カテーテル
【課題】側面に少なくとも1つの吐出穴を有する場合にカテーテルの軸周りの回動を防止することができるカテーテルを提供すること。
【解決手段】少なくとも先端部4が生体に挿入されるカテーテル1であって、側面に少なくとも1つの吐出穴を設けた先端部4と先端部4より基端側の本体部3とを有する細長い管路2を有し、先端部4の少なくとも一部に、先端部4が生体に挿入された状態で軸周りの回動を防止する形状をもつ回動防止部5が設けられる。この回動防止部5は、先端部4の少なくとも一部が屈曲している部分であり、この屈曲によってカテーテル1の軸方向の回動に抵抗力が発生し、回動を防止する。
【解決手段】少なくとも先端部4が生体に挿入されるカテーテル1であって、側面に少なくとも1つの吐出穴を設けた先端部4と先端部4より基端側の本体部3とを有する細長い管路2を有し、先端部4の少なくとも一部に、先端部4が生体に挿入された状態で軸周りの回動を防止する形状をもつ回動防止部5が設けられる。この回動防止部5は、先端部4の少なくとも一部が屈曲している部分であり、この屈曲によってカテーテル1の軸方向の回動に抵抗力が発生し、回動を防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、少なくとも先端部が生体に挿入されるカテーテルであって、側面に少なくとも1つの吐出穴を有するカテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体中の投与目標、たとえば病変部にカテーテルを使って流体(たとえば、薬剤等)を投与する場合、断面が円形の管状部材を使ったカテーテルを生体中に挿入して、カテーテルの先端部の吐出穴から流体を吐出していた。ここで、多くの場合、カテーテルの吐出穴は先端部の突端に設けられている。作業者は、投与目標を目指してこのカテーテル先端部の突端を生体中に導入し、前記突端が投与目標内に位置すると、前記カテーテルを生体に対して位置固定する。たとえば、投与目標が管状臓器(たとえば、血管)の場合には、カテーテルの突端が管状臓器内部の空間内に位置するように導入・位置固定する。
【0003】
一方、近年、投与目標が管状臓器以外の臓器(たとえば、肝臓、腎臓)に広がり、臓器中の腫瘍などに直接薬剤を投入する用途が増えてきている。この場合、投与目標が血管などに比べて大きな体積領域である場合が多い。このため、薬剤吐出穴を突端だけでなく先端部の側面に設けたり、側面に複数の薬剤吐出穴を設けたりしたカテーテルもある。
【0004】
特に、腫瘍に薬剤を投与する場合、腫瘍の中心部は、悪性が高く播種の危険も高いことから、あえて中心部でなく周辺部に薬剤等を投与する場合がある。このとき、複数の側面開口を設けたカテーテルから、腫瘍周辺部の複数の位置に薬剤を投入する場合が多い。
【0005】
また、カテーテルの挿入経路と投与目標との位置関係から、カテーテル先端側面だけに1つ又は複数の吐出穴を設けることもある。すなわち、上述した理由から、近年、側面に少なくとも1つの吐出穴を有するカテーテルを使用する機会が増えてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−46505号公報
【特許文献2】特開平10−272187号公報
【特許文献3】特開2000−185102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した側面に少なくとも1つの吐出穴を有するカテーテルを生体に挿入して位置固定する場合、カテーテル先端部の軸周りの回動にも注意を払う必要がある。しかしながら、従来のカテーテルは、断面が円形の管状部材であるから、生体への挿入や固定の作業中に不用意に軸周りに回動してしまい、吐出穴の方向が当初の狙いからずれてしまう場合があった。
【0008】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、側面に少なくとも1つの吐出穴を有する場合にカテーテルの軸周りの回動を防止することができるカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカテーテルは、少なくとも先端部が生体に挿入されるカテーテルであって、側面に少なくとも1つの吐出穴を設けた先端部と前記先端部より基端側の本体部とを有する細長い管路を有し、前記先端部の少なくとも一部に、前記先端部が生体に挿入された状態で軸周りの回動を防止する形状をもつ回動防止部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記回動防止部は、前記先端部の側面において前記少なくとも1つの吐出穴が設けられた側面位置を示す指標を兼ねることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記回動防止部は、前記先端部の少なくとも一部が屈曲している部分であることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記先端部の少なくとも一部が屈曲している部分は、略円弧状に屈曲していることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記回動防止部は、前記先端部の少なくとも一部の断面が非円形の部分であることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記断面が非円形の部分は、断面が円形を含まない略楕円形をしていることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記断面が非円形の部分は、断面が凹部を有する円形を含む略楕円形をしていることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記回動防止部は、突起であることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記回動防止部は、フィンであることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記先端部の側面において前記少なくとも1つの吐出穴が設けられた側を示す目印部をさらに有することを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記目印部は、突起であることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記目印部は、着色部であることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記吐出穴は、軸方向に一列に複数設けられていることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記吐出穴は、軸周りの角度が90度以内の範囲に複数設けられていることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記回動防止部は、所望の形状に屈曲可能で、屈曲後の形状が維持される部分であることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記先端部と前記本体部とは、分離可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、側面に少なくとも1つの吐出穴を設けた先端部の少なくとも一部に、前記先端部が生体に挿入された状態で軸周りの回動を防止する形状をもつ回動防止部が設けられているので、カテーテルの軸周りの回動を防止することができるとともに、この回動防止部の形状によって、挿入時に吐出穴がカテーテルのどちらの側に設けられているかが判別し易くなりさらに、吐出穴が臓器内に入った後は、吐出穴の向いている方向を容易に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、この発明の実施の形態1にかかるカテーテルの概要構成を示す模式図である。
【図2】図2は、カテーテルの先端部と本体部とが分離可能な構成を示す図である。
【図3】図3は、図1に示した先端部の詳細構成を示す斜視図である。
【図4】図4は、この発明の実施の形態2にかかるカテーテルの先端部の構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、この発明の実施の形態2にかかるカテーテルの先端部の構成を示す断面図である。
【図6】図6は、この発明の実施の形態2の変形例にかかるカテーテルの先端部の構成を示す斜視図である。
【図7】図7は、この発明の実施の形態3にかかるカテーテルの先端部の構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、この発明の実施の形態4にかかるカテーテルの先端部の構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、この発明の実施の形態4にかかるカテーテルの先端部の構成を示す断面図である。
【図10】図10は、この発明の実施の形態5にかかるカテーテルの先端部の構成を示す斜視図である。
【図11】図11は、この発明の実施の形態6にかかるカテーテルの先端部の構成を示す斜視図である。
【図12】図12は、この発明の実施の形態6の変形例にかかるカテーテルの先端部の構成を示す斜視図である。
【図13】図13は、屈曲部分を有する回動防止部を、インターロックチューブで実現する場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態であるカテーテルについて説明する。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかるカテーテルの概要構成を示す模式図である。このカテーテル1は、少なくとも先端部が生体に挿入されて使用されるものである。カテーテル1は、先端部4と、先端部4より基端側の本体部3とに区分され、先端部4および本体部3は、細長い管路2となっており、先端部4の突端6は尖っている。また、先端部4の少なくとも一部は、円弧状の形状をしており、生体に挿入された状態で軸周り(管路2(本体部3)の軸周り)に回動するのを防止する形状をした回動防止部5となっている。
【0029】
すなわち、先端部4が本体部3の延長直線上に真っ直ぐに形成されている場合、カテーテル1全体は直線状に形成され、その軸周りの回動が容易となるが、回動防止部5が屈曲した形状をしているので、カテーテル1は直線状とはならず、回動防止部5によって周囲の生体組織に対して軸周り方向の大きな摩擦力あるいは抵抗力が発生し、軸周りの回動が防止される。
【0030】
なお、本体部3は、生体適合性のある柔軟な素材(たとえば、ポリウレタン,シリコン)で形成されており、先端部4は、生体適合性のある硬質な素材(たとえば、塩化ビニル,ポリテトラフルオロエチレン,テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)で形成されている。
【0031】
ここで、図1に示した円弧状の形状をした回動防止部5を生体組織に穿刺する場合、回動防止部5の円弧形状に沿った挿入経路で挿入する。この場合、柔軟な本体部3が適宜撓むことにより、円弧状の挿入経路に沿った挿入が容易となる。
【0032】
なお、図2に示すように、カテーテル1の先端部4と本体部3とを分離可能な構成としてもよい。図2では、管路2のうちの本体部3の先端側と回動防止部5を有する先端部4の基端側とにそれぞれ係合部7A,7Bを設け、この係合部7A,7Bで分離・結合が可能となっている。穿刺時は、まず先端部4を分離した状態で、屈曲した先端部4を体内に穿刺・挿入し、次いで、先端部4と本体部3とを係合部7A,7Bで結合させる。このようにすれば、本体部3の柔軟性が十分でない場合でも容易に先端部4を穿刺できる。
【0033】
図3は、先端部4の斜視図である。図3に示すように、先端部4に設けられた回動防止部5は、断面が円形である。先端部4は、側面に少なくとも1つの吐出穴を有するものであり、この実施の形態1では、複数の吐出穴8が設けられている。吐出穴8は、側面において全て同じ側(図3では、屈曲の内側)に位置している。このため、たとえ吐出穴8が小さく、側面のどの側に設けられているか確認が困難な場合でも、先端部4の回動防止部5の形状をみることによって、先端部4に設けられた吐出穴8の側面位置を容易に知ることができる。また、吐出穴8が臓器内に入った後は、吐出穴8の向いている方向を容易に確認することが可能となる。この吐出穴8の認識は、回動防止部5の形状を観察できればよく、たとえばレントゲン装置、超音波検出器などの体内観察装置を用いて実現することができる。
【0034】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、先端部4の少なくとも一部を屈曲(この場合は円弧状に)させて回動防止部5としたが、この実施の形態2では、先端部4の少なくとも一部に断面が非円形の部分を設けて、回動防止部5としている。
【0035】
図4は、この発明の実施の形態2であるカテーテルの先端部の構成を示す斜視図である。また、図5は、この先端部の断面形状を示す図である。図4および図5に示すように、この実施の形態2の先端部4は、直線状であるが、その断面が楕円形となっている。なお、この実施の形態2における楕円形には円形を含めていない。
【0036】
図5において、先端部5の外部表面9および通路内面10は、ともに楕円となっている。図5に仮想的に示した円11(外部表面9の楕円の短径を円11の直径で描いた)に比較して、径方向に膨出している部分が、回動防止部5となる。この回動防止部5は、体内組織に対して、回動方向の抵抗となり、先端部4の軸周りの回動を防止することができる。
【0037】
なお、図6に示すように、先端部4の吐出穴8が設けられた側をしめす目印部として、突起12を設けるようにしてもよい。また、突起12は、先端部4の色とは異なる色を着色した着色部としてもよい。このような突起12による物理的な形状あるいは着色をすることによって、さらに容易に吐出穴8が設けられた側を知ることができる。
【0038】
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態3では、図7に示すように、回動防止部として突起部であるフィン13を設けている。このフィン13は、先端部4の軸方向に沿って延びる板状部材である。そして、このフィン13の反対側に径方向には吐出穴8が設けられており、フィン13は、先端部4の回動を防止するとともに、吐出穴8の設けられた側を示すことになる。
【0039】
(実施の形態4)
つぎに、この発明の実施の形態4について説明する。この実施の形態4では、図8および図9に示すように、先端部4に、回動防止部としての溝(凹部)14を設けている。この溝14の部分に体内組織が入り込み、先端部4の回動を防止することができる。また、図9に示すように、溝14の底面に吐出穴8が設けられ、溝14は、吐出穴8が設けられた側を示すことになる。なお、溝14以外の周方向部分の断面は、楕円(円形を含む)である。
【0040】
(実施の形態5)
つぎに、この発明の実施の形態5について説明する。この実施の形態5では、図10に示すように、回動防止部として、円弧状の屈曲した部分と、楕円(円形含まず)の断面を有する先端部としている。すなわち、図3に示した回動防止部5の断面を楕円形状にしている。これによって、一層、先端部4の回動を防止することができる。
【0041】
(実施の形態6)
つぎに、この発明の実施の形態6について説明する。この実施の形態6では、図11に示すように、先端部4の周方向に接し、軸方向に延びる板状部材である回動防止部15が設けられるともに、この回動防止部15の反対側面に複数の吐出穴8が設けられている。図11に示すように、吐出穴8は軸方向に一列に複数設けられている。このように、吐出穴8を回動防止部15の反対側面に、軸方向に一列に配置することによって、吐出穴8が設けられた側を容易に認識することができる。
【0042】
また、図12に示すように、軸の中心からの角度が所定角度(90度)以内の範囲に、吐出穴8を複数設けるようにしてもよい。いずれにしろ、吐出穴8を先端部4の一つの側にのみ形成するようにしているので、吐出穴8の設けられた側を、回動防止部15の位置から容易に知ることができる。
【0043】
なお、上述した回動防止部が屈曲する部分を有する場合、図13に示すように、回動防止部として、所望の形状の屈曲可能で、屈曲後の形状が維持される部分を採用してもよい。たとえば、チタン等の生体適合性の高い金属によるインターロックチューブなどを用いることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 カテーテル
2 管路
3 本体部
4 先端部
5,15 回動防止部
6 突端
7A,7B 係合部
8 吐出穴
9 外部表面
10 通路内面
11 円
12 突起
13 フィン
14 溝
【技術分野】
【0001】
この発明は、少なくとも先端部が生体に挿入されるカテーテルであって、側面に少なくとも1つの吐出穴を有するカテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体中の投与目標、たとえば病変部にカテーテルを使って流体(たとえば、薬剤等)を投与する場合、断面が円形の管状部材を使ったカテーテルを生体中に挿入して、カテーテルの先端部の吐出穴から流体を吐出していた。ここで、多くの場合、カテーテルの吐出穴は先端部の突端に設けられている。作業者は、投与目標を目指してこのカテーテル先端部の突端を生体中に導入し、前記突端が投与目標内に位置すると、前記カテーテルを生体に対して位置固定する。たとえば、投与目標が管状臓器(たとえば、血管)の場合には、カテーテルの突端が管状臓器内部の空間内に位置するように導入・位置固定する。
【0003】
一方、近年、投与目標が管状臓器以外の臓器(たとえば、肝臓、腎臓)に広がり、臓器中の腫瘍などに直接薬剤を投入する用途が増えてきている。この場合、投与目標が血管などに比べて大きな体積領域である場合が多い。このため、薬剤吐出穴を突端だけでなく先端部の側面に設けたり、側面に複数の薬剤吐出穴を設けたりしたカテーテルもある。
【0004】
特に、腫瘍に薬剤を投与する場合、腫瘍の中心部は、悪性が高く播種の危険も高いことから、あえて中心部でなく周辺部に薬剤等を投与する場合がある。このとき、複数の側面開口を設けたカテーテルから、腫瘍周辺部の複数の位置に薬剤を投入する場合が多い。
【0005】
また、カテーテルの挿入経路と投与目標との位置関係から、カテーテル先端側面だけに1つ又は複数の吐出穴を設けることもある。すなわち、上述した理由から、近年、側面に少なくとも1つの吐出穴を有するカテーテルを使用する機会が増えてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−46505号公報
【特許文献2】特開平10−272187号公報
【特許文献3】特開2000−185102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した側面に少なくとも1つの吐出穴を有するカテーテルを生体に挿入して位置固定する場合、カテーテル先端部の軸周りの回動にも注意を払う必要がある。しかしながら、従来のカテーテルは、断面が円形の管状部材であるから、生体への挿入や固定の作業中に不用意に軸周りに回動してしまい、吐出穴の方向が当初の狙いからずれてしまう場合があった。
【0008】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、側面に少なくとも1つの吐出穴を有する場合にカテーテルの軸周りの回動を防止することができるカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカテーテルは、少なくとも先端部が生体に挿入されるカテーテルであって、側面に少なくとも1つの吐出穴を設けた先端部と前記先端部より基端側の本体部とを有する細長い管路を有し、前記先端部の少なくとも一部に、前記先端部が生体に挿入された状態で軸周りの回動を防止する形状をもつ回動防止部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記回動防止部は、前記先端部の側面において前記少なくとも1つの吐出穴が設けられた側面位置を示す指標を兼ねることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記回動防止部は、前記先端部の少なくとも一部が屈曲している部分であることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記先端部の少なくとも一部が屈曲している部分は、略円弧状に屈曲していることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記回動防止部は、前記先端部の少なくとも一部の断面が非円形の部分であることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記断面が非円形の部分は、断面が円形を含まない略楕円形をしていることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記断面が非円形の部分は、断面が凹部を有する円形を含む略楕円形をしていることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記回動防止部は、突起であることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記回動防止部は、フィンであることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記先端部の側面において前記少なくとも1つの吐出穴が設けられた側を示す目印部をさらに有することを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記目印部は、突起であることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記目印部は、着色部であることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記吐出穴は、軸方向に一列に複数設けられていることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記吐出穴は、軸周りの角度が90度以内の範囲に複数設けられていることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記回動防止部は、所望の形状に屈曲可能で、屈曲後の形状が維持される部分であることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記先端部と前記本体部とは、分離可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、側面に少なくとも1つの吐出穴を設けた先端部の少なくとも一部に、前記先端部が生体に挿入された状態で軸周りの回動を防止する形状をもつ回動防止部が設けられているので、カテーテルの軸周りの回動を防止することができるとともに、この回動防止部の形状によって、挿入時に吐出穴がカテーテルのどちらの側に設けられているかが判別し易くなりさらに、吐出穴が臓器内に入った後は、吐出穴の向いている方向を容易に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、この発明の実施の形態1にかかるカテーテルの概要構成を示す模式図である。
【図2】図2は、カテーテルの先端部と本体部とが分離可能な構成を示す図である。
【図3】図3は、図1に示した先端部の詳細構成を示す斜視図である。
【図4】図4は、この発明の実施の形態2にかかるカテーテルの先端部の構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、この発明の実施の形態2にかかるカテーテルの先端部の構成を示す断面図である。
【図6】図6は、この発明の実施の形態2の変形例にかかるカテーテルの先端部の構成を示す斜視図である。
【図7】図7は、この発明の実施の形態3にかかるカテーテルの先端部の構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、この発明の実施の形態4にかかるカテーテルの先端部の構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、この発明の実施の形態4にかかるカテーテルの先端部の構成を示す断面図である。
【図10】図10は、この発明の実施の形態5にかかるカテーテルの先端部の構成を示す斜視図である。
【図11】図11は、この発明の実施の形態6にかかるカテーテルの先端部の構成を示す斜視図である。
【図12】図12は、この発明の実施の形態6の変形例にかかるカテーテルの先端部の構成を示す斜視図である。
【図13】図13は、屈曲部分を有する回動防止部を、インターロックチューブで実現する場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態であるカテーテルについて説明する。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかるカテーテルの概要構成を示す模式図である。このカテーテル1は、少なくとも先端部が生体に挿入されて使用されるものである。カテーテル1は、先端部4と、先端部4より基端側の本体部3とに区分され、先端部4および本体部3は、細長い管路2となっており、先端部4の突端6は尖っている。また、先端部4の少なくとも一部は、円弧状の形状をしており、生体に挿入された状態で軸周り(管路2(本体部3)の軸周り)に回動するのを防止する形状をした回動防止部5となっている。
【0029】
すなわち、先端部4が本体部3の延長直線上に真っ直ぐに形成されている場合、カテーテル1全体は直線状に形成され、その軸周りの回動が容易となるが、回動防止部5が屈曲した形状をしているので、カテーテル1は直線状とはならず、回動防止部5によって周囲の生体組織に対して軸周り方向の大きな摩擦力あるいは抵抗力が発生し、軸周りの回動が防止される。
【0030】
なお、本体部3は、生体適合性のある柔軟な素材(たとえば、ポリウレタン,シリコン)で形成されており、先端部4は、生体適合性のある硬質な素材(たとえば、塩化ビニル,ポリテトラフルオロエチレン,テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)で形成されている。
【0031】
ここで、図1に示した円弧状の形状をした回動防止部5を生体組織に穿刺する場合、回動防止部5の円弧形状に沿った挿入経路で挿入する。この場合、柔軟な本体部3が適宜撓むことにより、円弧状の挿入経路に沿った挿入が容易となる。
【0032】
なお、図2に示すように、カテーテル1の先端部4と本体部3とを分離可能な構成としてもよい。図2では、管路2のうちの本体部3の先端側と回動防止部5を有する先端部4の基端側とにそれぞれ係合部7A,7Bを設け、この係合部7A,7Bで分離・結合が可能となっている。穿刺時は、まず先端部4を分離した状態で、屈曲した先端部4を体内に穿刺・挿入し、次いで、先端部4と本体部3とを係合部7A,7Bで結合させる。このようにすれば、本体部3の柔軟性が十分でない場合でも容易に先端部4を穿刺できる。
【0033】
図3は、先端部4の斜視図である。図3に示すように、先端部4に設けられた回動防止部5は、断面が円形である。先端部4は、側面に少なくとも1つの吐出穴を有するものであり、この実施の形態1では、複数の吐出穴8が設けられている。吐出穴8は、側面において全て同じ側(図3では、屈曲の内側)に位置している。このため、たとえ吐出穴8が小さく、側面のどの側に設けられているか確認が困難な場合でも、先端部4の回動防止部5の形状をみることによって、先端部4に設けられた吐出穴8の側面位置を容易に知ることができる。また、吐出穴8が臓器内に入った後は、吐出穴8の向いている方向を容易に確認することが可能となる。この吐出穴8の認識は、回動防止部5の形状を観察できればよく、たとえばレントゲン装置、超音波検出器などの体内観察装置を用いて実現することができる。
【0034】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、先端部4の少なくとも一部を屈曲(この場合は円弧状に)させて回動防止部5としたが、この実施の形態2では、先端部4の少なくとも一部に断面が非円形の部分を設けて、回動防止部5としている。
【0035】
図4は、この発明の実施の形態2であるカテーテルの先端部の構成を示す斜視図である。また、図5は、この先端部の断面形状を示す図である。図4および図5に示すように、この実施の形態2の先端部4は、直線状であるが、その断面が楕円形となっている。なお、この実施の形態2における楕円形には円形を含めていない。
【0036】
図5において、先端部5の外部表面9および通路内面10は、ともに楕円となっている。図5に仮想的に示した円11(外部表面9の楕円の短径を円11の直径で描いた)に比較して、径方向に膨出している部分が、回動防止部5となる。この回動防止部5は、体内組織に対して、回動方向の抵抗となり、先端部4の軸周りの回動を防止することができる。
【0037】
なお、図6に示すように、先端部4の吐出穴8が設けられた側をしめす目印部として、突起12を設けるようにしてもよい。また、突起12は、先端部4の色とは異なる色を着色した着色部としてもよい。このような突起12による物理的な形状あるいは着色をすることによって、さらに容易に吐出穴8が設けられた側を知ることができる。
【0038】
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態3では、図7に示すように、回動防止部として突起部であるフィン13を設けている。このフィン13は、先端部4の軸方向に沿って延びる板状部材である。そして、このフィン13の反対側に径方向には吐出穴8が設けられており、フィン13は、先端部4の回動を防止するとともに、吐出穴8の設けられた側を示すことになる。
【0039】
(実施の形態4)
つぎに、この発明の実施の形態4について説明する。この実施の形態4では、図8および図9に示すように、先端部4に、回動防止部としての溝(凹部)14を設けている。この溝14の部分に体内組織が入り込み、先端部4の回動を防止することができる。また、図9に示すように、溝14の底面に吐出穴8が設けられ、溝14は、吐出穴8が設けられた側を示すことになる。なお、溝14以外の周方向部分の断面は、楕円(円形を含む)である。
【0040】
(実施の形態5)
つぎに、この発明の実施の形態5について説明する。この実施の形態5では、図10に示すように、回動防止部として、円弧状の屈曲した部分と、楕円(円形含まず)の断面を有する先端部としている。すなわち、図3に示した回動防止部5の断面を楕円形状にしている。これによって、一層、先端部4の回動を防止することができる。
【0041】
(実施の形態6)
つぎに、この発明の実施の形態6について説明する。この実施の形態6では、図11に示すように、先端部4の周方向に接し、軸方向に延びる板状部材である回動防止部15が設けられるともに、この回動防止部15の反対側面に複数の吐出穴8が設けられている。図11に示すように、吐出穴8は軸方向に一列に複数設けられている。このように、吐出穴8を回動防止部15の反対側面に、軸方向に一列に配置することによって、吐出穴8が設けられた側を容易に認識することができる。
【0042】
また、図12に示すように、軸の中心からの角度が所定角度(90度)以内の範囲に、吐出穴8を複数設けるようにしてもよい。いずれにしろ、吐出穴8を先端部4の一つの側にのみ形成するようにしているので、吐出穴8の設けられた側を、回動防止部15の位置から容易に知ることができる。
【0043】
なお、上述した回動防止部が屈曲する部分を有する場合、図13に示すように、回動防止部として、所望の形状の屈曲可能で、屈曲後の形状が維持される部分を採用してもよい。たとえば、チタン等の生体適合性の高い金属によるインターロックチューブなどを用いることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 カテーテル
2 管路
3 本体部
4 先端部
5,15 回動防止部
6 突端
7A,7B 係合部
8 吐出穴
9 外部表面
10 通路内面
11 円
12 突起
13 フィン
14 溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも先端部が生体に挿入されるカテーテルであって、
側面に少なくとも1つの吐出穴を設けた先端部と前記先端部より基端側の本体部とを有する細長い管路を有し、
前記先端部の少なくとも一部に、前記先端部が生体に挿入された状態で軸周りの回動を防止する形状をもつ回動防止部が設けられていることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記回動防止部は、前記先端部の側面において前記少なくとも1つの吐出穴が設けられた側面位置を示す指標を兼ねることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項3】
前記回動防止部は、前記先端部の少なくとも一部が屈曲している部分であることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項4】
前記先端部の少なくとも一部が屈曲している部分は、略円弧状に屈曲していることを特徴とする請求項3記載のカテーテル。
【請求項5】
前記回動防止部は、前記先端部の少なくとも一部の断面が非円形の部分であることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項6】
前記断面が非円形の部分は、断面が円形を含まない略楕円形をしていることを特徴とする請求項5記載のカテーテル。
【請求項7】
前記断面が非円形の部分は、断面が凹部を有する円形を含む略楕円形をしていることを特徴とする請求項5記載のカテーテル。
【請求項8】
前記回動防止部は、突起であることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項9】
前記回動防止部は、フィンであることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項10】
前記先端部の側面において前記少なくとも1つの吐出穴が設けられた側を示す目印部をさらに有することを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項11】
前記目印部は、突起であることを特徴とする請求項10記載のカテーテル。
【請求項12】
前記目印部は、着色部であることを特徴とする請求項10記載のカテーテル。
【請求項13】
前記吐出穴は、軸方向に一列に複数設けられていることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項14】
前記吐出穴は、軸周りの角度が90度以内の範囲に複数設けられていることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項15】
前記回動防止部は、所望の形状に屈曲可能で、屈曲後の形状が維持される部分であることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項16】
前記先端部と前記本体部とは、分離可能であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項1】
少なくとも先端部が生体に挿入されるカテーテルであって、
側面に少なくとも1つの吐出穴を設けた先端部と前記先端部より基端側の本体部とを有する細長い管路を有し、
前記先端部の少なくとも一部に、前記先端部が生体に挿入された状態で軸周りの回動を防止する形状をもつ回動防止部が設けられていることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記回動防止部は、前記先端部の側面において前記少なくとも1つの吐出穴が設けられた側面位置を示す指標を兼ねることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項3】
前記回動防止部は、前記先端部の少なくとも一部が屈曲している部分であることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項4】
前記先端部の少なくとも一部が屈曲している部分は、略円弧状に屈曲していることを特徴とする請求項3記載のカテーテル。
【請求項5】
前記回動防止部は、前記先端部の少なくとも一部の断面が非円形の部分であることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項6】
前記断面が非円形の部分は、断面が円形を含まない略楕円形をしていることを特徴とする請求項5記載のカテーテル。
【請求項7】
前記断面が非円形の部分は、断面が凹部を有する円形を含む略楕円形をしていることを特徴とする請求項5記載のカテーテル。
【請求項8】
前記回動防止部は、突起であることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項9】
前記回動防止部は、フィンであることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項10】
前記先端部の側面において前記少なくとも1つの吐出穴が設けられた側を示す目印部をさらに有することを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項11】
前記目印部は、突起であることを特徴とする請求項10記載のカテーテル。
【請求項12】
前記目印部は、着色部であることを特徴とする請求項10記載のカテーテル。
【請求項13】
前記吐出穴は、軸方向に一列に複数設けられていることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項14】
前記吐出穴は、軸周りの角度が90度以内の範囲に複数設けられていることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項15】
前記回動防止部は、所望の形状に屈曲可能で、屈曲後の形状が維持される部分であることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
【請求項16】
前記先端部と前記本体部とは、分離可能であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−252926(P2010−252926A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104531(P2009−104531)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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