説明

カメラ撮影用光選択照射装置

【課題】被写体への閃光照射機能と連続照明機能とを選択的に発揮し得るコンパクトなカメラ撮影用光選択照射装置を提供する。
【解決手段】カメラ撮影用光選択照射装置1は、カメラ31の鏡筒部32外周に表裏選択的にかつ着脱可能に装着される環状基体2と、環状基体2の表面側内部に配置した閃光を発光する環状発光管4と、環状基体2の裏面側内部に配置した照明光を発光する環状発光素子群7と、カメラ31のシュー部33に着脱可能に装着されると共にシュー部33の端子と接触する筐体側端子を備えた筐体部16と、筐体部16に内蔵されると共にカメラ31のシャッタ信号を取得し環状発光管4をシャッタ信号に同期させて閃光発光させるストロボ回路部と、環状発光素子群7を点灯する照明回路部と、ストロボ回路部、照明回路部に電力供給を行う電池部と、ストロボ回路部、照明回路部の動作切り替えを行うスイッチ部と、を具備する発光制御手段3と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光選択照射装置に関し、詳しくは、被写体への閃光照射、被写体の連続照明を選択的に行うカメラ撮影用光選択照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラ撮影用の補助光源として、閃光を発するリングストロボ、被写体を連続照明するリングライト等が用いられていることは周知の通りである。
【0003】
しかし、従来においては、リングストロボ又はリングライトのいずれか一方の機能しか有しないものが殆どであり、これらを同時に一体構成として組み込み、適宜使い分けるようにした補助光源は見当たらない。
【0004】
近年、リングライトの光源としてLED(発光ダイオード)が多用されるようになっているが、LEDを用いたリングライトの場合、その発光光量がストロボに使用されるキセノンランプ等に比較し少ないため、撮影条件によってはストロボを使用したくなることが多いのが実情である。
【0005】
上述したリングストロボにLEDを組み込もうとする場合、リング状の放電管の周りにLEDを配置することになるが、こうするとリングストロボの全体形状が大型化してしまう。
【0006】
また、リングストロボの内部にLEDを組み込もうとすると、リング状の放電管とLEDの配置関係とが極めて難しくなる。
【0007】
このように、従来においては、被写体への閃光(ストロボ光)照射機能と、被写体の連続照明機能とを選択的に発揮し得るようなコンパクトなカメラ撮影用光選択照射装置は存在しないのが現状である。
【0008】
特許文献1には、円環状のケース内に複数のLED素子を円形配置するとともに、電源である乾電池を搭載した構成のカメラ照明用リングライトが提案されている。
【0009】
この特許文献1の構成のリングライトの場合も、仮にリングストロボ機能を組み込もうとすると、全体形状が大型化することは避けられない。
【特許文献1】特開2003−177454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする問題点は、被写体への閃光(ストロボ光)照射機能と、被写体の連続照明機能とを選択的に発揮し得るコンパクト構成のカメラ撮影用光選択照射装置が存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のカメラ撮影用光選択照射装置は、カメラの鏡筒部外周に表裏選択的にかつ着脱可能に装着される表裏両端面を光透過仕様とした環状基体と、前記環状基体の表面側内部に配置した閃光を発光する環状発光管或いは複数の直線管と、前記環状基体の裏面側内部に配置した照明光を発光する環状発光素子群と、前記環状発光管或いは複数の直線管、環状発光素子群の発光動作を制御する発光制御手段と、を有することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、カメラの鏡筒部外周に表裏選択的に装着される環状基体に対して、その表面側内部に閃光を発光する環状発光管或いは複数の直線管を配置し、その裏面側内部に照明光を発光する環状発光素子群を配置し、環状発光管或いは複数の直線管、環状発光素子群の発光動作を制御する発光制御手段を備えたことにより、環状基体の表裏取替えにより被写体への閃光(ストロボ光)照射機能と、被写体の連続照明機能とを選択的に発揮し得るコンパクト構成のカメラ撮影用光選択照射装置を提供することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様な構成で、かつ、発光制御手段を、カメラのシュー部に着脱可能に装着されるとともにシュー部の端子と接触する筐体側端子を備えた筐体部と、筐体部に内蔵されるともに筐体側端子を経てカメラのシャッタ信号を取得し、環状発光管或いは複数の直線管をシャッタ信号に同期させて閃光状態で発光させるストロボ回路部と、筐体部に内蔵した環状発光素子群を点灯制御する照明回路部と、ストロボ回路部、照明回路部に所要の電力供給を行う電池部と、ストロボ回路部、照明回路部の動作切り替えを行うスイッチ部と、を具備する構成としたので、被写体への閃光(ストロボ光)照射機能と、被写体の連続照明機能とを、環状基体の表裏取替え及びスイッチ部の切り替えにより選択的に発揮し得るコンパクト構成のカメラ撮影用光選択照射装置を提供することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明と同様な効果を奏するとともに、環状発光管或いは複数の直線管の背面側に環状の反射鏡を内蔵し、環状発光素子群の背面側に環状の反射鏡を内蔵し、さらに、環状発光素子群の発光光量を調節する調光ボリュームを備えた構成としたので、被写体を閃光によりより明るく照明し、被写体を照明光によりより明るく照明して各々の撮影を行うことができ、かつ、被写体に対する照明光の照射光量の調節も可能なカメラ撮影用光選択照射装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、被写体への閃光(ストロボ光)照射機能と、被写体の連続照明機能とを選択的に発揮し得るコンパクト構成のカメラ撮影用光選択照射装置を提供するという目的を有するものである。
【0016】
本発明のカメラ撮影用光選択照射装置は、カメラの鏡筒部外周に表裏選択的にかつ着脱可能に装着される表裏両端面を光透過仕様とした環状基体と、前記環状基体の表面側内部に配置した閃光を発光する環状発光管或いは複数の直線管と、前記環状基体の裏面側内部に配置した照明光を発光する環状発光素子群と、前記カメラのシュー部に着脱可能に装着されるとともにシュー部の端子と接触する筐体側端子を備えた筐体部と、前記筐体部に内蔵されるともに前記筐体側端子を経てカメラのシャッタ信号を取得し、前記環状発光管或いは複数の直線管を前記シャッタ信号に同期させて閃光状態で発光させるストロボ回路部と、前記筐体部に内蔵した前記環状発光素子群を点灯制御する照明回路部と、前記ストロボ回路部、照明回路部に所要の電力供給を行う電池部と、前記ストロボ回路部、照明回路部の動作切り替えを行うスイッチ部と、を具備する発光制御手段と、を有する構成により上記目的を実現した。
【実施例】
【0017】
以下に、本発明の実施例に係るカメラ撮影用光選択照射装置1について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
本実施例に係るカメラ撮影用光選択照射装置1は、図1乃至図3に示すように、例えばデジタルカメラのようなカメラ31の鏡筒部32の外周に表裏選択的にかつ着脱可能に装着される平坦な表裏両端面を光透過仕様とした内部が空洞の環状基体2と、前記カメラ31のシュー部33に着脱可能に装着される発光制御手段3とを有している。前記シュー部33には端子34を設けている。
【0019】
また、カメラ31は、シャッタ35を具備し、このシャッタ35を操作者が押下し、被写体の撮影を行う際にシャッタ35の押下に連動してシャッタ信号を前記端子34に供給するようになっている。
【0020】
前記環状基体2は、その中心部に前記鏡筒部32に嵌合させる円形孔2aを具備し、環状基体2を前記鏡筒部32の外周に装着し、前記円形孔2aの内周に設けた係合突起2bを前記鏡筒部32の外周に設けた係合受部に係合させることで、鏡筒部32の外周にぴったりと装着し得るようになっている。
【0021】
前記環状基体2には、図3に示すように、その表面側内部に閃光を発光する環状発光管(例えば環状のキセノンランプ)4及びこの環状発光管4の背面側に位置する環状の反射鏡5を内蔵するとともに、その裏面側内部に照明光を発光する例えば白色LED(発光ダイオード)からなる多数の発光素子6を用いた環状発光素子群7と、環状発光素子群7の背面側に位置する環状の反射鏡8を内蔵している。前記環状発光素子群7の各発光素子6は、例えば環状の支持基板9により360度円形配置にかつ所定の間隔を持って配置されている。
【0022】
また、前記環状基体2は、その表面側の端面に例えば透明樹脂板からなる環状の光透過板10を、裏面側の端面に例えば透明樹脂板からなる環状の光透過板11を各々具備し、これにより、前記環状基体2の表裏両端面を光透過仕様とし、前記環状基体2の表面側から環状発光管4による閃光(ストロボ光)をその前方に向けて発光し、裏面側から環状発光素子群7による照明光をその前方に向けて照射するように構成している。
【0023】
尚、図1において12は、前記環状基体2の外周部に設けた把持用突起である。
【0024】
次に、前記発光制御手段3について図1、図4を参照して説明する。前記発光制御手段3は、前記カメラ31のシュー部33に対して装着部17が着脱可能に装着されるとともに、この装着部17に前記シュー部33の端子34と接触する筐体側端子19(図4に示す)を備えた略直方体状の筐体部16を具備している。前記筐体部16と、前記環状基体2とは、ケーブル18により接続される。
【0025】
前記筐体部16には、前記筐体側端子19を経てカメラ31のシャッタ信号を取得し、前記環状発光管4を前記シャッタ信号に同期させて閃光状態で発光させるストロボ回路部20と、前記環状発光素子群7を点灯制御する照明回路部21と、前記ストロボ回路部20、照明回路部21に所要の電力供給を行う電池部23と、前記ストロボ回路部20、照明回路部21の動作切り替えを行うスイッチ部24と、前記照明回路部21に接続され、前記環状発光素子群7の発光光量を調節する調光ボリューム25とを搭載している。
【0026】
すなわち、前記ストロボ回路部20は、前記電池部23から印加される電圧を環状発光管4の発光に必要な高圧電圧に昇圧する昇圧回路、環状発光管4の発光を制御する発光制御回路、装着部17に設けた筐体側端子19を経てカメラ31のシャッタ信号を取得するカメラ通信回路等を具備し、前記環状発光管4を前記シャッタ信号に同期させて閃光状態で発光させるように構成している。
【0027】
前記照明回路部21は、前記電池部23から印加される電圧を前記環状発光素子群7の発光に必要な電圧に昇圧する昇圧回路、調光ボリューム25の操作に応じた光量となるように前記環状発光素子群7を点灯させる点灯・調光回路等を具備している。
【0028】
次に、本実施例に係るカメラ撮影用光選択照射装置1の動作について場合を分けて説明する。
【0029】
(1)カメラ撮影用光選択照射装置1をストロボ態様で使用する場合
この場合には、前記環状基体2を、図1に示すように、表側を図示しない被写体側に向けた状態でカメラ31の鏡筒部32に装着するとともに、前記筐体部16の装着部17をカメラ31のシュー部33に装着し、筐体側端子19を前記シュー部33の端子34に接触させる。また、前記スイッチ部24をストロボ側に切り替える。
【0030】
この状態で、操作者は前記カメラ31を手で保持し、鏡筒部32を被写体に向けてシャッタ35を押下してこの被写体の撮影を行う。このとき、前記ストロボ回路部20は、カメラ通信回路により前記筐体側端子19を経てカメラ31のシャッタ信号を取得するとともに、昇圧回路、発光制御回路の動作の基に前記環状発光管4をシャッタ信号に同期させて閃光状態で発光させる。
【0031】
前記環状発光管4からの閃光は、直接及び前記反射鏡5による反射作用により被写体に対して円環状、円筒状の形態で照射され、被写体を瞬間的に明るく照明する。
これにより、操作者は、前記カメラ撮影用光選択照射装置1をストロボ態様として被写体の的確な撮影を実行することができる。
【0032】
(2)カメラ撮影用光選択照射装置1を連続照明態様で使用する場合
この場合には、前記環状基体2を、上述した場合と同様にして、裏側を図2に示すように被写体側に向けた状態でカメラ31の鏡筒部32に装着するとともに、前記筐体部16の装着部17をカメラ31のシュー部33に装着する。また、前記スイッチ部24を発光素子6側に切り替える。
【0033】
このとき、前記照明回路部21は、昇圧回路、点灯・調光回路の動作の基に前記調光ボリューム25の操作量に応じた光量となるように前記環状発光素子群7の各発光素子6を各々発光させる、
【0034】
前記環状発光素子群7からの照明光は、直接及び前記反射鏡8による反射作用により被写体に対して円環状、円筒状の形態で照射され、被写体を連続的に照明する。
【0035】
これにより、操作者は、前記カメラ撮影用光選択照射装置1を連続照明態様として例えば被写体のスローシャッタ撮影等を実行することができる。
【0036】
このようにして、本実施例によれば、一台のカメラ撮影用光選択照射装置1を用い、これをストロボ態様、連続照明態様のいずれかに選択的に使い分けて、被写体の閃光照射による撮影、連続照明光照射による撮影を個別的に行い、所望の被写体像を得ることができる。
【0037】
また、本実施例に係るカメラ撮影用光選択照射装置1は、前記環状基体2の表側、裏側の各内部に、環状発光管4、環状発光素子群7を各々内蔵したものであるから、環状基体2の外形寸法が大きくなることを抑えたコンパクトな構成で上述した作用、効果を発揮させることができる。尚、本実施例では、環状発光管の例について述べたが、直線管を複数個、環状に配してもよいことはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のカメラ撮影用光選択照射装置は、上述したデジタルカメラはもとより、スチールカメラ、ビデオカメラ、さらには、カメラを水中カメラケース内に内蔵し水中での撮影を行う水中カメラシステム等にも広範に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例に係るカメラ撮影用光選択照射装置及びカメラを示す分解斜視図である。
【図2】本実施例に係るカメラ撮影用光選択照射装置における環状基体の裏面側から見た概略斜視図である。
【図3】本実施例に係るカメラ撮影用光選択照射装置における環状基体の概略部分断面図である。
【図4】本実施例にカメラ撮影用光選択照射装置の構成を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0040】
1 カメラ撮影用光選択照射装置
2 環状基体
2a 円形孔
2b 係合突起
3 発光制御手段
4 環状発光管
5 反射鏡
6 発光素子
7 環状発光素子群
8 反射鏡
9 支持基板
10 光透過板
11 光透過板
12 把持用突起
16 筐体部
17 装着部
18 ケーブル
19 筐体側端子
20 ストロボ回路部
21 照明回路部
23 電池部
24 スイッチ部
25 調光ボリューム
31 カメラ
32 鏡筒部
33 シュー部
34 端子
35 シャッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラの鏡筒部外周に表裏選択的にかつ着脱可能に装着される表裏両端面を光透過仕様とした環状基体と、
前記環状基体の表面側内部に配置した閃光を発光する環状発光管或いは複数の直線管と、
前記環状基体の裏面側内部に配置した照明光を発光する環状発光素子群と、
前記環状発光管或いは複数の直線管、環状発光素子群の発光動作を制御する発光制御手段と、
を有することを特徴とするカメラ撮影用光選択照射装置。
【請求項2】
カメラの鏡筒部外周に表裏選択的にかつ着脱可能に装着される表裏両端面を光透過仕様とした環状基体と、
前記環状基体の表面側内部に配置した閃光を発光する環状発光管或いは複数の直線管と、
前記環状基体の裏面側内部に配置した照明光を発光する環状発光素子群と、
前記カメラのシュー部に着脱可能に装着されるとともにシュー部の端子と接触する筐体側端子を備えた筐体部と、前記筐体部に内蔵されるともに前記筐体側端子を経てカメラのシャッタ信号を取得し、前記環状発光管或いは複数の直線管を前記シャッタ信号に同期させて閃光状態で発光させるストロボ回路部と、前記筐体部に内蔵した前記環状発光素子群を点灯制御する照明回路部と、前記ストロボ回路部、照明回路部に所要の電力供給を行う電池部と、前記ストロボ回路部、照明回路部の動作切り替えを行うスイッチ部と、を具備する発光制御手段と、
を有することを特徴とするカメラ撮影用光選択照射装置。
【請求項3】
カメラの鏡筒部外周に表裏選択的にかつ着脱可能に装着される表裏両端面を光透過仕様とした環状基体と、
前記環状基体の表面側内部に配置した閃光を発光する環状発光管或いは複数の直線管と、
前記環状基体内の環状発光管或いは複数の直線管の背面側に内蔵した環状の反射鏡と、
前記環状基体の裏面側内部に配置した照明光を発光する環状発光素子群と、
前記環状基体内の環状発光素子群の背面側に内蔵した環状の反射鏡と、
前記カメラのシュー部に着脱可能に装着されるとともにシュー部の端子と接触する筐体側端子を備えた筐体部と、前記筐体部に内蔵されるともに前記筐体側端子を経てカメラのシャッタ信号を取得し、前記環状発光管或いは複数の直線管を前記シャッタ信号に同期させて閃光状態で発光させるストロボ回路部と、前記筐体部に内蔵した前記環状発光素子群を点灯制御する照明回路部と、前記ストロボ回路部、照明回路部に所要の電力供給を行う電池部と、前記ストロボ回路部、照明回路部の動作切り替えを行うスイッチ部と、前記環状発光素子群の発光光量を調節する調光ボリュームと、を具備する発光制御手段と、
を有することを特徴とするカメラ撮影用光選択照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−109665(P2009−109665A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280757(P2007−280757)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(507022606)シーアンドシー・サンパック株式会社 (71)
【Fターム(参考)】