説明

カメラモジュール検査装置及びカメラモジュール検査方法

【課題】複数の撮像素子を実装したシート基板に複数のレンズユニットを装着したカメラモジュール集合体を用いて所定の検査用チャートを撮像するカメラモジュール検査装置であって、検査のタクトを大幅に短縮できるカメラモジュール検査装置。
【解決手段】シート基板の裏面には撮像素子と電気的に接続した複数の導体パターンが設けられ、且つ、該複数の導体パターンは複数の撮像素子に各々対応した複数組の導体パターン群からなり、カメラモジュール集合体を保持し、導体パターン群が露出可能に構成され、且つ、検査用チャートの面と平行な方向に適宜移動する保持部材と、複数の導体パターンに圧接可能な複数のプローブからなり導体パターン群に対応するプローブ群が、保持部材の移動方向と直交する方向に2列に列設されていて、保持部材に対して適宜進退するプローブ部材と、を備えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像レンズ及び撮像素子を備えた複数のカメラモジュールをシート基板に配設し、該カメラモジュールにて所定の検査用チャートを撮像するカメラモジュール検査装置及びその検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、超小型のカメラモジュールが携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等の小型で薄型の携帯端末に搭載されるようになり、これにより音声による通信だけでなく画像の撮像や通信も可能になっている。
【0003】
このようなカメラモジュールの一例について図1を参照して説明する。
【0004】
撮像素子12はCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサやCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等である。そして、撮像素子12はプリント配線板13に実装されている。また、被写体像を撮像素子12に結像させる撮像レンズ11は鏡枠15により保持されている。更に、鏡枠15は接着剤Sにてプリント配線板13に接合されている。また、撮像レンズ11の被写体側には赤外カットフィルタ16及び絞り板14が配置されている。更に、プリント配線板13には撮像素子12以外に抵抗やコンデンサ等の複数の電子部品19も実装されている。
【0005】
このようなカメラモジュールについて、携帯端末に搭載する前に検査を行う。
【0006】
カメラモジュールの検査に関しては各種の発明が特許公報に開示されており、一例として、複数のカメラモジュールをシート基板に配設し、カメラモジュールにて検査用チャートを撮像する検査装置がある。そして、シート基板の裏面側に信号を入出力するプローブを配置して、プローブをシート基板のテストパッドに圧接させて撮像する。所定のカメラモジュールの撮像が終了すると、プローブは退避する。続いて、シート基板が横に移動し、隣のカメラモジュールにより撮像が行われる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−104302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1においては、複数のカメラモジュールをシート基板に配設した状態で、カメラモジュールを個々に分割することなく検査を行うので、コストを抑制しながら検査のタクトを短縮できるというものである。
【0008】
しかし、特許文献1における実施の形態には16個のカメラモジュールをシート基板に配設した例が記載されており、この場合にはプローブの圧接、撮像、プローブの退避、シート基板の移動といった動作を16回繰り返さなければならない。このため、多量のカメラモジュールの検査を行う場合に、特許文献1の技術では検査のタクトの短縮は未だ不充分である。
【0009】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、撮像レンズ及び撮像素子を備えた複数のカメラモジュールをシート基板に配設し、該カメラモジュールにて所定の検査用チャートを撮像するカメラモジュール検査装置及びその検査方法であって、従来より検査のタクトを大幅に短縮できるカメラモジュール検査装置及びその検査方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的は、下記に記載した発明により達成される。
1.複数の撮像素子を実装したシート基板に、撮像レンズを内設した複数のレンズユニットを該撮像素子に対応させて各々装着することにより、複数のカメラモジュールが配設されたカメラモジュール集合体を用いて所定の検査用チャートを撮像するカメラモジュール検査装置において、
前記シート基板の裏面には前記撮像素子と電気的に接続した複数の導体パターンが設けられ、且つ、該複数の導体パターンは複数の前記撮像素子に各々対応した複数組の導体パターン群からなり、
前記カメラモジュール集合体を保持し、前記導体パターン群が露出可能に構成され、且つ、前記検査用チャートの面と平行な方向に適宜移動する保持部材と、
複数の前記導体パターンに圧接可能な複数のプローブからなり前記導体パターン群に対応するプローブ群が、前記保持部材の移動方向と直交する方向に2列に列設されていて、前記保持部材に対して適宜進退するプローブ部材と、
を備えたことを特徴とするカメラモジュール検査装置。
2.前記プローブ群は1列に4組設けられていることを特徴とする1に記載のカメラモジュール検査装置。
3.検査用チャートは、複数本の黒色の線と白色の線とが交互に配置された縞パターン、該縞パターンの一方の側に隣接した黒色の太線からなる基準パターン、及び前記縞パターンの他方の側に隣接した白色の太線からなる基準パターンが各線の幅方向に複数組隣接して配置されていることを特徴とする1又は2に記載のカメラモジュール検査装置。
4.前記プローブ部材の中央部が前記検査用チャートの中央部と対向して配置されていることを特徴とする1〜3の何れか1項に記載のカメラモジュール検査装置。
5.前記検査用チャートを照明する照明手段を備えたことを特徴とする1〜4の何れか1項に記載のカメラモジュール検査装置。
6.前記カメラモジュールの撮影時には、前記保持部材の移動方向と直交する方向に2列に列設している前記カメラモジュールの導体パターン群が前記プローブ群と対向する位置になるように前記保持部材を移動させ、続いて、各々の前記プローブが各々の前記導体パターンに圧接するように前記プローブ部材を移動させるべく制御する制御手段を設けたことを特徴とする1〜5の何れか1項に記載のカメラモジュール検査装置。
7.前記カメラモジュールが前記検査用チャートを撮像した画像に基づいて、前記カメラモジュールの良否を判別する判別手段を備えたことを特徴とする1〜6の何れか1項に記載のカメラモジュール検査装置。
8.1〜7の何れか1項に記載のカメラモジュール検査装置を用いてカメラモジュールを検査するカメラモジュール検査方法であって、
前記カメラモジュール集合体を前記保持部材に装着する工程と、
前記保持部材の移動方向と直交する方向に2列に列設している前記カメラモジュールの導体パターン群が前記プローブ部材のプローブ群と対向する位置になるように前記保持部材を移動させる工程と、
前記カメラモジュールの導体パターン群に前記プローブ群が圧接するように前記プローブ部材を移動させる工程と、
前記2列のカメラモジュールにて前記検査用チャートを撮像する工程と、
を有することを特徴とするカメラモジュール検査方法。
9.前記検査用チャートを撮像した画像に基づいて、前記カメラモジュールの良否を判別する工程を有することを特徴とする8に記載のカメラモジュール検査方法。
10.前記2列のカメラモジュールの撮像終了後に、前記導体パターン群より前記プローブ群を退避させるべく前記プローブ部材を移動させる工程と、
前記保持部材の移動方向と直交する方向に2列に列設している新たなカメラモジュールの導体パターン群が前記プローブ部材のプローブ群と対向する位置になるように前記保持部材を移動させる工程と、
を有することを特徴とする8又は9に記載のカメラモジュール検査方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカメラモジュール検査装置及びその検査方法によれば、撮像レンズ及び撮像素子を備えた複数のカメラモジュールをシート基板に配設して成るカメラモジュール集合体の検査時に、複数のカメラモジュールにて検査用チャートを同時に撮像できるので、検査のタクトが大幅に短縮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明におけるカメラモジュール検査装置及びカメラモジュール検査方法に関する実施の形態を図を参照して説明する。
【0013】
本装置においては、「背景技術」で説明したカメラモジュールと同様であり、少なくとも撮像レンズ及び撮像素子を備えたカメラモジュールを検査するものである。検査としては解像度や撮像素子等に付着した塵埃について行う。但し、カメラモジュールを1個ずつ検査するのではなく、後述するカメラモジュール集合体の状態で検査する。
【0014】
先ず、カメラモジュール集合体について図2を参照して説明する。図2はカメラモジュール集合体の斜視図である。
【0015】
図2において、23はシート基板であり、不図示であるが図1に示したものと同様の撮像素子12や電子部品19が所定間隔で複数組実装されている。この組数は限定されるものではないが、図2のシート基板23においては長辺方向に8組、短辺方向に4組で合計32組が実装されている。なお、場合によっては電子部品19は実装されていなくてもよいが、少なくとも撮像素子12は実装されている。
【0016】
25はレンズユニットである。レンズユニット25は図1に示すカメラモジュールよりプリント配線板13、撮像素子12及び電子部品19を省いたような構成であり、少なくとも撮像レンズ11を内設している。
【0017】
このレンズユニット25を複数個(図2においては32個)設け、シート基板23に実装した撮像素子12及び電子部品19に対応させて各々装着する。具体的にはレンズユニット25をシート基板23に載置し、接着剤Sにて接合する。このようにして、シート基板23に複数のカメラモジュールが配設されたカメラモジュール集合体20となり、後述する検査が行われる。
【0018】
また、カメラモジュール集合体20における各レンズユニット25の間において、シート基板23に不図示の長孔、長溝若しくはミシン目が形成されているので、検査終了後の次工程ではシート基板23を容易に分断することができ、図1に示す如き単品のカメラモジュール1にすることができる。
【0019】
次に、カメラモジュール集合体20を検査するカメラモジュール検査装置について図3乃至図5を参照して説明する。
【0020】
図3はカメラモジュールを保持する保持台とプローブ台の斜視図、図4はカメラモジュール検査装置の模式図、図5はシート基板の導体パターンの図である。
【0021】
先ず、図3に示す如く、カメラモジュール集合体20を保持台30(保持部材)に載置し保持する。そして、カメラモジュール集合体20が保持台30より浮かないように不図示の留め具で固定する。また、カメラモジュール集合体20は保持台30上で水平方向にも所定の位置に正確に載置しなければならないので、例えば保持台30に2本以上の位置決めピンを立設し、カメラモジュール集合体20のシート基板23に設けた孔に位置決めピンを挿入するようにする。
【0022】
図4に示す如く、保持台30に固定されたカメラモジュール集合体20は、内設した撮像レンズ11が検査用チャート5と対向している。
【0023】
また、図5に示す如く、カメラモジュール集合体20のシート基板23の裏面には撮像素子12や電子部品19と電気的に接続した複数の導体パターン23aが設けられ、且つ、複数の撮像素子12等に対応する複数組(本実施の形態においては32組)の導体パターン群23Aが形成されている。そして、これらの導体パターン群23Aが背面に露出するように保持台30は構成され、例えば導体パターン群23Aが露出する孔が設けられている。
【0024】
また、保持台30は不図示の駆動源より検査用チャート5の面と平行に適宜移動可能に構成されている。
【0025】
一方、図3及び図4に示す如く、保持台30の下方には複数のプローブ41が立設したプローブ台40(プローブ部材)が配置されている。各々のプローブ41はシート基板23の導体パターン23aに対応して配設されている。そして、複数のプローブ41は導体パターン群23Aと各々対応するプローブ群41Aを複数個形成している。
【0026】
また、各プローブ41の根本は樹脂製の台座42に固定され、先端が導体パターン23aに圧接する。このため、プローブ41は二重構造になっていて、内部にバネが設けられ、先端を押圧すると、台座42の中に潜り込むように構成されている。また、台座42は更に大きい台座43に固定されている。
【0027】
更に、保持台30の移動方向と直交する方向に2列のプローブ群41Aが連設されている。図3においては、各列に4群ずつのプローブ群41Aが連設されていて、合計8群のプローブ群41Aが配置されている。そして、8群のプローブ群41Aの中央部が検査用チャート5の中央部に対向している。
【0028】
また、プローブ台40は不図示の駆動源より保持台30の方向に適宜進退可能に構成されている。
【0029】
次に、カメラモジュール検査装置による検査方法を図4に基づいて説明する。
【0030】
先ず、検査すべきカメラモジュール集合体20を保持台30に固定する。そして、保持台30の移動方向と直交する方向にあって最端部の2列にあるレンズユニット25の導体パターン群23Aが保持台30の2列のプローブ群41Aに対向するように、保持台30を移動する。図3においては、保持台30の移動方向と直交する方向にあって最端部の2列にある8個のレンズユニット25の導体パターン群23Aを、保持台30で2列になっている8群のプローブ群41Aに対向させる。
【0031】
この状態でプローブ台40を保持台30の方向に移動させ、各プローブ41を2列のレンズユニット25に対応する導体パターン23aに圧接させる。
【0032】
この際に、各プローブ41が各導体パターン23aに確実に圧接するように、プローブ台40にガイド軸を立設し、保持台30に該ガイド軸に対応したガイド孔を設けることが望ましい。
【0033】
また、各プローブ41の後端部は画像形成装置7と接続し、画像形成装置7は画像判別装置8と接続している。
【0034】
この状態で、複数の照明装置6(照明手段)により検査用チャート5を可能な限り均一に照明し、複数(本実施の形態においては8個)のレンズユニット25により同時に撮像を行う。
【0035】
検査用チャート5としては、複数のカメラモジュールを同時に検査可能なチャートであればどのようなチャートであってもよい。例えば、図6乃至図8に基づいて後述する縞パターンと基準パターンとからなる解像度検査用チャートであってもよし、均一濃度の白色地からなる塵検査用チャートであってもよい。なお、特許文献1におけるフォーカス調整用のチャート(トラッキングチャート)はカメラモジュールを1個ずつしか検査できないので、本検査用チャート5として不適である。
【0036】
撮像した検査用チャート5の光像は撮像素子12によって光電変換され、画像信号として画像形成装置7に出力される。画像形成装置7においては、画像信号に所定の画像処理を施して画像信号を生成する。
【0037】
この検査用チャート5の画像信号を画像判別装置8(判別手段)にて例えば8個のカメラモジュールの良否の判別を自動的に行う。
【0038】
8個のカメラモジュールの検査が終了したならば、プローブ台40を保持台30から離れる方向に移動させ、各プローブ41を各導体パターン23aより退避させる。
【0039】
続いて、検査した8個のカメラモジュールと隣り合う新たな2列のカメラモジュールの導体パターン群23Aがプローブ群41Aと対向するように保持台30を移動する。
【0040】
この後は前述と同様に、プローブ台40を移動させて各プローブ41を各導体パターン23aに圧接させ、新たなカメラモジュールにて検査用チャート5を撮像する。
【0041】
なお、以上の如きタイミングに合わせてCPU等からなる制御手段9が保持台30やプローブ台40の移動を制御する。
【0042】
また、保持台30は2列のカメラモジュールの検査が終了する度に移動するが、全てのカメラモジュールの検査が終了したならば、一気に逆方向に移動し、初期位置に戻る。
【0043】
次に、検査用チャート5として解像度を検査するチャートを図6乃至図8に基づいて説明する。
【0044】
図6は検査用チャート5の全体図である。
【0045】
検査用チャート5には解像度を検査するための検査用パターン50が中央及び4隅に配置されている。検査用パターン50は後述する如く黒色の線と白色の線からなる。そして、撮像画面の横方向の解像度を検査するために黒白の線が縦方向に配置された検査用パターン50と、撮像画面の縦方向の解像度を検査するために黒白の線が横方向に配置された検査用パターン50とが各々配置されている。
【0046】
図7は検査用パターンの拡大図である。
【0047】
検査用パターン50には複数本の黒色の線と白色の線とが交互に配置された縞パターン51が設けられ、その隣には黒色の太線からなる基準パターン52が設けられ、その隣りに縞パターン51が設けられ、その隣にはば白色の太線からなる基準パターン53が設けられ、その隣りに縞パターン51が設けられているといった状態で続いている。言い換えれば、縞パターン51の一方の側に基準パターン52が隣接し、縞パターン51の他方の側に基準パターン53が隣接している。
【0048】
なお、縞パターン51は各々4本乃至10本の黒色の線と白色の線とが交互に配置されていることが望ましい。即ち、黒色と白色の線の本数が3本以下であると、カメラモジュールの後述する検査の精度が低下し、特に、撮像素子に対する撮像レンズの焦点調節が適正でないときには、その影響を受けやすい。一方、黒色と白色の線の本数が11本以上であると、縞パターン51が大きすぎ、照明ムラの影響が大きくなる。
【0049】
また、基準パターン52の黒色の太線の線幅及び基準パターン53の白色の太線の線幅は縞パターン51の黒色若しくは白色の線幅の2倍乃至6倍であることが望ましい。即ち、基準パターン52,53の線幅が細すぎると、撮像素子に対する撮像レンズの焦点調節が適正でないときに白線及び黒線が灰色に近くなり、判別の基準になり難い。一方、基準パターン52,53の線幅が太すぎると、検査用パターン50が大きくなり、その結果、解像度検査用チャート5も大きくなり、好ましくない。
【0050】
また、撮像素子に対する撮像レンズの位置ずれがあっても、撮像画面上の所定の位置で検査ができるように、縞パターン51は2組以上設けられていることが望ましい。
【0051】
このような検査用パターン50を有する検査用チャート5をカメラモジュールにより撮像し、画像形成装置7により画像信号を生成すると、図8に示す波形が得られる。
【0052】
図8(A)は撮像レンズの解像度が良好であり、且つ、撮像素子に対する撮像レンズの焦点調節が適正に行われているカメラモジュールを撮像した波形であり、図8(B)は撮像レンズの解像度が良好でないか、または撮像素子に対する撮像レンズの焦点調節が適正に行われていないカメラモジュールを撮像した波形である。
【0053】
図8(A)において、黒色の太線である基準パターン52の信号は最も低い階調レベルになり、白色の太線である基準パターン53の信号は最も高い階調レベルになるが、この二つの階調レベルを基準とし、このコントラスト比をC11する。この場合は、縞パターン51の黒線も充分に低い階調レベルになり、白線も充分に高い階調レベルになり、このコントラスト比をL12とする。すると、L11に対するL12の比率は充分に大きい値になる。
【0054】
一方、図8(B)において、基準パターン52と基準パターン53とのコントラスト比をC21とすると、C21はC11と大差ない。しかし、縞パターン51の黒線は高めの階調レベルになり、白線は低めの階調レベルになり、このコントラスト比をL22とする。すると、L21に対するL22の比率は小さな値になる。
【0055】
このようにして、画像判別装置8は黒色の基準パターン52の階調レベルと白色の基準パターン53の階調レベルとを基準として、縞パターン51のコントラスト比を演算し、良否の判別を行う。
【0056】
そして、検査用パターン50においては縞パターン51に基準パターン52,53が隣接しているので、一度に複数のカメラモジュールを検査する場合であっても、カメラモジュールの位置によって良否の判別に影響を受けることがない。また、撮像素子に対して撮像レンズが個々にずれていたり、検査用チャート5への照明ムラがあっても、カメラモジュールの良否の判別を正確に行うことができる。
【0057】
また、検査用チャート5として、均一濃度の白色地からなる塵検査用チャートを用いてもよい。撮像素子に塵が付着していれば撮像した画像にはその塵の像も撮像されるので、予め設定した大きさ以上であれば画像判別装置8は不良と判別することができる。
【0058】
なお、プローブ41の変形や塵埃の付着等の理由により、プローブ41が導体パターン23aに確実に圧接しないことがある。このような場合に、プローブ群41Aが2列に連設されていると、圧接状態を横方向から視認することができるので好ましい。無論、1列であっても視認できるが、2列の場合と比較して検査効率が低下するので、好ましくない。また、3列以上であると、中央の列にあるプローブ41の圧接状態を視認することができないので、好ましくない。
【0059】
更に、プローブ群41Aが2列の場合には、モジュール集合体20におけるレンズユニット25及び導体パターン群23Aを偶数列(図2,3では8列)に配置することは容易であり、このようにすることにより、一つのモジュール集合体20の検査の度に全てのプローブ群41Aが導体パターン群23Aに同回数で圧接する。従って、プローブ41が長期的に均等に摩耗・劣化するので、メインテナンス作業が容易になる。しかし、プローブ群41Aが例えば3列の場合に、同様に構成するためにはモジュール集合体20におけるレンズユニット25及び導体パターン群23Aを3の倍数の列に設定しなければならず、モジュール集合体20を製作する際の自由度が減少する。また、導体パターン23a等を3の倍数に設定できないときは、一つのモジュール集合体20の検査の度にプローブ群41Aの列によって当接する回数が異なる。即ち、プローブ群41Aの列の中で当接回数が他の列より1回少ない列ができ、長期的に摩耗・劣化の状態が異なり、メインテナンス作業が複雑になる。
【0060】
また、プローブ群41Aの1列におけるプローブ41の数と、モジュール集合体20における1列のレンズユニット25及び導体パターン群23Aの数を同数にすれば、4個に限定する必要はない。しかし、これは前述の如く検査用チャート5を同時に撮像可能な数によって定まり、検査効率を考慮すると、3個若しくは4個が好ましく、多くても5個程度となる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】カメラモジュールの断面図である。
【図2】カメラモジュール集合体の斜視図である。
【図3】カメラモジュールを保持する保持台とプローブ台の斜視図である。
【図4】カメラモジュール検査装置の模式図である。
【図5】シート基板の導体パターンの図である。
【図6】検査用チャートの全体図である。
【図7】検査用パターンの拡大図である。
【図8】検査用チャートの画像信号の図である。
【符号の説明】
【0062】
1 カメラモジュール
11 撮像レンズ
12 撮像素子
13 プリント配線板
19 電子部品
20 カメラモジュール集合体
23 シート基板
23a 導体パターン
23A 導体パターン群
25 レンズユニット
30 保持台
40 プローブ台
41 プローブ
41A プローブ群
5 検査用チャート
6 照明装置
7 画像形成装置
8 画像判別装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像素子を実装したシート基板に、撮像レンズを内設した複数のレンズユニットを該撮像素子に対応させて各々装着することにより、複数のカメラモジュールが配設されたカメラモジュール集合体を用いて所定の検査用チャートを撮像するカメラモジュール検査装置において、
前記シート基板の裏面には前記撮像素子と電気的に接続した複数の導体パターンが設けられ、且つ、該複数の導体パターンは複数の前記撮像素子に各々対応した複数組の導体パターン群からなり、
前記カメラモジュール集合体を保持し、前記導体パターン群が露出可能に構成され、且つ、前記検査用チャートの面と平行な方向に適宜移動する保持部材と、
複数の前記導体パターンに圧接可能な複数のプローブからなり前記導体パターン群に対応するプローブ群が、前記保持部材の移動方向と直交する方向に2列に列設されていて、前記保持部材に対して適宜進退するプローブ部材と、
を備えたことを特徴とするカメラモジュール検査装置。
【請求項2】
前記プローブ群は1列に4組設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール検査装置。
【請求項3】
検査用チャートは、複数本の黒色の線と白色の線とが交互に配置された縞パターン、該縞パターンの一方の側に隣接した黒色の太線からなる基準パターン、及び前記縞パターンの他方の側に隣接した白色の太線からなる基準パターンが各線の幅方向に複数組隣接して配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカメラモジュール検査装置。
【請求項4】
前記プローブ部材の中央部が前記検査用チャートの中央部と対向して配置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のカメラモジュール検査装置。
【請求項5】
前記検査用チャートを照明する照明手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のカメラモジュール検査装置。
【請求項6】
前記カメラモジュールの撮影時には、前記保持部材の移動方向と直交する方向に2列に列設している前記カメラモジュールの導体パターン群が前記プローブ群と対向する位置になるように前記保持部材を移動させ、続いて、各々の前記プローブが各々の前記導体パターンに圧接するように前記プローブ部材を移動させるべく制御する制御手段を設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のカメラモジュール検査装置。
【請求項7】
前記カメラモジュールが前記検査用チャートを撮像した画像に基づいて、前記カメラモジュールの良否を判別する判別手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のカメラモジュール検査装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載のカメラモジュール検査装置を用いてカメラモジュールを検査するカメラモジュール検査方法であって、
前記カメラモジュール集合体を前記保持部材に装着する工程と、
前記保持部材の移動方向と直交する方向に2列に列設している前記カメラモジュールの導体パターン群が前記プローブ部材のプローブ群と対向する位置になるように前記保持部材を移動させる工程と、
前記カメラモジュールの導体パターン群に前記プローブ群が圧接するように前記プローブ部材を移動させる工程と、
前記2列のカメラモジュールにて前記検査用チャートを撮像する工程と、
を有することを特徴とするカメラモジュール検査方法。
【請求項9】
前記検査用チャートを撮像した画像に基づいて、前記カメラモジュールの良否を判別する工程を有することを特徴とする請求項8に記載のカメラモジュール検査方法。
【請求項10】
前記2列のカメラモジュールの撮像終了後に、前記導体パターン群より前記プローブ群を退避させるべく前記プローブ部材を移動させる工程と、
前記保持部材の移動方向と直交する方向に2列に列設している新たなカメラモジュールの導体パターン群が前記プローブ部材のプローブ群と対向する位置になるように前記保持部材を移動させる工程と、
を有することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のカメラモジュール検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−100260(P2009−100260A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269879(P2007−269879)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】