱媒体の供給停止時に「開」となる弁が取り付けられていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のオープンラック式気化装置の散水装置。
【請求項7】
請求項1に記載の散水装置の操作方法であって、トラフ内への熱媒体の供給停止時に、トラフ内の熱媒体をパネルの両面に沿って流下させ、伝熱管内に残存している低温液化ガスを気化させることを特徴とするオープンラック式気化装置の散水装置の操作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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