説明

カメラのシャッター装置

【課題】 シャッターのスイッチ装置の部品点数とコストの削減。
【解決手段】 シャッター羽根とシャッター羽根の回動手段と回動手段を付勢する付勢手段とを有し、付勢手段がシャッター羽根の回動を検知する検知手段とを兼用するカメラのシャッター装置において、付勢手段は一端を基板に固定し、他端を前記基板に当接または摺接する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラに用いるシャッター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公知の技術としてカメラのシャッター羽根の解放検知を行う場合、PIやPR等、光学的に検知を行っている。
【0003】
また、特許文献1のスイッチ手段は、支持板の一方に設けてある可動ばね接片と、この可動ばね接片が接離するよう支持板の一方に設けてある固定接片とにより構成している。
【特許文献1】特開平10−3106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようにPIやPR等、光学的に検知する場合、部品単価が高くコスト削減が困難となっていた。
【0005】
また、特開平10−3106のスイッチ手段は、支持板の一方に設けてある可動ばね接片と、この可動ばね接片が接離するよう支持板の一方に設けてある固定接片とにより構成により従来の光学式SW検知を廃止し、コスト削減することがきるが、支持板に固定切片を設けているためPIやPRを用いた場合に比べ部品点数が増している。
【0006】
本発明は上記問題を鑑みてなされたものであり、その目的はシャッターのスイッチ装置の部品点数とコストの削減である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は請求項1に記載のようにシャッター羽根と前記シャッター羽根の回動手段と前記回動手段を付勢する付勢手段とを有し、前記付勢手段が前記シャッター羽根の回動を検知する検知手段とを兼用するカメラのシャッター装置において、前記付勢手段は一端を基板に固定し、他端を前記基板に当接または摺接することにより、部品点数を削減し、安価なスイッチ装置を構成することができる。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は請求項2に記載のように前記付勢手段は、前記基板の当接または摺接に対し弾性的に変化する弾性部有することにより、付勢手段に回動手段へのバネ付勢とSW付勢を設けることができ、かつSW付勢部の付勢力によりSWの信号の安定化を図ることができる。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は請求項3に記載のように前記回動手段の回転中心から前記付勢手段の付勢位置までの距離が、前記回転中心から前記付勢手段の前記基板との当接または摺接位置までの距離より大きいことにより、基板からの反力の影響を軽減し、SWの信号の安定化を図ることができる。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は請求項4に記載のように前記付勢手段の前記基板の当接または摺接方向は、前記付勢手段の前記回動手段への付勢方向と略直交することにより、閉じ(開き)方向へのSW反力の影響を軽減し(SW反力(N=kx)による付勢力方向にかかる力が摩擦依存し、F=μNとなる。このとき摩擦係数は1以下であるので、SW反力が付勢方向と同方向になるように配置しとしたときに比べ力を軽減できる。)、SWの信号が安定化を図ることができる。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は請求項5に記載のように前記弾性部との当接または摺接する前記基板が弾性的に変化する弾性部有することにより、SW付勢を設けることができ、付勢力によりSWの信号の安定化を図ることができる。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は請求項6に記載のように前記回動手段の回転中心から前記付勢手段の付勢位置までの距離が、前記回転中心から前記付勢手段の基板との当接または摺接位置までの距離より大きいことにより、基板からの反力の影響を軽減し、SWの信号の安定化を図ることができる。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は請求項7に記載のように前記付勢手段の前記基板の当接または摺接方向は、前記付勢手段の前記回動手段への付勢方向と略直交することにより、閉じ(開き)方向へのSW反力の影響を軽減し(SW反力(N=kx)による付勢力方向にかかる力が摩擦依存し、F=μNとなる。このとき摩擦係数は1以下であるので、SW反力が付勢方向と同方向になるように配置しとしたときに比べ力を軽減できる。)、SWの信号が安定化を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、シャッター羽根と前記シャッター羽根の回動手段と前記回動手段を付勢する付勢手段とを有し、前記付勢手段が前記シャッター羽根の回動を検知する検知手段とを兼用するカメラのシャッター装置において、前記付勢手段は一端を基板に固定し、他端を前記基板に当接または摺接することにより、部品点数を削減し、安価なスイッチ装置を構成することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、前記付勢手段は、前記基板の当接または摺接に対し弾性的に変化する弾性部有することにより、付勢手段に回動手段へのバネ付勢とSW付勢を設けることができ、SW付勢部の付勢力によりSWの信号の安定化を図ることができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、前記回動手段の回転中心から前記付勢手段の付勢位置までの距離が、前記回転中心から前記付勢手段の前記基板との当接または摺接位置までの距離より大きいことにより、基板からの反力の影響を軽減し、SWの信号の安定化を図ることができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、前記付勢手段の前記基板の当接または摺接方向は、前記付勢手段の前記回動手段への付勢方向と略直交することにより、閉じ(開き)方向へのSW反力の影響を軽減し(SW反力(N=kx)による付勢力方向にかかる力が摩擦依存し、F=μNとなる。このとき摩擦係数は1以下であるので、SW反力が付勢方向と同方向になるように配置しとしたときに比べ力を軽減できる。)、SWの信号が安定化を図ることができる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、前記弾性部との当接または摺接する前記基板が弾性的に変化する弾性部有することにより、SW付勢を設けることができ、SW付勢部の付勢力によりSWの信号の安定化を図ることができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、前記回動手段の回転中心から前記付勢手段の付勢位置までの距離が、前記回転中心から前記付勢手段の基板との当接または摺接位置までの距離より大きいことにより、基板からの反力の影響を軽減し、SWの信号の安定化を図ることができる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、前記付勢手段の前記基板の当接または摺接方向は、前記付勢手段の前記回動手段への付勢方向と略直交することにより、閉じ(開き)方向へのSW反力の影響を軽減し(SW反力(N=kx)による付勢力方向にかかる力が摩擦依存し、F=μNとなる。このとき摩擦係数は1以下であるので、SW反力が付勢方向と同方向になるように配置しとしたときに比べ力を軽減できる。)、SWの信号が安定化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【0022】
(第1の実施例)
以下、図1〜図4を参照して本発明の一実施例を説明する。
【0023】
図1はシャッターユニットを示す斜視図、図2は図1のシャッター羽根閉じ付勢バネを示す詳細図、図3は図1シャッターユニットを示す正面図、図4はシャッター開閉時の閉じバネの動きを示す詳細図である。
【0024】
図1から図3を用いてシャッターユニット10の構成について説明する。1はシャッターベースA、2はシャッターベースBで、2枚のシャッター羽根A3aとシャッター羽根B3bからなるシャッター羽根3がシャッターベースA1とシャッターベースB2の間に介在し、不図示の回転軸周り回転可能に配設され、シャッターベースA1とシャッターベースB2に設けた各々の開口部1aと不図示の開口部を開放/遮閉する。
【0025】
シャッター羽根の駆動源として、シャッターカバー4とシャッターベースB2の間に電磁石である不図示のシャッターコイルとシャッターコイルが巻きつけられるボビン、ボビン内部を通る複数枚からなるシャッターヨーク5とシャッターヨーク5の磁力によって回動可能に組みつけられた永久磁石のシャッターロータが配設されている。駆動源となるシャッターコイルへの通電のためにフレキ基板6が図1のシャッターカバー4の裏面に回りこみシャッターカバー4に固着されている。シャッターロータのロータ出力軸7とシャッター羽根に設けた不図示の穴部が係合しロータの回動に伴いシャッター羽根が回動する。また、シャッター羽根閉じ付勢バネ8がロータの回動方向に反してシャッター羽根を閉じ方向に付勢している。
【0026】
次にシャッターの羽根の回動検知の構成について説明する。シャッター羽根閉じ付勢バネ8がシャッターベースA1からのバネ掛け部1bに掛けられ、固定部8aがフレキ基板6から延伸するGND部6aに固着し、摺動部8bがSW部6bに接することで導通/非導通が可能となる。このとき、シャッター羽根閉じ付勢バネ8には摺接部8bに安定的な導通を行わせるために弾性部8c(図4参照)を設けた。また、摺動部8bのSW部から受ける反力の方向はシャッター羽根3の回動の影響を少なくするためにシャッター羽根3の閉じ方向に直交し、シャッター羽根閉じ付勢バネ8の長軸方向となるようにした。
【0027】
以上の構成をもとに、シャッター羽根閉じ付勢バネ8の動作について図4を用いて説明する。図4(a)はシャッター羽根閉時、シャッター羽根閉じ付勢バネがSW部6bに接し、導通状態にある。この状態からフレキ基板6を介し不図示のシャッターコイルに電流を流すと、シャッターヨーク5に電磁力が発生しシャッターロータを回動させ、シャッター羽根付勢バネに抗し、シャッター羽根を開き方向に回動させる。回動開始と同時にシャッター羽根閉じ付勢バネ8の摺接部8bがSW部6bから離れ非道通となり、シャッター羽根3の回動開始を検知する。図4(b)はシャッター羽根開時、シャッター羽根閉じ付勢バネがSW部6bから完全に離れ、非導通状態にある。
【0028】
(第2の実施例)
以下、図5〜図8を参照して本発明の別の実施例を説明する。
【0029】
図5はシャッターユニットを示す斜視図、図2は図1のシャッター羽根閉じ付勢バネを示す詳細図、図3は図1のシャッターユニットを示す正面図、図4はシャッター開閉時の閉じバネの動きを示す詳細図である。
【0030】
図5、図6、図7、図8において、第1の実施例と同じ構成のものに関し、同一符号を記すと共に、その説明に関しては簡単にするためにここでは省略し、第1の実施例との相違点について説明する。シャッターの羽根の開放検知の構成として、シャッター羽根閉じ付勢バネ9がシャッターベースA1からのバネ掛け部1bに掛けられ、固定部9aがフレキ基板6から延伸するGND部6aに固着し、当接部9bがSW部6bに接することで導通/非導通が可能となる。このとき、シャッター羽根閉じ付勢バネ9には当接部9aに安定的な導通を行わせるために弾性部9cを設けた。また、当接部9bのSW部から受ける反力の影響を少なくするためにシャッター羽根閉じ付勢バネ9の回動力の中心となるバネ掛け部1bからロータ出力軸7までの長さより短い部位にSW部6bとの当接部9bを設けた。
【0031】
なお、図6は、図5のシャッター羽根閉じ付勢バネを示す詳細図であり、図7は、図5のシャッターユニットを示す正面図であり、図8は、図5〜図7に示すシャッター羽根の開閉時の閉じ付勢ばねの動きを示す詳細図である。
【0032】
また、第1の実施例では、シャッター羽根閉じ付勢バネ8の摺動部8bをロータ出力軸7よりも回転半径が長い位置に設けたが、第2の実施例のように回転半径が短い位置で摺動するように設定しても良い。
【0033】
また、フレキ基板6とシャッター羽根閉じ付勢バネ8、9が弾性的に当接または摺接するようにシャッター羽根閉じ付勢バネ8、9に弾性部を設けたが、図9に示すように、フレキ基板6側が弾性的に変化するよう凹部を設けたり、弾性部材を介在させる等の構成としても良い。
【0034】
以上、説明したように本実施例によれば、シャッター羽根閉じ付勢バネ8や9のように、シャッター羽根の閉じ方向に付勢力を与える付勢手段とシャッター羽根の回動検知を行うSW手段を兼用させることにより、シャッターのスイッチ装置の部品点数とコスト削減ができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施例に係るシャッターユニットを示す斜視図
【図2】図1のシャッター羽根閉じ付勢バネを示す詳細図
【図3】図1のシャッターユニットを示す正面図
【図4】図2〜3に示すシャッター羽根の開閉時の閉じ付勢ばねの動きを示す詳細図
【図5】本発明の第2の実施例に係るシャッターユニットを示す斜視図
【図6】図5のシャッター羽根閉じ付勢バネを示す詳細図
【図7】図5のシャッターユニットを示す正面図
【図8】図5〜7に示すシャッター羽根の開閉時の閉じ付勢ばねの動きを示す詳細図
【図9】図5のシャッター羽根閉じ付勢バネとフレキ基板の当接部を示す詳細図
【符号の説明】
【0036】
1 シャッターベースA
1a 開口部
1b バネ掛け部
1c 凹部(または弾性部材)
2 シャッターベースB
3 シャッター羽根
3a シャッター羽根A
3b シャッター羽根B
4 シャッターカバー
5 シャッターヨーク
6 フレキ基板
6a GND部
6b SW部
7 ロータ出力軸
8 シャッター羽根閉じ付勢バネ
8a 固定部
8b 摺動部
8c 弾性部
9 シャッター羽根閉じ付勢バネ
9a 固定部
9b 当接部
9c 弾性部
10 シャッターユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッター羽根と前記シャッター羽根の回動手段と前記回動手段を付勢する付勢手段とを有し、前記付勢手段が前記シャッター羽根の回動を検知する検知手段とを兼用するカメラのシャッター装置において、前記付勢手段は一端を基板に固定し、他端を前記基板に当接または摺接することを特徴とするカメラのシャッター装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラのシャッター装置において、前記付勢手段は、前記基板の当接または摺接に対し弾性的に変化する弾性部を有することを特徴とするカメラのシャッター装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカメラのシャッター装置において、前記回動手段の回転中心から前記付勢手段の付勢位置までの距離が、前記回転中心から前記付勢手段の前記基板との当接または摺接位置までの距離より大きいことを特徴とするカメラのシャッター装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のカメラのシャッター装置において、前記付勢手段の前記基板の当接または摺接方向は、前記付勢手段の前記回動手段への付勢方向と略直交することを特徴とするカメラのシャッター装置。
【請求項5】
請求項1に記載のカメラのシャッター装置において、前記弾性部との当接または摺接する前記基板が弾性的に変化する弾性部を有することを特徴とするカメラのシャッター装置。
【請求項6】
請求項5に記載のカメラのシャッター装置において、前記回動手段の回転中心から前記付勢手段の付勢位置までの距離が、前記回転中心から前記付勢手段の基板との当接または摺接位置までの距離より大きいことを特徴とするカメラのシャッター装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のカメラのシャッター装置において、前記付勢手段の前記基板の当接または摺接方向は、前記付勢手段の前記回動手段への付勢方向と略直交することを特徴とするカメラのシャッター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−240749(P2007−240749A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61359(P2006−61359)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】