説明

カップ高さ検査装置及びカップ成形装置

【課題】成形された紙カップの高さを成型ラインの中で全数検査することが可能なカップ高さ検査装置を提供する。
【解決手段】カップの高さを検査する装置であって、カップを搬送する手段と、上下方向に変位可能で、搬送されたカップのフランジ部を押さえる手段と、フランジ部が押さえられているカップを検出する手段と、カップのフランジ部を押さえる前と、カップが検出されたタイミングと、で、カップのフランジ部を押さえる手段の変位量を検知する手段と、検知した変位量からカップの高さの変位寸法値を算出する手段と、算出したカップの高さの変位寸法値と予め設定された変位寸法値の閾値とを比較し、閾値外の場合は不良と判断する手段と、不良と判断した場合に不良信号を出力する手段と、を有することを特徴とするカップ高さ検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカップの高さを検査し、高さが許容値から外れた場合には不良と判断し、不良信号を出力する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カップは、従来より、清涼飲料、コーヒー等の飲料、アイスクリーム、ヨーグルト、納豆等の容器として広く使用されている。図1に示すように、カップの一例である紙カップ9は、例えば、プレカット又は原紙ウエブよりダイカットされた胴紙1の一方の端縁2をもう一方の端縁3に重ね合わせて胴部貼り合わせ部4を形成させて円筒形状の胴部材5とし(矢印101)、これに別の原紙ウエブよりパンチングで成形した円形状の底紙6を外周縁部7を下向きに起立させて底部材8とし(矢印102)、前記胴部材5の下部内面に底部材の外周縁部の外面を接合させ、更に外周縁部を覆うように胴部材の下端縁部を内方に折り曲げ、底部材の外周縁部外面に接合させて環状脚部12を形成し、胴部材5はその上端縁10を折り返してフランジ部11を形成して(矢印103)製造される。
【0003】
紙カップの不良として、漏れ不良や内面の汚れや異物混入があるが、これらの不良は、漏れ検査や、紙カップ内面の汚れや異物混入を検査する外観検査が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−246648号公報
【特許文献2】特開2004−205228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、上記漏れ不良や内面の汚れや異物混入のほかに、紙カップの高さに不具合が生じることがある。これは、胴紙の貼り合わせ部4の貼り合わせ不良やフランジ部11の折返し不良、脚部8の折り返し不良などが要因となっている。
【0006】
上記紙カップの高さは上限及び下限の範囲に収まるように管理する必要があるが、従来法では、一般的に高さの管理は抜き取り検査によって行われているために、規格外の不良品が見逃されるという問題があった。
【0007】
そこで本発明は上記問題点に鑑みて、成形された紙カップの高さを成型ラインの中で全数検査することが可能なカップ高さ検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明の請求項1に係る発明は、カップの高さを検査する装置であって、
カップを搬送する手段と、
上下方向に変位可能で、搬送されたカップのフランジ部を押さえる手段と、
フランジ部が押さえられているカップを検出する手段と、
カップのフランジ部を押さえる前と、カップが検出されたタイミングと、で、カップのフランジ部を押さえる手段の変位量を検知する手段と、
検知した変位量からカップの高さの変位寸法値を算出する手段と、
算出したカップの高さの変位寸法値と予め設定された変位寸法値の閾値とを比較し、閾値外の場合は不良と判断する手段と、
不良と判断した場合に不良信号を出力する手段と、を有することを特徴とするカップ高
さ検査装置である。
【0009】
本発明の請求項2に係る発明は、前記上下方向に変位可能で、搬送されたカップのフランジ部を押さえる手段のカップのフランジ部と接する面の部材は、テフロン(登録商標)であることを特徴とする請求項1に記載のカップ高さ検査装置である。
【0010】
本発明の請求項3に係る発明は、前記カップのフランジ部を押さえる機構の変位量を検知する手段は、変位センサーであることを特徴とする請求項1または2に記載のカップ高さ検査装置である。
【0011】
本発明の請求項4に係る発明は、前記上下方向に変位可能で、搬送されたカップのフランジ部を押さえる手段のカップのフランジ部と接する部材のカップの、搬入部と搬出部の形状は、曲面であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカップ高さ検査装置である。
【0012】
本発明の請求項5に係る発明は、請求項1記載のカップ高さ検査装置を備え、不良信号をフィードバックして不良発生の原因を排除することを特徴とするカップ成形装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の紙カップ高さ検査装置によれば、成型ラインの中でカップの高さの全数検査を行うことが出来、紙カップの高さが規格から外れた不良品を見逃すことなく排除することが出来る。
【0014】
また、本発明の紙カップ高さ検査装置を備えたカップ成形装置によれば、不良品が発生した場合には、カップ成型装置の不具合箇所をいち早く知ることが可能となり、不具合箇所を修復することによって同一不良品の発生を抑えることが出来る。その結果、材料ロスを削減することが出来、更に成形装置の生産効率を高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】カップの一例である紙カップを製造する工程を示す図。
【図2】本発明に係るカップ高さ検査装置の概略構成の一例を示す図。
【図3】本発明に係るカップ搬送レバーを説明するための図。
【図4】本発明に係るカップフランジ部押さえ機構を説明するための図。(a)はレバーが、ストッパーに接していることを示す図。(b)はカップ押さえプレートが、支点を中心にして回転することを示す図。
【図5】本発明に係るカップ押さえプレートの高さの調整位置を説明するための図。(a)はカップ押さえプレートの高さの調整位置Hを示す図。(b)は調整位置は少なくとも、カップ高さが規格の最小高さであるH1より低い高さに調整されることを示す図。
【図6】本発明に係るカップの高さの変位を検知するタイミングを得る方法を示す図。
【図7】本発明に係るカップ押さえプレートの形状の一例を示す図。(a)はカップ押さえプレートのカップのフランジ部との接触部分と搬入端面と搬出端面の形状を示す図。(b)は円形状のカップ押さえプレートを示す図。(c)は矩形状のカップ押さえプレートを示す図。
【図8】本発明に係るカップ高さ検査装置のカップフランジ部押さえ機構を示す図で、図2に示されるカップフランジ部押さえ機構とは別の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明に係るカップ高さ検査装置を実施するための形態を説明する。
【0017】
図2は本発明に係るカップ高さ検査装置の概略構成の一例を示す図である。カップ高さ検査装置は、カップ31を搬送する手段であるカップ搬送レバー21と、上下方向に変位可能で、搬送されたカップのフランジ部32を押さえる手段であるカップフランジ部押さえ機構22と、フランジ部が押さえられているカップを検出する手段であるカップ検知センサー28と、カップのフランジ部を押さえる前と、カップ検知センサーによってカップが検知されたタイミングと、でカップフランジ部押さえ機構22の変位量を検知する手段である変位センサー24と、検知した変位量からカップの高さの変位寸法値を算出する手段である演算回路部25と、算出したカップの高さの変位寸法値と予め設定された閾値とを比較し、比較した結果、閾値外の場合は不良と判断する手段である比較判定回路部26と、不良と判断した場合は不良信号を出力する手段である不良信号出力部27と、を有している。
【0018】
カップ搬送レバー21は、例えば図3に示すようなスターホイール21aを用い、スターホイール21aを矢印104の方向に8分の1回転させることによってカップ31を図2に示す矢印41の方向に搬入し、カップ押さえプレート23の下方でカップ31の高さを検査するために一旦搬送を停止し、その後再び及び矢印42の方向にカップ31を搬出することが出来る。
【0019】
カップフランジ部押さえ機構22は、圧縮バネ22a、レバー22b、ストッパー22c、カップ押さえプレート23、カップ押さえプレート23とレバー22bとを繋ぐ連結板22dと、から構成されており、レバー22bは支点22eを支点として回転する。
【0020】
カップ31がカップ押さえプレート23の下方に搬送されていない時には、図4(a)に示すように圧縮バネ22aが矢印43−aに示す方向に押し下げ、カップ押さえプレート23に繋がれたレバー22bは、圧縮バネ22aが矢印43−aに示す方向に押し下げることによってストッパー22cに接している。一方、カップ31がカップ搬送レバー21によってカップ押さえプレート23の下方に搬送された際には、図4(b)に示すようにカップ31によって圧縮バネ22aが矢印43−bに示す方向に圧縮することによってカップ押さえプレート23は、支点22eを支点として矢印44で示す方向に回転する。
【0021】
カップ検知センサー28は、カップ31がカップ押さえプレート23によって押さえられているタイミングを得るためのもので、カップ押さえプレート23の下方に搬送されたカップ31を例えば光学センサーを用いて検出することが出来る。
【0022】
図4(a)に示すカップ31がカップ押さえプレート23の下方に搬送されていない場合は、レバー22bの破線45で囲まれた部分と変位センサー24とのギャップd1と、図4(b)に示すカップ31が下方に搬送された場合のレバー22bの破線45で囲まれた部分と変位センサー24とのギャップd2と、の差(d1−d2)が(即ち変位量が)、変位センサー24によって検知される。
【0023】
変位センサー24に用いるセンサーとしては、その方式は限定されるものではなく、レーザ式、LED式、超音波式、接触式、渦電流式のいずれのセンサーでも用いることが出来る。上記いずれの変位センサーでも応答速度は20Hzを超えるものであり、カップの全数を検査することが出来る。
【0024】
圧縮バネ22aには、カップ31を押さえていない場合はカップ押さえプレート23がストッパー22cに接し、カップ31を押さえた場合はカップ押さえプレート23を押し
上げ、更にカップ31を確実に押さえられるように、これに適応したバネを選択する必要がある。
【0025】
また、図5はカップ押さえプレート23の高さの調整位置を説明するための図で、図5(a)はカップ押さえプレート23の高さの調整位置Hを示す図で、図5(b)に示すように調整位置は少なくとも、高さが正常なカップ31が搬送された場合に、カップ31によってカップ押さえプレート23が押し上げられる位置に調整される必要がある。言い換えれば、カップ高さが規格の最小高さであるH1のカップ31−1の場合でもカップ押さえプレート23が押し上げられる必要があるため、カップ押さえプレート23の高さHは、H1以下に調整されている必要がある。上記カップ押さえプレート23の高さは、ストッパー22cを上下方向にスライドすることによって調整することが出来る。
【0026】
上記カップ検知センサー28によって、変位センサー24が変位を検知するタイミングを得ることが出来る。図6に変位を検知するタイミングを得る方法を示す。図6に示す(A)はカップ搬送レバー21に用いられるスターホイール21aの駆動信号を示し、回転と停止を繰り返してカップ31をカップ押さえプレート23の下方に搬送し、変位センサー24が変位を検知した後に、搬入とは逆の方向に搬出する。(B)はカップ31を検出するカップ検出センサー28のカップ検出信号を示し、スターホイール21aによるカップ31の搬送が停止している間、即ち(B−1)、(B−2)、(B−3)のタイミングで、カップ31を検出する。しかしながら、(B−2)〜(B−3)においては、スターホイール21aが駆動したにもかかわらずカップ31が搬送されないため(C)に示される変位センサー検出タイミングは作成されない。これによりカップ31が搬入された場合に限って変位センサー24によって変位が検出される。
【0027】
上記変位センサー検出タイミングによって得られた変位センサー24の変位信号によって示される変位量は次に、演算回路部25によって距離値に演算され、更に、上記(d1−d2)が算出される。
【0028】
更に、比較判定回路部26によって、演算回路部25で算出された(d1−d2)の値と閾値(上限値TUと下限値TL)が比較され閾値内に収まっているか否かの判定が行われる。
【0029】
上記比較判定回路部26によって(d1−d2)の値が例えば上限値TUを越えている場合はカップの高さが上限不良と判定され、逆に下限値TLを下回っている場合は下限不良と判定される。
【0030】
不良と判定された場合、不良カップは検査装置の外部へ排出され、また不良信号出力部27によってブザーや表示灯を作動させ、オペレータに不良発生を知らせる。更に、カップ成形装置に機械停止信号を出力し、不良発生の原因となっている箇所の修復処置を行うことによって、不良品の更なる発生を防ぐ。
【0031】
図7はカップ押さえプレート23の形状の一例を示す図であるが、上述のように、カップ31はカップ押さえプレート23に接触させながらカップ押さえプレート23の下方に搬送されるため、カップ31の擦れや傷つきが発生しないように、図7(a)に示すように、カップ押さえプレート23とカップ31のフランジ部との接触部分の摩擦を小さくすることが望ましく、その為には、カップ押さえプレート23の表面23aは摩擦係数の小さな部材、例えばテフロン(登録商標)を材料とする部材を使用することが望ましい。また、カップ押さえプレート23のカップが搬入される搬入端面51及び搬出される搬出端面52の形状は、曲面形状であることが望ましい。
【0032】
図7(b)及び図7(c)はカップ押さえプレート23の下方から見た外形例を示す模式図で、図7(b)は円形状のカップ押さえプレートを示し、図7(c)は矩形状のカップ押さえプレートを示す図である。
【0033】
本発明に係るカップフランジ部押さえ機構22を図2で例示したが、図8に示す図2とは別のカップフランジ部押さえ機構の例でも良い。図8のカップフランジ部押さえ機構60は、圧縮バネ22a−1及び22a−2、レバー22b、ストッパー22c−1及び22c−2、カップ押さえプレート23、カップ押さえプレート23とレバー22bとを繋ぐ連結板22dと、から構成されており、図2におけるカップフランジ部押さえ機構22はレバー22bは支点22eを支点として回転する一方、図8に示すカップフランジ部押さえ機構のレバー22bは上下に移動する構造となっている。
【0034】
上記説明は、紙カップを例示したがこれに限定されず、広く清涼飲料、コーヒー等の飲料、アイスクリーム、ヨーグルト、納豆等の容器に適用することが出来る。
【0035】
本発明の紙カップ高さ検査装置及びカップ成形装置によれば、成型ラインの中でカップの高さの全数検査を行うことが出来、紙カップの高さが規格から外れた不良品を見逃すことなく排除することが出来、更に不良信号を成形装置にフィードバックし不良箇所を修復することによって不良発生を抑制すること出来る。
【符号の説明】
【0036】
1・・・胴紙
2・・・胴紙の一方の端縁
3・・・胴紙のもう一方の端縁
4・・・胴部貼り合わせ部
5・・・円筒形状の胴部材
6・・・円形状の底紙
7・・・外周縁部
8・・・底部材
9・・・紙カップ
10・・・胴部材の上端縁
11・・・フランジ部
12・・・環状脚部
21・・・カップ搬送レバー
21a・・・スターホイール
22・・・カップフランジ部押さえ機構
22a・・・圧縮バネ
22a−1、22a−2・・・圧縮バネ
22b・・・レバー
22c・・・ストッパー
22c−1、22c−2・・・ストッパー
22d・・・連結板
22e・・・支点
23・・・カップ押さえプレート
23a・・・カップ押さえプレートのカップのフランジと接触する表面
24・・・変位センサー
25・・・演算回路部
26・・・比較判定回路部
27・・・不良信号出力部
28・・・カップ検知センサー
31・・・カップ
31−1・・・カップ高さが規格の最小高さであるH1のカップ
32・・・カップのフランジ部
41・・・カップを搬入する方向を示す矢印
42・・・カップを搬出する方向を示す矢印
43・・・カップ押さえプレートの回転方向を示す矢印
43−a・・・圧縮バネが押し下げる方向を示す矢印
43−b・・・圧縮バネが圧縮する方向を示す矢印
51・・・カップ押さえプレートのカップが搬入される搬入端面
52・・・カップ押さえプレートのカップが搬出される搬出端面
60・・・カップフランジ部押さえ機構22とは別のカップフランジ部押さえ機構
101・・・円筒形状の胴部材を形成する工程を示す矢印
102・・・底部材を形成する工程を示す矢印
103・・・フランジ部を形成する工程を示す矢印
104・・・スターホイールを回転させる方向を示す矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップの高さを検査する装置であって、
カップを搬送する手段と、
上下方向に変位可能で、搬送されたカップのフランジ部を押さえる手段と、
フランジ部が押さえられているカップを検出する手段と、
カップのフランジ部を押さえる前と、カップが検出されたタイミングと、で、カップのフランジ部を押さえる手段の変位量を検知する手段と、
検知した変位量からカップの高さの変位寸法値を算出する手段と、
算出したカップの高さの変位寸法値と予め設定された変位寸法値の閾値とを比較し、閾値外の場合は不良と判断する手段と、
不良と判断した場合に不良信号を出力する手段と、を有することを特徴とするカップ高さ検査装置。
【請求項2】
前記上下方向に変位可能で、搬送されたカップのフランジ部を押さえる手段のカップのフランジ部と接する面の部材は、テフロン(登録商標)であることを特徴とする請求項1に記載のカップ高さ検査装置。
【請求項3】
前記カップのフランジ部を押さえる機構の変位量を検知する手段は、変位センサーであることを特徴とする請求項1または2に記載のカップ高さ検査装置。
【請求項4】
前記上下方向に変位可能で、搬送されたカップのフランジ部を押さえる手段のカップのフランジ部と接する部材のカップの、搬入部と搬出部の形状は、曲面であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカップ高さ検査装置。
【請求項5】
請求項1記載のカップ高さ検査装置を備え、不良信号をフィードバックして不良発生の原因を排除することを特徴とするカップ成形装置。

【図3】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−168089(P2012−168089A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30692(P2011−30692)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】