説明

カテーテル

【課題】生体組織内に留置後であっても生体組織外に容易に抜き出すことができるカテーテルを提供すること。
【解決手段】本発明にかかるカテーテルは、内部ルーメン3cと、内部ルーメン3cに連通する側孔を有する躯体3と、鋭利な先端を有し、躯体と分離可能に接続する穿刺針と、躯体3に接続されて躯体3を生体組織に固定する先端側ストッパ5と、先端側ストッパ5と躯体3とを固定する糸11とを備え、内部ルーメン3c糸を切断する切断部材12が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体組織内に少なくとも一部が導入されるカテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人間を含む哺乳動物の生体組織内に導入されて、直接、生体組織に薬剤を吐出するカテーテルが知られている。カテーテルは、内部にルーメンを有する細長い形状をなし、ルーメン内を移送された薬剤が、側面や先端に設けられた薬剤吐出口から生体組織内に吐出される構成となっている。また、カテーテルは、所定の固定手段によって、腫瘍のある臓器に係留されることが多い。
【0003】
このようなカテーテルとして、カテーテルの途中にフランジを有する構成が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。このようなカテーテルでは、たとえば縫合やステイプリングやフィブリン糊などによる接着を行うことによって、フランジを臓器に固定してカテーテルの生体中での位置を安定させている。
【0004】
また、腫瘍および臓器を貫通して配置されたカテーテルの少なくとも先端にストッパ等を取付けることで、臓器からカテーテルが抜けないように固定する構成が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−233682号公報
【特許文献2】米国特許第7463934号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、薬剤投与が終了した場合、感染症等の有害事象を防止するために、生体内に留置したカテーテルを取り除く必要がある。
【0007】
しかしながら、従来の構成によれば、カテーテルを抜き出すために、開腹手技を行ってから、フランジとフランジが付着していた臓器表面とを離間させる処置を行わなければならず、カテーテルを生体組織外に容易に抜き出すことができなかった。
【0008】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生体組織内に留置後であっても生体組織外に容易に抜き出すことができるカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカテーテルは、生体組織内に少なくとも一部が導入されるカテーテルであって、内部ルーメンと、前記内部ルーメンに連通する側孔を有する躯体と、鋭利な先端を有し、前記躯体と分離可能に接続する穿刺針と、前記躯体に接続されて前記躯体を前記生体組織に固定するストッパと、前記ストッパと前記躯体とを固定する固定部材と、を備え、前記躯体内部には、前記生体組織外に連通し、前記固定部材の固定を解除するために使用されるスペースが設けられることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記スペースに配置され、前記固定部材の固定解除の際に前記固定部材の固定を解除する固定解除手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記固定部材の一部は、前記スペースに挿通されることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記固定部材は、糸であり、前記ストッパは、前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴と、前記躯体挿入用穴と連通し、前記糸が挿通される糸挿通用穴と、を備え、前記糸は、前記糸挿通用穴を介して、前記躯体挿入用穴に挿入された前記躯体の前記内部ルーメンを貫通するとともに前記ストッパ外部で両端が結ばれることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記固定解除手段は、前記糸を切断する切断部材であることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記固定部材は、糸であり、前記ストッパは、前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴と、前記躯体挿入用穴と連通し、前記糸が挿通される糸挿通用穴と、を備え、前記糸は、前記糸挿通用穴を介して、前記躯体挿入用穴に挿入された前記躯体の前記内部ルーメンを貫通するとともに、前記スペースに挿通し、前記生体組織外において両端が結ばれることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記固定部材は、互いに係合し合う第1の糸と第2の糸であり、前記ストッパは、前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴と、前記躯体挿入用穴と連通し、前記第1の糸が挿通される糸挿通用穴と、を備え、前記第1の糸は、躯体に挿入され、前記第2の糸は、前記スペースに挿通され、前記スペースの途中で前記第1の糸と係合して、前記生体組織外で両端が結ばれることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ストッパは、前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴を有し、前記固定部材は、前記躯体挿入用穴に設けられ、前記躯体の一部を把持可能である把持部材であり、前記躯体は、前記把持部材の把持部材と係合する係合部を有する先端部材が接着剤によって先端に接着されており、前記固定解除手段は、前記接着剤に紫外線または熱を供給することによって前記接着剤による前記躯体と前記先端部材との接着を解除して、前記躯体を前記先端部材から分離させることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ストッパは、前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴を有し、前記躯体は、内部に流体供給用の穴部が形成されており、該穴部に流体が供給されることによって前記躯体の径方向に拡張可能である拡張部材を先端に有し、前記固定部材は、前記躯体挿入用穴に設けられ、前記拡張部材を把持可能である把持部材であり、前記固定解除手段は、前記拡張部材と、前記拡張部材内部に供給される流体とを有し、前記拡張部材は、前記流体の前記穴部への供給によって前記躯体の径方向に拡張し、前記把持部材を把持方向とは逆方向に押し広げて前記把持部材の把持を解除することを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ストッパは、前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴を有し、前記固定部材は、前記躯体挿入用穴に設けられ、前記躯体の一部を把持可能である把持部材であり、前記固定解除手段は、前記把持部材を把持方向とは逆方向に押し広げる力を供給して前記把持部材の把持を解除することを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ストッパは、前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴を備え、前記固定部材は、前記躯体に着脱可能に設けられ、前記躯体挿入用穴の径方向に広がる弾性力を有するバネ部材であって、前記躯体挿入用穴に前記躯体の一部が挿入された場合に前記弾性力によって前記躯体挿入用穴の側面に当て付いて前記躯体の一部を前記躯体挿入用穴に固定し、前記固定解除手段は、前記バネ部材の脱離方向の力を供給して前記バネ部材を前記躯体から脱離させることによって前記バネ部材による前記躯体と前記ストッパとの固定を解除することを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ストッパは、前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴と、前記躯体挿入用穴に設けられた突出部と、を備え、前記固定部材は、前記躯体に設けられ、前記突出部を把持可能である把持部材であり、前記固定解除手段は、前記把持部材を把持方向とは逆方向に押し広げる力を供給して前記把持部材の把持を解除することを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ストッパは、前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴を備え、前記固定部材は、前記躯体に設けられ、前記躯体の径方向に拡張可能である拡張部材であり、前記スペースに配置され、前記拡張部材を前記躯体の径方向に拡張させる拡張制御手段をさらに備え、前記拡張部材は、前記拡張制御手段によって前記躯体の径方向に拡張することで前記躯体測定用穴の側面に当て付いて前記躯体の一部を前記躯体挿入用穴に固定し、前記拡張制御手段の前記スペースからの退避によって収縮することで前記躯体測定用穴の側面への当て付きを解除して前記躯体の一部の前記躯体挿入用穴に対する固定を解除することを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記内部ルーメンは、前記スペースとして機能することを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記躯体は、前記固定部材が配置する領域と前記内部ルーメンとを遮断する遮断部材を有し、前記内部ルーメンは、前記遮断部材が除去されることによって前記固定部材が配置する領域と連通して前記スペースとして機能することを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ストッパは、球形状をなすことを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針および前記躯体のそれぞれと接続する接続部をさらに備え、前記穿刺針は、前記接続部が前記躯体から取り外されることで、前記躯体から分離することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
この発明にかかるカテーテルにおいては、カテーテル本体である躯体内部には、生体組織外に連通するとともにストッパと躯体とを固定する固定部材の固定を解除するために使用されるスペースが設けられるため、このスペースを使用することによって、固定部材の固定を解除してストッパと躯体とを分離できるため、生体組織内に躯体を留置した後であっても生体組織外に容易に躯体を抜き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、実施の形態1にかかるカテーテルの全体図である。
【図2A】図2Aは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図2B】図2Bは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図2C】図2Cは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図2D】図2Dは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図2E】図2Eは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図3】図3は、実施の形態1にかかるカテーテルの使用を説明する図である。
【図4A】図4Aは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図4B】図4Bは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図4C】図4Cは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図5】図5は、実施の形態1にかかるカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図6】図6は、実施の形態1における先端側ストッパを、躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【図7】図7は、図6のA矢視図である。
【図8】図8は、実施の形態1における先端側ストッパおよび躯体を、躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【図9】図9は、実施の形態1における先端側ストッパの平面図である。
【図10】図10は、実施の形態1における先端側ストッパおよび躯体を、躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【図11】図11は、図10に示す切断部材の先端部の斜視図である。
【図12】図12は、図10に示す切断部材の先端部の斜視図である。
【図13】図13は、図6に示す先端側ストッパの他の例を、躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【図14】図14は、図13のB−B線断面図である。
【図15】図15は、実施の形態1における他の躯体の先端を示す図である。
【図16】図16は、実施の形態1における他の先端側ストッパを躯体挿通穴から見た図である。
【図17】図17は、実施の形態1における他の躯体の先端を示す図である。
【図18】図18は、実施の形態1における他の躯体を、当該躯体の長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図19】図19は、実施の形態1における他の躯体先端部を、当該躯体の長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図20】図20は、図19の躯体に使用する針部材およびシースを、当該針部材およびシースの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図21】図21は、図19に示す躯体の使用方法を説明するために、当該躯体の長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図22】図22は、図19に示す躯体の使用方法を説明するために、当該躯体の長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図23】図23は、図19に示す躯体の使用方法を説明するために、当該躯体の長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図24】図24は、実施の形態1の変形例1における躯体を示す図である。
【図25】図25は、図24に示す躯体の先端を、躯体の長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図26】図26は、図24に示す躯体の基端側に形成された凹部を説明する図である。
【図27】図27は、実施の形態1の変形例1における先端側ストッパを、躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【図28】図28は、図24に示す躯体と図27に示す先端側ストッパとの固定処理を説明する断面図である。
【図29】図29は、図24に示す躯体と図27に示す先端側ストッパとの固定処理を説明する断面図である。
【図30】図30は、実施の形態1の変形例1における先端側ストッパを糸挿通用穴から見た図である。
【図31】図31は、図30に示す先端側ストッパを、躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【図32】図32は、図30に示す先端側ストッパを、躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【図33】図33は、図30に示す先端側ストッパを、躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【図34】図34は、図31に示す凹部上を覆うカバーの斜視図である。
【図35】図35は、図34のC−C線断面図である。
【図36】図36は、図34のD矢視図である
【図37】図37は、実施の形態1の変形例1における他の先端側ストッパを、躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【図38】図38は、実施の形態1の変形例2における基端側ストッパを躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【図39】図39は、実施の形態1の変形例2における他の基端側ストッパを躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【図40】図40は、実施の形態1の変形例2における他の基端側ストッパを躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【図41】図41は、実施の形態1の変形例3における基端側ストッパを躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【図42】図42は、実施の形態1の変形例3における他の基端側ストッパを躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【図43】図43は、図42のE矢視図である。
【図44】図44は、実施の形態1の変形例3における他の基端側ストッパおよび躯体を切断した図である。
【図45】図45は、図44のF矢視図である。
【図46】図46は、実施の形態1における躯体を生体組織外に抜き出す方法を説明する図である。
【図47】図47は、実施の形態2における先端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図48】図48は、図47に示す先端側ストッパを躯体挿入用穴から見た図である。
【図49】図49は、実施の形態2における先端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図50】図50は、実施の形態2における基端側ストッパおよび躯体を、躯体の基端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図51】図51は、図50のG−G線断面図である。
【図52】図52は、図50に示す基端側ストッパに固定する躯体の一部を示す斜視図である。
【図53】図53は、実施の形態3における先端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図54】図54は、使用前の図53に示す先端側ストッパを躯体挿入用穴から見た図である。
【図55】図55は、実施の形態3における他の先端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図56】図56は、実施の形態3における他の先端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図57】図57は、実施の形態3における基端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図58】図58は、実施の形態3における他の基端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図59】図59は、実施の形態4における先端側ストッパおよび躯体の先端を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図60】図60は、実施の形態4における先端側ストッパおよび躯体の先端を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図61】図61は、実施の形態5における先端側ストッパを躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図62】図62は、実施の形態5における躯体先端の斜視図である。
【図63】図63は、実施の形態5における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図64】図64は、実施の形態5の変形例1における先端側ストッパを躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図65】図65は、実施の形態5の変形例1における躯体先端の斜視図である。
【図66】図66は、実施の形態5の変形例1における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図67】図67は、実施の形態5の変形例1における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図68】図68は、実施の形態5の変形例2における先端側ストッパおよび躯体先端部の斜視図である。
【図69】図69は、実施の形態5の変形例2における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図70】図70は、実施の形態5の変形例2における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図71】図71は、実施の形態5の変形例2における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図72】図72は、実施の形態5の変形例2における基端側ストッパおよび躯体先端部の斜視図である。
【図73】図73は、実施の形態5の変形例3における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図74】図74は、実施の形態5の変形例3における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図75】図75は、実施の形態5の変形例3における基端側ストッパおよび躯体を、躯体の長軸の中心軸に沿って切断した図である。
【図76】図76は、実施の形態5の変形例3における基端側ストッパおよび躯体を、躯体の長軸の中心軸に沿って切断した図である。
【図77】図77は、実施の形態5の変形例4における躯体先端の斜視図である。
【図78】図78は、実施の形態5の変形例4における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図79】図79は、実施の形態5の変形例4における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図80】図80は、実施の形態6における先端側ストッパを躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図81】図81は、実施の形態6における躯体先端を躯体の長軸の中心軸に沿って切断した図である。
【図82】図82は、実施の形態6における躯体の使用前の状態を示す断面図である。
【図83】図83は、実施の形態6における先端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図84】図84は、実施の形態6における他の躯体先端を躯体の長軸の中心軸に沿って切断した図である。
【図85】図85は、実施の形態6における他の躯体先端を躯体の長軸の中心軸に沿って切断した図である。
【図86】図86は、実施の形態7における先端側ストッパを躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図87】図87は、図86のH矢視図である。
【図88】図88は、実施の形態7における先端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図89】図89は、実施の形態7における先端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図90】図90は、実施の形態8における先端側ストッパを躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図91】図91は、図90のI−I線断面図である。
【図92】図92は、実施の形態8における躯体先端の斜視図である。
【図93】図93は、実施の形態8における先端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図94】図94は、実施の形態8における先端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図95】図95は、実施の形態8における他の躯体先端の斜視図である。
【図96】図96は、実施の形態8における他の先端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図97】図97は、実施の形態8における基端側ストッパおよび躯体を、躯体の長軸の中心軸に沿って切断した図である。
【図98】図98は、実施の形態8の他の躯体を、当該躯体の長軸方向と直交する面で切断した図である。
【図99】図99は、実施の形態8の変形例1における躯体先端の斜視図である。
【図100】図100は、実施の形態8の変形例1における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【図101】図101は、実施の形態における接続部材を、当該接続部材の長軸の中心軸に沿って切断した図である。
【図102】図102は、実施の形態における他の躯体先端の斜視図である。
【図103】図103は、図102に取り付けられる接続部材を、当該接続部材の長軸の中心軸に沿って切断した図である。
【図104】図104は、実施の形態の他の例における躯体先端、接続部材および穿刺針基端を、長軸方向の中心軸に沿って切断した図である。
【図105】図105は、図104に示すJ−J線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態として、人間を含む哺乳動物の生体組織内に少なくとも一部導入されるカテーテルについて説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。図面は模式的なものであり、各部の寸法の関係や比率は、現実と異なることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。
【0029】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。図1は、本実施の形態1にかかるカテーテルの全体図である。図1に示すように、実施の形態1にかかるカテーテル1は、穿刺針2および躯体3を備える。
【0030】
穿刺針2は、カテーテル1の先端に配置する。穿刺針2の基端2bは、躯体3の先端3aと分離可能に接続する。穿刺針2は、鋭利な先端2aを有する。穿刺針2は、全体として湾曲した形状をなす。穿刺針2は、チタンやステンレス等の金属材料によって形成される。
【0031】
躯体3は、柔軟な細長い管形状をなし、薬剤供給用の内部ルーメンを有する。躯体3の側面には、内部ルーメンとそれぞれ連通する側孔4が設けられる。躯体3の基端3bは、薬剤供給時にポンプや薬剤リザバーが接続し、基端3bから供給された薬剤は、内部ルーメンを経由して側孔4から吐出される。躯体3は、シリコーン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルなど、またはこれらによって被覆された樹脂系材料によって形成される。なお、図1では、1つの側孔4を設けた躯体3について示したが、もちろん、2以上の側孔が設けられた躯体を用いてもよい。
【0032】
次に、カテーテル1を薬剤投与対象の投与対象部位(たとえば、腫瘍)を有する臓器などの生体組織に穿刺および留置する手順について説明する。図2A〜図2Eは、図1に示すカテーテル1の生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【0033】
まず、操作者は、臓器Liの表面に穿刺針2の先端2aを当て、穿刺針2を押して臓器に穿刺針2を先端2aから図2Aの矢印の方向に挿入する。続けて、操作者は、穿刺針2および躯体3の臓器Liへの挿入を進め、薬剤投与対象の腫瘍Ca内に側孔4が到達するまで、穿刺針2および躯体3を臓器Liに挿入する。このとき、穿刺針2とともに躯体3の先端部分も臓器Liから突出する。
【0034】
操作者は、図2Bに示すように、穿刺針2を躯体3から分離する。続いて、図2Cに示すように、臓器Liから突出した躯体3の先端3aに、略球状の先端側ストッパ5を取り付ける。先端側ストッパ5は、臓器Liの表面に当接して、躯体3本体を臓器Liに留置固定する。したがって、実施の形態1においては、臓器Li表面と先端側ストッパ5を縫合あるいは接着することなく、躯体3本体を生体組織に留置している。なお、動きの多い臓器にカテーテルを導入する場合には、躯体3の基端3b側から、図2Dのように、略球状の基端側ストッパ6をさらに差し込んで、先端側ストッパ5との間で臓器Liを挟持するように配置して、躯体3を臓器Liに固定させてもよい。この場合も、臓器Li表面と基端側ストッパ6を縫合あるいは接着する必要はない。また、先端側ストッパ5および基端側ストッパ6は、シリコーン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルなど、またはこれらによって被覆された樹脂系材料によって形成される。また、先端側ストッパ5および基端側ストッパ6は、ナイロン、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、チタン(合金)、貴金属合金などによって形成されてもよい。また、先端側ストッパ5および基端側ストッパ6は、前述した各材料のうち一つを用いて形成してもよく、複数を組み合わせて形成してもよい。また、先端側ストッパ5および基端側ストッパ6は、強固に被包化させるために前述した合金等の金属材料を少なくとも一部に使用して形成することが望ましい。
【0035】
その後、図2Eに示すように、躯体3の基端3bには、リザバー8内に保持された薬剤Wを送出するポンプ7が接続される。リザバー8内の薬剤Wは、ポンプ7の駆動によって、躯体3の基端3bから躯体3の内部ルーメンに送出され、側孔4から吐出することによって臓器Li内の腫瘍Caに供給される。なお、図2Eにおいては、先端側ストッパ5と基端側ストッパ6とを用いた例について示す。
【0036】
また、図3に示すように、躯体3に基端側ストッパ6を予め取り付けた状態で、図4Aのように、薬剤投与対象の腫瘍Ca内に側孔4が到達するまで、臓器Liに穿刺針2および躯体3を挿入してもよい。この場合には、図4Bのように、穿刺針2を躯体3から分離してから、図4Cのように臓器Liから突出した躯体3の先端3aに、略球状の先端側ストッパ5を取り付ける。
【0037】
図5に示すように、穿刺針2の基端2bと躯体3の先端3aとは、穿刺針2の基端2bに設けられた管状の接続部材9によって接続される。この接続部材9は、たとえば接着剤によって、内側が、躯体3の先端3a外側に固定されている。この管状の接続部材9を鉗子等により押しつぶすと、接続部材9の基端側が塑性変形し、接着剤を躯体3の先端3a外側から剥離させることができる。この状態で、接続部材9を穿刺針2ごと引き抜くことによって穿刺針2と躯体3が分離される。なお、躯体3は、穿刺による組織の損傷を最小限にするため、十分に細い外径を有する。また、躯体3の内部には、前述した内部ルーメン3cが形成される。躯体3の先端3aは、薬剤の漏れを防ぐため、図5のように閉じていることが望ましい。
【0038】
実施の形態1においては、躯体3が、先端側ストッパ5、もしくは先端側ストッパ5および基端側ストッパ6によって生体組織内に留置された後であっても、先端側ストッパ5および基端側ストッパ6から躯体3を取り外して生体組織外に抜き出すことができる。
【0039】
まず、先端側ストッパ5について説明する。図6は、先端側ストッパ5を、躯体3の差し込み方向に沿って切断した図である。図7は、図6のA矢視図である。
【0040】
図6に示すように、先端側ストッパ5は、略球形状である。このため、生体組織に接触する面は、いずれも全て一様になだらかな曲面であり、生体組織面と先端側ストッパ5外面との接触角は経時的にほぼ一定であるため、先端側ストッパ5の形状に起因して先端側ストッパ5による固定がずれることがなく、生体組織内に導入後に躯体3がずれることや、躯体3が屈曲して薬剤を送液できなくなることはない。
【0041】
先端側ストッパ5においては、略球形状の本体5aに、躯体3先端が挿入される躯体挿入用穴5bが形成されている。躯体挿入用穴5bは、開口部から本体5a内部に向かって延伸するように形成される。躯体挿入用穴5bは、本体5aの中心に向かって延伸することが望ましい。図6では、躯体挿入用穴として、本体5aを貫通していない場合を例に示すが、躯体3の先端3aが挿入できれば足りるため、本体5aを貫通してもよい。
【0042】
そして、本体5aには、躯体挿入用穴5bに交差して連通する糸挿通用穴5cが形成される。この糸挿通用穴5cは、先端側ストッパ5と躯体3の先端3aとを固定させるために使用される糸が挿通される。図6に示す例では、この糸挿通用穴5cは、躯体挿入用穴5bに直交するとともに本体5aの略中心を貫通するように形成される。糸挿通用穴5cに糸を挿入しやすいように、糸挿通用穴5cの内径よりも広い径の開口部5dを形成し、開口部5dから本体5a内部に向かって狭くなるように傾斜5eを設けている。
【0043】
この先端側ストッパ5に躯体3を接続するには、図8に示すように、躯体3の先端3aを躯体挿入用穴5bに挿入し、躯体挿入用穴5b底部に当たるまで押し入れる。なお、躯体挿入用穴5bが本体5aを貫通している場合には、先端側の開口面と一致する程度まで躯体3を躯体挿入用穴5bに押し込めばよい。
【0044】
続いて、針11aが先端に付いた糸11を糸挿通用穴5cの一方の開口部5dから挿入し、躯体3の内部ルーメン3cを通るように躯体3に糸11を貫通させて、貫通後に糸挿通用穴5cの他方の開口部5dから糸11の先端を引き出す。糸11は、たとえば、図8に示すように、内部ルーメン3cが延伸する方向と直交した方向で内部ルーメン3cに貫通する。その後、先端の針11aを糸11本端から分離し、先端側ストッパ5の糸挿通用穴5cの両方の開口部5dから出ている糸11を、図9に示すように、ストッパ外表面に沿わせるようにして結ぶ。
【0045】
このように、糸11は、躯体挿入用穴5bに挿入される躯体3の内部ルーメン3c形成部位を、糸挿通用穴5cを介して貫通した後に、先端側ストッパ5外部に引き出されて両端が結ばれることによって、先端側ストッパ5を躯体3に固定する。
【0046】
先端ストッパ5と躯体3との固定を解除する場合には、図10に示すように、躯体3内部の内部ルーメン3cに、内部ルーメン3cを貫通する糸11を切断する切断部材12を先端3aまで挿入して、切断部材12で糸11を切断すればよい。この結果、先端側ストッパ5の躯体挿入用穴5bから躯体3を抜き出すことができる。内部ルーメン3cは、生体組織外に連通し、糸11の固定を解除するために使用されるスペースとして機能する。
【0047】
切断部材12は、たとえばワイヤなどの柔軟な素材で構成されており、図11に示すように、先端に刃12aが設けられている。切断部材12の全体の長さは、躯体3全体の長さよりも長く、切断部材12の外径は、内部ルーメン3cの内径よりも小さい。なお、切断部材は、糸11を切断できれば足りるため、図12の切断部材12Aに示すように、高周波Laを先端12bから出力して糸11を切断できるものであってもよい。また、切断部材は、先端からレーザ光を出力して糸11を切断できるものであってもよい。
【0048】
このように、実施の形態1にかかるカテーテル1においては、糸11を用いて、先端側ストッパ5および躯体3の先端3aを適切に固定できる。さらに、実施の形態1にかかるカテーテル1においては、生体組織内に躯体3を留置した後であっても、内部ルーメン3cに切断部材12あるいは切断部材12Aを配置して糸11を切断するだけで、躯体3を先端側ストッパ5から分離できるため、躯体3を生体組織外に容易に抜き出すことができる。
【0049】
なお、図13は、図6に示す先端側ストッパの他の例を、躯体3の差し込み方向に沿って切断した図である。図14は、図13のB−B線断面図である。先端側ストッパの本体が柔らかく、糸11によって切込みが入るなどの損傷が予想されるときは、図13および図14に示す先端側ストッパ51のように、糸挿通用穴5cを含む中央部分51eを、本体51aよりも硬い別材料で形成すればよい。
【0050】
また、図13および図14の躯体31に示すように、先端31aに予め糸挿通用の穴31dを形成してもよい。さらに、躯体31に糸挿通用の穴31dを形成した場合に糸11によって切込みが入るなどの損傷が予想されるときには、糸挿通用の穴31dを含む先端部分31eを、躯体31本体よりも硬い別材料で形成すればよい。さらに、躯体31の糸挿通用の穴31dの直径を先端ストッパ51の糸挿通用穴5cの直径よりも大きくすることにより、穴31dと糸挿通用穴5cの位置が合わせやすくなり、作業性が向上する。
【0051】
図15は、実施の形態1における他の躯体の先端を示す図である。図16は、実施の形態1における他の先端側ストッパを躯体挿通穴から見た図である。図15に示すように、躯体32の先端32aには、糸挿通用の穴32dとともに、Dカット32fが形成される。そして、図16の先端側ストッパ52の躯体挿通用穴52cには、躯体32のDカット32fの段差32gと嵌合するように、凸部52fが形成される。この結果、躯体32の先端32aと先端側ストッパ52(図16参照)の躯体挿通用穴52cとの方向を糸挿通用穴5cに対応する向きに一致させることができる。また、図17の躯体33に示すように、躯体33と先端側ストッパ5の躯体挿通用穴5bとの方向を糸挿通用穴5cに対応する向きに一致させるためのマーカ33hを先端33aに設けてもよい。
【0052】
また、実施の形態1では、内部ルーメンが切断部材12,12Aを配置するスペースとしても機能する場合を例に説明したが、もちろん、図18の躯体34のように、薬剤供給用のルーメン34c1と、切断部材12あるいは切断部材12Aを配置するためのルーメン34c2(スペース)とを別個に形成してもよい。
【0053】
また、図19の躯体35に示すように、薬液供給用の内部ルーメン3cの先端35aに、糸11が貫通する領域35cと内部ルーメン3cとを遮断する遮断壁35iを設けてもよい。この躯体35を先端側ストッパから抜き出すには、まず、図20に示すように、躯体35が損傷するのを防ぐために管状のシース13内に、鋭利な先端14aを有する針部材14を収納した状態で、針部材14を遮断壁35iに当たるまで内部ルーメン3cに挿入し、図21に示すように、シース13の先端13aから針部材14の先端14aを突出させて遮断壁35iを切り裂く。この場合、針部材14のシース13からの突出量を規定するためのマーカ等をシース13の基端13b側および針部材14の基端14b側に設けておくとよい。続いて、図22に示すように、シース13内部に針部材14を収納してから、シース13ごと針部材14を躯体35内部から抜き出し、図23に示すように、切断部材12を内部ルーメン3c内に挿入して、躯体35先端を貫通する糸11を切断すればよい。もちろん、切断部材12を用いずに、そのまま針部材14の先端14aで糸11を切断してもよい。また、針部材14で遮断壁35iを切り裂いた後、シース13をさらに先端側に押し込み、針部材14だけを抜いてもよい。これにより切り裂かれた遮断壁35iが切断部材12の挿入を妨げることがなくなり、切断部材12の挿入が容易になる。
【0054】
(実施の形態1の変形例1)
次に、実施の形態1の変形例1について説明する。図24は、実施の形態1の変形例1における躯体を示す図である。図25は、図24に示す躯体の先端を、躯体の長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。図26は、図24に示す躯体の基端側に形成された凹部を説明する図である。
【0055】
図24〜図26に示すように、実施の形態1の変形例1における躯体36は、基端36bから延伸した薬剤供給用の内部ルーメン3cと、内部ルーメン3cの両側に形成された躯体側糸15が挿通される2本の糸挿通用ルーメン36j1,36j2(スペース)とを有する。躯体36は、先端36aに凹部36kを有する。生体組織外に位置する基端36b側には、凹部36dが形成される。糸挿通用ルーメン36j1,36j2は、凹部36dに設けられた2つの開口部36j3,36j4から躯体36の先端36aまで延伸するように形成されており、内部ルーメン3cを中心として対向する位置に2本配置される。躯体用糸15の先端は、糸挿通用ルーメン36j1の一方の開口部36j3から挿通し、躯体36の先端36aから一度外部に出てから、もう一方の糸挿通用ルーメン36j2を挿通して、他方の開口部36j4から突出する。躯体用糸15の両端は、躯体36基端側の凹部においてカシメ部材36nなどを用いてかしめられ、閉ループを形成する。なお、糸挿通用ルーメン36j1,36j2の開口部36j3,36j4は、生体組織内と連通するため、躯体36の基端36b側の凹部36dは、開口部36j3,36j4を外界空気と遮断するために、カバー36mで覆われる(図24参照)。
【0056】
続いて、実施の形態1の変形例1における先端側ストッパについて説明する。図27は、実施の形態1の変形例1における先端側ストッパを、躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【0057】
図27に示すように、実施の形態1の変形例1における先端側ストッパ56は、略球形状の本体56aに、躯体36の先端36aが挿入される躯体挿入用穴56bと、躯体挿入用穴56bの延伸方向と略平行に形成され、躯体挿入用穴56bと連通する2本の糸挿通用穴56fとが設けられる。2本の糸挿通用穴56fは、躯体挿通用穴56bの開口とは別の領域に開口するように形成される。なお、2本の糸挿通用穴56fは、図27のように、それぞれが必ずしも対向していなくともよい。
【0058】
この先端側ストッパ56に躯体36の先端36aを固定する処理について図27〜図29を参照して説明する。図28および図29は、図24に示す躯体36と図27に示す先端側ストッパとの固定処理を説明する図である。
【0059】
まず、図27に示すように、この糸挿通用穴56fの一方に、先端に糸通し11dに接続する第1の糸である糸11が挿通して、躯体挿通用穴56bから、糸11の先端を突出させる。続いて、図28に示すように、糸11を、糸通し11dで躯体36の先端36aの躯体用糸15に係合させて、先端側ストッパ56の他方の糸挿通用穴56fを経由して、先端側ストッパ56の外表まで引き出す。すなわち、糸11の先端は、躯体挿通用穴56bの開口とは別の領域から引き出される。図29に示すように、躯体36の先端36aを、躯体挿通用穴56底部に当たるまで躯体挿通用穴56bに挿入後、先端側ストッパ56外表に出ている糸11の両端を結んで固定する。
【0060】
したがって、躯体用糸15は、糸挿通用ルーメン36j1に挿通され、糸層通用ルーメン36j1,36j2の先端開口部の間で、躯体挿入用穴56bに挿入された糸11と係合して、再度、糸挿通用ルーメン36j2に挿通されて、生体組織外に引き出された後に両端が結ばれることとなる。
【0061】
先端側ストッパ56と躯体36との固定を解除する場合には、生体組織外に位置する躯体36の基端36b側のカバー36mを外して、凹部36dに位置する躯体用糸15を切断するだけでよい。すなわち、実施の形態1の変形例1においては、生体組織外に位置する躯体用糸15を切断するという簡易な作業を行うだけで、躯体36を先端側ストッパ56から分離して生体組織外に抜き出すことができる。
【0062】
なお、図25に示すように躯体36の先端36aに設けられた凹部36kは、糸11を躯体用糸15にかけやすくするために形成されている。
【0063】
また、実施の形態1の変形例1においては、図30〜33に示す形状の先端側ストッパを用いてもよい。図30は、実施の形態1の変形例1における先端側ストッパを糸挿通用穴56fから見た図である。図31〜図33は、図30に示す先端側ストッパを、躯体3の差し込み方向に沿って切断した図である。
【0064】
この場合、図30および図31の先端側ストッパ57に示すように、糸挿通用穴56fの開口領域に凹部57gを設け、躯体用糸15に引っ掛かった後に先端側ストッパ56の外表まで引き出された糸11の両端を、鉗子K等(図32参照)を用いて、図33に示すように、カシメ部材57hでかしめて固定する。このとき、先端側ストッパ57の外表面をなだらかにするため、凹部57gをカバー57i(図34参照)で覆ってもよい。カバー57iの内側には、図34のC−C線断面図である図35、および、図34のD矢視図である図36に示すように、カシメ部材57h等を格納する凹部57jが形成される。
【0065】
また、実施の形態1の変形例1においては、図37に示すように、躯体用糸15を引っ掛けるためのフック部58kを本体58aの躯体挿入用穴58b内に設けた先端側ストッパ58を用いてもよい。
【0066】
(実施の形態1の変形例2)
実施の形態1の変形例2として、基端側ストッパ6について説明する。図38は、実施の形態1の変形例2における基端側ストッパを躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【0067】
図38に示すように、基端側ストッパ6においては、略球形状の本体6aに、本体6a中心を通って本体6aを貫通する躯体挿入用穴6bが形成されている。躯体3の外径と基端側ストッパ6の躯体挿入用穴6bの内径とは、すきまがある状態であり、躯体挿入用穴6bの内側にOリング6cを配置して、摺動抵抗を付与している。躯体3の一部を基端側挿入用穴6bに挿入すると、Oリング6cによって躯体3外表面が基端側ストッパ6内部に固定され、ある程度の力(たとえば4N以上)をかけなければ、躯体3は基端側ストッパ6から抜けない。
【0068】
なお、Oリング6cを設けるほか、躯体3の外径と基端側ストッパ6の躯体挿入用穴6bの内径とは、すきまがない状態として、接触面積で摺動摩擦を制御してもよい。たとえば、図39の基端側ストッパ6Aのように、躯体挿入用穴6bの内表面にシリコンコーティング6dをさらに施し、摺動性を向上させてもよい。低硬度のシリコンコーティング6dを施し、シリコンコーティング6dが躯体3によって軽く押圧される程度に密着させることにより摺動抵抗を向上させてもよい。また、図40の基端側ストッパ6Bのように、躯体挿入用穴6bの内表面を粗面6e化させて、摺動抵抗を大きくして、躯体3が基端側ストッパ6から抜けないようにしてもよい。
【0069】
(実施の形態1の変形例3)
実施の形態1の変形例3における基端側ストッパについて説明する。図41は、実施の形態1の変形例3における基端側ストッパを躯体の差し込み方向に沿って切断した図である。
【0070】
図41に示すように、実施の形態1の変形例3における基端側ストッパ61においては、略球形状の本体61aに、躯体挿入用穴61bに直交して連通する糸挿通用穴61cが形成される。この糸挿通用穴61cは、図6に示す糸挿通用穴5cと同様に、基端側ストッパ61と躯体3の一部とを固定させるために使用される糸が挿通されるものであり、糸挿通用穴61cに糸を挿入しやすいように、糸挿通用穴61cの内径よりも広い径の開口部61dが形成される。
【0071】
この基端側ストッパ61に躯体3を接続するには、躯体3の一部を図41のように、躯体挿入用穴61bに貫通させた後、糸挿通用穴61cを経由して、躯体3の内部ルーメン3cを通るように躯体3に糸を貫通させてから、基端側ストッパ61外部に引き出し、基端側ストッパ61の外表面に沿わせるようにして糸の両端を結べばよい。また、基端側ストッパ61と躯体3との固定を解除する場合には、スペースとして機能する躯体3内部の内部ルーメン3cに、内部ルーメン3cを貫通する糸を切断する前述した切断部材12,12Aを挿入して、切断部材で糸を切断すればよい。その後、基端側ストッパ6の躯体挿入用穴5bから躯体3を抜き出すことができる。
【0072】
なお、図42の基端側ストッパ62に示すように、躯体挿入用穴で二つの部材62A,62Bに分離してもよい。図43は、図42に示す一方の部材62AのE矢視図である。二つの部材62A,62Bに分離した場合には、躯体挿入用穴の軸をあわせやすいように、それぞれの部材62A,62Bに、突起62Ae,62Be、および、各突起62Ae,62Beに対向する位置に凹部62Af,62Bfを設けて、位置決めを行なえばよい。
【0073】
また、図44および図45に示す基端側ストッパ63および躯体38を用いてもよい。図44は、実施の形態1の変形例3における他の基端側ストッパおよび躯体を切断した図である。図45は、図44のF矢視図である。図44および図45に示すように、基端側ストッパ63は、本体63aに、躯体層通用孔63bおよび糸挿通用穴61cとともに、糸挿通用穴61cに挿通された糸11の両端をそれぞれ躯体38に向かって誘導する2本の糸誘導用穴63gがさらに形成される。また、躯体38には、基端側ストッパに挿入される近傍領域に開口38m1を有し躯体38の基端部まで延伸する2本の糸挿通用ルーメン38mがさらに形成される。
【0074】
糸11は、躯体挿入用穴61bに挿入された躯体38を糸挿通用穴61cを介して貫通してから、両端がそれぞれ、糸誘導用穴63gを経由して基端側ストッパ63外に引き出される。そして、糸11の両端は、躯体38の開口38m1からそれぞれ躯体38の糸挿通用ルーメン38mに挿通して、躯体38の基端側、すなわち、生体組織外において結ばれることによって、基端側ストッパ63と躯体38の一部とを固定する。また、基端側ストッパ63と躯体38との固定を解除する場合には、生体組織外にある躯体38の基端側で結ばれた糸11を切断するだけでよい。
【0075】
また、本実施の形態においては、図46に示すように、躯体3を生体組織外に抜き出すときに、回収シース16を用いてもよい。具体的には、躯体3を内部に収納しながら、回収シース16を生体内に矢印のように押し込む。このとき、回収シース16の先端16aが、臓器Li表面に接触するまで回収シース16を押し込むことが望ましい。なお、X線検査などで回収シース16の先端16aの位置が確認できるように、回収シース16の先端16aにマーカを設けてもよい。その後、先端側ストッパ5と躯体3の固定を解除し、躯体3を臓器Liから引き抜く。この場合、躯体3は、回収シース16内に収納される。続いて、躯体3を臓器Liから完全に抜き出し、抜き出した躯体3全てを回収シース16内に収納した後に、回収シース16ごと躯体3を生体組織外に抜き出す。
【0076】
このように、回収シース16内部に躯体3を収納した状態で躯体3を生体組織外に抜き出すことによって、患部である腫瘍Ca等に直接接した躯体3の外表面が露出することなく回収できる。特に癌などのように播種が懸念される疾病の際に抜去時の安全性を高めることができる。
【0077】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2においては、磁石による磁力を用いて、ストッパと躯体とを固定する場合について説明する。
【0078】
図47は、実施の形態2における先端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。図48は、図47に示す先端側ストッパを躯体挿入用穴から見た図である。
【0079】
図47および図48に示すように、実施の形態2における先端側ストッパ205は、略球形状の本体205aに、躯体203の先端203aが挿入される躯体挿入用穴205bが形成されている。躯体挿入用穴205bの底部には、永久磁石205cが設けられている。実施の形態2における躯体203は、先端203aには、金属などの常磁性体203dが埋め込まれている。
【0080】
この躯体203の先端203aが、先端側ストッパ205の躯体挿入用穴205bに挿入され、躯体挿入用穴205b底部に当たるまで押し入れられると、永久磁石205cと常磁性体203dとの引力によって、先端側ストッパ205の躯体挿入用穴205bに躯体203の先端203aが固定される。
【0081】
先端側ストッパ205と躯体203との固定を解除する場合には、図49のように、固定解除部材212を、スペースとして機能する内部ルーメン3cの先端203aまで挿入する。固定解除部材212は、本体がワイヤなどの柔軟な素材で構成されており、永久磁石205cよりも強い引力を発生させる永久磁石212bが先端212aに設けられている。この結果、固定解除部材212の永久磁石212bによって、躯体203の常磁性体203dの磁化の極性が変化し、先端側ストッパ205の永久磁石205cとの間に発生する反力によって、先端側ストッパ205と躯体203とが分離可能となる。
【0082】
この実施の形態2のように永久磁石を利用した場合も、先端側ストッパ205と躯体203の先端203aとを適切に固定できるとともに、躯体603内部に固定解除部材212を挿入するだけで躯体203を先端側ストッパ205から分離して生体組織外に抜き出すことができる。
【0083】
なお、先端側ストッパ205と同様に、永久磁石を用いて基端側ストッパを構成してもよい。図50は、実施の形態2における基端側ストッパおよび躯体を、躯体の基端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。図51は、図50のG−G線断面図である。
【0084】
図50および図51に示すように、実施の形態2における基端側ストッパ206は、略球形状の本体206aに、本体206a中心を通って本体206aを貫通する躯体挿入用穴206bが形成されている。躯体挿入用穴206bの側面の一部には、永久磁石206cが形成される。躯体2031は、基端側ストッパ206の挿入部の外表面にリング状の常磁性体2031dが形成される。
【0085】
躯体2031の常磁性体2031d形成部分が、基端側ストッパ206の躯体挿入用穴206bに挿入されると、永久磁石206cと常磁性体2031dとの引力によって、基端側ストッパ206の躯体挿入用穴206bに躯体2031が固定される。
【0086】
基端側ストッパ206と躯体2031との固定を解除する場合には、図52に示すように、永久磁石206cよりも強い引力を発生させる永久磁石2121bが部材の中途に設けられた固定解除部材2121を、先端2121aから内部ルーメン3cに挿入し、永久磁石2121bが基端側ストッパ206内に位置するまで押し入れる。この結果、躯体2031の常磁性体2031dの磁化の極性が変化し、基端側ストッパ206の永久磁石206cとの間に発生する反力によって、基端側ストッパ206と躯体2031とが分離可能となる。
【0087】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3においては、接着剤を用いて、ストッパと躯体とを固定する場合について説明する。
【0088】
図53は、実施の形態3における先端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。図54は、使用前の図53に示す先端側ストッパを躯体挿入用穴から見た図である。
【0089】
図53に示すように、実施の形態3における先端側ストッパ305は、略球形状の本体305aに、躯体3の先端3aが挿入される躯体挿入用穴305bが形成されている。躯体挿入用穴305bの底部には、紫外線硬化型の接着剤305cが塗布されている。
【0090】
使用前において、先端側ストッパ305の躯体挿入用穴305bの開口には、接着剤305cの乾燥を防止するためのシール305d(図54参照)が貼られている。先端側ストッパ305使用時には、このシール305dを剥がしてから、躯体3の先端3aを躯体挿入用穴305bの底部に当たるまで挿入する。続いて、紫外線照射部材312を内部ルーメン3cの先端3aまで挿入し、先端312aから紫外線を出力することによって、接着剤305cを短時間で硬化させる。ワイヤなどの柔軟な素材で構成されており、この結果、先端用ストッパ305の躯体挿入用穴305b底部と躯体3の先端3aとが接着し、先端側ストッパ305に躯体3の先端3aが固定される。
【0091】
先端側ストッパ305と躯体3との固定を解除する場合には、再度、紫外線照射部材312を、スペースとして機能する内部ルーメン3cに挿入して紫外線を出力することによって、接着剤305cを劣化させる。この結果、先端側ストッパ305と躯体3とが分離可能となる。
【0092】
この実施の形態3のように接着剤305cを利用した場合も、先端側ストッパ305と躯体3の先端3aとを適切に固定できるとともに、躯体3内部に紫外線照射部材312を挿入するだけで、躯体3を先端側ストッパ305から分離して生体組織外に抜き出すことができる。
【0093】
なお、実施の形態3においては、躯体3の生体組織導入前から、躯体3の先端3aに先端側ストッパ305を取り付け、躯体3の基端側に穿刺針2を配置した状態で、躯体3の基端側から生体組織に導入してもよい。
【0094】
また、接着剤は、紫外線硬化型のものに限らず、感圧型のものであってもよい。この場合には、躯体3の先端3aの躯体挿入用穴305bの底部への当て付け作業によって、先端側ストッパ305と躯体3の先端3aとが短時間で固定される。また、接着剤は、吸湿硬化型のものであってもよい。この場合には、周囲の生体組織の湿度環境によって、短時間での接着剤の硬化が期待できる。そして、いずれの場合も、躯体3の抜き出し時には、紫外線照射部材312から紫外線を出力することによって接着剤を劣化させて先端側ストッパ305と躯体3の先端3aとの固定を解除するほか、高周波あるいはレーザ光を出力する部材を内部ルーメン3cに挿入し、高周波あるいはレーザ光による熱によって、躯体3の接着部分を焼ききることによって、先端側ストッパ305と躯体3の先端3aとの固定を解除してもよい。
【0095】
また、図55の基端側ストッパ3051に示すように、収縮しにくい外部被覆部材3051Aと、紫外線あるいは熱によって収縮する材料で形成した内部部材3051Bとによって本体部を形成してもよい。外部被覆部材3051Aは、躯体3に固定せず、躯体3の抜去を疎外しない程度に躯体3外表面と接する。
【0096】
紫外線によって収縮する材料で内部部材3051Bを形成した場合には、紫外線照射部材312を内部ルーメン3cに挿入して紫外線を照射すればよい。また、熱によって収縮する材料で内部部材3051Bを形成した場合には、高周波あるいはレーザ光を出力する部材を内部ルーメン3cに挿入し、高周波あるいはレーザ光を出力して熱を与えればよい。この結果、図56のように、内部部材3051Bが収縮し、躯体3の先端3aから、先端側ストッパ3051の接着剤305cが剥離するため、先端側ストッパ305と躯体3の先端3aとが分離可能となる。
【0097】
また、実施の形態3は、基端側ストッパにも適用可能である。図57は、実施の形態3における基端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【0098】
図57に示すように、実施の形態3における基端側ストッパ306は、略球形状の本体306aに、本体306a中心を通って本体306aを貫通する躯体挿入用穴306bが形成されている。躯体挿入用穴306bの内側面には、接着剤306cと同様の接着剤306cが塗布されている。なお、使用前において、基端側ストッパ306の躯体挿入用穴306bの両方の開口には、接着剤306cの乾燥を防止するためのシール(図示しない)が貼られている。
【0099】
躯体3の一部が躯体挿入用穴306bに挿入され、紫外線照射部材312を内部ルーメン3cに挿入し、先端312aから紫外線を出力することによって、接着剤305cを短時間で硬化させると、基端用ストッパ306の躯体挿入用穴306b内側面と躯体3の外表面とが接着し、基端側ストッパ306に躯体3が固定される。
【0100】
基端側ストッパ306と躯体3との固定を解除する場合には、再度、紫外線照射部材312を内部ルーメン3cに挿入して紫外線を出力することによって、接着剤305cを劣化させればよい。もちろん、接着剤306cは、前述した先端側ストッパと同様に、紫外線硬化型のものに限らず、感圧型のものであってもよく、吸湿硬化型のものであってもよい。
【0101】
また、図58の基端側ストッパ3061に示すように、収縮しにくい外部被覆部材3061Aと、紫外線あるいは熱によって収縮する材料で形成した内部部材3061Bとによって構成される略球形状の本体3061aに、躯体3aが挿入される躯体挿入用穴3061bを形成してもよい。この場合、先端側ストッパ3051と同様に、紫外線または熱を与えて内部部材3061Bを収縮させることによって、躯体3から、基端側ストッパ3061の接着剤306cを剥離させて、基端側ストッパ3061と躯体3とを分離できるようにすればよい。
【0102】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。図59および図60は、実施の形態4における先端側ストッパおよび躯体の先端を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。図59は、各部材の分解図である。図60は、完成図である。
【0103】
図59および図60に示すように、実施の形態4における躯体403は、内部ルーメン3cとともに、ワイヤ挿通用ルーメン403dが内部に形成される構成を有する。ワイヤ挿通用ルーメン403dは、躯体403の先端403aと、生体組織外に位置する躯体403の基端403b側側面とにおいて開口する。ワイヤ挿通用ルーメン403dには、ワイヤ416が挿通される。ワイヤ416は、ワイヤ挿通用ルーメン403dよりも長くなるように長さが設定され、ワイヤ416は、先端416aがワイヤ挿通用ルーメン403dの先端403a側開口に位置し、基端416bが、ワイヤ挿通用ルーメン403dの基端403b側側面の開口から引き出されている。
【0104】
躯体403の先端403aの外面には、押さえ管417が嵌められる。躯体403の先端部の外径は、押さえ管417の内径と同径となるように肉厚が薄くなっており、押さえ管417は、躯体403の外径と同じ外径を有する。押さえ管417は、躯体403の径方向への広がりを防止するため、躯体403よりも硬い材料によって形成される。
【0105】
先端側ストッパ405は、略球形状の本体405aに、押さえ管417が嵌まった状態の躯体403の先端403aが挿入される躯体挿入用穴405bが形成されている。各部材が抜けないように、押さえ管417の内側面と躯体403の外側面との摩擦力は、押さえ管417の外側面と先端側ストッパ405の躯体挿入用穴405bの側面との摩擦力よりも大きい。また、躯体403の基端403b方向の所定量の力(たとえば4N程度)が躯体403に与えられても、躯体403が先端側ストッパ405の躯体挿入用穴405bから抜けないように、各部材間の摩擦力が設定される。
【0106】
躯体挿入用穴405bの底面には、弾性部材419の基端419bが固定部材405cによって固定される。弾性部材419の先端419aには、弾性部材419に比べ断面積が大きいボール部材418が接続する。ボール部材418は、弾性部材419の弾性力によって、躯体403の先端403a方向に付勢されている。
【0107】
ボール部材418の外径は、躯体403のワイヤ挿通用ルーメン403dの先端403aの開口径よりもわずかに小さい。ワイヤ416とボール部材418とは、図60に示すように、躯体403のワイヤ挿通用ルーメン403dの先端側内側面と接触した状態で躯体403内に配置されている。ボール部材418は、ワイヤ416とともに配置されることによって、ワイヤ挿通用ルーメン403dの先端403a側の段差403fに引っ掛かった状態となっている。躯体403の基端403b方向の所定量の力(たとえば4N程度)が躯体403に与えられても、ワイヤ416とボール部材418とが躯体403のワイヤ挿通用ルーメン403の開口403e1dから抜け出ないように、ボール部材418とワイヤ挿通用ルーメン403dの側面との摩擦力、および、ワイヤ416とワイヤ挿通用ルーメン403dの側面との摩擦力との摩擦力が設定される。
【0108】
図60に示すように、先端側ストッパ405と躯体403を固定するには、まず、ワイヤ416を躯体403のワイヤ挿通用ルーメン403d内に配して、ボール部材418を躯体403の先端403aからワイヤ層通用ルーメン403d内に押し込む。続いて、ボール部材418を段差403fまで押し込んだら、押さえ管417を躯体403の先端403aに嵌めて固定し、押さえ管417を嵌めた躯体403の先端403aを、先端側ストッパ405の躯体挿入用穴405bに挿入し、先端側ストッパ405と躯体403との固定が終了する。実施の形態4においては、図60に示す状態を初期状態として、躯体403の基端403bに穿刺針が接続し、躯体403の基端403bから生体組織内に挿入されることが望ましい。
【0109】
この先端側ストッパ405から躯体403を抜き出すには、生体組織外に位置する基端側のワイヤ層通用ルーメン403dの開口から引き出されているワイヤ416の他端を、図60の矢印のように、基端側の開口403e2から基端403b側に引き出す。この結果、ワイヤ416の先端416aも引かれてワイヤ挿通用ルーメン403dの先端403a側の段差403fよりも基端403b側に移動し、ボール部材418から離れる。これにともない、ボール部材418は、ワイヤ418がなくなるため段差403fに引っ掛かった状態から解放され、弾性部材419の付勢力によって、躯体403のワイヤ挿通用ルーメン403dから抜け出て、先端側ストッパ405の躯体挿入用穴405内部に戻る。この結果、躯体403の先端403aと、先端側ストッパ405との固定が解除され、躯体403を生体組織外に抜き出すことができる。
【0110】
この実施の形態4においても、先端側ストッパ405と躯体403の先端3aとを適切に固定できるとともに、躯体403の基端側にあるワイヤ416を引き出すだけで躯体403を先端側ストッパ405から分離して生体組織外に抜き出すことができる。
【0111】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について説明する。実施の形態5においては、ストッパ内部に、躯体の一部を把持可能であるバネ部材を設けて、ストッパと躯体とを固定する場合について説明する。
【0112】
図61は、実施の形態5における先端側ストッパを躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。図62は、実施の形態5における躯体先端の斜視図である。図63は、実施の形態5における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【0113】
図61に示すように、実施の形態5における先端側ストッパ505は、略球形状の本体505aに、躯体の先端が挿入される躯体挿入用穴505bが形成されている。躯体挿入用穴505bの底部には、躯体の一部を把持可能であるバネ部材505c(把持部材)が固定されている。バネ部材505cは、弾性体によって形成されており、楕円を切り欠き、切り欠いた両端が外側に曲げられた形状を有する。
【0114】
図62に示すように、実施の形態5における躯体503は、先端503aに接着剤503eで接着された先端部材503dを有する。先端部材503dは、側面に窪み503fがあり、この先端部材503dの突出部および窪み503fにバネ部材505cの先端の把持部分が係合できるように形成されている。先端部材503dは、バネ部材505cの先端を押し広げることができる程度の硬度を有する。
【0115】
先端側ストッパ505に躯体503を固定するには、図63に示すように、躯体503先端の先端部材503dを躯体挿入用穴505bに挿入する。先端部材503dをさらに奥に挿入すると、先端部材503dは、バネ部材503dの先端を押し広げることによって、バネ部材503dの内側に突出部505dの窪みが嵌り、躯体挿入用穴505bに固定される。この結果、先端側ストッパ505と躯体503とが固定される。
【0116】
先端側ストッパ505と躯体503との固定を解除する場合には、先端512aから紫外線を照射する紫外線照射部材512を、スペースとして機能する躯体503の内部ルーメン3cに矢印のように挿入して紫外線照射部材512から紫外線を出力することによって、躯体503の先端503aと突出部505dとを接着している接着剤503cを劣化させて、先端部材503dを躯体503の先端503aから分離させる。この結果、先端側ストッパ505と躯体503本体とが分離可能となる。なお、先端部材503dは、先端側ストッパ505内に残留することとなる。
【0117】
この実施の形態5のようにバネ部材505dを利用した場合も、先端側ストッパ505と躯体503先端とを適切に固定できるとともに、躯体3内部に紫外線照射部材512を挿入するだけで、躯体503本体を先端側ストッパ505から分離して生体組織外に容易に抜き出すことができる。
【0118】
なお、接着剤503eを紫外線によって劣化させて先端側ストッパ505と躯体503先端との固定を解除した例について説明したが、高周波あるいはレーザ光を出力する部材を内部ルーメン3cに挿入し、高周波あるいはレーザ光による熱によって、躯体503の接着剤503eを焼ききることによって、先端側ストッパ505と躯体503との固定を解除してもよい。
【0119】
(実施の形態5の変形例1)
次に、実施の形態5の変形例1について説明する。図64は、実施の形態5の変形例1における先端側ストッパを躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。図65は、実施の形態5の変形例1における躯体先端の斜視図である。図66および図67は、実施の形態5の変形例1における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【0120】
図64に示すように、実施の形態5の変形例1における先端側ストッパ5051は、略球形状の本体5051aに、躯体の先端が挿入される躯体挿入用穴5051bが形成されている。躯体用挿入用穴5051bは、底部にバネ部材505cと同様のバネ部材5051cが固定されており、バネ部材5051cが塑性域まで拡張可能なように底部側領域5051dが広くなっている。
【0121】
図65に示すように、実施の形態5の変形例1における躯体5031は、先端5031aには、拡張部材5031eが設けられる。拡張部材5031eは、内部に流体供給用の穴部5031gが形成され、該穴部5031gに流体が供給されることによって躯体5031の径方向に拡張可能である。拡張部材5031eは、柔軟な材料で形成される。拡張部材5031eの先端側には、バネ部材5051cの先端を押し広げることができる程度の硬度を有する先端部材5031dが形成される。躯体5031は、薬剤供給用の内部ルーメン3cとは別に、拡張部材5031eに液体あるいは気体などの流体を送達する拡張用ルーメン5031fが形成されている。拡張用ルーメン5031fは、先端が拡張部材5031e内部の穴部5031gに連通するとともに、基端が、躯体5031の基端部まで延伸する。
【0122】
図66に示すように、先端側ストッパ5051に躯体5031先端を固定するには、まず、躯体5031先端の突出部5031dおよび拡張部材5031eを躯体挿入用穴5051bに挿入する。突出部5031dをさらに奥に挿入すると、突出部5031dは、バネ部材5051cの先端を押し広げ、この結果、バネ部材5051cは、拡張部材5031eを変形させながら把持し、躯体挿入用穴5051bに躯体5031が固定される。
【0123】
先端側ストッパ5051と躯体5031との固定を解除する場合には、拡張用ルーメン5031fに基端から流体を供給する。図67に示すように、拡張用ルーメン5031fに供給された流体は、矢印Y51に示すように、拡張部材5031eの穴部5031gに到達する。拡張部材5031eは、この穴部5031gへの流体の供給によって躯体5031の径方向に拡張し、バネ部材5051cを把持方向とは逆方向、すなわち、外側に押し広げてバネ部材5051cの先端が開くようにバネ部材5051cを塑性変形させる。この結果、バネ部材5051cは、拡張部材5031eの把持を解除するため、先端側ストッパ505と躯体503とが分離可能となる。拡張部材5031eと拡張部材5031e内部に供給される流体は、先端側ストッパ5051と躯体5031本体との固定を解除する機能を有する。
【0124】
この場合も、先端側ストッパ5051と躯体5031先端とを適切に固定できるとともに、生体組織外から流体を供給するというという簡易な作業を行うだけで、躯体5031を先端側ストッパ5051から分離して生体組織外に抜き出すことができる。
【0125】
(実施の形態5の変形例2)
次に、実施の形態5の変形例2について説明する。図68は、実施の形態5の変形例2における先端側ストッパおよび躯体先端部の斜視図である。図69〜図71は、実施の形態5の変形例2における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【0126】
図68および図69に示すように、先端側ストッパ5052は、内部に空洞5052cが形成された略球形状の本体に、躯体の先端が挿入される躯体挿入用穴5052bが形成されている。先端側ストッパ5052の空洞5052cには、躯体挿入用穴5052bの開口と対向するように、躯体先端を把持する把持部材5052Aが取り付けられている。把持部材5052Aは、2枚の板状部材5052Aaの一方の端部同士がヒンジ5052Abで固定された構成を有し、図69の左右方向に開閉可能となっている。各板状部材5052Aaの他方の端部は、内側に折れており、折れた部分の中央5052Acは、躯体5032の形状に対応させて略半円状にくぼんでいる。各板状部材5052Aaは、先端側ストッパ5052内壁から伸びるバネ部材5052dによって、内側の方向に付勢されている。
【0127】
実施の形態5の変形例2における躯体5032は、先端5032a近傍に、溝5032dが形成されており、板状部材5052Aa端部の中央5052Acが嵌るようになっている。
【0128】
先端側ストッパ5052に躯体5032先端を固定するには、躯体5032の先端5032aを躯体挿入用穴5051bに挿入する。この場合、把持部材5052Aの板状部材5052Aa端部がバネ部材5052dの付勢力によって内側方向にそれぞれ押されているため、躯体5032の先端5032aは、板状部材5052Aa端部に突き当たる。その後、図69に示すように、躯体5032の内部ルーメン3cに、芯材5122を挿入し、芯材5122を、矢印Y53のように、躯体5032の先端5032aから突出して板状部材5052Aaに押し当たるまで先端側ストッパ5052内部にさらに押し入れる。板状部材5052Aaは、芯材5122に押されることによって、バネ部材5052dの付勢力に逆らって矢印Y54のように左右方向に開く。この状態で、躯体5032をさらに奥に挿入して、把持部材5052A内部に躯体5032の先端5032aを進入させる。続いて、芯材5122を内部ルーメン3cから抜き出すと、バネ部材5052dの付勢力によって板状部材5052Aaが内側に押され、図70のように板状部材5052Aa端部の中央5052Acが躯体5032の窪み5032dに嵌る。板状部材5052Aaは、バネ部材5052dによって内側方向に付勢されたままため、躯体5032先端の把持を継続する。この結果、先端側ストッパ5052と躯体5032とが固定される。
【0129】
先端側ストッパ5052と躯体5032との固定を解除する場合には、先端側ストッパ5052と躯体5032との固定時と同様に、図71の矢印に示すように、躯体5032の内部ルーメン3cに、再度、芯材5122を挿入する。そして、芯材5122を板状部材5052Aaに押し当たるまで先端側ストッパ5052内部にさらに押し入れて、板状部材5052Aaを図70の矢印のように左右方向に開かせて、躯体5032の把持を解除させた状態で、躯体5032を抜き出せばよい。
【0130】
この場合も、先端側ストッパ5052と躯体5032先端とを適切に固定できるとともに、躯体5032本体を先端側ストッパ5052から分離して生体組織外に容易に抜き出すことができる。
【0131】
なお、実施の形態5の変形例2は、基端側ストッパにも適用可能である。図72は、実施の形態5の変形例2における基端側ストッパおよび躯体先端部の斜視図である。図72に示すように、実施の形態5の変形例2における基端側ストッパ5063は、上下に開口5063bが形成されており、開口5063bにそれぞれ連通するように内部に空洞が形成されている。基端側ストッパ5063の内部空洞には、躯体5033の一部を把持する把持部材5063Bが取り付けられている。把持部材5063Bは、2枚の板状部材5063Baの一方の端部同士がヒンジ5063Bbで固定された構成を有する。各板状部材5063Baの他方の端部は、内側に折れており、中央5063Bcが略半円状に窪み、躯体5033外面の窪み5033dに嵌るようになっている。把持部材5063B上部には、躯体5053が貫通可能となるように、穴5063Bdが開いている。板状部材5063Ba側面には、永久磁石5063Beがそれぞれ設けられている。
【0132】
この場合には、躯体5033を基端側ストッパ5063に挿入後、躯体5033の内部ルーメンに、永久磁石5063とは同極性の永久磁石を有する芯材を挿入し、永久磁石5063と、芯材の永久磁石との反発力を利用して、板状部材5063Baを左右に開閉させて、基端側ストッパ5063と躯体5033の固定および固定解除を行なえばよい。
【0133】
(実施の形態5の変形例3)
次に、実施の形態5の変形例3について説明する。図73および図74は、実施の形態5の変形例3における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【0134】
図73に示すように、実施の形態5の変形例3における先端側ストッパ5054は、略球形状の本体5054aに、躯体の先端が挿入される躯体挿入用穴5054bが形成されている。躯体用挿入用穴5054bは、底部にバネ部材5054c(把持部材)が固定されており、バネ部材5054cが変形域まで拡張可能なように底部側領域5054dが広くなっている。バネ部材5054cは、形状記憶合金で形成されており、約20〜約40℃では図73のように屈曲する形状をなし、それより低い温度(例えば5℃)もしくは高い温度(例えば80℃)では、図74のように屈曲を解除し広がる形状をなす。
【0135】
図73に示すように、実施の形態5の変形例3における躯体5034は、先端5034a近傍の側面に窪み5034fが形成されており、この窪み5034fにバネ部材5054cの先端が嵌合する。
【0136】
先端側ストッパ5054に躯体5034を固定するには、躯体5034の先端5034aを躯体挿入用穴5051bに挿入し、バネ部材503d先端を押し広げて、バネ部材503dの内側に突出部505dの窪み5034fを嵌めればよい。生体内は通常約20〜約40℃の温度を保持するため、バネ部材5054cは、図73に示すように屈曲する形状を保持し、躯体5034の把持を継続する。
【0137】
先端側ストッパ5054と躯体5034との固定を解除する場合には、図74に示すように、40℃以上の熱を発する熱源部材5124を躯体5034の内部ルーメン3cに挿入して、バネ部材5054cを広げて、バネ部材5054cの把持を解除すればよい。この固定解除に要する時間は非常に短いため、バネ部材5054cの形状変化のための環境温度の変化は許容される範囲内である。特に、生体は、血流等による温度保持能力があるので影響は少ない。また、熱源部材5124に代えて、20℃以下の冷却源部材を内部ルーメン3cに挿入して、バネ部材5054cを広げてもよい。なお、先端側ストッパ5054と躯体5034との固定を解除する場合と同様に、先端側ストッパ5054に躯体5034を固定する場合にも熱源部材5124を用いてバネ部材5054cを広げてから、躯体5034を先端側ストッパ5054内部に挿入後、熱源部材5124を抜き出せば、躯体5034の挿入が容易化できる。
【0138】
実施の形態5の変形例3は、基端側ストッパにも適用可能である。図75および図76は、実施の形態5の変形例3における基端側ストッパおよび躯体を、躯体の長軸の中心軸に沿って切断した図である。
【0139】
図75に示すように、実施の形態5の変形例3における基端側ストッパ5065は、上下に開口5065bが形成されており、開口5065bにそれぞれ連通するように内部に空洞5065dが形成されている。空洞5065dの内壁には、バネ部材5054cと同様の形状記憶合金によって形成されたバネ部材5065e(把持部材)の一端が固定されている。バネ部材5065cは、約20〜約40℃では、図75のように屈曲して躯体3側面を押圧する形状をなし、それより低い温度(例えば5℃)もしくは高い温度(例えば80℃)では、図76のように屈曲を解除し広がる形状をなす。
【0140】
基端側ストッパ5065についても、先端側ストッパ5054と同様に、躯体3との固定および躯体3との固定解除においては、熱源部材5124あるいは冷却源部材を用いてバネ部材5065cを広げてから、躯体3の基端側ストッパ5065内部への挿入あるいは躯体3の基端側ストッパ5065からの抜き出しを行なえばよい。なお、躯体3側面に、バネ部材5054の屈曲部分が嵌る窪み3pを設けて、固定を確実化させてもよい。
【0141】
(実施の形態5の変形例4)
次に、実施の形態5の変形例4について説明する。図77は、実施の形態5の変形例4における躯体先端の斜視図である。図78および図79は、実施の形態5の変形例4における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【0142】
図77に示すように、実施の形態5の変形例4における躯体5036は、先端5036a近傍の側面に窪み5036dが形成されており、この窪み5036dに後述する先端側ストッパのバネ部材が嵌合する。
【0143】
図78に示すように、実施の形態5の変形例4における先端側ストッパ5056は、略球形状の本体5056aに、躯体の先端が挿入される躯体挿入用穴5056bが形成されている。躯体用挿入用穴5056bにはバネ部材5056eが固定されており、躯体挿入用穴5056bは、バネ部材5056eが形成される部分5056cは広くなっており、その奥は、躯体5036の外径に対応する。躯体挿入用穴5056bの底部部分5056dは、円錐を切り取った形状となっている。
【0144】
先端側ストッパ5056に躯体5036を固定するには、躯体5036の先端5036aを躯体挿入用穴5056bのバネ部材5056e形成位置までに挿入する。続いて、図79のように、躯体5036の内部ルーメン3cに芯材5126を挿入し、芯材5126を、矢印Y56のように、先端5126aが躯体5036の先端5036aから突出して躯体挿入用穴5056bの底部に押し当たるまで先端側ストッパ5056内部に押し入れる。さらに、芯材5126を躯体挿入用穴5056bの底部に押し当てると、躯体挿入用穴5065bが矢印Y57のように開く。躯体5036を躯体挿入用穴5056bの奥に挿入後、芯材5126を躯体5036の内部ルーメン3cから抜き出すと、躯体挿入用穴5056bが図79のように元の大きさに戻り、バネ部材5056cが躯体5036の躯体5036の窪み5036dに嵌り、躯体5032先端を把持して固定する。先端側ストッパ5056と躯体5036との固定を解除する場合には、同様に、芯材5126を躯体5036の内部ルーメン3cに押し入れて、先端側ストッパ5056の躯体挿入用穴5056bを押し開いてバネ部材5056eの把持を解除した状態で、躯体5036を先端側ストッパ5056から抜き出せばよい。
【0145】
(実施の形態6)
次に、実施の形態6について説明する。実施の形態6では、躯体側に、躯体から着脱可能なバネ部材を設けた場合を例に説明する。
【0146】
図80は、実施の形態6における先端側ストッパを躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。図81は、実施の形態6における躯体先端を躯体の長軸の中心軸に沿って切断した図である。図82は、実施の形態6における躯体の使用前の状態を示す断面図である。図83は、実施の形態6における先端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【0147】
図80に示すように、実施の形態6における先端側ストッパ605は、略球形状の本体605aに、躯体挿入用穴605bが形成されている。躯体挿入用穴605bは、内部内径よりも広い径の開口部605cが形成されており、開口部605cから本体605a内部に向かって狭くなるように傾斜が設けられている。
【0148】
図81に示すように、実施の形態6における躯体603は、先端603aに開口603dが形成されており、開口603dには、この開口603dを押し広げるようにバネ部材603eが挿入される。このバネ部材603eは、バネ部材603e端部が開口603dから突出するように開口603dに挿入されることによって、躯体603先端に装着される。また、バネ部材603eは、基端を先端方向に押されることによって、開口603dから押し出され、躯体603から脱離する。躯体603と穿刺針2との分離前においては、バネ部材603eは、図82に示すように、管状の接続部材609内部に挿入され、接続部材609内壁によって端部が広がらないように保持されている。
【0149】
先端側ストッパ605に躯体603を固定するには、図82に示す接続部材609を躯体603の先端603aから取り外した後、躯体603先端のバネ部材603eを開口部605cから躯体挿入用穴605bに挿入する。開口部605cは、躯体挿入用穴605bの内径よりも広く形成されるため、バネ部材603eから接続部材609が取り外されてバネ部材603eが広がっても、躯体挿入用穴605bに挿入可能である。バネ部材603eは、躯体挿入用穴605bの径方向に広がる弾性力を有する。このため、躯体603を躯体挿入用穴605bのさらに奥に挿入すると、図83に示すように、バネ部材603eは、躯体挿入用穴605bの内壁を矢印Y61のように押圧する。言い換えると、バネ部材603eは、躯体挿入用穴605bに躯体603の先端603aが挿入された場合に、弾性力によって躯体挿入用穴605bの側面に当て付いて躯体603の先端603aを躯体挿入用穴605bに固定する固定部材として機能する。
【0150】
先端側ストッパ605と躯体603との固定を解除する場合には、図83の矢印Y62のように、芯材612を躯体603の内部ルーメン3cに挿入して、バネ部材603e基端を躯体603の開口603dから押し出して、バネ部材603eを躯体603から分離する。この結果、躯体603を、先端側ストッパ605から抜き出すことができる。
【0151】
この実施の形態6のように躯体603に脱着可能であるバネ部材603eを備えた場合も、先端側ストッパ605と躯体603先端とを適切に固定できるとともに、バネ部材603eを躯体603内部からの操作で躯体603から押し出すだけで、躯体603本体を先端側ストッパ605から分離して生体組織外に抜き出すことができる。
【0152】
なお、図84の躯体6031に示すように、内部ルーメン3cと、先端6031a側のバネ部材603eの挿入領域6031fとを遮断する遮断壁6031gを設けてもよい。この躯体6031を先端側ストッパ605から抜き出す場合には、図85に示すように、管状のシース13内に針部材14を収納した状態で、針部材14を遮断壁35iに当たるまで内部ルーメン3cに挿入し、シース13の先端13aから針部材14の先端14aを突出させて遮断壁6031gを切り裂く。シース13の内部に針部材14を収納した後、シース13と針部材14を一緒に抜き去り、代わりに、芯材612を躯体603の内部ルーメン3cに挿入して、バネ部材603e基端を躯体603の開口603dから押し出して、バネ部材603eを矢印Y63のように躯体6031から分離する。また、シース13の内部に針部材14を収納してからシース13と針部材14を一緒に抜き去った後に、内部ルーメン3c内に流体を供給して、この流体による加圧を用いてバネ部材603eを躯体6031から押し出してもよい。また、バネ部材603eの矢印Y64に示す脱離方向の力を供給すればバネ部材6031eを躯体6031から脱離させることができるため、先端6031aまで内部ルーメン3cが開通した後に、シース13内から針部材14を抜き出してから、シース13内に流体を供給して、この流体による加圧を用いてバネ部材603eを躯体6031から押し出してもよい。この場合、針部材14で遮断壁6031gを切り裂いた後、シース13を針部材14に沿って押し込み、その後、針部材14のみ抜去することにより、遮断壁6031gによって流体抵抗が生じるのを防ぐことができる。さらに、シース13の内径がシース13の先端部13aでのみ針部材14の外径に接するように構成することによって、シース13と針部材14の摺動性を向上させることができる。
【0153】
(実施の形態7)
次に、実施の形態7について説明する。図86は、実施の形態7における先端側ストッパを躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。図87は、図86のF矢視図である。図88および図89は、実施の形態7における先端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【0154】
図86および図87に示すように、実施の形態7における先端側ストッパ705は、略球形状の本体705aに、躯体挿入用穴705bが形成されている。躯体挿入用穴705bは、底部に突出部材705e(突出部)が固定されている。突出部材705eの側面には、後述するバネ部材703e先端が嵌るように窪みが形成されている。躯体挿入用穴705bの底部領域705dは、開口部よりも広くなっている。
【0155】
図88に示すように、実施の形態7における躯体703は、先端703aにバネ部材703eが接続している。バネ部材703e(把持部材)の各端部703fは、それぞれ、躯体703の先端部分の側壁に挿入された状態で固定される。バネ部材703eは、特に外力が加えられていない状態では、躯体703の径方向に広がらない形状を保持する。
【0156】
先端側ストッパ705に躯体703を固定するには、躯体703の先端703aを躯体挿入用穴705bに挿入した後に、図88のように、躯体703の内部ルーメン3cに芯材712を挿入し、芯材712を、図89の矢印のように、躯体703の先端703aから突出させてバネ部材703eを躯体703の径方向に押し開く。この状態で、躯体703を躯体挿入用穴705bに挿入後、芯材712を内部ルーメン3cから抜き出す。この結果、バネ部材703eは、内側に閉じて突出部705eの窪みに嵌り、躯体703先端を把持して固定する。
【0157】
先端側ストッパ705と躯体703との固定を解除する場合には、同様に、芯材712を躯体703の内部ルーメンに押し入れてバネ部材703eを押し開き、バネ部材703eの把持を解除した状態で、躯体703を先端側ストッパ705から抜き出せばよい。すなわち、把持方向とは逆方向に押し広げる力をバネ部材703eに供給してバネ部材703eの把持を解除すればよい。
【0158】
この実施の形態7のように、躯体703先端に躯体挿入用穴705b内の突出部705eを把持できるバネ部材703eを設けた場合も、バネ部材703eを躯体703内部からの操作で押し開くことによって、先端側ストッパ705と躯体703先端とを適切に固定できるとともに、躯体703本体を先端側ストッパ705から分離して生体組織外に容易に抜き出すことができる。
【0159】
(実施の形態8)
次に、実施の形態8について説明する。図90は、実施の形態8における先端側ストッパを躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。図91は、図90のI−I線断面図である。図92は、実施の形態8における躯体先端の斜視図である。図93および図94は、実施の形態8における先端側ストッパおよび躯体を、躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【0160】
図90および図91に示すように、先端側ストッパ805は、略球形状の本体805aに、躯体の先端が挿入される躯体挿入用穴805bが形成されている。躯体挿入用穴805bは、開口部分と底部部分805eは、ほぼ同等の内径である。躯体挿入用穴805bは、後述する拡張部材803eが拡張可能なように中央部分805dが広くなっている。
【0161】
図92および図93に示すように、実施の形態8における躯体803は、先端803aには、拡張部材803eが設けられる。拡張部材803eは、内部に後述する拡張制御部材812が配置される穴部803gが形成され、躯体803の径方向に拡張可能である。拡張部材803eは、柔軟な材料で形成される。拡張部材803eの先端側には、拡張部材803eよりも硬い材料で形成された先端部材803dが形成される。
【0162】
先端側ストッパ805に躯体803先端を固定するには、図93に示すように、躯体803先端の突出部803dが躯体挿入用穴805bの底部部分805eに当て付くまで躯体挿入用穴805bに躯体803を挿入する。続いて、躯体803の内部ルーメン3cに、拡張制御部材812を、拡張部材803eの穴部803eに形成領域に到達するまで挿入する。拡張制御部材812は、特に外力が加えられていない状態においては、躯体803の径方向に広がった形状を保持するバネ部材812aが先端に設けられている。このため、拡張制御部材812が拡張部材803e形成領域に到達するまで挿入されると、図94に示すように、バネ部材812aが躯体803の径方向に広がって、拡張部材803eを躯体803の径方向に拡張させる。この結果、拡張部材803eは、拡張制御部材812aのバネ部材812aの広がりにしたがって、躯体803の径方向に拡張することで躯体挿入用穴805bの側面に当て付いて躯体803先端を躯体挿入用穴805bに固定する。なお、薬剤投与中は、躯体803基端と拡張制御部材812の基端とを、所定のロック機構によって位置決めすれば、拡張制御部材812の位置ずれを防止できる。
【0163】
先端側ストッパ805と躯体803との固定を解除する場合には、拡張制御部材812を拡張部材803eよりも基端側に引き出して、拡張制御部材812を拡張部材803e形成領域から退避させる。この結果、拡張部材803eは、収縮し、躯体挿入用穴805bの側面への当て付きを解除する。この結果、躯体803先端の躯体挿入用穴805bに対する固定が解除されるため、拡張制御部材812とともに躯体803を抜き出せばよい。
【0164】
この実施の形態8のように、躯体803先端に拡張部材803eを設けて、拡張制御部材812によって拡張させることによって、先端側ストッパ805と躯体803先端とを適切に固定できるとともに、拡張制御部材812を退避させるだけで、拡張部材803eを収縮させて躯体803本体を先端側ストッパ805から分離して生体組織外に抜き出すことができる。
【0165】
なお、実施の形態8においては、図95および図96に示す躯体8031を用いてもよい。躯体8031は、薬剤供給用の内部ルーメン3cとは別に、拡張部材803eに液体あるいは気体などの流体を送達する拡張用ルーメン8031fが形成されている。拡張用ルーメン8031fは、先端が拡張部材8031e内部に連通するとともに、基端が、躯体8031の基端部まで延伸する。先端側ストッパ805に躯体8031先端を固定するには、図96に示すように、躯体8031先端の突出部8031dが躯体挿入用穴805bの底部部分805eに当て付くまで躯体挿入用穴805bに躯体8031を挿入した後に、躯体8031の拡張用ルーメン8031fに、基端から流体を供給して、拡張部材803eを拡張させる。拡先端側ストッパ805と躯体8031との固定を解除する場合には、拡張用ルーメン8031fの流体を、基端から躯体8031外に排出し、拡張部材8031eを収縮させればよい。
【0166】
また、実施の形態8は、基端側ストッパにも適用可能である。図97は、実施の形態8における基端側ストッパおよび躯体を、躯体の長軸の中心軸に沿って切断した図である。図97に示すように、実施の形態8における基端側ストッパ8062は、略球形状の本体8062aに、躯体が挿通できる貫通穴8062bが形成されている。躯体8032は、側面に拡張部材8032eが設けられている。躯体8032は、薬剤供給用の内部ルーメン3cとは別に、拡張部材8032eに液体あるいは気体などの流体を送達する拡張用ルーメン8032gが形成されている。拡張用ルーメン8032gは、先端側の開口8032hが拡張部材8032e内部に連通するとともに、基端が、躯体8032の基端部まで延伸する。
【0167】
基端側ストッパ8062に躯体8032を固定するには、躯体8032を躯体挿入用の貫通穴8062bに躯体8032を貫通させた後に、躯体8032の拡張用ルーメン8032gに、基端から流体を供給して、拡張部材8032eを拡張させればよい。基端側ストッパ8062と躯体8032との固定を解除する場合には、拡張用ルーメン8032gの流体を、基端から躯体8032外に排出し、拡張部材8032eを収縮させればよい。
【0168】
また、基端側ストッパ固定部と、先端部との双方にそれぞれ拡張部材を設ける場合について説明する。この場合には、図98の躯体8033に示すように、躯体8033の長軸方向と直交する断面を見た場合、先端部の拡張部材への流体供給用の拡張用ルーメン8033fと、基端側ストッパ固定部の拡張部材への流体供給用の拡張用ルーメン8033gとを、交互に配置すると、躯体8033の外径をより細くでき、さらに各拡張部材を均等に膨らませることができる。
【0169】
(実施の形態8の変形例1)
次に、実施の形態8の変形例1について説明する。図99は、実施の形態8の変形例1における躯体先端の斜視図である。図100は、実施の形態8の変形例1における先端側ストッパおよび躯体を躯体の先端側ストッパへの差し込み方向に沿って切断した図である。
【0170】
図99に示すように、実施の形態8の変形例1における躯体8034は、先端8034aには、躯体8034の径方向に拡張可能である拡張部材8034tが設けられる。拡張部材8034tは、柔軟な材料で形成される。拡張部材8034tの先端側には、拡張部材8034tよりも硬い材料で形成された先端部材8034dが形成される。
【0171】
拡張部材8034tには、長軸方向に、複数のスリット8034sが形成されている。スリット8034sで区切られた部分には、熱伝導をよりよくするため、バネ部材5054cと同様の形状記憶合金によって形成された線材8034eが内壁から露出するように貼り付けられている。線材8034eは、約20〜約40℃では、図100のように躯体8034径方向に向かって屈曲する形状をなし、それより低い温度(例えば5℃)もしくは高い温度(例えば80℃)では、図99のように屈曲を解除し延伸した形状をなす。なお、この針金8034eは、スリット8034sで区切られた部分の内壁に埋め込まれていてもよい。
【0172】
そして、躯体8034には、薬剤供給用の内部ルーメン8034cとは別に、熱源部材あるいは冷却源部材が挿入されるルーメン8034fが形成されている。
【0173】
先端側ストッパ805に躯体8034先端を固定するには、熱源部材あるいは冷却源部材をルーメン8034fに挿入して、拡張部材8034tの線材8034eを延伸した状態で、躯体8034先端の先端部材8034dが躯体挿入用穴805bの底部部分805eに当て付くまで躯体挿入用穴805bに躯体8034を挿入する。そして、熱源部材あるいは冷却源部材を躯体8034のルーメン8034fから抜き出す。この結果、線材8034eを広げてから、躯体3の基端側ストッパ5065内部への挿入あるいは躯体3の基端側ストッパ5065からの抜き出しを行なえばよい。生体内は通常約20〜約40℃の温度を保持するため、線材8034eは、図100のように躯体8034の径方向に向かって屈曲する形状を保持し、躯体挿入用穴805bの中央部分805dの内壁に当て付いて、躯体8034先端を先端側ストッパ805内に固定する。
【0174】
先端側ストッパ805と躯体8034との固定を解除する場合には、再度、熱源部材あるいは冷却源部材をルーメン8034fに挿入して、拡張部材8034tの線材8034eを延伸させた状態にする。この結果、線材8034eによる躯体挿入用穴805bの中央部分805dの内壁への当て付きが解除されるため、熱源部材あるいは冷却源部材ごと躯体8034を抜き出せばよい。
【0175】
なお、穿刺針2の基端2bと躯体3の先端3aとを接続する接続部材は、図5に示す接続部材9に限らない。たとえば、図101に示すように、躯体903の先端903aに、外側面に雄ネジ903eを切った突出部903dを設け、中実の本体部909cに、内側面に雌ネジ903bを切った管状の基端部909aを備えた接続部材909を用いてもよい。本体部909cは、管状の基端部909aと穿刺針2の間には、穿刺針2による誤穿刺を防止するために、ネジを緩める前に穿刺針2を除去するための切断部として機能する。言い換えると、この本大部909cを切断して、躯体903と穿刺針2とを分離できるようになっている。カテーテルの穿刺後、穿刺針2を本体部909cで切断して除去した後、ネジを緩めることによって、基端部909aを躯体903先端から外せばよい。
【0176】
また、図102の躯体1003のように、本体よりも外径が小さい先端部1003aの外側面に、屈曲したガイド溝1003dを設け、図103に示す穿刺針1002の基端部1002bに、ガイド溝1003dに嵌合する突起1002dを有する接続部材1009を設けてもよい。初期状態では、ガイド溝1003dに突起1002dが嵌められた状態で接続部材1009が躯体1003先端に取り付けられており、ガイド溝1003dに沿って突起1002dを先端側に動かすことで、接続部材1009を躯体1003先端から取り外すことができる。
【0177】
また、図104および図105に示すように、クリップ部材を用いて接続する接続部材1109を用いてもよい。図104は、本実施の形態の他の例における躯体先端、接続部材および穿刺針基端を、長軸方向の中心軸に沿って切断した図である。図105は、図104に示すJ−J線断面図である。
【0178】
図104よび図105に示すように、穿刺針2の基端2bには、柔軟な接合部1109aが接続しており、接合部1109aの基端にクリップの二つの板部材1009bが対向して設けられる。二つの板部材1109bは、バネ1109cを介して接続している。クリップを構成する対向した板部材1109bの間にも柔軟なシート1109dが形成されており、クリップ内部が露出して汚れないようになっている。躯体1103の先端1003aには、クリップの板部材1009bの嵌合部に嵌合可能である溝1103eが設けられた突出部1003dが設けられる。この場合には、躯体1103チューブ先端の突出部1103dの溝1103eに嵌っている板状部材1109bの先端をクリップを操作して外すことによって、穿刺針2を躯体1103から分離することができる。
【符号の説明】
【0179】
1 カテーテル
2,1002 穿刺針
3,31〜36,38,203,2031,403,503,5031〜5034,5036,603,6031,703,803,8031〜8034 躯体
4 側孔
5,51,52,56〜58,205,305,3051,405,505,5051,5052,5054,5056,605,705,805 先端側ストッパ
5b,56b,58b,6b,61b,63b,205b,206b,305b,306b,405b,505b,5051b,5052b,5063b,5054b,5065b,5056b,605b,705b,805b 躯体挿入用穴
5c,56f,61c 糸挿通用穴
6,6A,6B,61〜63,206,306,5063,5065,8062 基端側ストッパ
7 ポンプ
8 リザバー
9,909,1009,1109 接続部材
11 糸
12,12A 切断部材
13 シース
14 針部材
15 躯体側糸(第2の糸)
16 回収シース
36j1,36j2,38m 糸挿通用ルーメン(スペース)
212 固定解除部材
403d ワイヤ挿通用ルーメン(スペース)
416 ワイヤ
417 押さえ管
418 ボール部材
419 弾性部材
312,512 紫外線照射部材
503d 先端部材
503f 窪み
505c,603e,703e,5051c,5054c,5065e,5056e バネ部材
612,712,5122,5126 芯材(固定解除手段)
705e 突出部材(突出部)
803d,5031e,8031e 拡張部材
803g,5031g 穴部
812 拡張制御部材
5124 熱源部材
5031f 拡張用ルーメン(スペース)
5953A,5063B 把持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織内に少なくとも一部が導入されるカテーテルであって、
内部ルーメンと、前記内部ルーメンに連通する側孔を有する躯体と、
鋭利な先端を有し、前記躯体と分離可能に接続する穿刺針と、
前記躯体に接続されて前記躯体を前記生体組織に固定するストッパと、
前記ストッパと前記躯体とを固定する固定部材と、
を備え、
前記躯体内部には、前記生体組織外に連通し、前記固定部材の固定を解除するために使用されるスペースが設けられることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記スペースに配置され、前記固定部材の固定解除の際に前記固定部材の固定を解除する固定解除手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記固定部材の一部は、前記スペースに挿通されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記固定部材は、糸であり、
前記ストッパは、
前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴と、
前記躯体挿入用穴と連通し、前記糸が挿通される糸挿通用穴と、
を備え、
前記糸は、前記糸挿通用穴を介して、前記躯体挿入用穴に挿入された前記躯体の前記内部ルーメンを貫通するとともに前記ストッパ外部で両端が結ばれることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記固定解除手段は、前記糸を切断する切断部材であることを特徴とする請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記固定部材は、糸であり、
前記ストッパは、
前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴と、
前記躯体挿入用穴と連通し、前記糸が挿通される糸挿通用穴と、
を備え、
前記糸は、前記糸挿通用穴を介して、前記躯体挿入用穴に挿入された前記躯体の前記内部ルーメンを貫通するとともに、前記スペースに挿通し、前記生体組織外において両端が結ばれることを特徴とする請求項3に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記固定部材は、互いに係合し合う第1の糸と第2の糸であり、
前記ストッパは、
前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴と、
前記躯体挿入用穴と連通し、前記第1の糸が挿通される糸挿通用穴と、
を備え、
前記第1の糸は、躯体に挿入され、
前記第2の糸は、前記スペースに挿通され、前記スペースの途中で前記第1の糸と係合して、前記生体組織外で両端が結ばれることを特徴とする請求項3に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記ストッパは、前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴を有し、
前記固定部材は、前記躯体挿入用穴に設けられ、前記躯体の一部を把持可能である把持部材であり、
前記躯体は、前記把持部材の把持部材と係合する係合部を有する先端部材が接着剤によって先端に接着されており、
前記固定解除手段は、前記接着剤に紫外線または熱を供給することによって前記接着剤による前記躯体と前記先端部材との接着を解除して、前記躯体を前記先端部材から分離させることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記ストッパは、前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴を有し、
前記躯体は、内部に流体供給用の穴部が形成されており、該穴部に流体が供給されることによって前記躯体の径方向に拡張可能である拡張部材を先端に有し、
前記固定部材は、前記躯体挿入用穴に設けられ、前記拡張部材を把持可能である把持部材であり、
前記固定解除手段は、前記拡張部材と、前記拡張部材内部に供給される流体とを有し、
前記拡張部材は、前記流体の前記穴部への供給によって前記躯体の径方向に拡張し、前記把持部材を把持方向とは逆方向に押し広げて前記把持部材の把持を解除することを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記ストッパは、前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴を有し、
前記固定部材は、前記躯体挿入用穴に設けられ、前記躯体の一部を把持可能である把持部材であり、
前記固定解除手段は、前記把持部材を把持方向とは逆方向に押し広げる力を供給して前記把持部材の把持を解除することを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記ストッパは、前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴を備え、
前記固定部材は、前記躯体に着脱可能に設けられ、前記躯体挿入用穴の径方向に広がる弾性力を有するバネ部材であって、前記躯体挿入用穴に前記躯体の一部が挿入された場合に前記弾性力によって前記躯体挿入用穴の側面に当て付いて前記躯体の一部を前記躯体挿入用穴に固定し、
前記固定解除手段は、前記バネ部材の脱離方向の力を供給して前記バネ部材を前記躯体から脱離させることによって前記バネ部材による前記躯体と前記ストッパとの固定を解除することを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記ストッパは、
前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴と、
前記躯体挿入用穴に設けられた突出部と、
を備え、
前記固定部材は、前記躯体に設けられ、前記突出部を把持可能である把持部材であり、
前記固定解除手段は、前記把持部材を把持方向とは逆方向に押し広げる力を供給して前記把持部材の把持を解除することを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記ストッパは、前記躯体の一部が挿入される躯体挿入用穴を備え、
前記固定部材は、前記躯体に設けられ、前記躯体の径方向に拡張可能である拡張部材であり、
前記スペースに配置され、前記拡張部材を前記躯体の径方向に拡張させる拡張制御手段をさらに備え、
前記拡張部材は、前記拡張制御手段によって前記躯体の径方向に拡張することで前記躯体測定用穴の側面に当て付いて前記躯体の一部を前記躯体挿入用穴に固定し、前記拡張制御手段の前記スペースからの退避によって収縮することで前記躯体測定用穴の側面への当て付きを解除して前記躯体の一部の前記躯体挿入用穴に対する固定を解除することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記内部ルーメンは、前記スペースとして機能することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記躯体は、前記固定部材が配置する領域と前記内部ルーメンとを遮断する遮断部材を有し、
前記内部ルーメンは、前記遮断部材が除去されることによって前記固定部材が配置する領域と連通して前記スペースとして機能することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記ストッパは、球形状をなすことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記穿刺針および前記躯体のそれぞれと接続する接続部をさらに備え、
前記穿刺針は、前記接続部が前記躯体から取り外されることで、前記躯体から分離することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【図92】
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【図93】
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【図94】
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【図95】
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【図96】
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【図97】
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【図98】
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【図99】
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【図100】
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【図101】
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【図102】
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【図103】
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【図104】
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【図105】
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