説明

カテーテル洗浄デバイス

【課題】カテーテル接続部の微生物汚染を削減する上で効果的となり得る技術およびデバイスの提供。
【解決手段】本発明は、カテーテルポート入口の微生物汚染を削減する上で効果的なカテーテル洗浄デバイスを提供する。例えば、本発明は、それぞれカテーテルポート入口における潜在的な微生物汚染を削減する、カテーテル、カテーテル洗浄デバイス、およびカテーテル洗浄注入ポートキャップを提供する。また、本発明は、本体であって、該本体の遠位端から近位端まで延在するキャビティを有する、本体と、可動フリットであって、当該フリットと本体の近位端との間にリザーバを形成するように、キャビティ内に位置する、可動フリットと、可動フリットを本体の遠位端の方へ付勢するように配置されたバイアス要素と、本体の遠位端と隣接してキャビティ内に位置する吸収性要素とを備える、注入ポートキャップを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して医学分野に関し、より具体的には、カテーテルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
中央静脈カテーテル(Central Venous Catheter)(CVC)は、医療行為のために、特に、重症患者、癌患者、および点滴注入を受けている患者の間で、不可欠なデバイスである。これらのデバイスは、通常ならば、四肢末梢静脈に挿入された標準的な静脈内カテーテルを介して投与されることができない、濃縮された薬剤、流体、または血液製剤の急速注入を可能にする。そのようなカテーテルは必要な血管アクセスを提供するが、生命を脅かし得る重篤な感染症の危険に患者をさらすことにもなる。
【0003】
米国では毎年推定300万人、英国では20万人にCVCの挿入が行われている(非特許文献1)。米国において、そのようなカテーテルは、ICUだけで推定1,500万カテーテル日の間(1つのカテーテルを1人の患者において1日間=1カテーテル日)、適所に留まる(非特許文献2)。カテーテル関連血流感染症は、院内感染菌血症の最多原因である(非特許文献3)。米国では年間80,000〜400,000の中央静脈カテーテル関連血流感染症(CRBI)が発生しており、入院は平均1週間延長され、2,400〜60,000人の患者が死亡する(Mermel,Ann.Intern.Med.
132:391−402(2000);Raad and Darouiche,Curr.Opin.Crit.Care 2:361−3651996;Arnow et
al.,Clin.Infect.Dis.16:778−784(1993);CDC,National Nosocomial Infections Surveillance System(NNIS)report,data summary from October 1986−April 1998,issued June,1998.Am.Infect.Control 26:522−533,(1998);Digiovine et al.,Am.J.Respir.Crit.Care Med.160:976−981(1999);Rello et al.,Am.J.Respir.Crit. Care Med.162:1027−1030(2000);Soufir et al.,Infect.Control Hosp.Epidemiol.20:396−401(1999);Kluger and Maki,Abstracts of the 39th Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy.San Francisco,CA:American Society for Microbiology,514(1999))。これらの患者におけるCVC関連感染症の看護にかかった年間コストの推定額は、2000年において、2億9,600万ドルから23億ドルであった(Mermel,Ann.Intern.Med.133:395(2000))。無針(needleless)カテーテルデバイスの使用は、血流感染症の危険性の増大に関連していた(Kellerman et al.,J.Pediatr.129:711−717(1996);Do et al.,J.Infect.Dis.179:442−448,(1999))。
【0004】
長期にわたるカテーテルの使用(10日間超)に関連するほとんどのカテーテル関連血流感染症(CRBI)は、内視鏡汚染およびその後のカテーテルハブのコロニー形成に起因する。ハブは、患者の皮膚、気管切開分泌物、創傷、オストミー(人工肛門、人工膀胱)および排泄物等との接触によって、または、医師もしくは看護師がカテーテルを操作することによるハブ表面への移行によって、外部ハブ表面上に微生物が存在する場合に、汚染され得る(Cicco et al.,Lancet 2:1258−1260(1989))。CRBIのほとんどの発症は、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、腸球菌種、肺炎桿菌(Klebsiella pneumonia)、大腸菌(Escherichia coli)、およびカンジダ(Candida)種によって引き起こされる(CDC.Guidelines for the prevention of intravascular catheter−related infections.MMWR 51:1−29,(2002))。
【0005】
カテーテルハブ(カテーテルと静脈内チューブ類との接合部)は、10日間超にわたって留置カテーテルを有する患者におけるCRBIの主要源として同定されている(Sitges−Serra and Linares,Lancet 1:668(1983);Sitges−Serra et al.,Surgery 97:355−257(1985);Sitges−Serra et al.,JPEN 8:668−672(1984);Linares et al.,J.Clin.Microbiol. 21:357−360(1985);Forse et al.,Surgery 86:507−514(1979);Moro et al.,Infect.Control Hops.Epidemiol. 15:253−264(1994);Llop et al.,Clin.Nutr. 20:527−534(2001);Bouza
et al.,J.Hosp.Infect.54:279−287(2003);Salzman and Rubin,Nutrition 13:15S−17S(1997);Tan et al.,J.Infect.Dis.169:1393−1397(1994))。ハブは、多くの場合、血液試料を採取するため、薬剤、流体、または非経口的栄養を投与するために必要な操作中に汚染される。外部ハブ表面上またはその付近(オストミー、創傷、瘻孔、皮膚、気管切開部、毛布/衣服)に存在する微生物は、カテーテルハブが取り扱われる際に、患者、看護師、または医師の指によってハブ内腔へ移行される(De Cicco et al.,Lancet 2:1258−1260(1989))。1日6回穿刺されるピギーバック式側面ポートの10〜20%もが、病原微生物によって侵される(Brismar et al.,Clin.Nutr.6:31−36(1982)。
【0006】
現在のハブ設計は、主として静脈内チューブ類との密な接続を確実にするために設計されたものであるが、ハブおよび内視鏡カテーテルの微生物コロニー形成を防止するために特別に設計されたものではない。ハブのコロニー形成の、したがってハブ媒介感染症の防止は、チューブ類の接続/切断中、直接注入中、および採血中における汚染の回避、ならびに、チューブ類に接続されている間のハブの汚染に対する保護に依存している。実験的証拠により、ハブ表面の意図的な細菌汚染は、消毒が不十分なハブにおいて100%の内液通路汚染をもたらし、ハブキャップの消毒は内液通路の潜在的汚染を最大99%まで防止することが示されている(Ardulno et al.,Am.J.Infect.Control 26:377−380(1997))。現在使用されている無針システムは、以前の有針システムと比較して、感染の危険性の増大も招き得る(Danzig et al.,JAMA 273:1862−1864(1995);Kellerman et al.,J.Pediatr.129:711−717(1996))。これらのシステムは、それらのハブ設計という性質により、旧来の針収納型システムとは異なる。
【0007】
したがって、ハブのコロニー形成の防止は、カテーテル内腔内への微生物の導入を削減または防止することになる。そのような防止は、使用前のカテーテルの入念な洗浄および準備によって誘起され得る。しかしながら、多くの場合、そのような手入れは最善ではなく、特に緊急事態において、カテーテルハブが適切に洗浄されることはあまりない(Stotter et al.,JPEN 11:159−162(1987);Sitges−Serra,Support Care Cancer 7:391−395 (1999))。現在使用されているルアー係止コネクタおよびゴム膜「ピギーバック」システムはいずれも抗菌性を有さず、したがって、厳重な無菌操作法を必要とする。また、適切なハブの手入れは、さらなる訓練を必要とし、既に制約されている医療専門家に必要な時間を増大させる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】LittleおよびPalmer,Nursing Standard 12:42−44,1998
【非特許文献2】Mermel,Ann.Intern.Med. 132:391−402(2000)
【非特許文献3】Vallesら.Clin.Infect.Dis. 24:387−395(1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
よって、カテーテル接続部の微生物汚染を削減する上で効果的となり得る技術およびデバイスの必要性が存在する。本発明はこの必要性を満たすものであり、関連する利点も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、本体であって、該本体の遠位端から近位端まで延在するキャビティを有する、本体と、可動フリットであって、当該フリットと本体の近位端との間にリザーバを形成するようにキャビティ内に位置する、可動フリットと、可動フリットを本体の遠位端の方へ付勢するように配置されたバイアス要素と、本体の遠位端と隣接してキャビティ内に位置する吸収性要素とを備える、注入ポートキャップを提供する。
【0011】
本発明は、近位端に隣接する近位開口部から遠位端まで延在する通路を備える本体と、通路内の近位端と隣接して位置する貫通可能な密封要素と、通路内の遠位端と貫通可能な密封要素との間に位置する吸収性要素と、貫通可能な密封要素と吸収性要素との間に位置する少なくとも1つのブラシと、通路内の遠位端とブラシとの間に位置するルアーコネクタと、通路内のルアーコネクタと貫通可能な密封要素との間に形成されたリザーバとを備える、カテーテル洗浄デバイスも提供する。
【0012】
本発明はさらに、近位端から遠位端まで延在する通路を備える本体と、閉鎖位置および開放位置において動作可能な近位端と、近位端を閉鎖位置から開放位置まで変更するように構成された作動部材をさらに備える本体と、通路内に近位端と隣接して位置する複数の分離可能な吸収性要素と、本体の外部の少なくとも一部を覆う流体不浸透性シースとを備える、カテーテル洗浄注入ポートキャップを提供する。
【0013】
本特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を包含する。カラー図面を有する本特許または公開特許公報の複写は、依頼および必要手数料の支払時に、特許庁によって提供されることになる。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
本体であって、該本体の遠位端から近位端まで延在するキャビティを有する、本体と、
可動フリットであって、該フリットと該本体の近位端との間にリザーバを形成するように、該キャビティ内に位置する、可動フリットと、
該可動フリットを該本体の遠位端の方へ付勢するように配置されたバイアス要素と、
該本体の遠位端と隣接して、該キャビティ内に位置する吸収性要素と
を備える、注入ポートキャップ。
(項目2)
前記フリットは多孔質材料で構成される、項目1に記載の注入ポートキャップ。
(項目3)
前記バイアス要素はバネを含む、項目1に記載の注入ポートキャップ。
(項目4)
前記バイアス要素はつる巻きバネを含む、項目1に記載の注入ポートキャップ。
(項目5)
前記バイアス要素は、前記リザーバ内に配置された、つる巻きバネを含む、項目1に記載の注入ポートキャップ。
(項目6)
前記吸収性要素は、スポンジを含む、項目1に記載の注入ポートキャップ。
(項目7)
前記フリットは、前記リザーバと前記吸収性要素との間に流体経路を提供するように構成される、項目1に記載の注入ポートキャップ。
(項目8)
前記リザーバ内の液体は、前記フリットが前記バイアス要素に対して前記本体の近位端の方へ移動させられる際に、該フリットを介して前記吸収性要素に押し付けられる、項目7に記載の注入ポートキャップ。
(項目9)
前記キャビティは、実質的に円筒形状を有する、項目1に記載の注入ポートキャップ。
(項目10)
前記吸収性要素は、前記本体の遠位端と隣接する前記キャビティの外周の少なくとも一部に沿って位置する、項目9に記載の注入ポートキャップ。
(項目11)
前記本体は、前記フリットの位置を示すように配置された窓をさらに備える、項目1に記載の注入ポートキャップ。
(項目12)
前記キャビティは、前記本体の近位端に閉鎖端部を、前記本体の遠位端に開口部を備える、項目1に記載の注入ポートキャップ。
(項目13)
前記リザーバは、前記フリットの上面と前記キャビティの閉鎖端部との間に位置する、項目12に記載の注入ポートキャップ。
(項目14)
前記キャビティの開口部は、カテーテルを収容するようにサイズ決定される、項目12に記載の注入ポートキャップ。
(項目15)
前記キャビティの開口部は、前記本体の遠位端に隣接するネジ山をさらに備える、項目12に記載の注入ポートキャップ。
(項目16)
前記ネジ山は、無針注入ポートのルアーフィッティングを収容するように構成される、項目15に記載の注入ポートキャップ。
(項目17)
前記キャップは、前記フリットの側面と前記キャビティの内面との間に位置する密封部材をさらに備える、項目1に記載の注入ポートキャップ。
(項目18)
前記密封部材は、前記フリットの側面の周囲に位置するエラストマーOリングを備える、項目17に記載の注入ポートキャップ。
(項目19)
前記リザーバ内に位置する抗菌剤溶液をさらに備える、項目1に記載の注入ポートキャップ。
(項目20)
近位端に隣接する近位開口部から遠位端まで延在する通路を備える本体と、
該通路内の該近位端と隣接して位置する貫通可能な密封要素と、
該通路内で、該遠位端と該貫通可能な密封要素との間に位置する吸収性要素と、
該貫通可能な密封要素と該吸収性要素との間に位置する少なくとも1つのブラシと、
該通路内で、該遠位端と該ブラシとの間に位置するルアーコネクタと、
該通路内で、該ルアーコネクタと該貫通可能な密封要素との間に形成されるリザーバと
を備える、カテーテル洗浄デバイス。
(項目21)
前記ルアーコネクタは、雌型ルアーコネクタである、項目20に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目22)
前記貫通可能な密封要素は、吸収性発泡体を含む、項目20に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目23)
前記貫通可能な密封デバイスは、ルアーフィッティングが前記近位開口部内に挿入される場合には第1の位置において、ルアーフィッティングが該近位開口部内に挿入されない場合には第2の位置において動作するように構成される、項目20に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目24)
前記貫通可能な密封要素は、前記第1の位置において動作する場合、半径方向に圧縮する、項目23に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目24)
前記貫通可能な密封デバイスは、前記第2の位置で動作して前記通路内の流体の蒸発を減少させるように構成される、項目23に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目25)
前記吸収性要素は、前記通路の主軸と実質的に並んでいる主軸を有する中央開口部を含む、項目20に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目26)
前記吸収性要素の、その中央開口部に沿った内面は、前記ルアーコネクタと隣接して配置されたルアーフィッティングと接触するように構成される、項目25に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目27)
前記吸収性要素の底部は、前記ルアーコネクタの上部と隣接して位置する、項目20に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目28)
前記吸収性要素は、少なくとも部分的に抗菌剤溶液を含浸されている、項目20に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目29)
前記吸収性要素は、前記抗菌剤溶液の一部が該吸収性要素から前記リザーバまで移動するように、前記ルアーコネクタにルアーフィッティングが装着されている場合、半径方向に圧縮するように構成される、項目28に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目30)
前記リザーバ内の前記抗菌剤溶液の一部は、前記ルアーフィッティングと前記ルアーコネクタとの間の界面に隣接して位置する、項目29に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目31)
前記通路内に位置し、前記ルアーコネクタから前記本体の遠位端を通って延在するピストンをさらに備える、項目20に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目32)
前記貫通可能な密封要素は、発泡体を含む、項目20に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目33)
前記吸収性要素は、開放気泡発泡体を含む、項目20に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目34)
近位端から遠位端まで延在する通路を備える本体と、
閉鎖位置および開放位置において動作可能な該近位端と、
該近位端を該閉鎖位置から該開放位置まで変更するように構成される作動部材をさらに備える該本体と、
該近位端と隣接して該通路内に位置する複数の分離可能な吸収性要素と、
該本体の外部の少なくとも一部を覆う流体不浸透性シースと
を備える、カテーテル洗浄注入ポートキャップ。
(項目35)
前記吸収性要素は、抗菌剤溶液が含浸されている、項目34に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
(項目36)
前記吸収性要素は、前記近位端が前記閉鎖位置において動作される場合、実質的に閉鎖した表面を形成する、項目34に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
(項目37)
前記吸収性要素は、前記近位端が前記開放位置において動作される場合、互いに空間的に離間している、項目34に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
(項目38)
前記近位端は、前記開放位置において動作される場合、ルアーフィッティングを収容するように構成される、項目34に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
(項目39)
前記吸収性要素のうちの1つ以上は、前記近位端に挿入されているルアーフィッティングの外部と接触するように構成される、項目34に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
(項目40)
前記複数の分離可能な吸収性要素は、実質的に半円筒形の2つのスポンジを含み、該スポンジは、前記近位端が前記閉鎖位置において動作される場合には互いに隣接し、該近位端が前記開放位置において動作される場合には互いに離間している、項目34に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
(項目41)
前記本体は、変形可能な材料で構築される、項目34に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
(項目42)
前記作動部材は、前記通路の主軸から半径方向外向きに突出する少なくとも1つの圧縮可能な部分を備える、項目34に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
(項目43)
前記少なくとも1つの圧縮可能な部分が圧縮されている場合、前記近位端は前記開放位置にあり、該少なくとも1つの圧縮可能な部分が圧縮されていない場合、該近位端は前記閉鎖位置にある、項目42に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
(項目44)
前記遠位端は、無針弁と結合される、項目34に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
(項目45)
前記遠位端が前記無針弁と結合されている場合、前記吸収性要素の底面は、該無針弁の開口部に隣接している、項目44に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
(項目46)
ルアー駆動型無針弁を適合させる方法であって、該ルアー駆動型無針弁の開口部上にカテーテル洗浄注入ポートキャップを結合するステップを含む、方法。
(項目47)
前記カテーテル洗浄注入キャップは、
近位端から遠位端まで延在する通路を備える本体と、
閉鎖位置および開放位置において動作可能な該近位端と、
該近位端を該閉鎖位置から該開放位置まで変更するように構成される作動部材をさらに備える該本体と、
該近位端と隣接して該通路内に位置する複数の分離可能な吸収性要素と、
該本体の外部の少なくとも一部を覆う流体不浸透性シースと
を備える、項目46に記載の方法。
(項目48)
キャビティを有する本体と、該キャビティ内に設置された可動フリットであって、該キャビティ内にリザーバを形成するように配置されたフリットと、該リザーバ内に設置されたバネと、該フリットと該キャビティの壁との間に設置されたOリングと、該キャビティ内で、該フリットの近位且つ該リザーバの遠位に設置されたスクラブ発泡体とを備える、カテーテル洗浄デバイス。
(項目49)
前記キャビティ内における前記フリットの位置を示すように配置された窓をさらに備える、項目48に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目50)
前記リザーバ内に分散された抗菌剤溶液をさらに備える、項目48に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目51)
キャビティを有する本体と、該キャビティ内に設置された栓と、該キャビティ内の該栓の近位に配置されたピストンと、該ピストンの近位のスクラブ発泡体と、該スクラブ発泡体の近位のブラシと、該ブラシの近位のシールと、該キャビティ内において該スクラブ発泡体と隣接するリザーバとを備え、雄型ルアーの挿入により、該スクラブ発泡体、ブラシ、およびシールの貫通ならびに該リザーバ内への流体の移動を可能にする、カテーテル洗浄デバイス。
(項目52)
前記スクラブ発泡体およびブラシ内に、分散された抗菌剤溶液をさらに備える、項目51に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目53)
キャビティおよび圧縮可能な位置を有する本体と、該キャビティ内に設置されたスクラブ発泡体であって、該キャビティから外側を向く流体不浸透側面を有する、スクラブ発泡体と、該キャビティ内に配置された無針ポートとを備える、カテーテル洗浄デバイス。
(項目54)
前記スクラブ発泡体内に分散された抗菌剤溶液をさらに備える、項目53に記載のカテーテル洗浄デバイス。
(項目55)
キャビティを有する本体であって、閉鎖端部および開放端部を有する、本体と、該キャビティ内に設置されたスクラブ発泡体と、該スクラブ発泡体によって分散された抗菌剤溶液とを備える、カテーテル洗浄デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、例示的なカテーテル洗浄デバイスをキャップ設計として示す。キャップは、図1に示すように、本体10およびコネクタ/上端20という2つの部分で構成されている。その他の部分としては、移動フリット30と、開放気泡ワイピング発泡体またはスポンジ40と、Oリング50と、バネ60とを含む。フリット30は、本体10のキャビティ内にリザーバ70を形成する。
【図2】図2は、例示的なカテーテル洗浄デバイスを貫通設計として示す。当該貫通設計のポートを構成する部分は、中央静脈カテーテル(CVC)への装着用に含まれるルアーネジと補給チューブまたは雄型ルアーとを有するデバイス本体110を含む。その他の部分としては、CVCに対して雄型ルアー内にある底栓120と、ピストン130と、スクラブメモリ開放気泡発泡体140と、スクラブブラシ150と、密封発泡体160とを含む。
【図3】図3は、例示的なカテーテル洗浄デバイスを、ポップオープン型設計として示す。ポップオープン型キャップ設計は、デバイス本体210、流体シース220、およびスクラブ/浸漬発泡体230という3つの部分で構成されている。分離したルアー駆動型無針弁/ポート/コネクタ240も示されている。描写されている位置は、「閉鎖」位置である。
【図4】図4は、「開放」位置に描写された、図3に示すカテーテル洗浄デバイスを示す。
【図5】図5は、例示的なカテーテル洗浄デバイスを断面図に示す。
【図6】図6は、例示的なカテーテル洗浄デバイスの側面図を示す。
【図7】図7は、例示的なカテーテル洗浄デバイスの上面図を示す。
【図8】図8は、例示的なカテーテル洗浄デバイスを「開放」位置に示し、開放位置の計測結果を共に示す。
【図9】図9は、例示的な雄型ルアーをその直径の計測結果と共に示す。
【図10】図10は、例示的なカテーテル洗浄デバイスに入る雄型ルアーを示す。
【図11】図11は、例示的なカテーテル洗浄デバイス内に係止された雄型ルアーを示す。
【図12】図12は、例示的なカテーテル洗浄デバイス内に挿入および係止された雄型ルアーの上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、カテーテルポート入口の微生物汚染を削減する上で効果的なカテーテル洗浄デバイスを提供する。本発明のカテーテル洗浄デバイスは、カテーテルポート入口を介して患者に感染症を導入する可能性を削減する。本発明のカテーテル洗浄デバイスは、ポートエントランスを抗菌剤溶液中に浸して継続的に洗浄することにより、カテーテルポート入口における微生物汚染を削減する。カテーテル洗浄デバイスは、カテーテル接続部をこすり落とし、抗菌剤溶液を塗布するように機能するスクラブ(scrubbing)表面も組み込む。このように、カテーテルポートは抗菌剤溶液中に浸され、その部分を無菌且つ清潔に保つ。
【0016】
本願において開示するように、カテーテルを接続するために使用される技術またはカテーテルの手入れの欠如にかかわらず、カテーテルハブが常に消毒されていることを確実にする無針静脈内システムと共に使用されるように設計されたデバイスが開発されてきた。このデバイスは、ハブ汚染の発生率、カテーテル内腔の微生物コロニー形成、したがってCRBIの危険性をも減少させる。この抗菌バリアは、内視鏡カテーテル汚染を効果的に防止する。カテーテルへの挿入前に針が通過し得る3%ヨウ素化アルコールのチャンバを組み込んだ先のハブモデルは、体外および体内両方での内視鏡カテーテルの微生物コロニー形成の防止において効果的であった(Segura et al.,J.Clin.Microbiol.27:2656−2659(1989);Segura et al.,J.Clin.Microbiol.28:2551−2554(1990);Segura et al.,Ann.Surg.223:363−369 1996))。
【0017】
8つの研究のメタ分析およびより最近のいくつかの調査の結果に基づいて、結果は、クロルヘキシジンを有する皮膚用製品(0.5%もしくは10%のグルコン酸クロルヘキシジンアルコール溶液、または0.5%もしくは2%のグルコン酸クロルヘキシジン水溶液)が、10%ポビドンヨードよりも、細菌コロニー形成およびCRBIの防止に効果的であることを示している(Chaiyakunapruk et al.,Ann.Intern.Med. 136:792−801(2002);Maki et al.,Crit.Care Med.28:A42(2000);Garland et al.,Pediatrics 107:1431−1436(2001);Casey et
al.,J.Hosp.Infect.54:288−293(2003))ことから、現在の標準的な手入れは、クロルヘキシジンによるカテーテルハブの消毒を含む(Northwestern Memorial Hospital(NMH)nursing
protocol;Inoue et al.,JPEN 16:581−585(1992);Bouza et al.,J.Hosp.Infect.54:279−287(2003))。
【0018】
本発明のカテーテル洗浄デバイスは、無針注入ポート入口エリアの表面上に常在する細菌のコロニー形成を削減することを意図したものである。嵌め合いルアーフィッティングをポートに挿入する場合、中央静脈カテーテル(CVC)を入れている人は、1週間に最大42回、入口ポートを洗浄しなくてはならない。これを行うたびに、細菌が患者の静脈系に導入される若干の可能性がある。ポート入口エリアの不適切な洗浄は、細菌がポートに入ることを可能にしてしまう。本発明は、イソプロピルアルコール(IPA)とクロルヘキシジン(CHG)の混合物等の抗菌剤溶液中に無針ポートを継続的に浸すことにより、偶発的な挿入が可能な細菌を削減する。この溶液は、細菌およびその他の微生物に対して極めて効果的であることが示されている。
【0019】
現在、病院では概して、3回のChloraprepTM1ステップ拭き取りでポートのエリアを単純に拭き取るための手順を使用している。これらの拭き取りを小さな物体に対して使用するのは容易でなく、細菌総数をいかに良好に削減するかを決定する上で、誰がどのようにポートを洗浄するかについては、極めて主観的である。不適切な、慌ただしく行われた、または雑な洗浄手順は、より高い細菌進入の可能性をもたらすことになる。
【0020】
本願において使用する場合、「血流感染症」は、細菌または真菌微生物等の微生物類が陽性である血液培養をいう。
【0021】
本願において使用する場合、「カテーテル関連血流感染症」または「CRBI」は、感染の別の源が、元来、創傷、尿、呼吸器、または腹腔内ではない、中央静脈カテーテル(CVC)を入れている患者における血流感染症の発生をいう。
【0022】
本願において使用する場合、「カテーテル内視鏡コロニー形成」は、血液培養陽性またはあらゆる感染病巣の不在下、カテーテルの内壁上において培養液内で成長することができる、細菌または酵母等の生存微生物の存在をいう。
【0023】
本願において使用する場合、「カテーテルハブ」は、静脈内カテーテルと静脈内チューブ類またはその他の接続デバイスとの間の接合部をいう。
【0024】
一実施形態において、本発明は、キャップ設計であるカテーテル洗浄デバイスを提供する。カテーテル洗浄デバイス用のキャップ設計は、無針注入ポートの標準的なルアーフィッティングにねじ込まれる。
【0025】
キャップ設計である例示的なカテーテル洗浄デバイスは、図1に示すように、本体10とコネクタ/上端20とを収納する。本体10およびコネクタ/上端20は、例えば、その他すべての部分が据え付けられる最終組み立て中に、超音波で溶接または接着剤で接合され得る。キャップ設計であるカテーテル洗浄デバイスのその他の部分は、洗浄液の低速移行のための移動フリット30と、ポートネジを洗浄するためのワイピング発泡体またはスポンジ40等の開放気泡スクラブ表面と、溶液をそのリザーバ内に密封するためのOリング50と、当該デバイスがポートに据え付けられていない場合にフリット30を遠位に押すためのバネ60とを含む。リザーバ70は、IPAおよびCHG抗菌洗浄溶液等の抗菌剤溶液用のものである。デバイスは、ルアーフィッティングにねじ込み、移動フリット30をリザーバ70まで押すことにより、CVC無針ポートを洗浄する。リザーバ内における圧力の上昇は、フリット30を通って発泡体40の中へ溶液を押し通し、そして、ポート開口部を抗菌剤溶液中に浸し、ルアー上端、注入ポートピストン、およびネジに対してスクラブ作用を有する。雄型ルアーがカテーテルに装着される場合、このデバイスは除去されるが、コネクタ/上端20とCVCポートとの間を走る任意のストラップによって当該ポートに繋がれてもよい。バネ60は、デバイスの除去中、フリット30を押し出してわずかな真空を作り出し、これによって溶液をリザーバ70内へ引き戻す。この真空は、ルアーフィッティングにキャップが据え付けられていない場合に、溶液蒸発の量を制限する。続いてキャップがルアーに再装着されると、フリット30は再度リザーバ70内へ押し付けられ、溶液がフリット30および発泡体40内に押し通されて、無針ポートを抗菌剤溶液中に再度浸す。フリット30がリザーバ70内へさらに押される場合、デバイスは任意で視覚インジケータを観察するための窓を包含し、当該インジケータ中において、視覚化を容易にするために着色され得るOリング50が、本体10の側面にある透明部分を介して視覚化されることができ、抗菌剤溶液の容積が低く、新しいキャップを据え付けるべきであることを示す。フリット30およびスクラブ用発泡体40、ならびに抗菌洗浄溶液に対する正圧は、ポートエントランスを継続的に浸す。リザーバからの負圧は、カテーテルポートに装着されていない場合に、洗浄液の蒸発を制限する。
【0026】
一実施形態において、本発明は、キャビティを有する本体と、キャビティ内に設置された可動フリットであって、キャビティ内にリザーバを形成するように配置されたフリットと、リザーバ内に設置されたバネと、フリットとキャビティの壁との間に設置されたOリングと、キャビティ内で、フリットの近位且つリザーバの遠位に設置されたスクラブ用発泡体とを備える、カテーテル洗浄デバイスを提供する。カテーテル洗浄デバイスは、キャビティ内におけるフリットの位置を示すように配置された窓をさらに備えてもよい。カテーテル洗浄デバイスは、リザーバ内に分散された抗菌剤溶液をさらに備えてもよい。
【0027】
別の実施形態において、本発明は、本体の遠位端から近位端まで延在するキャビティを有する本体と、可動フリットであって、当該フリットと本体の近位端との間にリザーバを形成するように、キャビティ内に位置する可動フリットと、可動フリットを本体の遠位端の方へ付勢するようにキャビティ内に配置されたバイアス要素と、本体の遠位端と隣接して位置する吸収性要素とを備える、注入ポートキャップを提供する。そのような注入ポートキャップにおいて、フリットは多孔質材料で構成されてもよい。
【0028】
本発明の注入ポートキャップにおいて、バイアス要素は、リザーバ内に位置し得るバネ、例えば、つる巻きバネを含んでもよい。本発明の注入ポートキャップは、スポンジを含む吸収性要素を収納してもよい。
【0029】
本発明の注入ポートキャップの一実施形態において、フリットは、リザーバと吸収性要素との間に流体経路を提供するように構成され得る。注入ポートキャップのリザーバ内の液体は、フリットがバイアス要素に対して本体の近位端の方へ移動させられる際に、フリットを介して吸収性要素に押し付けられ得る。概して、本発明の注入ポートキャップのキャビティは、実質的に円筒形状を有する。
【0030】
本発明の注入ポートキャップにおいて、吸収性要素は、本体の遠位端と隣接するキャビティの外周の少なくとも一部に沿って位置し得る。注入ポートキャップの本体は、フリットの位置を示すように、または、リザーバ内の液体のレベルを示すように配置された窓をさらに備えてもよい。
【0031】
注入ポートキャップにおいて、キャビティは、本体の近位端に閉鎖端部を、本体の遠位端に開口部を備えてもよい。そのような注入ポートキャップにおいて、リザーバは、フリットの上面とキャビティの閉鎖端部との間に位置し得る。概して、注入ポートキャップのキャビティの開口部は、カテーテルを収容するようにサイズ決定される。特定の実施形態において、キャビティの開口部は、本体の遠位端に隣接するネジ山をさらに備えてもよく、例えば、当該ネジ山は、無針注入ポートのルアーフィッティングを収容するように構成される。
【0032】
本発明の注入ポートキャップにおいて、キャップは、フリットの側面とキャビティの内面との間に位置する密封部材をさらに備えてもよい。例えば、密封部材は、フリットの側面の周囲に位置するエラストマーOリングを備えてもよい。本発明の注入ポートキャップは、リザーバ内に位置する抗菌剤溶液をさらに備えてもよい。
【0033】
別の実施形態において、本発明は、貫通設計を有するカテーテル洗浄デバイスを提供する。カテーテル洗浄デバイス用の貫通設計は、現在の無針注入ポートを一体型設計と置換したものである。このデバイスは、設計内に含まれる無針注入ポートシステムを有する。
【0034】
貫通設計を有する例示的なカテーテル洗浄デバイスは、中央静脈カテーテル(CVC)への装着用に含まれるルアーネジと補給チューブまたは雄型ルアーとを有するデバイス本体110を含む、ポートを構成する部分を有する(図2参照)。その他の部分としては、CVCへの雄型ルアー内にある底栓120と、流体が流れることを可能にするために圧縮されるピストン130とを含む。当該デバイスの新規な部分は、スクラブ表面/メモリ開放気泡発泡体140、入ってくるルアーの洗浄およびスクラブ表面140の移動を補助するためのスクラブブラシ150、ならびに、溶液を保持し、蒸発から保護するための密封発泡体160である。密封発泡体160は、湿性且つ抗菌性のままであるべきである。リザーバ170は、抗菌剤溶液を収納する。
【0035】
貫通設計を有するカテーテル洗浄デバイスは、ピストン130の上端の傍にあるカテーテルへのエントランスがIPA/CHG溶液等の抗菌剤溶液中に継続的に浸されるように、CVCの標準的な無針ポートを置換するものである。雄型ルアーコネクタが必要な場合、当該コネクタは、密封発泡体160、ブラシ150、およびスクラブ発泡体140を介して押され、雌型ルアーフィッティングにねじ込まれる。スクラブ発泡体140、密封発泡体160、およびブラシ150は、半径方向の側壁に対して押され、抗菌剤溶液がリザーバ170内に移動させられる。雄型ルアーが除去されると、スクラブ発泡体140はその位置を取り戻してポート開口部を覆い、それをIPA/CHG溶液等の抗菌剤溶液中に浸す。ブラシ150および密封発泡体160も、それらの元の位置を取り戻して、微生物類が侵入しないように密封する。抗菌剤溶液は、ブラシ150、スクラブ発泡体140、および密封発泡体160を再貫通し、それらを洗浄して抗菌性表面とする。当該デバイスのスクラブ発泡体140、密封発泡体160、およびブラシ150は、カテーテルエントランスを微生物類進入から保護する。
【0036】
別の実施形態において、本発明は、キャビティを有する本体と、キャビティ内に設置された栓と、キャビティ内の栓の近位に配置されたピストンと、ピストンの近位のスクラブ発泡体と、スクラブ発泡体の近位のブラシと、ブラシの近位のシールと、キャビティ内においてスクラブ発泡体と隣接するリザーバとを備え、雄型ルアーの挿入により、スクラブ発泡体、ブラシ、およびシールの貫通ならびにリザーバ内への流体の移動を可能にする、カテーテル洗浄デバイスを提供する。カテーテル洗浄デバイスは、スクラブ発泡体およびブラシ内に分散された抗菌剤溶液をさらに備えてもよい。
【0037】
また別の実施形態において、本発明は、近位端に隣接する近位開口部から遠位端まで延在する通路を備える本体と、通路内の近位端と隣接して位置する貫通可能な密封要素と、通路内の遠位端と貫通可能な密封要素との間に位置する吸収性要素と、貫通可能な密封要素と吸収性要素との間に位置する少なくとも1つのブラシと、通路内の遠位端とブラシとの間に位置するルアーコネクタと、通路内のルアーコネクタと貫通可能な密封要素との間に形成されたリザーバとを備える、カテーテル洗浄デバイスを提供する。そのようなカテーテル洗浄デバイスにおいて、ルアーコネクタは、雌型ルアーコネクタであってもよい。カテーテル洗浄デバイスの貫通可能な密封要素は、吸収性発泡体を含んでもよい。
【0038】
本発明のカテーテル洗浄デバイスにおいて、貫通可能な密封デバイスは、近位開口部内にルアーフィッティングが挿入される場合には第1の位置で、近位開口部内にルアーフィッティングが挿入されない場合には第2の位置で動作するように構成され得る。例えば、貫通可能な密封要素は、第1の位置において動作する場合、半径方向に圧縮し得る。貫通可能な密封デバイスは、第2の位置で動作する通路内の流体の蒸発を削減するように構成され得る。
【0039】
本発明のカテーテル洗浄デバイスにおいて、吸収性要素は、通路の主軸と実質的に一直線上にある主軸を有する中央開口部を含んでもよい。吸収性要素の、その中央開口部に沿った内面は、ルアーコネクタと隣接して配置されたルアーフィッティングと接触するように構成され得る。別の実施形態において、吸収性要素の底部は、ルアーコネクタの上部と隣接して位置し得る。
【0040】
本発明のカテーテル洗浄デバイスの吸収性要素は、少なくとも部分的に抗菌剤溶液を含浸していてもよい。カテーテル洗浄デバイスの吸収性要素は、抗菌剤溶液の一部が吸収性要素からリザーバへ進行するように、ルアーコネクタにルアーフィッティングが装着されている場合、半径方向に圧縮するように構成され得る。リザーバ内の抗菌剤溶液の一部は、ルアーフィッティングとルアーコネクタとの間の界面に隣接して位置し得る。
【0041】
カテーテル洗浄デバイスは、通路内に位置し、ルアーコネクタから本体の遠位端を通って延在するピストンをさらに備えてもよい。カテーテル洗浄デバイスにおいて、貫通可能な密封要素は、発泡体を含んでもよい。吸収性要素は、開放気泡発泡体を含んでもよい。
【0042】
さらに別の実施形態において、本発明は、ポップオープン型設計を有するカテーテル洗浄デバイスを提供する。カテーテル洗浄デバイス用のポップオープン型設計は、現在製造されているルアー駆動型無針注入ポート/コネクタに、新しく設計されたキャップを結合する。この新しい組み合わせユニットを、CVCカテーテル上の現在の単純な注入ポートの代わりに使用する。
【0043】
ポップオープン型キャップ設計を有する例示的なカテーテル洗浄デバイスは、「閉鎖」位置に描写された図3に示すように、デバイス本体210、流体シース220、およびスクラブ表面/浸漬発泡体230を有する。本体デバイス210は、デバイス本体210が「開放」位置にある(図4に描写する)ように圧縮され得るような、隆起した側面を包含する。この設計内におけるそれ以外の唯一の部分は、市販のルアー駆動型無針弁/ポート/コネクタ240である。浸漬発泡体230は、発泡体に浸透する洗浄液の蒸発を制限するための膜を有する。近似半円筒の2個の浸漬発泡体230は、膜側を外側または外部に向けてデバイス本体210に結合される。続いてこのアセンブリは、発泡体部分が無針弁開口部と接触するように、市販の無針弁に結合および密封される。この近接は、キャップ/デバイスの作動および閉鎖時にスクラブ発泡体230が弁開口部をスクラブすることを可能にするであろう。また、弁開口部との常時接触は、IPAおよびCHG溶液等の抗菌剤溶液に継続的に浸すことを可能にするであろう。次のステップは、抗菌剤溶液の漏出を防止するために基盤に沿って、且つ、シースの適切な載置を確実にするために本体上の棘針に沿って、デバイス本体210の外面に流体シース220を結合することである。流体シース220およびデバイス本体210は、超音波で溶接または接着剤で接合され得る。このシースは、抗菌剤溶液を収容することを支援する第2の外板として作用し、ルアーポート除去時にキャップ端部を閉鎖し、ルアーポートが据え付けられる際に、細片がその部分へ入ることを阻止する。最後に、膜の内側のスクラブ発泡体230に抗菌剤溶液が添加される。
【0044】
続いて、無針弁/ポート/コネクタ240の上端の傍にあるカテーテルへのエントランスが抗菌剤溶液中に継続的に浸されるように、CVCの標準的な無針ポートの代わりにこの最終アセンブリを使用する。ルアーをポートに接続する必要がある場合、デバイスは隆起した側面上で圧迫されて浸漬発泡体スクラバ230を分裂させ、洗浄された状態の雌型ルアーフィッティングを見せる(図4参照)。雄型ルアーが挿入されて側面が解放され、保護された環境内に接続部を包囲する。無針弁のアクセスが完了すると、雄型ルアーはネジが緩められて除去され、無針弁開口部上で発泡体が圧縮され、次のアクセスが必要となるまで、それを抗菌剤溶液中に再度浸す。この閉鎖位置も、外部源による直接汚染から弁開口部を保護する。発泡体230は、エントランスを微生物類進入から保護する。デバイス本体は堅固なプラスチックであり、デバイスの側面が圧迫される際にプラスチックが変形し、デバイスを二等分に押し開いて、ルアー弁へのアクセスを可能にする。流体シースは、変形する際に、プラスチックのデバイス本体から付与される力によって伸びる極めて弾性の材料で作られている。
【0045】
例示的なカテーテル洗浄デバイスを図5に描写する。そのような例示的なカテーテル洗浄デバイスを、本願においては、「キャップ」または「ABキャップ」とも称する。例示的なカテーテル洗浄デバイスを、図6〜12に示し、実施例2において記載するようにして製造した。
【0046】
さらに別の実施形態において、本発明は、キャビティおよび圧縮可能な位置を有する本体と、キャビティ内に設置されたスクラブ発泡体であって、キャビティから外側を向く流体不浸透側面を有するスクラブ発泡体と、キャビティ内に配置された無針ポートとを備える、カテーテル洗浄デバイスを提供する。そのようなカテーテル洗浄デバイスは、スクラブ発泡体内に分散された抗菌剤溶液をさらに備えてもよい。
【0047】
また別の実施形態において、本発明は、近位端から遠位端まで延在する通路を備える本体と、閉鎖位置および開放位置において動作可能な近位端と、近位端を閉鎖位置から開放位置まで変更するように構成された作動部材をさらに備える本体と、通路内に近位端と隣接して位置する複数の分離可能な吸収性要素と、本体の外部の少なくとも一部を覆う流体不浸透性シースとを備える、カテーテル洗浄注入ポートキャップを提供する。そのようなカテーテル洗浄注入ポートキャップにおいて、吸収性要素は、抗菌剤溶液を含浸していてもよい。吸収性要素は、近位端が閉鎖位置において動作される場合、実質的に閉鎖した表面を形成し得る。吸収性要素は、近位端が開放位置において動作される場合、互いに空間的に離間していてもよい。
【0048】
本発明のカテーテル洗浄注入ポートキャップにおいて、近位端は、開放位置において動作される場合、ルアーフィッティングを収容するように構成され得る。吸収性要素のうちの1つ以上は、近位端に挿入されているルアーフィッティングの外部と接触するように構成され得る。本発明のカテーテル洗浄注入ポートキャップにおいて、複数の分離可能な吸収性要素は、実質的に半円筒形の2つのスポンジを含んでもよく、当該スポンジは、近位端が閉鎖位置において動作される場合には互いに隣接し、近位端が開放位置において動作される場合には互いに離間している。
【0049】
本発明のカテーテル洗浄注入ポートキャップの本体は、変形可能な材料で構築され得る。本発明のカテーテル洗浄注入ポートキャップの作動部材は、通路の主軸から半径方向外向きに突出する少なくとも1つの圧縮可能な部分を備えてもよい。例えば、少なくとも1つの圧縮可能な部分が圧縮されている場合、近位端は開放位置にあり、少なくとも1つの圧縮可能な部分が圧縮されていない場合、近位端は閉鎖位置にある。カテーテル洗浄注入ポートキャップの遠位端は、無針弁と結合されてもよい。例えば、遠位端が無針弁と結合されている場合、吸収性要素の底面は、当該無針弁の開口部に隣接している。
【0050】
本発明のカテーテル洗浄デバイスは、カテーテルポート入口を洗浄および衛生化するために、抗菌剤溶液を含んでもよい。一実施形態において、抗菌剤溶液は、イソプロピルアルコールとクロルヘキシジンまたは含水クロルヘキシジンとの混合物である。例えば、抗菌剤溶液は、約0.05%〜約10%、特に約0.05%〜約4%、例えば、約0.1%、約0.2%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%のグルコン酸クロルヘキシジン(CHG)を含有してもよい。特に有用な抗菌剤溶液は、70%イソプロピルアルコール中の約2%クロルヘキシジンである。その他の適切なアルコール、またはアルコールの混合物を使用してもよい。アルコールは、概して約50%〜約80%、特に、約70%もしくは75%アルコールの範囲である。あるいは、グルコン酸クロルヘキシジンの水溶液を、CHGの約0.5%〜約2%の範囲で、抗菌剤溶液として使用してもよい。その他の適切な抗菌剤溶液としては、ヨードおよびその誘導体、例えばヨウ素化アルコール、例えば3%ヨウ素化アルコール、およびポビドンヨード、例えば10%溶液、または、抗菌活性を有するその他適切な濃縮物を含む。その他の適切な抗菌剤溶液としては、スルファジアジン銀またはその他の防腐剤を含む。種々の抗菌剤の混合物を使用してもよいことが理解される。これらおよびその他の抗菌剤溶液が、当業者には既知である(Segura et al.,J.Clin.Microbiol. 27:2656−2659(1989);Segura et al.,J.Clin.Microbiol.28:2551−2554(1990);Segura et al.,Ann.Surg.223:363−369 1996);(Chaiyakunapruk et al.,Ann.Intern.Med.136:792−801(2002);Maki et al.,Crit.Care Med. 28:A42(2000);Garland et al.,Pediatrics 107:1431−1436(2001);Casey et al.,J.Hosp.Infect.54:288−293(2003)),Inoue et al.,JPEN 16:581−585(1992);Bouza et al.,J.Hosp.Infect.54:279−287(2003))。
【0051】
上記で説明し、図1〜4に示した本発明のカテーテル洗浄デバイスは、特定の実施形態を示すものであるが、当業者には、カテーテルポート接続部が抗菌剤溶液中に浸され、カテーテルポート入口の微生物汚染を削減する限り、当該デバイスの修正が為され得ることが理解される。当業者であれば、本発明のカテーテル洗浄デバイスの適切な修正を容易に判断することができる。
【0052】
本発明のカテーテル洗浄デバイスのいずれについても、デバイス内の適切な場所への抗菌剤溶液の補充または分散を容易にするために、種々の修正が為され得る。例えば、新鮮な抗菌剤溶液をデバイスに導入して、当該デバイスのフリット、発泡体、または表面を貫通する、または覆うために、弁システムを追加してもよい。任意で、弁は、弁上端を密封して開口部上でそれを洗浄するために、カメラに見られるようなアパーチャまたは虹彩絞りを有してもよい。また、流体移行を促進してデバイス内の必要な地点への抗菌剤溶液の分散を容易にするために、圧力ピストンを使用してもよい。また、圧力を作り出して抗菌剤溶液の動きを容易にするために、ネジ機構または戻り止めシステムが含まれてもよい。これは、本発明のカテーテル洗浄デバイス、特に、キャップ設計デバイスの流体容量を増大させる役割を果たし得る。リザーバから、キャップ設計用のネジを拭き取る発泡体、または貫通設計の発泡体およびブラシ等の、抗菌剤溶液と接触する物質へ流体が移行するのを支援するために、本発明のカテーテル洗浄デバイスに排出口が含まれてもよい。また、カテーテル洗浄デバイスは、カテーテル接続部を洗浄するために利用可能な溶液を補充するために使用され得る、さらなる抗菌剤溶液のリザーバを含んでもよい。例えば、リザーバは、例えばデバイスを特定の位置に把持することによってデバイス内への抗菌剤溶液の注入を可能にするシールまたは弁を収納してもよいし、または、溶液は、圧縮可能なリザーバを圧迫することによって注入されてもよい。カテーテル洗浄デバイス内における抗菌剤溶液の補充または分散を容易にするために、そのようなリザーバを上記した修正形態と組み合わせてもよい。
【0053】
本発明のカテーテル洗浄デバイスのさらなる修正形態は、流体のさらなる損失を防止するために、無針ポートの周囲に形成された発泡体を含み得る。例えば、デバイス内の発泡体は、円筒体のルアー本体により近い、ルアーのネジの端部まで到達する指状突出部を有し得る。指部は、デバイス内のあらゆる遊離した流体を捕捉し、それを発泡体の主本体内に吸い込むことを支援するために、エリア上で軽く圧縮され得る。これにより、デバイスが上下逆に駆動された場合の流体損失を大きく抑えることができる。また、発泡体またはスポンジで作られているスクラブ表面は、デバイス内により深く突入して、抗菌剤溶液を吸い上げることを支援するように設計されてもよい。また、デバイス内の適切な位置を接続ルアーの標的とすることを支援するために、スクラブ表面もしくは発泡体またはデバイスのその他のコンポーネントに、着色を組み込んでもよい。さらに、発泡体は、好都合にも新しいデバイスを使用する必要性を示すために使用され得る、抗菌剤溶液の蒸発、例えば、アルコールの蒸発を反映する色変化を組み込んでもよい。また、特定のデバイスに適した修正を、特定のデバイスに組み込んでもよい。
【0054】
キャップ設計を有するカテーテル洗浄デバイスでは、当該デバイスは、リザーバの過剰締め付けおよび過剰加圧を制限するために使用され得るネジ込み式フリットを含み得る。さらに、キャップ設計のスクラブ表面/発泡体は、ルアーフィッティングのネジを洗浄しないように、省略され得る。そのような場合、デバイス内に微生物溶液を保持するために、発泡体の適所にシールが設けられる。代わりに、デバイスは、発泡体によるスクラブ作用がなくてもカテーテル接続部を浸すために抗菌剤溶液を提供する。
【0055】
貫通設計を有するカテーテル洗浄デバイスでは、開口部を覆って蒸発および微生物類の進入を防止するために、プラスチックキャップが含まれ得る。貫通設計を有するカテーテル洗浄デバイスは、スクラブ発泡体の吸い上げ作用および完全飽和を保証するために、リザーバ内に載置された発泡体またはスポンジを含んでもよい。また、スクラブ発泡体は任意で省略されてもよく、この場合、ポートエントランスを密封および洗浄することをブラシに依存する。
【0056】
ポップオープン型設計を有するカテーテル洗浄デバイスでは、キャップを駆動/開放するためにどこを押させるかを示すために、ポップオープン型デバイスの側面上の着色された標的が使用され得る。
【0057】
本発明はさらに、現存する無針カテーテルコンポーネントを洗浄するのに適したワイピングキャップであるカテーテル洗浄デバイスを提供する。そのようなワイピングキャップは、ルアーシステムのサイズに近似する発泡体挿入物を有する密封キャップである。本発明のカテーテル洗浄デバイスと同様に、発泡体は、無針ポートの端部を洗浄するために抗菌剤溶液で飽和されてもよい。この設計は、抗菌剤溶液を有するポート入口エリアの良好な被覆率を可能にする。デバイスは、必要に応じて、毎使用後に廃棄されてもよい。そのようなデバイスは、好都合にも、医療専門家によって現在実践されているようなカテーテルポートの物理的拭き取りの代用となり、現在の実践を使用する医療専門家間のばらつきを排除する。そのような設計において、開放端部は、抗菌剤溶液の蒸発を防止するために、使用前にキャップで覆われる。
【0058】
本発明は、キャビティを有する本体であって、閉鎖端部および開放端部を有する本体と、キャビティ内に設置されたスクラブ発泡体と、スクラブ発泡体によって分散された抗菌剤溶液とを備える、カテーテル洗浄デバイスも提供する。
【0059】
本発明はさらに、ルアー駆動型無針弁の開口部上にカテーテル洗浄注入ポートキャップを結合することにより、ルアー駆動型無針弁を適合させる方法を提供する。当該方法の特定の実施形態において、カテーテル洗浄注入キャップは、近位端から遠位端まで延在する通路を備える本体と、閉鎖位置および開放位置において動作可能な近位端と、近位端を閉鎖位置から開放位置まで変更するように構成された作動部材をさらに備える本体と、通路内に近位端と隣接して位置する複数の分離可能な吸収性要素と、本体の外部の少なくとも一部を覆う流体不浸透性シースとを備えてもよい。
【0060】
本発明はさらに、本発明のカテーテル洗浄デバイスを使用して、個体における微生物感染を抑制する方法を提供する。当該方法は、非ウイルス、非原虫、非カビのヒト感染性有機体による個体の感染症を抑制するために有用である。したがって、当該方法は、グラム陽性、グラム陰性、または酵母等の非カビ菌類による感染症の見込みを減少させることにより、カテーテル部位における感染症を抑制または防止するために有用である。
【0061】
本発明の種々の実施形態の働きに実質的に影響を及ぼさない修正形態も、本願において提供される本発明の定義内で提供されることが理解される。したがって、以下の実施例は、説明を意図したものであり、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0062】
(実施例1)
(カテーテルポート入口の微生物汚染を削減するためのカテーテル洗浄デバイスの試験)
本実施例は、カテーテル洗浄デバイスの有効性の試験について記載するものである。
【0063】
CVC無針ポートのカテーテルキャップの外側部分を綿棒で拭い、種々の量の微生物培養を採る。特に、代表的な微生物は、グラム陽性、グラム陰性、および菌類から選択する。試験する微生物培養は、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、大腸菌、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)等のカンジダ種である。その他の微生物、例えば、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、クレブシエラ・プランチコラ(Klebsiella planticola)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)等についても同様に試験することが可能である。これらおよびその他のヒト感染性微生物についても同様に試験することが可能である。
【0064】
試験は、カテーテルキャップの外側部分(雄型ルアーが通過する部分)を2000cfu(コロニー形成単位)の細菌または菌類と交換することを伴う。その他の量の微生物培養も試験することが可能である。例えば、貫通設計を有するカテーテル洗浄デバイスと共に、デバイス内に収納された雌型部分への雄型ルアーを使用して、滅菌チューブをデバイスに接続する。続いて生理食塩水を注入し、廃液を平板培養および液体培養して、微生物増殖を検出および定量化する。
【0065】
特定のデバイスに使用されるカテーテル接続部の外側部分の細菌または菌類を綿棒で拭って採ることにより、本発明のその他のデバイスについても同様の実験を行う。その後、カテーテルを接続し、生理食塩水を注入および収集する。廃液を培養して、微生物増殖を検出および定量化する。
【0066】
(実施例2)
(カテーテル洗浄デバイスの生成)
本実施例は、例示的なカテーテル洗浄デバイスの生成について記載するものである。そのようなデバイスを、「キャップ」または「ABキャップ」とも称する。
【0067】
カテーテル洗浄デバイスまたはキャップは、それらを洗浄液中に封入することにより、無針ルアー弁を清潔に保つように設計されたものであった。雄型ルアー係止部の装着のために圧迫して開かれることが可能な標準製造の無針ルアー弁にキャップを装着させた。ABキャップは、インナーシェル(白い部品、図7の上面図参照)、外膜シース(霧状の透明な外被、図7の上面図参照)、および発泡体ブラシ(黄色の内部、図7の上面図参照)という3つの主要コンポーネントを有する。
【0068】
InVision−Plus(登録商標)無針ルアー弁(RyMed Technologies,Inc.(テネシー州フランクリン))等の標準製造の無針ルアー弁上にABキャップを貼り付けた。無針ルアー弁のその他任意の製造業者を含む、カテーテル洗浄デバイスに適したいかなる種類の無針ルアー弁を使用してもよい。発泡体ブラシは、無針ルアーのエントランスにまで接する(図5参照)。
【0069】
一般的なネジ込み式雄型ルアー係止具および開放されたABキャップの計測結果に基づくと、当該ルアーはデバイス内へ容易に通過し、無針ルアー弁のプランジャーに到達する(図6〜12参照)。さらに、図8は、ルアー開放により、無針注入弁の緑色のプランジャーが容易に見え、一方、横方向に配置されたABキャップの発泡体ブラシは、雄型ルアーの装着を妨げる位置にないことを示す。図10、11、および12は、無針注入ポートに対する雄型ルアーの装着を詳細に説明し、ABキャップが解放されると、当該キャップは、雄型ルアーを除去することによってプロセスが反転されるまで雄型ルアーを包囲することを実証するものである。
【0070】
本出願全体を通して、種々の出版物を参照した。これらの出版物の開示は、本発明が属する分野の事情をより完全に記述するために本出願において参照することにより、その全体が本願に組み込まれる。上記に提供した例を参照して本発明を説明したが、本発明の精神から逸脱することなく、種々の修正が為され得ることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端から遠位端まで延在する通路を備える本体と、
閉鎖位置および開放位置において動作可能な該近位端と、
該近位端を該閉鎖位置から該開放位置まで変更するように構成される作動部材をさらに備える該本体と、
該近位端と隣接して該通路内に位置する複数の分離可能な吸収性要素と、
該本体の外部の少なくとも一部を覆う流体不浸透性シースと
を備える、カテーテル洗浄注入ポートキャップ。
【請求項2】
前記吸収性要素は、抗菌剤溶液が含浸されている、請求項に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
【請求項3】
前記吸収性要素は、前記近位端が前記閉鎖位置において動作される場合、実質的に閉鎖した表面を形成する、請求項に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
【請求項4】
前記吸収性要素は、前記近位端が前記開放位置において動作される場合、互いに空間的に離間している、請求項に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
【請求項5】
前記近位端は、前記開放位置において動作される場合、ルアーフィッティングを収容するように構成される、請求項に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
【請求項6】
前記吸収性要素のうちの1つ以上は、前記近位端に挿入されているルアーフィッティングの外部と接触するように構成される、請求項に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
【請求項7】
前記複数の分離可能な吸収性要素は、実質的に半円筒形の2つのスポンジを含み、該スポンジは、前記近位端が前記閉鎖位置において動作される場合には互いに隣接し、該近位端が前記開放位置において動作される場合には互いに離間している、請求項に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
【請求項8】
前記本体は、変形可能な材料で構築される、請求項に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
【請求項9】
前記作動部材は、前記通路の主軸から半径方向外向きに突出する少なくとも1つの圧縮可能な部分を備える、請求項に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの圧縮可能な部分が圧縮されている場合、前記近位端は前記開放位置にあり、該少なくとも1つの圧縮可能な部分が圧縮されていない場合、該近位端は前記閉鎖位置にある、請求項に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
【請求項11】
前記遠位端は、無針弁と結合される、請求項に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
【請求項12】
前記遠位端が前記無針弁と結合されている場合、前記吸収性要素の底面は、該無針弁の開口部に隣接している、請求項11に記載のカテーテル洗浄注入ポートキャップ。
【請求項13】
キャビティおよび圧縮可能な位置を有する本体と、該キャビティ内に設置されたスクラブ発泡体であって、該キャビティから外側を向く流体不浸透側面を有する、スクラブ発泡体と、該キャビティ内に配置された無針ポートとを備える、カテーテル洗浄デバイス。
【請求項14】
前記スクラブ発泡体内に分散された抗菌剤溶液をさらに備える、請求項13に記載のカテーテル洗浄デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−179456(P2012−179456A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−143306(P2012−143306)
【出願日】平成24年6月26日(2012.6.26)
【分割の表示】特願2008−555347(P2008−555347)の分割
【原出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(508247729)
【Fターム(参考)】