カッティングプログラム、カッティングプロッタ、カッティングシステム、カッティング方法、カッティング用シート及びデータ構造
【課題】 シートを回転または反転させてステージに載せても、正しく置き直すことなく、カットを実行できるようにすること。
【解決手段】 このカッティングシステム100では、トンボ検出部1によりステージ上のシート70のトンボTPを所定の順で検出する。回転・反転状態取得部3は、前記検出結果をシートの回転・反転状態をトンボTPの検出順序と対応させてテーブルとして記憶している回転・反転情報テーブルと比較し、シート70の回転・反転状態を特定する。カッティングデータ補正部4は、前記回転・反転情報に基づいてカッティングデータを補正し、当該補正されたカッティングデータによりカットを実行する。これにより、シート70を正しく置き直すことなく、カットを実行できる。
【解決手段】 このカッティングシステム100では、トンボ検出部1によりステージ上のシート70のトンボTPを所定の順で検出する。回転・反転状態取得部3は、前記検出結果をシートの回転・反転状態をトンボTPの検出順序と対応させてテーブルとして記憶している回転・反転情報テーブルと比較し、シート70の回転・反転状態を特定する。カッティングデータ補正部4は、前記回転・反転情報に基づいてカッティングデータを補正し、当該補正されたカッティングデータによりカットを実行する。これにより、シート70を正しく置き直すことなく、カットを実行できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃物を被加工媒体に押しつけて相対移動させながら、所望の形状の製品を得るためのカッティングプログラム、カッティングプロッタ、カッティングシステム、カッティング方法、カッティング用シート及びデータ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載のカッティングプロッタが知られている。図16は、従来のカッティングプロッタのシートの傾きの補正方法を示す説明図である。このカッティングプロッタでは、シート901の画像領域の周囲であって当該シート901の角に印刷した円形の基準点902と、この基準点のスキャン方向(X軸方向)に印刷した第1補正点903と、前記基準点からシート901のフィード方向(Y軸方向)に印刷した第2補正点904と、前記基準点902の近傍で且つ当該シート901のスキャン方向に印刷した黒帯905とを光学センサーによりスキャンし、その位置情報からシート901の傾きを算出する。そして、算出したシート901の傾きに基づいてカッティングデータを補正し、この補正データにより当該シート901のカットを行う。これにより、シート901の画像領域のカットを正確に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3640588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のカッティングプロッタでは、シートをカットする際にユーザがシート901をカッティングプロッタのステージ上にセットすることになるが、誤ってシート901を回転または反転させてステージに載せてしまうと、上記補正方法によりカッティングデータを補正できないという問題点があった。また、シート901を正しく置き直す必要があるため、手間が掛かるという問題点があった。
【0005】
そこで、この発明は、シートを回転または反転させてステージに載せても、正しく置き直すことなく、カッティングデータを補正できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係るカッティングプログラムは、コンピュータに、カッティングプロッタのステージ上にセットしたシートの2箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボを所定順序で検出した検出結果を回転・反転情報テーブルに記憶した回転・反転情報と比較することで前記ステージ上にセットしたシートの回転・反転状態を取得する回転・反転状態取得手段、として機能させることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、シートの2箇所以上に設けたトンボを順番に検出し、その検出結果からシートの反転・回転状態を取得できるので、この回転・反転状態を用いてカッティングデータの補正を行えば、前記シートを正しく置き直すことなく、正確なカットができるようになる。なお、前記コンピュータは、カッティングプロッタに設けたコンピュータ、カッティングプロッタに接続したコンピュータのいずれでも良い(以下、本課題を解決するための手段の欄において同じ)。また、回転・反転状態(情報)には、回転のみ、反転のみ、回転及び反転の両方の状態(情報)が含まれる。「ステージ」には、フラットベッドタイプのフラットベッド、又は、グリッドタイプのプラテンのいずれもが含まれる。「シート」には、可とう性媒体に限らず、ガラス板、アクリル板等の腰の強い媒体も含まれる。
【0008】
第2の発明に係るカッティングプログラムは、コンピュータに、カッティングプロッタのステージ上にセットしたシートの3箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボを所定順序で2回まで検出した検出結果を回転・反転情報テーブルに記憶した回転・反転情報と比較することで前記ステージ上にセットしたシートの回転・反転状態を取得する回転・反転状態取得手段、として機能させることを特徴とする。
【0009】
即ち、3箇所以上に異なる特徴のトンボを設けておけば、2回のトンボの検出により、前記シートの回転・反転状態を特定できる。トンボの検出には一定の時間が必要になるため、トンボの検出回数が少ないほど短時間でシートの回転・反転状態を特定できる。これにより、カット時間を短縮できる。
【0010】
第3の発明に係るカッティングプログラムは、上記第1又は第2の本発明の回転・反転状態取得手段により取得されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正手段を有することを特徴とする。
【0011】
回転・反転手段に基づいてカッティングデータの補正を行うことで、シートが反転又は回転してセットされた場合でも、当該シートを正しく置き直すことなく、正確なカットができるようになる。
【0012】
第4の発明に係るカッティングプロッタは、上記第1〜第3に係るカッティングプログラムの前記回転・反転状態取得手段により特定されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正手段を有することを特徴とする。
【0013】
第5の発明に係るカッティングプロッタは、上記第4の発明に係るカッティングプロッタにおいて、更に、前記回転・反転状態取得手段により特定されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正手段を有することを特徴とする。
【0014】
上記カッティングプロッタによれば、シートが反転又は回転してセットされた場合でも、当該シートを正しく置き直すことなく、正確なカットができるようになる。
【0015】
第6の発明に係るカッティングシステムは、カッティングプロッタのステージ上にセットしたシートの2箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボをセンサーにより所定順序で検出させるトンボ検出手段と、トンボ検出手段による検出結果を回転・反転情報テーブルに記憶した回転・反転情報と比較することで前記ステージ上にセットしたシートの回転・反転状態を取得する回転・反転状態取得手段と、回転・反転状態取得手段により取得されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
第7の発明に係るカッティング方法は、カッティングプロッタのステージ上にセットしたシートの2箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボをセンサーにより所定順序で検出させるトンボ検出ステップと、トンボ検出手段による検出結果を回転・反転情報テーブルに記憶した回転・反転情報と比較することで前記ステージ上にセットしたシートの回転・反転状態を取得する回転・反転情報取得ステップと、回転・反転状態取得手段により取得されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0017】
第8の発明に係るカッティング用シートは、カッティングプロッタによりカットされるシートであって、当該シートの2箇所以上に色が異なるトンボを設けたことを特徴とする。
【0018】
第9の発明に係るデータ構造は、ステージ上にセットしたシートの2箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボを所定順序で検出した検出結果と比較するための回転・反転情報を記憶した回転・反転情報テーブル、としてコンピュータに格納されていることを特徴とする。
【0019】
即ち、ステージ上のシートの2箇所以上に設けたトンボの検出結果を前記データ構造として格納してある回転・反転情報テーブルと比較することで、当該シートの反転・回転状態を取得できる。そして、この回転・反転状態に基づいてカッティングデータの補正を行えば、前記シートを正しく置き直すことなく、正確なカットができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施の形態に係るカッティングシステムを示す概略構成図である。
【図2】図1に示したカッティングシステムを示す機能ブロック図である。
【図3】シートに印刷するトンボを示す説明図である。
【図4】このカッティングシステムの動作を示すフローチャートである。
【図5】トンボの並び順とシートの回転・反転状態との対応を示す回転・反転情報テーブルを示す説明図である。
【図6】回転・反転状態の一例を示す説明図である。
【図7】回転・反転状態の別の例を示す説明図である。
【図8】回転・反転状態の別の例を示す説明図である。
【図9】回転・反転状態の別の例を示す説明図である。
【図10】トンボの並び順とシートの回転・反転状態との対応を示す回転・反転情報テーブル2を示す説明図である。
【図11】トンボの数を3つ、2つ、1つにした場合の例を示す説明図である。
【図12】トンボの数と、回転・反転状態の特定に必要な検出回数を比較した図表である。
【図13】この発明の実施の形態2に係るカッティングシステムを示す機能ブロック図である。
【図14】このカッティングシステムの動作を示すフローチャートである。
【図15】回転・反転状態の特定に好適なトンボの形状を示す説明図である。
【図16】従来のカッティングプロッタのシートの傾きの補正方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態に係るカッティングシステムを示す概略構成図である。図2は、図1に示したカッティングシステムを示す機能ブロック図である。このカッティングシステム100は、カッティングプロッタ101と、このカッティングプロッタ101に接続したコンピュータ102とからなる。このカッティングプロッタ101は、カッティングヘッド51をX軸方向に駆動するX軸駆動機構52と、Y軸方向に駆動するY軸駆動機構53と、カッティングヘッド51のZ軸方向の昇降動作及びZ軸を中心とした回転動作を行うカッター駆動機構54と、これらを制御するコントローラ55とを有する。カッティングヘッド51には、後述するトンボTP(クロップマーク)を光学的に検出する光学センサー56が設けられている。この光学センサー56は、発光素子と受光素子とを組み合わせた光学式センサーやCCD(Charge Coupled Device)カメラ等で構成される。
【0022】
また、カッティングプロッタ101は、ステージ57上にセットしたシート70に印刷したトンボTPを検出するトンボ検出部1と、シートの回転又は反転の状態をトンボTPの検出順序と対応させてテーブルとして記憶している回転・反転情報テーブル2と、トンボ検出部の検出結果からシート70の回転又は反転の状態を取得する回転・反転状態取得部3と、シート70の回転・反転状態からカッティングデータの補正を行うカッティングデータ補正部4とを有する。
【0023】
コンピュータ102は、カッティングプロッタ101とUSBケーブルやRS−232C等の専用ケーブル、ネットワーク、無線近距離通信により接続される。なお、コンピュータ102は、インターネット空間で構築されるリソース形態を取るものであっても良い。コンピュータ102は、シート70のカッティングデータを生成するカットデータ生成部5を有する。
【0024】
図3は、シートに印刷するトンボを示す説明図である。シート70の画像領域71の周囲であって四隅にはそれぞれ異なるトンボTPが印刷されている。同図(a)の例では、トンボは黒色の正方形である。画像領域71の左下のトンボ(TP1)が一番大きく、右下のトンボ(TP2)が二番目に大きく、左上のトンボ(TP3)が一番小さく、右上のトンボ(TP4)が二番目に小さい。同図(b)の例では、トンボTPは正方形であるが、それぞれ色が異なる。画像領域71の左下のトンボ(TP1)は黒色であり、右下のトンボ(TP2)は赤色であり、左上のトンボ(TP3)は青色であり、右上のトンボ(TP4)は緑色である。
【0025】
トンボTPの検出順序は、左下のトンボ、右下のトンボ、左上のトンボ、右上のトンボである(図中、順序を点線で示す)。トンボ検出部1による初期検出位置を左下のトンボとする。これらの位置(左下、右下、左上、右上)にいずれのトンボ(TP1〜TP4)が位置するかは、シート70の回転・反転状態による。
【0026】
図4は、このカッティングシステムの動作を示すフローチャートである。まず、ユーザは、プリンタで所定の画像等を画像領域71に印刷したシート70をカッティングプロッタ101のステージ57上にセットする。次に、トンボ検出部1は、画像領域71の周囲のトンボTPを検出する(ステップS1)。トンボ検出部1は、光学センサー56を設けたカッティングヘッド51を初期検出位置に移動させ、図3に示した順にトンボTPの検出を行う。
【0027】
また、トンボTPを検出する場合、トンボTPが所定の位置にあるか否かを検出するのみならず、各トンボTPに対して走査を行い、その中心位置を検出するものとする。カッティングプロッタ101は、中心位置の検出結果に基づいてシート70の位置を補正する。
【0028】
図3(a)の例であれば、異なる大きさのトンボTPをそれぞれ光学センサー56で読み取り、トンボ検出部1はその読取結果からトンボTPの大きさを判別し、いずれのトンボ(TP1〜TP4)かを特定する。なお、トンボTPの大きさの判別方法は、光学センサー56の種類により異なる。発光素子と受光素子とからなる光学センサー56の場合、トンボTPを走査してその大きさ等を検出することになる。CCDカメラからなる光学センサー56の場合、画像処理で大きさを検出することになる。
【0029】
コンピュータ102は、カットデータ生成部5により生成した当該シート70のカッティングデータを出力する(ステップS2)。カットデータ生成部5は、カット図形を描くプログラムの拡張機能として実現される場合がある。
【0030】
回転・反転状態取得部3は、コンピュータ102からカッティングデータを受信する(ステップS3)。カッティングデータには、画像領域71の左下にトンボ(TP1)、右下にトンボ(TP2)、左上にトンボ(TP3)、右上にトンボ(TP4)の元情報が含まれる。また、回転・反転状態取得部3は、トンボ検出部1の検出結果から以下のようにしてステージ57にセットされたシート70の回転・反転状態を取得する(ステップS4)。ここで回転・反転状態とは、シートの回転又は反転を回転角度と回転軸とで特定した状態をいう。
【0031】
図5は、トンボの並び順とシートの回転・反転状態との対応を示す回転・反転情報テーブルを示す説明図である。図表中の番号「1」〜「4」はトンボの検出順を示す。
【0032】
トンボ検出部1の検出結果が、トンボ(TP1)、トンボ(TP2)、トンボ(TP3)、トンボ(TP4)の順番の場合、この検出結果を回転・反転情報テーブル2と比較すると、該当する回転・反転状態は「反転なし」、「回転なし」となり、シート70が正しい位置にセットされていることが判る。
【0033】
同様に、トンボ検出部1の検出結果が、トンボ(TP2)、トンボ(TP4)、トンボ(TP1)、トンボ(TP3)の順番の場合、該当する回転・反転状態は「反転なし」、「右90度回転」となる。これは、「反転なし」、「左270度」と同義である。
【0034】
トンボ検出部1の検出結果が、トンボ(TP4)、トンボ(TP3)、トンボ(TP2)、トンボ(TP1)の順番の場合、該当する回転・反転状態は「反転なし」、「右180度回転」となる。これは、「反転なし」、「左180度」と同義である。
【0035】
トンボ検出部1の検出結果が、トンボ(TP3)、トンボ(TP1)、トンボ(TP4)、トンボ(TP2)の順番の場合、該当する回転・反転状態は「反転なし」、「右270度回転」となる。これは、「反転なし」、「左90度」と同義である。
【0036】
また、トンボ検出部1の検出結果が、トンボ(TP3)、トンボ(TP4)、トンボ(TP1)、トンボ(TP2)の順番の場合、該当する回転・反転状態は「X軸反転(X軸を中心とする反転)」、「回転なし」となる。これは、「Y軸反転」、「右180度回転」と同義である。
【0037】
トンボ検出部1の検出結果が、トンボ(TP4)、トンボ(TP2)、トンボ(TP3)、トンボ(TP1)の順番の場合、該当する回転・反転状態は「X軸反転」、「右90度回転」となる。これは、「Y軸反転」、「右270度回転」と同義である。
【0038】
トンボ検出部1の検出結果が、トンボ(TP2)、トンボ(TP1)、トンボ(TP4)、トンボ(TP3)の順番の場合、該当する回転・反転状態は「X軸反転」、「右180度回転」となる。これは、「Y軸反転」、「回転なし」と同義である。
【0039】
トンボ検出部1の検出結果が、トンボ(TP1)、トンボ(TP3)、トンボ(TP2)、トンボ(TP4)の順番の場合、該当する回転・反転状態は「X軸反転」、「右270度回転」となる。これは、「Y軸反転」、「右90度回転」と同義である。
【0040】
なお、図示しないが、「右90度回転」と「左270度回転」とは同じ回転状態となる。「右180度回転」と「左180度回転」とは同じ回転状態となる。「右270度回転」と「左90度回転」とは同じ回転状態となる。
【0041】
図6は、回転・反転状態の一例を示す説明図である。シート70がステージ57に正しくセットされている場合、同図(a)に示すように、トンボ(TP1)、トンボ(TP2)、トンボ(TP3)、トンボ(TP4)、の順でトンボが検出される。このため、当該検出結果について回転・反転情報テーブル2を参照するとシート70の回転・反転状態は「回転なし、反転なし」となる。一方、トンボTPの検出結果が、同図(b)に示すように、トンボ(TP2)、トンボ(TP4)、トンボ(TP1)、トンボ(TP3)、となった場合、回転・反転情報テーブル2を参照すると、シート70の回転・反転状態が「右90度回転・反転なし」であることが判る。
【0042】
図7は、回転・反転状態の別の例を示す説明図である。同図(a)は、上記同様、シート70がステージ57に正しくセットされている場合を示す。一方、トンボTPの検出結果が、同図(b)に示すように、トンボ(TP2)、トンボ(TP1)、トンボ(TP4)、トンボ(TP3)、となった場合、回転・反転情報テーブル2を参照すると、シート70の回転・反転状態が「右180度回転、X軸反転」または「回転なし、Y軸反転」であることが判る。
【0043】
図8は、回転・反転状態の別の例を示す説明図である。同図(a)は、上記同様、シート70がステージ57に正しくセットされている場合を示す。一方、トンボTPの検出結果が、同図(b)に示すように、トンボ(TP1)、トンボ(TP3)、トンボ(TP2)、トンボ(TP4)、となった場合、回転・反転情報テーブル2を参照すると、シート70の回転・反転状態が「右270度回転、X軸反転」または「右90度回転、Y軸反転」であることが判る。
【0044】
図9は、回転・反転状態の別の例を示す説明図である。この例は、色付きのトンボTPを用いて回転・反転状態を判別するものである。シート70がステージ57に正しくセットされている場合、同図(a)に示すように、黒トンボ(TP1)、赤トンボ(TP2)、青トンボ(TP3)、緑トンボ(TP4)、の順でトンボが検出される。このため、当該検出結果について回転・反転情報テーブル2を参照するとシート70の回転・反転状態は「回転なし、反転なし」となる。一方、トンボTPの検出結果が、同図(b)に示すように、黒トンボ(TP1)、青トンボ(TP3)、赤トンボ(TP2)、緑トンボ(TP4)、となった場合、回転・反転情報テーブル2を参照すると、シート70の回転・反転状態が「右270度回転、X軸反転」または「右90度回転、Y軸反転」であることが判る。
【0045】
なお、色つきのトンボTPの場合、光学センサー56にはCCDカメラを用いるのが好ましい。
【0046】
ここで、カッティングヘッド51の光学センサー56により4つのトンボTPを個別に検出すると、カッティングヘッド51の移動時間が増えて加工時間が長くなるため、トンボTPの読み取り回数は少ない方が好ましい。図5を参照すると、シート70に4つのトンボTPを印刷した場合、以下に示すように、最初の2回の検出で回転・反転状態を特定できることが判る。
【0047】
図10は、トンボの並び順とシート70の回転・反転状態との対応を示す回転・反転情報テーブル2を示す説明図であって、トンボの数を1個から3個の範囲にした場合を示す。図11は、トンボの数を3つ、2つ、1つにした場合の例を示す説明図である。図表中の番号「1」〜「4」はトンボの検出順を示す。また、トンボ検出不能のエラーが続いても最長4回目まで検出するものとする。
【0048】
また、「反転なし」、「回転なし」は、シート70が正しくセットされていることを意味する。「右90度」はシート70が右方向に90度回転していることを意味し、「左270度」の回転と同義である。「右180度」はシート70が右方向に180度回転していることを意味し、「左180度」の回転と同義である。「右270度」はシート70が右方向に270度回転していることを意味し、「左90度」の回転と同義である。
【0049】
「X軸反転」、「回転なし」は、X軸を中心に反転していることを意味し、「Y軸反転」、「右180度回転」と同義である。「X軸反転」、「右90度回転」は、X軸を中心に反転し、右方向に90度回転していることを意味し、「Y軸反転」、「右270度回転」と同義である。「X軸反転」、「右180度回転」は、X軸を中心に反転し、右方向に180度回転していることを意味し、「Y軸反転」、「回転なし」と同義である。「X軸反転」、「右270度回転」は、X軸を中心に反転し、右方向に270度回転していることを意味し、「Y軸反転」、「右90度回転」と同義である。
【0050】
図11(a)に示すように、トンボTPの数を3個にした場合(トンボ(TP4)を省略)、トンボTPを検出できない場合をエラー(E)とすると(以下同様)、図10(a)に示すように、最初の2回の検出でシート70の回転・反転状態を特定できることが判る。即ち、1回目及び2回目の検出結果の組み合わせが、各回転・反転状態で異なるからである。
【0051】
また、トンボの数が3個の場合、シート70が外れているか否かも判断できる。即ち、3回目又は4回目の検出位置でトンボTPが検出できれば、シート70がステージ57のカッティングエリアにセットされていることが判る。3回目又は4回目の検出位置でトンボTPが検出できない場合、シート70はステージ57のカッティングエリアから外れている可能性がある。
【0052】
次に、図11(b)に示すように、トンボTPの数を2個にした場合(トンボ(TP3)及びトンボ(TP4)を省略)、図10(b)に示すように、最初の2回の検出ではシート70の回転・反転状態を特定できることができないことが判る。具体的には、トンボTPなしの「E」が2回続く場合、「右180度回転」なのか「X軸反転、回転なし(Y軸反転、右180度回転)」なのか特定できない。しかし、3回目まで検出すればシート70の回転・反転状態を特定できることが判る。「右180度回転」の場合はトンボTP2が検出され、「X軸反転、回転なし(Y軸反転、右180度回転)」の場合はトンボTP1が検出されるからである。なお、トンボTPが2個の場合において回転・反転状態を特定するためには、シート70がカッティングエリアにセットされていることを前提とする。
【0053】
次に、図11(c)に示すように、トンボTPの数を1つにした場合(トンボ(TP1)のみ)、図10(c)に示すように、1回目〜4回目まで検出しても、同じ検出結果となる組み合わせが生じてしまい、シート70の回転・反転状態を特定できないことが判る。
【0054】
図12は、トンボの数と、回転・反転状態の特定に必要な検出回数を比較した図表である。トンボTPの数が4つの場合、シート70の回転・反転状態の特定は可能であり、そのためには2回の検出で済む。
【0055】
次に、トンボTPの数が3つの場合、シート70の回転・反転状態の特定は可能であり、そのためには最短で2回の検出で済む。検出の順序は決まっているので、最初の検出がエラーでも、次の2回の検出で回転・反転状態が特定できる(3回検出すれば必ず回転・反転状態が特定できる)。
【0056】
次に、トンボTPの数が2つの場合、シート70の回転・反転状態の特定は可能であるが、そのためには3回の検出が必要となる。次に、トンボTPの数が1つの場合、シート70の回転・反転状態の特定は不可能である。
【0057】
以上から、トンボの数は3つ又は4つとするのが最適である。また、トンボTPの数は2つでも、シート70の回転・反転状態の特定は可能である。
【0058】
トンボ検出部1からの検出結果は、トンボTPの検出順に送信される。このため、回転・反転状態取得部3は、2回(又は3回)の検出で回転・反転を特定できた場合、それ以上の処理を行わない。これにより、カッティングヘッド51の移動時間等を省略して、短時間にシート70の回転・反転状態を特定できる。
【0059】
以上のようにして、回転・反転状態取得部3は、ステージ57にセットされたシート70の回転・反転情報を取得する。
【0060】
次に、カッティングデータ補正部4は、回転・反転状態取得部3により取得したシート70の回転・反転状態に基づいて、前記受信したカッティングデータの補正を行う(ステップS5)。カッティングプロッタ101のコントローラ55は、この補正したカッティングデータに基づいて各駆動機構52〜54を制御してシート70のカットを実行する(ステップS6)。
【0061】
以上、この発明のカッティングシステム100によれば、シート70を回転又は反転させた状態でステージ57上に置いても、カッティングシステム100側でその回転・反転状態を認識して自動的にカッティングデータの補正を行うので、ユーザがシート70を正しく置き直す必要がない。このため、シート70のカッティング作業が効率よく行える。
【0062】
また、透明のシートに反転画像を印刷し、印刷面の反対面から視認させて光沢感を得るような場合、画像をシート70の両側から認識できるため、ユーザが誤ってシート70をステージ57上に反転セットすることがあったが、かかる場合でもシート70をセットし直す必要がない。
【0063】
(実施の形態2)
また、回転・反転状態取得部3と、カッティングデータ補正部4をコンピュータ102が有するようにしても良い。図13は、この発明の実施の形態2に係るカッティングシステムを示す機能ブロック図である。図14は、このカッティングシステムの動作を示すフローチャートである。ユーザがシート70をカッティングプロッタ101のステージ57上にセットした後、トンボ検出部1は、画像領域71の周囲のトンボを図3に示した順で検出を行う(ステップS1)。このトンボ検出部1の検出結果は、コンピュータ102の回転・反転状態取得部3に送信される(ステップS2)。
【0064】
回転・反転状態取得部3は、ステージ57にセットされたシート70の回転・反転状態の情報を受信し(ステップS3)、この検出結果を上記回転・反転情報テーブル2に格納されている回転・反転情報と比較し、シート70の回転・反転状態を特定する(ステップS4)。上記同様、最初の2回の読み取りで回転・反転状態が特定できればそこでトンボの検出を終了できる。次に、カッティングデータ補正部4は、回転・反転状態取得部3により取得したシート70の回転・反転状態に基づいて、カットデータ生成部5により生成したカッティングデータの補正を行う(ステップS5)。この補正したカッティングデータは、カッティングプロッタ101に送信される(ステップS6)。カッティングプロッタ101は、受信したカッティングデータに基づいてカッティングプロッタ101のコントローラ55が各駆動機構52〜54を制御し、シート70のカットを実行する(ステップS7)。
【0065】
以上の構成であっても、ステージ57上に置いたシート70の回転・反転状態を取得し、この回転・反転状態に基づいてカッティングデータを自動的に補正し、シート70のカットを実行できる。このため、ユーザがシート70を正しく置き直す必要がない。
【0066】
また、前記トンボ検出部1をコンピュータ102に設けても良い。その場合、上記光学センサー56のみをカッティングプロッタ101に設け、光学センサー56の出力をA/D変換した信号をコンピュータ102に送信し、トンボ検出部1によりトンボの検出を行うようにする。それ以降の手順は上記同様である。
【0067】
(実施の形態3)
図15は、上記回転・反転状態の特定に好適な実施の形態3にかかるトンボの形状を示す説明図である。各トンボTPが異なる特徴を有していれば、トンボ検出部1によりトンボTPの順を取得可能である。例えば、同図に示すように、画像領域71の左下に丸形状のトンボ(TP1)、右下に四角形状のトンボ(TP2)、左上にL字形状のトンボ(TP3)、右上に十字形状のトンボ(TP4)を印刷することで、トンボ検出部1は、それぞれのトンボを個別に認識できるようになる。
【0068】
なお、上記各実施の形態では、フラットヘッドタイプのカッティングプロッタを例にして説明したが、グリッドタイプのカッティングプロッタの場合も同様に処理できる。また、プリント後、カットするプリントアンドカット機であっても、プリントしたメディアを取り外した後に、再度セットし直してカットする場合にも有効である。
【0069】
また、上記各実施の形態では、カッティング媒体として、シートを例に説明したが、シートは可とう性媒体に限らず、アクリル板等の腰の強い媒体であっても良い。
【符号の説明】
【0070】
100 カッティングシステム
101 カッティングプロッタ
102 コンピュータ
1 トンボ検出部
2 回転・反転情報テーブル
3 回転・反転状態取得部
4 カットデータ補正部
5 カットデータ生成部
51 カッティングヘッド
55 コントローラ
56 光学センサー
57 ステージ
70 シート
71 画像領域
TP トンボ
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃物を被加工媒体に押しつけて相対移動させながら、所望の形状の製品を得るためのカッティングプログラム、カッティングプロッタ、カッティングシステム、カッティング方法、カッティング用シート及びデータ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載のカッティングプロッタが知られている。図16は、従来のカッティングプロッタのシートの傾きの補正方法を示す説明図である。このカッティングプロッタでは、シート901の画像領域の周囲であって当該シート901の角に印刷した円形の基準点902と、この基準点のスキャン方向(X軸方向)に印刷した第1補正点903と、前記基準点からシート901のフィード方向(Y軸方向)に印刷した第2補正点904と、前記基準点902の近傍で且つ当該シート901のスキャン方向に印刷した黒帯905とを光学センサーによりスキャンし、その位置情報からシート901の傾きを算出する。そして、算出したシート901の傾きに基づいてカッティングデータを補正し、この補正データにより当該シート901のカットを行う。これにより、シート901の画像領域のカットを正確に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3640588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のカッティングプロッタでは、シートをカットする際にユーザがシート901をカッティングプロッタのステージ上にセットすることになるが、誤ってシート901を回転または反転させてステージに載せてしまうと、上記補正方法によりカッティングデータを補正できないという問題点があった。また、シート901を正しく置き直す必要があるため、手間が掛かるという問題点があった。
【0005】
そこで、この発明は、シートを回転または反転させてステージに載せても、正しく置き直すことなく、カッティングデータを補正できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係るカッティングプログラムは、コンピュータに、カッティングプロッタのステージ上にセットしたシートの2箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボを所定順序で検出した検出結果を回転・反転情報テーブルに記憶した回転・反転情報と比較することで前記ステージ上にセットしたシートの回転・反転状態を取得する回転・反転状態取得手段、として機能させることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、シートの2箇所以上に設けたトンボを順番に検出し、その検出結果からシートの反転・回転状態を取得できるので、この回転・反転状態を用いてカッティングデータの補正を行えば、前記シートを正しく置き直すことなく、正確なカットができるようになる。なお、前記コンピュータは、カッティングプロッタに設けたコンピュータ、カッティングプロッタに接続したコンピュータのいずれでも良い(以下、本課題を解決するための手段の欄において同じ)。また、回転・反転状態(情報)には、回転のみ、反転のみ、回転及び反転の両方の状態(情報)が含まれる。「ステージ」には、フラットベッドタイプのフラットベッド、又は、グリッドタイプのプラテンのいずれもが含まれる。「シート」には、可とう性媒体に限らず、ガラス板、アクリル板等の腰の強い媒体も含まれる。
【0008】
第2の発明に係るカッティングプログラムは、コンピュータに、カッティングプロッタのステージ上にセットしたシートの3箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボを所定順序で2回まで検出した検出結果を回転・反転情報テーブルに記憶した回転・反転情報と比較することで前記ステージ上にセットしたシートの回転・反転状態を取得する回転・反転状態取得手段、として機能させることを特徴とする。
【0009】
即ち、3箇所以上に異なる特徴のトンボを設けておけば、2回のトンボの検出により、前記シートの回転・反転状態を特定できる。トンボの検出には一定の時間が必要になるため、トンボの検出回数が少ないほど短時間でシートの回転・反転状態を特定できる。これにより、カット時間を短縮できる。
【0010】
第3の発明に係るカッティングプログラムは、上記第1又は第2の本発明の回転・反転状態取得手段により取得されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正手段を有することを特徴とする。
【0011】
回転・反転手段に基づいてカッティングデータの補正を行うことで、シートが反転又は回転してセットされた場合でも、当該シートを正しく置き直すことなく、正確なカットができるようになる。
【0012】
第4の発明に係るカッティングプロッタは、上記第1〜第3に係るカッティングプログラムの前記回転・反転状態取得手段により特定されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正手段を有することを特徴とする。
【0013】
第5の発明に係るカッティングプロッタは、上記第4の発明に係るカッティングプロッタにおいて、更に、前記回転・反転状態取得手段により特定されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正手段を有することを特徴とする。
【0014】
上記カッティングプロッタによれば、シートが反転又は回転してセットされた場合でも、当該シートを正しく置き直すことなく、正確なカットができるようになる。
【0015】
第6の発明に係るカッティングシステムは、カッティングプロッタのステージ上にセットしたシートの2箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボをセンサーにより所定順序で検出させるトンボ検出手段と、トンボ検出手段による検出結果を回転・反転情報テーブルに記憶した回転・反転情報と比較することで前記ステージ上にセットしたシートの回転・反転状態を取得する回転・反転状態取得手段と、回転・反転状態取得手段により取得されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
第7の発明に係るカッティング方法は、カッティングプロッタのステージ上にセットしたシートの2箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボをセンサーにより所定順序で検出させるトンボ検出ステップと、トンボ検出手段による検出結果を回転・反転情報テーブルに記憶した回転・反転情報と比較することで前記ステージ上にセットしたシートの回転・反転状態を取得する回転・反転情報取得ステップと、回転・反転状態取得手段により取得されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0017】
第8の発明に係るカッティング用シートは、カッティングプロッタによりカットされるシートであって、当該シートの2箇所以上に色が異なるトンボを設けたことを特徴とする。
【0018】
第9の発明に係るデータ構造は、ステージ上にセットしたシートの2箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボを所定順序で検出した検出結果と比較するための回転・反転情報を記憶した回転・反転情報テーブル、としてコンピュータに格納されていることを特徴とする。
【0019】
即ち、ステージ上のシートの2箇所以上に設けたトンボの検出結果を前記データ構造として格納してある回転・反転情報テーブルと比較することで、当該シートの反転・回転状態を取得できる。そして、この回転・反転状態に基づいてカッティングデータの補正を行えば、前記シートを正しく置き直すことなく、正確なカットができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施の形態に係るカッティングシステムを示す概略構成図である。
【図2】図1に示したカッティングシステムを示す機能ブロック図である。
【図3】シートに印刷するトンボを示す説明図である。
【図4】このカッティングシステムの動作を示すフローチャートである。
【図5】トンボの並び順とシートの回転・反転状態との対応を示す回転・反転情報テーブルを示す説明図である。
【図6】回転・反転状態の一例を示す説明図である。
【図7】回転・反転状態の別の例を示す説明図である。
【図8】回転・反転状態の別の例を示す説明図である。
【図9】回転・反転状態の別の例を示す説明図である。
【図10】トンボの並び順とシートの回転・反転状態との対応を示す回転・反転情報テーブル2を示す説明図である。
【図11】トンボの数を3つ、2つ、1つにした場合の例を示す説明図である。
【図12】トンボの数と、回転・反転状態の特定に必要な検出回数を比較した図表である。
【図13】この発明の実施の形態2に係るカッティングシステムを示す機能ブロック図である。
【図14】このカッティングシステムの動作を示すフローチャートである。
【図15】回転・反転状態の特定に好適なトンボの形状を示す説明図である。
【図16】従来のカッティングプロッタのシートの傾きの補正方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態に係るカッティングシステムを示す概略構成図である。図2は、図1に示したカッティングシステムを示す機能ブロック図である。このカッティングシステム100は、カッティングプロッタ101と、このカッティングプロッタ101に接続したコンピュータ102とからなる。このカッティングプロッタ101は、カッティングヘッド51をX軸方向に駆動するX軸駆動機構52と、Y軸方向に駆動するY軸駆動機構53と、カッティングヘッド51のZ軸方向の昇降動作及びZ軸を中心とした回転動作を行うカッター駆動機構54と、これらを制御するコントローラ55とを有する。カッティングヘッド51には、後述するトンボTP(クロップマーク)を光学的に検出する光学センサー56が設けられている。この光学センサー56は、発光素子と受光素子とを組み合わせた光学式センサーやCCD(Charge Coupled Device)カメラ等で構成される。
【0022】
また、カッティングプロッタ101は、ステージ57上にセットしたシート70に印刷したトンボTPを検出するトンボ検出部1と、シートの回転又は反転の状態をトンボTPの検出順序と対応させてテーブルとして記憶している回転・反転情報テーブル2と、トンボ検出部の検出結果からシート70の回転又は反転の状態を取得する回転・反転状態取得部3と、シート70の回転・反転状態からカッティングデータの補正を行うカッティングデータ補正部4とを有する。
【0023】
コンピュータ102は、カッティングプロッタ101とUSBケーブルやRS−232C等の専用ケーブル、ネットワーク、無線近距離通信により接続される。なお、コンピュータ102は、インターネット空間で構築されるリソース形態を取るものであっても良い。コンピュータ102は、シート70のカッティングデータを生成するカットデータ生成部5を有する。
【0024】
図3は、シートに印刷するトンボを示す説明図である。シート70の画像領域71の周囲であって四隅にはそれぞれ異なるトンボTPが印刷されている。同図(a)の例では、トンボは黒色の正方形である。画像領域71の左下のトンボ(TP1)が一番大きく、右下のトンボ(TP2)が二番目に大きく、左上のトンボ(TP3)が一番小さく、右上のトンボ(TP4)が二番目に小さい。同図(b)の例では、トンボTPは正方形であるが、それぞれ色が異なる。画像領域71の左下のトンボ(TP1)は黒色であり、右下のトンボ(TP2)は赤色であり、左上のトンボ(TP3)は青色であり、右上のトンボ(TP4)は緑色である。
【0025】
トンボTPの検出順序は、左下のトンボ、右下のトンボ、左上のトンボ、右上のトンボである(図中、順序を点線で示す)。トンボ検出部1による初期検出位置を左下のトンボとする。これらの位置(左下、右下、左上、右上)にいずれのトンボ(TP1〜TP4)が位置するかは、シート70の回転・反転状態による。
【0026】
図4は、このカッティングシステムの動作を示すフローチャートである。まず、ユーザは、プリンタで所定の画像等を画像領域71に印刷したシート70をカッティングプロッタ101のステージ57上にセットする。次に、トンボ検出部1は、画像領域71の周囲のトンボTPを検出する(ステップS1)。トンボ検出部1は、光学センサー56を設けたカッティングヘッド51を初期検出位置に移動させ、図3に示した順にトンボTPの検出を行う。
【0027】
また、トンボTPを検出する場合、トンボTPが所定の位置にあるか否かを検出するのみならず、各トンボTPに対して走査を行い、その中心位置を検出するものとする。カッティングプロッタ101は、中心位置の検出結果に基づいてシート70の位置を補正する。
【0028】
図3(a)の例であれば、異なる大きさのトンボTPをそれぞれ光学センサー56で読み取り、トンボ検出部1はその読取結果からトンボTPの大きさを判別し、いずれのトンボ(TP1〜TP4)かを特定する。なお、トンボTPの大きさの判別方法は、光学センサー56の種類により異なる。発光素子と受光素子とからなる光学センサー56の場合、トンボTPを走査してその大きさ等を検出することになる。CCDカメラからなる光学センサー56の場合、画像処理で大きさを検出することになる。
【0029】
コンピュータ102は、カットデータ生成部5により生成した当該シート70のカッティングデータを出力する(ステップS2)。カットデータ生成部5は、カット図形を描くプログラムの拡張機能として実現される場合がある。
【0030】
回転・反転状態取得部3は、コンピュータ102からカッティングデータを受信する(ステップS3)。カッティングデータには、画像領域71の左下にトンボ(TP1)、右下にトンボ(TP2)、左上にトンボ(TP3)、右上にトンボ(TP4)の元情報が含まれる。また、回転・反転状態取得部3は、トンボ検出部1の検出結果から以下のようにしてステージ57にセットされたシート70の回転・反転状態を取得する(ステップS4)。ここで回転・反転状態とは、シートの回転又は反転を回転角度と回転軸とで特定した状態をいう。
【0031】
図5は、トンボの並び順とシートの回転・反転状態との対応を示す回転・反転情報テーブルを示す説明図である。図表中の番号「1」〜「4」はトンボの検出順を示す。
【0032】
トンボ検出部1の検出結果が、トンボ(TP1)、トンボ(TP2)、トンボ(TP3)、トンボ(TP4)の順番の場合、この検出結果を回転・反転情報テーブル2と比較すると、該当する回転・反転状態は「反転なし」、「回転なし」となり、シート70が正しい位置にセットされていることが判る。
【0033】
同様に、トンボ検出部1の検出結果が、トンボ(TP2)、トンボ(TP4)、トンボ(TP1)、トンボ(TP3)の順番の場合、該当する回転・反転状態は「反転なし」、「右90度回転」となる。これは、「反転なし」、「左270度」と同義である。
【0034】
トンボ検出部1の検出結果が、トンボ(TP4)、トンボ(TP3)、トンボ(TP2)、トンボ(TP1)の順番の場合、該当する回転・反転状態は「反転なし」、「右180度回転」となる。これは、「反転なし」、「左180度」と同義である。
【0035】
トンボ検出部1の検出結果が、トンボ(TP3)、トンボ(TP1)、トンボ(TP4)、トンボ(TP2)の順番の場合、該当する回転・反転状態は「反転なし」、「右270度回転」となる。これは、「反転なし」、「左90度」と同義である。
【0036】
また、トンボ検出部1の検出結果が、トンボ(TP3)、トンボ(TP4)、トンボ(TP1)、トンボ(TP2)の順番の場合、該当する回転・反転状態は「X軸反転(X軸を中心とする反転)」、「回転なし」となる。これは、「Y軸反転」、「右180度回転」と同義である。
【0037】
トンボ検出部1の検出結果が、トンボ(TP4)、トンボ(TP2)、トンボ(TP3)、トンボ(TP1)の順番の場合、該当する回転・反転状態は「X軸反転」、「右90度回転」となる。これは、「Y軸反転」、「右270度回転」と同義である。
【0038】
トンボ検出部1の検出結果が、トンボ(TP2)、トンボ(TP1)、トンボ(TP4)、トンボ(TP3)の順番の場合、該当する回転・反転状態は「X軸反転」、「右180度回転」となる。これは、「Y軸反転」、「回転なし」と同義である。
【0039】
トンボ検出部1の検出結果が、トンボ(TP1)、トンボ(TP3)、トンボ(TP2)、トンボ(TP4)の順番の場合、該当する回転・反転状態は「X軸反転」、「右270度回転」となる。これは、「Y軸反転」、「右90度回転」と同義である。
【0040】
なお、図示しないが、「右90度回転」と「左270度回転」とは同じ回転状態となる。「右180度回転」と「左180度回転」とは同じ回転状態となる。「右270度回転」と「左90度回転」とは同じ回転状態となる。
【0041】
図6は、回転・反転状態の一例を示す説明図である。シート70がステージ57に正しくセットされている場合、同図(a)に示すように、トンボ(TP1)、トンボ(TP2)、トンボ(TP3)、トンボ(TP4)、の順でトンボが検出される。このため、当該検出結果について回転・反転情報テーブル2を参照するとシート70の回転・反転状態は「回転なし、反転なし」となる。一方、トンボTPの検出結果が、同図(b)に示すように、トンボ(TP2)、トンボ(TP4)、トンボ(TP1)、トンボ(TP3)、となった場合、回転・反転情報テーブル2を参照すると、シート70の回転・反転状態が「右90度回転・反転なし」であることが判る。
【0042】
図7は、回転・反転状態の別の例を示す説明図である。同図(a)は、上記同様、シート70がステージ57に正しくセットされている場合を示す。一方、トンボTPの検出結果が、同図(b)に示すように、トンボ(TP2)、トンボ(TP1)、トンボ(TP4)、トンボ(TP3)、となった場合、回転・反転情報テーブル2を参照すると、シート70の回転・反転状態が「右180度回転、X軸反転」または「回転なし、Y軸反転」であることが判る。
【0043】
図8は、回転・反転状態の別の例を示す説明図である。同図(a)は、上記同様、シート70がステージ57に正しくセットされている場合を示す。一方、トンボTPの検出結果が、同図(b)に示すように、トンボ(TP1)、トンボ(TP3)、トンボ(TP2)、トンボ(TP4)、となった場合、回転・反転情報テーブル2を参照すると、シート70の回転・反転状態が「右270度回転、X軸反転」または「右90度回転、Y軸反転」であることが判る。
【0044】
図9は、回転・反転状態の別の例を示す説明図である。この例は、色付きのトンボTPを用いて回転・反転状態を判別するものである。シート70がステージ57に正しくセットされている場合、同図(a)に示すように、黒トンボ(TP1)、赤トンボ(TP2)、青トンボ(TP3)、緑トンボ(TP4)、の順でトンボが検出される。このため、当該検出結果について回転・反転情報テーブル2を参照するとシート70の回転・反転状態は「回転なし、反転なし」となる。一方、トンボTPの検出結果が、同図(b)に示すように、黒トンボ(TP1)、青トンボ(TP3)、赤トンボ(TP2)、緑トンボ(TP4)、となった場合、回転・反転情報テーブル2を参照すると、シート70の回転・反転状態が「右270度回転、X軸反転」または「右90度回転、Y軸反転」であることが判る。
【0045】
なお、色つきのトンボTPの場合、光学センサー56にはCCDカメラを用いるのが好ましい。
【0046】
ここで、カッティングヘッド51の光学センサー56により4つのトンボTPを個別に検出すると、カッティングヘッド51の移動時間が増えて加工時間が長くなるため、トンボTPの読み取り回数は少ない方が好ましい。図5を参照すると、シート70に4つのトンボTPを印刷した場合、以下に示すように、最初の2回の検出で回転・反転状態を特定できることが判る。
【0047】
図10は、トンボの並び順とシート70の回転・反転状態との対応を示す回転・反転情報テーブル2を示す説明図であって、トンボの数を1個から3個の範囲にした場合を示す。図11は、トンボの数を3つ、2つ、1つにした場合の例を示す説明図である。図表中の番号「1」〜「4」はトンボの検出順を示す。また、トンボ検出不能のエラーが続いても最長4回目まで検出するものとする。
【0048】
また、「反転なし」、「回転なし」は、シート70が正しくセットされていることを意味する。「右90度」はシート70が右方向に90度回転していることを意味し、「左270度」の回転と同義である。「右180度」はシート70が右方向に180度回転していることを意味し、「左180度」の回転と同義である。「右270度」はシート70が右方向に270度回転していることを意味し、「左90度」の回転と同義である。
【0049】
「X軸反転」、「回転なし」は、X軸を中心に反転していることを意味し、「Y軸反転」、「右180度回転」と同義である。「X軸反転」、「右90度回転」は、X軸を中心に反転し、右方向に90度回転していることを意味し、「Y軸反転」、「右270度回転」と同義である。「X軸反転」、「右180度回転」は、X軸を中心に反転し、右方向に180度回転していることを意味し、「Y軸反転」、「回転なし」と同義である。「X軸反転」、「右270度回転」は、X軸を中心に反転し、右方向に270度回転していることを意味し、「Y軸反転」、「右90度回転」と同義である。
【0050】
図11(a)に示すように、トンボTPの数を3個にした場合(トンボ(TP4)を省略)、トンボTPを検出できない場合をエラー(E)とすると(以下同様)、図10(a)に示すように、最初の2回の検出でシート70の回転・反転状態を特定できることが判る。即ち、1回目及び2回目の検出結果の組み合わせが、各回転・反転状態で異なるからである。
【0051】
また、トンボの数が3個の場合、シート70が外れているか否かも判断できる。即ち、3回目又は4回目の検出位置でトンボTPが検出できれば、シート70がステージ57のカッティングエリアにセットされていることが判る。3回目又は4回目の検出位置でトンボTPが検出できない場合、シート70はステージ57のカッティングエリアから外れている可能性がある。
【0052】
次に、図11(b)に示すように、トンボTPの数を2個にした場合(トンボ(TP3)及びトンボ(TP4)を省略)、図10(b)に示すように、最初の2回の検出ではシート70の回転・反転状態を特定できることができないことが判る。具体的には、トンボTPなしの「E」が2回続く場合、「右180度回転」なのか「X軸反転、回転なし(Y軸反転、右180度回転)」なのか特定できない。しかし、3回目まで検出すればシート70の回転・反転状態を特定できることが判る。「右180度回転」の場合はトンボTP2が検出され、「X軸反転、回転なし(Y軸反転、右180度回転)」の場合はトンボTP1が検出されるからである。なお、トンボTPが2個の場合において回転・反転状態を特定するためには、シート70がカッティングエリアにセットされていることを前提とする。
【0053】
次に、図11(c)に示すように、トンボTPの数を1つにした場合(トンボ(TP1)のみ)、図10(c)に示すように、1回目〜4回目まで検出しても、同じ検出結果となる組み合わせが生じてしまい、シート70の回転・反転状態を特定できないことが判る。
【0054】
図12は、トンボの数と、回転・反転状態の特定に必要な検出回数を比較した図表である。トンボTPの数が4つの場合、シート70の回転・反転状態の特定は可能であり、そのためには2回の検出で済む。
【0055】
次に、トンボTPの数が3つの場合、シート70の回転・反転状態の特定は可能であり、そのためには最短で2回の検出で済む。検出の順序は決まっているので、最初の検出がエラーでも、次の2回の検出で回転・反転状態が特定できる(3回検出すれば必ず回転・反転状態が特定できる)。
【0056】
次に、トンボTPの数が2つの場合、シート70の回転・反転状態の特定は可能であるが、そのためには3回の検出が必要となる。次に、トンボTPの数が1つの場合、シート70の回転・反転状態の特定は不可能である。
【0057】
以上から、トンボの数は3つ又は4つとするのが最適である。また、トンボTPの数は2つでも、シート70の回転・反転状態の特定は可能である。
【0058】
トンボ検出部1からの検出結果は、トンボTPの検出順に送信される。このため、回転・反転状態取得部3は、2回(又は3回)の検出で回転・反転を特定できた場合、それ以上の処理を行わない。これにより、カッティングヘッド51の移動時間等を省略して、短時間にシート70の回転・反転状態を特定できる。
【0059】
以上のようにして、回転・反転状態取得部3は、ステージ57にセットされたシート70の回転・反転情報を取得する。
【0060】
次に、カッティングデータ補正部4は、回転・反転状態取得部3により取得したシート70の回転・反転状態に基づいて、前記受信したカッティングデータの補正を行う(ステップS5)。カッティングプロッタ101のコントローラ55は、この補正したカッティングデータに基づいて各駆動機構52〜54を制御してシート70のカットを実行する(ステップS6)。
【0061】
以上、この発明のカッティングシステム100によれば、シート70を回転又は反転させた状態でステージ57上に置いても、カッティングシステム100側でその回転・反転状態を認識して自動的にカッティングデータの補正を行うので、ユーザがシート70を正しく置き直す必要がない。このため、シート70のカッティング作業が効率よく行える。
【0062】
また、透明のシートに反転画像を印刷し、印刷面の反対面から視認させて光沢感を得るような場合、画像をシート70の両側から認識できるため、ユーザが誤ってシート70をステージ57上に反転セットすることがあったが、かかる場合でもシート70をセットし直す必要がない。
【0063】
(実施の形態2)
また、回転・反転状態取得部3と、カッティングデータ補正部4をコンピュータ102が有するようにしても良い。図13は、この発明の実施の形態2に係るカッティングシステムを示す機能ブロック図である。図14は、このカッティングシステムの動作を示すフローチャートである。ユーザがシート70をカッティングプロッタ101のステージ57上にセットした後、トンボ検出部1は、画像領域71の周囲のトンボを図3に示した順で検出を行う(ステップS1)。このトンボ検出部1の検出結果は、コンピュータ102の回転・反転状態取得部3に送信される(ステップS2)。
【0064】
回転・反転状態取得部3は、ステージ57にセットされたシート70の回転・反転状態の情報を受信し(ステップS3)、この検出結果を上記回転・反転情報テーブル2に格納されている回転・反転情報と比較し、シート70の回転・反転状態を特定する(ステップS4)。上記同様、最初の2回の読み取りで回転・反転状態が特定できればそこでトンボの検出を終了できる。次に、カッティングデータ補正部4は、回転・反転状態取得部3により取得したシート70の回転・反転状態に基づいて、カットデータ生成部5により生成したカッティングデータの補正を行う(ステップS5)。この補正したカッティングデータは、カッティングプロッタ101に送信される(ステップS6)。カッティングプロッタ101は、受信したカッティングデータに基づいてカッティングプロッタ101のコントローラ55が各駆動機構52〜54を制御し、シート70のカットを実行する(ステップS7)。
【0065】
以上の構成であっても、ステージ57上に置いたシート70の回転・反転状態を取得し、この回転・反転状態に基づいてカッティングデータを自動的に補正し、シート70のカットを実行できる。このため、ユーザがシート70を正しく置き直す必要がない。
【0066】
また、前記トンボ検出部1をコンピュータ102に設けても良い。その場合、上記光学センサー56のみをカッティングプロッタ101に設け、光学センサー56の出力をA/D変換した信号をコンピュータ102に送信し、トンボ検出部1によりトンボの検出を行うようにする。それ以降の手順は上記同様である。
【0067】
(実施の形態3)
図15は、上記回転・反転状態の特定に好適な実施の形態3にかかるトンボの形状を示す説明図である。各トンボTPが異なる特徴を有していれば、トンボ検出部1によりトンボTPの順を取得可能である。例えば、同図に示すように、画像領域71の左下に丸形状のトンボ(TP1)、右下に四角形状のトンボ(TP2)、左上にL字形状のトンボ(TP3)、右上に十字形状のトンボ(TP4)を印刷することで、トンボ検出部1は、それぞれのトンボを個別に認識できるようになる。
【0068】
なお、上記各実施の形態では、フラットヘッドタイプのカッティングプロッタを例にして説明したが、グリッドタイプのカッティングプロッタの場合も同様に処理できる。また、プリント後、カットするプリントアンドカット機であっても、プリントしたメディアを取り外した後に、再度セットし直してカットする場合にも有効である。
【0069】
また、上記各実施の形態では、カッティング媒体として、シートを例に説明したが、シートは可とう性媒体に限らず、アクリル板等の腰の強い媒体であっても良い。
【符号の説明】
【0070】
100 カッティングシステム
101 カッティングプロッタ
102 コンピュータ
1 トンボ検出部
2 回転・反転情報テーブル
3 回転・反転状態取得部
4 カットデータ補正部
5 カットデータ生成部
51 カッティングヘッド
55 コントローラ
56 光学センサー
57 ステージ
70 シート
71 画像領域
TP トンボ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
カッティングプロッタのステージ上にセットしたシートの2箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボを所定順序で検出した検出結果を回転・反転情報テーブルに記憶した回転・反転情報と比較することで前記ステージ上にセットしたシートの回転・反転状態を取得する回転・反転状態取得手段、
として機能させることを特徴とするカッティングプログラム。
【請求項2】
コンピュータに、
カッティングプロッタのステージ上にセットしたシートの3箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボを所定順序で2回まで検出した検出結果を回転・反転情報テーブルに記憶した回転・反転情報と比較することで前記ステージ上にセットしたシートの回転・反転状態を取得する回転・反転状態取得手段、
として機能させることを特徴とするカッティングプログラム。
【請求項3】
更に、請求項1又は2の回転・反転状態取得手段により取得されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正手段を有することを特徴とするカッティングプログラム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載のカッティングプログラムがコンピュータを機能させることで実現する回転・反転状態取得手段を有することを特徴とするカッティングプロッタ。
【請求項5】
更に、前記回転・反転状態取得手段により特定されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正手段を有することを特徴とする請求項4に記載のカッティングプロッタ。
【請求項6】
カッティングプロッタのステージ上にセットしたシートの2箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボをセンサーにより所定順序で検出させるトンボ検出手段と、
トンボ検出手段による検出結果を回転・反転情報テーブルに記憶した回転・反転情報と比較することで前記ステージ上にセットしたシートの回転・反転状態を取得する回転・反転状態取得手段と、
回転・反転状態取得手段により取得されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正手段と、
を備えたことを特徴とするカッティングシステム。
【請求項7】
カッティングプロッタのステージ上にセットしたシートの2箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボをセンサーにより所定順序で検出させるトンボ検出ステップと、
トンボ検出手段による検出結果を回転・反転情報テーブルに記憶した回転・反転情報と比較することで前記ステージ上にセットしたシートの回転・反転状態を取得する回転・反転情報取得ステップと、
回転・反転状態取得手段により取得されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正ステップと、
を含むことを特徴とするカッティング方法。
【請求項8】
カッティングプロッタによりカットされるシートであって、当該シートの2箇所以上に色が異なるトンボを設けたことを特徴とするカッティング用シート。
【請求項9】
ステージ上にセットしたシートの2箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボを所定順序で検出した検出結果と比較するための回転・反転情報を記憶した回転・反転情報テーブル、としてコンピュータに格納されていることを特徴とするデータ構造。
【請求項1】
コンピュータに、
カッティングプロッタのステージ上にセットしたシートの2箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボを所定順序で検出した検出結果を回転・反転情報テーブルに記憶した回転・反転情報と比較することで前記ステージ上にセットしたシートの回転・反転状態を取得する回転・反転状態取得手段、
として機能させることを特徴とするカッティングプログラム。
【請求項2】
コンピュータに、
カッティングプロッタのステージ上にセットしたシートの3箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボを所定順序で2回まで検出した検出結果を回転・反転情報テーブルに記憶した回転・反転情報と比較することで前記ステージ上にセットしたシートの回転・反転状態を取得する回転・反転状態取得手段、
として機能させることを特徴とするカッティングプログラム。
【請求項3】
更に、請求項1又は2の回転・反転状態取得手段により取得されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正手段を有することを特徴とするカッティングプログラム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載のカッティングプログラムがコンピュータを機能させることで実現する回転・反転状態取得手段を有することを特徴とするカッティングプロッタ。
【請求項5】
更に、前記回転・反転状態取得手段により特定されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正手段を有することを特徴とする請求項4に記載のカッティングプロッタ。
【請求項6】
カッティングプロッタのステージ上にセットしたシートの2箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボをセンサーにより所定順序で検出させるトンボ検出手段と、
トンボ検出手段による検出結果を回転・反転情報テーブルに記憶した回転・反転情報と比較することで前記ステージ上にセットしたシートの回転・反転状態を取得する回転・反転状態取得手段と、
回転・反転状態取得手段により取得されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正手段と、
を備えたことを特徴とするカッティングシステム。
【請求項7】
カッティングプロッタのステージ上にセットしたシートの2箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボをセンサーにより所定順序で検出させるトンボ検出ステップと、
トンボ検出手段による検出結果を回転・反転情報テーブルに記憶した回転・反転情報と比較することで前記ステージ上にセットしたシートの回転・反転状態を取得する回転・反転情報取得ステップと、
回転・反転状態取得手段により取得されたシートの回転・反転状態に基づいてシートのカッティングデータを補正するカッティングデータ補正ステップと、
を含むことを特徴とするカッティング方法。
【請求項8】
カッティングプロッタによりカットされるシートであって、当該シートの2箇所以上に色が異なるトンボを設けたことを特徴とするカッティング用シート。
【請求項9】
ステージ上にセットしたシートの2箇所以上に設けられた大きさ、色、形その他の異なる特徴を有するトンボを所定順序で検出した検出結果と比較するための回転・反転情報を記憶した回転・反転情報テーブル、としてコンピュータに格納されていることを特徴とするデータ構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図13】
【公開番号】特開2012−81527(P2012−81527A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226901(P2010−226901)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]