説明

カプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置及び方法

本発明は、飲料を製造するために、カプセル(3)内に収容された物質を湿潤及び/又は溶解させるための方法に関する。前記方法によれば、カプセル(3)を突き刺し、物質の湿潤及び/又は溶解を開始させる目的で加圧液体をカプセル内に射出するために、突き刺し射出要素(5)が使用され、突き刺し射出要素(5)は、連続的に拡散し多方向に延びカプセル内部の半円に基づく噴霧面を覆う少なくとも1つの薄い層の形で、液体をカプセル(3)内へと射出するように構成されている。本発明はまた、流路(80a)及び弁(86)を備える装置に関し、この弁は、第1の位置すなわち中立位置で流路を閉鎖し、弾性要素(90)に対する前記液体圧力の作用を受けて、その圧力により通路を解放するように開き、それにより薄い液体層を形成するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセルに収容された、抽出及び/又は溶解される物質等の食物物質から飲料を作るための装置に関する。より詳細には、本発明は、改良された突き刺し射出要素を備える装置に関する。本発明は又、カプセルに収容された物質の湿潤又は溶解を改善するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料を作るために、挽いたコーヒー等の抽出される物質、又はチョコレート製品等の溶解される物資を収容するカプセルの形の、所定の包装済みサービングを使用することは、飲料の作成作業を容易にする、比較的清潔な作成を保証する、作成される飲料の量及び質を比較的一定に制御する等、多くの利点を有する。
【0003】
閉じられたカプセルに収容された物質の抽出又は溶解の原理は、一般に、作成装置の閉じたチャンバ内にカプセルを入れ、カプセルの一面を突き刺し、物質を抽出又は溶融するためにカプセル内に加圧環境を生み出すように、ある量の湯に圧力をかけてカプセル内に射出し、作成装置の突出部と接触し内部圧力の作用を受けて開くカプセルの反対側の面を通して、物質の抽出物又は溶解された物質を排出することにある。
【0004】
この原理を実施するための装置は既に、例えばスイス特許第605293号、及び欧州特許第242556号に記載されている。これらの文書によれば、装置は、カプセル用のハウジング、並びに、1つ又は複数の液体射出孔をその遠位領域に有する中空の尖った部品の形の、突き刺し射出要素を備えている。この尖った部品は、一方ではカプセルの上部を開き、他方では水をカプセル内に入れるための流路を構成するという二重の機能を有している。欧州特許第1203554号の明細書に記載されているように、カプセルに収容された物質の抽出及び/又は溶解を改善するために、上記の二重機能を果たすいくつかの尖った部品をこれら装置に装備することも考えられてきた。
【0005】
このような装置の第1の欠点は、それらが非常に小さいため、特にカプセルが装置から直ちに取り外されず、突き刺し要素が使用後に洗われない場合に、水の中の湯垢、又は物質との接触により、尖った部品内の液体射出孔が急速に遮断されやすく、それが装置の性能に悪影響を及ぼすということである。特に、時間が経つと流れがより正常でなくなり、噴流がより遅くなる。これは、抽出の状態、物質の溶解、及び、例えば泡の形成に悪影響を及ぼす。
【0006】
したがって、これらの問題を解決する装置を有することが好都合である。
【0007】
第2に、従来技術の装置では、湿潤方法が、優先的な方向に向けられた1つ又は複数の個別的な噴流に基づいている。単一の、個別的に方向付けられた噴流は、カプセルに収容された物質のかたまりを溶解するには不十分であることが多い。さらに、単一の噴流は、優先的な通路を作り出し、物質のかたまりに穴を形成するが、それを完全に湿潤又は溶解しない。したがって通常は、それぞれ別々の方向に向けられたいくつかの噴流を使用する。しかし、そのような湿潤及び溶解方法では、優先的な通路が依然形成されるので完全に満足なものではない。
【0008】
したがって、優先的な通路を形成せず、しかし物質を適切に湿潤又は溶解させ適当に泡を発生させるのに必要な噴流の速さを維持しながら、物質をより十分に湿潤又は溶解させる方法が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の主な目的は、カプセル内に収容された、抽出及び/又は溶解される物質等の食物物質から飲料を作るための装置を提供することにより、上記従来技術の欠点を克服することである。これにより特に、蓄積された湯垢又は物質の残渣によって形成される、突き刺し射出要素の射出孔の閉塞により流れが減少するという危険性を回避することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は、カプセル内に収容された、抽出及び/又は溶解される物質等の食物物質から飲料を作るための装置に関し、前記装置は、カプセルを受けるためのハウジングと、加圧された液体を受け入れるための流路を有する少なくとも1つの突き刺し射出要素とを備え、前記突き刺し射出要素が、前記流路から前記カプセル内に液体を導入することが可能になるように、前記装置の少なくとも1つの動作位置で、前記ハウジング内へと突出し、カプセルの面を突き刺すように設計され、前記装置は、前記突き刺し射出要素が、閉鎖手段を一端に有する弁の形で構成された遠位端を有し、前記弁が、休止位置と呼ばれる第1の位置で前記流路を閉鎖し、作動位置と呼ばれる第2の位置で、弾性要素に対する液体からの圧力の作用を受けて開き、それによりその圧力に応じて通路を開放し、前記通路から噴霧される液体層を形成するように設計されることを特徴とする。
【0011】
突き刺し射出要素のそのような構成は、液体からの圧力がなければ液体が流れる通路が閉じられ、液体が流路内で加圧された後にのみ開くので、自己清浄性であるという利点を有する。通路は圧力がかからない状態では閉鎖手段によって閉鎖されるので、使用直後にカプセルが装置から取り外されない場合も、湯垢又は物質残渣による閉塞のいかなる問題も回避される。
【0012】
本発明の好ましい実施例によれば、突き刺し射出要素は、カプセルのハウジングのほぼ中央に配置され、少なくとも1つの液体層の形の多方向拡散噴霧を生成するように設計されている。薄い層は有利に、前記カプセルに収容された前記物質をほぼ円形状に噴霧するように、尖った部品の外周の周りで連続的に延びる。この特別の構成により、360°にわたる一貫した水の層を簡単に散布することが可能になる。
【0013】
好ましくは、突き刺し射出要素の端部は、カプセルを突き刺し又は引裂き、水がカプセルに入ることを可能にするように尖っている。
【0014】
好ましくは、突き刺し射出要素は、流路を形成する管状本体を備えている。この管状本体は、液体取入口と連通する近位孔と、前記尖った部品と共に前記通路を形成する遠位孔とを備えている。遠位孔と近位孔は前記流路によって連結され、前記閉鎖手段は、前記管状本体内で摺動する後部案内部品を有し、一方、尖った端部は、前記管状本体の外周面の延長部にある外周面を備えている。
【0015】
この構造によって、閉鎖手段を、膜の突き刺しを妨害しないように、突き刺し時に突き刺し射出要素の管状本体に押し付けることができる。さらに、この要素がカプセルから外されるときに閉鎖手段が膜に引っかかる危険性がなくなる。
【0016】
本発明は又、飲料を製造するために、カプセル内に収容された物質を湿潤及び/又は溶解させる新規の方法を提案することを目的とし、この方法は、突き刺し射出要素によって、カプセルを突き刺すことと、物質を湿潤及び/又は溶解させるために、加圧された液体をカプセル内へと射出することとを含む。この要素は、液体を、連続的に拡散し多方向に延びカプセル内部のある円弧内の噴霧面を覆う少なくとも1つの薄い層の形で、カプセル内へと射出するように構成されている。したがって、このような噴霧構成は、噴流の強さ及び速さの利点を維持するが、物質内に穴又は優先的な通路を形成する個別的に方向付けられた噴流の欠点を回避しながら、液体を大きな面に拡散させるという利点を有する。そのような穴又は優先的な通路が形成されると、いくらかの物質が抽出又は溶解されず、固体材料及び飲料の風味を損失し、したがって飲料の質を落とすことになる。
【0017】
好ましくは、薄い層はカプセル内で、30°〜360°の噴霧面、好ましくは120°〜360°の噴霧面を覆う。液体はカプセルの中心軸線から射出することができ、この場合、多方向の円形層又は360°にわたって延びる広がりを有することが好ましい。
【0018】
射出は又、中心軸線に対して移動させることができ、この場合、それぞれ45°〜180°の弧内、好ましくは120°〜180°の弧内で射出する、少なくとも2つの噴霧層を有することが好ましい。噴霧層は好ましくは、可能な限り広い面を噴霧し、射出された液体がかたまり中を流れることが可能になるように、飲料がカプセルから出る方向に対して横方向に向けられる。したがって、かたまり全体が湿潤され、優先的な通路の形成が減ることが保証される。一般に、飲料が出る方向はカプセルの軸線に対応し、したがって、垂直又は垂直に近い方向に対応する。層又は広がりの方向は又、この横方向に対して下又は上にわずかに、特に最大約30°で傾けることができる。
【0019】
好ましくは、薄い層は、0.5mm以下の厚さ、好ましくは0.3mm未満の厚さを有する。このような厚さにより、可溶性物質を溶解するのに十分な運動エネルギーをもつ噴流の形で液体が噴出することが保証され、抽出される物質内を液体が通過するときに生じる、カプセルの縁部に到達するための圧力の損失が克服される。
【0020】
薄い層は、突き刺し射出要素内の少なくとも1つのスロットによって得られる。このスロットは固定することができ、又反対に、射出時にのみ流体からの圧力に応答して開くこともできる。流体からの圧力の作用を受けて開くスロットの利点は、それが自己清浄性を有し、何サイクルも繰り返し可能な物質の湿潤及び/又は溶解が保証されることである。ただし、固定された広がりの方がより単純で安価な設計である。
【0021】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら非限定的な説明のための例示的な実施例の説明を読めば明らかになるであろう。
【実施例】
【0022】
図1及び図2を参照すると、作成装置1の一実施例の断面が示されており、この装置は、突き刺し、及び好ましくは湯又は水である加圧された流体の射出のためのシステム2を備える。このシステムは、図示の実施例では、カプセル3内での射出深さが異なる少なくとも2つの位置で切り換えることができる。この装置は、形状及びサイズが少なくともカプセル3の部分を受けるようにされた、カプセル支持体40の形の第1の下側サブアセンブリを備えている。カプセル3は、閉じた、開いた、又は部分的に開いたカプセルとすることができる。
【0023】
好ましい一実施例によれば、カプセルは、抽出及び/又は溶解される物質を収容する閉じたチャンバ、並びに、チャンバ内の圧力上昇の作用を受け、開放要素37等の係合手段と接触して開く膜30等の保持部を備える。係合手段は、カプセル自体の一部を形成することも、カプセル支持体40の一部を形成することもできる。カプセルは又、好ましくは抽出された液体又はその混合物を収集するための手段31、及びそれに固有な導管手段32を備え、これは、一体化された開放手段と組み合わさって、装置に直接接触することなく生成物を送達し、特にカプセル支持体40と共に、飲料の相互汚染防止、より良好な衛生状態、より少ない洗浄、及び、作成装置の実際の設計の大幅な単純化を保証するという利点を有する。より詳細には、カプセルは、機能要素、すなわち開放要素、封止された開放膜30及び導管手段32を形成又は収納するための、プラスチック又は別の材料製のディッシュ33を備えることができる。ディッシュ33は、チャンバ34を形成するために、カプセルの封止縁部36に封止された第2の入口膜35によって閉じることができる。当然、カプセルの構成は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の設計及び/又は形状とすることができる。カプセルは例えば、装置内に同等に挿入される、ほとんどの部分が可撓性材料(小袋)で形成された本体を備えてもよい。
【0024】
好ましいカプセルは、参照によりその内容全体が本明細書に援用される、2003年1月13日出願の欧州−PCT特許出願第03/00384号により詳細に記載されている。
【0025】
装置1は、カプセル3を受けるためのハウジングを形成するためのカプセル支持体40と閉じた状態で協働する、第2のサブアセンブリ又は突き刺し射出システム2を備えている。突き刺し射出システム2は、加圧された液体を受けるための流路を有する中央突き刺し射出要素5を備え、突き刺し射出要素5は、流路を通じてカプセル3内に液体を導入することが可能になるように、装置1の少なくとも1つの動作位置で、前記ハウジング内へと突出し、カプセル3を突き刺すように設計されている。突き刺し射出システム2は、図示した実施例では要素5をカプセル内の様々な湿潤位置へと動かすように要素5と一体となった、作動手段6と関連付けられている。この目的のために、突き刺し射出要素5は、カプセル支持体40に対して閉じて動かされるコア7内を通過する。固定された支持体40に対して上部基部を動かすこと又はその逆が可能であり、或いは、それら両方を閉じた状態で動かすことができることを理解されたい。以下の説明で「可動ベル6」と呼ぶベル形の可動支持体である作動手段が、コア7上に取り付けられている。コア7は、戻し手段(図示せず)と関連付けられる複数の案内管70、71により、装置の開状態でコア7が可動ベルの端壁に実質的に押し付けられるように、可動ベル6に対して並進するように案内される。
【0026】
コア7はさらに、閉じた状態でカプセル40の周縁部41に対して押し付けられるように構成されたエラストマ・シール等の、周縁封止手段74を備えている。コア7はしたがって、閉鎖時にカプセルの入口面の最も近くで押圧される部品であり、したがって中央突き刺し射出要素5がカプセルを、より詳細にはカプセル入口膜35を貫通して導入されることを可能にする。さらなる封止要素75も又、流体が射出システムを通って装置の外側に逆流するのを防ぐために、突き刺し射出要素を取り囲んでいる。
【0027】
図示した実施例では、突き刺し射出要素又は可動ベルを作動させるための手段は、要素5と一体であり、カプセル支持体との相対位置によって、カプセル内の突き刺し射出要素の位置を修正し、そうしてカプセルの閉じたチャンバ内に収容された物質を湿潤させるための構成を変化させる。より詳細には、可動ベル6は、このタイプのカプセルの一機能としての検出手段を有する。この検出手段は、カプセルの補対縁部360と係合することができる係合縁部60によって形成され、したがって、ベル6を、カプセルの縁部の幅に応じて(図2に示すように)、上部基部7から離して方向Aに押すことができる。したがって突き刺し射出要素を導入するための位置は、カプセルが、ベル6の縁部に対して係合する幅の広い縁部又は縁部延長部を有するか、ベルの縁部とカプセルの補対縁部が接触しないような狭い縁部を備える構成を有するかによって、2つの異なる位置をとることができる。図1で装置は、カプセルが、ベル6を押し返し、したがって突き刺し射出要素5をカプセル3の入口に近い導入位置で停止させるための、幅が広い縁部又は延長部36を有する構成である。このような位置によって、物質床のほぼ入口で流体を射出することが可能になり、これは例えば粉末の製品を抽出するのに非常に適している。
【0028】
図2は、カプセルがより狭い縁部を有し、その縁部によって、装置が閉じられるときにベル6を押し返さずにカプセル支持体に沿って通過させることが可能になる構成を示す。この場合、突き刺し射出要素5は、カプセル3内部のより深い位置に到達することが可能になる。このような位置は、物質をその底部から湿潤させて、物質のかたまりを徐々に砕くのに有利である。このような湿潤方法は、例えば可溶性物質の場合に特に効率的である。
【0029】
図3〜図5は、本発明の装置と共に装備される、突き刺し射出要素5の好ましい実施例の詳細を示す。特に図3から、矢印Lで示され、液体供給部からくる、一般に湯であり、装置(図示せず)に供給される加圧された液体を受け入れるための、中央通路又は流路管状本体80aを形成する管状本体80を、突き刺し射出要素5が備えていることが分かる。
【0030】
近位端5aは、流路80a内へと開く、装置の水供給と連通するためのノズル84がその内部に液密にして圧力嵌めされた、孔82を備えている。
【0031】
要素5の遠位端5bは、可動閉鎖手段86を備える弁の形で構成され、この弁は、休止位置(図3及び図4)と呼ばれる第1の位置で流路80aの遠位部分を閉じ、動作位置と呼ばれる第2の位置で、液体Lからの弾性要素90に対する圧力の作用を受けて開き、それにより遠位孔又は通路92(図5)を開放し、通路92から噴霧される液体層94を作り出すように設計されている。
【0032】
閉鎖手段86は、先端が尖ったほぼ円錐形の端部部品86、及び管状本体80の流路80a内で摺動する後方案内部品96を有する。閉鎖手段86の尖った部分88の機能は、装置の使用時にカプセル3の入口膜35を突き刺すことであり、後部96の機能は、管状本体80内の閉鎖手段の移動を案内することである。
【0033】
図3及び図5からは又、閉鎖手段86の尖った部分が、管状本体80の外周面の延長部内にある外周面98を有することも分かる。この構成により、カプセル3から突き刺し要素5を抜き出すことが容易になり、この抜き出しの際に閉鎖手段86が膜35に引っかかるのを防ぐことが容易になる。
【0034】
閉鎖手段86はさらに、閉鎖手段がその休止位置にあるときに、管状本体80の遠位端に形成された相補的な形状の環状面104に対して押し付けられる、肩表面100をその尖った端部の後方に備えている。
【0035】
閉鎖手段の後方案内部品96は、開口102を備えており、そのため液体は、閉鎖手段86が動作位置にあるときに、通路92を通って近位孔から肩面100及びカプセル内へと流れることができる。
【0036】
閉鎖手段86は、さらに、肩面100が環状面104に押し付けられて通路92をなくし、流路80aを閉じて封止する休止位置へと閉鎖手段86を戻す、流路80a内にある弾性要素90と結合される。図示しない変形例によれば、肩面100と環状面104の間にシールを挿入することができる。弾性部材90は好ましくは螺旋ばねを備え、チャネル80aの長手軸線に沿って延びるその第1の直線状端部が、例えばその中に押し込む等して後方案内部品96に締結され、その第2の端部が管状本体内部に締結される。図示した実施例では、第2の端部はフック形であり、孔82で管状本体内に横方向に押し込まれたピン106に掛かっている。
【0037】
図示の実施例では、突き刺し射出要素5は、カプセル3を受けるハウジングのほぼ中央に配置されており、後方案内部品96内に形成された開口102は、要素5の尖った部品の外周の周りに連続的に延びる液体層94の形の多方向に拡散する噴霧を生成するように構成されている。この構成により、カプセル3内に収容された物質を円形状に一様に噴霧することが可能になる。
【0038】
通路92の開口のサイズは、液体Lを要素5内に射出する圧力、及び弾性要素90の戻り力の両方によって変わるので、これら2つのパラメータを、所望の厚さの液体層が得られるように調整することができる。好ましくは、これらのパラメータは、0.5mm未満、通常0.3mmの液体層94が得られるように調整される。
【0039】
変形例として、後方案内部品96内の開口102は又、特に突き刺し射出要素5がもはやカプセル3を受けるハウジングの中心に配置されず前記ハウジングの周辺部に配置される場合に、例えば扇形等の異なる形状の液体層を形成するように構成することもできる。
【0040】
図6a及び図6bは、本発明による装置で使用することができる、参照番号110で示される突き刺し射出要素の様々な実施例を示す。図から分かるように、突き刺し射出要素110は、薄い液体層の形の拡散噴流を生成する射出手段112を備える。これらの手段112は、図示の実施例では、要素110の長手方向に対して横方向に延び、液体取入流路114と連通する、2つの固定スロット112a及び112bを含んでいる。「固定スロット」という用語は、時間が経ってもサイズ及び形状が変わらないスロットを意味する。2つのスロットはそれぞれ、それらが合わせて360°の区域を覆うように、相補的な角度の区域を覆う。したがって突き刺し射出要素110は、特にカプセルの中央に配置される場合に、カプセル上部内の物質をほぼ全部湿潤させるのに十分な幅の、円形状区域全体に延びる拡散噴流を生成する。要素110の製造に関係する理由から、スロット112a及び112bは、互いに高さ方向にずれていることに留意されたい。言うまでもないが、スロットの数及び形状は説明した実施例に限定されず、当分野の技術者であれば、所望の角度区域を覆う噴流が形成される限り、様々な数及び形状のスロットを考案することができる。
【0041】
スロット112a及び112bはそれぞれ、薄い液体層が360°の角度区域にわたりほぼ連続的に形成されるように構成されることに留意されたい。さらにこれらのスロットは、厚さが0.5mm以下の液体層、好ましくは0.3mm未満の液体層を形成するように構成される。この目的のためには、各スロットは好ましくは約0.5mmの高さとなる。
【0042】
この変形実施例の有利な一実施例(図示せず)によれば、液体噴流の方向を規定するスロット112a及び112bの軸線は、その水平方向に対して0°〜25°の角度、好ましくは約15°の角度を成す。したがって、これらの孔によって射出された液体は上方向に向けられ、まず膜35の下面で反射され、次いで、より望ましい状態で物質床に向かって下方向に向けられる。このようにして、物質はより一層均一に湿潤される。
【0043】
当然、突き刺し射出要素110をカプセル内の偏心位置、より詳細にはカプセルの側壁付近に配置することも考えられる。この場合、1つ又は複数のスロットは、カプセルの上部に収容された物質を、120°〜360°の間の角度区域、好ましくは約180°の角度区域にわたり射出及び湿潤させる薄い液体層を形成するように重なり合う、複数の拡散噴流を生成するようにカプセルの中心に向かって方向付けられる。
【0044】
突き刺し射出要素を貫通し、ある角度区域上に十分な数分布する、複数の分離された別々の孔により薄い液体層を形成することを考えることも可能である。その場合これらの孔は、空気領域を形成せず、逆に比較的連続的な液体層を形成するように、互いに十分接近していなくてはならない。
【0045】
本発明はもちろん上記の実施例に限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内で、当分野の技術者には明らかな様々な修正及び改善を加えることができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】好ましい実施例に従って飲料を作るための装置の、1つの動作モードを示す断面図である。
【図2】好ましい実施例に従って飲料を作るための装置の、別の動作モードを示す断面図である。
【図3】本発明による装置の突き刺し射出要素の断面図である。
【図4】休止状態にある突き刺し要素の詳細を示す部分断面斜視図である。
【図5】作動状態にある突き刺し要素の詳細を示す部分断面斜視図である。
【図6a】本発明の装置内で使用することができる突き刺し射出要素の一変形実施例の概略斜視図である。
【図6b】本発明の装置内で使用することができる突き刺し射出要素の一変形実施例の概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセルに収容された抽出又は溶解される物質等の食物物質から飲料を作るための装置であって、前記装置が、前記カプセルを受けるためのハウジングと、加圧された液体を受け入れるための流路を有する少なくとも1つの突き刺し射出要素とを備え、前記突き刺し射出要素が、前記流路から前記カプセル内に液体を導入することが可能になるように、前記装置の少なくとも1つの動作位置で、前記ハウジング内へと突出し、前記カプセルの面を突き刺すように設計された、カプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置において、
前記突き刺し射出要素が、閉鎖手段を一端に有する弁の形で構成された遠位端を有し、前記弁が、休止位置と呼ばれる第1の位置で前記流路を閉鎖し、作動位置と呼ばれる第2の位置で、弾性要素に対する前記液体からの圧力の作用を受けて開き、それにより前記圧力に応じて通路を開放し、前記通路から噴霧される液体層を形成するように設計されていることを特徴とするカプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置。
【請求項2】
前記突き刺し射出要素が、前記カプセルのハウジングのほぼ中央に配置され、少なくとも1つの液体層の形で多方向拡散噴霧を生成するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載のカプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置。
【請求項3】
前記薄い層が、前記尖った部品の外周の周りで連続的に延び、前記カプセルに収容された前記物質をほぼ円形状に噴霧することを特徴とする、請求項1又は2に記載のカプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置。
【請求項4】
前記突き刺し射出要素が前記流路を形成する管状本体を備え、前記管状本体が液体取入口と連通する近位孔と、前記尖った部品と共に前記通路を形成する遠位孔とを備え、前記遠位孔及び前記近位孔が前記流路によって連結され、前記閉鎖手段が前記管状本体内で摺動する後部案内部品を有することを特徴とする、請求項1から3の一項に記載のカプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置。
【請求項5】
前記尖った端部が前記管状本体の外周面の延長部にある外周面を備えていることを特徴とする、請求項1から4の一項に記載のカプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置。
【請求項6】
前記閉鎖手段が前記管状本体の端部環状面に押し付けることができる肩面をその尖った端部の後方に備え、前記後部案内部品が前記動作位置で液体を前記近位孔から前記肩面へと前記通路から流す開口を備えていることを特徴とする、請求項5に記載のカプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置。
【請求項7】
前記閉鎖手段の前記肩面が前記液体からの圧力がない状態では前記弾性要素により前記環状面に押し付けられて保持され、したがって前記流路が封止閉鎖されることを特徴とする、請求項1から6の一項に記載のカプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置。
【請求項8】
前記弾性要素が前記流路内にある螺旋ばねを備え、前記ばねが第1の端部によって前記閉鎖手段の前記後部案内部品に締結され、第2の端部によって前記管状本体と一体のフック要素に締結されることを特徴とする、請求項1から6の一項に記載のカプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置。
【請求項9】
前記液体層が0.5mm以下の厚さ、好ましくは0.3mm未満の厚さを有することを特徴とする、請求項1から8の一項に記載のカプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置。
【請求項10】
カプセルに収容された抽出又は溶解される物質等の食物物質から飲料を作るための装置であって、前記装置が、前記カプセルを受けるためのハウジングと、加圧された液体を受け入れるための流路を有する少なくとも1つの突き刺し射出要素とを備え、前記突き刺し射出要素が、前記流路から前記カプセル内に液体を導入することが可能になるように、前記装置の少なくとも1つの動作位置で、前記ハウジング内へと突出し前記カプセルの面を突き刺すように設計された、カプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置において、
前記突き刺し射出要素が前記突き刺し射出要素に対して横方向の少なくとも1つのスロットを備え、前記スロットが、連続的に拡散し多方向に延びカプセル内部のある円弧内の噴霧面を覆う少なくとも1つの薄い層の形で、前記液体を前記カプセル内へと射出するように構成されていることを特徴とする、カプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置。
【請求項11】
前記スロットが30〜180°の角度区域にわたって延びていることを特徴とする、請求項10に記載のカプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置。
【請求項12】
前記突き刺し射出要素が第2の横方向スロットも備えていることを特徴とする、請求項11に記載のカプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置。
【請求項13】
前記第2のスロットが前記突き刺し射出要素に沿って前記第1のスロットと異なる高さに配置されていることを特徴とする、請求項12に記載のカプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置。
【請求項14】
前記第2のスロットが、前記第1のスロットと合わせて360°の区域を覆うように、第1のスロットと相補的な角度区域を覆うことを特徴とする、請求項13に記載のカプセルに収容された食物物質から飲料を作るための装置。
【請求項15】
飲料を製造するために、カプセル内に収容された物質を湿潤及び/又は溶解させる方法であって、突き刺し射出要素によって、前記カプセルを突き刺することと、加圧された液体を、前記物質を湿潤及び/又は溶解させるために前記カプセル内へと射出することとを含む、カプセル内に収容された物質を湿潤及び/又は溶解させる方法において、
前記突き刺し射出要素が、連続的に拡散し多方向に延びカプセル内部のある円弧内の噴霧面を覆う少なくとも1つの薄い層の形で、前記液体を前記カプセル内へと射出するように構成されていることを特徴とする、カプセル内に収容された物質を湿潤及び/又は溶解させる方法。
【請求項16】
前記薄い層が、前記カプセル内で30〜360°の噴霧面を覆うことを特徴とする、請求項15に記載のカプセル内に収容された物質を湿潤及び/又は溶解させる方法。
【請求項17】
前記薄い層が、前記カプセル内で120〜360°の噴霧面を覆うことを特徴とする、請求項16に記載のカプセル内に収容された物質を湿潤及び/又は溶解させる方法。
【請求項18】
前記薄い層が、0.5mm以下の厚さ、好ましくは0.3mm未満の厚さを有することを特徴とする、請求項15、16、又は17に記載のカプセル内に収容された物質を湿潤及び/又は溶解させる方法。
【請求項19】
前記スロットが固定されていることを特徴とする、請求項15から18の一項に記載のカプセル内に収容された物質を湿潤及び/又は溶解させる方法。
【請求項20】
前記スロットが、前記突き刺し射出要素内への、加圧された流体の前記射出にのみ応答して開くことを特徴とする、請求項15から19の一項に記載のカプセル内に収容された物質を湿潤及び/又は溶解させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2007−503234(P2007−503234A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524281(P2006−524281)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009126
【国際公開番号】WO2005/020770
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】