カップ容器
【課題】カップ容器に紙カップを用いることとし、蓋体を使用しなくても上部開口を閉じることができるカップ容器を提供すること。
【解決手段】扇形状のブランクにより形成される上部が広がった円筒状の胴体と円形状の底板とを組み合わせてなる板紙製のカップ容器であって、上下方向の縦折り目線1と周方向の横折り目線2とで区画された複数の蓋領域Aが胴体の上部に沿って設けられており、それらの蓋領域Aを内方へと折り込むことにより、縦折り目線1を頂点とし横折り目線2を一辺とする略多角形状を形成して上部開口を塞ぐように構成されている。上部開口を塞ぐための蓋体を別途必要とせず、胴体の上部を内方へと折り込むことで上部開口を簡単に塞ぐことができる。また、カップ容器から蓋体を取り外す手間がなく、内容物を容易に摂取することが可能である。
【解決手段】扇形状のブランクにより形成される上部が広がった円筒状の胴体と円形状の底板とを組み合わせてなる板紙製のカップ容器であって、上下方向の縦折り目線1と周方向の横折り目線2とで区画された複数の蓋領域Aが胴体の上部に沿って設けられており、それらの蓋領域Aを内方へと折り込むことにより、縦折り目線1を頂点とし横折り目線2を一辺とする略多角形状を形成して上部開口を塞ぐように構成されている。上部開口を塞ぐための蓋体を別途必要とせず、胴体の上部を内方へと折り込むことで上部開口を簡単に塞ぐことができる。また、カップ容器から蓋体を取り外す手間がなく、内容物を容易に摂取することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジュースやアイスクリームなどを入れるのに使用されるカップ容器の技術分野に属し、特に、店頭等において内容物を入れてから蓋をするタイプのカップ容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ファーストフード店、コンビニエンスストア等の店頭にてジュースやアイスクリーム等を販売するに際して、食べやすさと持ちやすさの観点から、カップ容器が一般的に使用されている。このカップ容器は、持ち歩きながら飲んでも溢れないよう、またゴミ等が入らないようにするため、飲料を入れた後で上部開口を覆う蓋体を被せることが一般的である。このようなカップ容器としては、プラスチック製のカップばかりでなく、廃棄性等の観点から紙カップを使用することがあるが、この場合にも蓋としてはプラスチック製のものが使用されている。
【0003】
【特許文献1】実開平6−64581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような蓋付きのカップ容器を用いると、商品を提供する側は、カップ容器のみならず、カップ容器の上部開口を閉封するための蓋体を必要とし、さらには、カップ容器の容量に合わせて、異なるサイズの蓋体を準備する必要がある。特に、ファーストフード店やコンビニエンス店では、その場でスピーディーに商品を提供する必要があるが、カップ容器に蓋体を取り付ける手間を要するといった問題があった。
【0005】
他方、蓋付きのカップ容器を受け取った消費者は、紙カップから蓋体を取り外して内容物を摂取することとなり、さらに歩行時においては、取り外した蓋体を持ち続ける必要がある。また、内容物を飲んだり食べたりした後においては、カップ容器と蓋体を分別して廃棄する必要があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カップ容器に紙カップを用いることとし、蓋体を使用しなくても上部開口を閉じることができるカップ容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明であるカップ容器は、扇形状のブランクにより形成される上部が広がった円筒状の胴体と円形状の底板とを組み合わせてなる板紙製のカップ容器であって、上下方向の縦折り目線と周方向の横折り目線とで区画された複数の蓋領域が胴体の上部に沿って設けられており、それらの蓋領域を内方へと折り込むことにより、縦折り目線を頂点とし横折り目線を一辺とする略多角形状を形成して上部開口を塞ぐように構成されたことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明であるカップ容器は、請求項1に記載のカップ容器において、縦折り目線を3本とすることで、上部開口を円形から略三角形状に形状変化せしめて塞ぐようにしたことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明であるカップ容器は、請求項1に記載のカップ容器において、縦折り目線を4本とすることで、上記開口を円形から略四角形状に形状変化せしめて塞ぐようにしたことを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明であるカップ容器は、請求項1乃至3のいずれかに記載のカップ容器において、縦折り目線と横折り目線とで囲まれる蓋領域に、当該蓋領域を複雑な形状で折り込むための補助折り目線を形成したことを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明であるカップ容器は、請求項4に記載のカップ容器において、縦折り目線と横折り目線とで囲まれる蓋領域の一部を、補助折り目線に沿って外方へと折り込むことで、飲み口を形成するように構成したことを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の発明であるカップ容器は、請求項1乃至5のいずれかに記載のカップ容器において、折り目線が、罫線またはミシン目からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明であるカップ容器は、扇形状のブランクにより形成される上部が広がった円筒状の胴体と円形状の底板とを組み合わせてなる板紙製のカップ容器であって、上下方向の縦折り目線と周方向の横折り目線とで区画された複数の蓋領域が胴体の上部に沿って設けられており、それらの蓋領域を内方へと折り込むことにより、縦折り目線を頂点とし横折り目線を一辺とする略多角形状を形成して上部開口を塞ぐように構成されたことを特徴としているので、上部開口を塞ぐための蓋体を別途必要とせず、胴体の上部を内方へと折り込むことで上部開口を簡単に塞ぐことができる。このため、商品を提供する側は、カップ容器に内容物を充填した後、カップ容器の上部を折り込む操作を行うだけで上部開口を塞ぐことができ、スピーディーに商品を提供することが可能となる。また、商品を購入した消費者に対しては、カップ容器から蓋体を取り外す手間がなく、内容物を容易に摂取することが可能であり、さらには、飲んだり食べたりした後に、カップ容器と蓋体とを分別して廃棄する等の手間を生じることのない、利便性のよいカップ容器を提供することが可能である。そして、カップ容器を形成するブランクは、通常の紙カップを形成する扇形状と同じでよいため、特殊な装置を用いることなく、低コストかつ簡単にカップ容器を成型することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明であるカップ容器は、請求項1に記載のカップ容器において、縦折り目線を3本とすることで、上部開口を円形から略三角形状に形状変化せしめて塞ぐようにしたことを特徴としているので、上記効果に加えて、胴体も三角状になって把持性や取扱性が向上する効果があり、さらには、3面を折り込むことで中心部を残して開口のほとんどを閉じることが可能となり、ストローを用いる場合に好適なカップ形状を形成することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明であるカップ容器は、請求項1に記載のカップ容器において、縦折り目線を4本とすることで、上記開口を円形から略四角形状に形状変化せしめて塞ぐようにしたことを特徴としているので、上記効果に加えて、胴体も四角状になって把持性や取扱性が向上する効果があり、さらには、四面を折り込むことで比較的大きな飲み口を形成することが可能となり、スプーンを用いる場合や内容物を直接摂取する場合に好適なカップ形状を形成することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明であるカップ容器は、請求項1乃至3のいずれかに記載のカップ容器において、縦折り目線と横折り目線とで囲まれる蓋領域に、当該蓋領域を複雑な形状で折り込むための補助折り目線を形成したことを特徴としているので、上記効果に加えて、デザインを考慮した上で蓋領域を種々の形状に変形することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明であるカップ容器は、請求項4に記載のカップ容器において、縦折り目線と横折り目線とで囲まれる蓋領域の一部を、補助折り目線に沿って外方へと折り込むことで、飲み口を形成するように構成したことを特徴としているので、上記効果に加え、カップ容器の開口を塞ぎつつ、適宜大きさの飲み口を形成することが可能である。
【0018】
請求項6に記載の発明であるカップ容器は、請求項1乃至5のいずれかに記載のカップ容器において、折り目線が、罫線またはミシン目のいずれかであることを特徴としているので、ブランクの打抜時に、紙質に応じて折曲げ操作をしやすいように折り目線の形状を選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明に係るカップ容器の一例を示す斜視図、図2は図1のカップ容器の胴体を形成するブランクと底板の展開図である。
【0021】
図1に示すように、カップ容器10は、上部が広がった円筒状の胴体10と円形状の底板4とを組み合わせた紙カップ状のものからなる。このカップ容器10は、上部開口に通常の紙カップのような外向きカール部を形成しておらず、上下方向の3本の縦折り目線1と周方向の3本の横折り目線2とで区画された3つの蓋領域Aが胴体10の上部に沿って設けられており、それらの蓋領域Aには、当該蓋領域Aを複雑な形状で折り込むための補助折り目線3が形成されている。そして、図1(a)に示す状態から、それらの蓋領域Aを内方へと折り込むことにより、図1(b)に示すように、縦折り目線1を頂点とし横折り目線2を一辺とする略三角形状を形成して上部開口5を塞ぐとともに、適宜形状や大きさの飲み口7を形成する。
【0022】
このカップ容器10は、通常の紙カップと同様に、図2(a)に示す扇形状のブランクで胴体が形成され、図2(b)に示す円形状の底板4で底部が形成される。このブランクには、板紙原反からの打抜時に外側の端縁側に折り目線を形成してある。すなわち、その外側の円弧寄りのところに、上下方向の3本の縦折り目線1と、周方向の3本の横折り目線2と、それらにより区画される蓋領域Aに補助折り目線3を形成する。
【0023】
縦折り目線1は、ブランクの上部端縁から上下方向に、カップ容器10とした時の開口端縁を3等分する箇所にそれぞれミシン目で形成されており、この3本の縦折り目線1があることでカップ容器10の形状を円筒形状から縦折り目線1を頂点とする略三角形状へと形状変化できるようになっている。
【0024】
横折り目線2は、周方向に延びる3本の略円弧形状のミシン目からなり、この横折り目線2と縦折り目線1とで囲まれる3つの蓋領域Aをそれぞれ内方へと折り込むことで、カップ容器10の開口5を塞ぐことができる。
【0025】
補助折り目線3は、横折り目線2と略平行に形成される折り目線3aと斜め方向に形成される折り目線3bと縦方向の折り目線3cの組合せからなり、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる蓋領域Aをさらに複雑な形状に折り込むことができる。ここでは、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる蓋領域Aの一部を、補助折り目線3に沿って外方へと折り込むことで、カップ容器10に適宜形状の開口からなる飲み口7を形成することが可能である。
【0026】
カップ容器10の組立手順は次のようである。まず、扇形状のブランクを筒状に巻き、その端部を貼り合わせて胴体を形成する。次いで、その胴体の下部に底板4を巻き締めることで底部を形成する。このように、本発明のカップ容器10は、通常のカップ容器と同様のカップ成形工程を経て製造することができる。
【0027】
このようにして製造したカップ容器10を用いて店頭等で商品を提供するに際しては、図3(a)に示すように複数のカップ容器10をスタックした状態から、図3(b)に示すように、1つのカップ容器10を取り外して、ジュースやアイスクリーム等の内容物を充填する。
【0028】
そして、内容物を充填した後、カップ容器10の上部を縦折り目線1、横折り目線2及び補助折り目線3に沿って折り込むが、このとき、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる3つの蓋領域Aの略中央部分をそれぞれ同時に押し込むことで、縦折り目線1と横折り目線2に沿ってカップ容器10の蓋領域Aが自動的に内側へと折り込まれ、カップ容器10の形状が、円形状から縦折れ目線1を頂点とし横折れ目線2を一辺とする略三角形状へと変形する。
【0029】
すなわち、図4に示すように、カップ容器10の開口形状が、円形状から略三角形状へと変形するとともに、縦折り目1と横折り目2とで囲まれる3つの蓋領域Aがそれぞれ内方へと折り込まれることとなる。
【0030】
さらに、3つの蓋領域Aを内方へと折り込むことで、図5に示すように、3つの蓋領域Aがそれぞれぶつかり合い、頂点付近で開口を小さくして塞ぐことが可能である。このとき、補助折り目線3に沿って3つの蓋領域Aの先端部分が外方へと折り曲げられつつ、補助折り目線3に沿って外方へと開くこととなる。よって、カップ容器10の開口5の中央部分に小さな飲み口7が形成される。
【0031】
よって、商品(カップ容器10)を提供する際には、開口5を塞いだ状態のカップ容器10を提供してもよいし、必要に応じて、図6に示すように、飲み口7にストロー8やスプーンを挿入した状態で消費者に提供することもできる。
【0032】
また、商品を購入した消費者は、補助折り目線3に沿ってさらにパネルを折り込むことで、好みの開口形状を形成することが可能であり、例えば、図7に示すように、1つの蓋領域Aを補助折り目線3に沿って外方へと折り曲げることで、飲み口7の形状を変化させることができる。よって、内容物の種類によって、飲み口7を適宜大きさの形状に変形することが可能であり、スプーン等を用いてカップ容器内部の内容物を掬い出すことも可能である。
【0033】
このように、カップ容器10は、扇形状のブランクにより形成される上部が広がった円筒状の胴体と円形状の底板とを組み合わせてなるカップ容器であって、上下方向の縦折り目線1と周方向の横折り目線2とで区画された3つの蓋領域Aが胴体の上部に沿って設けられており、それらの蓋領域Aを内方へと折り込むことにより、縦折り目線1を頂点とし横折り目線2を一辺とする略三角形状を形成して上部開口を塞ぐように構成されている構成であるから、上部開口5を塞ぐための蓋体を別途必要とせず、胴体の上部を折り込むことで上部開口5を容易に塞ぐことが可能である。よって、商品を提供する側は、カップ容器10に内容物を充填した後、カップ容器10の上部を折り込む操作を行うだけで上部開口5を塞ぐことができ、スピーディーに商品を提供することができるものである。
【0034】
また、商品を購入した消費者は、カップ容器10から蓋体を取り外す手間がなく、内容物を簡単に摂取することが可能である。さらには、飲んだり食べたりした後に、カップ容器10から蓋体を分別して廃棄する等の手間を生じることもない。そして、カップ容器10を形成するブランクは、通常の紙カップを形成する扇形状と同じでよいため、特殊な装置を用いることなく、従来のカップ成形機を用いることで、低コストかつ簡単にカップ容器10を成型することができる。
【0035】
本発明のカップ容器10における縦折り目線1、横折り目線2及び補助折り目線3は、上記したミシン目に限るものではなく、折曲げやすさ等を考慮してミシン目または罫線のいずれかで形成すればよい。いずれにしてもこれらの折り目線は印刷済みの原反からブランクを打ち抜く時に同時に形成することができる。そして、これらの折り目線の形成箇所は上記の例に限定されるものではなく、カップ容器10のパネルAを折り込むことで開口5を塞ぐことが可能でありされえすれば何処に設けても構わない。
【0036】
また、本発明のカップ容器10は、上記の例に限らず、スプーン等を用いることを前提に、あらかじめ飲み口7の大きさを適宜大きさに形成することが可能な構成であってもよい。図8にこのタイプのカップ容器10の胴体を形成するブランクの一例を示す。
【0037】
図8のブランクは、3本の縦折り目線1と3本の横折り目線2をそれぞれ形成するとともに、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる蓋領域Aに複数の補助折り目線3を形成しており、ここでは、図示の如く、補助折り目線3を開口縁にかけて略逆台形状となるように形成している。
【0038】
すなわち、補助折り目線3は、外側の円弧と略平行な直線状の折り目線3aと、折り目3aの左右端より開口縁にかけて斜め方向に形成される折り目線3bと、折り目線3aの左右端より開口縁にかけて垂直に交わる折り目線3cとからなる。補助折り目線3により囲まれる開口縁の長さdは、横折り目線2の長さDの70%程度であり、後述するように、カップ容器10の飲み口7の一辺の長さを開口5の一辺の長さの70%程度に形成することができる。これにより、カップ容器10の開口5を塞ぎつつ、大きな飲み口7から内容物を取り出しやすいカップ容器10を提供することができる。
【0039】
図8のブランクを用いて形成したカップ容器10は図9に示すようである。このカップ容器10の上部を縦折り目線1および横折り目線2のところで内方に向けて折り込み、特に縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる蓋領域Aの略中央部分をそれぞれ同時に押し込むことで、図10に示すように、カップ容器10の形状が、縦折り目線1を頂点とし横折り目線2を一辺とする略三角形状へと変形する。すなわち、カップ容器10の開口形状が略三角形状へと変形するとともに、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる3つの蓋領域Aがそれぞれ内方へ向かって折り込まれることとなる。
【0040】
そして、3つの蓋領域Aを内方へと折り込むことで、図11に示すように、これらの3つの蓋領域Aの先端部分がそれぞれぶつかり合い、開口をさらに小さくした状態で塞ぐことが可能である。特に、図11(b)に示すように、補助折り目線3にて囲まれる開口縁の長さdは、横折り目線2の長さDの約70%であるので、カップ容器10の飲み口7の一辺の長さを開口5の一辺の長さの70%に形成することができる。
【0041】
これにより、カップ容器10の開口5を塞ぎつつ適宜大きさの飲み口7から内容物を取り出しやすい形状とすることができる。また、3本の縦折り目線1を形成することで、カップ容器10を略三角形状に形状変化せしめ、円筒状の胴体を開口5にかけて三角形状に形状変化させることができ、図12に示すように、胴体における三角形状の頂点部分が手の関節部分にフィットするため、カップ容器10を強固かつ安定して把持することができ、カップ容器10の把持性や取扱性が向上する。
【0042】
このように、カップ容器10は、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる蓋領域Aを内方へと折り込むことにより、カップ容器10の平面視において、縦折り目線1を頂点とし横折り目線2を一辺とする略三角形状を形成して、カップ容器10の開口5を塞ぐ構成であるから、カップ容器10の開口5を塞ぐのみならず、円柱状のカップ容器10を、開口5にかけて多角形状に形状変化させることが可能であり、カップ容器10の把持性や取扱性が向上する。
【0043】
すなわち、3本の縦折り目線1を形成することで、カップ容器10の平面視において、カップ容器を略三角形状に形状変化せしめ、カップ容器10の開口5を塞ぐことが可能であり、円筒状のカップ容器10を開口5にかけて三角形状に形状変化させることで、カップ容器10の把持性や取扱性が向上する効果がある。さらには、3面を折り込むことで、開口5のほとんどを閉じることが可能であり、ストローを用いる場合に好適なカップ容器形状を形成することが可能である。
【0044】
また、本発明のカップ容器10は、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる蓋領域Aをさらに複雑な形状へと折り込むための補助折り目線3を形成することにより、目的に応じて、蓋領域Aを種々の形状に変形させてカップ容器10の開口5を塞ぐことが可能である。さらには、補助折り目線3に沿って蓋領域Aの一部を外方へと折り込むことで、カップ容器10の開口5を塞ぎつつ適宜大きさの飲み口7を形成することが可能である。
【0045】
上記の例では、何れも上部を三角形状に形状変化させつつ開口5を塞ぐタイプのカップ容器10を挙げて説明したが、本発明のカップ容器はこれに限るものではなく、上部を四角形状に形状変化させることで開口5を塞ぐ構成であってもよい。何れにせよ、カップ容器10の平面視において、縦折り目線1を頂点とし、かつ横折り目線2を一辺とする多角形状の開口5へと形状変化させつつ、頂点間の蓋領域Aにより開口5を塞ぐ構成であればよい。
【0046】
図13は上部を四角形状に形状変化させつつ開口を塞ぐタイプのカップ容器の胴体を形成するブランクの一例である。このブランクは、縦折り目線1を等間隔で4本形成するとともに、隣接する縦折り目線1の下端同士を横折り目線2によって連結し、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる蓋領域Aには開口縁にかけて略円弧状の補助折り目3を形成している。
【0047】
図13のブランクを用いて形成したカップ容器10は図14に示すようである。このカップ容器10の上部を縦折り目線1及び横折り目線2のところで内方に向けて折込み、特に縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる蓋領域Aの略中央部分をそれぞれ同時に押し込むことで、図15に示すように、カップ容器10の上部が縦折り目線1を頂点とし横折り目線2を一辺とする略四角形状へと変形する。すなわち、カップ容器10の開口形状が略四角形状へと変形するとともに、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる4つの蓋領域Aがそれぞれ内方へと折り込まれることになる。
【0048】
そして、4つの蓋領域Aを内方へと折り込むことで、図16に示すように、開口5を塞ぐことができ、さらに、補助折り目線3に沿って4つの蓋領域Aの先端部分を外方へと折り曲げることにより、開口縁が補助折り目線3に沿って外方へと開き、略四角形状の飲み口7を形成することができる。特に、図16(b)に示すように、飲み口7の一辺の長さは横折り目線2の長さの半分ほどであるので、開口5の半分ほどの大きさからなる飲み口7を形成することが可能である。このような飲み口7は、スプーン等を用いてスープやアイスクリーム等の内容物を掬いだすような場合に好適であり、また、開口縁が円弧状になっているので、この飲み口7に直接口元を接して中の飲料を飲むこともできる。
【0049】
このように、4本の縦折り目線1を形成することで、円筒状のカップ容器10を開口5にかけて四角形状に形状変化させることが可能である。そして、胴体における四角形状の頂点部分が手の関節部分にフィットするため、カップ容器10を強固かつ安定して把持することが可能であり、カップ容器10の把持性や取扱性が向上する。
【0050】
以上、本発明の実施形態について例を挙げて詳細に説明してきたが、本発明によるカップ容器は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係るカップ容器の一例を示すもので、(a)は上部開口を塞ぐ前の状態での斜視図、(b)は上部開口を塞いだ状態での斜視図である。
【図2】図1のカップ容器を構成する部材を示すもので、(a)は胴体を形成するブランクの平面図、(b)は底板の平面図である。
【図3】(a)は図1のカップ容器を複数個スタックした状態を示す斜視図、(b)は取り外した一つのカップ容器を示す斜視図である。
【図4】図1のカップ容器の上部開口を塞ぐ第1段階の手順を示す斜視図と上面図である。
【図5】図1のカップ容器の上部開口を塞ぐ第2段階の手順を示す斜視図と上面図である。
【図6】図1のカップ容器を使用する際の一例を示す説明図である。
【図7】図1のカップ容器を使用する際の別の例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る別のカップ容器の胴体を形成するブランクの平面図である。
【図9】図8のブランクを用いて形成したカップ容器を示す斜視図である。
【図10】図9のカップ容器の上部開口を塞ぐ第1段階の手順を示す斜視図と上面図である。
【図11】図9のカップ容器の上部開口を塞ぐ第2段階の手順を示す斜視図と上面図である。
【図12】図11のカップ容器を手で持った状態を示す説明図である。
【図13】本発明に係る別のカップ容器の胴体を形成するブランクの平面図である。
【図14】図13のブランクを用いて形成したカップ容器を示す斜視図である。
【図15】図14のカップ容器の上部開口を塞ぐ第1段階の手順を示す斜視図と上面図である。
【図16】図14のカップ容器の上部開口を塞ぐ第2段階の手順を示す斜視図と上面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 縦折り目線
2 横折り目線
3 補助折り目線
4 底板
5 開口
7 飲み口
8 ストロー
10 カップ容器
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジュースやアイスクリームなどを入れるのに使用されるカップ容器の技術分野に属し、特に、店頭等において内容物を入れてから蓋をするタイプのカップ容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ファーストフード店、コンビニエンスストア等の店頭にてジュースやアイスクリーム等を販売するに際して、食べやすさと持ちやすさの観点から、カップ容器が一般的に使用されている。このカップ容器は、持ち歩きながら飲んでも溢れないよう、またゴミ等が入らないようにするため、飲料を入れた後で上部開口を覆う蓋体を被せることが一般的である。このようなカップ容器としては、プラスチック製のカップばかりでなく、廃棄性等の観点から紙カップを使用することがあるが、この場合にも蓋としてはプラスチック製のものが使用されている。
【0003】
【特許文献1】実開平6−64581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような蓋付きのカップ容器を用いると、商品を提供する側は、カップ容器のみならず、カップ容器の上部開口を閉封するための蓋体を必要とし、さらには、カップ容器の容量に合わせて、異なるサイズの蓋体を準備する必要がある。特に、ファーストフード店やコンビニエンス店では、その場でスピーディーに商品を提供する必要があるが、カップ容器に蓋体を取り付ける手間を要するといった問題があった。
【0005】
他方、蓋付きのカップ容器を受け取った消費者は、紙カップから蓋体を取り外して内容物を摂取することとなり、さらに歩行時においては、取り外した蓋体を持ち続ける必要がある。また、内容物を飲んだり食べたりした後においては、カップ容器と蓋体を分別して廃棄する必要があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カップ容器に紙カップを用いることとし、蓋体を使用しなくても上部開口を閉じることができるカップ容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明であるカップ容器は、扇形状のブランクにより形成される上部が広がった円筒状の胴体と円形状の底板とを組み合わせてなる板紙製のカップ容器であって、上下方向の縦折り目線と周方向の横折り目線とで区画された複数の蓋領域が胴体の上部に沿って設けられており、それらの蓋領域を内方へと折り込むことにより、縦折り目線を頂点とし横折り目線を一辺とする略多角形状を形成して上部開口を塞ぐように構成されたことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明であるカップ容器は、請求項1に記載のカップ容器において、縦折り目線を3本とすることで、上部開口を円形から略三角形状に形状変化せしめて塞ぐようにしたことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明であるカップ容器は、請求項1に記載のカップ容器において、縦折り目線を4本とすることで、上記開口を円形から略四角形状に形状変化せしめて塞ぐようにしたことを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明であるカップ容器は、請求項1乃至3のいずれかに記載のカップ容器において、縦折り目線と横折り目線とで囲まれる蓋領域に、当該蓋領域を複雑な形状で折り込むための補助折り目線を形成したことを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明であるカップ容器は、請求項4に記載のカップ容器において、縦折り目線と横折り目線とで囲まれる蓋領域の一部を、補助折り目線に沿って外方へと折り込むことで、飲み口を形成するように構成したことを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の発明であるカップ容器は、請求項1乃至5のいずれかに記載のカップ容器において、折り目線が、罫線またはミシン目からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明であるカップ容器は、扇形状のブランクにより形成される上部が広がった円筒状の胴体と円形状の底板とを組み合わせてなる板紙製のカップ容器であって、上下方向の縦折り目線と周方向の横折り目線とで区画された複数の蓋領域が胴体の上部に沿って設けられており、それらの蓋領域を内方へと折り込むことにより、縦折り目線を頂点とし横折り目線を一辺とする略多角形状を形成して上部開口を塞ぐように構成されたことを特徴としているので、上部開口を塞ぐための蓋体を別途必要とせず、胴体の上部を内方へと折り込むことで上部開口を簡単に塞ぐことができる。このため、商品を提供する側は、カップ容器に内容物を充填した後、カップ容器の上部を折り込む操作を行うだけで上部開口を塞ぐことができ、スピーディーに商品を提供することが可能となる。また、商品を購入した消費者に対しては、カップ容器から蓋体を取り外す手間がなく、内容物を容易に摂取することが可能であり、さらには、飲んだり食べたりした後に、カップ容器と蓋体とを分別して廃棄する等の手間を生じることのない、利便性のよいカップ容器を提供することが可能である。そして、カップ容器を形成するブランクは、通常の紙カップを形成する扇形状と同じでよいため、特殊な装置を用いることなく、低コストかつ簡単にカップ容器を成型することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明であるカップ容器は、請求項1に記載のカップ容器において、縦折り目線を3本とすることで、上部開口を円形から略三角形状に形状変化せしめて塞ぐようにしたことを特徴としているので、上記効果に加えて、胴体も三角状になって把持性や取扱性が向上する効果があり、さらには、3面を折り込むことで中心部を残して開口のほとんどを閉じることが可能となり、ストローを用いる場合に好適なカップ形状を形成することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明であるカップ容器は、請求項1に記載のカップ容器において、縦折り目線を4本とすることで、上記開口を円形から略四角形状に形状変化せしめて塞ぐようにしたことを特徴としているので、上記効果に加えて、胴体も四角状になって把持性や取扱性が向上する効果があり、さらには、四面を折り込むことで比較的大きな飲み口を形成することが可能となり、スプーンを用いる場合や内容物を直接摂取する場合に好適なカップ形状を形成することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明であるカップ容器は、請求項1乃至3のいずれかに記載のカップ容器において、縦折り目線と横折り目線とで囲まれる蓋領域に、当該蓋領域を複雑な形状で折り込むための補助折り目線を形成したことを特徴としているので、上記効果に加えて、デザインを考慮した上で蓋領域を種々の形状に変形することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明であるカップ容器は、請求項4に記載のカップ容器において、縦折り目線と横折り目線とで囲まれる蓋領域の一部を、補助折り目線に沿って外方へと折り込むことで、飲み口を形成するように構成したことを特徴としているので、上記効果に加え、カップ容器の開口を塞ぎつつ、適宜大きさの飲み口を形成することが可能である。
【0018】
請求項6に記載の発明であるカップ容器は、請求項1乃至5のいずれかに記載のカップ容器において、折り目線が、罫線またはミシン目のいずれかであることを特徴としているので、ブランクの打抜時に、紙質に応じて折曲げ操作をしやすいように折り目線の形状を選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明に係るカップ容器の一例を示す斜視図、図2は図1のカップ容器の胴体を形成するブランクと底板の展開図である。
【0021】
図1に示すように、カップ容器10は、上部が広がった円筒状の胴体10と円形状の底板4とを組み合わせた紙カップ状のものからなる。このカップ容器10は、上部開口に通常の紙カップのような外向きカール部を形成しておらず、上下方向の3本の縦折り目線1と周方向の3本の横折り目線2とで区画された3つの蓋領域Aが胴体10の上部に沿って設けられており、それらの蓋領域Aには、当該蓋領域Aを複雑な形状で折り込むための補助折り目線3が形成されている。そして、図1(a)に示す状態から、それらの蓋領域Aを内方へと折り込むことにより、図1(b)に示すように、縦折り目線1を頂点とし横折り目線2を一辺とする略三角形状を形成して上部開口5を塞ぐとともに、適宜形状や大きさの飲み口7を形成する。
【0022】
このカップ容器10は、通常の紙カップと同様に、図2(a)に示す扇形状のブランクで胴体が形成され、図2(b)に示す円形状の底板4で底部が形成される。このブランクには、板紙原反からの打抜時に外側の端縁側に折り目線を形成してある。すなわち、その外側の円弧寄りのところに、上下方向の3本の縦折り目線1と、周方向の3本の横折り目線2と、それらにより区画される蓋領域Aに補助折り目線3を形成する。
【0023】
縦折り目線1は、ブランクの上部端縁から上下方向に、カップ容器10とした時の開口端縁を3等分する箇所にそれぞれミシン目で形成されており、この3本の縦折り目線1があることでカップ容器10の形状を円筒形状から縦折り目線1を頂点とする略三角形状へと形状変化できるようになっている。
【0024】
横折り目線2は、周方向に延びる3本の略円弧形状のミシン目からなり、この横折り目線2と縦折り目線1とで囲まれる3つの蓋領域Aをそれぞれ内方へと折り込むことで、カップ容器10の開口5を塞ぐことができる。
【0025】
補助折り目線3は、横折り目線2と略平行に形成される折り目線3aと斜め方向に形成される折り目線3bと縦方向の折り目線3cの組合せからなり、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる蓋領域Aをさらに複雑な形状に折り込むことができる。ここでは、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる蓋領域Aの一部を、補助折り目線3に沿って外方へと折り込むことで、カップ容器10に適宜形状の開口からなる飲み口7を形成することが可能である。
【0026】
カップ容器10の組立手順は次のようである。まず、扇形状のブランクを筒状に巻き、その端部を貼り合わせて胴体を形成する。次いで、その胴体の下部に底板4を巻き締めることで底部を形成する。このように、本発明のカップ容器10は、通常のカップ容器と同様のカップ成形工程を経て製造することができる。
【0027】
このようにして製造したカップ容器10を用いて店頭等で商品を提供するに際しては、図3(a)に示すように複数のカップ容器10をスタックした状態から、図3(b)に示すように、1つのカップ容器10を取り外して、ジュースやアイスクリーム等の内容物を充填する。
【0028】
そして、内容物を充填した後、カップ容器10の上部を縦折り目線1、横折り目線2及び補助折り目線3に沿って折り込むが、このとき、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる3つの蓋領域Aの略中央部分をそれぞれ同時に押し込むことで、縦折り目線1と横折り目線2に沿ってカップ容器10の蓋領域Aが自動的に内側へと折り込まれ、カップ容器10の形状が、円形状から縦折れ目線1を頂点とし横折れ目線2を一辺とする略三角形状へと変形する。
【0029】
すなわち、図4に示すように、カップ容器10の開口形状が、円形状から略三角形状へと変形するとともに、縦折り目1と横折り目2とで囲まれる3つの蓋領域Aがそれぞれ内方へと折り込まれることとなる。
【0030】
さらに、3つの蓋領域Aを内方へと折り込むことで、図5に示すように、3つの蓋領域Aがそれぞれぶつかり合い、頂点付近で開口を小さくして塞ぐことが可能である。このとき、補助折り目線3に沿って3つの蓋領域Aの先端部分が外方へと折り曲げられつつ、補助折り目線3に沿って外方へと開くこととなる。よって、カップ容器10の開口5の中央部分に小さな飲み口7が形成される。
【0031】
よって、商品(カップ容器10)を提供する際には、開口5を塞いだ状態のカップ容器10を提供してもよいし、必要に応じて、図6に示すように、飲み口7にストロー8やスプーンを挿入した状態で消費者に提供することもできる。
【0032】
また、商品を購入した消費者は、補助折り目線3に沿ってさらにパネルを折り込むことで、好みの開口形状を形成することが可能であり、例えば、図7に示すように、1つの蓋領域Aを補助折り目線3に沿って外方へと折り曲げることで、飲み口7の形状を変化させることができる。よって、内容物の種類によって、飲み口7を適宜大きさの形状に変形することが可能であり、スプーン等を用いてカップ容器内部の内容物を掬い出すことも可能である。
【0033】
このように、カップ容器10は、扇形状のブランクにより形成される上部が広がった円筒状の胴体と円形状の底板とを組み合わせてなるカップ容器であって、上下方向の縦折り目線1と周方向の横折り目線2とで区画された3つの蓋領域Aが胴体の上部に沿って設けられており、それらの蓋領域Aを内方へと折り込むことにより、縦折り目線1を頂点とし横折り目線2を一辺とする略三角形状を形成して上部開口を塞ぐように構成されている構成であるから、上部開口5を塞ぐための蓋体を別途必要とせず、胴体の上部を折り込むことで上部開口5を容易に塞ぐことが可能である。よって、商品を提供する側は、カップ容器10に内容物を充填した後、カップ容器10の上部を折り込む操作を行うだけで上部開口5を塞ぐことができ、スピーディーに商品を提供することができるものである。
【0034】
また、商品を購入した消費者は、カップ容器10から蓋体を取り外す手間がなく、内容物を簡単に摂取することが可能である。さらには、飲んだり食べたりした後に、カップ容器10から蓋体を分別して廃棄する等の手間を生じることもない。そして、カップ容器10を形成するブランクは、通常の紙カップを形成する扇形状と同じでよいため、特殊な装置を用いることなく、従来のカップ成形機を用いることで、低コストかつ簡単にカップ容器10を成型することができる。
【0035】
本発明のカップ容器10における縦折り目線1、横折り目線2及び補助折り目線3は、上記したミシン目に限るものではなく、折曲げやすさ等を考慮してミシン目または罫線のいずれかで形成すればよい。いずれにしてもこれらの折り目線は印刷済みの原反からブランクを打ち抜く時に同時に形成することができる。そして、これらの折り目線の形成箇所は上記の例に限定されるものではなく、カップ容器10のパネルAを折り込むことで開口5を塞ぐことが可能でありされえすれば何処に設けても構わない。
【0036】
また、本発明のカップ容器10は、上記の例に限らず、スプーン等を用いることを前提に、あらかじめ飲み口7の大きさを適宜大きさに形成することが可能な構成であってもよい。図8にこのタイプのカップ容器10の胴体を形成するブランクの一例を示す。
【0037】
図8のブランクは、3本の縦折り目線1と3本の横折り目線2をそれぞれ形成するとともに、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる蓋領域Aに複数の補助折り目線3を形成しており、ここでは、図示の如く、補助折り目線3を開口縁にかけて略逆台形状となるように形成している。
【0038】
すなわち、補助折り目線3は、外側の円弧と略平行な直線状の折り目線3aと、折り目3aの左右端より開口縁にかけて斜め方向に形成される折り目線3bと、折り目線3aの左右端より開口縁にかけて垂直に交わる折り目線3cとからなる。補助折り目線3により囲まれる開口縁の長さdは、横折り目線2の長さDの70%程度であり、後述するように、カップ容器10の飲み口7の一辺の長さを開口5の一辺の長さの70%程度に形成することができる。これにより、カップ容器10の開口5を塞ぎつつ、大きな飲み口7から内容物を取り出しやすいカップ容器10を提供することができる。
【0039】
図8のブランクを用いて形成したカップ容器10は図9に示すようである。このカップ容器10の上部を縦折り目線1および横折り目線2のところで内方に向けて折り込み、特に縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる蓋領域Aの略中央部分をそれぞれ同時に押し込むことで、図10に示すように、カップ容器10の形状が、縦折り目線1を頂点とし横折り目線2を一辺とする略三角形状へと変形する。すなわち、カップ容器10の開口形状が略三角形状へと変形するとともに、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる3つの蓋領域Aがそれぞれ内方へ向かって折り込まれることとなる。
【0040】
そして、3つの蓋領域Aを内方へと折り込むことで、図11に示すように、これらの3つの蓋領域Aの先端部分がそれぞれぶつかり合い、開口をさらに小さくした状態で塞ぐことが可能である。特に、図11(b)に示すように、補助折り目線3にて囲まれる開口縁の長さdは、横折り目線2の長さDの約70%であるので、カップ容器10の飲み口7の一辺の長さを開口5の一辺の長さの70%に形成することができる。
【0041】
これにより、カップ容器10の開口5を塞ぎつつ適宜大きさの飲み口7から内容物を取り出しやすい形状とすることができる。また、3本の縦折り目線1を形成することで、カップ容器10を略三角形状に形状変化せしめ、円筒状の胴体を開口5にかけて三角形状に形状変化させることができ、図12に示すように、胴体における三角形状の頂点部分が手の関節部分にフィットするため、カップ容器10を強固かつ安定して把持することができ、カップ容器10の把持性や取扱性が向上する。
【0042】
このように、カップ容器10は、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる蓋領域Aを内方へと折り込むことにより、カップ容器10の平面視において、縦折り目線1を頂点とし横折り目線2を一辺とする略三角形状を形成して、カップ容器10の開口5を塞ぐ構成であるから、カップ容器10の開口5を塞ぐのみならず、円柱状のカップ容器10を、開口5にかけて多角形状に形状変化させることが可能であり、カップ容器10の把持性や取扱性が向上する。
【0043】
すなわち、3本の縦折り目線1を形成することで、カップ容器10の平面視において、カップ容器を略三角形状に形状変化せしめ、カップ容器10の開口5を塞ぐことが可能であり、円筒状のカップ容器10を開口5にかけて三角形状に形状変化させることで、カップ容器10の把持性や取扱性が向上する効果がある。さらには、3面を折り込むことで、開口5のほとんどを閉じることが可能であり、ストローを用いる場合に好適なカップ容器形状を形成することが可能である。
【0044】
また、本発明のカップ容器10は、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる蓋領域Aをさらに複雑な形状へと折り込むための補助折り目線3を形成することにより、目的に応じて、蓋領域Aを種々の形状に変形させてカップ容器10の開口5を塞ぐことが可能である。さらには、補助折り目線3に沿って蓋領域Aの一部を外方へと折り込むことで、カップ容器10の開口5を塞ぎつつ適宜大きさの飲み口7を形成することが可能である。
【0045】
上記の例では、何れも上部を三角形状に形状変化させつつ開口5を塞ぐタイプのカップ容器10を挙げて説明したが、本発明のカップ容器はこれに限るものではなく、上部を四角形状に形状変化させることで開口5を塞ぐ構成であってもよい。何れにせよ、カップ容器10の平面視において、縦折り目線1を頂点とし、かつ横折り目線2を一辺とする多角形状の開口5へと形状変化させつつ、頂点間の蓋領域Aにより開口5を塞ぐ構成であればよい。
【0046】
図13は上部を四角形状に形状変化させつつ開口を塞ぐタイプのカップ容器の胴体を形成するブランクの一例である。このブランクは、縦折り目線1を等間隔で4本形成するとともに、隣接する縦折り目線1の下端同士を横折り目線2によって連結し、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる蓋領域Aには開口縁にかけて略円弧状の補助折り目3を形成している。
【0047】
図13のブランクを用いて形成したカップ容器10は図14に示すようである。このカップ容器10の上部を縦折り目線1及び横折り目線2のところで内方に向けて折込み、特に縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる蓋領域Aの略中央部分をそれぞれ同時に押し込むことで、図15に示すように、カップ容器10の上部が縦折り目線1を頂点とし横折り目線2を一辺とする略四角形状へと変形する。すなわち、カップ容器10の開口形状が略四角形状へと変形するとともに、縦折り目線1と横折り目線2とで囲まれる4つの蓋領域Aがそれぞれ内方へと折り込まれることになる。
【0048】
そして、4つの蓋領域Aを内方へと折り込むことで、図16に示すように、開口5を塞ぐことができ、さらに、補助折り目線3に沿って4つの蓋領域Aの先端部分を外方へと折り曲げることにより、開口縁が補助折り目線3に沿って外方へと開き、略四角形状の飲み口7を形成することができる。特に、図16(b)に示すように、飲み口7の一辺の長さは横折り目線2の長さの半分ほどであるので、開口5の半分ほどの大きさからなる飲み口7を形成することが可能である。このような飲み口7は、スプーン等を用いてスープやアイスクリーム等の内容物を掬いだすような場合に好適であり、また、開口縁が円弧状になっているので、この飲み口7に直接口元を接して中の飲料を飲むこともできる。
【0049】
このように、4本の縦折り目線1を形成することで、円筒状のカップ容器10を開口5にかけて四角形状に形状変化させることが可能である。そして、胴体における四角形状の頂点部分が手の関節部分にフィットするため、カップ容器10を強固かつ安定して把持することが可能であり、カップ容器10の把持性や取扱性が向上する。
【0050】
以上、本発明の実施形態について例を挙げて詳細に説明してきたが、本発明によるカップ容器は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係るカップ容器の一例を示すもので、(a)は上部開口を塞ぐ前の状態での斜視図、(b)は上部開口を塞いだ状態での斜視図である。
【図2】図1のカップ容器を構成する部材を示すもので、(a)は胴体を形成するブランクの平面図、(b)は底板の平面図である。
【図3】(a)は図1のカップ容器を複数個スタックした状態を示す斜視図、(b)は取り外した一つのカップ容器を示す斜視図である。
【図4】図1のカップ容器の上部開口を塞ぐ第1段階の手順を示す斜視図と上面図である。
【図5】図1のカップ容器の上部開口を塞ぐ第2段階の手順を示す斜視図と上面図である。
【図6】図1のカップ容器を使用する際の一例を示す説明図である。
【図7】図1のカップ容器を使用する際の別の例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る別のカップ容器の胴体を形成するブランクの平面図である。
【図9】図8のブランクを用いて形成したカップ容器を示す斜視図である。
【図10】図9のカップ容器の上部開口を塞ぐ第1段階の手順を示す斜視図と上面図である。
【図11】図9のカップ容器の上部開口を塞ぐ第2段階の手順を示す斜視図と上面図である。
【図12】図11のカップ容器を手で持った状態を示す説明図である。
【図13】本発明に係る別のカップ容器の胴体を形成するブランクの平面図である。
【図14】図13のブランクを用いて形成したカップ容器を示す斜視図である。
【図15】図14のカップ容器の上部開口を塞ぐ第1段階の手順を示す斜視図と上面図である。
【図16】図14のカップ容器の上部開口を塞ぐ第2段階の手順を示す斜視図と上面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 縦折り目線
2 横折り目線
3 補助折り目線
4 底板
5 開口
7 飲み口
8 ストロー
10 カップ容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扇形状のブランクにより形成される上部が広がった円筒状の胴体と円形状の底板とを組み合わせてなる板紙製のカップ容器であって、上下方向の縦折り目線と周方向の横折り目線とで区画された複数の蓋領域が胴体の上部に沿って設けられており、それらの蓋領域を内方へと折り込むことにより、縦折り目線を頂点とし横折り目線を一辺とする略多角形状を形成して上部開口を塞ぐように構成されたことを特徴とするカップ容器。
【請求項2】
縦折り目線を3本とすることで、上部開口を円形から略三角形状に形状変化せしめて塞ぐようにしたことを特徴とする請求項1に記載のカップ容器。
【請求項3】
縦折り目線を4本とすることで、上記開口を円形から略四角形状に形状変化せしめて塞ぐようにしたことを特徴とする請求項1に記載のカップ容器。
【請求項4】
縦折り目線と横折り目線とで囲まれる蓋領域に、当該蓋領域を複雑な形状で折り込むための補助折り目線を形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のカップ容器。
【請求項5】
縦折り目線と横折り目線とで囲まれる蓋領域の一部を、補助折り目線に沿って外方へと折り込むことで、飲み口を形成するように構成したことを特徴とする請求項4に記載のカップ容器。
【請求項6】
折り目線が、罫線またはミシン目からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のカップ容器。
【請求項1】
扇形状のブランクにより形成される上部が広がった円筒状の胴体と円形状の底板とを組み合わせてなる板紙製のカップ容器であって、上下方向の縦折り目線と周方向の横折り目線とで区画された複数の蓋領域が胴体の上部に沿って設けられており、それらの蓋領域を内方へと折り込むことにより、縦折り目線を頂点とし横折り目線を一辺とする略多角形状を形成して上部開口を塞ぐように構成されたことを特徴とするカップ容器。
【請求項2】
縦折り目線を3本とすることで、上部開口を円形から略三角形状に形状変化せしめて塞ぐようにしたことを特徴とする請求項1に記載のカップ容器。
【請求項3】
縦折り目線を4本とすることで、上記開口を円形から略四角形状に形状変化せしめて塞ぐようにしたことを特徴とする請求項1に記載のカップ容器。
【請求項4】
縦折り目線と横折り目線とで囲まれる蓋領域に、当該蓋領域を複雑な形状で折り込むための補助折り目線を形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のカップ容器。
【請求項5】
縦折り目線と横折り目線とで囲まれる蓋領域の一部を、補助折り目線に沿って外方へと折り込むことで、飲み口を形成するように構成したことを特徴とする請求項4に記載のカップ容器。
【請求項6】
折り目線が、罫線またはミシン目からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のカップ容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−18330(P2010−18330A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182257(P2008−182257)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
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