カメラパラメータ推定装置、カメラパラメータ推定方法、カメラパラメータ推定プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体
【課題】カメラパラメータが微小に変化したとき、参照物体を利用することなく、その時間変化量を推定することができるカメラパラメータ推定装置を提供する。
【解決手段】空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点をカメラで取得した画像中に投影したときの、当該カメラ固有の内部情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理部3と、時系列中のある時刻tでの画像上における濃淡変化を反映した空間勾配と、時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理部2と、前記空間勾配と時間勾配、並びに画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、カメラ固有の内部変数をパラメータとした投票空間の、その拘束条件を満たすパラメータが示す場所に投票し、得票値が極大となるパラメータをカメラ固有の内部情報の時間的変化量とするカメラパラメータ推定部4とを備える。
【解決手段】空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点をカメラで取得した画像中に投影したときの、当該カメラ固有の内部情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理部3と、時系列中のある時刻tでの画像上における濃淡変化を反映した空間勾配と、時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理部2と、前記空間勾配と時間勾配、並びに画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、カメラ固有の内部変数をパラメータとした投票空間の、その拘束条件を満たすパラメータが示す場所に投票し、得票値が極大となるパラメータをカメラ固有の内部情報の時間的変化量とするカメラパラメータ推定部4とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラなどの固定カメラで撮影した静的シーンの時系列画像に利用可能で、その時系列においてカメラ固有の内部情報またはカメラの姿勢またはカメラの位置(視点)が微小に変化したとき、そのパラメータの時間的変化量を推定する、カメラパラメータ推定装置、カメラパラメータ推定方法、カメラパラメータ推定プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ内部の固有情報として焦点距離や画像中心などの内部パラメータ、並びに、カメラ配置時の姿勢や位置情報という外部パラメータを得るにはカメラキャリブレーション(カメラ校正)が行われる。従来の方法では、校正したいカメラに対して図19のようにパターンなどの模様を描いた参照物体を撮影し、その参照物体に関する情報とカメラで観測した画像上での投影情報から、カメラ内部、外部パラメータ(両者を合わせてカメラパラメータと呼ぶ)を推定する(非特許文献1参照)。元々カメラ校正には時間と作業コストがかかるため、より簡単な参照物体を使った例もある。例として、図20のように長さの既知な1次元物体を使い、点Aを固定したまま撮影しその画像からカメラを校正する方法も公開されている(非特許文献2参照)。
【0003】
一方、コンピュータビジョンではStructure From Motionと呼ばれている基本原理があり、静止した被写体に対してカメラが相対的に運動することにより被写体の3次元形状とカメラの運動を復元する方法がある(運動する被写体に対してカメラが静止していても原理は同じ)。セルフキャリブレーション(あるいはオートキャリブレーションとも呼ばれる)はこの原理に基づく一つであり、上記のような既知の参照物体を必要とせず、静的な映像シーンから観測した特徴点からカメラパラメータを推定することができる。他にも、非特許文献3に記載の方法によりカメラ運動と各剛体の3次元形状とその速度を同時に復元することができるため、この方法をカメラ校正に応用することも考えられる。
【0004】
また、非特許文献4にはオプティカルフローについての記載がある。
【非特許文献1】Z.Zhang,“A flexible new technique for camera calibration”,IEEE Trans.on Pattern Analysis and Machine Intelligence,Vol.22,No.11,pp.1330−1334,2000.
【非特許文献2】Z.Zhang,“Camera calibration with one−dimensional objects”,IEEE Trans.on Pattern Analysis and Machine Intelligence,Vol.26,No.7,pp.892−899,2004.
【非特許文献3】M.Han & T.Kanade,“Multiple Motion Scene Reconstruction with Uncalibrated Cameras,”IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence,Vol.25,No.7,pp.884−894,2003.
【非特許文献4】Horn,“ロボットビジョン”,朝倉書店,pp.305−312,1993.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のカメラキャリブレーション法(非特許文献1,2)では参照物体を使ったものが多く、図19では平面パターンの2次元座標を既知としており、図20では1次元物体の長さLと点Aから点Cまでの距離と点Bから点Cまでの距離の比が既知であることが前提である。カメラ校正作業は前処理の作業として行われることが多いが、仮にカメラ撮影中にカメラパラメータが変化した場合でも、その時点で、適宜、参照物体を設置することができる状況では、参照物体を使ったカメラ校正手段をとることができる。ところが、運用中の監視カメラや固定カメラでは、常時、参照物体を設置することができるとは限らない。このような場合、稼動中に何らかの原因でカメラパラメータが変化しても、参照物体を適宜使用することは現実的ではないという問題がある。これに対して、セルフキャリブレーションによれば、既知の参照物体を必要とせず、静的な映像シーンから観測した特徴点からカメラを校正することができるが、カメラ校正に十分な特徴点を時系列画像において追跡しその画像座標を測定する必要があり、測定誤差が多少混入するだけでカメラ校正の精度が劣化するという問題がある。
【0006】
また、非特許文献3などのStructure From Motion原理に基づく3次元復元手法は、特徴点として明確な特徴点を時系列画像において高精度に追跡しなければならないため、セルフキャリブレーションと同様に、特徴点の観測精度によってカメラ校正の精度が左右される。そのような明確な特徴点を時系列画像全体で追跡できない場合には、非特許文献3の方法を応用することができない。
【0007】
本発明は上記課題を解決するものであり、その目的は、一旦カメラ校正作業等によりカメラパラメータが得られている状況で、その後に、何らかの原因でカメラパラメータが微小に変化したとき、そのカメラパラメータの時間変化量を推定することができるカメラパラメータ推定装置、カメラパラメータ推定方法、カメラパラメータ推定プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明におけるカメラで撮影するシーンは静的(照明変動が小さく、被写体はすべて静止している状態)であり、変化する前の状態ではカメラパラメータが既知であること(初期状態ではカメラキャリブレーションが行われていること)を前提とする。
【0009】
本発明では、カメラパラメータの微小変化に起因する時系列画像中の変化を捉えるために、オプティカルフロー(非特許文献4参照)と同様の原理を利用する。この手法を簡単に説明しておく。時刻tでの画像座標(x,y)での濃淡値をI(x,y,t)とすると、時刻t+Δtでの画像はI(x,y,t+Δt)と表現される。ここで、時間間隔Δtの濃淡変化に対して、式(1)に示すように時刻tでの画像の濃淡値が、時刻t+Δtでの画像上でのxy座標を(x+Δx,y+Δy)と平行移動したとき近似的に同じ濃淡値になると仮定する。式(1)右辺をTaylor展開して第一次項まで求めると式(2)が得られ、Δtが十分に小さいと仮定すると式(3)にまとめることができる。
【0010】
【数1】
【0011】
式(3)はオプティカルフロー(非特許文献4に記載の手法)として知られている拘束条件であり、時刻tの画像と時刻t+Δtでの画像の間において時間勾配:dI/dtと画像座標に対する空間勾配:∂I/∂x,∂I/∂yが得られれば、画像座標上での時間的変化量(dx/dt,dy/dt)が得られる。
【0012】
本発明の基本原理では、画像座標(x,y)は時間tの関数とするだけでなく、式(4)に示すようにその投影の元となるカメラパラメータα,β,u0,v0,あるいは、式(5)、式(6)に示すようにカメラ外部パラメータRx,Ry,Tx,Tyの関数と考える。
【0013】
【数2】
【0014】
以降では主に式(4)の関数形について述べるが、式(5)や式(6)の関数形の場合も本発明の基本原理を応用することができる(実施例2,3にて詳細を記述する)。
【0015】
図1に世界座標系とカメラの関係を図示する。この図では世界座標系をXwYwZwとし、カメラ視点の位置を(Tx,Ty,Tz)とし、その視点を原点としたカメラ座標系XYZを設ける。カメラで観測した画像において、空間中の3次元点(Xj,Yj,Zj)がピンホールカメラ型の透視投影により画像座標(xj,yj)へ投影されると仮定すると、その画像座標(xj,yj)と3次元点(Xj,Yj,Zj)は、カメラパラメータを介して式(7)〜式(9)の関係にある。
【0016】
【数3】
【0017】
本発明で扱うカメラパラメータは、内部パラメータとして焦点距離α、アスペクト比β/α、画像中心(u0,v0)、外部パラメータとしてXYZ軸周りの回転角Rx,Ry,Rzとカメラ視点位置(Tx,Ty,Tz)である。
【0018】
対象とする時系列画像において被写体は静止しており、カメラ内部パラメータが時間的に微小に変化すると考える。すなわち、時系列画像中の被写体を投影した画像座標(x,y)が式(4)に示すカメラ内部パラメータα,β,u0,v0の関数とすると、式(3)から式(10)に展開することができ、式(11)に示すような関係に表現することができる。ここで、便宜上、式(12)に示すように置換する。
【0019】
【数4】
【0020】
したがって、静的シーンを撮影した時系列画像においてカメラ内部パラメータに時間変化がある場合、式(11)の拘束式が成立する。もちろん、カメラ内部パラメータに時間変化が無い場合も式(11)が成立することは明らかである。
【0021】
本発明は、式(11)の関係に基づいた処理構成となっている。空間勾配∂I/∂x,∂I/∂yと時間勾配dI/dtは、時系列画像から取り出した時刻tの画像と時刻t+Δtの画像から求めることができる。これに対して、カメラ内部パラメータに対する画像座標上での変化量∂x/∂α,∂y/∂β,∂x/∂u0,∂y/∂v0は、カメラパラメータと3次元点から構成される式(4)の具体的な関係式が与えられれば、事前に計算することができる。
【0022】
上記課題を解決するための請求項1に記載のカメラパラメータ推定装置は、画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置固有の内部情報を推定する装置であって、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置固有の内部情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理手段と、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理手段と、前記時空間勾配処理手段により得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理手段により得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置固有の内部変数をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置固有の内部情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定手段と、を備えることを特徴としている。
【0023】
また請求項2に記載のカメラパラメータ推定装置は、画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置の姿勢情報を推定する装置であって、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置の姿勢情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理手段と、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理手段と、前記時空間勾配処理手段により得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理手段により得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置の姿勢情報をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置の姿勢情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定手段と、を備えることを特徴としている。
【0024】
また請求項3に記載のカメラパラメータ推定装置は、画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置の位置情報を推定する装置であって、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置の位置情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理手段と、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理手段と、前記時空間勾配処理手段により得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理手段により得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置の位置情報をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置の位置情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定手段と、を備えることを特徴としている。
【0025】
また請求項4に記載のカメラパラメータ推定装置は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記カメラパラメータ推定手段は、投票空間で処理するパラメータをパラメータAとパラメータBに分け、パラメータAを投票処理によって求める間はパラメータBをある値に固定しておき、パラメータBを投票処理によって求める間はパラメータAをある値に固定しておき、交互にパラメータを決定する処理を反復することにより、全てのパラメータが同時に前記拘束条件を満たすように求めることを特徴としている。
【0026】
また請求項5に記載のカメラパラメータ推定方法は、画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置固有の内部情報を推定する方法であって、勾配係数処理手段が、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置固有の内部情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理ステップと、時空間勾配処理手段が、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理ステップと、カメラパラメータ推定手段が、前記時空間勾配処理ステップにより得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理ステップにより得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置固有の内部変数をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置固有の内部情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定ステップと、を備えることを特徴としている。
【0027】
また請求項6に記載のカメラパラメータ推定方法は、画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置の姿勢情報を推定する方法であって、勾配係数処理手段が、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置の姿勢情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理ステップと、時空間勾配処理手段が、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理ステップと、カメラパラメータ推定手段が、前記時空間勾配処理ステップにより得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理ステップにより得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置の姿勢情報をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置の姿勢情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定ステップと、を備えることを特徴としている。
【0028】
また請求項7に記載のカメラパラメータ推定方法は、画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置の位置情報を推定する方法であって、勾配係数処理手段が、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置の位置情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理ステップと、時空間勾配処理手段が、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理ステップと、カメラパラメータ推定手段が、前記時空間勾配処理ステップにより得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理ステップにより得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置の姿勢情報をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置の位置情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定ステップと、を備えることを特徴としている。
【0029】
また請求項8に記載のカメラパラメータ推定方法は、請求項5ないし7のいずれか1項において、前記カメラパラメータ推定ステップは、投票空間で処理するパラメータをパラメータAとパラメータBに分け、パラメータAを投票処理によって求める間はパラメータBをある値に固定しておき、パラメータBを投票処理によって求める間はパラメータAをある値に固定しておき、交互にパラメータを決定する処理を反復することにより、全てのパラメータが同時に前記拘束条件を満たすように求めることを特徴としている。
【0030】
また請求項9に記載のカメラパラメータ推定プログラムは、コンピュータに、請求項5ないし請求項8のいずれか1項に記載の各ステップを実行させるプログラムとしたことを特徴としている。
【0031】
また請求項10に記載の記録媒体は、請求項9に記載のカメラパラメータ推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0032】
上記構成によれば、従来のカメラキャリブレーション作業のように参照物体を適宜撮影できない場合、カメラパラメータに起因する画像上での時間変化をオプティカルフローの原理を利用して、そのカメラパラメータの時間的変化量を推定することができる。
【発明の効果】
【0033】
(1)請求項1〜10に記載の発明によれば、従来のカメラキャリブレーション(非特許文献1,2)のように既知の参照物体を必要としないため、カメラキャリブレーション作業において参照物体を撮影する手間を省くことができる。また、本発明は時系列画像間の特徴点座標に依存しない方法なので、Structure From Motion原理に基づく3次元復元手法(非特許文献3)のように時系列画像での特徴点の正確な画像座標を測定する必要がなく、カメラキャリブレーション作業を簡易化することができる。さらに、従来のカメラキャリブレーション作業のように参照物体を適宜撮影できない場合において、本発明はカメラパラメータの時間的変化量を推定できる効果がある。
(2)請求項4、8に記載の発明によれば、バランスのとれたパラメータの当てはめが行われ、より洗練されたカメラパラメータを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
図3は請求項1に記載のカメラパラメータ推定の発明に関する基本構成図であり、本実施例を図3にそって説明する。本発明は、時系列画像を蓄積した時系列画像データベース1、各画像上での各画像座標点(xj,yj)における時間勾配:dI/dtと空間勾配:∂I/∂xj,∂I/∂yjを計算する時空間勾配処理手段としての時空間勾配処理部2、カメラ内部パラメータを変数とした各画像上での各画像座標点(xj,yj)の偏微分係数:∂xj/∂α,∂yj/∂βを計算する勾配係数処理手段としての勾配係数処理部3、並びに、時空間勾配処理部2からの時間勾配、空間勾配、並びに勾配係数処理部3からの各偏微分係数を使ってカメラパラメータの時間変化を検出するカメラパラメータ推定手段としてのカメラパラメータ推定部4から構成される。
【0036】
前記時空間勾配処理部2、勾配係数処理部3およびカメラパラメータ推定部4が行う各処理は例えばコンピュータが実行する。
【0037】
上記構成において、時系列画像データベース1には、ハードディスク、RAID装置、CD−ROMなどの記録媒体を利用する、または、ネットワークを介してリモートのデータ資源を利用する形態でもどちらでも構わない。さらに、図4はリアルタイムで処理する場合の処理構成図であり、本発明は必ずしも各データベース部などの記憶装置を必要としない。
【0038】
図4におい図3と異なる点は、時系列画像データベース1の代わりに画像入力部11を設けた点にあり、その他の部分は図3と同一に構成されている。
【0039】
本実施例では、空間中の3次元点を獲得するために、図1のXwYw平面上での位置(Xm,Ym)に3次元モデルを設置する。3次元モデルとは楕円体(立方体や円柱を設定しても構わない)のことであり、楕円体パラメータとしてXwYwZw軸方向の半径をそれぞれA,B,Cとすると、位置(Xm,Yn,C)を中心とした楕円体は式(13)と表現できる。
【0040】
【数5】
【0041】
A,B,Cは適当な大きさを設定しておく。この楕円体上の標本点を適当にサンプリングしてQ個の3次元点を(Xj,Yj,Zj),j=1,2,…,Qを抽出する。これらの3次元点はカメラパラメータを通して、カメラで取得した画像上へ投影される。図1のカメラは時間的に変化する前の状態では事前の校正作業が行われているものとし、初期状態でのカメラパラメータとして、内部パラメータ:焦点距離α、アスペクト比β/α、画像中心(u0,v0)、外部パラメータ:並進(Tx,Ty,Tz)、回転角Rx,Ry,Rzを保持しておく。初期状態で保有しているカメラパラメータと標本化によって3次元点が与えられれば、画像上への投影は式(7)、式(8)に従って計算することができ、投影されたQ個の画像座標(xj,yj),j=1,2,…,Qが得られる。
【0042】
この各画像座標点(xj,yj)に対する偏微分係数:∂xj/∂α,∂yj/∂β(∂xj/∂uo,∂yj/∂voは画像座標に依存せず定数値になるため省略する)はカメラ外部パラメータと用意した3次元点によって決定される物理量であり時系列画像とは独立に計算することができる。したがって、図2の各時系列画像を処理する前に、予め図3の勾配係数処理部3においてこれらの偏微分係数を計算しておき勾配係数データとして格納しておく。
【0043】
次に、勾配係数処理部3の動作を図5の処理フローを使って説明する。勾配係数データは、例えば、図6のような形式のテーブルで保持する。このテーブルの第1列目に3次元モデル上の3次元点が投影された点の画像座標(xj,yj)が並べられ、その画像座標に対する偏微分係数の値が第2列目から第3列目の欄に並ぶ形式になっている。図5の処理フローでは、計算によって得た偏微分係数値がこのテーブルに逐次書き込まれる。
【0044】
テーブル生成の前に図6の第2列目から第3列目の欄を0にセットする(ステップS1;テーブルの初期化)。3次元モデルは各位置で同じ形状であり、中心位置(Xm,Yn,C)がインデックスmとnに沿って変更されるだけである。インデックスm,nと位置(Xm,Yn,C)の関係は式(14)、式(15)であり、インデックスm,nは、図1のXwYw平面においてWx×Wyのエリアを撮影領域の対象とした場合、そのエリアをXw軸,Yw軸にそれぞれM,Nに等分割(処理の便宜上、M,Nは奇数とする)したときの空間位置を示す目盛り(指標)である。
【0045】
【数6】
【0046】
処理を開始したとき、m=1、n=1にセットし、3次元モデルの中心位置(Xm,Yn,C)が設定される(ステップS2)。次に、位置(Xm,Yn,C)を中心とした3次元楕円体を用意し(ステップS3)、その楕円体上のQ個の3次元点を標本化して3次元データを得る(ステップS4)。
【0047】
この3次元点(Xj,Yj,Zj)を初期状態でのカメラの内部・外部パラメータを使って式(7)、(8)に従い透視投影での画像座標(xj,yj)を得る(ステップS5、S6)。図5の投影座標とは計算で得た画像座標(xj,yj)であり、この座標値が640×480画素(本実施例ではこの画像サイズを例にする)の内部、すなわち、xj>=1かつxj<=640かつyj>=1かつyj<=480のときにだけ、偏微分係数を求める(ステップS7)。もし、画像外、すなわち、xj<1またはxj>640またはyj<1またはyj>480のときは偏微分係数を求めない。偏微分係数∂xj/∂α,∂yj/∂βは、それぞれ式(16)、式(17)から計算する。(なお、画像中心(u0,v0)に対する偏微分係数∂xj/∂uoと∂yj/∂voは式(18)、式(19)となり定数であるため図6のテーブルに記録しない)。
【0048】
【数7】
【0049】
これらの偏微分係数を図6のテーブルの第2列目から第3列目の該当欄に書き込む(ステップS8)。一連の更新が終わると(ステップS9)、インデックスm→m+1あるいはn→n+1と増分して(ステップS2)、同様の処理(ステップS3〜S9)を行いテーブルを作成する。この処理フローは全ての位置(Xm,Yn,C)に対して行うため、3次元モデルを設置した位置(MN箇所)に応じた数のテーブルを生成する。なお、図6のテーブルの列方向に用意した全ての画像座標の偏微分係数が更新されるわけではなく、標本点から透視投影計算によって得た投影座標が画像内部と判断された点に対してのみ偏微分係数を計算する。また、3次元点を設定しても画像内に投影されない点は更新されず値0のままである。
【0050】
図3に戻り、時空間勾配処理部2において、時系列画像を逐次的に取り出し、各画像上での時間勾配:dI(x,y)/dtと、空間勾配:∂I(x,y)/∂x,∂I(x,y)/∂yを求める。ここでは、必要に応じて各画像座標(xj,yj)に対して時間勾配と空間勾配を求めるか、あるいは画像全体に対して求め、後のカメラパラメータ推定部の処理において各画像座標(xj,yj)に該当するところだけを取り出して使うかどちらの手段をとってもよい(以降では、便宜上、時間勾配をdI(x,y)/dt、空間勾配を∂I(x,y)/∂x,∂I(x,y)/∂yと表記する)。
【0051】
時間勾配は、図2に示すように対象とする時刻tの画像と時刻t+Δtの画像を取り出し、それらの画像間で差分画像ΔI(x,y)=I(x,y,t+Δt)−I(x,y,t)を求める。次に、差分画像ΔI(x,y)の各画素(x,y)に対して図7に示す3×3のマスクを使ってフィルタ処理を行う(各画素での平均化処理に相当する)。この処理によって得た値をΔtで除算して各画像座標での時間勾配dI(x,y)/dtを得る。一方、空間勾配は、図2に示すように各時刻tでの画像上での各画素に対して、図8または図9に示す3×3のマスクを使ってフィルタ処理を行う。x方向の空間勾配には図8(a)のマスク、y方向の空間勾配には図8(b)のマスクをそれぞれ使う(図9でもx方向、y方向の空間勾配には(a),(b)のマスクをそれぞれ使う)。このフィルタ処理により、図2に示す時刻tの画像における各画像座標(x,y)での空間勾配:∂I(x,y)/∂x,∂I(x,y)/∂yを得る。このように、時空間勾配処理部2では、各時系列画像から画像処理によって時空間勾配を得る。
【0052】
次に時空間勾配処理部2の動作を図10の処理フローを使って説明する。図10のステップS11a〜S11fは各画像座標での時間勾配を得る処理を示し、ステップS12a〜S12fは各画像座標での空間勾配を得る処理を示している。
【0053】
まず処理対象が有ると判断された(ステップS10)場合、ステップS11aにおいて、図2の時刻t+Δtの画像を取出し、時刻tの画像との間で差分画像ΔIを求める(ステップS11b)。次に前記画像中の各画素を指定し(ステップS11c)、図7の3×3マスクを使ってフィルタ処理し(ステップS11d)、それによって得た値をΔtで除算して時間勾配dI(x,y)/dtを求める(ステップS11e)。これらステップS11c〜S11eの処理は差分画像の各画素に対して行う(ステップS11f)。
【0054】
また空間勾配を得る処理は、ステップS12aにおいて、図2の時刻tの画像I(t)を取出す。次に前記画像中の各画素を指定し(ステップS12c)、図8、図9の3×3マスクを使ってフィルタ処理し(ステップS12d)、各画像座標(x,y)での空間勾配∂I(x,y)/∂x,∂I(x,y)/∂yを求める(ステップS12e)。これらステップS12c〜S12eの処理は各画素に対して行う(ステップS12f)。
【0055】
続いて、図3のカメラパラメータ推定部4では、インデックスm,nの順に従いXwYw平面位置(Xm,Yn)での3次元モデル上の点が投影された画像座標(xj,yj)に対して、その画像座標での時間勾配値dI(xj,yj)/dt、空間勾配値∂I(xj,yj)/∂xj,∂I(xj,yj)/∂yj,並びに、勾配係数データとして保持したテーブルからその画像座標に該当する勾配係数データ:∂xj/∂α,∂yj/∂βをそれぞれ取り出す。以上のデータとカメラ内部パラメータに関する時間変化量は、式(11)に示す拘束条件を満たさなければならない。
【0056】
【数8】
【0057】
【数9】
【0058】
【数10】
【0059】
【数11】
【0060】
【数12】
【0061】
【数13】
【0062】
【数14】
【0063】
【数15】
【0064】
次に上記のように構成された実施例1全体の動作を図16の処理フローとともに説明する。図16において、ステップS50〜S52は時空間勾配処理部2の処理を示し、ステップS53〜S57は勾配係数処理部3の処理を示し、ステップS58〜S61はカメラパラメータ推定部4の処理を示している。
【0065】
まずステップS50では、図2に示す時刻tの画像および時刻t+Δtの画像を取出し、それらの間の差分画像を求める(図10のステップS11a,S11b,S12a)。
【0066】
次にステップS51において、図10のステップS11c〜S11fで述べた時間勾配を求める処理を行い、ステップS52において、図10のステップS12c〜S12fで述べた空間勾配を求める処理を行う。
【0067】
勾配係数処理部3では、まずステップS53において、図1の3次元モデルの中心位置を設定し、その位置を中心とした3次元楕円体を用意し、その楕円体上のQ個の3次元点を標本化して3次元データを得る(図5のステップS2〜S4)。
【0068】
次にステップS54,S55において、前記3次元点をカメラの内部・外部パラメータを用いてカメラの撮像系へ透視投影し、該透視投影での画像座標を求める(図5のステップS5,S6)。
【0069】
次にステップS56,S57において、前記透視投影での画像座標に対する偏微分係数を求め、それをテーブルに書き込んで図6の勾配係数テーブルを生成する(図5のステップS7,S8)。
【0070】
次にカメラパラメータ推定部4では、前述した図11、図12の処理が行われる。まずステップS58において、図12のステップS40〜S42で述べたように、投票空間上の各格子点(α,β)の値を式(20)の左辺に代入して拘束値を求める。
【0071】
次にステップS59において、前記拘束値が許容値以下であれば投票空間上のその格子点へ投票を行って図15に示す得票マップを生成する(図12のステップS43,S44)。
【0072】
次にステップS60,S61において、前記生成した得票マップの極大点を検出し(図12のステップS45)、その箇所を前記式(21)の拘束条件を満たす(α,β)として決定し、最適パラメータとする(図12のステップS46)。
【0073】
さらにパラメータ(u0,v0)についても前記と同様の手順に従って最適パラメータが算出される。
【0074】
(実施例2)
請求項2に記載のカメラパラメータ推定の発明に関する基本構成図は図3、図4と同じであり、本実施例は図1で図示したX軸とY軸周りの回転に関する時間変化量を推定する。
【0075】
対象とする時系列画像において被写体は静止しており、図1で図示したX軸周りの回転RxとY軸周りの回転Ry(カメラ姿勢パラメータ)が時間的に微小に変化すると仮定する。すなわち、時系列画像中の被写体を投影した画像座標(x,y)が式(5)に示すカメラ姿勢パラメータRx,Ryの関数とすると、式(3)から式(29)に展開することができ、式(30)に示すような関係に表現することができる。ここで、便宜上、式(31)で置換する。
【0076】
【数16】
【0077】
本実施例2は、前記実施例1で記載したカメラパラメータα,βの時間変化を扱う場合において、カメラ姿勢パラメータRx,Ryと置き換えたものであり、処理の大まかなフローは同じである。以降では、その差分を中心に説明する。
【0078】
図3の勾配係数処理部3の処理フロー(図5)では、偏微分係数の計算に式(32)〜式(35)を用いる(変数の置換をしているので、式(36)〜式(44)も関連する)。
【0079】
【数17】
【0080】
【数18】
【0081】
これに伴い、図6のテーブルは第2列から第5列の欄が用意され、各投影座標に該当する箇所に計算した偏微分係数の値が書き込まれる。
【0082】
【数19】
【0083】
【数20】
【0084】
次に上記のように構成された実施例2全体の動作を図17の処理フローとともに説明する。図17において、ステップS70〜S72は時空間勾配処理部2の処理を示し、ステップS73〜S77は勾配係数処理部3の処理を示し、ステップS78〜S81はカメラパラメータ推定部4の処理を示している。
【0085】
まずステップS70では、図2に示す時刻tの画像および時刻t+Δtの画像を取出し、それらの間の差分画像を求める(図10のステップS11a,S11b,S12a)。
【0086】
次にステップS71において、図10のステップS11c〜S11fで述べた時間勾配を求める処理を行い、ステップS72において、図10のステップS12c〜S12fで述べた空間勾配を求める処理を行う。
【0087】
勾配係数処理部3では、まずステップS73において、図1の3次元モデルの中心位置を設定し、その位置を中心とした3次元楕円体を用意し、その楕円体上のQ個の3次元点を標本化して3次元データを得る(図5のステップS2〜S4)。
【0088】
次にステップS74,S75において、前記3次元点をカメラの内部・外部パラメータを用いてカメラの撮像系へ透視投影し、該透視投影での画像座標を求める(図5のステップS5,S6)。
【0089】
次にステップS76,S77において、前記透視投影での画像座標に対する偏微分係数を式(32)〜式(35)により求め、それをテーブルに書き込んで図6の勾配係数テーブルを生成する(図5のステップS7,S8)。
【0090】
次にカメラパラメータ推定部4では、前述した図11、図12の処理が行われる。まずステップS78において、図12のステップS40〜S42で述べたように、投票空間上の各格子点(Rx,Ry)の値を式(45)、(46)の左辺に代入して拘束値を求める。
【0091】
次にステップS79において、前記拘束値が許容値以下であれば投票空間上のその格子点(姿勢パラメータマップ)へ投票を行って図15に示す得票マップを生成する(図12のステップS43,S44)。
【0092】
次にステップS80,S81において、前記生成した得票マップの極大点を検出し(図12のステップS45)、その箇所を前記式(47)の拘束条件を満たす(Rx,Ry)として決定し、最適パラメータとする(図12のステップS46)。
【0093】
(実施例3)
請求項3に記載のカメラパラメータ推定の発明に関する基本構成図は図3、図4と同じであり、本実施例は図1で図示したXw軸とYw軸方向に関する並進の時間変化量を推定する。
【0094】
対象とする時系列画像において被写体は静止しており、図1で図示したXw軸方向の並進TxとYw軸方向の並進Ty(カメラ位置パラメータ)が時間的に微小に変化すると仮定する。すなわち、時系列画像中の被写体を投影した画像座標(x,y)が式(6)に示すカメラ位置パラメータTx,Tyの関数とすると、式(3)から式(50)に展開することができ、式(51)に示すような関係に表現することができる。
【0095】
【数21】
【0096】
本実施例3は、前記実施例2で記載したカメラ位置パラメータRx,Ryの時間変化を扱う場合において、カメラ位置パラメータTx,Tyと置き換えたものであり、処理の大まかなフローは同じである。以降では、その差分を中心に説明する。
【0097】
図3の勾配係数処理部3の処理フロー(図5)では、偏微分係数の計算に式(53)〜式(56)を用いる。
【0098】
【数22】
【0099】
これに伴い、図6のテーブルは第2列から第5列の欄が用意され、各投影座標に該当する箇所に計算した偏微分係数の値が書き込まれる。
【0100】
【数23】
【0101】
【数24】
【0102】
次に上記のように構成された実施例3全体の動作を図18の処理フローとともに説明する。図18において、ステップS90〜S92は時空間勾配処理部2の処理を示し、ステップS93〜S97は勾配係数処理部3の処理を示し、ステップS98〜S101はカメラパラメータ推定部4の処理を示している。
【0103】
まずステップS90では、図2に示す時刻tの画像および時刻t+Δtの画像を取出し、それらの間の差分画像を求める(図10のステップS11a,S11b,S12a)。
【0104】
次にステップS91において、図10のステップS11c〜S11fで述べた時間勾配を求める処理を行い、ステップS92において、図10のステップS12c〜S12fで述べた空間勾配を求める処理を行う。
【0105】
勾配係数処理部3では、まずステップS93において、図1の3次元モデルの中心位置を設定し、その位置を中心とした3次元楕円体を用意し、その楕円体上のQ個の3次元点を標本化して3次元データを得る(図5のステップS2〜S4)。
【0106】
次にステップS94,S95において、前記3次元点をカメラの内部・外部パラメータを用いてカメラの撮像系へ透視投影し、該透視投影での画像座標を求める(図5のステップS5,S6)。
【0107】
次にステップS96,S97において、前記透視投影での画像座標に対する偏微分係数を式(53)〜式(56)により求め、それをテーブルに書き込んで図6の勾配係数テーブルを生成する(図5のステップS7,S8)。
【0108】
次にカメラパラメータ推定部4では、前述した図11、図12の処理が行われる。まずステップS98において、図12のステップS40〜S42で述べたように、投票空間上の各格子点(Tx,Ty)の値を式(57)の左辺に代入して拘束値を求める。
【0109】
次にステップS99において、前記拘束値が許容値以下であれば投票空間上のその格子点(位置パラメータマップ)へ投票を行って図15に示す得票マップを生成する(図12のステップS43,S44)。
【0110】
次にステップS100,S101において、前記生成した得票マップの極大点を検出し(図12のステップS45)、その箇所を前記式(58)の拘束条件を満たす(Tx,Ty)として決定し、最適パラメータとする(図12のステップS46)。
【0111】
また、本実施形態のカメラパラメータ推定装置における各手段の一部もしくは全部の機能をコンピュータのプログラムで構成し、そのプログラムをコンピュータを用いて実行して本発明を実現することができること、本実施形態のカメラパラメータ推定方法における手順をコンピュータのプログラムで構成し、そのプログラムをコンピュータに実行させることができることは言うまでもなく、コンピュータでその機能を実現するためのプログラムを、そのコンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えばFD(Floppy(登録商標) Disk)や、MO(Magneto−Optical disk)、ROM(Read Only Memory)、メモリカード、CD(Compact Disk)−ROM、DVD(Digital Versatile Disk)−ROM、CD−R,、CD−RW,HDD,リムーバブルディスクなどに記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記のプログラムをインターネットや電子メールなど、ネットワークを通して提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施形態例における空間中の点と固定カメラの位置関係を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態例における時間勾配と空間勾配の例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施例1の画像蓄積型の基本構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例1のリアルタイム処理型の基本構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例1における勾配係数処理部でのテーブル生成の処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態例における勾配係数処理部でのテーブルの例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態例において、時間勾配を求めるときに用いる3×3マスクの例を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態例において、空間勾配を求めるときに用いる3×3マスクの一例を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態例において、空間勾配を求めるときに用いる3×3マスクの他の例を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態例における時空間勾配処理部の処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態例における、パラメータを算出する処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態例において、カメラパラメータを投票処理により求める処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態例において、用意する投票空間の例を示す説明図である。
【図14】本発明の実施形態例において、投票空間上での投票処理の例を示す説明図である。
【図15】本発明の実施形態例における投票空間での処理結果の例を示す説明図である。
【図16】本発明の実施例1の全体の処理を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施例2の全体の処理を示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施例3の全体の処理を示すフローチャートである。
【図19】従来の2次元物体を使ったカメラ校正作業の例を示す説明図である。
【図20】従来の1次元物体を使ったカメラ校正作業の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0113】
1…時系列画像データベース、2…時空間勾配処理部、3…勾配係数処理部、4…カメラパラメータ推定部、11…画像入力部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラなどの固定カメラで撮影した静的シーンの時系列画像に利用可能で、その時系列においてカメラ固有の内部情報またはカメラの姿勢またはカメラの位置(視点)が微小に変化したとき、そのパラメータの時間的変化量を推定する、カメラパラメータ推定装置、カメラパラメータ推定方法、カメラパラメータ推定プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ内部の固有情報として焦点距離や画像中心などの内部パラメータ、並びに、カメラ配置時の姿勢や位置情報という外部パラメータを得るにはカメラキャリブレーション(カメラ校正)が行われる。従来の方法では、校正したいカメラに対して図19のようにパターンなどの模様を描いた参照物体を撮影し、その参照物体に関する情報とカメラで観測した画像上での投影情報から、カメラ内部、外部パラメータ(両者を合わせてカメラパラメータと呼ぶ)を推定する(非特許文献1参照)。元々カメラ校正には時間と作業コストがかかるため、より簡単な参照物体を使った例もある。例として、図20のように長さの既知な1次元物体を使い、点Aを固定したまま撮影しその画像からカメラを校正する方法も公開されている(非特許文献2参照)。
【0003】
一方、コンピュータビジョンではStructure From Motionと呼ばれている基本原理があり、静止した被写体に対してカメラが相対的に運動することにより被写体の3次元形状とカメラの運動を復元する方法がある(運動する被写体に対してカメラが静止していても原理は同じ)。セルフキャリブレーション(あるいはオートキャリブレーションとも呼ばれる)はこの原理に基づく一つであり、上記のような既知の参照物体を必要とせず、静的な映像シーンから観測した特徴点からカメラパラメータを推定することができる。他にも、非特許文献3に記載の方法によりカメラ運動と各剛体の3次元形状とその速度を同時に復元することができるため、この方法をカメラ校正に応用することも考えられる。
【0004】
また、非特許文献4にはオプティカルフローについての記載がある。
【非特許文献1】Z.Zhang,“A flexible new technique for camera calibration”,IEEE Trans.on Pattern Analysis and Machine Intelligence,Vol.22,No.11,pp.1330−1334,2000.
【非特許文献2】Z.Zhang,“Camera calibration with one−dimensional objects”,IEEE Trans.on Pattern Analysis and Machine Intelligence,Vol.26,No.7,pp.892−899,2004.
【非特許文献3】M.Han & T.Kanade,“Multiple Motion Scene Reconstruction with Uncalibrated Cameras,”IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence,Vol.25,No.7,pp.884−894,2003.
【非特許文献4】Horn,“ロボットビジョン”,朝倉書店,pp.305−312,1993.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のカメラキャリブレーション法(非特許文献1,2)では参照物体を使ったものが多く、図19では平面パターンの2次元座標を既知としており、図20では1次元物体の長さLと点Aから点Cまでの距離と点Bから点Cまでの距離の比が既知であることが前提である。カメラ校正作業は前処理の作業として行われることが多いが、仮にカメラ撮影中にカメラパラメータが変化した場合でも、その時点で、適宜、参照物体を設置することができる状況では、参照物体を使ったカメラ校正手段をとることができる。ところが、運用中の監視カメラや固定カメラでは、常時、参照物体を設置することができるとは限らない。このような場合、稼動中に何らかの原因でカメラパラメータが変化しても、参照物体を適宜使用することは現実的ではないという問題がある。これに対して、セルフキャリブレーションによれば、既知の参照物体を必要とせず、静的な映像シーンから観測した特徴点からカメラを校正することができるが、カメラ校正に十分な特徴点を時系列画像において追跡しその画像座標を測定する必要があり、測定誤差が多少混入するだけでカメラ校正の精度が劣化するという問題がある。
【0006】
また、非特許文献3などのStructure From Motion原理に基づく3次元復元手法は、特徴点として明確な特徴点を時系列画像において高精度に追跡しなければならないため、セルフキャリブレーションと同様に、特徴点の観測精度によってカメラ校正の精度が左右される。そのような明確な特徴点を時系列画像全体で追跡できない場合には、非特許文献3の方法を応用することができない。
【0007】
本発明は上記課題を解決するものであり、その目的は、一旦カメラ校正作業等によりカメラパラメータが得られている状況で、その後に、何らかの原因でカメラパラメータが微小に変化したとき、そのカメラパラメータの時間変化量を推定することができるカメラパラメータ推定装置、カメラパラメータ推定方法、カメラパラメータ推定プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明におけるカメラで撮影するシーンは静的(照明変動が小さく、被写体はすべて静止している状態)であり、変化する前の状態ではカメラパラメータが既知であること(初期状態ではカメラキャリブレーションが行われていること)を前提とする。
【0009】
本発明では、カメラパラメータの微小変化に起因する時系列画像中の変化を捉えるために、オプティカルフロー(非特許文献4参照)と同様の原理を利用する。この手法を簡単に説明しておく。時刻tでの画像座標(x,y)での濃淡値をI(x,y,t)とすると、時刻t+Δtでの画像はI(x,y,t+Δt)と表現される。ここで、時間間隔Δtの濃淡変化に対して、式(1)に示すように時刻tでの画像の濃淡値が、時刻t+Δtでの画像上でのxy座標を(x+Δx,y+Δy)と平行移動したとき近似的に同じ濃淡値になると仮定する。式(1)右辺をTaylor展開して第一次項まで求めると式(2)が得られ、Δtが十分に小さいと仮定すると式(3)にまとめることができる。
【0010】
【数1】
【0011】
式(3)はオプティカルフロー(非特許文献4に記載の手法)として知られている拘束条件であり、時刻tの画像と時刻t+Δtでの画像の間において時間勾配:dI/dtと画像座標に対する空間勾配:∂I/∂x,∂I/∂yが得られれば、画像座標上での時間的変化量(dx/dt,dy/dt)が得られる。
【0012】
本発明の基本原理では、画像座標(x,y)は時間tの関数とするだけでなく、式(4)に示すようにその投影の元となるカメラパラメータα,β,u0,v0,あるいは、式(5)、式(6)に示すようにカメラ外部パラメータRx,Ry,Tx,Tyの関数と考える。
【0013】
【数2】
【0014】
以降では主に式(4)の関数形について述べるが、式(5)や式(6)の関数形の場合も本発明の基本原理を応用することができる(実施例2,3にて詳細を記述する)。
【0015】
図1に世界座標系とカメラの関係を図示する。この図では世界座標系をXwYwZwとし、カメラ視点の位置を(Tx,Ty,Tz)とし、その視点を原点としたカメラ座標系XYZを設ける。カメラで観測した画像において、空間中の3次元点(Xj,Yj,Zj)がピンホールカメラ型の透視投影により画像座標(xj,yj)へ投影されると仮定すると、その画像座標(xj,yj)と3次元点(Xj,Yj,Zj)は、カメラパラメータを介して式(7)〜式(9)の関係にある。
【0016】
【数3】
【0017】
本発明で扱うカメラパラメータは、内部パラメータとして焦点距離α、アスペクト比β/α、画像中心(u0,v0)、外部パラメータとしてXYZ軸周りの回転角Rx,Ry,Rzとカメラ視点位置(Tx,Ty,Tz)である。
【0018】
対象とする時系列画像において被写体は静止しており、カメラ内部パラメータが時間的に微小に変化すると考える。すなわち、時系列画像中の被写体を投影した画像座標(x,y)が式(4)に示すカメラ内部パラメータα,β,u0,v0の関数とすると、式(3)から式(10)に展開することができ、式(11)に示すような関係に表現することができる。ここで、便宜上、式(12)に示すように置換する。
【0019】
【数4】
【0020】
したがって、静的シーンを撮影した時系列画像においてカメラ内部パラメータに時間変化がある場合、式(11)の拘束式が成立する。もちろん、カメラ内部パラメータに時間変化が無い場合も式(11)が成立することは明らかである。
【0021】
本発明は、式(11)の関係に基づいた処理構成となっている。空間勾配∂I/∂x,∂I/∂yと時間勾配dI/dtは、時系列画像から取り出した時刻tの画像と時刻t+Δtの画像から求めることができる。これに対して、カメラ内部パラメータに対する画像座標上での変化量∂x/∂α,∂y/∂β,∂x/∂u0,∂y/∂v0は、カメラパラメータと3次元点から構成される式(4)の具体的な関係式が与えられれば、事前に計算することができる。
【0022】
上記課題を解決するための請求項1に記載のカメラパラメータ推定装置は、画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置固有の内部情報を推定する装置であって、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置固有の内部情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理手段と、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理手段と、前記時空間勾配処理手段により得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理手段により得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置固有の内部変数をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置固有の内部情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定手段と、を備えることを特徴としている。
【0023】
また請求項2に記載のカメラパラメータ推定装置は、画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置の姿勢情報を推定する装置であって、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置の姿勢情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理手段と、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理手段と、前記時空間勾配処理手段により得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理手段により得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置の姿勢情報をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置の姿勢情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定手段と、を備えることを特徴としている。
【0024】
また請求項3に記載のカメラパラメータ推定装置は、画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置の位置情報を推定する装置であって、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置の位置情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理手段と、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理手段と、前記時空間勾配処理手段により得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理手段により得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置の位置情報をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置の位置情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定手段と、を備えることを特徴としている。
【0025】
また請求項4に記載のカメラパラメータ推定装置は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記カメラパラメータ推定手段は、投票空間で処理するパラメータをパラメータAとパラメータBに分け、パラメータAを投票処理によって求める間はパラメータBをある値に固定しておき、パラメータBを投票処理によって求める間はパラメータAをある値に固定しておき、交互にパラメータを決定する処理を反復することにより、全てのパラメータが同時に前記拘束条件を満たすように求めることを特徴としている。
【0026】
また請求項5に記載のカメラパラメータ推定方法は、画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置固有の内部情報を推定する方法であって、勾配係数処理手段が、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置固有の内部情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理ステップと、時空間勾配処理手段が、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理ステップと、カメラパラメータ推定手段が、前記時空間勾配処理ステップにより得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理ステップにより得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置固有の内部変数をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置固有の内部情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定ステップと、を備えることを特徴としている。
【0027】
また請求項6に記載のカメラパラメータ推定方法は、画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置の姿勢情報を推定する方法であって、勾配係数処理手段が、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置の姿勢情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理ステップと、時空間勾配処理手段が、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理ステップと、カメラパラメータ推定手段が、前記時空間勾配処理ステップにより得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理ステップにより得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置の姿勢情報をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置の姿勢情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定ステップと、を備えることを特徴としている。
【0028】
また請求項7に記載のカメラパラメータ推定方法は、画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置の位置情報を推定する方法であって、勾配係数処理手段が、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置の位置情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理ステップと、時空間勾配処理手段が、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理ステップと、カメラパラメータ推定手段が、前記時空間勾配処理ステップにより得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理ステップにより得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置の姿勢情報をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置の位置情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定ステップと、を備えることを特徴としている。
【0029】
また請求項8に記載のカメラパラメータ推定方法は、請求項5ないし7のいずれか1項において、前記カメラパラメータ推定ステップは、投票空間で処理するパラメータをパラメータAとパラメータBに分け、パラメータAを投票処理によって求める間はパラメータBをある値に固定しておき、パラメータBを投票処理によって求める間はパラメータAをある値に固定しておき、交互にパラメータを決定する処理を反復することにより、全てのパラメータが同時に前記拘束条件を満たすように求めることを特徴としている。
【0030】
また請求項9に記載のカメラパラメータ推定プログラムは、コンピュータに、請求項5ないし請求項8のいずれか1項に記載の各ステップを実行させるプログラムとしたことを特徴としている。
【0031】
また請求項10に記載の記録媒体は、請求項9に記載のカメラパラメータ推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0032】
上記構成によれば、従来のカメラキャリブレーション作業のように参照物体を適宜撮影できない場合、カメラパラメータに起因する画像上での時間変化をオプティカルフローの原理を利用して、そのカメラパラメータの時間的変化量を推定することができる。
【発明の効果】
【0033】
(1)請求項1〜10に記載の発明によれば、従来のカメラキャリブレーション(非特許文献1,2)のように既知の参照物体を必要としないため、カメラキャリブレーション作業において参照物体を撮影する手間を省くことができる。また、本発明は時系列画像間の特徴点座標に依存しない方法なので、Structure From Motion原理に基づく3次元復元手法(非特許文献3)のように時系列画像での特徴点の正確な画像座標を測定する必要がなく、カメラキャリブレーション作業を簡易化することができる。さらに、従来のカメラキャリブレーション作業のように参照物体を適宜撮影できない場合において、本発明はカメラパラメータの時間的変化量を推定できる効果がある。
(2)請求項4、8に記載の発明によれば、バランスのとれたパラメータの当てはめが行われ、より洗練されたカメラパラメータを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
図3は請求項1に記載のカメラパラメータ推定の発明に関する基本構成図であり、本実施例を図3にそって説明する。本発明は、時系列画像を蓄積した時系列画像データベース1、各画像上での各画像座標点(xj,yj)における時間勾配:dI/dtと空間勾配:∂I/∂xj,∂I/∂yjを計算する時空間勾配処理手段としての時空間勾配処理部2、カメラ内部パラメータを変数とした各画像上での各画像座標点(xj,yj)の偏微分係数:∂xj/∂α,∂yj/∂βを計算する勾配係数処理手段としての勾配係数処理部3、並びに、時空間勾配処理部2からの時間勾配、空間勾配、並びに勾配係数処理部3からの各偏微分係数を使ってカメラパラメータの時間変化を検出するカメラパラメータ推定手段としてのカメラパラメータ推定部4から構成される。
【0036】
前記時空間勾配処理部2、勾配係数処理部3およびカメラパラメータ推定部4が行う各処理は例えばコンピュータが実行する。
【0037】
上記構成において、時系列画像データベース1には、ハードディスク、RAID装置、CD−ROMなどの記録媒体を利用する、または、ネットワークを介してリモートのデータ資源を利用する形態でもどちらでも構わない。さらに、図4はリアルタイムで処理する場合の処理構成図であり、本発明は必ずしも各データベース部などの記憶装置を必要としない。
【0038】
図4におい図3と異なる点は、時系列画像データベース1の代わりに画像入力部11を設けた点にあり、その他の部分は図3と同一に構成されている。
【0039】
本実施例では、空間中の3次元点を獲得するために、図1のXwYw平面上での位置(Xm,Ym)に3次元モデルを設置する。3次元モデルとは楕円体(立方体や円柱を設定しても構わない)のことであり、楕円体パラメータとしてXwYwZw軸方向の半径をそれぞれA,B,Cとすると、位置(Xm,Yn,C)を中心とした楕円体は式(13)と表現できる。
【0040】
【数5】
【0041】
A,B,Cは適当な大きさを設定しておく。この楕円体上の標本点を適当にサンプリングしてQ個の3次元点を(Xj,Yj,Zj),j=1,2,…,Qを抽出する。これらの3次元点はカメラパラメータを通して、カメラで取得した画像上へ投影される。図1のカメラは時間的に変化する前の状態では事前の校正作業が行われているものとし、初期状態でのカメラパラメータとして、内部パラメータ:焦点距離α、アスペクト比β/α、画像中心(u0,v0)、外部パラメータ:並進(Tx,Ty,Tz)、回転角Rx,Ry,Rzを保持しておく。初期状態で保有しているカメラパラメータと標本化によって3次元点が与えられれば、画像上への投影は式(7)、式(8)に従って計算することができ、投影されたQ個の画像座標(xj,yj),j=1,2,…,Qが得られる。
【0042】
この各画像座標点(xj,yj)に対する偏微分係数:∂xj/∂α,∂yj/∂β(∂xj/∂uo,∂yj/∂voは画像座標に依存せず定数値になるため省略する)はカメラ外部パラメータと用意した3次元点によって決定される物理量であり時系列画像とは独立に計算することができる。したがって、図2の各時系列画像を処理する前に、予め図3の勾配係数処理部3においてこれらの偏微分係数を計算しておき勾配係数データとして格納しておく。
【0043】
次に、勾配係数処理部3の動作を図5の処理フローを使って説明する。勾配係数データは、例えば、図6のような形式のテーブルで保持する。このテーブルの第1列目に3次元モデル上の3次元点が投影された点の画像座標(xj,yj)が並べられ、その画像座標に対する偏微分係数の値が第2列目から第3列目の欄に並ぶ形式になっている。図5の処理フローでは、計算によって得た偏微分係数値がこのテーブルに逐次書き込まれる。
【0044】
テーブル生成の前に図6の第2列目から第3列目の欄を0にセットする(ステップS1;テーブルの初期化)。3次元モデルは各位置で同じ形状であり、中心位置(Xm,Yn,C)がインデックスmとnに沿って変更されるだけである。インデックスm,nと位置(Xm,Yn,C)の関係は式(14)、式(15)であり、インデックスm,nは、図1のXwYw平面においてWx×Wyのエリアを撮影領域の対象とした場合、そのエリアをXw軸,Yw軸にそれぞれM,Nに等分割(処理の便宜上、M,Nは奇数とする)したときの空間位置を示す目盛り(指標)である。
【0045】
【数6】
【0046】
処理を開始したとき、m=1、n=1にセットし、3次元モデルの中心位置(Xm,Yn,C)が設定される(ステップS2)。次に、位置(Xm,Yn,C)を中心とした3次元楕円体を用意し(ステップS3)、その楕円体上のQ個の3次元点を標本化して3次元データを得る(ステップS4)。
【0047】
この3次元点(Xj,Yj,Zj)を初期状態でのカメラの内部・外部パラメータを使って式(7)、(8)に従い透視投影での画像座標(xj,yj)を得る(ステップS5、S6)。図5の投影座標とは計算で得た画像座標(xj,yj)であり、この座標値が640×480画素(本実施例ではこの画像サイズを例にする)の内部、すなわち、xj>=1かつxj<=640かつyj>=1かつyj<=480のときにだけ、偏微分係数を求める(ステップS7)。もし、画像外、すなわち、xj<1またはxj>640またはyj<1またはyj>480のときは偏微分係数を求めない。偏微分係数∂xj/∂α,∂yj/∂βは、それぞれ式(16)、式(17)から計算する。(なお、画像中心(u0,v0)に対する偏微分係数∂xj/∂uoと∂yj/∂voは式(18)、式(19)となり定数であるため図6のテーブルに記録しない)。
【0048】
【数7】
【0049】
これらの偏微分係数を図6のテーブルの第2列目から第3列目の該当欄に書き込む(ステップS8)。一連の更新が終わると(ステップS9)、インデックスm→m+1あるいはn→n+1と増分して(ステップS2)、同様の処理(ステップS3〜S9)を行いテーブルを作成する。この処理フローは全ての位置(Xm,Yn,C)に対して行うため、3次元モデルを設置した位置(MN箇所)に応じた数のテーブルを生成する。なお、図6のテーブルの列方向に用意した全ての画像座標の偏微分係数が更新されるわけではなく、標本点から透視投影計算によって得た投影座標が画像内部と判断された点に対してのみ偏微分係数を計算する。また、3次元点を設定しても画像内に投影されない点は更新されず値0のままである。
【0050】
図3に戻り、時空間勾配処理部2において、時系列画像を逐次的に取り出し、各画像上での時間勾配:dI(x,y)/dtと、空間勾配:∂I(x,y)/∂x,∂I(x,y)/∂yを求める。ここでは、必要に応じて各画像座標(xj,yj)に対して時間勾配と空間勾配を求めるか、あるいは画像全体に対して求め、後のカメラパラメータ推定部の処理において各画像座標(xj,yj)に該当するところだけを取り出して使うかどちらの手段をとってもよい(以降では、便宜上、時間勾配をdI(x,y)/dt、空間勾配を∂I(x,y)/∂x,∂I(x,y)/∂yと表記する)。
【0051】
時間勾配は、図2に示すように対象とする時刻tの画像と時刻t+Δtの画像を取り出し、それらの画像間で差分画像ΔI(x,y)=I(x,y,t+Δt)−I(x,y,t)を求める。次に、差分画像ΔI(x,y)の各画素(x,y)に対して図7に示す3×3のマスクを使ってフィルタ処理を行う(各画素での平均化処理に相当する)。この処理によって得た値をΔtで除算して各画像座標での時間勾配dI(x,y)/dtを得る。一方、空間勾配は、図2に示すように各時刻tでの画像上での各画素に対して、図8または図9に示す3×3のマスクを使ってフィルタ処理を行う。x方向の空間勾配には図8(a)のマスク、y方向の空間勾配には図8(b)のマスクをそれぞれ使う(図9でもx方向、y方向の空間勾配には(a),(b)のマスクをそれぞれ使う)。このフィルタ処理により、図2に示す時刻tの画像における各画像座標(x,y)での空間勾配:∂I(x,y)/∂x,∂I(x,y)/∂yを得る。このように、時空間勾配処理部2では、各時系列画像から画像処理によって時空間勾配を得る。
【0052】
次に時空間勾配処理部2の動作を図10の処理フローを使って説明する。図10のステップS11a〜S11fは各画像座標での時間勾配を得る処理を示し、ステップS12a〜S12fは各画像座標での空間勾配を得る処理を示している。
【0053】
まず処理対象が有ると判断された(ステップS10)場合、ステップS11aにおいて、図2の時刻t+Δtの画像を取出し、時刻tの画像との間で差分画像ΔIを求める(ステップS11b)。次に前記画像中の各画素を指定し(ステップS11c)、図7の3×3マスクを使ってフィルタ処理し(ステップS11d)、それによって得た値をΔtで除算して時間勾配dI(x,y)/dtを求める(ステップS11e)。これらステップS11c〜S11eの処理は差分画像の各画素に対して行う(ステップS11f)。
【0054】
また空間勾配を得る処理は、ステップS12aにおいて、図2の時刻tの画像I(t)を取出す。次に前記画像中の各画素を指定し(ステップS12c)、図8、図9の3×3マスクを使ってフィルタ処理し(ステップS12d)、各画像座標(x,y)での空間勾配∂I(x,y)/∂x,∂I(x,y)/∂yを求める(ステップS12e)。これらステップS12c〜S12eの処理は各画素に対して行う(ステップS12f)。
【0055】
続いて、図3のカメラパラメータ推定部4では、インデックスm,nの順に従いXwYw平面位置(Xm,Yn)での3次元モデル上の点が投影された画像座標(xj,yj)に対して、その画像座標での時間勾配値dI(xj,yj)/dt、空間勾配値∂I(xj,yj)/∂xj,∂I(xj,yj)/∂yj,並びに、勾配係数データとして保持したテーブルからその画像座標に該当する勾配係数データ:∂xj/∂α,∂yj/∂βをそれぞれ取り出す。以上のデータとカメラ内部パラメータに関する時間変化量は、式(11)に示す拘束条件を満たさなければならない。
【0056】
【数8】
【0057】
【数9】
【0058】
【数10】
【0059】
【数11】
【0060】
【数12】
【0061】
【数13】
【0062】
【数14】
【0063】
【数15】
【0064】
次に上記のように構成された実施例1全体の動作を図16の処理フローとともに説明する。図16において、ステップS50〜S52は時空間勾配処理部2の処理を示し、ステップS53〜S57は勾配係数処理部3の処理を示し、ステップS58〜S61はカメラパラメータ推定部4の処理を示している。
【0065】
まずステップS50では、図2に示す時刻tの画像および時刻t+Δtの画像を取出し、それらの間の差分画像を求める(図10のステップS11a,S11b,S12a)。
【0066】
次にステップS51において、図10のステップS11c〜S11fで述べた時間勾配を求める処理を行い、ステップS52において、図10のステップS12c〜S12fで述べた空間勾配を求める処理を行う。
【0067】
勾配係数処理部3では、まずステップS53において、図1の3次元モデルの中心位置を設定し、その位置を中心とした3次元楕円体を用意し、その楕円体上のQ個の3次元点を標本化して3次元データを得る(図5のステップS2〜S4)。
【0068】
次にステップS54,S55において、前記3次元点をカメラの内部・外部パラメータを用いてカメラの撮像系へ透視投影し、該透視投影での画像座標を求める(図5のステップS5,S6)。
【0069】
次にステップS56,S57において、前記透視投影での画像座標に対する偏微分係数を求め、それをテーブルに書き込んで図6の勾配係数テーブルを生成する(図5のステップS7,S8)。
【0070】
次にカメラパラメータ推定部4では、前述した図11、図12の処理が行われる。まずステップS58において、図12のステップS40〜S42で述べたように、投票空間上の各格子点(α,β)の値を式(20)の左辺に代入して拘束値を求める。
【0071】
次にステップS59において、前記拘束値が許容値以下であれば投票空間上のその格子点へ投票を行って図15に示す得票マップを生成する(図12のステップS43,S44)。
【0072】
次にステップS60,S61において、前記生成した得票マップの極大点を検出し(図12のステップS45)、その箇所を前記式(21)の拘束条件を満たす(α,β)として決定し、最適パラメータとする(図12のステップS46)。
【0073】
さらにパラメータ(u0,v0)についても前記と同様の手順に従って最適パラメータが算出される。
【0074】
(実施例2)
請求項2に記載のカメラパラメータ推定の発明に関する基本構成図は図3、図4と同じであり、本実施例は図1で図示したX軸とY軸周りの回転に関する時間変化量を推定する。
【0075】
対象とする時系列画像において被写体は静止しており、図1で図示したX軸周りの回転RxとY軸周りの回転Ry(カメラ姿勢パラメータ)が時間的に微小に変化すると仮定する。すなわち、時系列画像中の被写体を投影した画像座標(x,y)が式(5)に示すカメラ姿勢パラメータRx,Ryの関数とすると、式(3)から式(29)に展開することができ、式(30)に示すような関係に表現することができる。ここで、便宜上、式(31)で置換する。
【0076】
【数16】
【0077】
本実施例2は、前記実施例1で記載したカメラパラメータα,βの時間変化を扱う場合において、カメラ姿勢パラメータRx,Ryと置き換えたものであり、処理の大まかなフローは同じである。以降では、その差分を中心に説明する。
【0078】
図3の勾配係数処理部3の処理フロー(図5)では、偏微分係数の計算に式(32)〜式(35)を用いる(変数の置換をしているので、式(36)〜式(44)も関連する)。
【0079】
【数17】
【0080】
【数18】
【0081】
これに伴い、図6のテーブルは第2列から第5列の欄が用意され、各投影座標に該当する箇所に計算した偏微分係数の値が書き込まれる。
【0082】
【数19】
【0083】
【数20】
【0084】
次に上記のように構成された実施例2全体の動作を図17の処理フローとともに説明する。図17において、ステップS70〜S72は時空間勾配処理部2の処理を示し、ステップS73〜S77は勾配係数処理部3の処理を示し、ステップS78〜S81はカメラパラメータ推定部4の処理を示している。
【0085】
まずステップS70では、図2に示す時刻tの画像および時刻t+Δtの画像を取出し、それらの間の差分画像を求める(図10のステップS11a,S11b,S12a)。
【0086】
次にステップS71において、図10のステップS11c〜S11fで述べた時間勾配を求める処理を行い、ステップS72において、図10のステップS12c〜S12fで述べた空間勾配を求める処理を行う。
【0087】
勾配係数処理部3では、まずステップS73において、図1の3次元モデルの中心位置を設定し、その位置を中心とした3次元楕円体を用意し、その楕円体上のQ個の3次元点を標本化して3次元データを得る(図5のステップS2〜S4)。
【0088】
次にステップS74,S75において、前記3次元点をカメラの内部・外部パラメータを用いてカメラの撮像系へ透視投影し、該透視投影での画像座標を求める(図5のステップS5,S6)。
【0089】
次にステップS76,S77において、前記透視投影での画像座標に対する偏微分係数を式(32)〜式(35)により求め、それをテーブルに書き込んで図6の勾配係数テーブルを生成する(図5のステップS7,S8)。
【0090】
次にカメラパラメータ推定部4では、前述した図11、図12の処理が行われる。まずステップS78において、図12のステップS40〜S42で述べたように、投票空間上の各格子点(Rx,Ry)の値を式(45)、(46)の左辺に代入して拘束値を求める。
【0091】
次にステップS79において、前記拘束値が許容値以下であれば投票空間上のその格子点(姿勢パラメータマップ)へ投票を行って図15に示す得票マップを生成する(図12のステップS43,S44)。
【0092】
次にステップS80,S81において、前記生成した得票マップの極大点を検出し(図12のステップS45)、その箇所を前記式(47)の拘束条件を満たす(Rx,Ry)として決定し、最適パラメータとする(図12のステップS46)。
【0093】
(実施例3)
請求項3に記載のカメラパラメータ推定の発明に関する基本構成図は図3、図4と同じであり、本実施例は図1で図示したXw軸とYw軸方向に関する並進の時間変化量を推定する。
【0094】
対象とする時系列画像において被写体は静止しており、図1で図示したXw軸方向の並進TxとYw軸方向の並進Ty(カメラ位置パラメータ)が時間的に微小に変化すると仮定する。すなわち、時系列画像中の被写体を投影した画像座標(x,y)が式(6)に示すカメラ位置パラメータTx,Tyの関数とすると、式(3)から式(50)に展開することができ、式(51)に示すような関係に表現することができる。
【0095】
【数21】
【0096】
本実施例3は、前記実施例2で記載したカメラ位置パラメータRx,Ryの時間変化を扱う場合において、カメラ位置パラメータTx,Tyと置き換えたものであり、処理の大まかなフローは同じである。以降では、その差分を中心に説明する。
【0097】
図3の勾配係数処理部3の処理フロー(図5)では、偏微分係数の計算に式(53)〜式(56)を用いる。
【0098】
【数22】
【0099】
これに伴い、図6のテーブルは第2列から第5列の欄が用意され、各投影座標に該当する箇所に計算した偏微分係数の値が書き込まれる。
【0100】
【数23】
【0101】
【数24】
【0102】
次に上記のように構成された実施例3全体の動作を図18の処理フローとともに説明する。図18において、ステップS90〜S92は時空間勾配処理部2の処理を示し、ステップS93〜S97は勾配係数処理部3の処理を示し、ステップS98〜S101はカメラパラメータ推定部4の処理を示している。
【0103】
まずステップS90では、図2に示す時刻tの画像および時刻t+Δtの画像を取出し、それらの間の差分画像を求める(図10のステップS11a,S11b,S12a)。
【0104】
次にステップS91において、図10のステップS11c〜S11fで述べた時間勾配を求める処理を行い、ステップS92において、図10のステップS12c〜S12fで述べた空間勾配を求める処理を行う。
【0105】
勾配係数処理部3では、まずステップS93において、図1の3次元モデルの中心位置を設定し、その位置を中心とした3次元楕円体を用意し、その楕円体上のQ個の3次元点を標本化して3次元データを得る(図5のステップS2〜S4)。
【0106】
次にステップS94,S95において、前記3次元点をカメラの内部・外部パラメータを用いてカメラの撮像系へ透視投影し、該透視投影での画像座標を求める(図5のステップS5,S6)。
【0107】
次にステップS96,S97において、前記透視投影での画像座標に対する偏微分係数を式(53)〜式(56)により求め、それをテーブルに書き込んで図6の勾配係数テーブルを生成する(図5のステップS7,S8)。
【0108】
次にカメラパラメータ推定部4では、前述した図11、図12の処理が行われる。まずステップS98において、図12のステップS40〜S42で述べたように、投票空間上の各格子点(Tx,Ty)の値を式(57)の左辺に代入して拘束値を求める。
【0109】
次にステップS99において、前記拘束値が許容値以下であれば投票空間上のその格子点(位置パラメータマップ)へ投票を行って図15に示す得票マップを生成する(図12のステップS43,S44)。
【0110】
次にステップS100,S101において、前記生成した得票マップの極大点を検出し(図12のステップS45)、その箇所を前記式(58)の拘束条件を満たす(Tx,Ty)として決定し、最適パラメータとする(図12のステップS46)。
【0111】
また、本実施形態のカメラパラメータ推定装置における各手段の一部もしくは全部の機能をコンピュータのプログラムで構成し、そのプログラムをコンピュータを用いて実行して本発明を実現することができること、本実施形態のカメラパラメータ推定方法における手順をコンピュータのプログラムで構成し、そのプログラムをコンピュータに実行させることができることは言うまでもなく、コンピュータでその機能を実現するためのプログラムを、そのコンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えばFD(Floppy(登録商標) Disk)や、MO(Magneto−Optical disk)、ROM(Read Only Memory)、メモリカード、CD(Compact Disk)−ROM、DVD(Digital Versatile Disk)−ROM、CD−R,、CD−RW,HDD,リムーバブルディスクなどに記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記のプログラムをインターネットや電子メールなど、ネットワークを通して提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施形態例における空間中の点と固定カメラの位置関係を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態例における時間勾配と空間勾配の例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施例1の画像蓄積型の基本構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例1のリアルタイム処理型の基本構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例1における勾配係数処理部でのテーブル生成の処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態例における勾配係数処理部でのテーブルの例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態例において、時間勾配を求めるときに用いる3×3マスクの例を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態例において、空間勾配を求めるときに用いる3×3マスクの一例を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態例において、空間勾配を求めるときに用いる3×3マスクの他の例を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態例における時空間勾配処理部の処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態例における、パラメータを算出する処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態例において、カメラパラメータを投票処理により求める処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態例において、用意する投票空間の例を示す説明図である。
【図14】本発明の実施形態例において、投票空間上での投票処理の例を示す説明図である。
【図15】本発明の実施形態例における投票空間での処理結果の例を示す説明図である。
【図16】本発明の実施例1の全体の処理を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施例2の全体の処理を示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施例3の全体の処理を示すフローチャートである。
【図19】従来の2次元物体を使ったカメラ校正作業の例を示す説明図である。
【図20】従来の1次元物体を使ったカメラ校正作業の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0113】
1…時系列画像データベース、2…時空間勾配処理部、3…勾配係数処理部、4…カメラパラメータ推定部、11…画像入力部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置固有の内部情報を推定する装置であって、
空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置固有の内部情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理手段と、
時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理手段と、
前記時空間勾配処理手段により得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理手段により得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置固有の内部変数をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置固有の内部情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定手段と、
を備えることを特徴とするカメラパラメータ推定装置。
【請求項2】
画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置の姿勢情報を推定する装置であって、
空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置の姿勢情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理手段と、
時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理手段と、
前記時空間勾配処理手段により得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理手段により得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置の姿勢情報をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置の姿勢情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定手段と、
を備えることを特徴とするカメラパラメータ推定装置。
【請求項3】
画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置の位置情報を推定する装置であって、
空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置の位置情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理手段と、
時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理手段と、
前記時空間勾配処理手段により得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理手段により得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置の位置情報をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置の位置情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定手段と、
を備えることを特徴とするカメラパラメータ推定装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記カメラパラメータ推定手段は、
投票空間で処理するパラメータをパラメータAとパラメータBに分け、パラメータAを投票処理によって求める間はパラメータBをある値に固定しておき、パラメータBを投票処理によって求める間はパラメータAをある値に固定しておき、交互にパラメータを決定する処理を反復することにより、全てのパラメータが同時に前記拘束条件を満たすように求める
ことを特徴とするカメラパラメータ推定装置。
【請求項5】
画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置固有の内部情報を推定する方法であって、
勾配係数処理手段が、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置固有の内部情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理ステップと、
時空間勾配処理手段が、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理ステップと、
カメラパラメータ推定手段が、前記時空間勾配処理ステップにより得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理ステップにより得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置固有の内部変数をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置固有の内部情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定ステップと、
を備えることを特徴とするカメラパラメータ推定方法。
【請求項6】
画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置の姿勢情報を推定する方法であって、
勾配係数処理手段が、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置の姿勢情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理ステップと、
時空間勾配処理手段が、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理ステップと、
カメラパラメータ推定手段が、前記時空間勾配処理ステップにより得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理ステップにより得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置の姿勢情報をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置の姿勢情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定ステップと、
を備えることを特徴とするカメラパラメータ推定方法。
【請求項7】
画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置の位置情報を推定する方法であって、
勾配係数処理手段が、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置の位置情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理ステップと、
時空間勾配処理手段が、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理ステップと、
カメラパラメータ推定手段が、前記時空間勾配処理ステップにより得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理ステップにより得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置の姿勢情報をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置の位置情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定ステップと、
を備えることを特徴とするカメラパラメータ推定方法。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれか1項において、前記カメラパラメータ推定ステップは、
投票空間で処理するパラメータをパラメータAとパラメータBに分け、パラメータAを投票処理によって求める間はパラメータBをある値に固定しておき、パラメータBを投票処理によって求める間はパラメータAをある値に固定しておき、交互にパラメータを決定する処理を反復することにより、全てのパラメータが同時に前記拘束条件を満たすように求める
ことを特徴とするカメラパラメータ推定方法。
【請求項9】
コンピュータに、請求項5ないし請求項8のいずれか1項に記載の各ステップを実行させるプログラムとしたことを特徴とするカメラパラメータ推定プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のカメラパラメータ推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置固有の内部情報を推定する装置であって、
空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置固有の内部情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理手段と、
時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理手段と、
前記時空間勾配処理手段により得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理手段により得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置固有の内部変数をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置固有の内部情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定手段と、
を備えることを特徴とするカメラパラメータ推定装置。
【請求項2】
画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置の姿勢情報を推定する装置であって、
空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置の姿勢情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理手段と、
時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理手段と、
前記時空間勾配処理手段により得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理手段により得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置の姿勢情報をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置の姿勢情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定手段と、
を備えることを特徴とするカメラパラメータ推定装置。
【請求項3】
画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置の位置情報を推定する装置であって、
空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置の位置情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理手段と、
時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理手段と、
前記時空間勾配処理手段により得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理手段により得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置の位置情報をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置の位置情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定手段と、
を備えることを特徴とするカメラパラメータ推定装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記カメラパラメータ推定手段は、
投票空間で処理するパラメータをパラメータAとパラメータBに分け、パラメータAを投票処理によって求める間はパラメータBをある値に固定しておき、パラメータBを投票処理によって求める間はパラメータAをある値に固定しておき、交互にパラメータを決定する処理を反復することにより、全てのパラメータが同時に前記拘束条件を満たすように求める
ことを特徴とするカメラパラメータ推定装置。
【請求項5】
画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置固有の内部情報を推定する方法であって、
勾配係数処理手段が、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置固有の内部情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理ステップと、
時空間勾配処理手段が、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理ステップと、
カメラパラメータ推定手段が、前記時空間勾配処理ステップにより得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理ステップにより得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置固有の内部変数をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置固有の内部情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定ステップと、
を備えることを特徴とするカメラパラメータ推定方法。
【請求項6】
画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置の姿勢情報を推定する方法であって、
勾配係数処理手段が、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置の姿勢情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理ステップと、
時空間勾配処理手段が、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理ステップと、
カメラパラメータ推定手段が、前記時空間勾配処理ステップにより得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理ステップにより得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置の姿勢情報をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置の姿勢情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定ステップと、
を備えることを特徴とするカメラパラメータ推定方法。
【請求項7】
画像入力装置を使って取得した映像において、ある時刻tでの画像から時刻t+Δtでの画像までの時間変化における画像入力装置の位置情報を推定する方法であって、
勾配係数処理手段が、空間中のある位置Xに用意した被写体上の3次元点を前記画像入力装置で取得した画像中に投影したときの、当該画像入力装置の位置情報に対する画像座標上での変化量を得る勾配係数処理ステップと、
時空間勾配処理手段が、時系列中のある時刻tでの画像上における水平方向と垂直方向の濃淡変化を反映した空間勾配と、時間間隔Δtとして時刻tの画像と時刻t+Δtの画像との間の時間的濃淡変化を反映した時間勾配を得る時空間勾配処理ステップと、
カメラパラメータ推定手段が、前記時空間勾配処理ステップにより得られた空間勾配と時間勾配、並びに、前記勾配係数処理ステップにより得られた画像座標上での変化量が満たす時間間隔Δtの間の拘束条件を使って、画像入力装置の姿勢情報をパラメータとした投票空間において、あるパラメータがその拘束条件を満たす場合に該投票空間中のそのパラメータが示す場所に投票を行い、全ての投票処理の後に、投票空間においてその得票値が極大となるパラメータを画像入力装置の位置情報の時間的変化量と決定するカメラパラメータ推定ステップと、
を備えることを特徴とするカメラパラメータ推定方法。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれか1項において、前記カメラパラメータ推定ステップは、
投票空間で処理するパラメータをパラメータAとパラメータBに分け、パラメータAを投票処理によって求める間はパラメータBをある値に固定しておき、パラメータBを投票処理によって求める間はパラメータAをある値に固定しておき、交互にパラメータを決定する処理を反復することにより、全てのパラメータが同時に前記拘束条件を満たすように求める
ことを特徴とするカメラパラメータ推定方法。
【請求項9】
コンピュータに、請求項5ないし請求項8のいずれか1項に記載の各ステップを実行させるプログラムとしたことを特徴とするカメラパラメータ推定プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のカメラパラメータ推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−251991(P2009−251991A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100027(P2008−100027)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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