説明

カッティングプロッタ、およびそれを用いたカッティング方法

【課題】マークを印刷形成することなくカット加工を行うときに、手間を減らしてカット加工作業を簡便に行うことができるカッティングプロッタを提供する。
【解決手段】カッティングプロッタ1は、被加工媒体2を支持可能な支持盤21と、被加工媒体2にカット加工を施すドリル43と、被加工媒体2に対してドリル43を相対移動させるX軸駆動機構35、Y軸駆動機構45、ドリル駆動機構とを有し、ドリル43により被加工媒体2に所望のカット加工を施すように構成され、被加工媒体2に対しドリル43によりカット加工を施して複数の基準穴を形成する駆動制御部51、演算部55と、支持盤21における基準穴の位置を検出する基準穴検出部44と、基準穴検出部44により検出された支持盤21における基準穴の位置を基にしてドリル43の相対移動制御を行うことで、被加工媒体2に所望のカット加工を施す駆動制御部51、演算部55とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状の媒体に対して所望のカット加工を施すためのカッティングプロッタ、およびこのカッティングプロッタを用いたカッティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の紙または布地等の媒体を所望の形状にカット加工するための装置として、従来、平板状のベッド上に保持させた媒体に対してカッター刃を押し付けておき、このカッター刃を媒体に対して相対移動させることにより、所望の形状にカット加工を施すように構成されたカッティングプロッタが知られている。このようにして行われるカット加工には、従前に媒体に対して印刷された所望の画像に対応させたカットパターン(例えば、画像の輪郭に沿ってカット加工を施すパターン)でカット加工を施す場合がある。この場合、画像印刷位置とカット加工位置とを正確に対応させるために、所望画像の印刷時に位置決め用のマークを印刷形成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年、上記のようなカッティングプロッタの作動原理を利用して、一定の厚みを有した平板状のアクリルや木材等の媒体に所望のカット加工を施したいという要望がある。このような要望に応えるべく、カッター刃の代わりに高速で回転するドリルやエンドミル等の工具を媒体に対して押し付けた状態で相対移動させることにより、一定の厚みを有した媒体に所望のカット加工を行うカッティングプロッタが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−260443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一定の厚みを有したアクリルや木材等の媒体に対してドリルを押し付けて所望のカット加工を行う場合、媒体に所望の画像を印刷することなくカット加工のみを施して製品を完成させることがある。このとき、当然ながら媒体に位置決め用のマークが印刷されていないため、媒体がベッド上の任意の位置に載置された場合には、ベッドにおける媒体の位置のみならず媒体における所望のカット加工を施す位置もカッティングプロッタにおいて把握できないこととなる。そのため従来、例えばベッド上の所定位置に媒体を載置させるための位置決め治具を設け、作業者はこの位置決め治具に媒体を合わせた状態で載置する必要があった。このように、媒体を位置決めさせた状態でベッドに載置させるためにカット加工作業における手間が増えてしまい、カット加工作業が煩雑になりがちであるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、マークを印刷形成することなくカット加工を行うときに、手間を減らしてカット加工作業を簡便に行うことができるカッティングプロッタ、およびそのカッティング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るカッティングプロッタは、媒体(例えば、実施形態における被加工媒体2)を支持可能なベース部材(例えば、実施形態における支持盤21)と、前記ベース部材に支持された媒体にカット加工を施すカット手段(例えば、実施形態におけるドリル43)と、前記ベース部材に支持された媒体に対して前記カット手段を相対移動させる相対移動手段(例えば、実施形態におけるX軸駆動機構35、Y軸駆動機構45、ドリル駆動機構46)とを有し、前記相対移動手段によって相対移動される前記カット手段により前記媒体に所望のカット加工を施すカッティングプロッタにおいて、前記相対移動手段による前記カット手段の相対移動制御を行い、前記ベース部材に支持された媒体に対し前記カット手段によりカット加工を施して複数の基準マーク(例えば、実施形態における基準穴2a〜2d)を形成するマーク形成制御手段(例えば、実施形態における駆動制御部51、演算部55)と、前記ベース部材に前記媒体が支持された状態で、前記ベース部材における前記基準マークの位置を検出するマーク位置検出手段(例えば、実施形態における基準穴検出部44)と、前記マーク位置検出手段により検出された前記ベース部材における前記基準マークの位置を基にして前記相対移動手段による前記カット手段の相対移動制御を行うことで、前記媒体に前記所望のカット加工を施すカット加工制御手段(例えば、実施形態における駆動制御部51、演算部55)とを備えることを特徴とする。
【0008】
なお、上述のカッティングプロッタにおいて、前記マーク形成制御手段により、前記媒体に少なくとも3つの前記基準マークが形成されることが好ましい。
【0009】
本発明に係るカッティング方法は、媒体を支持可能なベース部材と、前記ベース部材に支持された媒体にカット加工を施すカット手段と、前記ベース部材に支持された媒体に対して前記カット手段を相対移動させる相対移動手段とを有し、前記相対移動手段によって相対移動される前記カット手段により前記媒体に所望のカット加工を施すカッティングプロッタを用いて行うカッティング方法であって、前記ベース部材に支持された媒体に対し前記カット手段によりカット加工を施して複数の基準マークを形成するマーク形成ステップと、前記マーク形成ステップにおいて前記基準マークが形成された前記媒体を前記ベース部材に支持させて、前記ベース部材における前記基準マークの位置を検出するマーク位置検出ステップと、前記マーク位置検出ステップにより検出された前記ベース部材における前記基準マークの位置を基にして前記相対移動手段による前記カット手段の相対移動制御を行うことで、前記媒体に前記所望のカット加工を施すカット加工ステップとを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るカッティングプロッタは、カット手段によりカット加工を施して複数の基準マークを形成するマーク形成制御手段と、ベース部材における基準マークの位置を検出するマーク位置検出手段と、ベース部材における基準マークの位置を基にしてカット手段の相対移動制御を行って、媒体に所望のカット加工を施すカット加工制御手段とを備える。そのため、マーク位置検出手段により基準マークの位置を検出することにより、この基準マークの位置を原点位置として所望のカット加工を施す位置を把握することが可能となる。よって、マークを印刷形成することなくカット加工を行うときに、例えば媒体を位置決め治具によって位置決めさせて載置する必要がなくなり、手間を減らしてカット加工作業を簡便に行うことができる。
【0011】
なお、上述のカッティングプロッタにおいて、媒体に少なくとも3つの基準マークが形成されることが好ましい。この場合、検出された基準マークの位置を基にして、ベース部材における所望のカット加工を施す位置を決定可能となる。
【0012】
本発明に係るカッティング方法は、カット手段によりカット加工を施して複数の基準マークを形成するマーク形成ステップと、ベース部材における基準マークの位置を検出するマーク位置検出ステップと、ベース部材における基準マークの位置を基にして相対移動手段による前記カット手段の相対移動制御を行うことで、媒体に所望のカット加工を施すカット加工ステップとを備える。このため、基準マークの位置を検出することによって、この基準マークの位置を原点位置として所望のカット加工を施す位置を把握することができる。よって、マークを印刷形成することなくカット加工を行うときに、例えば媒体を位置決め治具によって位置決めさせて載置する必要がなく、カット加工作業を簡便に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用したカッティングプロッタの斜視図である。
【図2】上記の制御系統を示すブロック図である。
【図3】(a)は上記カッティングプロッタの平面図を、(b)は図3(a)中のIII(b)−III(b)部分の断面図をそれぞれ示す。
【図4】上記カッティングプロッタを用いてカット加工を施すときのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明が適用されるカッティングプロッタの一例として、加工テーブルに固定保持した平板状の被加工媒体に対してドリルを水平面内の直交二軸(X軸‐Y軸)方向に移動させ、及び上下(Z軸)方向に昇降させて被加工媒体を所望の形状にカット加工する、いわゆるX‐Yプロッタタイプ(フラットベッドタイプ)のカッティングプロッタ1の斜視図を図1に示すとともに、制御構成の概要を示すブロック図を図2に示している。なお、以下においては説明の便宜上、図1中に付記する上下、前後および左右と書いた矢印の方向を用いて説明する。
【0015】
カッティングプロッタ1は、図1に示すように、加工テーブル20を水平に支持するとともに各機構の取り付けベースとなる本体フレーム10と、載置された被加工媒体2を固定保持する加工テーブル20と、加工テーブル20の上方に前後方向(X軸方向)に移動自在に支持されX軸駆動機構35により前後に移動されるX軸キャリッジ30と、X軸キャリッジ30に左右方向(Y軸方向)に移動可能に支持されY軸駆動機構45により左右に移動されるカッティングヘッド40と、X軸駆動機構35,Y軸駆動機構45,及びカッティングヘッド40に設けられたドリル駆動機構46(図2参照)等の作動を制御することによりX軸キャリッジ30及びカッティングヘッド40の水平移動並びにドリル43の上下移動等を制御し、これにより加工テーブル20に固定保持された被加工媒体2のカット加工を制御するコントロールユニット50とを備えて構成される。
【0016】
加工テーブル20は、上下貫通する微細な吸着孔が多数形成された平坦な支持盤21と、この支持盤21の下面側に設けられた減圧室22と、減圧室22の空気を排気して負圧に設定する真空ブロア23とを備えて構成される。そのため、真空ブロア23により減圧室22を負圧に設定することで被加工媒体2が支持盤21に真空吸着されて固定保持されるようになっている。
【0017】
X軸キャリッジ30は、加工テーブル20の上部に支持盤21を挟んで前後方向に平行に延びて左右一対のガイドレール31,31が固定され、これらのガイドレール31,31に左右に延びる角筒状のガイドバー32が前後に移動自在に支持される。ガイドレール31は、直動ガイドあるいはリニアガイドとも称される直動軸受の支持レールが用いられ、左右のガイドレール31,31にそれぞれ嵌合されたスライドブロック33,34にガイドバー32の左端部および右端部が固定され、これによりガイドバー32が支持盤21の上方を跨いだ状態で前後にスライド移動自在に支持される。X軸駆動機構35は公知の種々の駆動機構を用いることができるため、本明細書においては詳細図示を省略するが、例えば加工テーブル20の下面側にガイドレール31と平行に前後に延びて配設されたボールネジ及びこのボールネジを回転駆動するサーボモータと、ボールネジに嵌合支持されX軸キャリッジ30に固定されたボールナットとにより構成することができる。
【0018】
カッティングヘッド40は、ガイドバー32の前面に左右に延びて固定されたガイドレール32aに嵌合され左右にスライド移動自在に支持されたスライダ41と、スライダ41の前面側に着脱可能に支持されたドリルホルダ42と、下方に向けて検査光を発射する発光部(図示せず)およびこの発光部から発射されて反射された検査光を受光する受光部(図示せず)を備えた基準穴検出部44とを有して構成される。ドリルホルダ42の先端部にはドリル43が取り付けられており、ドリル43を高速で回転させた状態で被加工媒体2に押し付けることにより、被加工媒体2に対してカット加工を施すことができるようになっている。ドリル43はドリルホルダ42に取り付けられた状態で一体として取り扱われ、ドリル駆動機構46により、ドリルホルダ42を上下移動させてドリル43を上下移動させることができるようになっている。
【0019】
なお、Y軸駆動機構45についてもX軸駆動機構35と同様に詳細図示を省略するが、例えば、ガイドバー32の左端側と右端側にそれぞれ回転自在に設けた駆動プーリ及び従動プーリと、駆動プーリを回転駆動するサーボモータと、駆動プーリと従動プーリとに掛け回された無端ベルト状の駆動ベルトとからなり、駆動ベルトの中間部にカッティングヘッド40(スライダ41)を固定して構成することができる。また、駆動ベルトには内周面に多数の歯が形成されたタイミングベルト、駆動プーリ及び従動プーリにはタイミングプーリを用いることでカッティングヘッド40の移動(移動方向、移動速度、左右方向位置等)を微細に制御することができる。
【0020】
カッティングヘッド40には、ドリルホルダ42に取り付けられたドリル43を支持盤21上に吸着保持された被加工媒体2に加工プログラムに基づいて所定の切り込み深さで押接させる加工位置および被加工媒体2から離隔させた離間位置に上下移動させるとともに、ドリル43を回転駆動させるドリル駆動機構46(Z軸駆動機構)が設けられている。なお、ドリル43は断面視円形となっており、その中心(回転中心)部分が下方に突出した形状となっている。そのため、被加工媒体2にドリル43を回転させながら押し付けると、図3(b)に示すように、中心部分が尖った穴が形成される。
【0021】
コントロールユニット50は、カッティングプロッタ1の各軸駆動機構を含む装置全体の作動を制御する駆動制御部51を有し(図2参照)、所定の加工プログラムに基づいて、X軸駆動機構35、Y軸駆動機構45およびドリル駆動機構46等の作動を制御することにより、X軸キャリッジ30およびカッティングヘッド40の水平移動並びにドリル43の上下移動および回動を制御する。これにより、加工テーブル20に固定保持された被加工媒体2に対するカット加工を制御するように構成される。
【0022】
なお、コントロールユニット50には、駆動制御部51に加えて、カット形状データ読み込み部57、演算部55、入力部56および表示部58も設けられている。カット形状データ読み込み部57は、カット加工を施す形状データを読み込むとともに、読み込んだ形状データを演算部55に出力するようになっている。そして、演算部55が、入力された形状データに基づく制御信号を駆動制御部51に出力することによって、読み込んだ形状データに基づくカット加工が行われるようになっている。入力部56は、カット加工時の補助的な指示(例えば、カット加工速度、押し付け力等のカット条件の指示等)を行うためのものであり、このような入力条件やカット形状等が表示部58に表示される。また、演算部55には、基準穴検出部44における検出結果が入力されるようになっている。
【0023】
以上ここまでは、カッティングプロッタ1の全体構成について説明した。以下においては、このように構成されるカッティングプロッタ1を用いて被加工媒体2に対してカット加工を施す場合について、図3を参照しながら図4に示すフローチャートに沿って説明する。なお、本発明を適用したカッティングプロッタ1は、以下に説明するように、マークが印刷形成されていない被加工媒体2を支持盤21の任意の位置に載置させた場合であっても、所望のカット加工ができる点に特徴を有している。
【0024】
まず、図4に示すステップS81において、被加工媒体2を支持盤21の任意の位置に載置させる。ここで、後述する基準穴21a〜21dを形成するために、支持盤21上の所定位置に位置決めして載置させる必要はない。
【0025】
次に、ステップS82に進み、支持盤21に対してカッティングヘッド40(基準穴検出部44)を走査させることにより、支持盤21における被加工媒体2の載置位置を検出する。このとき、基準穴検出部44における検出結果(受光結果)は演算部55に出力される。演算部55においては、支持盤21の表面で反射される検査光の受光強度と、被加工媒体2の表面で反射される検査光の受光強度とが異なることを利用して、支持盤21における被加工媒体2の位置が検出される。
【0026】
続いてステップS83において、上記ステップS82で検出された被加工媒体2の位置を基にして、被加工媒体2の四隅近傍(後述するカット加工が行われる領域を避けた部分)に、ドリル43を用いて所定深さの基準穴2a〜2dが形成される(図3(a)および図3(b)参照)。
【0027】
次に、ステップS84に進み、被加工媒体2に対して基準穴検出部44を走査させる。そうすることにより、演算部55において、ステップS82と同様の処理を行うことにより、上記ステップS83で形成された4つの基準穴2a〜2dの支持盤21に対する中心位置を検出する。ここで、各基準穴2a〜2dは図3(b)に示すように、その中心部分が最も深く削られて形成されている。そのため、被加工媒体2に対して基準穴検出部44を走査させた場合、斜面部83aで反射する検査光よりも中心部83bで反射する検査光の方が、受光部において強度がより高く検出される。このような受光強度の変化を演算部55において検出することで、反射光の強度変化に基づいて4つの基準穴2a〜2dの中心位置を正確に検出できる。
【0028】
続いてステップS85において、上記ステップS84において検出された各基準穴2a〜2dの中心位置のうち、いずれか1つの位置を、製品部分2e(図3(a)におけるハッチングを施した部分)をカット加工するときの原点位置に設定する。なお、以下の説明では、基準穴2aの位置を原点位置に設定する場合を例示して説明する。
【0029】
次に、ステップS86に進み、演算部55において、カット形状データ読み込み部5からの形状データ(カッティングプロッタ1の機械原点を原点位置として設定された形状データ)を、基準穴2aの位置を原点位置とした形状データに変換する処理が行われる。これにより、製品部分2eの座標が、基準穴2aの位置を原点位置とした座標として設定される。
【0030】
続いてステップS87に進み、上記ステップS86で基準穴2aの位置を原点位置として設定された形状データに基づく制御信号が、演算部55から駆動制御部51へ出力される。そうすることにより、駆動制御部51によりX軸駆動機構35、Y軸駆動機構45およびドリル駆動機構46等の作動が制御されて、図3(a)の製品部分2eに所望のカット加工が施される。そして、製品部分2eへのカット加工が完了することで、このフローは終了する。
【0031】
以上説明したように、製品部分2eのカット加工を行う前にカット加工用のドリル43を用いて基準穴2a〜2dを形成することで、カッティングプロッタ1の機械原点を原点位置として設定された形状データを、支持盤21における被加工媒体2の載置位置に対応させた形状データに設定し直す(基準穴2a〜2dのいずれかを原点位置として形状データを設定し直す)ことができる。そのため、被加工媒体2を支持盤21上のどの部分に載置させた場合であっても、基準穴2a〜2dのいずれかを原点位置とした形状データが設定できるとともに、その形状データに基づいてカット加工が可能である。よって、例えば位置決め治具等を設けて被加工媒体2を支持盤21の所定位置に載置させる必要がなく、作業者は支持盤21上の任意の位置(例えば、載置しやすい位置)に被加工媒体2を載置するだけで良い。このため、従来の位置決め治具を用いた構成と比較して、カット加工作業における手間を省いて、カット加工作業の簡便化を図ることができる。
【0032】
上述の実施形態において、基準穴2a〜2dを形成する工具としてドリル43を用いた構成例について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えばドリル43に代えて、エンドミルを用いた構成でも良い。また、カッティングヘッド40に搭載された切断用のカッター刃を用いて、基準穴としての基準マークをカット形成する構成でも良い。さらには、カッティングヘッド40に搭載された作図用のペンを用いて、基準穴としてのマークを作図する構成でも良い。
【0033】
上述の実施形態においては、基準穴2a〜2dを形成した後、支持盤21に対して被加工媒体2を取り外すことなく(支持盤21における被加工媒体2の載置位置を変化させることなく)基準穴2a〜2dの位置を検出するカッティング方法を例示して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、基準穴2a〜2dを形成した後で支持盤21から被加工媒体2を取り外し、再度支持盤21に被加工媒体2を吸着固定させて基準穴2a〜2dの位置を検出するようにしても良い。
【0034】
上述の実施形態において、被加工媒体2および基準穴2a〜2dの位置を検出する手段として、検査光を発光および受光する基準穴検出部44を用いた構成例を示して説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば基準穴検出部44に代えて、被加工媒体2が載置された支持盤21を上方から撮像するCCDカメラを用いた構成でも良い。この構成の場合には、撮像された画像データから被加工媒体2の輪郭線を抽出することで支持盤21における被加工媒体2の位置を検出でき、また、画像データから基準穴2a〜2dの輪郭線(または中心点)を抽出することで支持盤21における基準穴2a〜2dの中心位置を検出できる。
【0035】
また、上述の実施形態において、被加工媒体2に対して4つの基準穴2a〜2dを形成する構成を例示して説明したが、本発明はこの構成に限定して解釈されるものではない。すなわち、被加工媒体2上において形状データの位置が決定されれば良く、例えば3つの基準穴を形成する構成や、5つ以上の基準穴を形成する構成でも良い。
【0036】
上述の実施形態では、中心部分が下方に突出した形状のドリル43を用いて、便宜的に各基準穴2a〜2dの最も深く削られた部分を中心位置として検出する構成を例示して説明したが、本発明はこの構成に限定して解釈されるものではない。例えば各基準穴2a〜2dに対して基準穴検出部44を細かく走査させることにより、各基準穴2a〜2dの中心位置を検出する構成でも良い。この構成によれば、ドリル43に代えて中心部分が下方に突出していないエンドミルを用いて基準穴を形成した場合であっても、各基準穴の中心位置を検出可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1 カッティングプロッタ
2 被加工媒体(媒体)
2a,2b,2c,2d 基準穴(基準マーク)
21 支持盤(ベース部材)
35 X軸駆動機構(相対移動手段)
43 ドリル(カット手段)
44 基準穴検出部(マーク位置検出手段)
45 Y軸駆動機構(相対移動手段)
46 ドリル駆動機構(相対移動手段)
51 駆動制御部(マーク位置形成手段、カット加工制御手段)
55 演算部(マーク位置形成手段、カット加工制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を支持可能なベース部材と、前記ベース部材に支持された媒体にカット加工を施すカット手段と、前記ベース部材に支持された媒体に対して前記カット手段を相対移動させる相対移動手段とを有し、前記相対移動手段によって相対移動される前記カット手段により前記媒体に所望のカット加工を施すカッティングプロッタにおいて、
前記相対移動手段による前記カット手段の相対移動制御を行い、前記ベース部材に支持された媒体に対し前記カット手段によりカット加工を施して複数の基準マークを形成するマーク形成制御手段と、
前記ベース部材に前記媒体が支持された状態で、前記ベース部材における前記基準マークの位置を検出するマーク位置検出手段と、
前記マーク位置検出手段により検出された前記ベース部材における前記基準マークの位置を基にして前記相対移動手段による前記カット手段の相対移動制御を行うことで、前記媒体に前記所望のカット加工を施すカット加工制御手段とを備えることを特徴とするカッティングプロッタ。
【請求項2】
前記マーク形成制御手段により、前記媒体に少なくとも3つの前記基準マークが形成されることを特徴とする請求項1に記載のカッティングプロッタ。
【請求項3】
媒体を支持可能なベース部材と、前記ベース部材に支持された媒体にカット加工を施すカット手段と、前記ベース部材に支持された媒体に対して前記カット手段を相対移動させる相対移動手段とを有し、前記相対移動手段によって相対移動される前記カット手段により前記媒体に所望のカット加工を施すカッティングプロッタを用いて行うカッティング方法であって、
前記ベース部材に支持された媒体に対し前記カット手段によりカット加工を施して複数の基準マークを形成するマーク形成ステップと、
前記マーク形成ステップにおいて前記基準マークが形成された前記媒体を前記ベース部材に支持させて、前記ベース部材における前記基準マークの位置を検出するマーク位置検出ステップと、
前記マーク位置検出ステップにより検出された前記ベース部材における前記基準マークの位置を基にして前記相対移動手段による前記カット手段の相対移動制御を行うことで、前記媒体に前記所望のカット加工を施すカット加工ステップとを備えることを特徴とするカッティング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−55990(P2012−55990A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199858(P2010−199858)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】