説明

カテーテル洗浄マンドレル

マンドレルは、近位の大径バレル区分、縮径/テーパ部分、および遠位の小径バレル区分を有するマンドレル本体を含む。該テーパ部分は該近位の大径バレル区分と該遠位の小径バレル区分をつなげる。該近位の大径バレル区分は大径を有し、該遠位の小径バレル区分は大径よりも小さい小径を有する。該小径は同軸カテーテルの内側ルーメンの径よりも小さく、該大径は該同軸カテーテルの外側ルーメンのガイドワイヤ出口ポートの内径を上回り、該テーパ部分は外側ルーメンのガイドワイヤ出口ポートの内径に流体シールを形成する大きさである。該マンドレルの遠位の小径バレル区分は、該カテーテルを塞ぎ、実質的にシールし、かつこれを通過する遠位端のガイドワイヤ入口ポートへの流れを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術分野は、医療機器であり、詳細にはカテーテル洗浄マンドレルである。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、医療機器を身体の標的部位に送達させるため、および他の目的で、いくつかの医療処置で使用される。一般的に、カテーテルは、カテーテルの内壁で内側ルーメンを画定し、この内側ルーメンは、造影液を保持する、デバイスを送達するなど、いくつかの目的のための専用ルーメンに分けられることがある。身体に挿入する前に、カテーテルは液体、しばしば生理食塩水で洗浄しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
同軸カテーテルでは、内側ルーメンおよび外側ルーメンを洗浄するために、2つの別々の接続部を設けなければならないため、洗浄は、困難であり時間がかかる。これは手術室において余分な時間が必要とされるばかりか、追加処理が強いられる。さらに、時には医療専門家が、洗浄作業のために自身の指で物理的なシールを作ることもあり、これは望ましいものではない。
【0004】
上述の不便性を打開することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による一態様は、近位の大径バレル区分、テーパまたは段付き(肩)部分のような縮径部分、および遠位の小径バレル区分を有するマンドレル本体を含むマンドレルを提供する。テーパ部分は、近位の大径バレル区分および遠位の小径バレル区分をつなげる。近位の大径バレル区分は大径を有し、遠位の小径バレル区分は大径よりも小さい小径を有する。該小径は同軸カテーテルの内側ルーメンの径よりも小さく、該大径は同軸カテーテルの外側ルーメンにあるガイドワイヤ出口ポートの内径を上回り、テーパ部分は、同軸カテーテルの外側ルーメンにあるガイドワイヤ出口ポートとともに流体シールを形成する大きさである。
【0006】
本発明による別の態様は、同軸カテーテルを備えるカテーテルシステムを提供する。同軸カテーテルは、内側ルーメンを画定する内側ルーメン部材、および外側ルーメンを画定する外側ルーメン部材を含む。さらに、本システムは、近位の大径バレル区分、テーパ部分、および遠位の小径バレル区分を有するマンドレル本体を備えるマンドレルを備える。テーパ部分は、近位の大径バレル区分および遠位の小径バレル区分をつなげる。近位の大径バレル区分は大径を有し、遠位の小径バレル区分は大径よりも小さい小径を有する。該小径は同軸カテーテルの内側ルーメンの径よりも小さく、該大径は同軸カテーテルの外側ルーメンにあるガイドワイヤ出口ポートの内径を上回り、テーパ部分は同軸カテーテルの外側ルーメンにあるガイドワイヤ出口ポートとともに流体シールを形成する大きさである。
【0007】
本発明による別の態様は、カテーテルを洗浄する方法を提供する。当該方法は、内側ルーメンおよび外側ルーメンを含む同軸カテーテルを設けるステップと、洗浄マンドレルを内側ルーメン内に挿入するステップとを含む。当該方法は、挿入に基づき洗浄マンドレルと外側ルーメンのガイドワイヤ出口ポートの内径を画定する壁との間に流体シールを形成するステップと、形成されたシールに基づき外側ルーメンを洗浄するステップと、洗浄マンドレルを同軸カテーテルから完全に取り除くことにより、洗浄後に流体シールを破るステップと、をさらに含む。さらに、当該方法は、破られたシールに基づき内側ルーメンを洗浄するステップと、外側ルーメンの洗浄に基づいた洗浄マンドレルを取り除くステップとを含む。
【0008】
前述および他の特徴および有利性は、添付の図面とともに読まれる以下の発明を実施するための形態から、さらに明らかになるであろう。発明を実施するための形態および図面は例示的なものにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】マンドレルの側面図である。
【図1B】マンドレルの端面図である。
【図2】カテーテルシステムの断面図である。
【図3】カテーテルを洗浄する方法の工程のフローチャートである。
【図4】カテーテルシステム内のマンドレルおよび流体流の使用を示す図である。
【図5】カテーテルシステム内のマンドレルおよび流体流の使用を示す図である。
【図6】カテーテルシステム内のマンドレルおよび流体流の使用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
これより、本発明による実施形態を、同様の番号が同様の構造を示す図面を参照して説明する。「遠位の」および「近位の」という用語は、本明細書では、カテーテルシステムの使用の間、治療を行う臨床医に関して使用される。「遠位の」とは、臨床医から離れた、または離れる方向の送達システム部分を指し、「近位の」とは、臨床医に近い、または臨床医に向かう方向の装置部分を指す。
【0011】
図1Aおよび図1Bは、マンドレル100の一実施形態を示す。マンドレル100は、近位の大径バレル区分120、テーパ部分130(縮径区分、例えば段付き部分または肩部)、および遠位の小径バレル区分140を含むマンドレル本体110を含む。テーパ部分130は、近位の大径バレル区分120を遠位の小径バレル区分140につなげる。近位の大径バレル区分120は大径Cを有し、遠位の小径バレル区分140は小径Aを有する。小径Aは大径Cよりも小さい。小径Aは、(自己膨張式デバイス(ステント)または薬物保護空間もしくは被覆など)送達カテーテル210(図2)の同軸キャビティの内側ルーメン225(図2)の径よりも小さく、大径Aは、同軸カテーテル210(図2)の外側ルーメン235(図2)に配置されたガイドワイヤ出口ポートの内径を上回る。一実施形態では、Cは0.019インチである。一実施形態では、Aは0.015インチである。一実施形態では、マンドレルの端から端までの長さはおよそ15インチである。一実施形態では、近位の大径バレル区分120は、長さがおよそ5.5インチである。一実施形態では、遠位の小径バレル区分140は、長さがおよそ8.5インチ(カテーテル内で終結するように図では示されるが、マンドレルは、好ましくはガイドワイヤルーメンの実質的なシールとして機能するように、カテーテルを通って伸長し、かつ遠位の端部を抜け出るに十分な長さ)である。一実施形態では、テーパ区分130は、長さがおよそ1インチである。一実施形態では、近位の大径バレル区分120は、およそ0.035インチの直径であるボール122を含む。テーパ部分130は、同軸カテーテル210(図2)のシースの外側ルーメン235(図2)のガイドワイヤ出口ポートとともに流体シールを形成する大きさである。同軸カテーテルは、自己膨張式デバイス送達の高速交換型カテーテルである。図1では実質的に直線状に示されるが、弓形の形状を含め、任意の数の形状がマンドレルとして使用され得る。
【0012】
図2は、カテーテル同軸エレメント送達システム200を示す。カテーテルシステム200は、内側ルーメン225および外側ルーメン235を含む同軸カテーテル210を含む。さらに、カテーテルシステム200は、図1で説明されるようなマンドレル100を含む。外側シース内で、かつガイドワイヤルーメンを包囲する内側シャフトの外側に収容される、送達されるべきデバイスは示されていないが、自己膨張式ステントのための送達システムのステント止めの要素部が(ステント無しに)示されている。当業者はその構成に精通している。
【0013】
図3は、カテーテルを洗浄するための方法300のフローチャートを示す。方法300は、外側ルーメン上にある外部のガイドワイヤ出口ポートに連通している内側ルーメンの内部のガイドワイヤ出口を有する、内側ルーメンおよび外側ルーメンを含む同軸カテーテルを提供することによるステップ310から始まる。ステップ320で、マンドレル100などのような洗浄マンドレルが、外側ルーメンのガイドワイヤ出口ポートに流体シールを形成しながら、外側ルーメンのガイドワイヤ出口ポートを介して(かつ通って)内側ルーメン内に挿入される。洗浄マンドレルは、該マンドレルのテーパ部(または他の縮径部分、段付き部分、もしくは肩部)が、外側ルーメンのガイドワイヤ出口ポートの内径を画定する壁と接触するまで、内側ルーメン内にマンドレルを前進させることにより内側ルーメン内に挿入される。一例では、該カテーテルは自己拡張式の高速交換型カテーテルであり、該マンドレルは、シースおよび内側部材の近位のガイドワイヤ出口ポート内に挿入される。
【0014】
ステップ330で、挿入に基づき、流体シールが洗浄マンドレルと外側ルーメンのガイドワイヤ出口ポートの内径を画定する壁との間に形成される。該流体シールが形成されると、ステップ340において、外側ルーメンは、生理食塩水のような洗浄液をマンドレルの周囲、および外側ルーメン内に導入することにより洗浄される。一実施形態では、シリンジがある量の洗浄液につながれ、洗浄液が該シリンジを介して外側ルーメン内に導入される。代わりに、ルアーコネクタまたはスタイレットが洗浄液を導入するために使用され得る。液体が外側ルーメンに入るにつれて、ルーメン内の空気全てが排出される。
【0015】
外側ルーメンが洗浄されると、ステップ350で流体シールが破られる。流体シールは、同軸カテーテルから洗浄マンドレルを取り除くことにより破られる。次いで該マンドレルは、任意の適切な方法で処分され得る。流体シールが破られた後、ステップ360で内側ルーメンが洗浄される。一実施形態では、内側ルーメンは、追加の大量の洗浄液を導入することにより洗浄される。図4は、同軸シースを装備したデバイス送達RXカテーテル内に挿入される過程にあるマンドレルを示す。
【0016】
図5では、流体シールが、マンドレルの小さい部分がガイドワイヤ出口ポートから近位に伸長するガイドワイヤルーメンを実質的に塞ぐように、マンドレルとシースとの間に形成されている。該カテーテルの近位部分からの洗浄液の流れが開始される(流体の流れの方向および経路を指す連続線の矢印で示される)。該マンドレルは、ガイドワイヤルーメン内への流体の流れを阻止し、外側ルーメン内に入る洗浄液の流れを生じさせ、外側ルーメン(および、例えばこの外側ルーメン空間に配置された自己膨張式ステントまたは薬物被覆)を洗浄する。
【0017】
図6では、洗浄液の流れを継続しつつマンドレルは取り除かれ、ここでは液体が内側(ガイドワイヤ)ルーメン内に流れ込み(矢印で示されるように)、内側ルーメンを洗浄する。この時点でカテーテルは完全に洗浄され、使用の準備が整う。
【0018】
一実施形態では、洗浄マンドレルは、出荷前に同軸カテーテル内に設置され、出荷中に、かつ臨床処置における使用前に、カテーテルの端部にさらなる支持を提供する。
【0019】
当該マンドレルは、任意の適切な材料から製造され得るが、現在のところステンレス鋼が好ましい。他の生体適合性材料、または他の容易に滅菌される材料も使用され得る。
【0020】
本明細書において、本発明の特定の実施形態を開示しているが、本発明の思想および範囲から逸脱することなく、種々の変更および改良を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位の大径バレル区分、縮径部分、および遠位の小径バレル区分を含むマンドレル本体を備えるマンドレルであって、前記縮径部分が前記近位の大径バレル区分を前記遠位の小径バレル区分につなぎ、前記近位の大径バレル区分が大径を有し、前記遠位の小径バレル区分が小径を有し、前記小径は前記大径よりも小さく、前記大径がRX型同軸カテーテル・シース・ガイドワイヤの出口開口の内径を上回り、縮径部分および遠位の小径バレル区分が、前記RX型同軸カテーテルの内側ルーメンを通って液体が流れないように実質的にシールする大きさである、
ことを特徴とするマンドレル。
【請求項2】
前記縮径部分がテーパ部分である、
請求項1に記載のマンドレル。
【請求項3】
カテーテルシステムであって、
内側ルーメンを画定する内側ルーメン部材、および外側ルーメンを画定する外側ルーメン部材を備える同軸カテーテルと、
近位の大径バレル区分、テーパ部分、および遠位の小径バレル区分を含むマンドレル本体であって、前記テーパ部分が近位の大径バレル区分を遠位の小径バレル区分につなぎ、前記近位の大径バレル区分が大径を有し、前記遠位の小径バレル区分が小径を有し、前記小径は大径よりも小さく、前記小径が前記内側ルーメンの径よりも小さく、前記大径が前記外側ルーメンに配置されたガイドワイヤ出口ポートの内径を上回り、前記テーパ部分が前記外側ルーメンのガイドワイヤ出口ポートとともに流体シールを形成する大きさであるマンドレル本体とを備える、
ことを特徴とするカテーテルシステム。
【請求項4】
前記入口内に受け入れられる大きさであり、液体を前記マンドレルルーメンに供給するように構成されたシリンジをさらに備える、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
内側ルーメンおよび外側ルーメンを含む同軸カテーテルを提供するステップと、
洗浄マンドレルを前記内側ルーメン内に挿入するステップと、
前記挿入に基づき、前記洗浄マンドレルと前記外側ルーメンのガイドワイヤ出口ポートの内径を画定する壁との間に流体シールを形成するステップと、
前記形成されたシールに基づき前記外側ルーメンを洗浄するステップと、
前記洗浄後に前記流体シールを破るステップと、
前記内側ルーメンの洗浄に基づき前記洗浄マンドレルを取り除くステップと、
前記破られたシールに基づき前記内側ルーメンを洗浄するステップと、を備えている、
ことを特徴とするカテーテルを洗浄する方法。
【請求項6】
前記洗浄マンドレルが、近位の大径バレル区分、テーパ部分、および遠位の小径バレル区分を含むマンドレル本体を備え、前記テーパ部分が前記近位の大径バレル区分を前記遠位の小径バレル区分につなぎ、前記近位の大径バレル区分が大径を有し、前記遠位の小径バレル区分が小径を有し、前記小径は前記大径よりも小さく、前記小径が前記内側マンドレルルーメンの径よりも小さく、前記大径が前記外側ルーメンのガイドワイヤ出口ポートの内径の直径を上回り、前記テーパ部分が前記外側ルーメンのガイドワイヤ出口ポートとともに流体シールを形成する大きさである、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記外側ルーメンにある前記ガイドワイヤ出口ポートを介して(かつ通して)前記内側ルーメン内に洗浄マンドレルを挿入することが、前記マンドレルのテーパ部が前記外側ルーメンのガイドワイヤ出口ポートの内径を画定する前記壁と接触するまで前記マンドレルを前記内側ルーメンの中に前進させることを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記内側ルーメン内に洗浄マンドレルを挿入することが、前記洗浄マンドレルにあるテーパが前記外側ルーメンのガイドワイヤ出口ポートの内径を画定する前記壁と接触するまで、前記外側ルーメンにある前記ガイドワイヤ出口ポートを介して(かつ通して)前記内側ルーメン内に前記マンドレルを前進させることを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記流体シールを破ることが、前記洗浄マンドレルを前記同軸カテーテルから軸方向に完全に取り除くことを含む、
請求項8に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2011−518606(P2011−518606A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506312(P2011−506312)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/035967
【国際公開番号】WO2009/131750
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(502129357)メドトロニック カルディオ ヴァスキュラー インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】