説明

カチオン性カードラン誘導体/金ナノワイヤー複合体

【課題】金イオンを還元してナノワイヤー化することにより水媒体中で分散・安定な高機能化が気体できる複合体を提供する。
【解決手段】特定のカチオン性カードラン誘導体の有する金イオンの光還元促進作用と生成するナノワイヤー状金に対する包接能を活用し、ならびに生成するカードラン誘導体/ナノワイヤー上金複合体の表面カチオン部位を機能性アニオン化合物で中和することにより課題を達成。なお、カチオン部位を中和する機能性アニオン化合物として例えばテトラキス(4−スルホナトフェニル)ポルフィリンを使用することによって得られるカチオン性カードラン誘導体/ナノワイヤー状金複合体のポルフィリンスルホナト塩は、ラマン散乱スペクトルの増強効果を示し、ナノセンシング素子等としての利用が期待される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノテクノロジーの技術分野に属し、詳細には、カチオン性多糖誘導体と金ナノワイヤーとから成る複合体およびその製造方法、ならびに該複合体の応用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金をはじめとする各種金属のナノ構造体の特徴的な電子的、光学的、磁気的特性が注目されている。金の光学的性質の例では、金ナノ構造体の形状やサイズに依存することから、構造体の形状とサイズを制御する研究が盛んに行われている。中でもナノロッドやナノワイヤー、ナノリボンといった一次元金ナノ構造体はナノ配線などへの応用が検討されており(非特許文献1〜3)、これまでにテンプレート法や光還元法、シード法、電気化学的手法など、様々な合成手法が報告されている(非特許文献4〜6)。中でも生体分子をテンプレートにした手法はその容易さおよびグリーンケミストリーの観点から注目されている手法の一つである。これまでDNAやタンパク質をテンプレートとした手法が多数報告されているが、それらのほとんどは金ナノ粒子を一次元状に配列するものであり、金イオンの還元から構造体形成までを一つの分子で担う手法はほとんど見当たらない。また、これまでの手法では形成された金ナノ構造体の表面に自在に機能を付与することは困難であり、新たな手法の確立が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−20532号公報
【特許文献2】特開2007−290045号公報
【特許文献3】WO 03101972
【特許文献4】特開2008-208294
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】E. Ozbay, Science, 2006, 311, 189.
【非特許文献2】N. R. Jana,Small, 2005, 1, 875.
【非特許文献3】T. Soejima and N. Kimizuka, Chem. Lett., 2005, 34 , 1234.
【非特許文献4】W. A. Lopesand H. M. Jaeger, Nature, 2001, 414 , 735.
【非特許文献5】D. Aili, K. Enander, J. Rydberg, I. Nesterenko, F. Bjorefors, L. Baltzer and B. Liedberg, J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 5780.
【非特許文献6】T. O.Hutchinson, Y. -P. Liu, C. J. Kiely and M. Brust, Adv. Mater., 2001, 13, 1800.
【非特許文献7】G. Borjihan, G. Zhong, H. Baigude, H. Nakashima and T. Uryu,Polym.Adv. Technol., 14, 326-329 (2003)
【非特許文献8】V. V. Rostovtsev,L. G. Green, V. V. Fokinand K. B. Sharpless, Angew.Chem. Int. Ed., 41, 2596-2599 (2002)
【非特許文献9】T. Hasegawa,M. Umeda, M. Numata, T.Fujisawa, S. Haraguchi, K. Sakurai and S. Shinkai, Chem. Lett., 35, 82-83(2006).
【非特許文献10】T. Hasegawa,M. Umeda, M. Numata, C. Li,A.-H. Bae, T. Fujisawa, S. Haraguchi, K. Sakurai and S. Shinkai,Carbohydrate Res., 341,35-40 (2006)
【非特許文献11】H. -Y. Wu, W.-L. Huang and M. H. Huang, Crystal Grouth &Design, 2007, 7 , 831.
【非特許文献12】J. Zhang, J. Du, B. Han, Z. Liu, T. Jiang andZ. Zhang, Angew. Chem. Int. Ed., 2006, 45, 1116.
【非特許文献13】B. Nikoobakht and M. A. El-Sayed,Chem. Mater., 2003, 15 , 1957.
【非特許文献14】T. Soejimaand N. Kimiduka, Chem. Lett.,2005, 34 , 1234.
【非特許文献15】N. Mackiewicz, G. Surendran, H. Remita, B. Keita,G. Zhang, L. Nadio, A. Hagege,E. Doris and C. Mioskowski, J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 8110.
【非特許文献16】D. Aili,K. Enander, J. Rydberg, I. Nesterenko, F. Bjorefors, L. Baltzer and B. Liedberg, J. Am.Chem., Soc. 2008, 130, 5780.
【非特許文献17】W. A. Lopes, and H. M. Jaeger, Nature 2001, 414, 735.
【非特許文献18】D. -M. Chen, T. He, D. -F. Cong, Y. -H. Zhang and F. -C. Liu, J. Phys.Chem., A 2001, 105, 3981.
【0005】
本発明者らは、多糖β−1,3−グルカンの一種であるシゾフィラン(SPG)やカードラン(CUR)の内部疎水場が一次元ホストとして働き、様々なゲスト分子を包接することを見出している。近年ではSPGのゲスト分子として金ナノ粒子を用いることで金ナノ粒子の一次元配列化および後続処理によるナノワイヤー化を達成している(特許文献1および2)。しかしながら、この手法でも既成の金ナノ粒子を配列するに留まっており、金属イオンの還元から形状制御、さらには表面の機能化までを担ったテンプレート分子とは言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、金イオンを還元してナノワイヤー化することにより水溶液中で分散・安定な複合体を得ることができ、さらに、得られた複合体の高機能化まで可能とする新しい技術を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、カチオン性カードランの特性を利用することにより上記目的が達成されることを見出し、本発明を導き出したものである。
かくして、本発明者に従えば、カチオン性カードラン誘導体と金ナノワイヤーとから成ることを特徴とする複合体が提供される。
さらに、本発明に従えば、その複合体を製造する方法であって、カチオン性カードラン誘導体の存在下、塩基性条件下で塩化金酸塩を水溶液中で光還元することを特徴とする方法が提供される。
【0008】
また、本発明は、上記の複合体の用途として、当該複合体を使用してアニオン性化合物を検出する方法であって、(1)複合体とアニオン性化合物を水溶液中で混合する工程、および(2)得られた溶液を乾燥して、そのラマン散光を測定する工程を含むことを特徴とする方法を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、上記複合体の更なる用途として、当該複合体に静電的相互作用によりアニオン性化合物が結合して成ることを特徴とする塩を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の概念図。カチオン性のカードランであるCUR−Nはその分子認識部位とゲスト包接能により優れたテンプレート分子として働くと考えられる。
【図2】アニオン性ポルフィリン(TPPS)の構造。
【図3】実施例1のサンプル1から得られたTEM像。金がランダムに結晶成長した構造体が観察された。
【図4】実施例1のサンプル2から得られたTEM像。ワイヤー状の構造体が観察された。pHをコントロールすることで、CUR−Nをテンプレートとした一次元金ナノ構造体の構築が可能であることが示された。
【図5】実施例1のサンプル2から得られたAFM像。高さが均一なワイヤー状の構造体が観察された。
【図6】実施例2で行った遠心分離による精製を行った後のTEM像。遠心分離によりCUR−N/Auナノ構造体の単離が可能であると明らかとなった。
【図7】実施例3で行ったHRTEMによるHRTEM像、電子線回折パターンおよびEDXスペクトル測定の結果。
【図8】実施例4で行った光照射時間を変えた場合の反応溶液の吸収スペクトル変化。光照射時間の経過とともに近赤外領域の吸光度が上昇したことから、金ナノ構造体の形成が確認された。
【図9】実施例4で得られた光照射時間を短くした反応溶液の吸収スペクトル測定の結果。金ナノ構造体に特徴的な吸収ピークが確認された。
【図10】実施例4で得られた光照射時間を短くした反応溶液のTEM像。ナノ粒子が一次元状に組織化され、それが成長、融合することで一次元状のナノ構造体が形成されていることが明らかとなった。
【図11】実施例4で行ったゼータ電位測定の結果。構造体の表面がカチオン性であり、CUR−N/Auナノ構造体の表面にCUR−Nが存在していることが示された。
【図12】実施例5で行ったCUR−N/Auナノ構造体存在下でのアニオン性ポルフィリン (TPPS)の吸収スペクトルおよびCDスペクトル測定の結果。TPPSがCUR−N/Auナノ構造体表面に存在しているCUR−Nと相互作用していることが確認された。
【図13】実施例6で行ったSERS測定の結果。アニオン性のポルフィリンであるTPPSがCUR−N/Auナノ構造体の表面に存在することでポルフィリンのラマン散乱が増強されていることが確認された。
【図14】比較例1で行ったCUR−N/SWNT複合体存在下での金イオンの光還元により得られた金構造体のTEM像。ワイヤー状の構造体は観察されず、ナノ粒子のみが観察された。この結果より、一次元状の金ナノ構造体を得るにはCUR−Nの疎水空間が必要であると言える。
【図15】比較例2で行ったカチオン性ポリマーであるPDDA存在下での金イオンの光還元により得られた金ナノ構造体のTEM像。CUR−N以外のカチオン性のポリマーを用いても一次元状の構造体は合成されないことが明らかとなった。
【図16】比較例3で行った還元性を有する多糖であるキトサン存在下での金イオンの光還元により得られた金構造体のTEM像。一次元状の構造体は観察されず、一次元状のナノ構造体を得るにはCUR−Nのゲスト包接能が重要であることが確認された。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の複合体を構成するカチオン性カードラン誘導体とは、多糖であるβ−1,3−グルカンに属するカードランの側鎖に各種のカチオン性の官能基または原子団が導入されたものであるが、好ましい例として、下記の式(I)で表される繰り返し単位から成るものが挙げられる。
【0012】
【化1】

【0013】
式(I)中、Rはカチオン性置換基を表わす。カチオン性置換基として好ましい例は4級アンモニウム基(例えば、トリメチルアンモニウム基)であるが、これに限定されるものではない。
【0014】
本発明で使用する如上のカチオン性カードラン誘導体は既知の反応を組み合わせることにより合成することができる。例えば、カードランをアジド化し(非特許文献7)、次いでClick Chemistry(非特許文献8および特許文献3)の手法でイオン性置換基を導入することができる(非特許文献9および10)。
例えば、カチオン性置換基に−N(CH(トリメチルアンモニウム)を用いる場合の合成条件の詳細は特許文献4に記述されているが、略述すれば、原料のアジド化カードランをDMSOのような溶媒に溶かし、これに、蒸留水、プロピルアミン、CuBr、アスコルビン酸を加えた後、1−プロピニル−トリメチルアンモニウムを加え、室温で1〜10時間攪拌し、得られた溶液を透析、凍結乾燥することにより得られる。
原料として用いるカードランの分子量は特に限定されるものではないが、重量平均分子量として約1,000,000のものが比較的容易に入手可能である。
【0015】
本発明のカチオン性カードラン誘導体と金ナノワイヤーとから成る複合体は、上述したようなカチオン性カードラン誘導体の存在下に、塩化金酸塩を水溶液中で光還元することにより製造(調製)される。
金イオンを還元して金ナノ構造体を得るには、従来からも、種々の方法が提案されている。例えば、まず、還元剤あるいは還元を行なうための電子源が必要であり、NaBHやアスコルビン酸などの還元剤による還元(非特許文献11)や、糖類やアミン類などの電子源として熱・光・超音波等とを作用することによる還元が行なわれている(非特許文献12)。一方、還元により生成した金を溶液中で安定に存在させるシステムが必要であり、カチオン性界面活性剤のCetyltrimethylammonium Bromide(CTAB)を安定剤として用いる方法が多数報告されている(非特許文献11および13)。CTABは金の安定剤としてのみではなく、還元される金イオンの濃縮効果もあると言われている(非特許文献13)。つまり、還元により形状が制御された金ナノ構造体を効率的に構築するには、(1)金イオンの濃縮効果を担う分子、(2)金イオンを効率よく還元する電子源、(3)還元された金を安定に存在させる安定剤が必要であると考えられるが、単一の物質がこれらの役割を担うような簡便な還元による金ナノ構造体を製造する方法は見当たらない。
【0016】
本発明において、カチオン性カードラン誘導体(以下CUR−Nと略記することがある)は、(1)多くのカチオン部位が局在しているため金イオンの濃縮効果が期待できる、(2)糖であるため水酸基が還元の電子源として働く(非特許文献13)、(3)還元された金をらせん内部(疎水空間)に包接し安定剤として働く、と一つの分子で三条件の全てを満たし、格別に還元剤や安定剤の添加剤を必要とせず、金イオンの還元に最適な化合物と考えられる。
【0017】
図1には、本発明に従う複合体生成におけるカチオン性カードラン誘導体の作用及び得られる複合体の構造を模式的に示している。カチオン性カードラン誘導体(CUR−N)と金ナノワイヤーとから成る本発明の複合体は、CUR−Nが一次元ホストとして働き、金ナノ構造体(金ナノワイヤー)をそのらせん状内部(疎水空間)に包接して安定化するとともに、表面にCUR−Nの側鎖に由来するカチオン性の置換基が存在する。金ナノワイヤーの幅は、一般に約10〜200nmであるが、好ましくは20〜50nm程度である。本発明に従うCUR−N/金ナノワイヤー複合体がこのような構造を呈することは、各種の分析手段により確認されている(後述の実施例参照)。
【0018】
塩化金酸塩を水溶液中で還元すると金が生成することは知られているが、本発明に従いCUR−N/金ナノワイヤー複合体を製造するに際しては、還元反応におけるpH条件が肝要である。すなわち、酸性あるいは中性条件下において金イオンの光還元を行っても特徴的な金のナノ構造体は形成されず、塩基性条件下で光還元を行うことによりはじめてワイヤー状の金ナノ構造体が形成される。これは、pHによって塩化金酸の構造が変化し、それに伴いCUR−Nとの相互作用も変化するためと理解される。
【0019】
本発明に従いカチオン性カードラン誘導体/金ナノワイヤー複合体を製造するには、光還元により得られた溶液は、通常、適当な分離手段(好ましくは遠心分離)に供されて、沈殿物を回収する。
【0020】
光還元工程における光量や光照射時間、あるいは分離工程における遠心分離の回転数などの操作条件は、原料の濃度(量)などに依存するが、TEMやAFMなどによる観察により所望の金ナノワイヤーを生成するよう操作条件を定めることができる(後述の実施例参照)。
【0021】
本発明は、CUR−Nをテンプレートとして利用することにより、安定した金ナノ構造体(金ナノワイヤー)を含む複合体の形成を可能にしたものである。その際、CUR−Nは、金(金イオン)を還元して金ナノ構造体を得るための必要条件のすべてを満たす理想的なテンプレート分子として機能し、このような効果は他の物質をテンプレートとして試みても得られない(後述の比較例参照)。
【0022】
カチオン性カードラン誘導体と金ナノワイヤーとから成る本発明の複合体は、その表面にカチオン性置換基が存在してカチオン性であるため、通常、水中ではClなどの単原子のアニオンで中和されている。しかしながら、そのアニオンをより複雑な、高度の機能を有するアニオン性化合物に代替することが考えられる。事実、本発明の複合体を特定のアニオン性化合物を混合してラマン散光測定に供すると、SERS(表面増強ラマン散光)を呈することが見出されている。かくして、本発明に従えば、本発明の複合体とアニオン性化合物(具体的にはアニオン性化合物を含有する可能性のある試料)を水溶液中で混合する工程、および得られた溶液を乾燥してラマン散光を測定する工程を含むアニオン性化合物の検出方法が提供される。検出対象となるアニオン性化合物はラマン散光を有するものであれば原理的に可能であるが、特に好ましいアニオン性化合物の例として、シアニン系色素化合物またはポルフィリン系化合物が挙げられる。具体的には、テトラキス(4−スルホナトフェニル)ポルフィリン(TPPS)が挙げられる。
【0023】
SERSは非常に高感度なセンシング法であるが、高感度故に系中に存在する不純物まで検出してしまう難点である。しかし、本発明に従うアニオン性化合物の検出方法においては、添加剤を用いずCUR−Nのみを利用しており、TPPS等の目的のアニオン性化合物のみを感度よく検出することができる。
【0024】
さらに、本発明に従えば、別の視点として、如上の検出方法で検出されるような本発明のカチオン性カードラン誘導体/金ナノワイヤー複合体に静電的相互作用によりアニオン性化合物が結合して成る塩も発明の対象となる。このような塩は、本発明のカチオン性複合体の表面に、高度の機能を有するアニオン性化合物を結合させることにより、そのアニオン性化合物に由来する機能を発揮する素子等として有用性が期待される。
【0025】
例えば、TPPSは、光合成のモデル体として考えられ、光捕集アンテナや光応答(センシング)素子などの用途が期待されている。これらの機能を発揮するためには、ポルフィリン分子の会合状態を厳密に制御することが必要であるとされている。本発明の複合体にTPPSを反応させることによりSERSが確認できたことは、その複合体の表面でのTPPSの会合状態が厳密に制御されてセンシングされたと理解され(後述の実施例参照)、光捕集アンテナや光応答素子などへの応用が期待される。シアニン系色素はポルフィリン系化合物と同様、光応答性が知られており、本発明のCUR−N/金ナノワイヤー複合体に静電的相互作用により結合された塩として、その光応答性機能材料等として応用が期待される。
【0026】
以下、本発明の詳細について、実施例により説明する。
〔実施例1〕
(CUR−Nによる金イオンの光還元におけるpH依存性)
HAuCl水溶液(40mM)にNaOH水溶液(1.0M)を加え、pH値が3.4、6.8および10.3となるように調製した。次に表1に従ってHAuCl4水溶液とCUR−N〔式(I)におけるRがとりメチルアンモニウム基であるもの〕水溶液(5mg/mL)を混合し、高圧水銀灯(USHIO Optical Modulex, 100W)の照射によってpHの異なるサンプル1〜3中の金イオンの光還元(光量:15mW、全光、1h)を行なった。その結果、pH10.3のサンプル3のみが淡黄色から黒緑色へと変化し、Au(III)からAu(0)への還元が進行した。遠心分離(2000rpm,10min)によりサンプル1と3の凝集体を回収、洗浄した。サンプル2から得られた凝集体は金属光沢があり、バルクの金が形成されたと考えられる。一方、サンプル3から得られた凝集体は黒緑色であった。得られた各凝集体を蒸留水に再分散させ、TEMおよびAFM観察を行った。
【0027】
【表1】

【0028】
TEM観察の結果、サンプル2からは数十μm以上の大きな凝集体の他に、金が結晶成長したような六角形の構造体が多数観察された(図3)。一方、サンプル3からは幅が10〜100nm程度とばらつきはあるものの、ワイヤー状の構造体が多数観察された(図4)。そのワイヤー状の像を詳しく見ると、金と思われる強いコントラストの周囲には、非常に薄いコントラストが確認された。また、AFM観察(図5)からも高さが10nm程度の構造体が確認され、このことからも得られた構造体がワイヤー状であることが理解される。
参照実験として、CUR−Nを含まないHAuCl水溶液(pH10.3)の光還元を行ったが、金イオンの還元はほとんど確認されなかった。このことからCUR−Nを電子源として金イオンの還元反応が進行したと考えられる。金イオンはpH10.3の水溶液中ではほとんどがAu(OH)の状態で存在しており、AuClに比べてカチオンと相互作用しやすいと言われている(非特許文献14)。そのために、CUR−Nによる濃縮効果が高まって還元が促進されたものと考えられる。
【0029】
〔実施例2〕
(遠心操作による構造体の分離)
実施例より、CUR−Nによりワイヤー状の金ナノ構造体が構築されることが示された。しかし、再現性良く構造体が確認されている条件であっても、その溶液中に存在する構造体は幅が数十nm−数百nmとばらつきがあった。そこで、遠心分離により構造体のサイズ分離を試みた。HAuCl水溶液(40mM,pH10.4,150μL)、蒸留水(300μL)、CUR−N水溶液(5mg/mL,150μL)の順に混合し、Auイオンの光還元(光量:15mW、水フィルター、1h)を行った。得られた溶液を500rpm、1000rpm、3000rpm(いずれも10min)の遠心分離に順にかけ、それぞれの回転数に応じた沈殿物500、沈殿物1000、沈殿物3000を回収した。各沈殿物を蒸留水に再分散させTEM観察を行った。
TEM観察の結果、沈殿物500からはワイヤー状というよりもシート状に近い大きな構造体あるいはその凝集体が多数観察された(図6A)。また、沈殿物1000からは幅が80nm−200nm程度のワイヤー状構造体やその凝集体が確認された(図6B)。一方、沈殿物3000からは幅が20−50nmのワイヤー状の金ナノ構造体が多数観察され、大きな凝集体はほとんど確認されなかった(図6C)。
【0030】
〔実施例3〕
(高分解能TEM観察による光還元生成物の構造解析)
実施例2の同様の条件で溶液を混合し、Auイオンの光還元(光量:15mW、水フィルター、1h)を行った。遠心分離(2000G,10min)により目的物を回収・洗浄し、蒸留水に再分散させ、HRTEM観察およびEDXスペクトル測定を行った。その結果(図7)から、一つの構造体から異なる配向をした格子縞が観察された。これは、金ナノ構造体が複数のナノ粒子から形成されていることを示すものである。また、金ナノ構造体の電子線回折測定を行ったところ、(111)面、(200)面、(220)面、(311)面、および(420)面に帰属される散乱パターンが確認された。これは、金ナノワイヤーが多数のナノ粒子から形成されていることを示す結果であり、HRTEM観察の結果と一致している。さらに、ワイヤー状の金ナノ構造体の側面に厚さが1−2nm程度のコントラストの薄い層が観察された。また、この領域に対してEDSスペクトル測定を行ったところAuの存在を示すピークの他に、C、NおよびOに帰属されるピークが確認され、構造体中にCUR−Nが存在することが認められた。この構造体に対するEDXの線分析の結果、N原子およびO原子が中心部分よりも側面に多く存在している様子が確認され、CUR−Nが構造体の表面に存在することが判明した。
【0031】
〔実施例4〕
(光還元における照射時間の影響)
実施例2のサンプルと同様の条件で溶液を混合し、その一部を光路長1mmの吸収セルに取り、光照射を行った。光照射前、光照射1分後、2分後、4分後、6分後、10分後そして15分後の吸収スペクトル測定を行った。その結果を図8に示した。
光照射2分後には溶液全体が黒緑色となり、光の照射時間とともに濃くなった。光照射10分までは目視での凝集は確認されなかったが、15分後には目視で凝集体が確認された。吸収スペクトル測定の結果、光照射2分後のサンプルから近赤外領域にブロードな吸収が確認された。金ナノ構造体に由来する表面プラズモン吸収と考えられる。ピークがブロードなのは、構造体が均一でないため、あるいは構造体による散乱のためものと考えられる。光照射時間の経過とともに近赤外領域の吸収が上昇し、構造体の成長が示唆された。
【0032】
以上の結果を踏まえ、光照射時間が10分のサンプルを調製し、詳細な検討を行った。実施例2と同様の条件となるように溶液を調製し、金イオンの光還元(光量:15mW、水フィルター、10min)を行った。得られた黒緑色の溶液を遠心分離(1000rpm、10min)にかけ黒色の沈殿物Aを得た。その上澄み溶液は薄緑色透明であったため、さらに遠心分離(3000rpm、10min)にかけたところ上澄みは淡黄色透明になり、沈殿物Bを回収した。沈殿物AとBを遠心分離で十分に洗浄し蒸留水に再分散させたところ、それぞれ淡緑色透明および淡青色透明の溶液を得た。各分散水溶液の吸収スペクトル測定、DLS測定、ゼータ電位測定およびTEM観察を行い、詳細な検討を行った。
吸収スペクトル測定の結果、沈殿物Aの分散水溶液からは650nm付近と1050nm付近に僅かな肩が確認されたものの、明瞭なピークは確認されなかった。一方、沈殿物Bの分散水溶液からは598nmと1098nmを極大吸収波長に持つ吸収が確認された(図9)。前者はナノ粒子の会合を(非特許文献15)、後者は軸比の高い金ナノ構造体の形成を示すものである(非特許文献16)。
【0033】
続いて、各分散水溶液のTEM観察を行ったところ、沈殿物Bの分散水溶液からは図10(右)に示されるような、直径2nm程度の金ナノ粒子が組織化したような構造体が多数観察された。その組織体の幅は50−100nm程度であり、これまで観察されたワイヤー状金ナノ構造体の値とほぼ一致していた。この結果は吸収スペクトル測定の結果と一致している。
一方で、沈殿物Aの分散水溶液からはワイヤー状の金ナノ構造体が確認され、直径が5nm程度のナノ粒子が密に組織化したような箇所も見られた。つまり、観察されているワイヤー状金ナノ構造体は、小さな金ナノ粒子が密に集まり融合することで形成されていると考えられる(非特許文献17)。この結果はHRTEM観察の結果と一致している。
また、400nm以下にCUR−Nに由来すると思われる吸収が確認された。CUR−Nが独立して存在していると通常3000rpm程度の遠心分離では落ちてこない。つまり、回収した構造体中にCUR−Nが存在していることが示唆された。
【0034】
さらに、各分散水溶液のDLS測定およびゼータ電位測定を行った。DLS測定の結果、沈殿物A分散水溶液からは流体力学半径が1100nm程度(intensity)の構造体の存在が示された。一方で、沈殿物の分散水溶液からは140nmと1000nm程度にピークトップを持つシグナル(intensity)が確認された。つまり、多少小さな構造体が存在するものの、図9に示されるような金ナノ粒子の組織体が溶液中で形成されていることが示唆された。これは吸収スペクトル測定の結果とも一致している。また、ゼータ電位測定の結果(図11)、沈殿物AおよびBいずれの分散水溶液からも+16.3〜+25.8mVの値が得られ、溶液中に存在する構造体、組織体の表面がカチオン性であることが示唆された。
以上の結果より、観察されているワイヤー状の金ナノ構造体が、金ナノ粒子を種として異方的に結晶成長しているのではなく、直径が数nmの金ナノ粒子が組織化・融合することで形成されていると考えられる。これはCUR−Nによる金イオンの濃縮効果とゲスト包接能によるものと考えられる。
【0035】
〔実施例5〕
(CUR−N/Auナノ構造体とアニオン性色素の相互作用)
以上の実施例により、CUR−N/Auナノ構造体中でCUR−Nはその表面に存在することが明らかとなった。この特徴を利用しCUR−N/Auナノ構造体表面へのアニオン性色素の静電相互作用による吸着を試みることとした。今回、アニオン性の色素として光合成モデル体としても注目されているプロトン化tetrakis(4−sulfonatophenyl)porphyrin(HTPPS2−)を用いた。
実施例2と同様の条件でCUR−Nによる金イオンの光還元を行った。一時間光照射を行った後に遠心分離(3000rpm,2times)により金ナノ構造体のみを回収、洗浄した。蒸留水(200μL)に再分散させCUR−N+/Au水溶液とした。
表2に従って、サンプル管にHTPPS2−水溶液、AcOH/AcONa緩衝水溶液(pH3.4)、蒸留水およびCUR−N/Au水溶液を順に混合し、吸収およびCDスペクトル測定を行った。
【0036】
【表2】

【0037】
吸収スペクトル測定の結果(図12)、CUR−N/Au水溶液を加えることでHTPPS2−のJ会合種に由来するピークが現れた。また、J会合種に由来する極大吸収波長をゼロ点とするCDシグナルも確認され、CUR−NとHTPPS2−の相互作用が確認された。
【0038】
〔実施例6〕
(表面増強ラマン散乱測定)
実施例5より、CUR−N/Auナノ構造体とHTPPS2−が相互作用し、HTPPS2−のJ会合体形成が促進されることが確認された。金ナノ構造体表面では表面プラズモン共鳴によりラマン散乱が増強される。本システムでは静電相互作用によりCUR−N/Auナノ構造体表面にHTPPS2−が安定に吸着しているため、高効率な表面増強ラマン散乱(SERS)が観測されると期待される(非特許文献18)。
サンプル103と同様の条件でHTPPS2−水溶液、AcOH/AcONa緩衝水溶液(pH3.4)、蒸留水およびCUR−N/Au水溶液を混合した。この溶液をガラス基板にキャストし、十分に乾燥させた。リファレンスサンプルとして、HTPPS2−水溶液(in pH3.4 buffer,1.3×10−3M)のみをガラス基板にキャストし十分に乾燥させた。
ラマン散乱測定の結果、HTPPS2−のみからは明瞭なシグナルは確認されなかった。一方で、CUR−N/Auナノ構造体を添加したサンプルからはポルフィリンに由来するピーク(1550cm−1,1450cm−1,1347cm−1,1029cm−1)が鮮明に検出され、SERSが確認された(図13)。
【0039】
〔比較例1〕
(CUR−N/SWNT複合体を用いたリファレンス実験)
これまでの実験より、CUR−NによるAuイオンの光還元が促進され、ワイヤー状の金ナノ構造体が形成されることが明らかとなった。その中で、CUR−Nの疎水空間が金ナノ構造体形成に重要な役割を果たしていると考察してきた。そこで、(1)CUR−Nがゲスト分子を包接した場合Auイオンの還元は進行するか、(2)進行するとしたらどのような構造体を形成するのかを調べるためにCUR−N/SWNT(単層カーボンナノチューブ)複合体を用いたAuイオンの光還元を行った。
表3に従って各溶液を混合し、Auイオンの光還元(光量:15mW、水フィルター、1h)を行った。サンプル27はCUR−N/SWNT複合体のみを添加し、サンプル30にはCUR−N/SWNT複合体とCUR−Nを添加している。
【0040】
【表3】

【0041】
サンプル27ではAuイオン水溶液にCUR−N/SWNT複合体水溶液を加えるとすぐに小さな凝集体が確認された。一方、サンプル30ではCUR−N/SWNT複合体水溶液添加後も凝集は確認されなかった。各サンプルに光を照射しAuイオンの光還元を行ったところ、サンプル27では光照射数分後には小さな凝集体が集まったような塊が生じたが、軽く振ると再分散した。また、サンプル30からも10分後には大きな凝集体が確認されたが、こちらも軽く振ると再分散した。1時間光照射を行った後、遠心分離により黒色の沈殿物を回収・洗浄した。各回収物を蒸留水に再分散させ、TEM観察を行った。
TEM観察の結果(図14)、いずれのサンプルからもSWNTと思われるワイヤー上に粒径1−2nm程度の微粒子が存在している様子が確認された。これは、CUR−Nを用いて金イオンの光還元を行った際、最初に金のナノ粒子が形成され、それが高密度に組織化そして融合することでワイヤー状の金ナノ構造体が形成されているという考察と一致している。これを拡大してみると微粒子がワイヤーに沿って配列しているようにも見える。また、サンプル30からはこれまで観察されたワイヤー状の構造体も多数観察された。しかし、これらワイヤー状の構造体にSWNTが関与している様子は確認されなかった。
以上の結果より、CUR−N/SWNT複合体を用いてAuイオンの光還元を行った場合、本発明のようにCUR−Nを用いた場合にこれまで観察されたような金ナノ構造体は確認されず、SWNTの周囲を多数の金ナノ粒子が覆っている像が確認された。これは、ワイヤー状の金ナノ構造体を形成するにはCUR−Nの内部空間が重要な役割を果たしていることを示すものである。
【0042】
〔比較例2〕
(カチオン性ポリマーを用いたリファレンス実験)
CUR−Nのリファレンス化合物として、カチオン性のポリマーであるPoly(diallyldimethylammoniumchloride)(PDDA)を用いてAuイオンの光還元を行った。表4に従ってサンプルを調製し、Auイオンの光還元(光量:15mW、水フィルター、1h)を行った。PDDAのストック溶液の濃度(2.5mg/mL)は、カチオン部位の濃度がCUR−N(5mg/mL)と同じになるように調製した。
【0043】
【表4】

【0044】
光照射10分後ではいずれのサンプルも黄色透明のままで、大きな変化は見られなかった。光照射20分後には溶液が白濁し、40分後にはいずれのサンプルでも黄色の沈殿が確認された。遠心分離(2000rpm,10min)により沈殿物を回収したところ、いずれの沈殿物も金属光沢があり、バルクの金が形成されていると予想された。また、上澄みは黄色透明であり、還元が十分に進行していないことが示唆された。このことからもCUR−Nが光還元の電子源として働いていると考えられる。
TEM観察の結果(図15)、いずれのサンプルからも大きな凝集体が確認され、CUR−Nを用いた場合に観察されたようなワイヤー状の構造体は観察されなかった。このことから、ワイヤー状の金ナノ構造体を構築するにはCUR−Nの還元能およびその特異的な疎水空間が必要であることが示唆された。
【0045】
〔比較例3〕
(キトサンを用いたリファレンス実験)
アミン部位を有する多糖であるキトサンを用いて金イオンの光還元を試みた。キトサンはD−グルコサミンがβ1→4結合を有する多糖であり、β−1,3−グルカンとは異なり直鎖構造を有している。HAuCl水溶液(40mM,pH10.4,150μL)、蒸留水(300μL)およびキトサン水溶液(2.5mg/mL,150μL)を順に混合し、金イオンの光還元(光量:15mW、水フィルター、全光)を行った。
キトサン水溶液を加えても凝集は確認されなかった。光照射数分後には溶液全体が黒色になっており、金イオンの還元が示唆された。しかし、光照射一時間後も大きな凝集体は観察されず、均一に分散していた。遠心分離(6000rpm,30min)により構造体の一部を回収した。TEM観察の結果(図14)、微粒子が集まった球状の構造体や様々な形状の金構造体が凝集した像が多数観察され、ワイヤー状の構造体は観察されなかった。このことから還元能を有する多糖を用いてもワイヤーは形成されないことが明らかとなった。つまり、CUR−Nカチオン部位によるAuイオンの濃縮効果あるいは疎水空間の存在によりワイヤー状の金ナノ構造体が形成されていると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によって、ナノデバイスの分野で新規な素材として注目を浴びている金ナノワイヤーを天然多糖であるカードランのカチオン性誘導体との複合体として製造することができる。さらに、その複合体の表面部位を機能性アニオン化合物で静電的に中和することにより、ナノセンシング素子等への応用が期待できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性カードラン誘導体と金ナノワイヤーとから成ることを特徴とする複合体。
【請求項2】
カチオン性カードラン誘導体が下記の式(I)(式中、Rはカチオン性置換基を表わす)で示される繰り返し単位から成ることを特徴とする請求項1に記載の複合体。
【化1】

【請求項3】
カチオン性置換基Rが4級アンモニウム基であることを特徴とする請求項2に記載の複合体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの複合体を製造する方法であって、カチオン性カードラン誘導体の存在下、塩基性条件下で塩化金属塩を水溶液中で光還元する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
光還元工程により得られた溶液を遠心分離して沈殿物を回収する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の複合体の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかの複合体を使用してアニオン性化合物を検出する方法であって、(1)該複合体とアニオン性化合物を水溶液中で混合する工程、および(2)得られた溶液を乾燥して、ラマン散光を測定する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
アニオン性化合物がシアニン系色素化合物またはポルフィリン系化合物であることを特徴とする請求項6に記載のアニオン性化合物の検出方法。
【請求項8】
アニオン性化合物がテトラキス(4−スルホナトフェニル)ポルフィリンであることを特徴とする請求項6に記載のアニオン性化合物の検出方法。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれかの複合体に静電的相互作用によりアニオン性化合物が結合して成ることを特徴とする塩。
【請求項10】
アニオン性化合物がテトラキス(4−スルホナトフェニル)ポルフィリンであることを特徴とする請求項9に記載の塩。


【図2】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−180336(P2010−180336A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25606(P2009−25606)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】