説明

カメラ、および画像送信装置

【課題】新たな画像ファイルを記憶媒体に記録するために空き容量を確保すること。
【解決手段】CPU304は、パソコン400から画像ファイルの送信要求を受信した場合に、送信が要求された画像ファイルをフラッシュメモリ305から読み出してパソコン400へ送信する。そして、CPU304は、パソコン400への送信が完了した送信済み画像ファイルに対して送信済み属性を付加する。CPU304は、カメラ200で撮影が行われて新たな画像ファイルを受信したときに、フラッシュメモリ305の空き容量が受信した画像ファイルのデータサイズよりも小さい場合には、フラッシュメモリ305内に受信した画像ファイルのデータサイズ以上の空き容量を確保するために、フラッシュメモリ305から送信済み画像ファイルを優先して削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、および画像送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次のようなカメラが知られている。このカメラは、ホスト機器から画像ファイルの送信が要求されると、要求された画像ファイルをホスト機器に送信する(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−86860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のカメラは、記憶媒体の空き容量が不足した場合には、新たな画像ファイルを記録するために、記録済みの画像ファイルを削除する必要があるが、この削除方法について何ら考慮されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるカメラは、被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段と、撮像手段によって取得された画像データに基づいて画像ファイルを生成する画像ファイル生成手段と、画像ファイル生成手段によって生成された画像ファイルを記憶媒体に記録する記録制御手段と、外部装置から画像ファイルの送信要求を受信する要求受信手段と、要求受信手段により送信要求を受信した場合に、送信が要求された画像ファイルを記憶媒体から読み出して外部装置へ送信する送信制御手段と、送信制御手段によって外部装置への送信が完了された送信済み画像ファイルを特定するための送信済み画像ファイル情報を生成する情報生成手段と、撮影が行われて画像ファイル生成手段によって新たな画像ファイルが生成されたときに、記憶媒体の空き容量が生成された画像ファイルのデータサイズよりも小さい場合には、送信済み画像ファイル情報を参照して送信済み画像ファイルを特定し、記憶媒体に前記データサイズ以上の空き容量を確保するために、記憶媒体から送信済み画像ファイルを優先して削除する削除制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明では、削除制御手段は、送信済み画像ファイルを撮影日時が古い画像ファイルから順に削除するようにしてもよい。
削除制御手段は、送信済み画像ファイルを撮影日時が古い画像ファイルから順に削除するようにしてもよい。
本発明による画像送信装置は、カメラから画像ファイルを受信する画像受信手段と、画像受信手段で受信した画像ファイルを記憶媒体に記録する記録制御手段と、外部装置から画像ファイルの送信要求を受信する要求受信手段と、要求受信手段により送信要求を受信した場合に、送信が要求された画像ファイルを記憶媒体から読み出して外部装置へ送信する送信制御手段と、送信制御手段によって外部装置への送信が完了された送信済み画像ファイルを特定するための送信済み画像ファイル情報を生成する情報生成手段と、画像受信手段によりカメラから新たな画像ファイルを受信したときに、記憶媒体の空き容量が受信した画像ファイルのデータサイズよりも小さい場合には、送信済み画像ファイル情報を参照して送信済み画像ファイルを特定し、記憶媒体に前記データサイズ以上の空き容量を確保するために、記憶媒体から送信済み画像ファイルを優先して削除する削除制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、送信が完了した画像ファイルを優先して削除することによって、今後送信が要求される可能性が高い未送信の画像ファイルが削除されてしまう可能性が低くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本実施の形態における画像転送システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。画像転送システム100は、カメラ200と、ワイヤレストランスミッター300と、パーソナルコンピュータ(パソコン)400とを備えている。なお、この画像転送システム100においては、カメラ200は、撮影によって得た画像ファイルをワイヤレストランスミッター300を介してパソコン400へ送信する画像送信装置として機能する。ワイヤレストランスミッター300は、カメラ200からパソコン400へ画像ファイルを送信するに当たっての中継機器であり、画像転送装置として機能する。また、パソコン400は、ワイヤレストランスミッター300を介して受信した画像ファイルを記録する画像保存装置として機能する。
【0008】
カメラ200とワイヤレストランスミッター300とは、それぞれを接続するためのインターフェース部を介して接続されている。カメラ200の撮影により得られた画像ファイルは、撮影が行われる度にワイヤレストランスミッター300に転送され、ワイヤレストランスミッター300が備える記憶媒体に記録される。
【0009】
ワイヤレストランスミッター300とパソコン400とは、無線接続、または有線接続されている。例えば、ワイヤレストランスミッター300は、無線LANに接続するための無線モジュールと、LANケーブルを接続するためのLANインターフェースとを備えている。そして、ワイヤレストランスミッター300とパソコン400とは、無線LAN経由、または有線LAN経由で接続される。
【0010】
使用者は、パソコン400上で専用の画像転送アプリケーションを起動することによって、ワイヤレストランスミッター300の記憶媒体に記録されている画像ファイルのサムネイル画像の一覧を閲覧することができる。そして、使用者は、一覧内からいずれかのサムネイル画像を選択して、そのサムネイル画像に対応する画像ファイルをワイヤレストランスミッター300取得するように指示することができる。
【0011】
パソコン400は、図1に示すように、複数のワイヤレストランスミッター300と同時に通信を行うことができる。同時に通信を行うことができるワイヤレストランスミッター300の台数は制限することができ、本実施の形態では、パソコン400は、例えば、同時に5台のワイヤレストランスミッター300と有線または無線により通信を行うことができる。図1に示す例では、パソコン400は、カメラ1〜カメラ4のそれぞれに接続されているワイヤレストランスミッター300とは無線通信を行い、カメラ5に接続されているワイヤレストランスミッター300とは有線通信を行っている場合を示している。
【0012】
また、パソコン400は、ワイヤレストランスミッター300を介さずに、1台のカメラ200と直接通信を行うこともできる。例えば、パソコン400とカメラ200とをUSBケーブルを介して接続することによって、パソコン400は、カメラ200と直接通信を行うことができる。図1に示す例では、パソコン400は、カメラ6と直接通信を行っている場合を示している。
【0013】
図2は、本実施の形態におけるカメラ200の一実施の形態の構成を示すブロック図である。カメラ200は、レンズ201と、撮像素子202と、AFE(Analog Front End)回路203と、画像処理回路204と、メモリカードスロット205と、SDRAM206と、フラッシュメモリ207と、CPU208と、操作部材209と、モニタ210と、接続IF211とを備えている。
【0014】
CPU208は、フラッシュメモリ207に記録されている制御プログラムをSDRAM206に読み込んで実行することにより、カメラ200の全体を制御する。なお、SDRAM206は、揮発性のメモリであって、CPU208がプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリとして使用されたり、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。また、フラッシュメモリ207は、不揮発性のメモリであって、CPU208が実行するプログラムのデータや、プログラム実行時に読み込まれる種々のパラメータなどが記録されている。
【0015】
レンズ201は、複数の光学レンズにより構成され、これらのレンズを介して被写体像を撮像素子202へ結像する。撮像素子202は、例えばCCDやCMOSなどのイメージセンサであり、被写体像を光電変換してアナログ画像信号を生成し、生成したアナログ画像信号をAFE回路203へ出力する。
【0016】
AFE回路203は、アナログ画像信号に対するゲイン調整、例えば、設定されたISO感度に応じた信号増幅などを行う。AFE回路203は、さらに内蔵するA/D変換回路によってアナログ画像信号をデジタル画像データに変換し、デジタル画像データを画像処理回路204へ出力する。
【0017】
画像処理回路204は、デジタル画像データに対して各種の画像処理、例えば、色補間処理、階調変換処理、輪郭強調処理、ホワイトバランス調整処理などを施した後、画像処理後の画像データ(以下、「画像データ」と呼ぶ)をバッファメモリとしてのSDRAM206へ出力する。
【0018】
CPU208は、SDRAM206に記録された画像データを縮小してサムネイル画像データを生成する。そして、CPU208は、画像データとサムネイル画像データを含む画像ファイルを生成する。CPU208は、画像ファイルを内蔵メモリとしてのフラッシュメモリ207、または外部メモリとしてのメモリカードスロット205に挿入されているメモリカード205aに記録する。なお、メモリカードスロット205は、外部メモリとしてのメモリカード205aを挿入するためのスロット部を備えており、CPU208からの指示に基づいて、メモリカード205aに画像ファイルの書き込みを行なったり、メモリカード205aから画像ファイルの読み出しを行なったりする。
【0019】
操作部材209は、使用者によって操作される種々の操作用部材、例えば電源ボタン、レリーズボタン、ズームボタン、十字キー、決定ボタン等を含んでいる。モニタ210は、カメラ200の背面に搭載された液晶モニタ(背面モニタ)であり、CPU208は、モニタ210にメモリカード205aに記憶されている画像ファイルやカメラ200を設定するための設定メニューなどを出力して情報を表示する。接続IF211は、上述したように、カメラ200とワイヤレストランスミッター300とを接続するためのインターフェース部である。
【0020】
図3は、本実施の形態におけるワイヤレストランスミッター300の一実施の形態の構成を示すブロック図である。ワイヤレストランスミッター300は、カメラ接続I/F301と、LANI/F302と、無線モジュール303と、CPU304と、フラッシュメモリ305と、SDRAM306とを備えている。
【0021】
カメラ接続I/F301は、上述したように、カメラ200とワイヤレストランスミッター300とを接続するためのインターフェース部である。LANI/F302は、ワイヤレストランスミッター300とパソコン400とを有線接続する際にLANケーブルを接続するためのインターフェース部である。無線モジュール303は、ワイヤレストランスミッター300とパソコン400とを無線接続する際に、パソコン400との間の無線通信を制御する。
【0022】
フラッシュメモリ305は、不揮発性のメモリであって、カメラ200から転送されてきた画像ファイルやプログラム実行時に読み込まれる種々のパラメータなどが記録される。カメラ200から転送されてくる画像ファイルには、上述したように、撮影された本画像の画像データ(本画像データ)と、本画像を縮小して生成されたサムネイル画像の画像データ(サムネイル画像データ)とが含まれている。SDRAM306は、揮発性のメモリであって、CPU304がプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリとして使用されたり、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。
【0023】
CPU304は、ワイヤレストランスミッター300が備える各部を制御する。例えば、カメラ接続I/F301を介してカメラ200から画像ファイルが入力されたときに、記憶媒体としてのフラッシュメモリ305に画像ファイルを記録する。また、パソコン400から画像ファイルの送信が要求された場合には、フラッシュメモリ305に記録されている画像ファイルをバッファメモリとしてのSDRAM306に読み出して、LANI/F302や無線モジュール303を制御してパソコン400へ転送する。
【0024】
図4は、本実施の形態におけるパソコン400の一実施の形態の構成を示すブロック図である。パソコン400は、操作部材401と、LANI/F402と、無線モジュール403と、HDD(ハードディスクドライブ)404と、CPU405と、フラッシュメモリ406と、SDRAM407と、モニタ408とを備えている。
【0025】
操作部材401は、使用者によって操作される種々の装置、例えばキーボードやマウスを含む。LANI/F402は、ワイヤレストランスミッター300との有線接続時にLANケーブルを接続するためのインターフェース部である。無線モジュール403は、ワイヤレストランスミッター300との無線通信を制御する。
【0026】
HDD404は、ワイヤレストランスミッター300から取得した画像ファイルや、CPU405で実行される種々のプログラム等を記録するための記憶媒体である。CPU405は、パソコン400が備える各部を制御するために種々の処理を実行する。例えば、CPU405は、上述したように、使用者によってワイヤレストランスミッター300から画像ファイルを取得するように指示された場合には、ワイヤレストランスミッター300に対して画像ファイルの送信を要求し、ワイヤレストランスミッター300から要求に応じて送信された画像ファイルを受信してHDD404に記録する。
【0027】
フラッシュメモリ406は、不揮発性のメモリであって、プログラム実行時に読み込まれる種々のパラメータなどが記録されている。また、SDRAM407は、揮発性のメモリであって、CPU405がプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリとして使用されたり、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。モニタ408は、例えば液晶モニタであって、CPU405から出力される種々の情報が表示される。
【0028】
このような画像転送システム100においては、ワイヤレストランスミッター300が備えるフラッシュメモリ305の記憶容量は有限(例えば、総記憶容量は1GB)である。このため、フラッシュメモリ305に画像ファイルが蓄積されていった結果、空き容量が無くなった場合には、それ以上の画像ファイルを記録することができない。よってCPU304は、カメラ200から画像ファイルを受信したときに、受信した画像ファイルのデータサイズとフラッシュメモリ305の空き容量とを比較する。そして、CPU304は、上記比較の結果、空き容量よりも画像ファイルのデータサイズの方が大きい場合には、フラッシュメモリ305に記録されている画像ファイルを自動的に削除することにより、フラッシュメモリ305内に新たに受信した画像ファイルを記録するための空き容量を確保する。
【0029】
このとき、本実施の形態では、CPU304は、フラッシュメモリ305に記録されている画像ファイルのうち、既にパソコン400への送信(転送)が完了している画像ファイル(送信済み画像ファイル)を優先して削除する。例えば、CPU304は、パソコン400からの要求に応じて画像ファイルを転送した場合には、画像ファイルに対して、送信済み属性を付加する。なお、送信済み属性は、ファイル管理システムによって管理されるファイル情報、例えばFAT情報内で設定されるものとする。また、この送信済み属性には画像ファイルの送信日時も付加される。そして、CPU304は、フラッシュメモリ305に記録されている画像ファイルのうち、この送信済み属性が付加されている画像ファイルをフラッシュメモリ305内から優先して削除する。
【0030】
なお、ここで「優先して」とは、CPU304は、パソコン400への送信が完了していない画像ファイル(未送信画像ファイル)も削除することがあることを意味している。具体的には、もし、フラッシュメモリ305に記録されている画像ファイルのうち、送信済み画像ファイルを全て削除してもなお、フラッシュメモリ305の空き容量が受信した画像ファイルのデータサイズよりも小さい場合が考えられる。この場合には、CPU304は、フラッシュメモリ305の空き容量を確保するために未送信画像ファイルを削除する。
【0031】
CPU304は、送信済み画像ファイルを削除するに当たっては、撮影日時が古いものから順に削除する。すなわち、CPU304は、送信済み属性が付加されている画像ファイルを撮影日時が古いものから順番に削除する。また、送信済み画像ファイルを全て削除してもなお、フラッシュメモリ305内に受信した画像ファイルを記録するための空き容量を確保できない場合には、CPU304は、未送信画像、すなわち送信済み属性が付加されていない画像ファイルを撮影日時が古いものから順に削除する。
【0032】
以上の処理により、パソコン400への転送が完了した画像ファイルが優先して削除されるので、パソコン400から送信が要求された画像ファイルがフラッシュメモリ305内に存在しないという問題が発生する可能性を低下させることができる。
【0033】
以下、図5を用いて、パソコン400上で使用者によって画像ファイルの転送が要求された場合のワイヤレストランスミッター300およびパソコン400の処理について説明する。図5に示す処理は、パソコン400上で画像転送アプリケーションが起動されることによって開始する。
【0034】
ステップS10において、パソコン400のCPU405は、使用者によって操作部材401が操作されることにより、画像転送アプリケーションの終了が指示されたか否かを判断する。肯定判断した場合には、処理を終了する。これに対して、否定判断した場合には、ステップS20へ進み、CPU405は、ワイヤレストランスミッター300に対して、サムネイル画像の送信を要求するためのサムネイル要求コマンドを発行する。
【0035】
ワイヤレストランスミッター300のCPU304は、ステップS200でパソコン400からのサムネイル要求コマンドを受信すると、ステップS210へ進む。ステップS210では、CPU304は、フラッシュメモリ305に記録されている各画像ファイル内からサムネイル画像データを取得してパソコン400へ送信して、処理を終了する。
【0036】
CPU405は、ステップS30でワイヤレストランスミッター300からサムネイル画像データを受信すると、ステップS40へ進んでサムネイル画像の一覧をモニタ408に表示する。その後、ステップS50へ進み、使用者によって操作部材101が操作されることにより、転送対象の画像ファイルに対応するサムネイル画像が選択されたか否かを判断する。例えば、使用者は、各サムネイル画像に対応付けて表示されているチェックボックスにチェックを入れることにより、サムネイル画像を選択することができる。ステップS50で否定判断した場合には、後述するステップS70へ進む。これに対して、ステップS50で肯定判断した場合には、ステップS60へ進む。
【0037】
ステップS60では、CPU405は、上述したように、使用者によって選択されたサムネイル画像に対応する画像ファイルのファイル名を転送キューに追加(登録)する。転送キューに画像ファイルが追加されると、CPU405は、画像転送処理を別スレッドで開始することにより、転送キューに登録されている順番に画像ファイルをワイヤレストランスミッター300から取得する。その後、ステップS70へ進む。
【0038】
ステップS70では、CPU405は、使用者によって操作部材401が操作されることにより、ステップS50で選択されたサムネイル画像に対する選択が解除されたか否かを判断する。例えば、使用者は、各サムネイル画像に対応付けて表示されているチェックボックスからチェックを外すことにより、サムネイル画像の選択を解除して、画像ファイルの送信要求を取り下げることができる。ステップS70で否定判断した場合には、後述するステップS110へ進む。
【0039】
これに対して、ステップS70で肯定判断した場合には、ステップS80へ進み、CPU405は、別スレッドで実行中の画像転送処理による転送状況を確認することによって、現在、使用者によって選択が解除されたサムネイル画像に対応する画像ファイルを転送中であるか否かを判断する。肯定判断した場合には、ステップS90へ進み、CPU405は、画像転送処理を実行しているスレッドに対して転送中の画像ファイルの転送を中止するように指示を出して画像ファイルの転送を中止させた後、ステップS100へ進む。
【0040】
これに対して、ステップS80で否定判断した場合には、そのままステップS100へ進む。ステップS100では、CPU405は、ステップS70で選択が解除されたサムネイル画像に対応する画像ファイルのファイル名を転送キューから削除して、ステップS110へ進む。
【0041】
ステップS110では、CPU405は、別スレッドで実行中の画像転送処理から、転送キューの先頭に登録されている画像ファイルの転送が完了した旨の通知を受けたか否かを判断する。否定判断した場合には、CPU405は、ステップS10へ戻って処理を繰り返す。これに対して、ステップS110で肯定判断した場合には、ステップS120へ進む。ステップS120では、CPU405は、転送が完了した画像ファイルのファイル名を転送キューから削除して,ステップS130へ進む。
【0042】
ステップS130では、CPU405は、ワイヤレストランスミッター300に対して、1つの画像ファイルの転送が完了した旨を通知する転送完了通知を発行して、ステップS10へ戻る。CPU304は、ステップS220でパソコン400からの転送完了通知を受信する。その後、ステップS230へ進み、CPU304は、ステップS220でパソコン400から転送完了通知を受信した画像ファイルに対して、上述した送信済み属性を付加し、処理を終了する。
【0043】
次に、カメラ200で撮影が行われた場合のカメラ200およびワイヤレストランスミッター300による処理を図6を用いて説明する。図6に示す処理は、使用者によってカメラ200の操作部材209に含まれるレリーズボタンが押下されることによって撮影が指示されると開始する。
【0044】
ステップS310において、カメラ200のCPU208は、撮影処理を行なって、上述したように画像データとサムネイル画像データとを含む画像ファイルを生成する。その後、ステップS320へ進み、CPU208は、生成した画像ファイルをメモリカードスロット205に挿入されているメモリカード205aに記録して、ステップS330へ進む。ステップS330では、CPU208は、ワイヤレストランスミッター300に対して、ステップS310で生成した画像ファイルの送信の許可を求めるための画像送信許可確認コマンドを発行して、処理を終了する。この画像送信許可確認コマンドには、送信許可を求める画像ファイルのデータサイズ情報が付加される。
【0045】
ワイヤレストランスミッターのCPU304は、ステップS360でカメラ200から画像送信許可確認コマンドを受信する。そして、ステップS370において、CPU304は、受信した画像送信許可確認コマンドに付加されている画像ファイルのデータサイズと、フラッシュメモリ305の空き容量とを比較し、フラッシュメモリ305の空き容量が画像ファイルのデータサイズ以上であるか否かを判断する。すなわち、フラッシュメモリ305内にカメラ200から送信される予定の画像ファイルを記録するために必要な空き容量があるか否かを判断する。
【0046】
否定判断した場合には、ステップS390へ進み、CPU304は、FAT情報を参照して各画像ファイルにおける送信済み属性の付加状況を判定し、フラッシュメモリ305内にパソコンへの転送が完了している送信済み画像ファイルが記録されているか否かを判断する。肯定判断した場合には、ステップS400へ進み、CPU304は、送信済み属性が付加されている画像ファイルのうち、撮影日時が最も古い画像ファイルを削除した後、ステップS370へ戻る。これに対して、ステップS390で否定判断した場合には、ステップS410へ進み、CPU304は、送信済み属性が付加されていない画像ファイルのうち、撮影日時が最も古い画像ファイルを削除した後、ステップS370へ戻る。
【0047】
そして、CPU304は、ステップS370で肯定判断されるまでステップS390からステップS410の処理を繰り返す。これによって、フラッシュメモリ305内に新規画像ファイルを記録するために必要な空き容量を確保することができる。その結果、ステップS370で肯定判断した場合には、ステップS380へ進む。
【0048】
ステップS380では、CPU304は、カメラ200に対して、画像ファイルの送信を許可するために画像送信許可コマンドを発行する。CPU208は、ステップS340でワイヤレストランスミッター300から画像送信許可コマンドを受信すると、ステップS350において、ステップS310で生成した画像ファイルをワイヤレストランスミッター300に送信して、処理を終了する。
【0049】
CPU304は、ステップS420においてカメラ200から画像ファイルを受信する。その後、ステップS430へ進み、CPU304は、ステップS420で受信した画像ファイルをフラッシュメモリ305に記録して、処理を終了する。
【0050】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)ワイヤレストランスミッター300のCPU304は、パソコン400から画像ファイルの送信要求を受信した場合に、送信が要求された画像ファイルをフラッシュメモリ305から読み出してパソコン400へ送信する。そして、CPU304は、パソコン400への送信が完了した送信済み画像ファイルに対して送信済み属性を付加する。CPU304は、カメラ200で撮影が行われて新たな画像ファイルを受信したときに、フラッシュメモリ305の空き容量が受信した画像ファイルのデータサイズよりも小さい場合には、送信済み属性の付加状況に基づいて送信済み画像ファイルを特定し、フラッシュメモリ305内に受信した画像ファイルのデータサイズ以上の空き容量を確保するために、フラッシュメモリ305から送信済み画像ファイルを優先して削除するようにした。これによって、パソコン400へ未送信の画像ファイルが削除されてしまう可能性を低くすることができる。
【0051】
(2)CPU304は、送信済み画像ファイルを撮影日時が古い画像ファイルから順に削除するようにした。これによって、パソコン400から改めて送信が要求される可能性が低い古い画像ファイルを優先的に削除することができる。
【0052】
(3)CPU304は、フラッシュメモリ305内から全ての送信済み画像ファイルを削除してもフラッシュメモリ305内に受信した画像ファイルを記録するための空き容量を確保できない場合には、送信済み画像ファイル以外の未送信の画像ファイルを撮影日時が古い画像ファイルから順に削除するようにした。これによって、確実にフラッシュメモリ305内に受信した画像ファイルを記録するための空き容量を確保することができ、フラッシュメモリ305の空き容量不足により受信した画像ファイルを記録することができなくなることを防ぐことができる。
【0053】
―変形例―
なお、上述した実施の形態の画像転送システムは、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、CPU304は、画像ファイルに対して送信済み属性を付加することによってパソコン400へ送信が完了している画像ファイルを管理する例について説明した。しかしながら、CPU304は、他の方法により送信済み画像ファイルを管理するようにしてもよい。例えば、CPU304は、データベースを用いて送信済み画像ファイルを管理するようにしてもよい。具体的には、CPU304は、管理用のデータベースをフラッシュメモリ305に記録しておき、当該データベースに送信済み画像ファイルのファイル名と送信日時とを対応付けて登録することによって送信済み画像ファイルを管理するようにしてもよい。
【0054】
(2)上述した実施の形態では、ワイヤレストランスミッター300のCPU304は、送信済み画像ファイルをフラッシュメモリ305から削除するに当たっては、撮影日時が古いものから順に削除する例について説明した。しかしながら、CPU304は、送信済み画像ファイルをフラッシュメモリ305から削除するに当たって、パソコン400への送信日時が古いものから順に削除するようにしてもよい。この場合、CPU304は、上述したように、送信済み属性に付加されている送信日時に基づいて、各送信済み画像ファイルのパソコン400への送信日時を特定すればよい。
【0055】
(3)上述した実施の形態では、カメラ200を画像送信装置として用い、ワイヤレストランスミッター300を画像転送装置として用いるようにした。すなわち、カメラ200で撮影して得た画像ファイルをワイヤレストランスミッター300へ送信してフラッシュメモリ305に記録するようにし、ワイヤレストランスミッター300は、パソコン400からの画像送信要求に基づいて、画像ファイルをパソコン400に送信する例について説明した。しかしながら、カメラ200とワイヤレストランスミッター300を一体化してこれを画像送信装置として用いるようにしてもよい。すなわち、カメラ200にワイヤレストランスミッター機能を持たせた装置(あるいはワイヤレストランスミッター300にカメラ機能を持たせた装置)を画像送信装置とするようにしてもよい。
【0056】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。また、上述の実施の形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】画像転送システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】カメラ200の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図3】ワイヤレストランスミッター300の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図4】パソコン400の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図5】パソコン400上で使用者によって画像ファイルの転送が要求された場合のワイヤレストランスミッター300およびパソコン400の処理を示すフローチャート図である。
【図6】カメラ200で撮影が行われた場合のカメラ200およびワイヤレストランスミッター300による処理を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0058】
100 画像転送システム、200 カメラ、201 レンズ、202 撮像素子、203 AFE(Analog Front End)回路、204 画像処理回路、205 メモリカードスロット、205a メモリカード、206、306、407 SDRAM、207、305、406 フラッシュメモリ、208、304、405 CPU、209 操作部材、210、408 モニタ、211 接続IF、300 ワイヤレストランスミッター、301 カメラ接続I/F、302、402 LANI/F、303、403 無線モジュール、400 パーソナルコンピュータ(パソコン)、401 操作部材、404 HDD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された画像データに基づいて画像ファイルを生成する画像ファイル生成手段と、
前記画像ファイル生成手段によって生成された画像ファイルを記憶媒体に記録する記録制御手段と、
外部装置から画像ファイルの送信要求を受信する要求受信手段と、
前記要求受信手段により前記送信要求を受信した場合に、送信が要求された画像ファイルを前記記憶媒体から読み出して前記外部装置へ送信する送信制御手段と、
前記送信制御手段によって前記外部装置への送信が完了された送信済み画像ファイルを特定するための送信済み画像ファイル情報を生成する情報生成手段と、
撮影が行われて前記画像ファイル生成手段によって新たな画像ファイルが生成されたときに、前記記憶媒体の空き容量が前記生成された画像ファイルのデータサイズよりも小さい場合には、前記送信済み画像ファイル情報を参照して前記送信済み画像ファイルを特定し、前記記憶媒体に前記データサイズ以上の空き容量を確保するために、前記記憶媒体から前記送信済み画像ファイルを優先して削除する削除制御手段とを備えることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記削除制御手段は、前記送信済み画像ファイルを撮影日時が古い画像ファイルから順に削除することを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカメラにおいて、
前記削除制御手段は、全ての前記送信済み画像ファイルを削除しても前記記憶媒体内に前記生成された画像ファイルを記録するための空き容量を確保できない場合には、前記送信済み画像ファイル以外の未送信の画像ファイルを撮影日時が古い画像ファイルから順に削除することを特徴とするカメラ。
【請求項4】
カメラから画像ファイルを受信する画像受信手段と、
前記画像受信手段で受信した画像ファイルを記憶媒体に記録する記録制御手段と、
外部装置から画像ファイルの送信要求を受信する要求受信手段と、
前記要求受信手段により前記送信要求を受信した場合に、送信が要求された画像ファイルを前記記憶媒体から読み出して前記外部装置へ送信する送信制御手段と、
前記送信制御手段によって前記外部装置への送信が完了された送信済み画像ファイルを特定するための送信済み画像ファイル情報を生成する情報生成手段と、
前記画像受信手段により前記カメラから新たな画像ファイルを受信したときに、前記記憶媒体の空き容量が前記受信した画像ファイルのデータサイズよりも小さい場合には、前記送信済み画像ファイル情報を参照して前記送信済み画像ファイルを特定し、前記記憶媒体に前記データサイズ以上の空き容量を確保するために、前記記憶媒体から前記送信済み画像ファイルを優先して削除する削除制御手段とを備えることを特徴とする画像送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−296436(P2009−296436A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149319(P2008−149319)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】