説明

カメラシステム

【課題】カメラの使用者にとって使い勝手の良い変倍率設定が可能なカメラシステムを提供する。
【解決手段】カメラシステムは交換レンズ(101)とカメラボディ(102)と交換レンズ(101)のズームレンズ(112)の倍率を変更するためのユーザによる操作を受け付ける操作部とを有する。交換レンズ(101)のレンズ側制御部(120)は、ズームレンズ(112)を操作部の操作に応じた任意の位置に停止可能な第一の動作モードと、ズームレンズ(112)を操作部の操作に応じて離散的な所定の停止位置に停止可能な第二の動作モードのうちのいずれかの動作モードで駆動部(113)を制御し、第二の動作モードにおける所定の停止位置にズームレンズ(112)を実際に停止することができない場合、ズームレンズ(112)を所定の停止位置に停止できないことを示す情報をカメラボディ側制御部(153)に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ズームレンズを備えた交換レンズと、その交換レンズを装着可能なカメラボディとを含むカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の交換レンズユニットは、フォーカスレンズやズームレンズ等の光学系を機械的に駆動する機構を採用している。これに対して、近年、光学系をモータなどの電動アクチュエータにより駆動する交換レンズユニットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、レンズ内蔵型カメラには、所定の変倍率で撮影できるように、予め決められているズーム焦点距離に設定可能なステップズーム機能が搭載されているものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/041063号パンフレット
【特許文献2】特開平2−68507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レンズ交換式のカメラにおいて、ズームの変倍率を特定の値に設定するとき、使用者は、ファインダー等により画角を確認しながら、経験と感覚で、ズームの変倍率を設定する場合や、ズーム駆動リングに表記されている焦点距離の指標に合わせてズームの変倍率を設定する場合がある。この場合、再度同じ変倍率を設定するのに時間がかかったり、正確性に欠けることがあった。よって、従来のレンズ交換式のカメラにおいては、使用者にとって、変倍率の設定の使い勝手が良くなかった。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、カメラの使用者にとって使い勝手の良い変倍率設定が可能なカメラシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様において、カメラシステムは、ズームレンズを有する交換レンズとカメラボディとを含み、ズームレンズの倍率を変更するためのユーザによる操作を受け付ける操作部を有する。交換レンズは、ズームレンズを駆動させる駆動部と、操作部の操作に応じて駆動部を制御するレンズ側制御部と、を備える。カメラボディは、交換レンズから、その交換レンズの情報を取得するカメラボディ側制御部を備える。レンズ側制御部は、ズームレンズを操作部の操作に応じた任意の位置に停止可能な第一の動作モードと、ズームレンズを操作部の操作に応じて離散的な所定の停止位置に停止可能な第二の動作モードのうちのいずれかの動作モードで駆動部を制御し、第二の動作モードにおける所定の停止位置にズームレンズを実際に停止することができない場合、カメラボディ側制御部に、ズームレンズを所定の停止位置に停止できないことを示す情報を送信する。
【0008】
本発明の第2の態様において、カメラシステムは、ズームレンズを有する交換レンズとカメラボディとを含み、ズームレンズの倍率を変更するためのユーザによる操作を受け付ける操作部を有する。交換レンズは、ズームレンズを駆動させる駆動部と、操作部の操作に応じて駆動部を制御するレンズ側制御部と、を備える。カメラボディは、交換レンズ側制御部に情報を送信するカメラボディ側制御部を備える。レンズ側制御部は、ズームレンズを操作部の操作に応じた任意の位置に停止可能な第一の動作モードと、ズームレンズを操作部の操作に応じて離散的な所定の停止位置に停止可能な第二の動作モードのうちのいずれかの動作モードで駆動部を制御し、所定の停止位置に関する情報をカメラボディ側制御部から受信する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、連続的なズーム動作(第一のズーム動作モード)と段階的(離散的)なズーム動作(第二のズーム動作モード)との両方で変倍率を設定可能にしている。段階的なズーム動作では、予め決められた所望の位置に迅速に且つ正確にズームレンズを停止させることができる。よって、使用者にとって使い勝手の良い変倍率設定が可能なカメラシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1のデジタルカメラの外観図
【図2】本発明の実施の形態1のデジタルカメラの背面図
【図3】本発明の実施の形態1のデジタルカメラの電気的構成図
【図4】本発明の実施の形態1におけるズーム動作モードのイメージ図
【図5】本発明の実施の形態1にけるカメラボディの表示部の表示例を示す図であって、(a)は通常状態の表示例、(b)は通常ズーム動作モード時の表示例、(c)はステップズーム動作モード時の表示例を示す図
【図6】本発明の実施の形態1のデジタルカメラの初期動作のフローチャート
【図7】本発明の実施の形態1のデジタルカメラの通常ズーム動作モード時のズーム動作を示すフローチャート
【図8】本発明の実施の形態1のデジタルカメラのステップズーム動作モード時のズーム動作を示すフローチャート
【図9】本発明の実施の形態1のデジタルカメラのステップズーム動作モードから通常ズーム動作モードへの切り替えの動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0012】
実施の形態1
本発明の実施の形態1のデジタルカメラは、ズームレンズを電動で駆動し、連続的なズーム動作と段階的(離散的)なズーム動作とを実行可能な交換レンズを備える。デジタルカメラは、段階的なズーム動作では、使用者による操作リングの操作に応じて、迅速に且つ正確にズームレンズを予め決められた所望の位置に停止する。これにより、使用者にとって使い勝手の良い変倍率設定を可能にする。
【0013】
1.構成
1−1.デジタルカメラの全体構成
実施の形態1にかかるデジタルカメラの構成の概要について説明する。
【0014】
図1に、実施の形態1のデジタルカメラの外観図を示す。図1に示すように、デジタルカメラ100は、電動交換レンズ101と、電動交換レンズ101を装着可能なカメラボディ102とを有する。電動交換レンズ101は、操作リング115を備えている。操作リング115は、使用者により操作されると電動交換レンズ101のズームレンズの制御を行う。カメラボディ102は、レリーズ釦160を備えている。カメラボディ102は、使用者によるレリーズ釦160の操作を受け付けると、装着された電動交換レンズ101に対して、オートフォーカス動作を実行させるように制御信号を通知したり、電動交換レンズ101を介して形成される被写体像の撮影動作を実行したりする。
【0015】
図2に、デジタルカメラ100のカメラボディ102の背面図を示す。カメラボディ102は、背面部に、液晶モニタ163、タッチパネル162、及びカメラ側操作部170(中央釦204および十字釦205を含む)等を備えている。カメラボディ102は、使用者によるタッチパネル162やカメラ側操作部170の操作を受け付けて、受け付けた操作内容に従った各種制御を行う。
【0016】
図3に、デジタルカメラ100(電動交換レンズ101およびカメラボディ102)の電気的構成図を示す。電動交換レンズ101は、レンズコントローラ120、レンズマウント130、フォーカスレンズ110およびズームレンズ112を含む光学系、フォーカスレンズ駆動部111、ズームレンズ駆動部113、絞り116、絞り駆動部117、操作リング115、DRAM121、及びフラッシュメモリ122を備えている。カメラボディ102は、カメラコントローラ153、ボディマウント140、CMOSイメージセンサ150、タイミングジェネレータ(TG)151、アナログフロントエンド(AFE)152、液晶モニタ163、タッチパネル162、レリーズ釦160、カメラ側操作部170、電源154、DRAM155、フラッシュメモリ156、カードスロット165、及びメモリカード164を備えている。
【0017】
1−2.電動交換レンズの構成
電動交換レンズ101の各部について説明する。
【0018】
レンズコントローラ120は、電動交換レンズ101全体の動作を制御する。レンズコントローラ120は、使用者による操作リング115の操作を受け付けて、ズームレンズ112を駆動させるよう、ズームレンズ駆動部113を制御する。レンズコントローラ120は、DRAM121やフラッシュメモリ122に接続され、これらのメモリに対して、必要に応じて情報を書き込んだり、読み出したりすることができる。また、レンズコントローラ120は、レンズマウント130を介して、カメラコントローラ153と通信することができる。レンズコントローラ120は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピュータなどで構成してもよい。
【0019】
レンズマウント130は、カメラボディ102に設けられたボディマウント140と相俟って、電動交換レンズ101とカメラボディ102とを機械的および電気的に接続するための接続部材である。電動交換レンズ101とカメラボディ102とが機械的および電気的に接続されると、レンズコントローラ120とカメラコントローラ153とは通信可能な状態になる。
【0020】
DRAM121は、レンズコントローラ120による各種制御の際のワークメモリとして使用される。また、フラッシュメモリ122は、レンズコントローラ120による各種制御の際に使用されるプログラム、パラメータ、及びレンズデータ等を格納している。
【0021】
フォーカスレンズ110は、電動交換レンズ101の光学系に入射され、CMOSイメージセンサ150上に形成される被写体像のフォーカス状態を変化させるためのレンズである。フォーカスレンズ110のレンズ構成は何枚でも何群でもよい。フォーカスレンズ駆動部111は、レンズコントローラ120から通知される制御信号に基づいてフォーカスレンズ110を光学系の光軸に沿って進退するように駆動する。フォーカスレンズ駆動部111は、例えば、ステッピングモータ、DCモータ、又は超音波モータなどにより実現できる。
【0022】
ズームレンズ112は、電動交換レンズ101の光学系で形成される被写体像の倍率を変化させるためのレンズである。ズームレンズ112のレンズ構成は何枚でも何群でもよい。ズームレンズ駆動部113は、レンズコントローラ120から通知される制御信号に基づいてズームレンズ112を光学系の光軸に沿って進退するように電動で駆動する。ズームレンズ駆動部113は、例えば、ステッピングモータ、DCモータ、又は超音波モータなどにより実現できる。
【0023】
絞り116は、開閉可能な複数の機械羽根により構成されている。絞り116は、電動交換レンズ101の光学系に入射する光の量を調節するための部材である。絞り駆動部117は、レンズコントローラ120から通知される制御信号に基づいて、絞り116の機械羽根の開閉状態を変化させる。絞り駆動部117は、例えば、ステッピングモータ、DCモータ、又は超音波モータなどにより実現できる。
【0024】
操作リング115は、電動交換レンズ101の外面に備えられた操作部材である。操作リング115は、電動交換レンズ101に対して相対的に回転するように構成されている。操作リング115の回転位置及び回転速度は検出部(図示せず)により検出されて、レンズコントローラ120に通知される。レンズコントローラ120は、通知された操作リング115の回転位置及び回転速度に基づいて、ズームレンズ駆動部113に対して駆動制御信号を供給する。すなわち、レンズコントローラ120は、使用者による操作リング115の操作に基づいてズームレンズ112を駆動させるよう、ズームレンズ駆動部113に駆動制御信号を供給する。
【0025】
1−3.カメラボディの構成
カメラボディ102の各部について説明する。
【0026】
カメラコントローラ153は、レリーズ釦160やカメラ側操作部170からの指示に応じて、CMOSイメージセンサ150を含むデジタルカメラ100全体の動作を制御する。カメラコントローラ153は、垂直同期信号をタイミングジェネレータ(TG)151に通知する。これと並行して、カメラコントローラ153は、垂直同期信号に基づいて露光同期信号を生成する。カメラコントローラ153は、生成した露光同期信号を、ボディマウント140及びレンズマウント130を介して、レンズコントローラ120に周期的に繰り返し通知する。カメラコントローラ153は、DRAM155及びフラッシュメモリ156に接続されており、これらのメモリに対して必要に応じて、情報を書き込んだり、読み出したりする。カメラコントローラ153は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピュータなどで構成してもよい。
【0027】
DRAM155は、カメラコントローラ153による各種制御の際のワークメモリとして使用される。また、フラッシュメモリ156は、カメラコントローラ153による各種制御の際に使用されるプログラム及びパラメータ等を格納している。
【0028】
CMOSイメージセンサ150は、電動交換レンズ101を介して入射される被写体像を撮像して画像情報を生成する。生成された画像情報は、AFE152でアナログ形式のデータからデジタル形式のデータに変換される。AFE152でデジタル化された画像情報は、カメラコントローラ153で各種の画像処理が施される。ここで言う各種の画像処理とは、例えば、ガンマ補正処理、ホワイトバランス補正処理、キズ補正処理、YC変換処理、電子ズーム処理、JPEG圧縮処理等であるが、これらに限定されるものではない。CMOSイメージセンサ150に代えて、例えば、NMOSイメージセンサ又はCCDイメージセンサなどの他の撮像素子を用いても良い。
【0029】
CMOSイメージセンサ150は、TG151で制御されるタイミングで動作する。TG151で制御されるCMOSイメージセンサ150の動作は、静止画像の撮像動作、スルー画像の撮像動作、データ転送動作、及び電子シャッタ動作を含む。スルー画像は主に動画像であり、使用者が静止画像の撮像のための構図を決めるために液晶モニタ163に表示されるものである。
【0030】
液晶モニタ163は、カメラボディ102の背面に配置され、カメラコントローラ153で処理された表示用の画像情報が示す画像を表示する。液晶モニタ163は、動画像と静止画とを選択的に表示可能である。また、液晶モニタ163は、画像の他、デジタルカメラ100全体の設定条件等を表示可能である。本実施の形態では、表示手段の一例として液晶モニタ163を示すが、本発明はこれに限らない。例えば、有機ELディスプレイ等の表示手段を用いてもよい。
【0031】
タッチパネル162は、液晶モニタ163の表面に設けられており、使用者がタッチしたタッチパネル上の電極位置に関する情報を生成する。タッチパネル162は、電極位置に関する情報に基づいて、使用者がタッチしたタッチパネル上の位置座標を算出して、カメラコントローラ153に通知する。
【0032】
ボディマウント140は、電動交換レンズ101が備えるレンズマウント130と相俟って、電動交換レンズ101とカメラボディ102とを機械的及び電気的に接続するための接続部材である。電動交換レンズ101とカメラボディ102とが機械的および電気的に接続されると、レンズコントローラ120とカメラコントローラ153とは、通信可能な状態となる。ボディマウント140は、カメラコントローラ153から受信した露光同期信号及びその他の制御信号を、レンズマウント130を介して、レンズコントローラ120に送信する。また、ボディマウント140は、レンズマウント130を介して、レンズコントローラ120から受信した信号をカメラコントローラ153に送信する。
【0033】
電源154は、デジタルカメラ100を駆動するための電力を供給する。電源154は、例えば、乾電池であってもよいし、充電池であってもよい。また、電源154は、電源コードにより外部から供給される電力をデジタルカメラ100に供給するものであってもよい。電源154がONされると、カメラコントローラ153は、カメラボディ102全体に電力を供給し、同時に、ボディマウント140およびレンズマウント130を介して、電動交換レンズ101に電力を供給する。レンズコントローラ120は、電動交換レンズ101全体に電力を供給する。
【0034】
カードスロット165は、メモリカード164を装着可能な接続手段である。カードスロット165は、メモリカード164を電気的及び機械的に接続可能である。カードスロット165は、メモリカード164を制御する機能を備えてもよい。
【0035】
メモリカード164は、内部にフラッシュメモリ等の記憶手段を備えた外部メモリである。メモリカード164は、カメラコントローラ153で処理された画像情報等のデータを記憶可能である。また、メモリカード164は、内部に記憶する画像情報等のデータを出力可能である。メモリカード164から出力された画像情報は、カメラコントローラ153で処理され、例えば液晶モニタ163で再生表示される。
【0036】
レリーズ釦160は、使用者の操作を受け付ける。レリーズ釦160は、半押しと全押しの二段階操作が可能である。使用者によりレリーズ釦160が半押し操作されることにより、カメラコントローラ153はオートフォーカス動作を実行する。また、使用者によりレリーズ釦160が全押し操作されると、カメラコントローラ153はこの全押し操作のタイミングに応じて生成された画像情報をメモリカード164に記憶する。
【0037】
カメラ側操作部170は、上述した中央釦204及び十字釦205を含む操作部材の総称である。カメラ側操作部170は、MF(マニュアルフォーカス)/AF(オートフォーカス)を切り替えるスイッチを含む。カメラ側操作部170が使用者による操作を受け付けると、カメラコントローラ153は、操作指示内容に応じた各種制御を実行する。
【0038】
1−4.ズーム動作モード
電動交換レンズ101のズーム動作モードについて説明する。図4は、本実施の形態におけるズーム動作モードを説明するための図である。本実施の形態のズーム動作モードは、通常ズーム動作モード(第一のズーム動作モード)と、ステップズーム動作モード(第二のズーム動作モード)とを含む。通常ズーム動作モードは、図4の実線で示すように、使用者による電動交換レンズ101の操作リング115の操作に応じた位置(連続的に変化する位置)にズームレンズ112を移動させるモードである。ステップズーム動作モードは、図4の破線で示すように、使用者による電動交換レンズ101の操作リング115の操作に応じた離散的な位置(図4のA〜E)にズームレンズ112を移動させるモードである。ステップズーム動作モードにおいて停止可能な離散的な位置(図4のA〜E)に関する情報は、電動交換レンズ101のフラッシュメモリ122に予め記憶されている。
【0039】
通常ズーム動作モードにおいては、電動交換レンズ101は、使用者が操作リング115の操作を停止するとすぐにズームレンズ112の駆動を停止する。これにより、操作リング115の操作に応じた連続的な位置にズームレンズ112が停止可能になる。一方、ステップズーム動作モードにおいては、電動交換レンズ101は、使用者が操作リング115の操作を停止すると、実際のズームレンズ112の停止位置に対して、予め決められた停止位置群の中のズームレンズ112の進行方向において最も近い停止位置まで、ズームレンズ112を駆動させた後、駆動を停止する。この場合、操作リング115の操作に応じた離散的な位置にズームレンズ112が停止可能となる。ステップズーム動作モードによれば、使用者は迅速、正確かつ容易にズームレンズ112を所定の焦点距離に移動させることが可能となり、この点において通常ズーム動作モードと比較して利点がある。
【0040】
使用者は、カメラボディ102の液晶モニタ163に表示されるメニュー画面上でタッチパネル162を操作することで、ズーム動作モードを、通常ズーム動作モードとステップズーム動作モードのいずれかに設定できる。ズーム動作モードの設定情報は、カメラボディ102のフラッシュメモリ156に記憶されており、カメラコントローラ153によって更新される。本実施の形態においては、デフォルト値として、ズーム動作モードは通常ズーム動作モードに設定されている。使用者によりズーム動作モードが変更されると、変更毎に、変更後のズーム動作モードの設定情報がカメラボディ102のフラッシュメモリ156に記憶される。本実施の形態において、カメラボディ102のフラッシュメモリ156に記憶されるズーム動作モードの設定情報は、装着される交換レンズの種類に関係なく、一つだけ記憶される。すなわち、使用者がズーム動作モードを変更するまではデフォルトの「通常ズーム動作モード」が記憶され、使用者がズーム動作モードを新たに設定した後は使用者により設定されたズーム動作モードを示す設定情報が記憶される。
【0041】
図5(a)〜(c)は、カメラボディ102の液晶モニタ163上での表示例を示した図である。図5(a)は、カメラボディ102の液晶モニタ163の通常の表示状態を示した図である。すなわち、図5(a)はズームレンズ112が駆動されていないときの表示を示す。電動交換レンズ101の操作リング115が使用者によって操作されると、レンズコントローラ120はズームレンズ駆動部113に駆動制御信号を供給して、ズームレンズ112を動かすと同時に、レンズマウント130を介して、カメラボディ102に操作リング115が操作されたことを示す情報を送信する。カメラボディ102は、電動交換レンズ101の操作リング115が操作されたことを示す情報を、ボディマウント140を通じて、カメラコントローラ153で受信する。カメラコントローラ153は、液晶モニタ163の表示を図5(a)の表示から、レンズのズーム動作モードに応じて図5(b)または図5(c)の表示に変更する。
【0042】
図5(b)は、通常ズーム動作モード(第一のズーム動作モード)時の表示例を示す図である。図5(b)では、現在設定されている電動ズームの倍率を使用者が認識できるように、焦点距離の目盛り301と現在のズーム焦点距離を示す指標303を含むズーム焦点距離情報表示300が表示されている。通常ズーム動作モード時、レンズコントローラ120は、電動交換レンズ101のズームレンズ112が駆動されているときに、操作リング115の操作が停止されたことを検出すると、ズームレンズ駆動部113への制御信号の供給を直ちに停止する。これにより、デジタルカメラ100の使用者は、操作リング115の操作によって、ズームレンズ112の変倍率を所望の変倍率に設定することができる。図5(b)の例では、14ミリ〜45ミリの中から所望の焦点距離(例えば、19ミリ)に設定できる。
【0043】
一方、図5(c)は、ステップズーム動作モード(第二のズーム動作モード)時の表示例を示す図である。図5(c)では、現在設定されている電動ズームの倍率を使用者が認識できるように、焦点距離の目盛り311と現在のズーム焦点距離を示す指標313を含むズーム焦点距離情報表示310が表示されている。ステップズーム動作モード時、レンズコントローラ120は、電動交換レンズ101のズームレンズ112の駆動途中に操作リング115の操作が停止されたことを検出すると、予め決められたズームレンズの停止位置群の中から、実際のズームレンズ112の停止位置に対してズームレンズ112の進行方向で最も近い停止位置を決定する。そして、レンズコントローラ120は、ズームレンズ112を、決定した停止位置まで駆動し、その後、ズームレンズ駆動部113への制御信号の供給を停止する。これにより、デジタルカメラの使用者は、予め決められた複数の焦点距離(変倍率)のうちの1つに焦点距離を設定することができる。図5(c)の例では、14ミリ、18ミリ、25ミリ、35ミリ、及び45ミリのいずれか(例えば、25ミリ)に焦点距離(変倍率)を設定できる。
【0044】
2.動作
2−1.概要
実施の形態1にかかるデジタルカメラ100の動作の概要について説明する。電動交換レンズ101がカメラボディ102に装着された状態で、使用者がカメラボディ102の電源スイッチ(図示せず)を操作することにより、カメラボディ102の電源154がON状態に切り換えられると、電力供給とともに各種初期設定がなされる。
【0045】
カメラボディ102は、フラッシュメモリ156に記憶されているズーム動作モードの設定情報に基づいて、電動交換レンズ101にズーム動作モードの情報を送信する。フラッシュメモリ156には、前回の電源OFF時にカメラボディ102に設定されていたズーム動作モードを示す設定情報が格納されている。カメラボディ102に装着された電動交換レンズ101は、カメラボディ102から取得した設定情報の内容に応じて、ズーム動作モードを通常ズーム動作モードとステップズーム動作モードのいずれかに設定する。
【0046】
デジタルカメラ100の使用者は、カメラボディ102上での操作により、電動交換レンズ101のズーム動作モードを設定することが可能である。使用者のカメラボディ102上での操作によりズーム動作モードの切替え設定が行われると、カメラボディ102はズーム動作モード切替え情報を電動交換レンズ101に送信する。電動交換レンズ101は、カメラボディ102からの情報に応じて、ズーム動作モードを切り替える。
【0047】
以下、電動交換レンズ101とカメラボディ102の初期動作とズーム動作について、詳細を説明する。
【0048】
2−2.電動交換レンズをカメラボディに装着した時の初期動作
電動交換レンズ101をカメラボディ102に装着した時の初期動作について図6を用いて説明する。図6は、デジタルカメラ100の撮像準備のための初期動作のシーケンスを示す図である。
【0049】
電動交換レンズ101がカメラボディ102に装着された状態で、使用者がカメラボディ102の電源154をONにすると(S300)、電源154は、ボディマウント140及びレンズマウント130を介して、電動交換レンズ101に電力を供給する(S301)。これにより、電動交換レンズ101の各部に電力が供給される(S302)。
【0050】
次に、カメラコントローラ153は、レンズコントローラ120に対して、電動交換レンズ101の認証情報を要求する(S303)。電動交換レンズ101の認証情報には、どのような交換レンズが装着されたか(例えば、電動交換レンズ101が装着されているか否か)に関する情報、及び電動交換レンズ101にアクセサリが装着されているか否かに関する情報が含まれる。レンズコントローラ120は、カメラコントローラ153からのレンズ認証要求に応答する(S304)。これにより、カメラコントローラ153は、レンズ認証を完了させて、カメラボディ102に電動交換レンズ101が装着されているか否か、または、テレコンバータレンズやワイドコンバータレンズ等のアクセサリが電動交換レンズ101に装着されているか否かを把握することができる(S305)。
【0051】
次に、カメラコントローラ153は、レンズコントローラ120に対して、初期化動作を実施するよう要求する(S306)。これを受けて、レンズコントローラ120は、フォーカスレンズ110のリセット、ズームレンズ112のリセット、絞り116のリセット等の初期化動作を行う(S307)。その後、レンズコントローラ120は、カメラコントローラ153に対して、レンズ初期化動作が完了した旨を応答する(S308)。これにより、カメラコントローラ153は、電動交換レンズ101が初期化されたことを把握することができる(S309)。
【0052】
次に、カメラコントローラ153は、レンズコントローラ120に対して、レンズデータを要求する(S310)。レンズデータは、電動交換レンズ101のフラッシュメモリ122に格納されている。カメラコントローラ153からのレンズデータ要求を受けて、レンズコントローラ120は、フラッシュメモリ122からレンズデータを読み出す(S311)。レンズコントローラ120は、読み出したレンズデータを、カメラコントローラ153に送信する(S312)。
【0053】
ここで、レンズデータは、レンズ名称、Fナンバー、ズーム制御可能範囲、フォーカス制御可能範囲、操作部材に関する情報などの電動交換レンズ101に特有の特性値の情報を含む。また、レンズデータは、電動ズームの有無に関する情報と、電動ズーム動作時におけるズーム動作モードに関する情報とを含む。電動ズームの有無に関する情報とは、交換レンズにおいて、ズームレンズ112が使用者の操作に機械的に連動して駆動されるのではなく、ズームレンズ駆動部113によって電動で駆動されるか否かを示す情報である。ズーム動作モードに関する情報は、ステップズーム動作モードに対応しているか否かを示す情報を含む。カメラコントローラ153は、レンズコントローラ120から取得した電動ズームの有無に関する情報及びズーム動作モードに関する情報を参照することにより、装着された交換レンズ101がズームレンズを電動で駆動可能か否か及びステップズーム動作モードに対応しているか否か等を把握することができる。カメラボディ102が電動ズームに対応していれば、カメラコントローラ153は、電動ズームに関する種々の制御を実行することができる。また、カメラボディ102が、電動交換レンズ101のズーム動作モードに対応していれば、カメラコントローラ153は、そのズーム動作モードに応じた制御を行うことができる。
【0054】
特に、レンズコントローラ120は、初期動作時に、ステップズーム動作モードにおいてズームレンズ112を停止可能な1つ又は複数の位置(焦点距離)をフラッシュメモリ122から読み出し、レンズデータに含めて、カメラコントローラ153に送信している。よって、カメラコントローラ153は、レンズデータを参照することで、液晶モニタ163に表示される、図5(b)、(c)に示すようなズーム焦点距離情報表示300、310における目盛りの設定等を行うことができる。
【0055】
以上のようにして、カメラコントローラ153は、装着された電動交換レンズ101のレンズデータ取得を完了する(S313)。カメラコントローラ153は、取得したレンズデータから、装着されたレンズが電動ズーム対応でかつステップズーム動作モードに対応していると認識した場合、フラッシュメモリ156に記憶されている、前回デジタルカメラ100を使用した使用者が設定したズーム動作モードを読み出し(S314)、電動交換レンズ101に読み出したズーム動作モードの設定を通知する(S315)。図6は、通常ズーム動作モード(前回に設定されていたモード)を通知する例を示している。電動交換レンズ101はカメラボディ102からのズーム動作モード設定通知を受けて、その指示に従ったズーム動作モードに遷移する(S316)。図6の例では、通常ズーム動作モードに遷移した場合を示している。
【0056】
カメラボディ102が、カメラボディ102に装着されている電動交換レンズ101のレンズデータを把握し(S313)、かつ電動交換レンズ101のズーム動作モードの設定が完了する(S316)と、撮像可能な状態になる。
【0057】
この状態で、カメラコントローラ153は、レンズコントローラ120に対して、電動交換レンズ101の状態を示すレンズ状態データを要求する(S317)。レンズ状態データは、例えば、ズームレンズ112によるズーム焦点距離情報(ズーム倍率情報)、フォーカスレンズ110の位置情報、絞り116の絞り値情報、および操作リング115の操作に関するリング操作情報などを含む。この要求に応答して、レンズコントローラ120は、カメラコントローラ153に対して、要求されたレンズ状態データを送信する(S318)。操作リング115が操作されたときは、リング操作情報は操作リング115が操作されたことを示す情報を含む。操作リング115が操作されていないときは、リング操作情報は操作リング115が操作されていないことを示す情報を含む。
【0058】
以上のように、カメラボディ102と電動交換レンズ101とで必要なデータの要求および応答を実行し、カメラボディ102と電動交換レンズ101は初期動作を終える。なお、レンズ状態データはカメラボディ102から電動交換レンズ101に対して初期動作の後も定期的に要求される。
【0059】
2−3.通常ズーム動作モード時の制御
電動交換レンズ101が通常ズーム動作モードに設定されている時のズーム制御について説明する。
【0060】
図7は、通常ズーム動作モード時のズーム動作シーケンスを説明した図である。デジタルカメラ100の使用者が電動交換レンズ101の操作リング115を操作すると(S401)、レンズコントローラ120は、カメラコントローラ153が定期的に行っているレンズ状態データ要求(S402)に対して、操作リング115が操作されたことを示すリング操作情報を含んだレンズ状態データを返信する(S403)。このレンズ状態データには、ズームレンズ112の現在の焦点距離に関するズーム焦点距離情報が含まれている。
【0061】
カメラコントローラ153は、リング操作情報により、操作リング115が操作されたことを認識すると、レンズ状態データに含まれるズーム焦点距離情報に基づいて、図5(b)に示すように、液晶モニタ163にズーム焦点距離情報表示300を表示する(S404)。このズーム焦点距離情報表示300により、使用者は、ズームレンズ112の位置によって定まる焦点距離を把握することができる。なお、焦点距離の代わりに、ズームレンズ112の位置を表示するようにしても良いし、焦点距離によって決まる変倍率を表示するようにしてもよい。
【0062】
また、レンズコントローラ120は、操作リング115が操作されると、ズームレンズ駆動部113に制御信号を送り、ズームレンズ112を駆動する(S405)。カメラコントローラ153は、使用者が操作リング115を操作中でも、定期的にレンズ状態データの要求を行い(S406)、レンズコントローラ120はレンズ状態データを送信する(S407)。このとき、ズームレンズ112が駆動されているので、レンズ状態データに含まれるズーム焦点距離情報は更新されていく。カメラコントローラ153は、レンズ状態データの応答を受け、更新されたズーム焦点距離情報に基づいて、液晶モニタ163のズーム焦点距離情報表示300の更新を行う(S408)。
【0063】
このように、レンズ状態データ要求(S406)、レンズ状態データ応答(S407)、及びズーム焦点距離情報表示の更新(S408)は、ズームレンズ112が駆動されている間繰り返され、これによりデジタルカメラ100の使用者は液晶モニタ163にてズームレンズ112の駆動状態を把握することが可能となる。
【0064】
電動交換レンズ101の変倍率が使用者の所望の変倍率に達すると、使用者により操作リング115の操作が終了される(S411)。レンズコントローラ120は、操作リング115の操作終了を検出すると、即座にズームレンズ駆動部113に停止命令を発し、ズームレンズ112の駆動を停止する(S412)。
【0065】
カメラコントローラ153により定期的に実施されるレンズ状態データ要求(S413)に対して、レンズコントローラ120は、最終的にズームレンズ112が停止した位置に対応するズーム焦点距離情報と、操作リング115の操作が終了されたことを示すリング操作情報とを含むレンズ状態データを送信する(S414)。
【0066】
カメラコントローラ153は、レンズコントローラ120からのレンズ状態データを受けて、液晶モニタ163のズーム焦点距離情報表示300を更新する(S415)。使用者は、更新されたズーム焦点距離情報表示300を確認することで、ズームレンズ112の最終的な停止位置を把握できる。カメラコントローラ153は、更新されたズーム焦点距離情報表示300の表示から所定時間経過した後(S416)、液晶モニタ163の表示を、図5(b)に示すズーム焦点距離情報表示300を含む表示状態から図5(a)に示す通常の表示状態へ戻す(S417)。
【0067】
2−4.ステップズーム動作モード時の制御
電動交換レンズ101がステップズーム動作モードに設定されている時のズーム制御について説明する。
【0068】
図8は、ステップズーム動作モード時のズーム動作シーケンスを説明した図である。
【0069】
デジタルカメラ100の使用者が、カメラボディ102のメニュー設定などにおいて、ステップズーム動作モードを選択すると(S500)、カメラコントローラ153は、電動交換レンズ101にステップズーム動作モードの設定を通知する(S501)。電動交換レンズ101は、カメラコントローラ153からのステップズーム動作モード設定通知を受けて、ステップズーム動作モードに遷移する(S502)。
【0070】
デジタルカメラ100の使用者により電動交換レンズ101の操作リング115が操作されると(S503)、カメラコントローラ153により定期的に行われるレンズ状態データ要求(S504)に応答して、レンズコントローラ120は、操作リング115が操作されたことを示すリング操作情報を含んだレンズ状態データを返信する(S505)。このレンズ状態データには、ズームレンズ112の現在の焦点距離に関するズーム焦点距離情報が含まれる。
【0071】
カメラコントローラ153は、リング操作情報により、操作リング115が操作されたことを認識すると、レンズ状態データに含まれるズーム焦点距離情報に基づいて、液晶モニタ163に、図5(c)に示すように、ステップズーム動作モード用のズーム焦点距離情報表示310を表示する(S506)。このズーム焦点距離情報表示310により、使用者は、ズームレンズ112の現在のズーム焦点距離情報と、ステップズーム動作における停止可能位置(目盛り位置)とを把握することができる。
【0072】
その後、レンズコントローラ120は、操作リング115の操作にしたがい、ズームレンズ駆動部113に制御信号を送り、ズームレンズ112を駆動する(S507)。カメラコントローラ153は、操作リング115が操作されている間も、定期的にレンズ状態データの要求を行う(S508)。レンズコントローラ120は、定期的なレンズ状態データの要求に応答して、レンズ状態データを送信する(S509)。このとき、ズームレンズ112が駆動されているため、レンズ状態データに含まれるズーム焦点距離情報が更新されていく。カメラコントローラ153はレンズ状態データの応答を受け、更新されたズーム焦点距離情報に基づいて、液晶モニタ163のズーム焦点距離情報表示310を更新する(S510)。
【0073】
電動交換レンズ101の変倍率が使用者の所望の変倍率に達すると、使用者により操作リング115の操作が終了される(S511)。レンズコントローラ120は、操作リング115の操作終了を検出すると、操作終了の検知時点のズームレンズ112の位置情報から、現在のズームレンズ112の進行方向において次にズームレンズ112を停止させることが可能な停止位置を算出し、その算出した停止位置まで、ズームレンズ112を駆動する(S512)。
【0074】
レンズコントローラ120は、カメラコントローラ153からの定期的なレンズ状態データ要求(S513)に対して、最終的なズームレンズ112の停止位置に対応するズーム焦点距離情報と、操作リング115の操作が終了されたことを示すリング操作情報とを含むレンズ状態データを送信する(S514)。
【0075】
カメラコントローラ153は、レンズコントローラ120からのレンズ状態データの応答を受けて、液晶モニタ163のズーム焦点距離情報表示310を更新する(S515)。使用者は、更新されたズーム焦点距離情報表示310を確認することで、最終的なズームレンズ112の停止位置を把握できる。カメラコントローラ153は、ズーム焦点距離情報表示310が更新されてから所定時間経過後(S516)、液晶モニタ163の表示を、図5(c)に示すズーム焦点距離情報表示310を含む表示状態から図5(a)に示す通常の表示状態へ戻す(S517)。
【0076】
2−5.ステップズーム動作モードから通常ズーム動作モードへの切替え
電動交換レンズ101のズーム動作モードを、ステップズーム動作モードから通常ズーム動作モードへ遷移させる時の制御について説明する。
【0077】
図9は、ステップズーム動作モードから通常ズーム動作モードへズーム動作モードを切り替えるときのシーケンスを説明した図である。デジタルカメラ100の使用者によりカメラボディ102のメニュー設定などにおいて、ステップズーム動作モードがオフされると(S600)、カメラコントローラ153は、電動交換レンズ101にステップズーム動作モードの設定解除を通知する(S601)。レンズコントローラ120は、カメラコントローラ153からステップズーム動作モード設定解除通知を受けると、ズーム動作モードを通常ズーム動作モードへ切り替える(S602)。
【0078】
3.まとめ
実施の形態1のデジタルカメラ100の交換レンズ101は、ズームレンズ112と、ズームレンズを駆動させるズームレンズ駆動部113と、ズームレンズ112の倍率を変更するためのユーザによる操作を受け付ける操作リング115と、操作リング115の操作に応じてズームレンズ駆動部113を制御するレンズコントローラ120とを備える。レンズコントローラ120は、ズームレンズ112を操作リング115の操作に応じた任意の位置に停止可能な通常ズーム動作モード(第一の動作モード)と、ズームレンズ112を操作リング115の操作に応じて離散的な所定の停止位置に停止可能なステップズーム動作モード(第二の動作モード)のうちのいずれかの動作モードでズームレンズ駆動部113を制御する。
【0079】
ステップズーム動作モードにより、操作リング115の停止位置に基づいて予め決められた所望の位置に迅速に且つ正確にズームレンズを停止させることができる。このため、使用者にとって使い勝手の良いズーム倍率設定が可能となる。
【0080】
他の実施の形態
本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の実施の形態が考えられる。以下、本発明の他の実施の形態について記載する。
【0081】
上記実施の形態1において、ステップズーム動作モードにおけるズームレンズ112の停止可能な位置群の情報は、電動交換レンズ101のフラッシュメモリ122に予め記憶されていた。しかし、ステップズーム動作モードにおいて停止可能な位置群の情報を、電動交換レンズ101の種類毎に、カメラボディ102のフラッシュメモリ156に予め記憶するようにしてもよい。この場合、カメラコントローラ153は、例えばステップS312及びS313で取得したレンズデータ(レンズ名称など)に応じて、初期動作において、記憶している停止位置群の中から、装着した交換レンズに対応した停止可能位置を求め、その求めた停止可能位置の情報を電動交換レンズ101へ送信する。また、カメラコントローラ153は、ステップズーム動作モードに遷移するときに、ズームレンズ112を停止させることが可能な停止位置群の情報を電動交換レンズ101へ通知しても良い。
【0082】
ステップズーム動作モードにおいて、ズームレンズ112を停止させる位置を、ユーザにより、カメラボディ102のメニュー設定(例えば、液晶モニタ163に表示されるメニュー画面)で設定できるようにしても良い。この場合、電動交換レンズ101がズームレンズ112の停止可能な位置群の情報を予めフラッシュメモリ122に保持しているとき、初期動作時(例えば、S311及び312)又はユーザが停止位置を選択する時に、レンズコントローラ120は、カメラコントローラ153にズームレンズ112の停止可能な位置群を通知する。そして、通知された停止位置群の中から、ステップズーム動作モードにおいて停止する1つ以上の位置をユーザにより選択されるようにする。カメラコントローラ153は、ユーザにより選択された停止位置を、レンズコントローラ120に通知する。
【0083】
また、カメラボディ102が、ステップズーム動作モードにおいて停止可能な位置群をフラッシュメモリ156に予め記憶している場合、カメラボディ102のフラッシュメモリ156に記憶されている停止位置群の中から、ステップズーム動作モードにおいて停止する1つ以上の位置をユーザにより選択されるようにしても良い。カメラコントローラ153は、ユーザにより選択された停止位置をレンズコントローラ120に通知する。
【0084】
上記実施の形態において、レンズコントローラ120は、ズームレンズ112を実際に停止させた後(S512)に、カメラコントローラ153からのレンズ状態データ要求に応答して、ズームレンズ112が実際に停止した位置に関する情報をカメラボディ102のカメラコントローラ153に送信するようにした(S514)。しかしながら次のように構成してもよい。レンズコントローラ120は、操作リング115の操作終了を検出すると(ステップS511)、操作終了の検知時のズームレンズ112の位置情報から、現在のズームレンズ112の進行方向において次にズームレンズ112を停止させることが可能な停止位置を算出する。この際に、ズームレンズ112が実際に停止する前に、算出した停止位置に関する情報をカメラコントローラ153に送信してもよい。これにより、カメラコントローラ153は、ズームレンズ112が実際に停止する前に、ズームレンズ112が停止する予定の位置を認識することができ、また、その予定位置を液晶モニタ163に表示すること等によりユーザに通知することができる。
【0085】
また、通常、レンズコントローラ120が操作リング115の操作終了を検出すると(S511)、操作終了の検知時のズームレンズ112の位置情報に基づき、現在のズームレンズ112の進行方向において次にズームレンズ112を停止させることが可能な、現在のズームレンズ112位置に最も近い停止位置を算出することが望ましい。しかしながら、なんらかの理由により最も近い停止位置には停止できない場合があり得る。そのような場合、レンズコントローラ120は、カメラコントローラ153に対し、最も近い停止位置には停止できないことを示す情報を、レンズ状態データの応答の際に通知するようにしてもよい。また、この情報と共に、実際に停止できる停止位置を予定位置として通知するようにしてもよい。
【0086】
上記実施の形態において、レンズコントローラ120は、ステップズーム動作モード時、あらかじめ設定された停止位置でのみズームレンズ112を停止させるように制御を行う。しかしながら、なんらかの理由によりズームレンズ112をあらかじめ設定された停止位置で停止できず、それ以外の位置で停止させた場合には、レンズコントローラ120は、あらかじめ設定された停止位置での停止が不可能であることを示す情報をカメラコントローラ153に通知するようにしてもよい。なお、この場合にもレンズコントローラ120は、カメラコントローラ153からのレンズ状態データ要求に応じて、ズームレンズ112が実際に停止した位置に関する情報をカメラボディ102のカメラコントローラ153に送信するようにしてもよい。
【0087】
上記実施の形態1及び他の実施の形態それぞれに開示した思想は、当業者が適宜組み合わせることができる。
【0088】
上記実施の形態では撮像装置の一例としてデジタルカメラ100を例示したが、本発明の思想はデジタルカメラへの適用に限定されない。本発明の思想は、ムービーカメラ、カメラ付き携帯電話などの撮像装置であって、ズーム機能を備えた交換レンズを装着可能な交換レンズ式の撮像装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、デジタルカメラ、ムービーカメラ、カメラ付き携帯電話などの撮像装置であって、ズーム機能を備えた交換レンズを装着可能な交換レンズ式の撮像装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0090】
100 デジタルカメラ
101 電動交換レンズ
102 カメラボディ
110 フォーカスレンズ
111 フォーカスレンズ駆動部
112 ズームレンズ
113 ズームレンズ駆動部
115 操作リング
116 絞り
117 絞り駆動部
120 レンズコントローラ
121 DRAM(レンズ側)
122 フラッシュメモリ(レンズ側)
130 レンズマウント
140 ボディマウント
150 CMOSイメージセンサ
151 TG
152 AFE
153 カメラコントローラ
154 電源
155 DRAM(ボディ側)
156 フラッシュメモリ(ボディ側)
160 レリーズ釦
162 タッチパネル
163 液晶モニタ
164 メモリカード
165 カードスロット
170 カメラ側操作部
204 中央釦
205 十字釦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズームレンズを有する交換レンズとカメラボディとを含み、前記ズームレンズの倍率を変更するためのユーザによる操作を受け付ける操作部を有するカメラシステムであって、
前記交換レンズは、
前記ズームレンズを駆動させる駆動部と、
前記操作部の操作に応じて前記駆動部を制御するレンズ側制御部と、
を備え、
前記カメラボディは、
前記交換レンズから、その交換レンズの情報を取得するカメラボディ側制御部
を備え、
前記レンズ側制御部は、
前記ズームレンズを前記操作部の操作に応じた任意の位置に停止可能な第一の動作モードと、前記ズームレンズを前記操作部の操作に応じて離散的な所定の停止位置に停止可能な第二の動作モードのうちのいずれかの動作モードで前記駆動部を制御し、
前記第二の動作モードにおける前記所定の停止位置に前記ズームレンズを実際に停止することができない場合、前記カメラボディ側制御部に、前記ズームレンズを前記所定の停止位置に停止できないことを示す情報を送信する、
カメラシステム。
【請求項2】
前記レンズ側制御部は、前記カメラボディ側制御部からの指示にしたがい、前記動作モードを、前記第一の動作モードまたは前記第二の動作モードに設定する、
請求項1記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記交換レンズは、前記所定の停止位置に関する情報を予め格納する記憶部をさらに備えた、
請求項1記載のカメラシステム。
【請求項4】
前記交換レンズは、前記記憶部に予め格納されている前記所定の停止位置に関する情報を前記カメラボディ側制御部に送信する通信部をさらに備えた、
請求項3記載のカメラシステム。
【請求項5】
前記交換レンズは、前記ズームレンズが実際に停止した位置に関する情報を前記カメラボディ側制御部に送信する通信部をさらに備えた、
請求項1記載のカメラシステム。
【請求項6】
前記交換レンズ側制御部は、前記第二の動作モードにおける所定の停止位置に前記ズームレンズを停止することができない場合、前記カメラボディ側制御部に、前記ズームレンズの実際の停止位置に関する情報を送信する、
請求項5記載のカメラシステム。
【請求項7】
ズームレンズを有する交換レンズとカメラボディとを含み、前記ズームレンズの倍率を変更するためのユーザによる操作を受け付ける操作部を有するカメラシステムであって、
前記交換レンズは、
前記ズームレンズを駆動させる駆動部と、
前記操作部の操作に応じて前記駆動部を制御するレンズ側制御部と、
を備え、
前記カメラボディは、
前記交換レンズ側制御部に情報を送信するカメラボディ側制御部
を備え、
前記レンズ側制御部は、
前記ズームレンズを前記操作部の操作に応じた任意の位置に停止可能な第一の動作モードと、前記ズームレンズを前記操作部の操作に応じて離散的な所定の停止位置に停止可能な第二の動作モードのうちのいずれかの動作モードで前記駆動部を制御し、
前記所定の停止位置に関する情報を前記カメラボディ側制御部から受信する、
カメラシステム。
【請求項8】
前記交換レンズ側制御部は、前記カメラボディ側制御部からの指示にしたがい、前記動作モードを、前記第一の動作モードまたは前記第二の動作モードに設定する、
請求項7記載のカメラシステム。
【請求項9】
前記交換レンズは、前記所定の停止位置に関する情報を予め格納する記憶部をさらに備えた、
請求項7記載のカメラシステム。
【請求項10】
前記交換レンズは、前記記憶部に予め格納されている前記所定の停止位置に関する情報を前記カメラボディ側制御部に送信する通信部をさらに備えた、
請求項9記載のカメラシステム。
【請求項11】
前記交換レンズは、前記ズームレンズが実際に停止した位置に関する情報を前記カメラボディ側制御部に送信する通信部をさらに備えた、
請求項7記載のカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−57970(P2013−57970A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−271261(P2012−271261)
【出願日】平成24年12月12日(2012.12.12)
【分割の表示】特願2012−522866(P2012−522866)の分割
【原出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】