カバー部材
【課題】安全且つ円滑な充電作業を提供することができるカバー部材を提供する。
【解決手段】電気自動車を充電するための電力ケーブルと前記電気自動車とを接続するコネクタを覆うカバー部材であって、前記電力ケーブルの外周面に接続された基端部と、前記電気自動車に接続される先端部と、を含むとともに前記コネクタの周囲と取り巻く絶縁性のカバー要素と、前記電気自動車の充電量を通知する通知部と、を備え、前記カバー要素は、前記基端部と前記先端部との間で閉鎖空間を規定する内面を含み、前記通知部は、前記内面に取り付けられることを特徴とするカバー部材。
【解決手段】電気自動車を充電するための電力ケーブルと前記電気自動車とを接続するコネクタを覆うカバー部材であって、前記電力ケーブルの外周面に接続された基端部と、前記電気自動車に接続される先端部と、を含むとともに前記コネクタの周囲と取り巻く絶縁性のカバー要素と、前記電気自動車の充電量を通知する通知部と、を備え、前記カバー要素は、前記基端部と前記先端部との間で閉鎖空間を規定する内面を含み、前記通知部は、前記内面に取り付けられることを特徴とするカバー部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車を充電するための電力ケーブルのコネクタを覆うカバー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンをエネルギ源として走行するガソリン車に代替する車両として、電気をエネルギ源とする電気自動車の普及が推進されている。電気自動車の普及の推進に伴って、電気自動車を充電するための充電設備に対する様々な提案がなされている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1は、電気自動車を充電するための充電装置から延びる電力ケーブルのコネクタを開示する。特許文献1によれば、コネクタの表面に固着されたゴムカバーにより、コネクタと電気自動車との間の接触に起因する電気自動車の損傷が抑制される。
【0004】
特許文献2は、電気自動車のコネクタを開示する。特許文献2によれば、電力ケーブルのコネクタが挿入される凹部を閉塞するカバーと電気自動車のコネクタを防水する防水キャップとを連動させる連動構造によって、防水性及び防塵性が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−57814号公報
【特許文献2】特開平6−325819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気自動車と電力ケーブルとの間の接続を容易にするために、多くの場合、電気自動車に設けられたコネクタは、上向きに設置される。このため、コネクタが挿入される凹部に水が貯まりやすい。凹部に貯まった水中に電力ケーブルからの電気が流れることは、充電作業の安全面の観点から望ましくない。
【0007】
電気自動車に対して充電を行うための充電設備の課題として、長時間に亘る充電時間が挙げられる。一般的に、使用者は、充電作業を行うための充電パーキングに駐車した後、充電パーキングに設置された充電装置から延びる電力ケーブルと電気自動車とを接続させ、電気自動車への充電を行う。しかしながら、駐車スペースに近い充電装置が使用中であるときには、使用者は他の駐車スペースを探さなくてはならない。このことは、充電作業を非常に煩わしくする。
【0008】
本発明は、安全且つ円滑な充電作業に貢献することができるカバー部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面に係る電気自動車を充電するための電力ケーブルと前記電気自動車とを接続するコネクタを覆うカバー部材は、前記電力ケーブルの外周面に接続された基端部と、前記電気自動車に接続される先端部と、を含むとともに前記コネクタの周囲と取り巻く絶縁性のカバー要素と、前記電気自動車の充電量を通知する通知部と、を備え、前記カバー要素は、前記基端部と前記先端部との間で閉鎖空間を規定する内面を含み、前記通知部は、前記内面に取り付けられることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
上記構成によれば、カバー部材は、電気自動車を充電するための電力ケーブルと電気自動車とを接続するコネクタを覆う。電力ケーブルの外周面に接続された基端部と電気自動車に接続される先端部とを有する絶縁性のカバー要素は、コネクタ周囲を取り巻くので、充電作業を行う作業者とコネクタとの絶縁が好適に図られる。したがって、カバー部材は、安全な充電作業を提供することができる。基端部と先端部との間で閉鎖空間を規定する内面に通知部が取り付けられるので、電気自動車の充電量を通知する通知部は、風雨から好適に保護される。通知部は、電気自動車の充電状態を適切に通知できるので、円滑な充電作業を促すことができる。
【0011】
上記構成において、前記通知部は、前記内面に取り付けられた発光素子と、前記充電量に基づき前記発光素子を発光させる制御を行う制御部と、を含み、前記カバー要素は、前記発光素子からの光を透過させることが好ましい(請求項2)。
【0012】
上記構成によれば、電気自動車の充電量に基づき、発光素子が充電される。したがって、充電作業を行おうとする作業者は、他者の電気自動車の充電状況を発光素子の発光により知ることができる。
【0013】
上記構成において、前記制御部は、前記充電量に関する情報を表す充電量信号を受信する受信部と、前記充電量信号に基づき、前記発光素子を発光させるための発光電力の出力を制御する出力制御部と、を含むことが好ましい(請求項3)。
【0014】
上記構成によれば、受信部は、充電量に関する情報を表す充電量信号を受信する。また、出力制御部は、充電量信号に基づき、発光素子を発光させるための発光電力の出力を制御する。したがって、充電作業を行おうとする作業者は、他者の電気自動車の充電状況を発光素子の発光により知ることができる。
【0015】
上記構成において、前記充電量信号は、前記電気自動車から供給されることが好ましい(請求項4)。
【0016】
上記構成によれば、出力制御部は、電気自動車から供給された充電信号に基づき、発光素子を発光させるための発光電力を出力する。したがって、充電作業を行おうとする作業者は、他者の電気自動車の充電状況を発光素子の発光により知ることができる。
【0017】
上記構成において、前記充電量信号は、前記電力ケーブルを介して前記電気自動車を充電する充電装置から供給され、前記出力制御部は、前記充電装置から供給された供給電力を前記発光電力として前記発光素子に出力することが好ましい(請求項5)。
【0018】
上記構成によれば、出力制御部は、充電装置から供給された充電信号に基づき、発光素子を発光させるための発光電力を出力する。したがって、充電作業を行おうとする作業者は、他者の電気自動車の充電状況を発光素子の発光により知ることができる。
【0019】
上記構成において、前記制御部は、前記電力ケーブルを流れる電流の大きさを検出する電流検出部と、前記電流の大きさに基づき、前記発光素子を発光させるための発光電力の出力を制御する出力制御部と、を含むことが好ましい(請求項6)。
【0020】
上記構成によれば、電流検出部は、電力ケーブルを流れる電流の大きさを検出する。また、出力制御部は、電流の大きさに基づき、発光素子を発光させるための発光電力の出力を制御する。したがって、充電作業を行おうとする作業者は、他者の電気自動車の充電状況を発光素子の発光により知ることができる。
【0021】
上記構成において、前記充電量に対して、第1閾値と、該第1閾値より小さな第2閾値とが定められ、前記発光素子は、第1色相で発光する第1発光素子と、第2色相で発光する第2発光素子とを含み、前記出力制御部は、前記第1閾値よりも前記充電量が大きいとき前記第1発光素子を発光させ、前記第2閾値よりも前記充電量が小さいとき前記第2発光素子を発光させることが好ましい(請求項7)。
【0022】
上記構成によれば、出力制御部は、第1閾値よりも充電量が大きいとき第1発光素子を発光させ、第1の閾値より小さな第2閾値よりも前記充電量が小さいとき前記第2発光素子を発光させる。したがって、充電作業を行おうとする作業者は、他者の電気自動車の充電状況を発光素子の発光により知ることができる。
【0023】
上記構成において、前記発光素子は、第3色相で発光する第3発光素子を含み、前記充電量が前記第1閾値と前記第2閾値との間であるとき、前記出力制御部は前記第3発光素子を発光させることが好ましい(請求項8)。
【0024】
上記構成によれば、充電量が第1閾値と第2閾値との間であるとき、出力制御部は第3発光素子を発光させる。したがって、充電作業を行おうとする作業者は、他者の電気自動車の充電状況を発光素子の発光により知ることができる。
【0025】
上記構成において、前記先端部に接続された可撓性の磁性板を更に含み、前記電気自動車に接続された前記磁性板は、前記コネクタを取り囲むことが好ましい(請求項9)。
【0026】
上記構成によれば、先端部に接続された可撓性の磁性板は、電気自動車に磁気的に吸着される。したがって、コネクタは電気自動車に安定的に固定される。磁性板は、コネクタを取り囲むので、カバー要素は電気自動車上で安定的に閉鎖空間を形成する。したがって、充電作業を行う作業者とコネクタとの絶縁が好適に図られ、安全な充電作業が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明のカバー部材は、安全且つ円滑な充電作業を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態に係るカバー部材として例示されるコネクタカバーが組み込まれた充電システムを概略的に示すブロック図である。
【図2】図1に示されるコネクタカバー周囲の概略的な拡大斜視図である。
【図3】図2に示されるコネクタカバーの概略的な断面図である。
【図4】電気自動車から図2に示されるコネクタカバーに取り付けられた発光ダイオードまでの電気的接続を概略的に表すブロック図である。
【図5】図4に示される発光ダイオードの発光期間と充電率との関係を例示するグラフである。
【図6】図1に示される充電システムを用いて、電気自動車EVの充電作業を行うための充電パーキングの概略的な平面図である。
【図7】第2実施形態に係るカバー部材として例示されるコネクタカバーの概略的な断面図である。
【図8】充電装置から図7に示されるコネクタカバーに取り付けられた発光ダイオードまでの電気的接続を概略的に表すブロック図である。
【図9】第3実施形態に係るカバー部材として例示されるコネクタカバーの概略的な断面図である。
【図10】図9に示されるコネクタカバーの制御装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図11】図9に示されるコネクタカバーのダイオードの発光期間と充電率との関係を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態が説明される。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。また、説明の明瞭化のため、必要に応じて、重複する説明は省略される。図面に示される構成、配置或いは形状並びに図面に関連する記載は、単に本実施形態の原理を容易に理解させることを目的とするものであり、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0030】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るカバー部材が用いられた充電システムの概略的な構成を示す模式図である。図1を用いて、充電システムが説明される。
【0031】
充電システム100は、電気自動車EVを充電するように形成された充電装置110と、充電装置110から延びる電力ケーブル120と、電力ケーブル120の先端部に取り付けられたコネクタカバー200とを備える。充電装置110として、電気自動車EV用に形成された様々な充電設備が用いられてもよい。充電装置110は、電力ケーブル120を介して、電気自動車EVへ電力を供給する。かくして、充電装置110は、電気自動車EVを充電することができる。
【0032】
図2は、電気自動車EVに取り付けられた電力ケーブル120の先端の概略的な拡大図である。図1及び図2を用いて、充電システム100が更に説明される。
【0033】
電力ケーブル120は、絶縁材料で被覆されたケーブル部121とケーブル部121の先端に取り付けられたコネクタ122とを含む。電気自動車EVの表面には、凹部Rが形成される。コネクタ122は、凹部R内に設けられた電気自動車EVのコネクタに接続される。電気自動車EVは、凹部Rに相補的な形状をなす蓋部Lを備える。蓋部Lは、凹部Rを塞ぐ閉塞位置と電気自動車EVの表面から突出し凹部Rを開放する開放位置との間で回動可能に電気自動車EVの表面に取り付けられる。コネクタ122と電気自動車EVのコネクタとの間の接続が解除された後、蓋部Lは、閉塞位置に向けて回動可能となる。尚、図2には、開放位置に存する蓋部Lが示されている。コネクタカバー200は、コネクタ122を覆うように形成される。本実施形態において、コネクタカバー200は、カバー部材として例示される。
【0034】
コネクタカバー200は、略台形円錐筒状に形成された絶縁性のカバー壁210を備える。コネクタ122を周方向に取り囲むカバー壁210は、ケーブル部121の外周面に接続された基端部211と、電気自動車EVの表面に接続される先端部212とを含む。カバー壁210は、好ましくは、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)やABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)といった耐候性に優れた透明な材料から成型される。本実施形態において、カバー壁210は、カバー要素として例示される。
【0035】
コネクタカバー200は、基端部211よりも径大に形成された先端部212の縁部に沿うようにカバー壁210に接着された可撓性の磁性ゴム環220を備える。磁性ゴム環220は、好ましくは、耐候性に優れた接着剤(例えば、アクリル樹脂系接着剤やエチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤)を用いて、カバー壁210に接着される。本実施形態において、磁性ゴム環220は、磁性板として例示される。
【0036】
磁性ゴム環220は、コネクタ122だけでなく、電気自動車EVに形成された凹部Rや開放位置に存する蓋部Lを取り囲むような比較的大きな閉ループを描く。磁性ゴム環220の磁力によりカバー壁210は、電気自動車EVに磁気的に固定される。
【0037】
図3は、電気自動車EVに取り付けられた電力ケーブル120の先端の概略的な断面図である。図2及び図3を用いて、コネクタカバー200が説明される。
【0038】
コネクタカバー200は、充電作業を実行しようとする或いは充電作業中の作業者に、他者或いは自己の電気自動車EVに対する充電量を通知するための通知部230を含む。カバー壁210は、基端部211と先端部212との間で閉鎖空間Cを形成する内面213と、内面213と反対側の外面214とを含む。通知部230は、カバー壁210の内面213に取り付けられた複数の発光ダイオード231を含む。本実施形態において、発光ダイオード231は、発光素子として例示される。
【0039】
コネクタカバー200は、カバー壁210の基端部211に取り付けられるゴム製の接続リング240を備える。接続リング240は、カバー壁210の基端部211に嵌着される略円筒形状の嵌着筒部241とケーブル部121を締め付ける固定リング部242とを含む。
【0040】
通知部230は、固定リング部242に埋設された小型の制御装置232と、制御装置232から延設された第1信号ケーブル233とを含む。電気自動車EVは、充電量に関する情報を表す充電量信号(以下、SOC信号と称される)を出力する出力ポートPと、出力ポートPから延設された第2信号ケーブルSCとを含む。第1信号ケーブル233は、第2信号ケーブルSCの先端部に取り付けられたコネクタTと接続されるケーブルコネクタ234を備える。SOC信号は、第2信号ケーブルSC及び第1信号ケーブル233を通じて、制御装置232に伝達される。
【0041】
制御装置232は、発光ダイオード231に電気的に接続される。制御装置232は、SOC信号によって表される電気自動車EVの充電量に基づき、発光ダイオード231を発光させる制御を行う。本実施形態において、制御装置232は、制御部として例示される。
【0042】
上述の如く、カバー壁210は、透明な樹脂材料から成型される。したがって、発光ダイオード231からの光は、カバー壁210を透過し、作業者に視認されることとなる。
【0043】
図4は、電気自動車EVから発光ダイオード231までの電気的接続を概略的に表すブロック図である。図2乃至図4を用いて、電気自動車EVから発光ダイオード231までの電気的接続が説明される。
【0044】
制御装置232は、電気自動車EVからのSOC信号を受信する受信ポート251を備える。本実施形態において、受信ポート251は、受信部として例示される。
【0045】
制御装置232は、マイクロプロセッサ252を備える。マイクロプロセッサ252は、受信ポート251から出力されたSOC信号に基づき、電気自動車EVの充電量を見極める。
【0046】
制御装置232は、スイッチ253を備える。スイッチ253は、第1スイッチング素子254、第2スイッチング素子255及び第3スイッチング素子256を備える。接続リング240は、発光ダイオード231を点灯させるための発光電力を供給するための電池235を備える。電池235は、スイッチ253を介して、発光ダイオード231へ発光電力を供給する。
【0047】
発光ダイオード231は、緑の色相で発光する緑色発光ダイオード264と、赤の色相で発光する赤色発光ダイオード265と、黄の色相で発光する黄色発光ダイオード266とを含む。本実施形態において、緑の色相は、第1色相として例示され、赤の色相は、第2色相として例示され、黄の色相は、第3色相として例示される。また、緑色発光ダイオード264は、第1発光素子として例示され、赤色発光ダイオード265は、第2発光素子として例示され、黄色発光ダイオード266は第3発光素子として例示される。尚、発光ダイオード231の発光色は、単に説明の明瞭化のために用いられるものである。したがって、発光ダイオード231は、他の色相で発光してもよい。また、発光ダイオード231の発光色は、単色であってもよい。或いは、4以上の色相で発光するように様々な発光色で発光する発光ダイオード231が用意されてもよい。
【0048】
第1スイッチング素子254は、電池235から緑色発光ダイオード264への電力供給経路の遮断及び接続動作を行う。第2スイッチング素子255は、電池235から赤色発光ダイオード265への電力供給経路の遮断及び接続動作を行う。第3スイッチング素子256は、電池235から黄色発光ダイオード266への電力供給経路の遮断及び接続動作を行う。
【0049】
マイクロプロセッサ252は、SOC信号に基づき、スイッチ253を制御し、電池235から発光ダイオード231への電力供給経路を遮断或いは接続させる。かくして、発光ダイオード231を発光させるための発光電力の出力は、マイクロプロセッサ252及び/又はスイッチ253によって適切に制御される。本実施形態において、マイクロプロセッサ252及び/又はスイッチ253は、出力制御部として例示される。
【0050】
マイクロプロセッサ252の制御下で、緑色発光ダイオード264、赤色発光ダイオード265及び黄色発光ダイオード266のうち1つの発光ダイオード231が点灯され、他の発光ダイオード231は消灯される。緑色発光ダイオード264が発光するとき、カバー壁210の外面214(図3参照)には、緑色で発光する緑色発光領域AG(図2参照)が現れる。赤色発光ダイオード265が発光するとき、カバー壁210の外面214(図3参照)には、赤色で発光する赤色発光領域AR(図2参照)が現れる。黄色発光ダイオード266が発光するとき、カバー壁210の外面214(図3参照)には、黄色で発光する黄色発光領域AY(図2参照)が現れる。かくして、充電作業を実行しようとする或いは充電作業中の作業者は、カバー壁210の外面214に現れる発光領域によって、他者或いは自己の電気自動車EVに対する充電状況を知ることができる。
【0051】
図5は、緑色発光ダイオード264、赤色発光ダイオード265及び黄色発光ダイオード266の発光期間と充電率との関係を例示するグラフである。図5に示されるグラフの横軸は、時間を示す。図5に示されるグラフの縦軸は、電気自動車EVの最大の充電量に対するSOC信号が表す充電量の百分率(充電率)を表す。図4及び図5を用いて、発光ダイオード231に対する制御が説明される。
【0052】
マイクロプロセッサ252は、充電率が40%未満であるとき、第2スイッチング素子255を制御し、電池235から赤色発光ダイオード265への発光電力の供給経路を接続させる。また、マイクロプロセッサ252は、第1スイッチング素子254及び第3スイッチング素子256を制御し、電池235から緑色発光ダイオード264及び黄色発光ダイオード266への発光電力の供給経路を遮断する。この結果、充電率が40%未満であるとき、赤色発光ダイオード265は点灯し、緑色発光ダイオード264及び黄色発光ダイオード266は消灯する。充電作業を実行しようとする或いは充電作業中の作業者は、赤色発光ダイオード265の発光により、電気自動車EVへの充電がしばらく続くことを認識する。
【0053】
充電率が40%に到達したとき、マイクロプロセッサ252は、第2スイッチング素子255を制御し、電池235から赤色発光ダイオード265への発光電力の供給経路を遮断する一方で、第3スイッチング素子256を制御し、電池235から黄色発光ダイオード266への発光電力の供給経路を接続する。この結果、赤色発光ダイオード265は消灯し、黄色発光ダイオード266は点灯する。また、緑色発光ダイオード264は、消灯し続ける。マイクロプロセッサ252は、充電率が80%に到達するまで、黄色発光ダイオード266の点灯並びに緑色発光ダイオード264及び赤色発光ダイオード265の消灯を保つ。充電作業を実行しようとする或いは充電作業中の作業者は、黄色発光ダイオード266の発光により、電気自動車EVへの充電がもうすぐ完了することを認識する。
【0054】
充電率が80%に到達したとき、マイクロプロセッサ252は、第3スイッチング素子256を制御し、電池235から黄色発光ダイオード266への発光電力の供給経路を遮断する一方で、第1スイッチング素子254を制御し、電池235から緑色発光ダイオード264への発光電力の供給経路を遮断する。この結果、黄色発光ダイオード266は消灯し、緑色発光ダイオード264は点灯する。また、赤色発光ダイオード265は、消灯し続ける。充電作業を実行しようとする或いは充電作業中の作業者は、緑色発光ダイオード264の発光により、電気自動車EVへの充電が十分であることを認識する。
【0055】
本実施形態において、80%の充電率は、第1閾値として例示される。また、40%の充電率は、第1閾値よりも小さな第2閾値として例示される。尚、第1閾値又は第2閾値として、他の値の充電率が用いられてもよい。第1閾値として定められた値より大きな値の充電率或いは充電量をSOC信号が表すとき、マイクロプロセッサ252及び/又はスイッチ253は、電気自動車EVへの十分な充電を通知するための色相で発光する発光ダイオード231を点灯させることができる。第2閾値として定められた値より小さな値の充電率或いは充電量をSOC信号が表すとき、マイクロプロセッサ252及び/又はスイッチ253は、電気自動車EVへの不十分な充電を通知するための色相で発光する発光ダイオード231を点灯させることができる。また、SOC信号が、第1閾値と第2閾値との間に存する充電率或いは充電量を表すとき、マイクロプロセッサ252及び/又はスイッチ253は、電気自動車EVへの充電の完了が近いことを通知するための色相で発光する発光ダイオード231を点灯させることができる。
【0056】
図6は、電気自動車EVの充電作業を行うための充電パーキングの概略的な平面図である。図2、図5及び図6を用いて、電気自動車EVの充電作業が説明される。
【0057】
図6に示される充電パーキングには、複数の駐車スペースが設けられている。また、7つの駐車スペースには、7台の電気自動車EVが駐車され、5台分の駐車スペースS1〜S5が空いている。1台の電気自動車EV1が、充電のために充電パーキングに駐車しようとしている。
【0058】
隣り合う2台の駐車スペースに対して1台の充電装置110が設けられる。電気自動車EV1に充電を行おうとする作業者は、各充電装置110から延びる電力ケーブル120の先端に取り付けられたコネクタカバー200の発光色により、駐車すべき駐車スペースを識別することができる。
【0059】
図6に示される充電パーキングでは、駐車スペースS1に対応する充電装置110が使用可能であることが分かる。したがって、作業者は電気自動車EV1を駐車スペースS1に止め、充電作業をすぐに開始することができる。したがって、円滑な充電作業が達成される。
【0060】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係るカバー部材が用いられた充電システムの概略的な構成を示す模式図である。第1実施形態と同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。図7を用いて、第1実施形態との相違点が説明される。本実施形態において、SOC信号の通信が第1実施形態と主に相違する。尚、以下において説明されない要素に対し、第1実施形態に係る説明が好適に援用される。
【0061】
充電システム100Aは、コネクタカバー200Aを備える。本実施形態において、コネクタカバー200Aはカバー部材として例示される。コネクタカバー200Aの制御装置232AへのSOC信号は、電力ケーブル120を介して電気自動車EVを充電する充電装置110Aから出力される。制御装置232AへのSOC信号の送信には、充電装置110Aと制御装置232Aとの間で延びるUSBケーブル233Aが用いられる。USBケーブル233Aを介して、SOC信号だけでなく発光ダイオード231を発光させるための発光電力も制御装置232Aへ送られる。USBケーブル233Aは、例えば、電力ケーブル120に沿って配設されてもよい。かくして、充電作業を行う作業者は、USBケーブル233Aと電力ケーブル120とを一体的に取り扱うことができる。
【0062】
図8は、充電装置110Aから発光ダイオード231までの電気的接続を概略的に表すブロック図である。図6及び図7を用いて、充電装置110Aから発光ダイオード231までの電気的接続が説明される。
【0063】
充電装置110Aは、SOC信号と発光電力とを出力するための出力ポートP1を備える。制御装置232Aは、SOC信号及び発光電力が入力される受信ポート251Aを備える。本実施形態において、受信ポート251Aは受信部として例示される。USBケーブル233Aは、出力ポートP1と受信ポート251Aとの間で延設される。
【0064】
制御装置232Aは、マイクロプロセッサ252Aとスイッチ253Aとを備える。受信ポート251Aは、SOC信号をマイクロプロセッサ252Aへ出力するとともに発光電力をスイッチ253Aへ出力する。マイクロプロセッサ252Aは、受信ポート251Aから出力されたSOC信号に基づき、電気自動車EVの充電量を見極める。スイッチ253Aは、第1スイッチング素子254A、第2スイッチング素子255A及び第3スイッチング素子256Aを備える。第1スイッチング素子254Aは、受信ポート251Aから緑色発光ダイオード264への電力供給経路の遮断及び接続動作を行う。第2スイッチング素子255Aは、受信ポート251Aから赤色発光ダイオード265への電力供給経路の遮断及び接続動作を行う。第3スイッチング素子256Aは、受信ポート251Aから黄色発光ダイオード266への電力供給経路の遮断及び接続動作を行う。
【0065】
マイクロプロセッサ252Aは、SOC信号に基づき、スイッチ253Aを制御し、受信ポート251Aから発光ダイオード231への電力供給経路を遮断或いは接続させる。かくして、マイクロプロセッサ252A及び/又はスイッチ253Aは、充電装置110AからUSBケーブル233Aを介して供給された供給電力を発光電力として、発光ダイオード231に適切に出力することができる。本実施形態において、マイクロプロセッサ252A及び/又はスイッチ253Aは、出力制御部として例示される。
【0066】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態に係るカバー部材が用いられた充電システムの概略的な構成を示す模式図である。第1実施形態と同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。図9を用いて、第1実施形態との相違点が説明される。本実施形態において、充電量の検出方法が第1実施形態と主に相違する。尚、以下において説明されない要素に対し、第1実施形態に係る説明が好適に援用される。
【0067】
充電システム100Bは、コネクタカバー200Bを備える。本実施形態において、コネクタカバー200Bはカバー部材として例示される。コネクタカバー200Bの制御装置232Bは電力ケーブル120を流れる電流の大きさに基づき、電気自動車EVの充電量を算出する。
【0068】
図10は、制御装置232Bの構成を概略的に表すブロック図である。図9及び図10を用いて、制御装置232Bが説明される。
【0069】
電力ケーブル120の周囲に生じる電界強度は、電力ケーブル120中を流れる電流の大きさに応じて変動する。制御装置232Bは、カレントトランス259を備える。電力ケーブル120の電界は、カレントトランス259に作用する。この結果、カレントトランス252は、電界強度に応じた誘起電流を出力する。かくして、カレントトランス259は、電力ケーブル120を流れる電流の大きさを検出することができる。本実施形態において、カレントトランス259は電流検出部として例示される。
【0070】
制御装置232Bは、カレントトランス252からの出力電流に基づき、電力ケーブル120を流れる電流の大きさを算出するマイクロプロセッサ252Bを備える。マイクロプロセッサ252Bは、カレントトランス259から出力された電流を用いて算出された電流の大きさに基づき、電気自動車EVの充電量を見極める。その後、マイクロプロセッサ252Bは、第1実施形態に関連して説明された発光ダイオード231に対する発光制御を行う。本実施形態において、マイクロプロセッサ252B及び/又はスイッチ253は、出力制御部として例示される。
【0071】
図11は、緑色発光ダイオード264、赤色発光ダイオード265及び黄色発光ダイオード266の発光期間と充電率との関係を例示するグラフである。図11に示されるグラフの横軸は、電気自動車EVの最大の充電量に対するSOC信号が表す充電量の百分率(充電率)を表す。図11に示されるグラフの縦軸は、マイクロプロセッサ252Bがカレントトランス252からの出力電流に基づいて算出した電流の大きさを示す。図9乃至図11を用いて、マイクロプロセッサ252Bによる発光ダイオード231の発光制御が説明される。
【0072】
一般的に、電力ケーブル120を流れる電流の大きさは、電気自動車EVの充電率が所定の値に達するまでの間、比較的大きな略一定の値で推移する。その後、電気自動車EVの充電率が高くなるにつれて、徐々に減少する。図6において、比較的大きな略一定の電流値は記号「A0」によって表されている。また、電気自動車EVの充電率は40%となったとき、電流値は、「A0」の電流値に対して80%の値となる。電気自動車EVの充電率は80%となったとき、電流値は、「A0」の電流値に対して50%の値となる。
【0073】
上述の如く、マイクロプロセッサ252Bは、カレントトランス259から出力された出力電流に基づき、電力ケーブル120を流れる電流の大きさを算出する。また、マイクロプロセッサ252Bは、微分演算や積分演算といった適切な数学的手法を用いて、電流の大きさの変動傾向を算出する。かくして、マイクロプロセッサ252Bは、電気自動車EVの充電率を見極めることができる。
【0074】
電流の大きさが一定の値で推移している間、マイクロプロセッサ252Bは、電気自動車EVの充電率が比較的低いと判定する。この間、マイクロプロセッサ252Bは、第2スイッチング素子255を制御し、電池235から赤色発光ダイオード265への発光電力の供給経路を接続させる。また、マイクロプロセッサ252Bは、第1スイッチング素子254及び第3スイッチング素子256を制御し、電池235から緑色発光ダイオード264及び黄色発光ダイオード266への発光電力の供給経路を遮断する。マイクロプロセッサ252Bは、その後、電流の大きさが、「A0」の電流値に対して80%の値に降下するまで(即ち、電気自動車EVの充電率が40%に到達するまで)、赤色発光ダイオード265を点灯し続けるとともに、緑色発光ダイオード264及び黄色発光ダイオード266の消灯を保つ。
【0075】
電流の大きさが、「A0」の電流値に対して80%の値に降下したとき(即ち、電気自動車EVの充電率が40%に到達したとき)、マイクロプロセッサ252Bは、第2スイッチング素子255を制御し、電池235から赤色発光ダイオード265への発光電力の供給経路を遮断する一方で、第3スイッチング素子256を制御し、電池235から黄色発光ダイオード266への発光電力の供給経路を接続する。この結果、赤色発光ダイオード265は消灯し、黄色発光ダイオード266は点灯する。また、緑色発光ダイオード264は、消灯し続ける。マイクロプロセッサ252Bは、電流の大きさが、「A0」の電流値に対して50%の値に降下するまで(充電率が80%に到達するまで)、黄色発光ダイオード266の点灯並びに緑色発光ダイオード264及び赤色発光ダイオード265の消灯を保つ。充電作業を実行しようとする或いは充電作業中の作業者は、黄色発光ダイオード266の発光により、電気自動車EVへの充電がもうすぐ完了することを認識する。
【0076】
電流の大きさが、「A0」の電流値に対して50%の値に降下したとき(充電率が80%に到達したとき)、マイクロプロセッサ252Bは、第3スイッチング素子256を制御し、電池235から黄色発光ダイオード266への発光電力の供給経路を遮断する一方で、第1スイッチング素子254を制御し、電池235から緑色発光ダイオード264への発光電力の供給経路を遮断する。この結果、黄色発光ダイオード266は消灯し、緑色発光ダイオード264は点灯する。また、赤色発光ダイオード265は、消灯し続ける。充電作業を実行しようとする或いは充電作業中の作業者は、緑色発光ダイオード264の発光により、電気自動車EVへの充電が十分であることを認識する。
【0077】
上述の実施形態において、作業者に電気自動車EVの充電状態を通知するために、発光ダイオード231が用いられている。代替的に、光学的に電気自動車EVの充電状態を通知することができる他の発光素子が通知部に用いられてもよい。更に代替的に、通知部は音声的に電気自動車EVの充電状態を作業者に通知してもよい。
【0078】
上述の実施形態において、発光ダイオード231の発光制御に用いられる充電量に対する閾値として、充電率及び電力ケーブル120を流れる電流の大きさが用いられている。代替的に、電気自動車EVの充電量を導き出すことができる他のパラメータに対して閾値が設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、電気自動車を充電するための充電システムに好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0080】
110,110A・・・・・・・・・・充電装置
120・・・・・・・・・・・・・・・電力ケーブル
122・・・・・・・・・・・・・・・コネクタ
200,200A,200B・・・・・コネクタカバー
210・・・・・・・・・・・・・・・カバー壁
211・・・・・・・・・・・・・・・基端部
212・・・・・・・・・・・・・・・先端部
213・・・・・・・・・・・・・・・内面
220・・・・・・・・・・・・・・・磁性ゴム環
230・・・・・・・・・・・・・・・通知部
231・・・・・・・・・・・・・・・発光ダイオード
232,232A,232B・・・・・制御装置
251,251A・・・・・・・・・・受信ポート
252,252A,252B・・・・・マイクロプロセッサ
253,253A・・・・・・・・・・スイッチ
259・・・・・・・・・・・・・・・カレントトランス
264・・・・・・・・・・・・・・・緑色発光ダイオード
265・・・・・・・・・・・・・・・赤色発光ダイオード
266・・・・・・・・・・・・・・・黄色発光ダイオード
C・・・・・・・・・・・・・・・・・閉鎖空間
EV,EV1・・・・・・・・・・・・電気自動車
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車を充電するための電力ケーブルのコネクタを覆うカバー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンをエネルギ源として走行するガソリン車に代替する車両として、電気をエネルギ源とする電気自動車の普及が推進されている。電気自動車の普及の推進に伴って、電気自動車を充電するための充電設備に対する様々な提案がなされている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1は、電気自動車を充電するための充電装置から延びる電力ケーブルのコネクタを開示する。特許文献1によれば、コネクタの表面に固着されたゴムカバーにより、コネクタと電気自動車との間の接触に起因する電気自動車の損傷が抑制される。
【0004】
特許文献2は、電気自動車のコネクタを開示する。特許文献2によれば、電力ケーブルのコネクタが挿入される凹部を閉塞するカバーと電気自動車のコネクタを防水する防水キャップとを連動させる連動構造によって、防水性及び防塵性が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−57814号公報
【特許文献2】特開平6−325819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気自動車と電力ケーブルとの間の接続を容易にするために、多くの場合、電気自動車に設けられたコネクタは、上向きに設置される。このため、コネクタが挿入される凹部に水が貯まりやすい。凹部に貯まった水中に電力ケーブルからの電気が流れることは、充電作業の安全面の観点から望ましくない。
【0007】
電気自動車に対して充電を行うための充電設備の課題として、長時間に亘る充電時間が挙げられる。一般的に、使用者は、充電作業を行うための充電パーキングに駐車した後、充電パーキングに設置された充電装置から延びる電力ケーブルと電気自動車とを接続させ、電気自動車への充電を行う。しかしながら、駐車スペースに近い充電装置が使用中であるときには、使用者は他の駐車スペースを探さなくてはならない。このことは、充電作業を非常に煩わしくする。
【0008】
本発明は、安全且つ円滑な充電作業に貢献することができるカバー部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面に係る電気自動車を充電するための電力ケーブルと前記電気自動車とを接続するコネクタを覆うカバー部材は、前記電力ケーブルの外周面に接続された基端部と、前記電気自動車に接続される先端部と、を含むとともに前記コネクタの周囲と取り巻く絶縁性のカバー要素と、前記電気自動車の充電量を通知する通知部と、を備え、前記カバー要素は、前記基端部と前記先端部との間で閉鎖空間を規定する内面を含み、前記通知部は、前記内面に取り付けられることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
上記構成によれば、カバー部材は、電気自動車を充電するための電力ケーブルと電気自動車とを接続するコネクタを覆う。電力ケーブルの外周面に接続された基端部と電気自動車に接続される先端部とを有する絶縁性のカバー要素は、コネクタ周囲を取り巻くので、充電作業を行う作業者とコネクタとの絶縁が好適に図られる。したがって、カバー部材は、安全な充電作業を提供することができる。基端部と先端部との間で閉鎖空間を規定する内面に通知部が取り付けられるので、電気自動車の充電量を通知する通知部は、風雨から好適に保護される。通知部は、電気自動車の充電状態を適切に通知できるので、円滑な充電作業を促すことができる。
【0011】
上記構成において、前記通知部は、前記内面に取り付けられた発光素子と、前記充電量に基づき前記発光素子を発光させる制御を行う制御部と、を含み、前記カバー要素は、前記発光素子からの光を透過させることが好ましい(請求項2)。
【0012】
上記構成によれば、電気自動車の充電量に基づき、発光素子が充電される。したがって、充電作業を行おうとする作業者は、他者の電気自動車の充電状況を発光素子の発光により知ることができる。
【0013】
上記構成において、前記制御部は、前記充電量に関する情報を表す充電量信号を受信する受信部と、前記充電量信号に基づき、前記発光素子を発光させるための発光電力の出力を制御する出力制御部と、を含むことが好ましい(請求項3)。
【0014】
上記構成によれば、受信部は、充電量に関する情報を表す充電量信号を受信する。また、出力制御部は、充電量信号に基づき、発光素子を発光させるための発光電力の出力を制御する。したがって、充電作業を行おうとする作業者は、他者の電気自動車の充電状況を発光素子の発光により知ることができる。
【0015】
上記構成において、前記充電量信号は、前記電気自動車から供給されることが好ましい(請求項4)。
【0016】
上記構成によれば、出力制御部は、電気自動車から供給された充電信号に基づき、発光素子を発光させるための発光電力を出力する。したがって、充電作業を行おうとする作業者は、他者の電気自動車の充電状況を発光素子の発光により知ることができる。
【0017】
上記構成において、前記充電量信号は、前記電力ケーブルを介して前記電気自動車を充電する充電装置から供給され、前記出力制御部は、前記充電装置から供給された供給電力を前記発光電力として前記発光素子に出力することが好ましい(請求項5)。
【0018】
上記構成によれば、出力制御部は、充電装置から供給された充電信号に基づき、発光素子を発光させるための発光電力を出力する。したがって、充電作業を行おうとする作業者は、他者の電気自動車の充電状況を発光素子の発光により知ることができる。
【0019】
上記構成において、前記制御部は、前記電力ケーブルを流れる電流の大きさを検出する電流検出部と、前記電流の大きさに基づき、前記発光素子を発光させるための発光電力の出力を制御する出力制御部と、を含むことが好ましい(請求項6)。
【0020】
上記構成によれば、電流検出部は、電力ケーブルを流れる電流の大きさを検出する。また、出力制御部は、電流の大きさに基づき、発光素子を発光させるための発光電力の出力を制御する。したがって、充電作業を行おうとする作業者は、他者の電気自動車の充電状況を発光素子の発光により知ることができる。
【0021】
上記構成において、前記充電量に対して、第1閾値と、該第1閾値より小さな第2閾値とが定められ、前記発光素子は、第1色相で発光する第1発光素子と、第2色相で発光する第2発光素子とを含み、前記出力制御部は、前記第1閾値よりも前記充電量が大きいとき前記第1発光素子を発光させ、前記第2閾値よりも前記充電量が小さいとき前記第2発光素子を発光させることが好ましい(請求項7)。
【0022】
上記構成によれば、出力制御部は、第1閾値よりも充電量が大きいとき第1発光素子を発光させ、第1の閾値より小さな第2閾値よりも前記充電量が小さいとき前記第2発光素子を発光させる。したがって、充電作業を行おうとする作業者は、他者の電気自動車の充電状況を発光素子の発光により知ることができる。
【0023】
上記構成において、前記発光素子は、第3色相で発光する第3発光素子を含み、前記充電量が前記第1閾値と前記第2閾値との間であるとき、前記出力制御部は前記第3発光素子を発光させることが好ましい(請求項8)。
【0024】
上記構成によれば、充電量が第1閾値と第2閾値との間であるとき、出力制御部は第3発光素子を発光させる。したがって、充電作業を行おうとする作業者は、他者の電気自動車の充電状況を発光素子の発光により知ることができる。
【0025】
上記構成において、前記先端部に接続された可撓性の磁性板を更に含み、前記電気自動車に接続された前記磁性板は、前記コネクタを取り囲むことが好ましい(請求項9)。
【0026】
上記構成によれば、先端部に接続された可撓性の磁性板は、電気自動車に磁気的に吸着される。したがって、コネクタは電気自動車に安定的に固定される。磁性板は、コネクタを取り囲むので、カバー要素は電気自動車上で安定的に閉鎖空間を形成する。したがって、充電作業を行う作業者とコネクタとの絶縁が好適に図られ、安全な充電作業が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明のカバー部材は、安全且つ円滑な充電作業を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態に係るカバー部材として例示されるコネクタカバーが組み込まれた充電システムを概略的に示すブロック図である。
【図2】図1に示されるコネクタカバー周囲の概略的な拡大斜視図である。
【図3】図2に示されるコネクタカバーの概略的な断面図である。
【図4】電気自動車から図2に示されるコネクタカバーに取り付けられた発光ダイオードまでの電気的接続を概略的に表すブロック図である。
【図5】図4に示される発光ダイオードの発光期間と充電率との関係を例示するグラフである。
【図6】図1に示される充電システムを用いて、電気自動車EVの充電作業を行うための充電パーキングの概略的な平面図である。
【図7】第2実施形態に係るカバー部材として例示されるコネクタカバーの概略的な断面図である。
【図8】充電装置から図7に示されるコネクタカバーに取り付けられた発光ダイオードまでの電気的接続を概略的に表すブロック図である。
【図9】第3実施形態に係るカバー部材として例示されるコネクタカバーの概略的な断面図である。
【図10】図9に示されるコネクタカバーの制御装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図11】図9に示されるコネクタカバーのダイオードの発光期間と充電率との関係を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態が説明される。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。また、説明の明瞭化のため、必要に応じて、重複する説明は省略される。図面に示される構成、配置或いは形状並びに図面に関連する記載は、単に本実施形態の原理を容易に理解させることを目的とするものであり、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0030】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るカバー部材が用いられた充電システムの概略的な構成を示す模式図である。図1を用いて、充電システムが説明される。
【0031】
充電システム100は、電気自動車EVを充電するように形成された充電装置110と、充電装置110から延びる電力ケーブル120と、電力ケーブル120の先端部に取り付けられたコネクタカバー200とを備える。充電装置110として、電気自動車EV用に形成された様々な充電設備が用いられてもよい。充電装置110は、電力ケーブル120を介して、電気自動車EVへ電力を供給する。かくして、充電装置110は、電気自動車EVを充電することができる。
【0032】
図2は、電気自動車EVに取り付けられた電力ケーブル120の先端の概略的な拡大図である。図1及び図2を用いて、充電システム100が更に説明される。
【0033】
電力ケーブル120は、絶縁材料で被覆されたケーブル部121とケーブル部121の先端に取り付けられたコネクタ122とを含む。電気自動車EVの表面には、凹部Rが形成される。コネクタ122は、凹部R内に設けられた電気自動車EVのコネクタに接続される。電気自動車EVは、凹部Rに相補的な形状をなす蓋部Lを備える。蓋部Lは、凹部Rを塞ぐ閉塞位置と電気自動車EVの表面から突出し凹部Rを開放する開放位置との間で回動可能に電気自動車EVの表面に取り付けられる。コネクタ122と電気自動車EVのコネクタとの間の接続が解除された後、蓋部Lは、閉塞位置に向けて回動可能となる。尚、図2には、開放位置に存する蓋部Lが示されている。コネクタカバー200は、コネクタ122を覆うように形成される。本実施形態において、コネクタカバー200は、カバー部材として例示される。
【0034】
コネクタカバー200は、略台形円錐筒状に形成された絶縁性のカバー壁210を備える。コネクタ122を周方向に取り囲むカバー壁210は、ケーブル部121の外周面に接続された基端部211と、電気自動車EVの表面に接続される先端部212とを含む。カバー壁210は、好ましくは、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)やABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)といった耐候性に優れた透明な材料から成型される。本実施形態において、カバー壁210は、カバー要素として例示される。
【0035】
コネクタカバー200は、基端部211よりも径大に形成された先端部212の縁部に沿うようにカバー壁210に接着された可撓性の磁性ゴム環220を備える。磁性ゴム環220は、好ましくは、耐候性に優れた接着剤(例えば、アクリル樹脂系接着剤やエチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤)を用いて、カバー壁210に接着される。本実施形態において、磁性ゴム環220は、磁性板として例示される。
【0036】
磁性ゴム環220は、コネクタ122だけでなく、電気自動車EVに形成された凹部Rや開放位置に存する蓋部Lを取り囲むような比較的大きな閉ループを描く。磁性ゴム環220の磁力によりカバー壁210は、電気自動車EVに磁気的に固定される。
【0037】
図3は、電気自動車EVに取り付けられた電力ケーブル120の先端の概略的な断面図である。図2及び図3を用いて、コネクタカバー200が説明される。
【0038】
コネクタカバー200は、充電作業を実行しようとする或いは充電作業中の作業者に、他者或いは自己の電気自動車EVに対する充電量を通知するための通知部230を含む。カバー壁210は、基端部211と先端部212との間で閉鎖空間Cを形成する内面213と、内面213と反対側の外面214とを含む。通知部230は、カバー壁210の内面213に取り付けられた複数の発光ダイオード231を含む。本実施形態において、発光ダイオード231は、発光素子として例示される。
【0039】
コネクタカバー200は、カバー壁210の基端部211に取り付けられるゴム製の接続リング240を備える。接続リング240は、カバー壁210の基端部211に嵌着される略円筒形状の嵌着筒部241とケーブル部121を締め付ける固定リング部242とを含む。
【0040】
通知部230は、固定リング部242に埋設された小型の制御装置232と、制御装置232から延設された第1信号ケーブル233とを含む。電気自動車EVは、充電量に関する情報を表す充電量信号(以下、SOC信号と称される)を出力する出力ポートPと、出力ポートPから延設された第2信号ケーブルSCとを含む。第1信号ケーブル233は、第2信号ケーブルSCの先端部に取り付けられたコネクタTと接続されるケーブルコネクタ234を備える。SOC信号は、第2信号ケーブルSC及び第1信号ケーブル233を通じて、制御装置232に伝達される。
【0041】
制御装置232は、発光ダイオード231に電気的に接続される。制御装置232は、SOC信号によって表される電気自動車EVの充電量に基づき、発光ダイオード231を発光させる制御を行う。本実施形態において、制御装置232は、制御部として例示される。
【0042】
上述の如く、カバー壁210は、透明な樹脂材料から成型される。したがって、発光ダイオード231からの光は、カバー壁210を透過し、作業者に視認されることとなる。
【0043】
図4は、電気自動車EVから発光ダイオード231までの電気的接続を概略的に表すブロック図である。図2乃至図4を用いて、電気自動車EVから発光ダイオード231までの電気的接続が説明される。
【0044】
制御装置232は、電気自動車EVからのSOC信号を受信する受信ポート251を備える。本実施形態において、受信ポート251は、受信部として例示される。
【0045】
制御装置232は、マイクロプロセッサ252を備える。マイクロプロセッサ252は、受信ポート251から出力されたSOC信号に基づき、電気自動車EVの充電量を見極める。
【0046】
制御装置232は、スイッチ253を備える。スイッチ253は、第1スイッチング素子254、第2スイッチング素子255及び第3スイッチング素子256を備える。接続リング240は、発光ダイオード231を点灯させるための発光電力を供給するための電池235を備える。電池235は、スイッチ253を介して、発光ダイオード231へ発光電力を供給する。
【0047】
発光ダイオード231は、緑の色相で発光する緑色発光ダイオード264と、赤の色相で発光する赤色発光ダイオード265と、黄の色相で発光する黄色発光ダイオード266とを含む。本実施形態において、緑の色相は、第1色相として例示され、赤の色相は、第2色相として例示され、黄の色相は、第3色相として例示される。また、緑色発光ダイオード264は、第1発光素子として例示され、赤色発光ダイオード265は、第2発光素子として例示され、黄色発光ダイオード266は第3発光素子として例示される。尚、発光ダイオード231の発光色は、単に説明の明瞭化のために用いられるものである。したがって、発光ダイオード231は、他の色相で発光してもよい。また、発光ダイオード231の発光色は、単色であってもよい。或いは、4以上の色相で発光するように様々な発光色で発光する発光ダイオード231が用意されてもよい。
【0048】
第1スイッチング素子254は、電池235から緑色発光ダイオード264への電力供給経路の遮断及び接続動作を行う。第2スイッチング素子255は、電池235から赤色発光ダイオード265への電力供給経路の遮断及び接続動作を行う。第3スイッチング素子256は、電池235から黄色発光ダイオード266への電力供給経路の遮断及び接続動作を行う。
【0049】
マイクロプロセッサ252は、SOC信号に基づき、スイッチ253を制御し、電池235から発光ダイオード231への電力供給経路を遮断或いは接続させる。かくして、発光ダイオード231を発光させるための発光電力の出力は、マイクロプロセッサ252及び/又はスイッチ253によって適切に制御される。本実施形態において、マイクロプロセッサ252及び/又はスイッチ253は、出力制御部として例示される。
【0050】
マイクロプロセッサ252の制御下で、緑色発光ダイオード264、赤色発光ダイオード265及び黄色発光ダイオード266のうち1つの発光ダイオード231が点灯され、他の発光ダイオード231は消灯される。緑色発光ダイオード264が発光するとき、カバー壁210の外面214(図3参照)には、緑色で発光する緑色発光領域AG(図2参照)が現れる。赤色発光ダイオード265が発光するとき、カバー壁210の外面214(図3参照)には、赤色で発光する赤色発光領域AR(図2参照)が現れる。黄色発光ダイオード266が発光するとき、カバー壁210の外面214(図3参照)には、黄色で発光する黄色発光領域AY(図2参照)が現れる。かくして、充電作業を実行しようとする或いは充電作業中の作業者は、カバー壁210の外面214に現れる発光領域によって、他者或いは自己の電気自動車EVに対する充電状況を知ることができる。
【0051】
図5は、緑色発光ダイオード264、赤色発光ダイオード265及び黄色発光ダイオード266の発光期間と充電率との関係を例示するグラフである。図5に示されるグラフの横軸は、時間を示す。図5に示されるグラフの縦軸は、電気自動車EVの最大の充電量に対するSOC信号が表す充電量の百分率(充電率)を表す。図4及び図5を用いて、発光ダイオード231に対する制御が説明される。
【0052】
マイクロプロセッサ252は、充電率が40%未満であるとき、第2スイッチング素子255を制御し、電池235から赤色発光ダイオード265への発光電力の供給経路を接続させる。また、マイクロプロセッサ252は、第1スイッチング素子254及び第3スイッチング素子256を制御し、電池235から緑色発光ダイオード264及び黄色発光ダイオード266への発光電力の供給経路を遮断する。この結果、充電率が40%未満であるとき、赤色発光ダイオード265は点灯し、緑色発光ダイオード264及び黄色発光ダイオード266は消灯する。充電作業を実行しようとする或いは充電作業中の作業者は、赤色発光ダイオード265の発光により、電気自動車EVへの充電がしばらく続くことを認識する。
【0053】
充電率が40%に到達したとき、マイクロプロセッサ252は、第2スイッチング素子255を制御し、電池235から赤色発光ダイオード265への発光電力の供給経路を遮断する一方で、第3スイッチング素子256を制御し、電池235から黄色発光ダイオード266への発光電力の供給経路を接続する。この結果、赤色発光ダイオード265は消灯し、黄色発光ダイオード266は点灯する。また、緑色発光ダイオード264は、消灯し続ける。マイクロプロセッサ252は、充電率が80%に到達するまで、黄色発光ダイオード266の点灯並びに緑色発光ダイオード264及び赤色発光ダイオード265の消灯を保つ。充電作業を実行しようとする或いは充電作業中の作業者は、黄色発光ダイオード266の発光により、電気自動車EVへの充電がもうすぐ完了することを認識する。
【0054】
充電率が80%に到達したとき、マイクロプロセッサ252は、第3スイッチング素子256を制御し、電池235から黄色発光ダイオード266への発光電力の供給経路を遮断する一方で、第1スイッチング素子254を制御し、電池235から緑色発光ダイオード264への発光電力の供給経路を遮断する。この結果、黄色発光ダイオード266は消灯し、緑色発光ダイオード264は点灯する。また、赤色発光ダイオード265は、消灯し続ける。充電作業を実行しようとする或いは充電作業中の作業者は、緑色発光ダイオード264の発光により、電気自動車EVへの充電が十分であることを認識する。
【0055】
本実施形態において、80%の充電率は、第1閾値として例示される。また、40%の充電率は、第1閾値よりも小さな第2閾値として例示される。尚、第1閾値又は第2閾値として、他の値の充電率が用いられてもよい。第1閾値として定められた値より大きな値の充電率或いは充電量をSOC信号が表すとき、マイクロプロセッサ252及び/又はスイッチ253は、電気自動車EVへの十分な充電を通知するための色相で発光する発光ダイオード231を点灯させることができる。第2閾値として定められた値より小さな値の充電率或いは充電量をSOC信号が表すとき、マイクロプロセッサ252及び/又はスイッチ253は、電気自動車EVへの不十分な充電を通知するための色相で発光する発光ダイオード231を点灯させることができる。また、SOC信号が、第1閾値と第2閾値との間に存する充電率或いは充電量を表すとき、マイクロプロセッサ252及び/又はスイッチ253は、電気自動車EVへの充電の完了が近いことを通知するための色相で発光する発光ダイオード231を点灯させることができる。
【0056】
図6は、電気自動車EVの充電作業を行うための充電パーキングの概略的な平面図である。図2、図5及び図6を用いて、電気自動車EVの充電作業が説明される。
【0057】
図6に示される充電パーキングには、複数の駐車スペースが設けられている。また、7つの駐車スペースには、7台の電気自動車EVが駐車され、5台分の駐車スペースS1〜S5が空いている。1台の電気自動車EV1が、充電のために充電パーキングに駐車しようとしている。
【0058】
隣り合う2台の駐車スペースに対して1台の充電装置110が設けられる。電気自動車EV1に充電を行おうとする作業者は、各充電装置110から延びる電力ケーブル120の先端に取り付けられたコネクタカバー200の発光色により、駐車すべき駐車スペースを識別することができる。
【0059】
図6に示される充電パーキングでは、駐車スペースS1に対応する充電装置110が使用可能であることが分かる。したがって、作業者は電気自動車EV1を駐車スペースS1に止め、充電作業をすぐに開始することができる。したがって、円滑な充電作業が達成される。
【0060】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係るカバー部材が用いられた充電システムの概略的な構成を示す模式図である。第1実施形態と同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。図7を用いて、第1実施形態との相違点が説明される。本実施形態において、SOC信号の通信が第1実施形態と主に相違する。尚、以下において説明されない要素に対し、第1実施形態に係る説明が好適に援用される。
【0061】
充電システム100Aは、コネクタカバー200Aを備える。本実施形態において、コネクタカバー200Aはカバー部材として例示される。コネクタカバー200Aの制御装置232AへのSOC信号は、電力ケーブル120を介して電気自動車EVを充電する充電装置110Aから出力される。制御装置232AへのSOC信号の送信には、充電装置110Aと制御装置232Aとの間で延びるUSBケーブル233Aが用いられる。USBケーブル233Aを介して、SOC信号だけでなく発光ダイオード231を発光させるための発光電力も制御装置232Aへ送られる。USBケーブル233Aは、例えば、電力ケーブル120に沿って配設されてもよい。かくして、充電作業を行う作業者は、USBケーブル233Aと電力ケーブル120とを一体的に取り扱うことができる。
【0062】
図8は、充電装置110Aから発光ダイオード231までの電気的接続を概略的に表すブロック図である。図6及び図7を用いて、充電装置110Aから発光ダイオード231までの電気的接続が説明される。
【0063】
充電装置110Aは、SOC信号と発光電力とを出力するための出力ポートP1を備える。制御装置232Aは、SOC信号及び発光電力が入力される受信ポート251Aを備える。本実施形態において、受信ポート251Aは受信部として例示される。USBケーブル233Aは、出力ポートP1と受信ポート251Aとの間で延設される。
【0064】
制御装置232Aは、マイクロプロセッサ252Aとスイッチ253Aとを備える。受信ポート251Aは、SOC信号をマイクロプロセッサ252Aへ出力するとともに発光電力をスイッチ253Aへ出力する。マイクロプロセッサ252Aは、受信ポート251Aから出力されたSOC信号に基づき、電気自動車EVの充電量を見極める。スイッチ253Aは、第1スイッチング素子254A、第2スイッチング素子255A及び第3スイッチング素子256Aを備える。第1スイッチング素子254Aは、受信ポート251Aから緑色発光ダイオード264への電力供給経路の遮断及び接続動作を行う。第2スイッチング素子255Aは、受信ポート251Aから赤色発光ダイオード265への電力供給経路の遮断及び接続動作を行う。第3スイッチング素子256Aは、受信ポート251Aから黄色発光ダイオード266への電力供給経路の遮断及び接続動作を行う。
【0065】
マイクロプロセッサ252Aは、SOC信号に基づき、スイッチ253Aを制御し、受信ポート251Aから発光ダイオード231への電力供給経路を遮断或いは接続させる。かくして、マイクロプロセッサ252A及び/又はスイッチ253Aは、充電装置110AからUSBケーブル233Aを介して供給された供給電力を発光電力として、発光ダイオード231に適切に出力することができる。本実施形態において、マイクロプロセッサ252A及び/又はスイッチ253Aは、出力制御部として例示される。
【0066】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態に係るカバー部材が用いられた充電システムの概略的な構成を示す模式図である。第1実施形態と同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。図9を用いて、第1実施形態との相違点が説明される。本実施形態において、充電量の検出方法が第1実施形態と主に相違する。尚、以下において説明されない要素に対し、第1実施形態に係る説明が好適に援用される。
【0067】
充電システム100Bは、コネクタカバー200Bを備える。本実施形態において、コネクタカバー200Bはカバー部材として例示される。コネクタカバー200Bの制御装置232Bは電力ケーブル120を流れる電流の大きさに基づき、電気自動車EVの充電量を算出する。
【0068】
図10は、制御装置232Bの構成を概略的に表すブロック図である。図9及び図10を用いて、制御装置232Bが説明される。
【0069】
電力ケーブル120の周囲に生じる電界強度は、電力ケーブル120中を流れる電流の大きさに応じて変動する。制御装置232Bは、カレントトランス259を備える。電力ケーブル120の電界は、カレントトランス259に作用する。この結果、カレントトランス252は、電界強度に応じた誘起電流を出力する。かくして、カレントトランス259は、電力ケーブル120を流れる電流の大きさを検出することができる。本実施形態において、カレントトランス259は電流検出部として例示される。
【0070】
制御装置232Bは、カレントトランス252からの出力電流に基づき、電力ケーブル120を流れる電流の大きさを算出するマイクロプロセッサ252Bを備える。マイクロプロセッサ252Bは、カレントトランス259から出力された電流を用いて算出された電流の大きさに基づき、電気自動車EVの充電量を見極める。その後、マイクロプロセッサ252Bは、第1実施形態に関連して説明された発光ダイオード231に対する発光制御を行う。本実施形態において、マイクロプロセッサ252B及び/又はスイッチ253は、出力制御部として例示される。
【0071】
図11は、緑色発光ダイオード264、赤色発光ダイオード265及び黄色発光ダイオード266の発光期間と充電率との関係を例示するグラフである。図11に示されるグラフの横軸は、電気自動車EVの最大の充電量に対するSOC信号が表す充電量の百分率(充電率)を表す。図11に示されるグラフの縦軸は、マイクロプロセッサ252Bがカレントトランス252からの出力電流に基づいて算出した電流の大きさを示す。図9乃至図11を用いて、マイクロプロセッサ252Bによる発光ダイオード231の発光制御が説明される。
【0072】
一般的に、電力ケーブル120を流れる電流の大きさは、電気自動車EVの充電率が所定の値に達するまでの間、比較的大きな略一定の値で推移する。その後、電気自動車EVの充電率が高くなるにつれて、徐々に減少する。図6において、比較的大きな略一定の電流値は記号「A0」によって表されている。また、電気自動車EVの充電率は40%となったとき、電流値は、「A0」の電流値に対して80%の値となる。電気自動車EVの充電率は80%となったとき、電流値は、「A0」の電流値に対して50%の値となる。
【0073】
上述の如く、マイクロプロセッサ252Bは、カレントトランス259から出力された出力電流に基づき、電力ケーブル120を流れる電流の大きさを算出する。また、マイクロプロセッサ252Bは、微分演算や積分演算といった適切な数学的手法を用いて、電流の大きさの変動傾向を算出する。かくして、マイクロプロセッサ252Bは、電気自動車EVの充電率を見極めることができる。
【0074】
電流の大きさが一定の値で推移している間、マイクロプロセッサ252Bは、電気自動車EVの充電率が比較的低いと判定する。この間、マイクロプロセッサ252Bは、第2スイッチング素子255を制御し、電池235から赤色発光ダイオード265への発光電力の供給経路を接続させる。また、マイクロプロセッサ252Bは、第1スイッチング素子254及び第3スイッチング素子256を制御し、電池235から緑色発光ダイオード264及び黄色発光ダイオード266への発光電力の供給経路を遮断する。マイクロプロセッサ252Bは、その後、電流の大きさが、「A0」の電流値に対して80%の値に降下するまで(即ち、電気自動車EVの充電率が40%に到達するまで)、赤色発光ダイオード265を点灯し続けるとともに、緑色発光ダイオード264及び黄色発光ダイオード266の消灯を保つ。
【0075】
電流の大きさが、「A0」の電流値に対して80%の値に降下したとき(即ち、電気自動車EVの充電率が40%に到達したとき)、マイクロプロセッサ252Bは、第2スイッチング素子255を制御し、電池235から赤色発光ダイオード265への発光電力の供給経路を遮断する一方で、第3スイッチング素子256を制御し、電池235から黄色発光ダイオード266への発光電力の供給経路を接続する。この結果、赤色発光ダイオード265は消灯し、黄色発光ダイオード266は点灯する。また、緑色発光ダイオード264は、消灯し続ける。マイクロプロセッサ252Bは、電流の大きさが、「A0」の電流値に対して50%の値に降下するまで(充電率が80%に到達するまで)、黄色発光ダイオード266の点灯並びに緑色発光ダイオード264及び赤色発光ダイオード265の消灯を保つ。充電作業を実行しようとする或いは充電作業中の作業者は、黄色発光ダイオード266の発光により、電気自動車EVへの充電がもうすぐ完了することを認識する。
【0076】
電流の大きさが、「A0」の電流値に対して50%の値に降下したとき(充電率が80%に到達したとき)、マイクロプロセッサ252Bは、第3スイッチング素子256を制御し、電池235から黄色発光ダイオード266への発光電力の供給経路を遮断する一方で、第1スイッチング素子254を制御し、電池235から緑色発光ダイオード264への発光電力の供給経路を遮断する。この結果、黄色発光ダイオード266は消灯し、緑色発光ダイオード264は点灯する。また、赤色発光ダイオード265は、消灯し続ける。充電作業を実行しようとする或いは充電作業中の作業者は、緑色発光ダイオード264の発光により、電気自動車EVへの充電が十分であることを認識する。
【0077】
上述の実施形態において、作業者に電気自動車EVの充電状態を通知するために、発光ダイオード231が用いられている。代替的に、光学的に電気自動車EVの充電状態を通知することができる他の発光素子が通知部に用いられてもよい。更に代替的に、通知部は音声的に電気自動車EVの充電状態を作業者に通知してもよい。
【0078】
上述の実施形態において、発光ダイオード231の発光制御に用いられる充電量に対する閾値として、充電率及び電力ケーブル120を流れる電流の大きさが用いられている。代替的に、電気自動車EVの充電量を導き出すことができる他のパラメータに対して閾値が設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、電気自動車を充電するための充電システムに好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0080】
110,110A・・・・・・・・・・充電装置
120・・・・・・・・・・・・・・・電力ケーブル
122・・・・・・・・・・・・・・・コネクタ
200,200A,200B・・・・・コネクタカバー
210・・・・・・・・・・・・・・・カバー壁
211・・・・・・・・・・・・・・・基端部
212・・・・・・・・・・・・・・・先端部
213・・・・・・・・・・・・・・・内面
220・・・・・・・・・・・・・・・磁性ゴム環
230・・・・・・・・・・・・・・・通知部
231・・・・・・・・・・・・・・・発光ダイオード
232,232A,232B・・・・・制御装置
251,251A・・・・・・・・・・受信ポート
252,252A,252B・・・・・マイクロプロセッサ
253,253A・・・・・・・・・・スイッチ
259・・・・・・・・・・・・・・・カレントトランス
264・・・・・・・・・・・・・・・緑色発光ダイオード
265・・・・・・・・・・・・・・・赤色発光ダイオード
266・・・・・・・・・・・・・・・黄色発光ダイオード
C・・・・・・・・・・・・・・・・・閉鎖空間
EV,EV1・・・・・・・・・・・・電気自動車
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車を充電するための電力ケーブルと前記電気自動車とを接続するコネクタを覆うカバー部材であって、
前記電力ケーブルの外周面に接続された基端部と、前記電気自動車に接続される先端部と、を含むとともに前記コネクタの周囲と取り巻く絶縁性のカバー要素と、
前記電気自動車の充電量を通知する通知部と、を備え、
前記カバー要素は、前記基端部と前記先端部との間で閉鎖空間を規定する内面を含み、
前記通知部は、前記内面に取り付けられることを特徴とするカバー部材。
【請求項2】
前記通知部は、前記内面に取り付けられた発光素子と、前記充電量に基づき前記発光素子を発光させる制御を行う制御部と、を含み、
前記カバー要素は、前記発光素子からの光を透過させることを特徴とする請求項1記載のカバー部材。
【請求項3】
前記制御部は、
前記充電量に関する情報を表す充電量信号を受信する受信部と、
前記充電量信号に基づき、前記発光素子を発光させるための発光電力の出力を制御する出力制御部と、を含むことを特徴とする請求項2記載のカバー部材。
【請求項4】
前記充電量信号は、前記電気自動車から供給されることを特徴とする請求項3記載のカバー部材。
【請求項5】
前記充電量信号は、前記電力ケーブルを介して前記電気自動車を充電する充電装置から供給され、
前記出力制御部は、前記充電装置から供給された供給電力を前記発光電力として前記発光素子に出力することを特徴とする請求項3記載のカバー部材。
【請求項6】
前記制御部は、
前記電力ケーブルを流れる電流の大きさを検出する電流検出部と、
前記電流の大きさに基づき、前記発光素子を発光させるための発光電力の出力を制御する出力制御部と、を含むことを特徴とする請求項2記載のカバー部材。
【請求項7】
前記充電量に対して、第1閾値と、該第1閾値より小さな第2閾値とが定められ、
前記発光素子は、第1色相で発光する第1発光素子と、第2色相で発光する第2発光素子とを含み、
前記出力制御部は、前記第1閾値よりも前記充電量が大きいとき前記第1発光素子を発光させ、前記第2閾値よりも前記充電量が小さいとき前記第2発光素子を発光させることを特徴とする請求項2乃至6いずれか1項に記載のカバー部材。
【請求項8】
前記発光素子は、第3色相で発光する第3発光素子を含み、
前記充電量が前記第1閾値と前記第2閾値との間であるとき、前記出力制御部は前記第3発光素子を発光させることを特徴とする請求項7記載のカバー部材。
【請求項9】
前記先端部に接続された可撓性の磁性板を更に含み、
前記電気自動車に接続された前記磁性板は、前記コネクタを取り囲むことを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項に記載のカバー部材。
【請求項1】
電気自動車を充電するための電力ケーブルと前記電気自動車とを接続するコネクタを覆うカバー部材であって、
前記電力ケーブルの外周面に接続された基端部と、前記電気自動車に接続される先端部と、を含むとともに前記コネクタの周囲と取り巻く絶縁性のカバー要素と、
前記電気自動車の充電量を通知する通知部と、を備え、
前記カバー要素は、前記基端部と前記先端部との間で閉鎖空間を規定する内面を含み、
前記通知部は、前記内面に取り付けられることを特徴とするカバー部材。
【請求項2】
前記通知部は、前記内面に取り付けられた発光素子と、前記充電量に基づき前記発光素子を発光させる制御を行う制御部と、を含み、
前記カバー要素は、前記発光素子からの光を透過させることを特徴とする請求項1記載のカバー部材。
【請求項3】
前記制御部は、
前記充電量に関する情報を表す充電量信号を受信する受信部と、
前記充電量信号に基づき、前記発光素子を発光させるための発光電力の出力を制御する出力制御部と、を含むことを特徴とする請求項2記載のカバー部材。
【請求項4】
前記充電量信号は、前記電気自動車から供給されることを特徴とする請求項3記載のカバー部材。
【請求項5】
前記充電量信号は、前記電力ケーブルを介して前記電気自動車を充電する充電装置から供給され、
前記出力制御部は、前記充電装置から供給された供給電力を前記発光電力として前記発光素子に出力することを特徴とする請求項3記載のカバー部材。
【請求項6】
前記制御部は、
前記電力ケーブルを流れる電流の大きさを検出する電流検出部と、
前記電流の大きさに基づき、前記発光素子を発光させるための発光電力の出力を制御する出力制御部と、を含むことを特徴とする請求項2記載のカバー部材。
【請求項7】
前記充電量に対して、第1閾値と、該第1閾値より小さな第2閾値とが定められ、
前記発光素子は、第1色相で発光する第1発光素子と、第2色相で発光する第2発光素子とを含み、
前記出力制御部は、前記第1閾値よりも前記充電量が大きいとき前記第1発光素子を発光させ、前記第2閾値よりも前記充電量が小さいとき前記第2発光素子を発光させることを特徴とする請求項2乃至6いずれか1項に記載のカバー部材。
【請求項8】
前記発光素子は、第3色相で発光する第3発光素子を含み、
前記充電量が前記第1閾値と前記第2閾値との間であるとき、前記出力制御部は前記第3発光素子を発光させることを特徴とする請求項7記載のカバー部材。
【請求項9】
前記先端部に接続された可撓性の磁性板を更に含み、
前記電気自動車に接続された前記磁性板は、前記コネクタを取り囲むことを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項に記載のカバー部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−244754(P2012−244754A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112055(P2011−112055)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】
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