説明

カテーテル、カテーテル固定具、カテーテルキットおよびカテーテルの製造方法

【課題】体内組織、特に処置対象の臓器に対するカテーテルの位置ずれを少なくすることができるカテーテル、カテーテル固定具、カテーテルキット、およびカテーテルの製造方法を提供すること。
【解決手段】細長い管状をなし、側面に少なくとも1つの薬剤吐出穴を有し、前記薬剤吐出穴より先端側である先端部に第1の係合構造である貫通穴11を有したカテーテル19と、カテーテル19とは別体に構成され、貫通穴11と係合する第2の係合構造である係合溝26を有し、貫通穴11と係合溝26とが係合することによってカテーテル19の先端部に固定され、この固定状態においてカテーテル19の軸に垂直な方向でカテーテル19の径よりも幅広であるカテーテル固定具20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人間を含む哺乳類の体内に挿入されるカテーテル、カテーテル固定具、カテーテルキットおよびカテーテルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、人間を含む哺乳類の体内にカテーテルを挿入し、このカテーテルを利用して体内への薬剤の投与等が行われている。この場合、細長く管状のカテーテルは、その軸方向に移動させて体内の組織に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−504132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した細長く管状のカテーテルは、体内の組織に挿入された後、軸方向に位置ずれし易いことから、このカテーテルが体内組織から外れてしまったり、カテーテル先端部に設けられた薬剤投与穴の位置がずれて所望位置への薬剤投与ができなくなってしまう可能性があった。
【0005】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、体内組織、特に処置対象の臓器に対するカテーテルの位置ずれを少なくすることができるカテーテル、カテーテル固定具、カテーテルキット、およびカテーテルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカテーテルキットは、細長い管状をなし、側面に少なくとも1つの薬剤吐出穴を有し、前記薬剤吐出穴より先端側である先端部に第1の係合構造を有したカテーテルと、前記カテーテルとは別体に構成され、前記第1の係合構造と係合する第2の係合構造を有し、前記第1の係合構造と前記第2の係合構造とが係合することによって前記カテーテルの先端部に固定され、この固定状態において前記カテーテルの軸に垂直な方向で前記カテーテルの径よりも幅広であるカテーテル固定具と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記カテーテルは、臓器中の薬剤投与対象に薬剤を投与するために用いられ、前記薬剤吐出穴は、前記カテーテルが前記臓器を貫通し、前記カテーテル固定具が前記先端部に固定された状態で前記臓器に当接した位置にある場合、該薬剤吐出穴が前記薬剤投与対象内部に位置するように予め調整された位置に設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記カテーテルは、少なくとも1つの薬剤吐出穴の位置よりも基端側の位置にフランジを有することを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記カテーテルは、臓器中の薬剤投与対象に薬剤を投与するために用いられ、前記フランジは、前記カテーテルが前記臓器を貫通し、前記カテーテル固定具が前記先端部に固定された状態で前記臓器に当接した位置にある場合、該フランジが前記臓器に当接するように前記カテーテル上の予め調整された位置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記カテーテル固定具は、前記カテーテルの先端部に固定された状態で、前記カテーテルの先端側軸線延長上に位置する部位に、前記カテーテル先端と生体との接触を防止する保護部を有することを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記カテーテルは、臓器に穿刺するものであり、前記カテーテル固定具は、前記カテーテルの先端部に固定された状態で、前記第2の係合構造よりも前記カテーテルの基端側に位置する部位に、前記臓器と当接するフランジを有することを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記カテーテル固定具は、前記第2の係合構造を有するスライダと、基体とを有し、前記カテーテルと前記カテーテル固定具とが所定位置にある場合、前記スライダが前記基体に対してスライドすることによって、前記カテーテルの第1の係合構造と前記カテーテル固定具の第2の係合構造とが係合するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記スライダの前記基体に対するスライドは、体外からの操作によって行われるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記体外からの操作は、前記スライダをスライドさせるワイヤの操作であることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記体外からの操作は、前記スライダをスライドさせる流体を前記カテーテル固定具に対して移動させる操作であることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記カテーテル固定具は、細長い線材を有し、前記第2の係合構造は、前記第1の係合構造を把持する把持部であり、前記把持部は、前記線材の先端に設けられ、当該把持部は、前記線材の基端側から操作可能であることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記カテーテルは、先端部から伸長する線材を有し、前記第1の係合構造は、前記線材に設けられていることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記線材は、複数設けられ、前記第1の係合構造は、前記複数の線材にそれぞれ設けられることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記カテーテルは、表面に前記薬剤吐出穴の穿孔位置決定の目安となるパターンが表示されていることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記カテーテルは、前記先端部が分離可能であることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記カテーテルは、前記フランジの先端側で分離可能であることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記カテーテルは、前記薬剤投与孔よりも基端側に屈曲部を有することを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、細長い管状をなし、側面に少なくとも1つの薬剤吐出穴と前記薬剤吐出穴より先端側である先端部に第1の係合構造と前記薬剤吐出穴の位置よりも基端側の位置に設けたフランジである第1フランジとを有したカテーテルと、前記カテーテルとは別体に構成され、前記第1の係合構造と係合する第2の係合構造を有するとともに前記薬剤吐出穴の位置よりも先端側の位置に設けたフランジである第2フランジを有するカテーテル固定具と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかるカテーテルキットは、上記の発明において、前記第2の係合構造は、前記第2フランジを形成することを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかるカテーテルは、臓器に穿刺され、前記臓器内部の薬剤投与対象に薬剤を投与するカテーテルであって、細長い管状をなし、側面に少なくとも1つの薬剤吐出穴を有し、該薬剤吐出穴より基端側にフランジを有した本体を備え、当該カテーテルが予め決定された経路に沿って前記臓器に穿刺されて前記フランジが前記臓器に当接する位置にある場合、前記薬剤投与穴が前記薬剤投与対象の内部に位置するように、該薬剤吐出穴が予め生成された位置に設けられていることを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかるカテーテルは、細長い管状をなし、少なくとも1つの薬剤吐出穴を有するカテーテル本体と、前記カテーテル本体内の内部通路に全体が収容された第1の状態から、先端部が、前記薬剤吐出穴より先端側で前記内部通路から突出した第2の状態へ遷移可能であり、前記第2の状態で前記カテーテル本体を生体組織に固定する少なくとも1本の線材と、を備えたことを特徴とする。
【0027】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、臓器に穿刺され、前記臓器内部の薬剤投与対象に薬剤を投与するカテーテルとは別体に構成され、該カテーテルの先端部に形成された第1の係合構造と係合する第2の係合構造を有し、前記第1の係合構造と前記第2の係合構造とが係合することによって前記カテーテルの先端部に固定され、この固定状態において前記カテーテルの軸に垂直な方向で前記カテーテルの径よりも幅広であることを特徴とする。
【0028】
また、この発明にかかるカテーテルの製造方法は、臓器に挿入され、前記臓器内部の薬剤投与対象に薬剤を投与するカテーテルを製造するカテーテルの製造方法であって、前記臓器および前記薬剤投与対象の位置を、体内観察装置を用いて取得する対象位置取得工程と、前記対象位置取得工程で取得した前記臓器および前記薬剤投与対象の位置をもとに、当該カテーテルの前記臓器への挿入経路を決定する決定工程と、前記臓器および前記薬剤投与対象の位置、および決定された前記挿入経路をもとに、前記薬剤投与対象に対応する前記カテーテルの側面に薬剤吐出穴を形成する穴形成工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、細長い管状をなし、側面に少なくとも1つの薬剤吐出穴を有し、前記薬剤吐出穴より先端側である先端部に第1の係合構造を有したカテーテルと、前記カテーテルとは別体に構成され、前記第1の係合構造と係合する第2の係合構造を有し、前記第1の係合構造と前記第2の係合構造とが係合することによって前記カテーテルの先端部に固定され、この固定状態において前記カテーテルの軸に垂直な方向で前記カテーテルの径よりも幅広であるカテーテル固定具とを備えているので、処置対象の臓器に対するカテーテルの位置ずれを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、この発明の実施の形態1であるカテーテルが挿入される臓器および腫瘍の概要を示す模式図である。
【図2】図2は、この発明の実施の形態1であるカテーテルの製造工程を示す図である。
【図3】図3は、図2に示したカテーテルの準備工程の一例を示す図である。
【図4】図4は、この発明の実施の形態1であるカテーテルとカテーテル固定具とによるカテーテルの臓器への固定を示す説明図である。
【図5】図5は、臓器に固定されたカテーテルとカテーテル固定具との分離工程の一例を示す図である。
【図6】図6は、この発明の実施の形態1であるカテーテルとカテーテル固定具との分離位置を示す模式図である。
【図7】図7は、この発明の実施の形態2であるカテーテル固定具の構成を示す図である。
【図8】図8は、この発明の実施の形態2であるカテーテルとカテーテル固定具との分離位置を示す模式図である。
【図9】図9は、この発明の実施の形態3であるカテーテル固定具の構成を示す斜視図である。
【図10】図10は、この発明の実施の形態3の変形例であるカテーテル固定具の構成を示す斜視図である。
【図11】図11は、この発明の実施の形態4であるカテーテルとカテーテル固定具との構成および固定工程を示す模式図である。
【図12】図12は、この発明の実施の形態4の変形例1である把持部の構成を示す模式図である。
【図13】図13は、この発明の実施の形態4の変形例2である把持部の構成を示す模式図である。
【図14】図14は、この発明の実施の形態5であるカテーテルとカテーテル固定具との構成および固定工程を示す模式図である。
【図15】図15は、この発明の実施の形態6であるカテーテルとカテーテル固定具との構成を示す模式図である。
【図16】図16は、この発明の実施の形態6の変形例であるカテーテルとカテーテル固定具との構成を示す模式図である。
【図17】図17は、この発明の実施の形態7であるカテーテルとカテーテル固定具との構成および固定工程を示す模式図である。
【図18】図18は、この発明の実施の形態7の変形例であるカテーテルの構成を示す模式図である。
【図19】図19は、この発明の実施の形態8であるカテーテルとカテーテル固定具との構成および固定工程を示す模式図である。
【図20】図20は、この発明の実施の形態9であるカテーテルとカテーテル固定具との構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態であるカテーテル、カテーテル固定具、カテーテルキット、およびカテーテルの製造方法について説明する。
【0032】
(実施の形態1)
まず、図1〜図3を参照して、カテーテルとカテーテルの製造方法について説明する。図1は、体内の臓器1の内部に薬剤投与対象としての腫瘍2が存在する状態を示している。ここで、作業者は、MRI、CT、レントゲン装置、超音波検出器などの体内観察装置C1を用いて、臓器1および腫瘍2の形状および位置を取得する。
【0033】
その後、作業者は、体内観察装置C1に接続された表示装置C2上に出力された臓器1および腫瘍の形状および位置をもとに、腫瘍2に薬剤を投入するためのカテーテルの挿入経路3を特定する。この挿入経路3の特定は、体内観察装置C1に接続される処理装置C3を用いて自動的に行ってもよいし、作業者による表示装置C2の操作によって表示画面上で任意に特定するようにしてもよい。
【0034】
その後、処理装置C3は、特定された挿入経路3をもとに、挿入経路3に沿った臓器1と腫瘍2との相対的位置を与えるパラメータを算出する。たとえば、カテーテルの臓器1からの突出位置4からカテーテルの腫瘍2からの突出位置6までの距離a、カテーテルの臓器1からの突出位置4からカテーテルの腫瘍2への挿入位置7までの距離b、カテーテルの臓器1からの突出位置4からカテーテルの臓器1への挿入位置5までの距離cを算出する。なお、これらのパラメータは、表示装置C2の表示画面上の表示内容によって作業者が算出するようにしてもよい。
【0035】
ここで、カテーテル本体8は、図2(1)に示すように、鋭い先端10を持った細長い円筒形をなしており、内部に薬剤等が流れる内部通路9を有する。また、先端部12に、第1の係合構造である貫通穴11を有する。なお、図3に示すように、カテーテル本体8は、薬剤吐出穴を形成することが予定される穿孔領域13には、穿孔作業の目安となるように、目印線14とスケール15とが設けられる。さらに、先端部12の基端側には、マークM1が設けられ、このマークM1は、先端部12のみを分離する作業時の目安となる。
【0036】
図2(1)に示したように、貫通穴11と内部通路9とが形成されたカテーテル本体8は、図2(2)に示すように、挿入経路3に沿った互いに位置関係が把握された臓器1と腫瘍2に適したカテーテルを製造するため、上述したパラメータをもとに、1つまたは複数の薬剤吐出穴16をカテーテル本体8の側面に穿孔する。この穿孔は、たとえば、リーマーを用いて、カテーテル本体8の手前の管壁は貫通するが、内部通路9より先の管壁を貫通しないようにする。この際、図3で示した目印線14とスケール15とを用いて、薬剤吐出穴16の位置決めを行う。なお、薬剤吐出穴16の位置は、カテーテルが臓器1に挿入されて位置決めされた場合に、薬剤吐出穴16が腫瘍2内部に位置するように決定される。
【0037】
図2(2)では、カテーテル本体8の側面に3つの薬剤吐出穴16を穿孔している。すなわち、カテーテルの臓器1からの突出位置4に、カテーテル先端の貫通穴11の基端側の内壁を対応させ、カテーテルの腫瘍2からの突出位置6に、最も先端側の薬剤吐出穴の先端縁を対応させ、カテーテルの腫瘍2への挿入位置7に、最も基端側の薬剤吐出穴の基端縁を対応させている。そして、図1に示した距離aと、カテーテル先端の貫通穴11の基端側の内壁から最も先端側の薬剤吐出穴の先端縁までの距離a′とを等しくしている。また、図1に示した距離bと、カテーテル先端の貫通穴11の基端側の内壁から最も基端側の薬剤吐出穴の基端縁までの距離b′とを等しくしている。つまり、a=a′,b=b′として、薬剤吐出穴16の位置を、b′−a′の範囲内にしている。このb′−a′の範囲内に薬剤吐出穴16を設けることによって、薬剤吐出穴16は、腫瘍2の内部に位置することになる。
【0038】
なお、臓器1の変形や余裕を考慮して、a=a′,b=b′の関係を意図的に変更するようにしてもよい。また、腫瘍2の中心に、投与を集中させる等の治療方針によっても、薬剤投与穴16の位置は、左右される。いずれにしても、上述したパラメータをもとに、腫瘍2の内部に薬剤が投与されるような位置に薬剤吐出穴16が形成される。
【0039】
その後、作業者は、フランジ18をカテーテル本体8に固定する。このフランジ18は、カテーテルを臓器1に挿入した状態で、挿入位置において臓器1の表面に当接させるものであり、この当接時に、薬剤吐出穴16は、すべて腫瘍2の内部に位置する必要がある。したがって、フランジ18は、すべての薬剤吐出穴16が腫瘍2の内部に位置する位置で臓器1に当接するように決定される。この場合、フランジ18の固定位置は、カテーテル本体8に形成した薬剤吐出穴16のうち、最も基端側の薬剤吐出穴16よりもさらに基端側となる。
【0040】
具体的に、まず図2(3)に示すように、フランジ18をカテーテル本体8に固定するためのリング状のフランジ固定部材17をカテーテルの先端側から挿入する。挿入後のフランジ固定部材17は、フランジ18が位置決めされる位置にストッパとして機能するためにカテーテルの基端側に接着固定される(図2(4)参照)。さらに、図2(4)に示すように、カテーテルの先端側からフランジ18をカテーテル本体8に挿入し、フランジ固定部材17に接着固定する。これによって、図2(5)に示すように、カテーテル本体8とフランジ18とを有したカテーテル19が形成される。
【0041】
ここで、カテーテル先端部の貫通穴11の基端側の内壁からフランジ18の先端側表面(臓器1への当接面)までの距離c′は、図1に示した距離cに等しくしている。これによって、カテーテル19をフランジ18が臓器1に当接するまで挿入すれば、薬剤吐出穴16は、全て腫瘍2の内部に位置させることができる。
【0042】
このようにしてカテーテル19をオーダーメイド的に製造することができるが、予め設定された仕様でカテーテル19が大量生産される場合、この限りではない。ただし、カテーテル19は、上述したように、カテーテル本体8に薬剤投与穴16およびフランジ18を有する。
【0043】
なお、カテーテル19は滅菌処理することが好ましい。
【0044】
このようにして製造されたカテーテル19は、図1に示した挿入経路3に沿って臓器1に挿入される。この臓器1から突出したカテーテル19の先端部は、カテーテル固定具20によって固定される。
【0045】
カテーテル固定具20は、図4(1)に示すように、基体であるスライダ棒21とスライダ23とを有する。スライド棒21は、カテーテル19の先端部12が通り抜けられるサイズの貫通穴22を有する。一方、スライダ23は、略L字型に屈曲した形状をなし、L字の横部分にはスライド棒21が貫通する貫通穴28を有する。スライダ23は、貫通穴28を介してスライド棒21の軸方向に移動可能である。貫通穴28の近傍には、ロック棒24が立設されており、ロック棒24の上部には、第1の係合構造に係合する第2の係合構造である係合溝26が形成され、さらにその先端には弾性球25が設けられている。また、L字の縦部分には、カテーテル19の先端10が他の臓器や組織を傷つけるのを防止するための保護部27を形成している。
【0046】
さらに、図4を参照して、カテーテル19とカテーテル固定具20との位置決めについて説明する。図4(2)に示すように、カテーテル19のフランジ18が臓器1の表面に当接するまでカテーテル19が挿入されると、カテーテル19は、臓器1および腫瘍2を貫通して、その先端部12は、臓器1の反対側に突出する。ここで、カテーテル固定具20は、カテーテル19の先端部12がスライド棒21の貫通穴22を通る位置に位置決めされており、先端部12は、貫通穴22を貫通する。その後、スライダ23をスライド棒21の軸に沿って上方に移動させると、図4(3)に示すように、ロック棒24の先端部分は、貫通穴11に挿入され、弾性球25は貫通穴11よりも径が大きいが、弾性変形によって貫通穴11を通る。この結果、係合溝26によって、ロック棒24とカテーテル19とが係合してそれぞれ位置決めされる。そして、臓器1を挟んで、カテーテル19とカテーテル固定具20とがしっかりと固定される。
【0047】
ここで、カテーテル19と臓器1との位置関係は、先端側では、カテーテル固定具20によって位置決めされ、基端側では、フランジ18によって位置決めされる。したがって、カテーテル19と臓器1との相対的位置関係は、カテーテル固定具20とフランジ18とによって固定され、カテーテル19が臓器1に対して軸方向にずれることがない。
【0048】
その後、カテーテル19を介した薬剤投与が終了すると、作業者は、カテーテル19およびカテーテル固定具20を体外に取り出す措置を行う。すなわち、図5(1)に示すように、カテーテル19の先端部12と穿孔領域13との間に形成されたマークM1を目安としてこのマークM1部分で切断等を行う。さらに、図5(2)に示すように、先端部12が切り離されたカテーテル19aを臓器1から引き抜く。さらに、図5(3)に示すように、先端部12が係合された状態のカテーテル固定具20aを取り出す。
【0049】
なお、分離位置は、マークM1の位置に限らず、たとえば、図6に示すようにフランジ18の臓器1側の位置P2で分離してもよい。
【0050】
(実施の形態2)
つぎに、図7を参照して、この発明の実施の形態2について説明する。図7(1)に示すように、この実施の形態2では、上述したカテーテル固定具20に対して臓器1側にさらにフランジ31を設けたカテーテル固定具30としている。実施の形態1では、スライド棒21が臓器1に対する先端側のフランジとしての機能を有していたが、このスライド棒21を臓器1側に近接配置できない場合、専用のフランジ31を臓器1側に設けておくことによって臓器1に対するカテーテル19の固定を確実に行うことができる。このフランジ31には、臓器1から突出したカテーテル19を通す貫通穴32が設けられ、カテーテル19は、この貫通穴32および貫通穴22を通る。この場合、フランジ31を設けることによって、カテーテル19上における薬剤吐出穴16の位置を変更する必要がある。図7(2)に実施の形態2のカテーテル固定具30の使用態様を示す。
【0051】
図8は、この実施の形態2におけるカテーテル19とカテーテル固定具30との分離位置を説明する図である。図8に示すように、実施の形態1と同様にマークM1の位置で分離することができる。また、フランジ18の臓器1側の位置P13で分離することができる。そのほか、フランジ31の貫通穴32の先端側の位置P12あるいはスライド棒20の貫通穴22の基端側の位置P11で分離するようにしてもよい。ここで、カテーテル19を取り出す際、位置P11で分離するとカテーテル19が臓器1部分を通過する距離L2となり、図6に示した距離L1より大きくなるので、侵襲を少なくするため、位置P12,P13、あるいはマークM1の位置で分離することが好ましい。
【0052】
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態3では、第1の係合構造と第2の係合構造との係合を体外から操作可能にしている。図9は、この発明の実施の形態3であるカテーテル固定具の構成を示す斜視図である。図9に示したカテーテル固定具40は、カテーテル固定具20と同様に、略L字型に屈曲した形状をなすスライダ41を有するが、このスライダ41は、L字の横部分に、チューブ42が内挿される筒状のキャップ41aが形成されている。チューブ42は、キャップ41aから体外まで延びるワイヤ43が通されている。ワイヤ43の先端の係止部44は、チューブ41aの底に埋め込まれて係止される。したがって、体外から作業者がワイヤ43を引くことによって、キャップ41aはチューブ42の表面を摺動し、スライダ41全体が図9に示すように、下方に移動し、ロック棒24の係合溝26が貫通穴11に係合する。
【0053】
なお、チューブ42は、その先端近傍であってカテーテル19の挿入経路3上に、カテーテル19を貫通させる貫通穴45を形成する保持部46を有する。また、ワイヤ43の他端は、体外あるいは体表に設置されるラチェット機構47を形成し、このラチェット機構47によってワイヤ43の位置が一方向に固定される。また、このラチェット機構47は、ラチェット機構47のラチェット動作を解除してワイヤ43を先端側に押し込むことによって、カテーテル19とカテーテル固定具40との係合状態を解除することができる。なお、チューブ42は、実施の形態1のスライダ棒21と同様に、臓器1に当接するフランジとしての機能を有する。
【0054】
また、図10に示すように、ワイヤ43に替えて流体の吐出および吸引によってスライダ51を双方向に移動可能にする構成としてもよい。すなわち、スライダ50のキャップ51a内に、チューブ42に対応するチューブ52の先端が挿入され、この先端には、キャップ51a内で、内部通路に吐出および吸引される流体によって伸縮する伸縮部53が形成されている。チューブ52の他端には、流体を吐出および吸引する流体ポンプ57が設けられ、流体ポンプ57によるチューブ52内への流体の吐出および吸引によって伸縮部53を伸縮するようにしている。この伸縮部53の伸縮に伴って、キャップ51aが図10に示すように、上下方向に移動することによってスライダ51全体が上下方向に移動し、ロック棒24の係合溝26が貫通穴11に係合し、あるいは係合が解除される。またこの係合状態の維持は、流体ポンプ57による流体の流動を停止させておくことによって実現される。
【0055】
ロック棒24の係合溝26が貫通穴11に係合した状態が、カテーテル19が臓器1に固定された状態であり、この状態で、カテーテル19の基端側に接続された薬剤投与ポンプ58から薬剤が臓器1内の腫瘍に、薬剤吐出穴16を介して投与される。なお、チューブ52は、図9と同様に、その先端近傍であってカテーテル19の挿入経路3上に、カテーテル19を貫通させる貫通穴55を形成する保持部56を有する。
【0056】
この実施の形態3では、キャップ41a,51aとチューブ42,52とを用い、このチューブ42,52内にワイヤ43あるいは流体を用いてスライダ41,51、すなわちカテーテル固定具40,50を移動させることによって、体外からカテーテル固定具40,50とカテーテル19との係合を行わせ、あるいはこの係合を解除させることができるので、再開腹をせずに、カテーテル19を容易に交換することができる。
【0057】
(実施の形態4)
つぎに、この発明の実施の形態4について説明する。上述した実施の形態1〜3では、カテーテル固定具およびカテーテルの設置を、一度、開腹して行うようにしているが、この実施の形態4では、腹腔鏡を用いた手術等によってカテーテル19の挿入および固定ができるようにしている。
【0058】
すなわち、図11(1)に示すように、カテーテル69は、実施の形態1の先端部12に対応する先端部62の基端部に第1の係合構造である係合溝66を有し、穿孔領域63に薬剤吐出穴16を形成し、実施の形態1のフランジ18に対応するフランジ68を有する。カテーテル固定具70は、係合溝66を把持するための、鉗子などによって実現される第2の係合構造としての把持部71を先端に有する。
【0059】
そして、カテーテル69を臓器1に固定する場合、まず、図11(2)に示すように、カテーテル69をフランジ68が臓器1に当接するまで臓器1に挿入し、係合溝66を吐出側に露出させる。その後、図11(3)に示すように、カテーテル固定具70を把持部71を屈曲させて係合溝66近傍まで移動させる。そして、図11(4)に示すように、把持部71が係合溝66を把持することによってカテーテル69とカテーテル固定具70とを係合させて臓器1に対して固定する。なお、カテーテル固定具70は、内視鏡などに用いられる処置具などと同様に、先端に位置する把持部71を体外から開閉・回転動作させる開閉・回転機構を有するとともに、把持部71近傍の保持部を体外から屈曲させる屈曲機構を有する。
【0060】
なお、図12に示すように、把持部71の基端部から延びる、実施の形態1の保護部27に対応する保護部72を設けるようにしてもよい。また、図13に示すように、把持部71に替えてフック81を用いてもよい。この場合、フック81が係合溝66に係合した後に、開閉部82を閉じることによって、係合状態が維持される。
【0061】
(実施の形態5)
つぎに、この発明の実施の形態5について説明する。上述した第1の係合構造は、カテーテル本体8に設けられた1つの貫通穴11あるいは1つの係合溝66であったが、この実施の形態5では、図14(1)に示すように、実施の形態1のカテーテル19に対応するカテーテル99の先端から伸長する複数の係合用線材101,102を設け、図14(2)に示すように、この複数の係合用線材101,102のそれぞれの先端部で係合する複数の係合部121,122を設け、それぞれを係合させることによってカテーテル99を臓器1に固定するようにしている。
【0062】
図14(1)に示すように、このカテーテル99のカテーテル本体98は、薬剤を通す内部通路9以外に、この内部通路9に沿ってカテーテル99内に設けられた内部通路111,112のそれぞれに係合用線材101,102が貫通できるようになっている。各係合用線材101,102の各先端には、貫通穴101a,102aが設けられている。
【0063】
このカテーテル99は、各係合用線材101,102が各内部通路111,112内に収まった状態で、図14(2)に示すように、フランジ108が臓器1に当接するまで挿入される。その後、各内部通路111,112内に収まっていた各係合用線材101,102を突出させ、臓器1内を貫通して臓器1外に突出させる。ここで、各内部通路111,112の先端開口は、径方向に開くように斜めに開口しており、各係合用線材101,102は、広がって臓器1外に突出する。また、この各内部通路111,112の先端開口は、実施の形態1の先端部12に対応する先端部92に設けられる。さらに、薬剤吐出穴16は、実施の形態1の穿孔領域13に対応する穿孔領域93に設けられる。
【0064】
各係合用線材101,102に係合する各係合部121,122は、図14(2)に示すように、実施の形態1のスライド棒21あるいはフランジ31に対応するフランジ121a,122aと、実施の形態1のロック棒24に対応するロック部121b,121bと、実施の形態1の保護部27に対応する保護部121c,122cと、貫通穴22あるいは貫通穴32に対応する貫通穴121d,122dとを有する。各係合用線材101,102が突出した後、各係合用線材101,102の先端を、各貫通穴121d,122dに通し、各係合用線材101,102の先端に設けられた貫通穴101a,102aに各ロック部121b,122bを通し、各係合用線材101,102を体外から引き延ばすことによって、カテーテル99が臓器1に固定される。ここで、第1の係合構造は、貫通穴101a,102aであり、第2の係合構造は、ロック部121b,122bである。
【0065】
この実施の形態5では、係合状態を各係合用線材101,102を引き延ばすことによって、カテーテル99の臓器1への固定をさらに確実かつ柔軟に行うことができる。さらに、カテーテル99の先端側を複数点で分散して固定しているため、カテーテル99の臓器1に対する固定が一層確実に行うことができる。
【0066】
(実施の形態6)
つぎに、この発明の実施の形態6について説明する。この実施の形態6では、周囲の臓器の配置関係から臓器1に対するカテーテルの挿入方向を変えることができるようにしている。すなわち、この実施の形態6では、図15に示すように、薬剤投与穴16の基端部側に屈曲部210を設けている。図15に示したカテーテル209は、フランジ208の基端側に蛇腹構造の屈曲部210を設け、図上、カテーテル209の侵入方向が左右方向で、カテーテル209の臓器1への挿入方向が上下方向となっている。なお、カテーテル209の先端には、図14に示した係合部121,122と同じ係合部131を設け、カテーテル209の先端に設けた貫通穴11と係合部131のロック部131bとが係合するようにしている。
【0067】
なお、図16に示すように、蛇腹構造の屈曲部210に替えて、L字型パイプの屈曲部220としてもよい。さらに、図16では、係合部131に替えて、図12に示した把持部71および保護部72にそれぞれ対応する把持部221および保護部227によってカテーテル219の先端を把持して係合させている。
【0068】
(実施の形態7)
つぎに、この発明の実施の形態7について説明する。上述した実施の形態1〜6では、いずれもカテーテルの先端が予め閉じた構造であったが、この実施の形態7では、カテーテルの先端が開口状態のものを用いている。
【0069】
すなわち、図17に示すように、カテーテル309は、先端が開口した直径1mm程度の細いパイプ状をなし、図17(1)に示すように、薬剤投与穴16が臓器1の腫瘍2内に位置するまで臓器1に挿入する。その後、図17(2)に示すように、先端に鉗子などによって実現される把持部311を有したカテーテル固定具310を用い、把持部311によって、臓器1から突出したカテーテル309の先端部分を把持し、さらに強く挟むことによってカテーテル309の内部通路を潰して塞ぐとともに、把持部311は、この把持状態を維持する。この状態で、カテーテル309の内部通路に流入した薬剤は、薬剤吐出穴16から薬剤を吐出することができる。
【0070】
なお、図18に示すように、先端を斜めに切断して尖った形状の開口409aとしてもよい。この場合、カテーテル409の径が太くても、スムーズに臓器1への挿入を行うことができる。
【0071】
また、図12に示した保護部72のように、把持部311の基端部からカテーテル309あるいはカテーテル409の先端近傍に延びる保護部を設け、カテーテル309あるいはカテーテル409の先端によって他の臓器や組織を傷つけるのを防止するようにしてもよい。
【0072】
この実施の形態7では、先端が開口したカテーテルをそのまま用いることができ、簡易な構成とすることができるとともに、カテーテルとカテーテル固定具との係合と薬剤投与用のカテーテル形成とを同時に行うことができる。
【0073】
(実施の形態8)
つぎに、この発明の実施の形態8について説明する。この実施の形態8では、図19(1)に示すように、カテーテル509は、その先端に貫通穴11に替えて第1の係合構造である係合溝506を設け、カテーテル固定具510は、この係合溝506に係合する第2の係合構造としての凸部521,522とフランジ531,532とを有した把持部511を備える。図19(1)に示すように、まずカテーテル509を、フランジ508が臓器1に当接するまで臓器1に挿入し、先端部の係合溝506を臓器1外に突出させる。
【0074】
さらに、カテーテル固定具510の先端に設けた把持部511を開いた状態で、カテーテル509の先端近傍に移動し、凸部521,522を係合溝506に係合させるとともにフランジ531,532を臓器1に当接させる(図19(2)参照)。さらに、図19(3)に示すように、この係合状態を維持させるために、カテーテル固定具510の基端側から外挿された筒状の固定部540を把持部511にスライドさせ、固定させる。これによって、カテーテル509とカテーテル固定具510との係合状態が確実に維持され、かつカテーテル509が臓器1に対して固定される。
【0075】
この実施の形態8では、カテーテル509が細い径であっても、貫通穴を設けずに、確実にカテーテル509を臓器1に固定することができる。
【0076】
(実施の形態9)
つぎに、この発明の実施の形態9について説明する。この実施の形態9では、図20に示すように、実施の形態8と同様なカテーテル609を用いるが、実施の形態8に比してカテーテル609の径が大きいため、カテーテル609の先端部に貫通穴611を設けることができる。カテーテル固定具610は、スライド棒21とロック棒24とを兼ね備えた固定棒であり、先端部に、貫通穴611に係合する係合溝606を有し、最先端部に弾性球625を有する。
【0077】
カテーテル609のフランジ608が臓器1に当接するまで、カテーテル609が臓器1に挿入されると、先端部が臓器1外に突出し、貫通穴611が突出する。この貫通穴611に弾性球625を弾性変形させて挿入し、係合溝606を貫通穴611に係合させる。これによって、カテーテル609とカテーテル固定具610とが係合し、カテーテル609が臓器1に対して固定される。
【0078】
なお、カテーテル固定具610は、図12に示した保護部72のように、係合溝606の基端部からカテーテル609の先端近傍に延びる保護部を設け、カテーテル609の先端によって他の臓器や組織を傷つけるのを防止するようにしてもよい。
【0079】
この実施の形態9では、簡易な構成によってカテーテル609を臓器1に固定させることができる。
【0080】
なお、上述した実施の形態1〜9では、臓器1内の腫瘍2を薬剤投与対象としているが、薬剤投与対象は、腫瘍2に限らず、病変部あるいは脾臓などの血管密集部であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 臓器
2 腫瘍
3 挿入経路
4,6 突出位置
5,7 挿入位置
8,98 カテーテル本体
9,111,112 内部通路
10 先端
11,22,28,32,45,55,101a,102a,121d,122d,611 貫通穴
12,62,92 先端部
13,63,93 穿孔領域
14 目印線
15 スケール
16 薬剤投与穴
17 固定部材
18,31,68,108,121a,122a,208,508,531,532,608 フランジ
19,19a,69,99,209,219,309,409,509,609 カテーテル
20,20a,30,40,50,310,510,610 カテーテル固定具
21 スライド棒
23,41,51 スライダ
24 ロック棒
25,625 弾性球
26,66,606 係合溝
27,72,121c,122c,227 保護部
41a,51a キャップ
42,52 チューブ
43 ワイヤ
44,54 係止部
46,56 保持部
47 ラチェット機構
53 伸縮部
57 流体ポンプ
58 薬剤投与ポンプ
71,221,311,511 把持部
81 フック
82 開閉部
101,102 係合用線材
121,122,131 係合部
121b,122b,131b ロック部
210,220 屈曲部
409a 開口
521,522 凸部
540 固定部
M1 マーク
P1,P11,P12,P13 位置
a,b,c,a′,b′,c′,L1,L2 距離
C1 体内観察装置
C2 表示装置
C3 処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い管状をなし、側面に少なくとも1つの薬剤吐出穴を有し、前記薬剤吐出穴より先端側である先端部に第1の係合構造を有したカテーテルと、
前記カテーテルとは別体に構成され、前記第1の係合構造と係合する第2の係合構造を有し、前記第1の係合構造と前記第2の係合構造とが係合することによって前記カテーテルの先端部に固定され、この固定状態において前記カテーテルの軸に垂直な方向で前記カテーテルの径よりも幅広であるカテーテル固定具と、
を備えたことを特徴とするカテーテルキット。
【請求項2】
前記カテーテルは、臓器中の薬剤投与対象に薬剤を投与するために用いられ、
前記薬剤吐出穴は、前記カテーテルが前記臓器を貫通し、前記カテーテル固定具が前記先端部に固定された状態で前記臓器に当接した位置にある場合、該薬剤吐出穴が前記薬剤投与対象内部に位置するように予め調整された位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルキット。
【請求項3】
前記カテーテルは、少なくとも1つの薬剤吐出穴の位置よりも基端側の位置にフランジを有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテルキット。
【請求項4】
前記カテーテルは、臓器中の薬剤投与対象に薬剤を投与するために用いられ、
前記フランジは、前記カテーテルが前記臓器を貫通し、前記カテーテル固定具が前記先端部に固定された状態で前記臓器に当接した位置にある場合、該フランジが前記臓器に当接するように前記カテーテル上の予め調整された位置に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のカテーテルキット。
【請求項5】
前記カテーテル固定具は、前記カテーテルの先端部に固定された状態で、前記カテーテルの先端側軸線延長上に位置する部位に、前記カテーテル先端と生体との接触を防止する保護部を有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテルキット。
【請求項6】
前記カテーテルは、臓器に穿刺するものであり、
前記カテーテル固定具は、前記カテーテルの先端部に固定された状態で、前記第2の係合構造よりも前記カテーテルの基端側に位置する部位に、前記臓器と当接するフランジを有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテルキット。
【請求項7】
前記カテーテル固定具は、前記第2の係合構造を有するスライダと、基体とを有し、
前記カテーテルと前記カテーテル固定具とが所定位置にある場合、前記スライダが前記基体に対してスライドすることによって、前記カテーテルの第1の係合構造と前記カテーテル固定具の第2の係合構造とが係合するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルキット。
【請求項8】
前記スライダの前記基体に対するスライドは、体外からの操作によって行われるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のカテーテルキット。
【請求項9】
前記体外からの操作は、前記スライダをスライドさせるワイヤの操作であることを特徴とする請求項8に記載のカテーテルキット。
【請求項10】
前記体外からの操作は、前記スライダをスライドさせる流体を前記カテーテル固定具に対して移動させる操作であることを特徴とする請求項8に記載のカテーテルキット。
【請求項11】
前記カテーテル固定具は、細長い線材を有し、
前記第2の係合構造は、前記第1の係合構造を把持する把持部であり、
前記把持部は、前記線材の先端に設けられ、当該把持部は、前記線材の基端側から操作可能であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルキット。
【請求項12】
前記カテーテルは、先端部から伸長する線材を有し、
前記第1の係合構造は、前記線材に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルキット。
【請求項13】
前記線材は、複数設けられ、
前記第1の係合構造は、前記複数の線材にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項12に記載のカテーテルキット。
【請求項14】
前記カテーテルは、表面に前記薬剤吐出穴の穿孔位置決定の目安となるパターンが表示されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルキット。
【請求項15】
前記カテーテルは、前記先端部が分離可能であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルキット。
【請求項16】
前記カテーテルは、前記フランジの先端側で分離可能であることを特徴とする請求項3に記載のカテーテルキット。
【請求項17】
前記カテーテルは、前記薬剤投与孔よりも基端側に屈曲部を有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテルキット。
【請求項18】
細長い管状をなし、側面に少なくとも1つの薬剤吐出穴と前記薬剤吐出穴より先端側である先端部に第1の係合構造と前記薬剤吐出穴の位置よりも基端側の位置に設けたフランジである第1フランジとを有したカテーテルと、
前記カテーテルとは別体に構成され、前記第1の係合構造と係合する第2の係合構造を有するとともに前記薬剤吐出穴の位置よりも先端側の位置に設けたフランジである第2フランジを有するカテーテル固定具と、
を備えたことを特徴とするカテーテルキット。
【請求項19】
前記第2の係合構造は、前記第2フランジを形成することを特徴とする請求項18に記載のカテーテルキット。
【請求項20】
臓器に穿刺され、前記臓器内部の薬剤投与対象に薬剤を投与するカテーテルであって、
細長い管状をなし、側面に少なくとも1つの薬剤吐出穴を有し、該薬剤吐出穴より基端側にフランジを有した本体を備え、
当該カテーテルが予め決定された経路に沿って前記臓器に穿刺されて前記フランジが前記臓器に当接する位置にある場合、前記薬剤投与穴が前記薬剤投与対象の内部に位置するように、該薬剤吐出穴が予め生成された位置に設けられていることを特徴とするカテーテル。
【請求項21】
細長い管状をなし、少なくとも1つの薬剤吐出穴を有するカテーテル本体と、
前記カテーテル本体内の内部通路に全体が収容された第1の状態から、先端部が、前記薬剤吐出穴より先端側で前記内部通路から突出した第2の状態へ遷移可能であり、前記第2の状態で前記カテーテル本体を生体組織に固定する少なくとも1本の線材と、
を備えたことを特徴とするカテーテル。
【請求項22】
臓器に穿刺され、前記臓器内部の薬剤投与対象に薬剤を投与するカテーテルとは別体に構成され、該カテーテルの先端部に形成された第1の係合構造と係合する第2の係合構造を有し、前記第1の係合構造と前記第2の係合構造とが係合することによって前記カテーテルの先端部に固定され、この固定状態において前記カテーテルの軸に垂直な方向で前記カテーテルの径よりも幅広であることを特徴とするカテーテル固定具。
【請求項23】
臓器に挿入され、前記臓器内部の薬剤投与対象に薬剤を投与するカテーテルを製造するカテーテルの製造方法であって、
前記臓器および前記薬剤投与対象の位置を、体内観察装置を用いて取得する対象位置取得工程と、
前記対象位置取得工程で取得した前記臓器および前記薬剤投与対象の位置をもとに、当該カテーテルの前記臓器への挿入経路を決定する決定工程と、
前記臓器および前記薬剤投与対象の位置、および決定された前記挿入経路をもとに、前記薬剤投与対象に対応する前記カテーテルの側面に薬剤吐出穴を形成する穴形成工程と、
を含むことを特徴とするカテーテルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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