カクテルシェーカー
【課題】シェーカー本体と蓋との間の密封性能を改善でき、シェーカー本体と蓋とを密封状態でロックすることのできる大容量のカクテルシェーカーを提供する。
【解決手段】中心軸に対して略回転対称で上方が開放されたシェーカー本体2と、中心軸に対して略回転対称に形成され、前記シェーカー本体の開放部に嵌合される蓋体3と、前記シェーカー本体と前記蓋体の一方に形成され、中心軸に垂直な平面に対して傾斜して形成された傾斜凸帯部21と、前記シェーカー本体と前記蓋体の他方に形成され、前記傾斜凸帯部に係合して前記蓋体を前記シェーカー本体に対して係止する係合凸部31と、前記シェーカー本体と前記蓋体の少なくともいずれか一方に形成され、両者の間を封止するシール部32とを有する。そして、前記蓋体を前記シェーカー本体に嵌合させ、前記蓋体を前記シェーカー本体に対して相対的に回動させて、前記蓋体の係止を行う。
【解決手段】中心軸に対して略回転対称で上方が開放されたシェーカー本体2と、中心軸に対して略回転対称に形成され、前記シェーカー本体の開放部に嵌合される蓋体3と、前記シェーカー本体と前記蓋体の一方に形成され、中心軸に垂直な平面に対して傾斜して形成された傾斜凸帯部21と、前記シェーカー本体と前記蓋体の他方に形成され、前記傾斜凸帯部に係合して前記蓋体を前記シェーカー本体に対して係止する係合凸部31と、前記シェーカー本体と前記蓋体の少なくともいずれか一方に形成され、両者の間を封止するシール部32とを有する。そして、前記蓋体を前記シェーカー本体に嵌合させ、前記蓋体を前記シェーカー本体に対して相対的に回動させて、前記蓋体の係止を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、酒類などの各種飲料を混合してカクテルを作るための容器すなわちカクテルシェーカーに関するものであり、さらに詳しくは、従来に比べて大容量であるとともに密封性に優れたカクテルシェーカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、酒類などの各種飲料を混合して作られる種々のカクテルが幅広い年齢層の人々に好まれ飲用に供されている。従来のカクテルを作るためのカクテルシェーカーとしては、下記の特許文献1に記載されたようなものがある。特許文献1には、ボディ、ストレーナーおよびトップからなるカクテルシェーカーが記載されている。
【0003】
近年、新しいタイプのカクテルとして、低アルコールで発泡性のものが特に若者層を中心に好まれる傾向にある。このような低アルコールのカクテルは、一度に作成する量が従来のカクテルよりも多く、その作成には従来よりも大容量のカクテルシェーカーが使用される。従来の通常のカクテルシェーカーの容量が300mL程度であるのに対し、低アルコールのカクテル用のカクテルシェーカーの容量は700mL程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−152353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の新しいタイプのカクテルは、大容量のカクテルシェーカーに材料となる飲料を収容して、カクテルシェーカーごと振り混ぜて作られる。ところが、このような大容量のカクテルシェーカーの本体と蓋とを密着するように手で押さえながら振り混ぜることはかなりの腕力と熟練とを要する作業である。大容量のカクテルシェーカーでは、内容物を含めた重量も従来のカクテルシェーカーより大幅に増加している。また、カクテルの材料となる飲料にも発泡性の飲料が多いため、振り混ぜた際の内圧の増加により、カクテルシェーカーから内容物が吹き出してしまうようなことも生じがちである。
【0006】
そこで、本発明は、大容量でありながら、シェーカー本体と蓋との間の密封性能を改善でき、また、シェーカー本体と蓋とを手で押さえておかなくとも密封状態を維持でき、容器からの飲料の漏れを防止するとともにカクテル混合作業の容易化が可能なカクテルシェーカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のカクテルシェーカーは、中心軸に対して略回転対称に形成されるとともに上方が開放され、内部にカクテル材料を収容可能なシェーカー本体と、中心軸に対して略回転対称に形成され、前記シェーカー本体の開放部に嵌合されて前記シェーカー本体とともにカクテルの混合容器を構成する蓋体と、前記シェーカー本体と前記蓋体の一方に形成され、中心軸に垂直な平面に対して傾斜して形成された傾斜凸帯部と、前記シェーカー本体と前記蓋体の他方に形成され、前記傾斜凸帯部に係合して前記蓋体を前記シェーカー本体に対して係止する係合凸部と、前記シェーカー本体と前記蓋体の少なくともいずれか一方に形成され、両者の間を封止するシール部とを有する。そして、前記蓋体を前記シェーカー本体に嵌合させ、前記蓋体を前記シェーカー本体に対して相対的に回動させて、前記蓋体の係止を行うものである。
【0008】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記シェーカー本体および前記蓋体は、ステンレス板材から形成されたものであることが好ましい。
【0009】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記ステンレス板材は、板厚が0.6〜1.0mmのものであることが好ましい。
【0010】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記蓋体を前記シェーカー本体の内側に嵌合されるものとすることができる。
【0011】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記シール部は前記蓋体の下端近傍位置の外面に形成されたものとすることができる。そして、前記シール部と前記シェーカー本体の内面の接触により封止を行うものである。
【0012】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記シール部はシェーカー本体の上端近傍位置の内面に形成されたものとすることができる。そして、前記シール部と前記蓋体の外面の接触により封止を行うものである。
【0013】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記蓋体を前記シェーカー本体の外側に嵌合されるものとすることができる。
【0014】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記シール部は前記シェーカー本体の上端近傍位置の外面に形成されたものとすることができる。そして、前記シール部と前記蓋体の内面の接触により封止を行うものである。
【0015】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記シール部は前記蓋体の下端近傍位置の内面に形成されたものとすることができる。そして、前記シール部と前記シェーカー本体の外面の接触により封止を行うものである。
【0016】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記傾斜凸帯部を前記シェーカー本体に形成し、前記係合凸部を前記蓋体に形成することができる。または、前記係合凸部を前記シェーカー本体に形成し、前記傾斜凸帯部を前記蓋体に形成するようにしてもよい。
【0017】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記係合凸部の個数は、前記傾斜凸帯部の個数に自然数を乗じた数であることが好ましい。
【0018】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記シール部と当該シール部が接触する部分は、断面形状において接触面が凸形状となるように互いに反対方向に湾曲した形状に形成されたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上のように構成されているので、以下のような効果を奏する。
【0020】
蓋体をシェーカー本体に取り付けてロック状態とすることにより、蓋体とシェーカー本体とからなるカクテルシェーカーの密封状態を維持できる。蓋体がシェーカー本体にロックされているので、強い力で蓋体をシェーカー本体に押しつけておく必要がなく、カクテルシェーカーを振ることにより、カクテルシェーカー内に収容したカクテル材料を混合してカクテルを作ることが容易にできる。混合作業においても、内容物がカクテルシェーカーから漏れ出たり吹き出したりすることはない。
【0021】
シェーカー本体および蓋体がステンレス板材で形成されているものでは、耐衝撃性や耐腐食性が向上する。また、カクテルシェーカーの洗浄作業が容易で常に清潔に保つことができ、衛生的にも優れたカクテルシェーカーとなる。
【0022】
シール部がシェーカー本体または蓋体のステンレス板材の端部表面に形成され、ステンレス板の表面同士の接触により封止を行うものでは、シール部が比較的柔軟に弾性変形可能であり、シール部と対向側の接触部との密着性が良好で封止性能が向上する。また、ゴム等の柔軟性材料からなるパッキン等の封止部材が不要であり、封止構造が簡素化されてカクテルシェーカーの製造コストを低減させることができる。さらに、シール部が平滑で洗浄作業が容易であるから、シール部を常に清潔に保つことができ、衛生的にも優れたカクテルシェーカーとなる。
【0023】
係合凸部の個数を傾斜凸帯部の個数に自然数を乗じた数としたものでは、係合凸部の個数を増加させてロック状態とするための回動角度を減少させ、ロック状態とする際の異音の発生を防止することができる。
【0024】
シール部と対向側の接触部が断面形状において接触面が凸形状となるように互いに反対方向に湾曲した形状に形成されたものでは、内圧の低下により蓋体とシェーカー本体とが吸着されてしまった場合でも、容易に吸着状態を解除するとともにロック状態を解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明のカクテルシェーカー1の正面図である。
【図2】図2は、カクテルシェーカー1の蓋体3の正面図である。
【図3】図3は、シェーカー本体2の傾斜凸帯部21と蓋体3の係合凸部31との係合状態を示す拡大断面図である。
【図4】図4は、第2の実施の形態のカクテルシェーカー1aの正面図である。
【図5】図5は、傾斜凸帯部21と係合凸部31の係合状態およびシール部22の位置を示す拡大断面図である。
【図6】図6は、第3の実施の形態のカクテルシェーカー4の正面図である。
【図7】図7は、第4の実施の形態のカクテルシェーカー7の正面図である。
【図8】図8は、第5の実施の形態のカクテルシェーカー7aの正面図である。
【図9】図9は、傾斜凸帯部21と係合凸部31の円周方向の位置関係を示す模式的な断面図である。
【図10】図10は、傾斜凸帯部21と係合凸部31の他の形態を示す模式的な断面図である。
【図11】図11は、シール部の形状の変形例を示す断面図である。
【図12】図12は、シール部の形状の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明のカクテルシェーカーは、容量が700mL程度の大容量シェーカーであり、主として低アルコールで発泡性のカクテルを作成するのに使用される。
【0027】
図1は、本発明のカクテルシェーカー1の正面図である。カクテルシェーカー1は、コップ状のシェーカー本体2と、シェーカー本体2の上方開放端を覆う蓋体3とからなる。シェーカー本体2は、上方が開放された有底の容器であり、中心軸に対してほぼ回転対称に形成されている。シェーカー本体2は、ステンレス鋼の薄板(厚さ約0.8mm)で形成されており、下方ほど直径が小さくなるような回転体形状となっている。ステンレス鋼としてはJIS規格におけるSUS304などの材料が適している。ステンレス鋼の薄板は、カクテルシェーカーの剛性や重量を考慮すれば、厚さが0.6〜1.0mmの範囲のものが好ましく、さらに、厚さ約0.8mm程度が特に好ましい。
【0028】
シェーカー本体2の上部には、その中心軸に垂直な平面に対して傾斜した傾斜凸帯部21が形成されている。傾斜凸帯部21はシェーカー本体2の内面側に突出する帯状の凸部である。なお、傾斜凸帯部21は、シェーカー本体2の外方から見た場合は凹部として観察される。傾斜凸帯部21は、シェーカー本体2の円周上に4本設けられており、それらが円周上に均等に配置されている。シェーカー本体2の上端は開放されており、蓋体3を取り外せばシェーカー本体2の上端側からカクテルの材料を入れることができる。
【0029】
蓋体3は下方が開放された釣り鐘形状に形成されている。この蓋体3もステンレス鋼の薄板(厚さ約0.8mm)で形成されており、中心軸に対してほぼ回転対称に形成されている。ステンレス鋼としてはJIS規格におけるSUS304などの材料が適している。ステンレス鋼の薄板は、厚さが0.6〜1.0mmの範囲のものが好ましく、さらに、厚さ約0.8mm程度が特に好ましい。蓋体3はシェーカー本体2の内側に嵌合されて、シェーカー本体2の開放端を覆い密封するものである。このように、カクテルシェーカー全体がステンレス板材で形成されているので、耐衝撃性や耐腐食性が向上する。また、カクテルシェーカーの洗浄作業が容易で常に清潔に保つことができ、衛生的にも優れたカクテルシェーカーとなる。
【0030】
図2にシェーカー本体2から取り外した状態の蓋体3の正面図を示す。蓋体3の下部には係合凸部31が設けられている。係合凸部31は、蓋体3の外方に突出するように設けられており、シェーカー本体2の傾斜凸帯部21と係合可能となっている。係合凸部31は、蓋体3の外周上に4個設けられており、それらが円周上に均等に配置されている。なお、ここでは係合凸部31は長円形の凸部としているが、もっと単純な円形の凸部としてもよい。
【0031】
蓋体3の下端は開放されている。蓋体3の下端部近傍の外周面は、シール部32として形成されている。シール部32は平滑な表面として形成されている。また、シール部32と接触する部分のシェーカー本体2の内面も平滑な表面として形成されている。これらのシール部32とシェーカー本体2の内面は、互いに接触する位置の近傍のみを平滑な表面としてもよいが、シェーカー本体2および蓋体3全体の表面を一様な平滑表面としてもよい。
【0032】
シール部32はシェーカー本体2の内面と密着して封止効果を奏し、カクテルシェーカー1を密封容器とすることができる。シール部32は、ステンレス鋼の薄板の円筒状開放端にあり、比較的柔軟に弾性変形可能である。したがって、シェーカー本体2の内面が回転体から変形していたとしても、シール部32もシェーカー本体2の内面に沿って変形するため、シール部32はシェーカー本体2の内面に密着する。このため、シール部32による密封性が良好である。
【0033】
また、シェーカー本体2と蓋体3との間の封止をステンレス板の表面同士の接触によって行うため、ゴム等の柔軟性材料からなるパッキン等の封止部材が不要である。このため、封止構造が簡素化されてカクテルシェーカーの製造コストを低減させることができる。さらに、シール部が平滑で洗浄作業が容易であるから、シール部を常に清潔に保つことができ、衛生的にも優れたカクテルシェーカーとなる。一般的に、パッキン等の柔軟性材料からなる封止部材には汚れ等が溜まりやすいが、本発明のカクテルシェーカーにはこのような封止部材が不要である。
【0034】
蓋体3をシェーカー本体2に取り付けて、図1に示すようにロック状態とすることができる。まず、蓋体3の係合凸部31をシェーカー本体2の傾斜凸帯部21に当たらない位置にして、蓋体3をシェーカー本体2の内側に押し入れる。その後、蓋体3をシェーカー本体2に対して相対的に右回りに回動させる。すなわち、係合凸部31を、図1の点線矢印に示すように移動させる。
【0035】
蓋体3を右回りに回動させることで、係合凸部31が傾斜凸帯部21に当接して傾斜凸帯部21の傾斜方向に沿って移動する。これにより蓋体3全体がシェーカー本体2の下方(底面方向)に押し込まれ、シール部32がシェーカー本体2の内面に密着される。蓋体3を押し込む力と回動させる力を取り除いても、係合凸部31と傾斜凸帯部21の係合により、蓋体3はシェーカー本体2を密封した状態でロックされる。
【0036】
このように傾斜凸帯部21の傾斜を利用して、蓋体3をシェーカー本体2に対して強力に押し入れることができるため、シェーカー本体2と蓋体3とを強力に密着でき、これらの間の密封性能が大幅に向上する。そして、その密封性の良好な状態を外力を作用させずに保つことができる。従来の大容量カクテルシェーカーは、本体と蓋とを手で押さえて密着するようにしていただけのため、密封性能は低く、振り混ぜた際の内圧の増加により、カクテルシェーカーから内容物が吹き出してしまうようなことも生じがちであった。また、振り混ぜる際にはカクテルシェーカーをずっと手で押さえておく必要があった。
【0037】
図3は、シェーカー本体2の傾斜凸帯部21と蓋体3の係合凸部31との係合状態を示す拡大断面図である。このように傾斜凸帯部21と係合凸部31とが係合して蓋体3がロックされた状態では、蓋体3の下端部近傍外周面であるシール部32がシェーカー本体2の内面に密着されている。このシール部32が蓋体3とシェーカー本体2との間を密封し封止している。
【0038】
蓋体3をシェーカー本体2から取り外すには、蓋体3をシェーカー本体2に対して相対的に左回りに回動させ、図1の点線矢印とは逆向きに係合凸部31を移動させて、蓋体3をシェーカー本体2から引き抜けばよい。蓋体3に左回りの回動力を与えなければ蓋体3が自然に回動して外れてしまうことはない。これは蓋体3とシェーカー本体2との間の摩擦力による。
【0039】
蓋体3をロック状態とすることにより、蓋体3とシェーカー本体2とからなるカクテルシェーカー1は密封容器となる。カクテルシェーカー1を振ることにより、カクテルシェーカー1内に収容したカクテル材料を混合してカクテルを作ることができる。混合作業においても、内容物がカクテルシェーカー1から漏れ出たり吹き出したりすることはない。また、蓋体3がシェーカー本体2にロックされているので、強い力で蓋体3をシェーカー本体2に押しつけておく必要がなく、カクテルシェーカー1を振る作業が従来のシェーカーよりも大幅にやりやすくなる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は、第2の実施の形態のカクテルシェーカー1aの正面図である。カクテルシェーカー1aは、カクテルシェーカー1とほぼ同様な構成であるが、シール部22の設けられる位置が異なっている。カクテルシェーカー1aは、シェーカー本体2aと蓋体3aとからなっており、シェーカー本体2aと蓋体3aの全体的な構成は図1のカクテルシェーカー1とほぼ同様である。このカクテルシェーカー1aでは、シール部22がシェーカー本体2aの上端部近傍の内周面に設けられている。
【0041】
シェーカー本体2aの上部には、内面側に突出するように傾斜凸帯部21が形成されている。また、蓋体3aの下部には外方に突出するように係合凸部31が形成されている。シェーカー本体2aの上端部近傍の内周面は、シール部22として形成されている。このカクテルシェーカー1aでも、蓋体3aをシェーカー本体2aの内側に押し入れ、蓋体3aをシェーカー本体2aに対して相対的に右回りに回動させることにより、係合凸部31と傾斜凸帯部21とを係合させてロック状態とすることができる。ロック状態ではシール部22が蓋体3aとシェーカー本体2aとの間を密封し封止している。
【0042】
図5は、カクテルシェーカー1aにおける傾斜凸帯部21と係合凸部31の係合状態およびシール部22の位置を示す拡大断面図である。このように傾斜凸帯部21と係合凸部31とが係合して蓋体3がロックされた状態では、シェーカー本体2aの上端部近傍内周面であるシール部22が蓋体3aの外面に密着されている。このシール部22がシェーカー本体2aと蓋体3aとの間を密封し封止している。
【0043】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図6は、第3の実施の形態のカクテルシェーカー4の正面図である。カクテルシェーカー4は、カクテルシェーカー1とほぼ同様な構成であるが、傾斜凸帯部と係合凸部の設けられる位置が異なっている。カクテルシェーカー4は、シェーカー本体5と蓋体6とからなっており、シェーカー本体5と蓋体6の全体的な構成は図1のカクテルシェーカー1と同様である。
【0044】
シェーカー本体5の上部には、内面側に突出するように係合凸部51が形成されている。また、蓋体6の下部には外方に突出するように傾斜凸帯部61が形成されている。蓋体6の下端部近傍の外周面は、シール部62として形成されている。このカクテルシェーカー4でも、蓋体6をシェーカー本体5の内側に押し入れ、蓋体6をシェーカー本体5に対して相対的に右回りに回動させることにより、係合凸部51と傾斜凸帯部61とを係合させてロック状態とすることができる。ロック状態ではシール部62が蓋体6とシェーカー本体5との間を密封し封止している。
【0045】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図7は、第4の実施の形態のカクテルシェーカー7の正面図である。カクテルシェーカー7は、シェーカー本体8と蓋体9とからなっており、シェーカー本体8と蓋体9の全体的な形状は図1のカクテルシェーカー1と同様である。このカクテルシェーカー7では、蓋体9がシェーカー本体8の外側に嵌合されて、シェーカー本体8の開放端を覆い密封するものである。
【0046】
シェーカー本体8の上部には、外方に突出するように係合凸部81が形成されている。また、蓋体9の下部には内面側に突出するように傾斜凸帯部91が形成されている。シェーカー本体8の上端部近傍の外周面は、シール部82として形成されている。このカクテルシェーカー7でも、蓋体9をシェーカー本体8の外側に嵌め込んで押し下げ、蓋体9をシェーカー本体8に対して相対的に右回りに回動させることにより、係合凸部81と傾斜凸帯部91とを係合させてロック状態とすることができる。ロック状態ではシール部82が蓋体9とシェーカー本体8との間を密封し封止している。
【0047】
ここでは、蓋体9に傾斜凸帯部を形成しシェーカー本体8に係合凸部を形成しているが、逆に、蓋体9に係合凸部を形成しシェーカー本体8に傾斜凸帯部を形成するようにしてもよい。また、係合凸部の形状は長円形の凸部に限らず円形の凸部としてもよい。
【0048】
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図8は、第5の実施の形態のカクテルシェーカー7aの正面図である。カクテルシェーカー7aは、カクテルシェーカー7とほぼ同様な構成であるが、シール部92の設けられる位置が異なっている。カクテルシェーカー7aは、シェーカー本体8aと蓋体9aとからなっており、シェーカー本体8aと蓋体9aの全体的な形状は図7のカクテルシェーカー7と同様である。このカクテルシェーカー7aも、蓋体9がシェーカー本体8の外側に嵌合されて、シェーカー本体8の開放端を覆い密封するものである。
【0049】
シェーカー本体8aの上部には、外方に突出するように係合凸部81が形成されている。また、蓋体9aの下部には内面側に突出するように傾斜凸帯部91が形成されている。蓋体9aの下端部近傍の内周面は、シール部92として形成されている。このカクテルシェーカー7aでも、蓋体9aをシェーカー本体8aの外側に嵌め込んで押し下げ、蓋体9aをシェーカー本体8aに対して相対的に右回りに回動させることにより、係合凸部81と傾斜凸帯部91とを係合させてロック状態とすることができる。ロック状態ではシール部92が蓋体9aとシェーカー本体8aとの間を密封し封止している。
【0050】
ここでは、蓋体9aに傾斜凸帯部を形成しシェーカー本体8aに係合凸部を形成しているが、逆に、蓋体9aに係合凸部を形成しシェーカー本体8aに傾斜凸帯部を形成するようにしてもよい。また、係合凸部の形状は長円形の凸部に限らず円形の凸部としてもよい。
【0051】
次に、図9および図10を参照して、傾斜凸帯部21と係合凸部31の円周方向の位置関係と個数の関係について説明する。図9は、図1におけるカクテルシェーカー1を上方から見た断面図であり、傾斜凸帯部21と係合凸部31の円周方向の位置関係を示す模式的な断面図である。図示のように、傾斜凸帯部21はシェーカー本体2の円周上に4本設けられており、それらが円周上に均等に配置されている。また、係合凸部31は蓋体3の外周上に4個設けられており、それらが円周上に均等に配置されている。蓋体3をシェーカー本体2に対して、矢印で示すように右回りに回動させることによりロック状態とすることができる。
【0052】
図9の例では、係合凸部31は傾斜凸帯部21と同数設けられている。しかし、係合凸部31は、必ずしも傾斜凸帯部21と同数でなくともよい。係合凸部31を傾斜凸帯部21の個数のN倍(ただし、Nは自然数すなわち1以上の整数)の個数設けるようにしてもよい。すなわち、係合凸部31の個数は、傾斜凸帯部21の個数に自然数を乗じた数であってもよい。
【0053】
図10は、係合凸部31の個数を傾斜凸帯部21の個数の2倍とした場合の、円周方向の位置関係を示す模式的な断面図である。図示のように、傾斜凸帯部21はシェーカー本体2の円周上に4本設けられており、それらが円周上に均等に配置されている。また、係合凸部31は蓋体3の外周上に8個設けられており、それらが円周上に均等に配置されている。蓋体3をシェーカー本体2に対して、矢印で示すように右回りに回動させることによりロック状態とすることができる。この場合、係合凸部31の数が多いため、ロック状態とするための回動角度を図9のものよりも小さくすることができる。
【0054】
図9に示す傾斜凸帯部21と係合凸部31の場合、蓋体3をロック状態とするための回動角度が大きいため、ロック状態とする際に、金属同士が擦れ合う高音の異音を発する場合がある。図10に示す傾斜凸帯部21と係合凸部31の場合、蓋体3をロック状態とするための回動角度が小さいため、このような高音の異音はほとんど発生しない。すなわち、図10に示すように、係合凸部31を傾斜凸帯部21の個数のN倍とすることにより、ロック状態とする際の耳障りな異音の発生を防止することができる。なお、図10ではN=2の場合を示したが、N=3,4,…のようにNは任意の自然数とすることができる。
【0055】
次に、図11および図12を参照して、シール部の形状の変形例について説明する。図11は、シール部の形状の変形例を示す断面図である。カクテルシェーカーは図1と同様の構造であり、蓋体3bがシェーカー本体2bの内側に嵌合されている。蓋体3bの下端部近傍の外周面は、シール部32bとして形成されている。シール部32bは、断面形状において接触面が凸形状となるように湾曲している。また、ロック状態においてシール部32bが接触するシェーカー本体2bの接触部分も、接触面が凸形状となるように湾曲している。
【0056】
このように、ロック状態において互いに密着して封止効果を奏するシール部32bとシェーカー本体2bの接触部分は、接触面が凸形状となるように互いに反対方向に湾曲した形状とされている。図3に示すシール部32とシェーカー本体2の接触部分は、断面形状が平坦な形状である。カクテルシェーカー内に飲料および氷などを入れて振り混ぜる作業をしているうちに、シェーカー内部が冷却されて内圧が低下し、シール部32とシェーカー本体2が吸着してしまうことがある。図3に示すシール部32の構造であると、蓋体3が吸着されてしまった場合に、蓋体3を回動してロック状態を外すことが極めて困難になってしまう。
【0057】
図11に示すように、シール部32bとシェーカー本体2bの接触部分を互いに反対方向に湾曲した形状とすることによって、このような吸着状態であっても、簡単に吸着状態を解除してロック状態を外すことができるようになる。図11に示すものでは、シェーカー本体2bに対して蓋体3bを傾けるように力を加えると、シール部32bにおける封止が解除され空気がシェーカー内に流入して吸着状態が解除される。そして、ロック状態を外すことができるようになる。
【0058】
図12は、シール部の形状の同様の変形例を示す断面図である。カクテルシェーカーは図4と同様の構造であり、蓋体3cがシェーカー本体2cの内側に嵌合されている。シェーカー本体2cの上端部近傍の内周面は、シール部22cとして形成されている。シール部22cは、断面形状において接触面が凸形状となるように湾曲している。また、ロック状態においてシール部22cが接触する蓋体3cの接触部分も、接触面が凸形状となるように湾曲している。このように、ロック状態において互いに密着して封止効果を奏するシール部22cと蓋体3cの接触部分は、接触面が凸形状となるように互いに反対方向に湾曲した形状とされている。
【0059】
図12に示すシール部の構造でも、図11に示すシール部と同様の効果を奏する。すなわち、蓋体3cとシェーカー本体2cが吸着状態となってしまった場合でも、簡単に吸着状態を解除してロック状態を外すことができる。図12に示すものでも、シェーカー本体2cに対して蓋体3cを傾けるように力を加えると、シール部22cにおける封止が解除され空気がシェーカー内に流入して吸着状態が解除される。そして、ロック状態を外すことができるようになる。
【0060】
なお、図11および図12においては、蓋体がシェーカー本体の内側に嵌合するカクテルシェーカーについて、シール部の形状の変形例を示したが、蓋体がシェーカー本体の外側に嵌合するカクテルシェーカーに関しても、同様のシール部の形状の変形例が可能である。すなわち、シール部と対向側の接触部を、それらの断面形状において接触面が凸形状となるように互いに反対方向に湾曲した形状に形成すればよい。このような変形例でも図11および図12のものと同様の効果を奏する。
【0061】
以上のように、本発明によれば、蓋体をロック状態とすることにより、蓋体とシェーカー本体とからなるカクテルシェーカーの密封状態を維持できる。蓋体がシェーカー本体にロックされているので、強い力で蓋体をシェーカー本体に押しつけておく必要がなく、カクテルシェーカーを振ることにより、カクテルシェーカー内に収容したカクテル材料を混合してカクテルを作ることが容易にできる。混合作業においても、内容物がカクテルシェーカーから漏れ出たり吹き出したりすることはない。
【0062】
なお、以上の実施の形態では、傾斜凸帯部の個数を4個としているが、4個に限定されるものではなく1個以上であればよい。ただし、実用上は3個から6個とするのが好ましい。係合凸部は傾斜凸帯部の個数のN倍(ただし、Nは自然数)の個数設ける。また、傾斜凸帯部と係合凸部はそれぞれ円周上に均等に配置することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によれば、シェーカー本体と蓋との間の密封性能を改善でき、また、シェーカー本体と蓋とを手で押さえておかなくとも密封状態を維持でき、容器からの飲料の漏れを防止するとともにカクテル混合作業の容易化が可能な大容量のカクテルシェーカーを提供することができる。
【符号の説明】
【0064】
1,1a,4,7,7a カクテルシェーカー
2,2a,5,8,8a シェーカー本体
3,3a,6,9,9a 蓋体
21,61,91 傾斜凸帯部
31,51,81 係合凸部
22,32,62,82,92 シール部
【技術分野】
【0001】
この発明は、酒類などの各種飲料を混合してカクテルを作るための容器すなわちカクテルシェーカーに関するものであり、さらに詳しくは、従来に比べて大容量であるとともに密封性に優れたカクテルシェーカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、酒類などの各種飲料を混合して作られる種々のカクテルが幅広い年齢層の人々に好まれ飲用に供されている。従来のカクテルを作るためのカクテルシェーカーとしては、下記の特許文献1に記載されたようなものがある。特許文献1には、ボディ、ストレーナーおよびトップからなるカクテルシェーカーが記載されている。
【0003】
近年、新しいタイプのカクテルとして、低アルコールで発泡性のものが特に若者層を中心に好まれる傾向にある。このような低アルコールのカクテルは、一度に作成する量が従来のカクテルよりも多く、その作成には従来よりも大容量のカクテルシェーカーが使用される。従来の通常のカクテルシェーカーの容量が300mL程度であるのに対し、低アルコールのカクテル用のカクテルシェーカーの容量は700mL程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−152353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の新しいタイプのカクテルは、大容量のカクテルシェーカーに材料となる飲料を収容して、カクテルシェーカーごと振り混ぜて作られる。ところが、このような大容量のカクテルシェーカーの本体と蓋とを密着するように手で押さえながら振り混ぜることはかなりの腕力と熟練とを要する作業である。大容量のカクテルシェーカーでは、内容物を含めた重量も従来のカクテルシェーカーより大幅に増加している。また、カクテルの材料となる飲料にも発泡性の飲料が多いため、振り混ぜた際の内圧の増加により、カクテルシェーカーから内容物が吹き出してしまうようなことも生じがちである。
【0006】
そこで、本発明は、大容量でありながら、シェーカー本体と蓋との間の密封性能を改善でき、また、シェーカー本体と蓋とを手で押さえておかなくとも密封状態を維持でき、容器からの飲料の漏れを防止するとともにカクテル混合作業の容易化が可能なカクテルシェーカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のカクテルシェーカーは、中心軸に対して略回転対称に形成されるとともに上方が開放され、内部にカクテル材料を収容可能なシェーカー本体と、中心軸に対して略回転対称に形成され、前記シェーカー本体の開放部に嵌合されて前記シェーカー本体とともにカクテルの混合容器を構成する蓋体と、前記シェーカー本体と前記蓋体の一方に形成され、中心軸に垂直な平面に対して傾斜して形成された傾斜凸帯部と、前記シェーカー本体と前記蓋体の他方に形成され、前記傾斜凸帯部に係合して前記蓋体を前記シェーカー本体に対して係止する係合凸部と、前記シェーカー本体と前記蓋体の少なくともいずれか一方に形成され、両者の間を封止するシール部とを有する。そして、前記蓋体を前記シェーカー本体に嵌合させ、前記蓋体を前記シェーカー本体に対して相対的に回動させて、前記蓋体の係止を行うものである。
【0008】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記シェーカー本体および前記蓋体は、ステンレス板材から形成されたものであることが好ましい。
【0009】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記ステンレス板材は、板厚が0.6〜1.0mmのものであることが好ましい。
【0010】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記蓋体を前記シェーカー本体の内側に嵌合されるものとすることができる。
【0011】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記シール部は前記蓋体の下端近傍位置の外面に形成されたものとすることができる。そして、前記シール部と前記シェーカー本体の内面の接触により封止を行うものである。
【0012】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記シール部はシェーカー本体の上端近傍位置の内面に形成されたものとすることができる。そして、前記シール部と前記蓋体の外面の接触により封止を行うものである。
【0013】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記蓋体を前記シェーカー本体の外側に嵌合されるものとすることができる。
【0014】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記シール部は前記シェーカー本体の上端近傍位置の外面に形成されたものとすることができる。そして、前記シール部と前記蓋体の内面の接触により封止を行うものである。
【0015】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記シール部は前記蓋体の下端近傍位置の内面に形成されたものとすることができる。そして、前記シール部と前記シェーカー本体の外面の接触により封止を行うものである。
【0016】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記傾斜凸帯部を前記シェーカー本体に形成し、前記係合凸部を前記蓋体に形成することができる。または、前記係合凸部を前記シェーカー本体に形成し、前記傾斜凸帯部を前記蓋体に形成するようにしてもよい。
【0017】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記係合凸部の個数は、前記傾斜凸帯部の個数に自然数を乗じた数であることが好ましい。
【0018】
また、上記のカクテルシェーカーにおいて、前記シール部と当該シール部が接触する部分は、断面形状において接触面が凸形状となるように互いに反対方向に湾曲した形状に形成されたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上のように構成されているので、以下のような効果を奏する。
【0020】
蓋体をシェーカー本体に取り付けてロック状態とすることにより、蓋体とシェーカー本体とからなるカクテルシェーカーの密封状態を維持できる。蓋体がシェーカー本体にロックされているので、強い力で蓋体をシェーカー本体に押しつけておく必要がなく、カクテルシェーカーを振ることにより、カクテルシェーカー内に収容したカクテル材料を混合してカクテルを作ることが容易にできる。混合作業においても、内容物がカクテルシェーカーから漏れ出たり吹き出したりすることはない。
【0021】
シェーカー本体および蓋体がステンレス板材で形成されているものでは、耐衝撃性や耐腐食性が向上する。また、カクテルシェーカーの洗浄作業が容易で常に清潔に保つことができ、衛生的にも優れたカクテルシェーカーとなる。
【0022】
シール部がシェーカー本体または蓋体のステンレス板材の端部表面に形成され、ステンレス板の表面同士の接触により封止を行うものでは、シール部が比較的柔軟に弾性変形可能であり、シール部と対向側の接触部との密着性が良好で封止性能が向上する。また、ゴム等の柔軟性材料からなるパッキン等の封止部材が不要であり、封止構造が簡素化されてカクテルシェーカーの製造コストを低減させることができる。さらに、シール部が平滑で洗浄作業が容易であるから、シール部を常に清潔に保つことができ、衛生的にも優れたカクテルシェーカーとなる。
【0023】
係合凸部の個数を傾斜凸帯部の個数に自然数を乗じた数としたものでは、係合凸部の個数を増加させてロック状態とするための回動角度を減少させ、ロック状態とする際の異音の発生を防止することができる。
【0024】
シール部と対向側の接触部が断面形状において接触面が凸形状となるように互いに反対方向に湾曲した形状に形成されたものでは、内圧の低下により蓋体とシェーカー本体とが吸着されてしまった場合でも、容易に吸着状態を解除するとともにロック状態を解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明のカクテルシェーカー1の正面図である。
【図2】図2は、カクテルシェーカー1の蓋体3の正面図である。
【図3】図3は、シェーカー本体2の傾斜凸帯部21と蓋体3の係合凸部31との係合状態を示す拡大断面図である。
【図4】図4は、第2の実施の形態のカクテルシェーカー1aの正面図である。
【図5】図5は、傾斜凸帯部21と係合凸部31の係合状態およびシール部22の位置を示す拡大断面図である。
【図6】図6は、第3の実施の形態のカクテルシェーカー4の正面図である。
【図7】図7は、第4の実施の形態のカクテルシェーカー7の正面図である。
【図8】図8は、第5の実施の形態のカクテルシェーカー7aの正面図である。
【図9】図9は、傾斜凸帯部21と係合凸部31の円周方向の位置関係を示す模式的な断面図である。
【図10】図10は、傾斜凸帯部21と係合凸部31の他の形態を示す模式的な断面図である。
【図11】図11は、シール部の形状の変形例を示す断面図である。
【図12】図12は、シール部の形状の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明のカクテルシェーカーは、容量が700mL程度の大容量シェーカーであり、主として低アルコールで発泡性のカクテルを作成するのに使用される。
【0027】
図1は、本発明のカクテルシェーカー1の正面図である。カクテルシェーカー1は、コップ状のシェーカー本体2と、シェーカー本体2の上方開放端を覆う蓋体3とからなる。シェーカー本体2は、上方が開放された有底の容器であり、中心軸に対してほぼ回転対称に形成されている。シェーカー本体2は、ステンレス鋼の薄板(厚さ約0.8mm)で形成されており、下方ほど直径が小さくなるような回転体形状となっている。ステンレス鋼としてはJIS規格におけるSUS304などの材料が適している。ステンレス鋼の薄板は、カクテルシェーカーの剛性や重量を考慮すれば、厚さが0.6〜1.0mmの範囲のものが好ましく、さらに、厚さ約0.8mm程度が特に好ましい。
【0028】
シェーカー本体2の上部には、その中心軸に垂直な平面に対して傾斜した傾斜凸帯部21が形成されている。傾斜凸帯部21はシェーカー本体2の内面側に突出する帯状の凸部である。なお、傾斜凸帯部21は、シェーカー本体2の外方から見た場合は凹部として観察される。傾斜凸帯部21は、シェーカー本体2の円周上に4本設けられており、それらが円周上に均等に配置されている。シェーカー本体2の上端は開放されており、蓋体3を取り外せばシェーカー本体2の上端側からカクテルの材料を入れることができる。
【0029】
蓋体3は下方が開放された釣り鐘形状に形成されている。この蓋体3もステンレス鋼の薄板(厚さ約0.8mm)で形成されており、中心軸に対してほぼ回転対称に形成されている。ステンレス鋼としてはJIS規格におけるSUS304などの材料が適している。ステンレス鋼の薄板は、厚さが0.6〜1.0mmの範囲のものが好ましく、さらに、厚さ約0.8mm程度が特に好ましい。蓋体3はシェーカー本体2の内側に嵌合されて、シェーカー本体2の開放端を覆い密封するものである。このように、カクテルシェーカー全体がステンレス板材で形成されているので、耐衝撃性や耐腐食性が向上する。また、カクテルシェーカーの洗浄作業が容易で常に清潔に保つことができ、衛生的にも優れたカクテルシェーカーとなる。
【0030】
図2にシェーカー本体2から取り外した状態の蓋体3の正面図を示す。蓋体3の下部には係合凸部31が設けられている。係合凸部31は、蓋体3の外方に突出するように設けられており、シェーカー本体2の傾斜凸帯部21と係合可能となっている。係合凸部31は、蓋体3の外周上に4個設けられており、それらが円周上に均等に配置されている。なお、ここでは係合凸部31は長円形の凸部としているが、もっと単純な円形の凸部としてもよい。
【0031】
蓋体3の下端は開放されている。蓋体3の下端部近傍の外周面は、シール部32として形成されている。シール部32は平滑な表面として形成されている。また、シール部32と接触する部分のシェーカー本体2の内面も平滑な表面として形成されている。これらのシール部32とシェーカー本体2の内面は、互いに接触する位置の近傍のみを平滑な表面としてもよいが、シェーカー本体2および蓋体3全体の表面を一様な平滑表面としてもよい。
【0032】
シール部32はシェーカー本体2の内面と密着して封止効果を奏し、カクテルシェーカー1を密封容器とすることができる。シール部32は、ステンレス鋼の薄板の円筒状開放端にあり、比較的柔軟に弾性変形可能である。したがって、シェーカー本体2の内面が回転体から変形していたとしても、シール部32もシェーカー本体2の内面に沿って変形するため、シール部32はシェーカー本体2の内面に密着する。このため、シール部32による密封性が良好である。
【0033】
また、シェーカー本体2と蓋体3との間の封止をステンレス板の表面同士の接触によって行うため、ゴム等の柔軟性材料からなるパッキン等の封止部材が不要である。このため、封止構造が簡素化されてカクテルシェーカーの製造コストを低減させることができる。さらに、シール部が平滑で洗浄作業が容易であるから、シール部を常に清潔に保つことができ、衛生的にも優れたカクテルシェーカーとなる。一般的に、パッキン等の柔軟性材料からなる封止部材には汚れ等が溜まりやすいが、本発明のカクテルシェーカーにはこのような封止部材が不要である。
【0034】
蓋体3をシェーカー本体2に取り付けて、図1に示すようにロック状態とすることができる。まず、蓋体3の係合凸部31をシェーカー本体2の傾斜凸帯部21に当たらない位置にして、蓋体3をシェーカー本体2の内側に押し入れる。その後、蓋体3をシェーカー本体2に対して相対的に右回りに回動させる。すなわち、係合凸部31を、図1の点線矢印に示すように移動させる。
【0035】
蓋体3を右回りに回動させることで、係合凸部31が傾斜凸帯部21に当接して傾斜凸帯部21の傾斜方向に沿って移動する。これにより蓋体3全体がシェーカー本体2の下方(底面方向)に押し込まれ、シール部32がシェーカー本体2の内面に密着される。蓋体3を押し込む力と回動させる力を取り除いても、係合凸部31と傾斜凸帯部21の係合により、蓋体3はシェーカー本体2を密封した状態でロックされる。
【0036】
このように傾斜凸帯部21の傾斜を利用して、蓋体3をシェーカー本体2に対して強力に押し入れることができるため、シェーカー本体2と蓋体3とを強力に密着でき、これらの間の密封性能が大幅に向上する。そして、その密封性の良好な状態を外力を作用させずに保つことができる。従来の大容量カクテルシェーカーは、本体と蓋とを手で押さえて密着するようにしていただけのため、密封性能は低く、振り混ぜた際の内圧の増加により、カクテルシェーカーから内容物が吹き出してしまうようなことも生じがちであった。また、振り混ぜる際にはカクテルシェーカーをずっと手で押さえておく必要があった。
【0037】
図3は、シェーカー本体2の傾斜凸帯部21と蓋体3の係合凸部31との係合状態を示す拡大断面図である。このように傾斜凸帯部21と係合凸部31とが係合して蓋体3がロックされた状態では、蓋体3の下端部近傍外周面であるシール部32がシェーカー本体2の内面に密着されている。このシール部32が蓋体3とシェーカー本体2との間を密封し封止している。
【0038】
蓋体3をシェーカー本体2から取り外すには、蓋体3をシェーカー本体2に対して相対的に左回りに回動させ、図1の点線矢印とは逆向きに係合凸部31を移動させて、蓋体3をシェーカー本体2から引き抜けばよい。蓋体3に左回りの回動力を与えなければ蓋体3が自然に回動して外れてしまうことはない。これは蓋体3とシェーカー本体2との間の摩擦力による。
【0039】
蓋体3をロック状態とすることにより、蓋体3とシェーカー本体2とからなるカクテルシェーカー1は密封容器となる。カクテルシェーカー1を振ることにより、カクテルシェーカー1内に収容したカクテル材料を混合してカクテルを作ることができる。混合作業においても、内容物がカクテルシェーカー1から漏れ出たり吹き出したりすることはない。また、蓋体3がシェーカー本体2にロックされているので、強い力で蓋体3をシェーカー本体2に押しつけておく必要がなく、カクテルシェーカー1を振る作業が従来のシェーカーよりも大幅にやりやすくなる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は、第2の実施の形態のカクテルシェーカー1aの正面図である。カクテルシェーカー1aは、カクテルシェーカー1とほぼ同様な構成であるが、シール部22の設けられる位置が異なっている。カクテルシェーカー1aは、シェーカー本体2aと蓋体3aとからなっており、シェーカー本体2aと蓋体3aの全体的な構成は図1のカクテルシェーカー1とほぼ同様である。このカクテルシェーカー1aでは、シール部22がシェーカー本体2aの上端部近傍の内周面に設けられている。
【0041】
シェーカー本体2aの上部には、内面側に突出するように傾斜凸帯部21が形成されている。また、蓋体3aの下部には外方に突出するように係合凸部31が形成されている。シェーカー本体2aの上端部近傍の内周面は、シール部22として形成されている。このカクテルシェーカー1aでも、蓋体3aをシェーカー本体2aの内側に押し入れ、蓋体3aをシェーカー本体2aに対して相対的に右回りに回動させることにより、係合凸部31と傾斜凸帯部21とを係合させてロック状態とすることができる。ロック状態ではシール部22が蓋体3aとシェーカー本体2aとの間を密封し封止している。
【0042】
図5は、カクテルシェーカー1aにおける傾斜凸帯部21と係合凸部31の係合状態およびシール部22の位置を示す拡大断面図である。このように傾斜凸帯部21と係合凸部31とが係合して蓋体3がロックされた状態では、シェーカー本体2aの上端部近傍内周面であるシール部22が蓋体3aの外面に密着されている。このシール部22がシェーカー本体2aと蓋体3aとの間を密封し封止している。
【0043】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図6は、第3の実施の形態のカクテルシェーカー4の正面図である。カクテルシェーカー4は、カクテルシェーカー1とほぼ同様な構成であるが、傾斜凸帯部と係合凸部の設けられる位置が異なっている。カクテルシェーカー4は、シェーカー本体5と蓋体6とからなっており、シェーカー本体5と蓋体6の全体的な構成は図1のカクテルシェーカー1と同様である。
【0044】
シェーカー本体5の上部には、内面側に突出するように係合凸部51が形成されている。また、蓋体6の下部には外方に突出するように傾斜凸帯部61が形成されている。蓋体6の下端部近傍の外周面は、シール部62として形成されている。このカクテルシェーカー4でも、蓋体6をシェーカー本体5の内側に押し入れ、蓋体6をシェーカー本体5に対して相対的に右回りに回動させることにより、係合凸部51と傾斜凸帯部61とを係合させてロック状態とすることができる。ロック状態ではシール部62が蓋体6とシェーカー本体5との間を密封し封止している。
【0045】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図7は、第4の実施の形態のカクテルシェーカー7の正面図である。カクテルシェーカー7は、シェーカー本体8と蓋体9とからなっており、シェーカー本体8と蓋体9の全体的な形状は図1のカクテルシェーカー1と同様である。このカクテルシェーカー7では、蓋体9がシェーカー本体8の外側に嵌合されて、シェーカー本体8の開放端を覆い密封するものである。
【0046】
シェーカー本体8の上部には、外方に突出するように係合凸部81が形成されている。また、蓋体9の下部には内面側に突出するように傾斜凸帯部91が形成されている。シェーカー本体8の上端部近傍の外周面は、シール部82として形成されている。このカクテルシェーカー7でも、蓋体9をシェーカー本体8の外側に嵌め込んで押し下げ、蓋体9をシェーカー本体8に対して相対的に右回りに回動させることにより、係合凸部81と傾斜凸帯部91とを係合させてロック状態とすることができる。ロック状態ではシール部82が蓋体9とシェーカー本体8との間を密封し封止している。
【0047】
ここでは、蓋体9に傾斜凸帯部を形成しシェーカー本体8に係合凸部を形成しているが、逆に、蓋体9に係合凸部を形成しシェーカー本体8に傾斜凸帯部を形成するようにしてもよい。また、係合凸部の形状は長円形の凸部に限らず円形の凸部としてもよい。
【0048】
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図8は、第5の実施の形態のカクテルシェーカー7aの正面図である。カクテルシェーカー7aは、カクテルシェーカー7とほぼ同様な構成であるが、シール部92の設けられる位置が異なっている。カクテルシェーカー7aは、シェーカー本体8aと蓋体9aとからなっており、シェーカー本体8aと蓋体9aの全体的な形状は図7のカクテルシェーカー7と同様である。このカクテルシェーカー7aも、蓋体9がシェーカー本体8の外側に嵌合されて、シェーカー本体8の開放端を覆い密封するものである。
【0049】
シェーカー本体8aの上部には、外方に突出するように係合凸部81が形成されている。また、蓋体9aの下部には内面側に突出するように傾斜凸帯部91が形成されている。蓋体9aの下端部近傍の内周面は、シール部92として形成されている。このカクテルシェーカー7aでも、蓋体9aをシェーカー本体8aの外側に嵌め込んで押し下げ、蓋体9aをシェーカー本体8aに対して相対的に右回りに回動させることにより、係合凸部81と傾斜凸帯部91とを係合させてロック状態とすることができる。ロック状態ではシール部92が蓋体9aとシェーカー本体8aとの間を密封し封止している。
【0050】
ここでは、蓋体9aに傾斜凸帯部を形成しシェーカー本体8aに係合凸部を形成しているが、逆に、蓋体9aに係合凸部を形成しシェーカー本体8aに傾斜凸帯部を形成するようにしてもよい。また、係合凸部の形状は長円形の凸部に限らず円形の凸部としてもよい。
【0051】
次に、図9および図10を参照して、傾斜凸帯部21と係合凸部31の円周方向の位置関係と個数の関係について説明する。図9は、図1におけるカクテルシェーカー1を上方から見た断面図であり、傾斜凸帯部21と係合凸部31の円周方向の位置関係を示す模式的な断面図である。図示のように、傾斜凸帯部21はシェーカー本体2の円周上に4本設けられており、それらが円周上に均等に配置されている。また、係合凸部31は蓋体3の外周上に4個設けられており、それらが円周上に均等に配置されている。蓋体3をシェーカー本体2に対して、矢印で示すように右回りに回動させることによりロック状態とすることができる。
【0052】
図9の例では、係合凸部31は傾斜凸帯部21と同数設けられている。しかし、係合凸部31は、必ずしも傾斜凸帯部21と同数でなくともよい。係合凸部31を傾斜凸帯部21の個数のN倍(ただし、Nは自然数すなわち1以上の整数)の個数設けるようにしてもよい。すなわち、係合凸部31の個数は、傾斜凸帯部21の個数に自然数を乗じた数であってもよい。
【0053】
図10は、係合凸部31の個数を傾斜凸帯部21の個数の2倍とした場合の、円周方向の位置関係を示す模式的な断面図である。図示のように、傾斜凸帯部21はシェーカー本体2の円周上に4本設けられており、それらが円周上に均等に配置されている。また、係合凸部31は蓋体3の外周上に8個設けられており、それらが円周上に均等に配置されている。蓋体3をシェーカー本体2に対して、矢印で示すように右回りに回動させることによりロック状態とすることができる。この場合、係合凸部31の数が多いため、ロック状態とするための回動角度を図9のものよりも小さくすることができる。
【0054】
図9に示す傾斜凸帯部21と係合凸部31の場合、蓋体3をロック状態とするための回動角度が大きいため、ロック状態とする際に、金属同士が擦れ合う高音の異音を発する場合がある。図10に示す傾斜凸帯部21と係合凸部31の場合、蓋体3をロック状態とするための回動角度が小さいため、このような高音の異音はほとんど発生しない。すなわち、図10に示すように、係合凸部31を傾斜凸帯部21の個数のN倍とすることにより、ロック状態とする際の耳障りな異音の発生を防止することができる。なお、図10ではN=2の場合を示したが、N=3,4,…のようにNは任意の自然数とすることができる。
【0055】
次に、図11および図12を参照して、シール部の形状の変形例について説明する。図11は、シール部の形状の変形例を示す断面図である。カクテルシェーカーは図1と同様の構造であり、蓋体3bがシェーカー本体2bの内側に嵌合されている。蓋体3bの下端部近傍の外周面は、シール部32bとして形成されている。シール部32bは、断面形状において接触面が凸形状となるように湾曲している。また、ロック状態においてシール部32bが接触するシェーカー本体2bの接触部分も、接触面が凸形状となるように湾曲している。
【0056】
このように、ロック状態において互いに密着して封止効果を奏するシール部32bとシェーカー本体2bの接触部分は、接触面が凸形状となるように互いに反対方向に湾曲した形状とされている。図3に示すシール部32とシェーカー本体2の接触部分は、断面形状が平坦な形状である。カクテルシェーカー内に飲料および氷などを入れて振り混ぜる作業をしているうちに、シェーカー内部が冷却されて内圧が低下し、シール部32とシェーカー本体2が吸着してしまうことがある。図3に示すシール部32の構造であると、蓋体3が吸着されてしまった場合に、蓋体3を回動してロック状態を外すことが極めて困難になってしまう。
【0057】
図11に示すように、シール部32bとシェーカー本体2bの接触部分を互いに反対方向に湾曲した形状とすることによって、このような吸着状態であっても、簡単に吸着状態を解除してロック状態を外すことができるようになる。図11に示すものでは、シェーカー本体2bに対して蓋体3bを傾けるように力を加えると、シール部32bにおける封止が解除され空気がシェーカー内に流入して吸着状態が解除される。そして、ロック状態を外すことができるようになる。
【0058】
図12は、シール部の形状の同様の変形例を示す断面図である。カクテルシェーカーは図4と同様の構造であり、蓋体3cがシェーカー本体2cの内側に嵌合されている。シェーカー本体2cの上端部近傍の内周面は、シール部22cとして形成されている。シール部22cは、断面形状において接触面が凸形状となるように湾曲している。また、ロック状態においてシール部22cが接触する蓋体3cの接触部分も、接触面が凸形状となるように湾曲している。このように、ロック状態において互いに密着して封止効果を奏するシール部22cと蓋体3cの接触部分は、接触面が凸形状となるように互いに反対方向に湾曲した形状とされている。
【0059】
図12に示すシール部の構造でも、図11に示すシール部と同様の効果を奏する。すなわち、蓋体3cとシェーカー本体2cが吸着状態となってしまった場合でも、簡単に吸着状態を解除してロック状態を外すことができる。図12に示すものでも、シェーカー本体2cに対して蓋体3cを傾けるように力を加えると、シール部22cにおける封止が解除され空気がシェーカー内に流入して吸着状態が解除される。そして、ロック状態を外すことができるようになる。
【0060】
なお、図11および図12においては、蓋体がシェーカー本体の内側に嵌合するカクテルシェーカーについて、シール部の形状の変形例を示したが、蓋体がシェーカー本体の外側に嵌合するカクテルシェーカーに関しても、同様のシール部の形状の変形例が可能である。すなわち、シール部と対向側の接触部を、それらの断面形状において接触面が凸形状となるように互いに反対方向に湾曲した形状に形成すればよい。このような変形例でも図11および図12のものと同様の効果を奏する。
【0061】
以上のように、本発明によれば、蓋体をロック状態とすることにより、蓋体とシェーカー本体とからなるカクテルシェーカーの密封状態を維持できる。蓋体がシェーカー本体にロックされているので、強い力で蓋体をシェーカー本体に押しつけておく必要がなく、カクテルシェーカーを振ることにより、カクテルシェーカー内に収容したカクテル材料を混合してカクテルを作ることが容易にできる。混合作業においても、内容物がカクテルシェーカーから漏れ出たり吹き出したりすることはない。
【0062】
なお、以上の実施の形態では、傾斜凸帯部の個数を4個としているが、4個に限定されるものではなく1個以上であればよい。ただし、実用上は3個から6個とするのが好ましい。係合凸部は傾斜凸帯部の個数のN倍(ただし、Nは自然数)の個数設ける。また、傾斜凸帯部と係合凸部はそれぞれ円周上に均等に配置することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によれば、シェーカー本体と蓋との間の密封性能を改善でき、また、シェーカー本体と蓋とを手で押さえておかなくとも密封状態を維持でき、容器からの飲料の漏れを防止するとともにカクテル混合作業の容易化が可能な大容量のカクテルシェーカーを提供することができる。
【符号の説明】
【0064】
1,1a,4,7,7a カクテルシェーカー
2,2a,5,8,8a シェーカー本体
3,3a,6,9,9a 蓋体
21,61,91 傾斜凸帯部
31,51,81 係合凸部
22,32,62,82,92 シール部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に対して略回転対称に形成されるとともに上方が開放され、内部にカクテル材料を収容可能なシェーカー本体(2,5,8)と、
中心軸に対して略回転対称に形成され、前記シェーカー本体(2,5,8)の開放部に嵌合されて前記シェーカー本体(2,5,8)とともにカクテルの混合容器を構成する蓋体(3,6,9)と、
前記シェーカー本体(2,5,8)と前記蓋体(3,6,9)の一方に形成され、中心軸に垂直な平面に対して傾斜して形成された傾斜凸帯部(21,61,91)と、
前記シェーカー本体(2,5,8)と前記蓋体(3,6,9)の他方に形成され、前記傾斜凸帯部(21,61,91)に係合して前記蓋体(3,6,9)を前記シェーカー本体(2,5,8)に対して係止する係合凸部(31,51,81)と、
前記シェーカー本体(2,5,8)と前記蓋体(3,6,9)の少なくともいずれか一方に形成され、両者の間を封止するシール部(32,62,82)とを有し、
前記蓋体(3,6,9)を前記シェーカー本体(2,5,8)に嵌合させ、前記蓋体(3,6,9)を前記シェーカー本体(2,5,8)に対して相対的に回動させて、前記蓋体(3,6,9)の係止を行うものであるカクテルシェーカー。
【請求項2】
請求項1に記載したカクテルシェーカーであって、
前記シェーカー本体(2,5,8)および前記蓋体(3,6,9)は、ステンレス板材から形成されたものであるカクテルシェーカー。
【請求項3】
請求項2に記載したカクテルシェーカーであって、
前記ステンレス板材は、板厚が0.6〜1.0mmのものであるカクテルシェーカー。
【請求項4】
請求項2,3のいずれか1項に記載したカクテルシェーカーであって、
前記蓋体(3,3a,6)は前記シェーカー本体(2,2a,5)の内側に嵌合されるものであるカクテルシェーカー。
【請求項5】
請求項4に記載したカクテルシェーカーであって、
前記シール部(32,62)は前記蓋体(3,6)の下端近傍位置の外面に形成されたものであり、
前記シール部(32,62)と前記シェーカー本体(2,5)の内面の接触により封止を行うものであるカクテルシェーカー。
【請求項6】
請求項4に記載したカクテルシェーカーであって、
前記シール部(22)はシェーカー本体(2a)の上端近傍位置の内面に形成されたものであり、
前記シール部(22)と前記蓋体(3a)の外面の接触により封止を行うものであるカクテルシェーカー。
【請求項7】
請求項2,3のいずれか1項に記載したカクテルシェーカーであって、
前記蓋体(9)は前記シェーカー本体(8)の外側に嵌合されるものであるカクテルシェーカー。
【請求項8】
請求項7に記載したカクテルシェーカーであって、
前記シール部(82)は前記シェーカー本体(8)の上端近傍位置の外面に形成されたものであり、
前記シール部(82)と前記蓋体(9)の内面の接触により封止を行うものであるカクテルシェーカー。
【請求項9】
請求項7に記載したカクテルシェーカーであって、
前記シール部(92)は前記蓋体(9a)の下端近傍位置の内面に形成されたものであり、
前記シール部(92)と前記シェーカー本体(8a)の外面の接触により封止を行うものであるカクテルシェーカー。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載したカクテルシェーカーであって、
前記傾斜凸帯部(21)は前記シェーカー本体(2)に形成されたものであり、
前記係合凸部(31)は前記蓋体(3)に形成されたものであるカクテルシェーカー。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載したカクテルシェーカーであって、
前記傾斜凸帯部(91)は前記蓋体(9)に形成されたものであり、
前記係合凸部(81)は前記シェーカー本体(8)に形成されたものであるカクテルシェーカー。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載したカクテルシェーカーであって、
前記係合凸部(31)の個数は、前記傾斜凸帯部(21)の個数に自然数を乗じた数であるカクテルシェーカー。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載したカクテルシェーカーであって、
前記シール部(22c,32b)と当該シール部(22c,32b)が接触する部分は、断面形状において接触面が凸形状となるように互いに反対方向に湾曲した形状に形成されたものであるカクテルシェーカー。
【請求項1】
中心軸に対して略回転対称に形成されるとともに上方が開放され、内部にカクテル材料を収容可能なシェーカー本体(2,5,8)と、
中心軸に対して略回転対称に形成され、前記シェーカー本体(2,5,8)の開放部に嵌合されて前記シェーカー本体(2,5,8)とともにカクテルの混合容器を構成する蓋体(3,6,9)と、
前記シェーカー本体(2,5,8)と前記蓋体(3,6,9)の一方に形成され、中心軸に垂直な平面に対して傾斜して形成された傾斜凸帯部(21,61,91)と、
前記シェーカー本体(2,5,8)と前記蓋体(3,6,9)の他方に形成され、前記傾斜凸帯部(21,61,91)に係合して前記蓋体(3,6,9)を前記シェーカー本体(2,5,8)に対して係止する係合凸部(31,51,81)と、
前記シェーカー本体(2,5,8)と前記蓋体(3,6,9)の少なくともいずれか一方に形成され、両者の間を封止するシール部(32,62,82)とを有し、
前記蓋体(3,6,9)を前記シェーカー本体(2,5,8)に嵌合させ、前記蓋体(3,6,9)を前記シェーカー本体(2,5,8)に対して相対的に回動させて、前記蓋体(3,6,9)の係止を行うものであるカクテルシェーカー。
【請求項2】
請求項1に記載したカクテルシェーカーであって、
前記シェーカー本体(2,5,8)および前記蓋体(3,6,9)は、ステンレス板材から形成されたものであるカクテルシェーカー。
【請求項3】
請求項2に記載したカクテルシェーカーであって、
前記ステンレス板材は、板厚が0.6〜1.0mmのものであるカクテルシェーカー。
【請求項4】
請求項2,3のいずれか1項に記載したカクテルシェーカーであって、
前記蓋体(3,3a,6)は前記シェーカー本体(2,2a,5)の内側に嵌合されるものであるカクテルシェーカー。
【請求項5】
請求項4に記載したカクテルシェーカーであって、
前記シール部(32,62)は前記蓋体(3,6)の下端近傍位置の外面に形成されたものであり、
前記シール部(32,62)と前記シェーカー本体(2,5)の内面の接触により封止を行うものであるカクテルシェーカー。
【請求項6】
請求項4に記載したカクテルシェーカーであって、
前記シール部(22)はシェーカー本体(2a)の上端近傍位置の内面に形成されたものであり、
前記シール部(22)と前記蓋体(3a)の外面の接触により封止を行うものであるカクテルシェーカー。
【請求項7】
請求項2,3のいずれか1項に記載したカクテルシェーカーであって、
前記蓋体(9)は前記シェーカー本体(8)の外側に嵌合されるものであるカクテルシェーカー。
【請求項8】
請求項7に記載したカクテルシェーカーであって、
前記シール部(82)は前記シェーカー本体(8)の上端近傍位置の外面に形成されたものであり、
前記シール部(82)と前記蓋体(9)の内面の接触により封止を行うものであるカクテルシェーカー。
【請求項9】
請求項7に記載したカクテルシェーカーであって、
前記シール部(92)は前記蓋体(9a)の下端近傍位置の内面に形成されたものであり、
前記シール部(92)と前記シェーカー本体(8a)の外面の接触により封止を行うものであるカクテルシェーカー。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載したカクテルシェーカーであって、
前記傾斜凸帯部(21)は前記シェーカー本体(2)に形成されたものであり、
前記係合凸部(31)は前記蓋体(3)に形成されたものであるカクテルシェーカー。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載したカクテルシェーカーであって、
前記傾斜凸帯部(91)は前記蓋体(9)に形成されたものであり、
前記係合凸部(81)は前記シェーカー本体(8)に形成されたものであるカクテルシェーカー。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載したカクテルシェーカーであって、
前記係合凸部(31)の個数は、前記傾斜凸帯部(21)の個数に自然数を乗じた数であるカクテルシェーカー。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載したカクテルシェーカーであって、
前記シール部(22c,32b)と当該シール部(22c,32b)が接触する部分は、断面形状において接触面が凸形状となるように互いに反対方向に湾曲した形状に形成されたものであるカクテルシェーカー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−196433(P2012−196433A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−46183(P2012−46183)
【出願日】平成24年3月2日(2012.3.2)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【出願人】(591036996)フジテクノ株式会社 (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月2日(2012.3.2)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【出願人】(591036996)フジテクノ株式会社 (31)
【Fターム(参考)】
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