説明

カプセル化された超硬質材料を製造する方法

本発明は、カプセル化された超硬質材料を製造する方法において、超硬質材料の供給源を提供する工程と、適切な結合材、溶媒又は流動性媒体、及び、所望の被覆用層又はカプセル化用層を含有する混合物を提供する工程と、ローターが入っている容器であって、ガス流を受け入れるように構成された容器を備えたショベル・ローターの中で、該超硬質材料と該混合物とを混ぜ合わせる工程と、該超硬質材料が該混合物によってカプセル化されるような具合に、該ローターを適切な速度で回転させる工程とを含む、方法に関する。本発明は更に、上記方法によって作られたカプセル化された超硬質材料にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル化された超硬質(研磨)材料を製造する方法に関する。具体的には、本発明は、ダイヤモンド及びcBNから選ばれる超硬質材料の製造方法に関するものであり、ショベルローターを用いる工程を有する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第4,770,907号明細書(キムラ(Kimura)、不二パウダル(株)、1988)、米国特許第5,143,523号明細書(マタレッセ(Matarrese)、GE、1992)及び米国特許第5,405,573号明細書(クラーク(Clark)他、GE、1995)は全て、流動床を用いて粒子を被覆することを記載している。この方法では、超硬質コア(例えば、ダイヤモンドの種)を室内の気体流の中に浮遊させる。該室の中に、結合材、溶媒及び粒子材料(例えば、金属粉末であるカプセル化用材料)の微細サスペンションを噴霧する。代替的に、結合材−溶媒は、別個の粉末添加を伴って、噴霧され得る。新生したペレットは、該室内で費やされた滞留時間に比例する(非線形的な)量で作り上げられる。この方法の利点は、流動床によって、コア種の良好な分離を可能にし、そうすることによって、確実に、ただ1個のコアを各々のペレットの中に含むと共に、妥当な速度で被覆材料を堆積することである。この技術の欠点は、最大堆積速度が比較的遅く、しかも、高密度粒子の被覆材料(例えば、Mb、W及びWC)を用いる場合、ペレットの質量が増大することによって、装置の、サスペンションを維持する能力の点で困難性が生じる。このことは、該装置の容量を増大させることによって処理される場合があるが、これは高コストとなり、且つ、商業的大量の材料を製造する商業的実行可能性に影響を与える。加えて、異なる密度と、粒子形状と、粒度とを持つ粉末の混合物でコーティングを行う場合、材料が、流動床中で分離する傾向があり、且つ、意図された組成物が均一には達成されないことがあるので、流動床タイプのコーティングは、理想的なものではない。
【0003】
英国特許第1014295号明細書(ノートン(Norton)、1965年)及び欧州特許第0012631号明細書(トムリンソン(Tomlinson)、デビアス(DeBeers)、1983年)に記載されている「回転パン(rotating pan)」法は、回転する傾斜パン、ドラム又は他の何れかの回転容器の中に、超硬質コア(例えば、ダイヤモンドの種)を導入する工程であって、回転するダイヤモンド種の上に、1)金属粉末、結合材及び溶媒を含有するスラリー(カプセル化材料)を噴霧する段階、及び/又は、2)その回転するダイヤモンドの種の上に、それら結合材及び溶媒を別々に噴霧し、次いで、その回転するダイヤモンド種の上に該金属粉末を撒き散らす段階によって、ペレットを作り上げることができる工程を含む。パンの回転によって、被覆済みダイヤモンド種(新生のペレット)は分離され、且つ、噴霧された材料から該溶媒を除去することにより、カプセル化用材料の同心被覆物が形成される時間を与えることが可能となる。該同心被覆物は、本プロセスが進行するにつれて体積が増大する。この技術は、カプセル化用材料を堆積させるという点で効果的であり、このようにして、ペレットの質量は迅速に増大する。しかし、この方法の課題は、本プロセスの初期段階において、コア、及び/又は、初期におけるペレットが集塊化し易いことである。集塊化を回避するためには、堆積速度は、非常に遅くなくてはならず、このことによって、全処理時間は長くなり、且つ、本プロセスの処理能力は低下する。集塊化は、新生のペレットが臨界寸法に達した後、重大性が減少する。集塊化すれば、最終ペレットはかなり大きい粒度分布を有することが可能となり、且つ、ペレット1個当り1個以上のコアを含有し得る結果となる。このことは、工程所要時間及び加工費を増大させることに寄与する。
【0004】
南アフリカ特許第2006/06674号明細書(フリン(Flynn)他、E6、2006)は、ペレットを迅速に形成するための二段階方法を採用することによって、この課題を部分的に克服している。上記諸課題の解決策は、本質的に、当該技術分野で知られている2つの技術を組み合わせて、単一方法のデザインにすることである。従って、前記方法の初期段階には、1個のコア粒子のみ(例えば、ダイヤモンドの種)を含有するペレットの収率を最大限にする流動床のアプローチが含まれる。それらペレットは、流動性サスペンション(fluid suspension)中に留まりながら、臨界寸法体積(Vcrit)まで作り上げられることが可能である。ペレットが、この臨界寸法に到達する時、該ペレットを、回転パンに移動させる。回転パンにおいて、該ペレットは最終ペレットプロセスのコア(サブコア(sub−core))を形成する。そのようにして作られたペレットは、導入された時のペレットに比べてかなり大きい体積を有し、また、表面上の層が噴霧物をより迅速に吸収し、従って、堆積速度が増大し得るので、集塊化の危険性は、大幅に減少する。加えて、より重い粒子は、噴霧物の表面張力により、結合する可能性は高くない。しかし、両方の技術を組み合わせることは、2組の資本設備を必要とし、また、材料を一方の機械から他方の機械まで移動させるという点で中断時間を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,770,907号明細書
【特許文献2】米国特許第5,143,523号明細書
【特許文献3】米国特許第5,405,573号明細書
【特許文献4】英国特許第1014295号明細書
【特許文献5】欧州特許第0012631号明細書
【特許文献6】南アフリカ特許第2006/06674号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、上記に概説される技術の課題を克服する単一技術を開発して、カプセル化された研磨材を製造することに対してより費用効率の高い解決策を提供する必要性が存在する。好ましくは、そのような単一技術は、「パン回転」ルート又は「流動化」ルートと組み合わせて用いられるとき、利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によると、カプセル化された超硬質材料を製造する方法において、
1.超硬質材料の供給源を提供する工程と、
2.適切な結合材、溶媒又は流動性媒体、及び、所望の被覆用又はカプセル化用材料を含有する混合物を提供する工程と、
3.ローターが入っている容器であって、ガス流を受け入れるように構成された容器を備えたショベル・ローターの中で、該超硬質材料と該混合物とを混ぜ合わせる工程と、
4.該超硬質材料が該混合物によってカプセル化されるような速度で、該ローターを回転させる工程と、
を含む、方法が提供される。
【0008】
ショベル・ローター装置はドイツ特許第19750042号明細書、米国特許第6,449,869号明細書及び米国特許第6,354,728号明細書に記載されている。それら明細書の内容は、言及されることによって本明細書に組み入れられる。
超硬質材料は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、ウルツ鉱型窒化ホウ素、炭化物、酸化物若しくはシリサイド、Si、SiC、Al、AlC、SiO、及び/又は、上記の物の何れかのクラスターから選ばれる。最も好ましくは、超硬質材料は、ダイヤモンドである。ダイヤモンドは、天然物又は合成物であってもよい。合成ダイヤモンドは、化学蒸着又は高圧高温(HPHT)技術によって合成することができる。
【0009】
好ましくは、超硬質材料は、粒子の形態で存在する。超硬質粒子は、直径が、好ましくは、少なくとも約0.01μmであり、好ましくは、少なくとも約0.1μmであり、より好ましくは、少なくとも約1μmである。超硬質粒子は、直径が、好ましくは約5mm以下であり、好ましくは約4mm以下であり、より好ましくは、少なくとも約3mm以下である。好ましくは、粒子は、該粒子の最大寸法が測定されたとき、約1μm〜約1.5mmの粒度を有する。この粒度範囲の粒子は、ミクロン、グリット又はモノクリスタルとして知られている。それら粒子は、予備被覆された粒子又はクラッドされた粒子であってもよく、及び/又は、それら粒子は、同一又は異なる製造技術を用いる初期製造段階によって部分的にカプセル化された粒子であってもよい。(非被覆の、被覆された、クラッドされた、又はカプセル化された)粒子は、種粒子と称されることがある。
【0010】
定義
カプセル化された粒子
砥粒のようなカプセル化された粒子とは、金属、金属合金、セラミック及び/若しくはサーメット(cermet)粉末又はそれらの組合せのような粒子材料の集団をまとめるために、別個の結合材を用いることを含む何れかの方法によって、該粒子材料を含有する包装材料の内部に包まれた粒子である。典型的には、該結合材は、有機質材料である。該結合材は後で除去されることが可能であり、また、該粒子材料は、部分的に又は完全に焼結され得る。
【0011】
被覆された粒子/クラッドされた粒子
被覆された粒子は、前記粒子の表面に物理的若しくは化学的に結合された材料の1つ以上の層によって、完全に又は部分的に取り囲まれている粒子の少なくとも1種類を含むコアを有するものと説明され得る。本発明において、被覆すること(coating)は、コーティングを作るプロセスが、堆積直後に粒子材料をまとめている結合材料には依存しないという点で、カプセル化と異なる。被覆することによって、1個以上のコア粒子の表面を、完全に又は部分的に覆うことができる。コーティングを作るプロセスには、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、他の同等の熱間加工又は冷間加工、めっき、ポリマー前駆体を用いて作られるゾル・ゲルコーティング又はセラミックコーティングが包含される。コーティング厚さは、ナノ原子層〜数百μmの範囲であれば如何なる厚さでもよいが、典型的には、0.1μm〜5μmの範囲である。例えば、コーティング厚さが、研磨粒子の粒度と比べて大きい場合(例えば、コーティング厚さが、コア粒子の直径の約5%より大きい場合)、このコーティングはクラッディング(cladding)として更に区別されることがある。クラッディングの場合、堆積するための好ましい方法には、無電解及び電解析出が包含される。
【0012】
本発明の好ましい具体例において、容器は、適切な量の種粒子であって、(i)ダイヤモンド粒子若しくは他の超硬質粒子、及び/又は、(ii)予備被覆されたダイヤモンド粒子若しくは他の超硬質粒子、又はクラッドされたダイヤモンド粒子若しくは他の超硬質粒子、及び/又は、(iii)流動床若しくは回転パンによる造粒のような同一又は異なる製造技術を用いる初期の工程段階によって部分的にカプセル化されたダイヤモンド粒子若しくは他の超硬質粒子、から成る場合がある種粒子が充填されているローター室を備えている。それら種粒子の構造を図1に例示する。種粒子は、典型的には、粒度が50μm〜2mmである。
他の具体例は、後でショベル・ローター法を用いてカプセル化される超砥粒のみ(即ち、ダイヤモンド又はcBN)から成る種粒子から、図1に説明される構造まで多岐にわたる。
【0013】
前記混合物は、スラリーの形態であってもよい。該スラリーは、
・ ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、メチルセルロース、及び/又は他の適切な概して有機質の結合材系から選ばれる結合材と、
・ 水、脱イオン(DI)水、及び他の適切な有機溶媒から選ばれる、溶媒又は流動性媒体と、
・ 黒鉛粒子、ダイヤモンド粒子又は他の超硬質粒子、及び/又は、コバルト、鉄、ニッケル、タングステン、銅、モリブデンを包含するが、それらに限定されない金属粉末、及び、金属炭化物のようなセラミックスから選ばれた所望の被覆用層若しくはカプセル化用層を形成する粉末固体(源粉末と称される)と、任意的に、
・ 前記スラリーの特性を修飾するための、消泡剤、湿潤剤及び粘度調整剤から選ばれる薬剤と、
を用いて作ることができる。
【0014】
本発明の好ましい具体例において、前記の溶媒又は流動性媒体は、粉末固体と予備混合される。
代替的具体例において、前記粉末固体は、溶媒とも流動性媒体とも予備混合されず、従って、本質的に乾燥している。更なる代替的具体例では、乾燥粉末と湿潤粉末とのある組合せを用いることができる。
【0015】
本発明の好ましい具体例において、前記スラリーは、該スラリーの特性を修飾するための消泡剤、湿潤剤及び粘度調整剤から選ばれた他の薬剤、並びに、適切な組成の金属粉末と一緒に、水に入っているメチルセルロース及び/又はPVAの形態をとる。該スラリーの粘度及び温度は、好ましくは、固形分の含量および組成と共に測定され制御される。該粘度は、一般に、0.5〜2000mPa・sの範囲にあり、また、該スラリーの温度は、通常、室温(15〜25℃)に近い一定温度であって、確実に、溶媒又は流動性媒体が液体となる範囲の温度に保持される。
【0016】
好ましくは、本方法には、前記ショベル・ローターの室を通して、好ましくは、前記ローターと前記容器の壁との間の開口を通して、また、任意的には、該ローターそれ自体の中にある開口構造を通して、暖かい空気又は他のガス若しくはガス混合物(以下、「空気」と呼ばれる。)の流れを通過させる工程が含まれる。空気の流れ、温度、及び湿度を制御して、最適の作動条件を提供することができる。
空気の目的は、結合材及び粉末固体を(カプセル化用)種粒子の表面に付着させたまま、溶媒又は流動性媒体を蒸発させることである。空気の流れは、前記室の断面積に左右されるが、該室内の典型的な平均速度は、0.1〜1m/sの範囲である場合がある。空気の入口温度は、一般に、室温〜200℃の間であり、また、吸気の相対湿度は、0%〜100%の間であるが、好ましくは50%未満であり、更に好ましくは20%未満である。
【0017】
前記ローターのディスクは、60〜600rpmの間の速度で回転するように設定され、また、角運動量は、種粒子が前記室の周辺の流れの中に運び込まれるような具合に、該ディスクと該種粒子との間の接触力によって伝達される。好ましくは、前記容器の壁は、該壁に固定されているショベル又はバッフルを備えている。種粒子はそれら該ショベル又はバッフルを越えて輸送される。これらのショベルは、それら粒子に対して更なる回転と並進とを加え、このようにして、ペレット(粒子)の上に粉末が堆積されるのを改善する。それらショベルは、更に、垂直なドラムの側面から該ペレットを無理に引き離すことによってペレットを混合することを助ける。回転する間、それらペレットは、それらショベルが粒子(好ましくは、ダイヤモンド)の周りに一様なペレット殻を確保する結果、位置と方向とを連続的に変える。前記室内では、前記スラリーをノズルに通して噴霧させることができる。次いで、スラリーを種粒子上に堆積させて乾燥させる。空気の流れと、粒子軌道と、それら粒子上に作用する機械的力との組合せによって、供給源粉末は種粒子周辺の均一層の結合材によって固定されて、滑らかな球状顆粒が確実に形成される。本プロセスは、好ましくは、生成物の床容積に対する最大限度が達成されるまで、継続される。この段階で、該プロセスを停止させて、生成物を該室から取り出すことができる。次の工程段階のための種粒子を含むカプセル化された粒子の一部分を用いて、本プロセスを繰り返すことができる。
【0018】
前段落に記述されたものに対する代替的な具体例において、乾燥粉末は、前記スラリーとは別々に前記室の中に別々に供給され得る。該スラリーは、それの中に粉末を含有することができ、又は代替的に、該スラリーは、如何なる粉末をも含有しなくてもよい。
本発明の第2の態様によると、上記の方法によって作られた、カプセル化された超硬質材料が提供される。
【0019】
本発明によるショベル・ローター技術の使用方法は、(回転床の機械的作用によって生じる)高被覆速度を(ショベル又はバッフルによって、粒子集団に付与される撹拌に起因する)被覆された粒子の最小限の凝集と組み合わせる。その結果は、単一技術を含むプロセスであり、被覆速度は、類似寸法のパン造粒機を用いて達成されるものと同等、又はそれを用いて達成されるものより大きく、意外にも、低い凝集発生率を併せ持つ。
前記ショベル・ローターを用いて達成可能な堆積速度又は被覆速度は、当該技術分野で知られている、従来のパン・ロテイター(pan rotator)法又は流動床法を用いるものよりも遥かに大きい。その他は全て同等であり、ショベル・ローターでは約1,200g/時間の平均速度で、パン・ロテイターでは約80〜200g/時間の範囲で、また、流動床では約10g/時間でダイヤモンド粒子(25/35米国メッシュ)が被覆されることが分かった。前記結合材は、ショベル・ローターのための実施例の結合材である。
【0020】
次に、図1及び図2を参照しながら、本発明を、次の非限定的諸実施例に準拠して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】1が超硬質(超砥粒)粒子、例えば、ダイヤモンド又はcBNであり、2がコーティング又はクラッディングであり、3が予備カプセル化された層である、種粒子の略図である。
【図2】実施例1において例示されるスプリット・バッチ法(split batch process)の略図である。
【実施例1】
【0022】
単一層でカプセル化された、TiC被覆済みダイヤモンド粒子を含む種粒子
サイズ25/35のTCを被覆した。公称直径360mmの室を備えたショベル・ローターによる試験を、TiCを約65%、及びCoを30%含有する結合粉末を用いて行った。用いたダイヤモンドは、粗い高級ダイヤモンドであって、厚さが約0.5〜1.0μmの炭化タングステン層で予備被覆されたものであった(エレメント6のSDB1100+25/35米国メッシュのTC)。目標は、90%アッセイ(assay)に到達することであった(このようにして、100又は4.4カラット/cmに等しい、100〜25体積%の集合物を提供した)。本方法は、複数の段階で行われる。材料が、ローター上で重くなり始める時、バッチを分割し、次いで、各々の分割分(split)を成長させ、適切に分析する(図2に例示されるスプリット・バッチ法を参照されたい)。
結果を下記表1に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
総処理時間14時間の試験で、25,000カラットがカプセル化された。これらの高堆積速度は、類似の技術と比べて優れている。最小限の凝集(1〜2%)と、高ヒット率(99〜100%)とが存在した。
ヒット率は、ダイヤモンドを含有するペレットの割合(百分率)として定義される。ペレット集団が撹拌されること、スラリーが低粘度であること、及び、噴霧速度が高いことに起因して、SR360によるヒット率は、100%に近い。
生成された粒子の平均粒径は、1.6mmであり、アッセイは90%であった。
【実施例2】
【0025】
単一層でカプセル化された裸ダイヤモンド粒子を含有する種粒子
公称直径360mmの室を備えたショベル・ローターによる試験を、TiCを約65%、及びCoを30%含有する結合粉末を用いて行った。用いたダイヤモンドは、粗く、高級であり、未被覆であった(エレメント6のSDB1100、25/35米国メッシュ)。目標は、90%アッセイに到達することであった。
結果は、下の表2に示される通りである。
【0026】
【表2】

【0027】
総処理時間15時間の試験で、25,000カラットがカプセル化された。
【実施例3】
【0028】
多層カプセル化された、TiC被覆済みダイヤモンド粒子を含む種粒子
公称直径360mmの室を備えたショベル・ローターによる多層カプセル化された試験を、以上に記述されるような結合粉末を用いて行った。用いたダイヤモンドは、粗く高級であり、厚さが約0.5〜1.0μmの炭化タングステン層で予備被覆された。(エレメント6のSDB1100+25/35米国メッシュのTC)目標は、90%アッセイに到達することであった。25,000カラットを、当初、粉末で0.2mmの厚さにカプセル化し、次いで、第2の粉末でカプセル化して最終アッセイにした。
結果は、下の表3に示される通りである。
【0029】
【表3】

【0030】
総処理時間15時間の試験で、25,000カラットがカプセル化された。
【実施例4】
【0031】
厚いニッケルクラッドを有するミクロン径ダイヤモンドを含有する種粒子であって、黒鉛/ニッケル/鉄の混合物で予備カプセル化された種粒子
予備クラッドされたミクロン径ダイヤモンドのカプセル化。約25μmの平均直径を有するダイヤモンド粒子を含有する種材料であって、90μmの粒度まで無電解ニッケルで予備クラッドされた種材料を提供した。PVA結合材、モビオール(Mowiol)4/88、及びグリセリンと一緒に、カルボニル鉄、ニッケル及び黒鉛を用いて、94%アッセイを目標とした。ローターを、該ローターの最大能力の30%及び50%(それぞれ、217及び380rpmに対応する)の間で作動させた。吸気温度は80℃であり、出口温度は35℃〜50℃の間であり、流量は100〜350m/時間の間であった。これらの条件によって、100〜300g/分の堆積速度を生み出した。SR360によって、平均粒径1.3mm及び94%アッセイを有する粒子が作られた。
結果は、下の表4に示される通りである。
【0032】
【表4】

【符号の説明】
【0033】
1 超硬質(超砥粒)粒子
2 コーティング又はクラッディング
3 予備カプセル化された層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル化された超硬質材料を製造する方法において、
・ 超硬質材料の供給源を提供する工程と、
・ 適切な結合材、溶媒又は流動性媒体、及び、所望の被覆用又はカプセル化用材料を含有する混合物を提供する工程と、
・ ローターが入っている容器であって、ガス流を受け入れるように構成された容器を備えたショベル・ローターの中で、該超硬質材料と該混合物とを混ぜ合わせる工程と、
・ 該超硬質材料が該混合物によってカプセル化されるような速度で、該ローターを回転させる工程と、
を含む、上記方法。
【請求項2】
前記超硬質材料は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、ウルツ鉱型窒化ホウ素、炭化物、酸化物若しくはシリサイド、Si、SiC、Al、AlC、SiO、及び/又は、上記のものの何れかのクラスターから選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記超硬質材料は、直径が少なくとも約0.01μmかつ約5mm以下の粒子の形態で存在する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記粒子は、予備被覆された粒子若しくはクラッドされた粒子であり、及び/又は、前記粒子は、同一又は異なる製造技術を用いた初期製造工程によって部分的にカプセル化された粒子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記容器は、ダイヤモンド粒子若しくは他の超硬質粒子、予備被覆され若しくはクラッドされたダイヤモンド粒子若しくは他の超硬質粒子、及び、同一又は異なる製造技術を用いた初期製造工程によって部分的にカプセル化されたダイヤモンド粒子若しくは他の超硬質粒子から選ばれた適切な量の種粒子で充填されているローター室を備えている、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記混合物は、スラリーの形態である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記スラリーは、
・ ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、メチルセルロース、及び他の適切な概して有機質の結合材系から選ばれる結合材、
・ 水、脱イオン(DI)水、および他の適切な有機溶媒から選ばれる、溶媒又は流動性媒体、
・ 黒鉛粒子、ダイヤモンド粒子又は他の超硬質粒子と、コバルト、鉄、ニッケル、タングステン、銅、モリブデンを包含する金属粉末と、金属炭化物を包含するセラミックスとから選ばれた、所望の被覆用層若しくはカプセル化用層が形成される粉末固体、並びに、任意的に、
・ 前記スラリーの特性を修飾するための、消泡剤、湿潤剤及び粘度調整剤から選ばれる薬剤、
を用いて作られる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記の溶媒又は流動性媒体は、前記粉末固体と予備混合される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記粉末固体は、前記溶媒とも前記流動性媒体とも予備混合されず、且つ、本質的に乾燥している、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記スラリーの粘度は、概して、0.5〜2000mPa・sの範囲にある、請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記スラリーの温度は、室温に近い一定温度(15〜25℃)に保持される、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ショベル・ローターの室を通して、暖かい空気又は他のガス若しくはガス混合物の流れを通過させる工程を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記空気の相対湿度は、50%未満である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ローターのディスクは、60〜600rpmの間の速度で回転するように設定される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
上記方法により製造された、カプセル化された超硬質材料。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−534131(P2010−534131A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517532(P2010−517532)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052955
【国際公開番号】WO2009/013715
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(506231892)エレメント シックス リミテッド (15)
【Fターム(参考)】