説明

カメラ用の遮光部材作動装置、撮像レンズおよび撮影装置

【課題】ユニットのスペースを有効に活用することができ、エンジン部の高さを低くすることができ、ロータの回転初速度、回転初トルクを大きくすることができる遮光部材作動装置を提供する。
【解決手段】本発明の作動装置は、ケースに対して回転可能に支持されたータ110と、ロータの周りに隙間をもって配置された円筒状のヨーク120と、ロータ110とヨーク120との間に配置された空芯のコイル130と、ロータを位置決めする磁性板140とを備える。磁性板140は、ヨーク120に対して設けられる。遮光部材を構成するシャッタ羽根220、222と、絞り板230とが、ロータ110の回転に基づいて回転するように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ用の遮光部材作動装置、すなわち、シャッタ装置、絞り装置に関するものである。特に、本発明は、電磁力により駆動力を発生する電磁アクチュエータを含むシャッタ装置及び絞り装置に関する。また、本発明は、電磁アクチュエータにより作動する遮光部材作動装置を含む撮像レンズおよび撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図24および図25を参照すると、従来のシャッタ装置用の電磁アクチュエータ800は、永久磁石からなるロータ802と、ロータ802を回転させるコイル810と、ロータ802を弾性力で中間位置に保持する弾性ばね部材820と、ロータ802を一端位置に保持する磁性ピン830と、ロータ802の周りに磁路を形成する円筒状のヨーク840とを有している。コイル810は、ロータ802の中心軸線と交差するような位置になるように、コイルボビン812に巻かれている。ロータ802は、N極およびS極を有する円筒状の永久磁石804と、永久磁石804の中心穴に固定されたロータ軸806とを含む。作動レバー850が、ロータ軸806の一方の端部に固定される。駆動ピン852が作動レバー850に固定される。
【0003】
図24を参照すると、コイル810に電流を流すことによって、ロータ802は、角度DRTの範囲で回転することができる。コイル810に電流を流していないとき、作動レバー850は、「850A」で示す中間位置に停止する。このとき、永久磁石804のN極およびS極は、コイル810の内周部と最も近接した位置にある。一つの方向の電流をコイル810に流すことによって、ロータ802は、反時計周り方向に一定の角度だけ回転し、作動レバー850は、「850B」で示す第1作動位置に停止する。前記一つの方向と反対の方向の電流をコイル810に流すことによって、ロータ802は、時計周り方向に一定の角度だけ回転し、作動レバー850は、「850C」で示す第2作動位置に停止する。ロータ802が回転して駆動ピン852が回転することによって、駆動ピン852に連結されたシャッタ装置(図示せず)、絞り装置(図示せず)が動作するようになっている(特許文献1参照)。
【0004】
また、従来の他の構成の電磁アクチュエータ(図示せず)は、永久磁石からなるロータと、ロータの中心軸線を通る位置に巻かれてロータを回転させるコイルと、ロータに対して同一方向への回転付勢力を及ぼす第1磁性ピンおよび第2磁性ピンと、ロータの周りに磁路を形成するヨークとを有している(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−142111号公報(図1〜図3)
【特許文献2】特開2003−189583号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の電磁アクチュエータでは、マグネット部の磁束密度が最も大きい部分を有効に使うため、マグネットロータの回転軸上において、この回転軸と平行方向にコイルを巻く構造となっている。マグネットロータの回転可能な角度範囲の中心線と直交する方向において、コイルの巻き幅の中心がマグネットロータの回転軸上を通る位置となるようにコイルはマグネットロータに対して配置されている。ここで、マグネットロータと、ヨークと、コイルなどから構成され出力軸に駆動力を発生させる部分を「エンジン部」と称する。
【0007】
しかしながら、このような従来のコイルの巻き方では、マグネットロータの回転軸の上下方向に取り付けられ、或いは、マグネットロータの回転軸と一体に構成されるシャッタ羽根駆動用レバーをロータの回転軸を延長した方向の位置に配置することができなかった。このため、従来の電磁アクチュエータでは、レンズユニット内のスペースを有効に活用することができないという課題があった。また、従来の電磁アクチュエータでは、ロータの回転初速度を速くすることがむずかしく、また、ロータの回転初トルクを大きくすることが困難であるという課題があった。さらに、従来の電磁アクチュエータでは、コイルがマグネットロータの回転軸の上下方向に取り付けられているので、エンジン部の高さを低くすることが困難であるという課題があった。
【0008】
本発明の目的は、レンズユニット内のスペースを有効に活用することができ、エンジン部の高さを低くすることができるように構成した遮光部材作動装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、ロータの回転初速度を速くすることができ、ロータの回転初トルクを大きくすることが可能であるように構成した遮光部材作動装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、コイルに電流を通電していないときに、ロータを停止位置に確実に保持することができるように構成した遮光部材作動装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、部品の製造および組立が容易であるように構成した遮光部材作動装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、上記の特徴を有する遮光部材作動装置を含む撮像レンズおよび撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、カメラ用の遮光部材作動装置において、回転中心軸線を有するロータを備え、前記ロータは、前記回転中心軸線を含む磁極境界面を基準としてN極およびS極の二極に着磁されたロータ磁石を含み、前記ロータは、ケースに対して回転可能に支持される。
さらに、本発明の遮光部材作動装置は、磁性材料で形成された円筒状のヨークを備え、前記ヨークは、前記ロータの周りに隙間をもって配置される。さらに、本発明の遮光部材作動装置は、前記ロータと前記ヨークとの間に配置されたコイルと、磁性材料で形成されたロータ位置決め手段とを備える。前記ロータ位置決め手段は、前記ヨークに対して設けられる。本発明の遮光部材作動装置は、さらに、前記ロータの回転に基づいて回転するように設けられた遮光部材を備える。この構成により、レンズユニット内のスペースを有効に活用することができ、エンジン部の高さを低くすることができる。
【0010】
本発明の遮光部材作動装置においては、前記コイルは、前記ヨークの内周部に沿うように湾曲して形成されるのがよい。本発明の遮光部材作動装置においては、前記コイルは、前記ロータの回転中心軸線に平行に配置された2つの直線部分を含むのが好ましい。この構成では、前記ロータ位置決め手段は、前記コイルの2つの直線部分の間の内側であって、かつ、前記ヨークの内側の位置に配置されるのが好ましい。本発明の遮光部材作動装置においては、さらに、前記ロータの回転に基づいて前記遮光部材を回転させるための作動部材を備え、前記コイルの中心は、前記作動部材が回転する範囲の中間の位置における前記ロータの前記磁極境界平面を含む平面の上に配置されるのがよい。本発明の遮光部材作動装置においては、さらに、前記ロータの回転に基づいて前記遮光部材を回転させるための作動部材を備え、前記作動部材が回転された状態における前記ロータの磁極の磁束密度が最大である前記ロータの外周部分は、前記コイルの前記直線部分の1つに対して隙間をもって対向するように配置されるのがよい。この構成により、ロータの回転初速度を速くすることができ、ロータの回転初トルクを大きくすることができる。
【0011】
本発明の遮光部材作動装置においては、前記ロータ位置決め手段は、コの字状に形成された磁性板で構成され、前記磁性板の2つの先端部は、それぞれ前記ロータの外周部分に対して隙間をもって対向するように配置されるのが好ましい。この構成により、コイルに電流を通電していないときに、ロータを停止位置に確実に保持することができる。本発明の遮光部材作動装置においては、前記ロータ位置決め手段は、前記ヨークの円筒状の部分よりも前記ロータに近いように形成された前記ヨークの内壁部分によって構成することができる。この構成は、部品の製造および組立が容易である。前記ロータ位置決め手段は、前記ヨークの円筒状の部分の内側でコイルの内側に配置された1個又は複数の磁性ピンで構成され、前記磁性ピンの側面は、前記ロータの外周部分に対して隙間をもって対向するように配置されるように構成することができる。この構成により、コイルに電流を通電していないときに、ロータを停止位置に確実に保持することができる。
【0012】
さらに、本発明の遮光部材作動装置においては、内径が大きい第1円筒状部分と、第1円筒状部分の内径よりも内径が小さい第2円筒状部分がヨークに形成され、前記ロータ位置決め手段は、前記ヨークの第1円筒状部分よりも前記ロータに近いように形成された前記ヨークの第2円筒状部分によって構成することができる。
さらに、本発明の遮光部材作動装置においては、第1のコイルがある側において、内径が小さい第1円筒状部分が、前記ヨークに形成され、第2のコイルがある側において、内径が小さい第2円筒状部分が、前記ヨークに形成され、前記第1円筒状部分の一方の端部と、前記第2円筒状部分の一方の端部とを連結するように、前記第1円筒状部分の内径よりも内径が大きい第3円筒状部分が前記ヨークに設けられ、前記第1円筒状部分の他方の端部と、前記第2円筒状部分の他方の端部とを連結するように、前記第1円筒状部分の内径よりも内径が大きい第4円筒状部分が前記ヨークに設けられており、前記第1円筒状部分と前記第4円筒状部分との間に第1の境界内壁部分が形成され、前記第4円筒状部分と前記第2円筒状部分との間に第2の境界内壁部分が形成され、前記第3円筒状部分と前記第2円筒状部分との間に第3の境界内壁部分が形成され、前記第1円筒状部分と前記第3円筒状部分との間に第4の境界内壁部分が形成され、前記4つの境界内壁部分が、前記ロータを位置決めするための手段を構成するようにすることができる。この構成は、部品の製造および組立が容易である。
【0013】
さらに、本発明の遮光部材作動装置は、前記ロータの回転に基づいて前記遮光部材を回転させるための作動部材を備え、前記作動部材が前記遮光部材に力を加える作用部は、前記ロータの前記磁極境界平面を含む平面の上に配置されるのがよい。さらに、本発明の遮光部材作動装置は、前記ロータの回転に基づいて前記遮光部材を回転させるための作動部材を備え、前記作動部材は、前記ロータの中心軸の端部に固定されるのがよい。本発明の遮光部材作動装置において、ヨークとロータとの間に湾曲空芯コイルを配置する構成では、ロータの回転軸部を延長することができ、エンジン部とシャッタ羽根室部とを離して配置することが可能となり、レンズユニット内のスペースを有効に活用することができる。本発明の遮光部材作動装置は、さらに、前記コイルに電流を流して、前記ロータを回転させるための磁界を発生させるための駆動回路を備えるように構成することができる。この構成により、ロータの回転初速度が速く、かつ、ロータの回転初トルクが大きい遮光部材作動装置を実現することができる。
【0014】
また、本発明は、カメラ用の遮光部材作動装置において、回転中心軸線を有するロータを備え、前記ロータは、前記回転中心軸線を含む磁極境界面を基準としてN極およびS極の二極に着磁されたロータ磁石を含んでおり、前記ロータは、ケースに対して回転可能に支持される。本発明の遮光部材作動装置は、さらに、磁性材料で形成された円筒状のヨークを備え、前記ヨークは、前記ロータの周りに隙間をもって配置される。本発明の遮光部材作動装置は、さらに、前記ロータと前記ヨークとの間に配置された2つのコイルと、磁性材料で形成されたロータ位置決め手段とを備え、前記ロータ位置決め手段は、前記コイルの各々の穴の内側であって、かつ、前記ヨークの内側の位置にそれぞれ配置される。本発明の遮光部材作動装置は、さらに、前記ロータの回転に基づいて回転するように設けられた遮光部材を備える。このように2個のコイルを設ける構成では、2個のコイルが発生する磁気力を有効に使うことができ、ロータを一層高速回転させることができ、更なるシャッタスピードの高速化が可能となる。
【0015】
さらに、本発明は、光学系を含む撮像レンズにおいて、上記の遮光部材作動装置を含み、前記遮光部材は、絞りの羽根であるか、或いは、シャッタの羽根であるように構成することができる。また、本発明は、光学系を含む撮像レンズにおいて、上記の遮光部材作動装置を2つ含み、前記遮光部材作動装置のうちの一方の遮光部材は絞りの羽根であり、前記遮光部材作動装置のうちの他方の遮光部材はシャッタの羽根であるように構成することができる。この構成により、シャッタスピードの高速化が可能な撮像レンズを実現することができる。
【0016】
さらに、本発明は、光学系を含む撮像レンズを有する撮影装置において、上記の遮光部材作動装置を含み、前記遮光部材は、絞りの羽根であるか、或いは、シャッタの羽根であり、前記遮光部材作動装置のコイルに電流を流して、前記遮光部材作動装置のロータを回転させるための磁界を発生させる駆動回路を備えるように構成することができる。さらに、本発明は、光学系を含む撮像レンズを有する撮影装置において、上記の遮光部材作動装置を2つ含み、前記遮光部材作動装置のうちの一方の遮光部材は絞りの羽根であり、前記遮光部材作動装置のうちの他方の遮光部材はシャッタの羽根であり、前記2つの遮光部材作動装置のそれぞれのコイルに電流を流して、前記2つの遮光部材作動装置のそれぞれのロータを回転させるための磁界を発生させる駆動回路を備えるように構成することができる。この構成により、シャッタスピードの高速化が可能な撮像レンズ備えた撮影装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の遮光部材作動装置においては、コイルが円筒状ヨークとロータとの間に配置されており、ロータが静止した位置にあるときに、ロータの磁石の磁束密度が最も大きい箇所に対向するようにコイルの部分を配置している。したがって、コイルに通電したときに、磁気力を最も効率良く使うことができる。さらに、ロータの回転初速度を速くすることができ、また、ロータの回転初トルクを大きくすることができる。また、本発明の遮光部材作動装置においては、ロータを静止位置から回転させて、ロータの磁極境界面が、ロータの回転可能な角度範囲の中心線を過ぎると、最初にロータの磁石の磁束密度が最も大きい箇所に対向していたコイルの部分と反対側のコイルの部分が、ロータの磁石に強い磁気吸引力を働かせ、ロータの回転をさらに加速させることができる。このような構成により、本発明の遮光部材作動装置においては、ロータを高速回転させることができ、シャッタスピードの高速化が可能となる。
【0018】
さらに、本発明の遮光部材作動装置において、ヨークとロータとの間に2個のコイルを配置する構成では、2個のコイルが発生する磁気力を有効に使うことができ、ロータを一層高速回転させることができ、更なるシャッタスピードの高速化が可能となる。さらに、本発明の遮光部材作動装置においては、コイルに電流を通電していないときに、ロータを停止位置に確実に保持することができる。また、本発明の遮光部材作動装置においては、磁性部材を新たに追加することなしに、ロータを停止位置に確実に保持することができる。したがって、本発明の遮光部材作動装置は、部品の製造および組立が容易である。さらに、本発明の遮光部材作動装置において、湾曲空芯コイルを使用することによってエンジン部の高さを低くすることができる。さらに、本発明の遮光部材作動装置において、ヨークとロータとの間に湾曲空芯コイルを配置する構成では、ロータの回転軸部を延長することができ、エンジン部とシャッタ羽根室部とを離して配置することが可能となり、レンズユニット内のスペースを有効に活用することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明において、カメラ用の遮光部材作動装置は、スチルカメラ、ビデオカメラ、映画カメラ、監視カメラ、デジタルカメラ、カメラ付き電子機器(携帯電話など)等におけるシャッタを作動させる装置、および、絞りを作動させる装置を含む概念である。
【0020】
(1)第1の実施の形態:
最初に、本発明の第1の実施の形態を説明する。図1から図4を参照すると、本発明の第1の実施の形態において、本発明の遮光部材作動装置のエンジン部100は、ロータ110と、ロータ110の周りに隙間をもって配置されたヨーク120と、ロータ110とヨーク120との間に配置されたコイル130と、ヨーク120に設けられた磁性板140と、上ケース150と、下ケース154とを備える。ロータ110は、回転中心軸線110Aを有する。コイル130は、空芯コイルで構成される。ロータ110と、ヨーク120と、コイル130などは、遮光部材に回転力を発生させるためのエンジン部100を構成する。ロータ110は、円筒状に形成されたロータ磁石112と、ロータ磁石112の中心穴に固定されたロータ軸114とを有する。ロータ磁石112は、回転中心軸線110Aを含む磁極境界面112Fを基準としてN極およびS極の二極に着磁される。ロータ軸114の上端軸部は、上ケース150に対して回転可能に支持される。ロータ軸114の下端軸部は、下ケース154に対して回転可能に支持される。この構成により、レンズユニット内のスペースを有効に活用することができ、エンジン部の高さを低くすることができる。
【0021】
ヨーク120は、電磁軟鉄などの磁性材料で円筒状に形成される。ヨーク120は、上ケース150および下ケース154に対して固定される。磁性板140は、ロータ110の位置を決めるためのロータ位置決め手段を構成する。磁性板140は、電磁軟鉄などの磁性材料でコの字状に形成される。磁性板140の2つの先端部141、142がヨーク120を貫通するようにして、磁性板140はヨーク120に固定される。磁性板140の2つの先端部141、142は、それぞれロータ110の外周部分に対して隙間をもって対向するように配置される。この構成により、コイルに電流を通電していないときに、ロータを停止位置に確実に保持することができる。
【0022】
作動部材160がロータ110の下側軸部に固定される。作動部材160は、ロータ110の回転に基づいて、シャッタ、絞り等の遮光部材(図示せず:後述する)を回転させるために設けられる。作動部材160は、作動レバー162と、作動ピン164とを含む。作動部材160が遮光部材に力を加える作用部(すなわち、遮光部材の作動ピン164との接触部)は、ロータ磁石112の磁極境界平面112Fを含む平面の上に配置されるのがよい。作動部材160は、図3に示す角度DPTの範囲で作動するように構成される。作動部材160の回転可能な角度範囲は、作動レバー162と接触する度決め部154C、154Dによって定めることができる。2つの度決め部154C、154Dは下ケース154に設けられる。
【0023】
図5を参照すると、コイル130は、2つの直線部分を含むように構成される。コイル130は、コイルワイヤが巻かれて連続した上部分131と、第1側部分132と、第2側部分133と、下部分134とを含む。コイル130は、全体として四角形の形状に構成され、中心穴130Cが、前記4つの部分の中に位置する。第1側部分132と、第2側部分133は、互いに平行な直線部分として形成されるのがよい。コイル130は、ヨーク120の内周部に沿うように湾曲して形成されるのがよい。すなわち、コイル130の上部分131および下部分134は、ヨーク120の内周部の形状(曲率)と合うように円弧状に形成されるのがよい。
【0024】
図1および図2を参照すると、コイル130は、ロータ110の回転中心軸線110Aに平行に配置された2つの直線部分、すなわち第1側部分132と、第2側部分133とを含むように構成されるのがよい。或いは、コイル130は、全体として、円形、楕円形、長円形などの形状で構成することもできる。ロータ110の回転中心軸線110Aを中心として、第1側部分132の中心部と、第2側部分133の中心部とのなすコイル開角度は、100度から140度であるのが好ましい。コイル開角度は、120度であるのが特に好ましい。例えば、ロータ磁石112の外径DRは2.5mmに形成することができる。例えば、ロータ磁石112の厚さHRは4mmに形成することができる。例えば、ヨーク120の外径DYは5mmに形成することができる。例えば、ヨーク120の厚さHYは4.5mmに形成することができる。例えば、コイル130の内面の半径RCは1.5mmに形成することができる。例えば、コイル130は、60ミクロンの銅線を用いて150ターンに形成することができる。
【0025】
図4を参照すると、コイル130の中心は、ロータ110が回転する角度範囲の中間の位置にロータ110があるときの磁極境界平面112Fを含む平面の上に配置される。図4において白丸で示すN極中心112Nは、ロータ磁石112のN極の中心位置、又は、ロータ磁石112のN極の磁束密度が最も大きくなる箇所である。また、図4において黒丸で示すS極中心112Sは、ロータ磁石112のS極の中心位置、又は、ロータ磁石112のS極の磁束密度が最も大きくなる箇所である。この構成により、ロータの回転初速度を速くすることができ、ロータ110の回転の初期トルクを大きくすることができる。
【0026】
図4(a)を参照すると、作動部材160が時計周り方向に回転された状態において、ロータ磁石112の磁極のS極の磁束密度が最大であるロータ磁石112の外周部分、すなわち、S極中心112Sは、コイル130の直線部分の一方、すなわち第1側部分132に対して隙間をもって対向するように配置される。この状態において、S極中心112Sは、磁性板140の一方の先端部142に近い位置にある。したがって、ロータ磁石112のS極が磁性板140の先端部142に及ぼす磁力によって、ロータ110は、図4(a)に示す位置に保持されている。
【0027】
図4(b)を参照すると、作動部材160が反時計周り方向に回転された状態において、ロータ磁石112の磁極のN極の磁束密度が最大であるロータ磁石112の外周部分、すなわち、N極中心112Nは、コイル130の直線部分の他方、すなわち第2側部分133に対して隙間をもって対向するように配置される。この状態において、N極中心112Nは、磁性板140の他方の先端部142に近い位置にある。したがって、ロータ磁石112のN極が磁性板140の先端部141に及ぼす磁力によって、ロータ110は、図4(b)に示す位置に保持されている。
【0028】
図4(a)を参照すると、ロータ110が時計回り方向に回転して保持されている状態では、ロータ磁石112が発生する磁界は、図中に太い矢印で示すようにロータ磁石112のN極から出てS極に入る向きである。この状態において、コイル130の第1側部分132に対して、紙面の裏側から表側に向う電流を流すと(図中に黒丸で示す)、ロータ磁石112のS極の磁界からの影響により、フレミングの左手の法則にしたがって、コイル130の第1側部分132には時計回り方向の力が作用する。したがって、この時計回り方向の力の反作用により、ロータ磁石112のS極には反時計回り方向の回転力が作用する。また、コイル130の第2側部分133には、紙面の表側から裏側に向う電流が流れることになり(図中にクロスで示す)、ロータ磁石112のS極の磁界の影響と同様に、ロータ磁石112のN極の磁界からの影響により、第2側部分133には時計回り方向の力が作用する。したがって、この時計回り方向の力の反作用により、ロータ磁石112のN極には反時計回り方向の回転力が作用する。したがって、回転可能なロータ110には反時計回り方向の偶力が作用し、ロータ110は反時計回り方向に回転して、図4(b)に示す位置まで回転して、その状態に保持される。
【0029】
図4(b)を参照すると、ロータ110が反時計回り方向に回転して保持されている状態では、ロータ磁石112が発生する磁界は、図中に太い矢印で示すようにロータ磁石112のN極から出てS極に入る向きである。この状態において、コイル130の第2側部分133に対して、紙面の裏側から表側に向う電流を流すと(図中に黒丸で示す)、ロータ磁石112のN極の磁界からの影響により、フレミングの左手の法則にしたがって、コイル130の第2側部分133には反時計回り方向の力が作用する。したがって、この反時計回り方向の力の反作用により、ロータ磁石112のN極には時計回り方向の回転力が作用する。また、コイル130の第1側部分132には、紙面の表側から裏側に向う電流が流れることになり(図中にクロスで示す)、ロータ磁石112のN極の磁界の影響と同様に、ロータ磁石112のS極の磁界からの影響により、第1側部分132には反時計回り方向の力が作用する。したがって、この反時計回り方向の力の反作用により、ロータ磁石112のN極には時計回り方向の回転力が作用する。したがって、回転可能なロータ110には時計回り方向の偶力が作用し、ロータ110は時計回り方向に回転して、図4(a)に示す位置まで回転して、その状態に保持される。
【0030】
図6を参照すると、遮光部材作動装置のエンジン部100を組立てるとき、例えば、下ケース154のロータ軸受穴にロータ110の下軸部を配置する。次に、上ケース150のロータ軸受穴にロータ110の上軸部を配置して、上ケース150と下ケース154とを固定する。それによって、ロータ110は、上ケース150と下ケース154に対して回転可能に支持される。次に、コイル130を上ケース150に配置する。次に、ヨーク120を上ケース150の外周部に配置する。次に、磁性板140をヨーク120に固定する。
【0031】
図7および図12を参照すると、本発明の遮光部材作動装置200は、装置の基板を構成するシャッタ地板210と、シャッタ地板210に固定された第1のエンジン部180と、シャッタ地板210に対して回転可能に支持され、かつ、第1のエンジン部180のロータ110の回転に基づいて回転するように構成された第1シャッタ羽根220と、シャッタ地板210に対して回転可能に支持され、かつ、第1のエンジン部180のロータ110の回転に基づいて回転するように構成された第2シャッタ羽根222とを備える。
さらに、遮光部材作動装置200は、シャッタ地板210に固定された第2のエンジン部182と、シャッタ地板210に対して回転可能に支持され、かつ、第2のエンジン部182のロータ110の回転に基づいて回転するように構成された絞り板230と、シャッタ羽根と絞り板とを隔離するための隔離板240と、絞り板230を保持するためにシャッタ地板210に固定された羽根室カバー250とを備える。
【0032】
図7を参照すると、第1シャッタ羽根220、第2シャッタ羽根222は、第1のエンジン部180のロータ110の回転に基づいて回転するように設けられた第1の遮光部材(すなわち、光線遮蔽部材)を構成する。絞り板230は、第2のエンジン部182のロータ110の回転に基づいて回転するように設けられた第2の遮光部材(すなわち、透過光量調整部材)を構成する。第1シャッタ羽根220、第2シャッタ羽根222は、絞り板230とシャッタ地板210との間に配置される。或いは、第1シャッタ羽根220、第2シャッタ羽根222とシャッタ地板210との間に絞り板230を配置するように構成してもよい。第1のエンジン部180、第2のエンジン部182は、それぞれが、前述したエンジン部100と同じように構成することができる。すなわち、第1のエンジン部180、第2のエンジン部182は、それぞれが、ロータ110と、ヨーク120と、コイル130と、磁性板140と、上ケース150と、下ケース154とを備える。
【0033】
図8および図12を参照すると、円形のシャッタ開口部216がシャッタ地板210に設けられる。シャッタ開口部216は、開口部中心軸線216Aを有する。第1シャッタ羽根220は、シャッタ地板210に設けられた第1シャッタ羽根ピン211に対して回転可能なように構成される。第2シャッタ羽根222は、シャッタ地板210に設けられた第2シャッタ羽根ピン212に対して回転可能なように構成される。第1のエンジン部180のロータ110が反時計回り方向に回転した状態では、第1シャッタ羽根220と第2シャッタ羽根222とによって、シャッタ開口部216は完全に遮蔽される。なお、図8から図11において、第2の実施形態における第2のコイルと、第2の磁性板は、想像線で図示されている。
【0034】
図9を参照すると、第1のエンジン部180のロータ110が時計回り方向に回転した状態では、第1シャッタ羽根220、第2シャッタ羽根222は、シャッタ開口部216を遮蔽しないように移動されている。
【0035】
図10を参照すると、円形の絞り開口部236が絞り板230に設けられる。絞り開口部236の開口面積は、必要とされる絞りの値に対応するように設定することができる。
絞り板230は、シャッタ地板210に設けられた絞り板ピン218に対して回転可能なように構成される。第2のエンジン部182のロータ110が時計回り方向に回転した状態では、絞り板230は、シャッタ開口部216から離れた位置に移動される。
【0036】
図11を参照すると、第2のエンジン部182のロータ110が反時計回り方向に回転した状態では、絞り板230の絞り開口部236がシャッタ開口部216の中に位置するように絞り板230は移動されている。この状態において、絞り開口部236の中心は、シャッタ開口部216の中心と一致するようにするのが好ましい。
【0037】
上述した本発明の実施形態においては、第1のエンジン部180により第1シャッタ羽根220、第2シャッタ羽根222を作動させ、第2のエンジン部182により絞り板230を作動させることができるように構成した遮光部材作動装置200について図示して説明したけれども、本発明は、1つのエンジン部180だけを備えて、それにより第1シャッタ羽根220、第2シャッタ羽根222を作動させるように構成することもできるし、或いは、1つのエンジン部182だけを備えて、それにより絞り板230を作動させるように構成することもできる。
【0038】
図13を参照すると、本発明の遮光部材作動装置200を搭載した撮像レンズ250は、レンズ鏡筒部252と、前群レンズ系254と、後群レンズ系256と、マウント部258とを含む。前群レンズ系254と後群レンズ系256は、共通の光軸250Aを有する。遮光部材作動装置200は、前群レンズ系254と後群レンズ系256との間に組み込まれる。シャッタ開口部216の開口部中心軸線216Aは、光軸250Aと一致するように配置される。さらに、本発明においては、撮像レンズ250をカメラボディ(図示せず)に取り付けて、スチルカメラ、デジタルカメラなどの撮像装置を構成することができる。
【0039】
図14(a)を参照すると、本発明の遮光部材作動装置200において、第1のエンジン部180を駆動して第1シャッタ羽根220、第2シャッタ羽根222を作動させるシャッタ駆動回路270は、マイコン272と、シャッタ駆動ドライバ274とを含む。シャッタ駆動ドライバ274は、マイコン272が出力する駆動信号を入力して、出力端子1および2からシャッタ部276に設けられたコイル130に電流を流して、ロータ110を回転させるための磁界を発生させる。第2のエンジン部182を駆動して絞り板230を作動させるシャッタ駆動回路は、シャッタ駆動回路270と同様に構成することができる。
【0040】
駆動回路270は、撮像レンズ250に配置することもできる。或いは、駆動回路270は、カメラボディのカメラ制御用のICに設けることもできる。或いは、監視カメラにおいては、駆動回路270は、カメラ制御用のパーソナルコンピュータに設けることもできる。
【0041】
図15を参照すると、本発明の遮光部材作動装置200を搭載したカメラ付き電子機器300は、本体310と、前群レンズ系312と、後群レンズ系314と、絞り作動装置320と、シャッタ作動装置322と、被写体の像を入射する撮像素子330と、装置の動作を制御する制御回路332と、画像データ記憶部材334とを含む。撮像素子330は、例えば、CCDで構成することができる。画像データ記憶部材334は、例えば、RAMカードなどのメモリカードで構成される。
【0042】
絞り作動装置320は、装置の基板を構成する絞り地板と、絞り地板に固定された絞り用エンジン部と、シャッタ地板に対して回転可能に支持され、かつ、絞り用エンジン部のロータ110の回転に基づいて回転するように構成された絞り板230と、絞り板230を保持するために絞り地板に固定された絞り羽根室カバーとを備える。
【0043】
シャッタ作動装置322は、装置の基板を構成するシャッタ地板と、シャッタ地板に固定されたシャッタ用エンジン部と、シャッタ地板に対して回転可能に支持され、かつ、シャッタ用エンジン部のロータ110の回転に基づいて回転するように構成された第1シャッタ羽根220と、シャッタ地板210に対して回転可能に支持され、かつ、シャッタ用エンジン部180のロータ110の回転に基づいて回転するように構成された第2シャッタ羽根222と、第1シャッタ羽根220および第2シャッタ羽根222を保持するためにシャッタ地板に固定されたシャッタ羽根室カバーとを備える。
【0044】
前群レンズ系312と後群レンズ系314は、共通の光軸312Aを有する。絞り作動装置320は、前群レンズ系312と後群レンズ系314との間に組み込まれる。シャッタ作動装置320は、後群レンズ系314と撮像素子330との間に組み込まれる。カメラ付き電子機器は、例えば、携帯電話として構成することができる。
【0045】
シャッタ作動装置322のシャッタ開口部の中心軸線は、光軸312Aと一致するように配置される。絞り作動装置320の絞り開口部の中心軸線は、光軸312Aと一致するように配置される。撮像素子330は、前群レンズ系312と後群レンズ系314により収束された被写体の像が結像する位置に配置される。
【0046】
制御回路332は、絞り作動装置320のコイル130に電流を流して、絞り作動装置320のロータ110を回転させるための磁界を発生させるように構成される。また、制御回路332は、シャッタ作動装置322のコイル130に電流を流して、シャッタ作動装置322のロータ110を回転させるための磁界を発生させるように構成される。制御回路332の出力する動作信号に基づいて、絞り作動装置320、シャッタ作動装置322を作動させ、撮像素子330に入射した被写体の像に関するデータは画像データ記憶部材334に記憶することができる。
【0047】
(2)第2の実施の形態:
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。以下の説明は、本発明の第2の実施形態が本発明の第1の実施形態と異なる点を主に述べる。したがって、以下に記載がない個所は、前述した本発明の第1の実施形態についての説明をここに準用する。
【0048】
図16から図19を参照すると、本発明の第2の実施の形態において、本発明の遮光部材作動装置のエンジン部400は、ロータ410と、ロータの周りに隙間をもって配置されたヨーク420と、ロータ410とヨーク420との間に配置された第1コイル430および第2コイル434と、ヨーク420に設けられた第1磁性板440および第2磁性板444と、上ケース450と、下ケース454とを備える。第1コイル430および第2コイル434は、空芯コイルで構成される。ロータ410は、回転中心軸線410Aを有する。ロータ410と、ヨーク420と、第1コイル430および第2コイル434などは、遮光部材に回転力を発生させるためのエンジン部400を構成する。ロータ410は、円筒状に形成されたロータ磁石412と、ロータ磁石412の中心穴に固定されたロータ軸414とを有する。ロータ磁石412は、回転中心軸線410Aを含む磁極境界面412Fを基準としてN極およびS極の二極に着磁される。
【0049】
第1磁性板440および第2磁性板444は、ロータ410の位置を決めるためのロータ位置決め手段を構成する。第1磁性板440および第2磁性板444は、電磁軟鉄などの磁性材料でコの字状に形成される。第1磁性板440の2つの先端部441、442がヨーク420を貫通するようにして、第1磁性板440はヨーク420に固定される。第1磁性板440の2つの先端部441、442は、それぞれロータ410の外周部分に対して隙間をもって対向するように配置される。第2磁性板444の2つの先端部445、446がヨーク420を貫通するようにして、第2磁性板444はヨーク120に固定される。第2磁性板444の2つの先端部445、446は、それぞれロータ410の外周部分に対して隙間をもって対向するように配置される。
【0050】
第1コイル430および第2コイル434は、前述したコイル130と同様な形状に構成され、配置される。第1コイル430および第2コイル434は、ロータ410の回転可能な角度範囲の中間の位置にロータ410があるときの磁極境界面412Fに垂直な平面を基準として対称に構成されるのがよい。第1磁性板440および第2磁性板444は、ロータ410の回転可能な角度範囲の中間の位置にロータ410があるときの磁極境界面412Fに垂直な平面を基準として対称に構成されるのがよい。作動部材460がロータ410の下側軸部に固定される。作動部材460は、作動レバー462と、作動ピン464とを含む。
【0051】
図19を参照すると、第1コイル430の中心は、ロータ410が回転する角度範囲の中間の位置にロータ410があるときの磁極境界平面412Fを含む平面の上に配置される。第2コイル434の中心は、ロータ410が回転する角度範囲の中間の位置にロータ410があるときの磁極境界平面412Fを含む平面の上に配置される。図19において白丸で示すN極中心412Nは、ロータ410のN極の中心位置、又は、ロータ410のN極の磁束密度が最も大きくなる箇所である。また、図19において黒丸で示すS極中心412Sは、ロータ410のS極の中心位置、又は、ロータ410のS極の磁束密度が最も大きくなる箇所である。
【0052】
図19(a)を参照すると、作動部材460が時計周り方向に回転された状態において、ロータ410の磁極のS極の磁束密度が最大であるロータ410の外周部分、すなわち、S極中心412Sは、第1コイル430の直線部分の一方に対して隙間をもって対向するように配置される。この状態において、S極中心412Sは、第1磁性板440の一方の先端部442に近い位置にある。この状態において、ロータ410の磁極のN極の磁束密度が最大であるロータ410の外周部分、すなわち、N極中心412Nは、第2コイル434の直線部分の一方に対して隙間をもって対向するように配置される。この状態において、N極中心412Nは、第2磁性板444の一方の先端部446に近い位置にある。
したがって、ロータ410のS極が第1磁性板440の先端部442に及ぼす磁力と、ロータ410のN極が第2磁性板444の先端部446に及ぼす磁力とによって、ロータ410は、図19(a)に示す位置に保持されている。
【0053】
図19(b)を参照すると、作動部材460が反時計周り方向に回転された状態において、ロータ410の磁極のS極の磁束密度が最大であるロータ410の外周部分、すなわち、S極中心412Sは、第2コイル434の直線部分の他方に対して隙間をもって対向するように配置される。この状態において、S極中心412Sは、第2磁性板444の他方の先端部445に近い位置にある。この状態において、ロータ410の磁極のN極の磁束密度が最大であるロータ410の外周部分、すなわち、N極中心412Nは、第1コイル430の直線部分の他方に対して隙間をもって対向するように配置される。この状態において、N極中心412Nは、第1磁性板440の他方の先端部441に近い位置にある。したがって、ロータ410のS極が第2磁性板444の先端部445に及ぼす磁力と、ロータ410のN極が第1磁性板440の先端部441に及ぼす磁力とによって、ロータ410は、図19(b)に示す位置に保持されている。
【0054】
図19(a)を参照すると、ロータ410が時計回り方向に回転して保持されている状態では、ロータ磁石412が発生する磁界は、図中に太い矢印で示すようにロータ磁石412のN極から出てS極に入る向きである。この状態において、ロータ磁石412のS極に対向する第1コイル430の第1側部分431に対して、紙面の裏側から表側に向う電流を流すと(図中に黒丸で示す)、ロータ磁石412のS極の磁界からの影響により、フレミングの左手の法則にしたがって、第1コイル430の第1側部分431には時計回り方向の力が作用する。したがって、この時計回り方向の力の反作用により、ロータ磁石412のS極には反時計回り方向の回転力が作用する。また、第1コイル430の第2側部分432には、紙面の表側から裏側に向う電流が流れることになり(図中にクロスで示す)、ロータ磁石412のS極の磁界の影響と同様に、ロータ磁石412のN極の磁界からの影響により、第1コイル430の第2側部分432には時計回り方向の力が作用する。
したがって、この時計回り方向の力の反作用により、ロータ磁石412のN極には反時計回り方向の回転力が作用する。さらに、ロータ磁石412のN極に対向する第2コイル434の第1側部分436に対して、紙面の表側から裏側に向う電流を流すと(図中にクロスで示す)、ロータ磁石412のN極の磁界からの影響により、フレミングの左手の法則にしたがって、第2コイル434の第1側部分436には時計回り方向の力が作用する。
したがって、この時計回り方向の力の反作用により、ロータ磁石412のN極には反時計回り方向の回転力が作用する。したがって、回転可能なロータ410には反時計回り方向の偶力が作用し、ロータ410は反時計回り方向に回転して、図19(b)に示す位置まで回転して、その状態に保持される。
【0055】
図19(b)を参照すると、ロータ410が反時計回り方向に回転して保持されている状態では、ロータ磁石412が発生する磁界は、図中に太い矢印で示すようにロータ磁石412のN極から出てS極に入る向きである。この状態において、ロータ磁石412のN極に対向する第1コイル430の第2側部分432に対して、紙面の裏側から表側に向う電流を流すと(図中に黒丸で示す)、ロータ磁石412のN極の磁界からの影響により、フレミングの左手の法則にしたがって、第1コイル430の第2側部分432には反時計回り方向の力が作用する。したがって、この反時計回り方向の力の反作用により、ロータ磁石412のN極には時計回り方向の回転力が作用する。また、第1コイル430の第1側部分431には、紙面の表側から裏側に向う電流が流れることになり(図中にクロスで示す)、ロータ磁石412のN極の磁界の影響と同様に、ロータ磁石412のS極の磁界からの影響により、第1コイル430の第1側部分431には反時計回り方向の力が作用する。したがって、この反時計回り方向の力の反作用により、ロータ磁石412のS極には反時計回り方向の回転力が作用する。さらに、ロータ磁石412のS極に対向する第2コイル434の第2側部分435に対して、紙面の表側から裏側に向う電流を流すと(図中にクロスで示す)、ロータ磁石412のS極の磁界からの影響により、フレミングの左手の法則にしたがって、第2コイル434の第2側部分435には反時計回り方向の力が作用する。したがって、この反時計回り方向の力の反作用により、ロータ磁石412のS極には時計回り方向の回転力が作用する。したがって、回転可能なロータ410には時計回り方向の偶力が作用し、ロータ410は時計回り方向に回転して、図19(a)に示す位置まで回転して、その状態に保持される。2つのコイル430、434を設ける構成では、ロータ410に作用する偶力が、1つのコイル130を設ける構成よりも大きく作用するので、ロータ410を高速度で確実に回転させることができる。
【0056】
図20を参照すると、遮光部材作動装置のエンジン部400を組立てるとき、例えば、下ケース454のロータ軸受穴にロータ410の下軸部を配置する。次に、上ケース450のロータ軸受穴にロータ410の上軸部を配置して、上ケース450と下ケース454とを固定する。それによって、ロータ410は、上ケース450と下ケース454に対して回転可能に支持される。次に、第1コイル430と、第2コイル434を上ケース450に配置する。次に、ヨーク420を上ケース450の外周部に配置する。次に、第1磁性板440と第2磁性板444をヨーク420に固定する。
【0057】
図14(b)を参照すると、本発明の遮光部材作動装置400において、第1のエンジン部400を駆動して第1シャッタ羽根220、第2シャッタ羽根222を作動させるシャッタ駆動回路470は、マイコン472と、シャッタ駆動ドライバ474とを含む。シャッタ駆動ドライバ474は、マイコン472が出力する駆動信号を入力して、出力端子1および2からシャッタ部476に設けられた第1のコイル430に電流を流し、同時に第2のコイル434に電流を流して、ロータ410を回転させるための磁界を発生させる。第2のエンジン部(図示せず)を駆動して絞り板230を作動させるシャッタ駆動回路は、シャッタ駆動回路470と同様に構成することができる。
【0058】
本発明の第2の実施形態において、シャッタ装置の作動は、図8および図9に示す本発明の第1の実施形態の作動と同様である。すなわち、図8および図9を参照すると、第2のコイルと、第2の磁性板は、想像線で図示されている。また、本発明の第2の実施形態において、絞り装置の作動は、図10および図11に示す本発明の第1の実施形態の作動と同様である。すなわち、図10および図11を参照すると、第2のコイルと、第2の磁性板は、想像線で図示されている。
【0059】
(3)第3の実施の形態:
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。以下の説明は、本発明の第3の実施形態が本発明の第1の実施形態と異なる点を主に述べる。したがって、以下に記載がない個所は、前述した本発明の第1の実施形態についての説明をここに準用する。
【0060】
(3・1)第1のタイプ:
図21(a)を参照すると、本発明の第3の実施の形態の第1のタイプにおいて、遮光部材作動装置のエンジン部510は、ロータ511と、ロータ511の周りに隙間をもって配置されたヨーク512と、ロータ511とヨーク512との間に配置されたコイル513とを備える。ヨーク512の円筒状部分512cよりもロータ511に近くに位置する内壁部分512dが、ヨーク512に形成される。内壁部分512dは、ロータ511を位置決めするための手段を構成する。内壁部分512dは、ロータ511の中心軸線に対して平行な平面で構成することができる。内壁部分512dをヨーク512に形成する位置は、前述した磁性板140の先端部141と、先端部142との間の位置に対応するように配置するのがよい。この構成は、部品の製造および組立が容易である。
【0061】
(3・2)第2のタイプ:
図21(b)を参照すると、本発明の第3の実施の形態の第2のタイプにおいて、遮光部材作動装置のエンジン部520は、ロータ521と、ロータ521の周りに隙間をもって配置されたヨーク522と、ロータ521とヨーク522との間に配置されたコイル523とを備える。ヨーク522の円筒状部分522cから内側に向って出っ張った第1の帯状部分522f、第2の帯状部分522gが、ヨーク522に形成される。2個の帯状部分522f、522gは、ロータ521を位置決めするための手段を構成する。第1の帯状部分522f、第2の帯状部分522gを設ける位置は、前述した磁性板140の先端部141、142の位置にそれぞれ対応するように配置するのがよい。この構成は、部品の製造および組立が容易である。
【0062】
(3・3)第3のタイプ:
図21(c)を参照すると、本発明の第3の実施の形態の第3のタイプにおいて、遮光部材作動装置のエンジン部530は、ロータ531と、ロータ531の周りに隙間をもって配置されたヨーク532と、ロータ531とヨーク532との間に配置された2つのコイル533、534とを備える。第1のコイル533がある側において、ヨーク532の円筒状部分532cよりもロータ531に近くに位置する第1の内壁部分532dが、ヨーク532に形成される。第2のコイル534がある側において、ヨーク532の円筒状部分532cよりもロータ531に近くに位置する第2の内壁部分532eが、ヨーク532に形成される。第1の内壁部分532dは、ロータ531の中心軸線に対して平行な平面で構成することができる。第2の内壁部分532eは、ロータ511の中心軸線に対して平行な平面で構成することができる。第1の内壁部分532dは、第2の内壁部分532eと平行に形成するのがよい。第1の内壁部分532dおよび第2の内壁部分532eは、ロータ531を位置決めするための手段を構成する。第1の内壁部分532dをヨーク532に形成する位置は、前述した磁性板440の先端部441と、先端部442との間の位置に対応するように配置するのがよい。第2の内壁部分532eをヨーク532に形成する位置は、前述した磁性板444の先端部445と、先端部445との間の位置に対応するように配置するのがよい。この構成は、部品の製造および組立が容易である。
【0063】
(3・4)第4のタイプ:
図21(d)を参照すると、本発明の第3の実施の形態の第4のタイプにおいて、遮光部材作動装置のエンジン部540は、ロータ541と、ロータ541の周りに隙間をもって配置されたヨーク542と、ロータ541とヨーク542との間に配置された2つのコイル543、544とを備える。第1のコイル543がある側において、ヨーク542の円筒状部分542cから内側に向って出っ張った第1の帯状部分542f、第2の帯状部分542gが、ヨーク542に形成される。第2のコイル544がある側において、ヨーク542の円筒状部分542cから内側に向って出っ張った第3の帯状部分542j、第4の帯状部分542kが、ヨーク542に形成される。4個の帯状部分542f、542g、542j、542kは、ロータ541を位置決めするための手段を構成する。第1の帯状部分542f、第2の帯状部分542gをヨーク542に形成する位置は、前述した磁性板440の先端部441、先端部442の位置にそれぞれ対応するように配置するのがよい。第3の帯状部分542j、第4の帯状部分542kをヨーク542に形成する位置は、前述した磁性板444の先端部445、先端部446の位置にそれぞれ対応するように配置するのがよい。この構成は、部品の製造および組立が容易である。
【0064】
(3・5)第5のタイプ:
図22(a)を参照すると、本発明の第3の実施の形態の第5のタイプにおいて、遮光部材作動装置のエンジン部550は、ロータ551と、ロータ551の周りに隙間をもって配置されたヨーク552と、ロータ551とヨーク552との間に配置されたコイル553とを備える。第1の磁性ピン556、第2の磁性ピン557が、ヨーク552の円筒状の部分の内側で、コイル553の内側に配置される。第1の磁性ピン556、第2の磁性ピン557の側面は、それぞれロータ551の外周部分に対して隙間をもって対向するように配置される。第1の磁性ピン556、第2の磁性ピン557は、ロータ551を位置決めするための手段を構成する。第1の磁性ピン556、第2の磁性ピン557を設ける位置は、前述した磁性板140の先端部141と、先端部142との間の位置にそれぞれ対応するように配置するのがよい。
【0065】
(3・6)第6のタイプ:
図22(b)を参照すると、本発明の第3の実施の形態の第6のタイプにおいて、遮光部材作動装置のエンジン部560は、ロータ561と、ロータ561の周りに隙間をもって配置されたヨーク562と、ロータ561とヨーク562との間にそれぞれ配置された第1のコイル563、第2のコイル564とを備える。第1の磁性ピン566、第2の磁性ピン567が、ヨーク562の円筒状の部分の内側で、第1のコイル563の内側にそれぞれ配置される。第3の磁性ピン568、第4の磁性ピン569が、ヨーク562の円筒状の部分の内側で、第2のコイル564の内側にそれぞれ配置される。第1の磁性ピン566、第2の磁性ピン567、第3の磁性ピン568、第4の磁性ピン569の側面は、それぞれロータ561の外周部分に対して隙間をもって対向するように配置される。第1の磁性ピン566、第2の磁性ピン567、第3の磁性ピン568、第4の磁性ピン569は、ロータ561を位置決めするための手段を構成する。第1の磁性ピン566、第2の磁性ピン567を設ける位置は、前述した磁性板440の先端部441、先端部442の位置にそれぞれ対応するように配置するのがよい。第3の磁性ピン568、第4の磁性ピン569を設ける位置は、前述した磁性板444の先端部445、先端部446の位置にそれぞれ対応するように配置するのがよい。
【0066】
(3・7)第7のタイプ:
次に、本発明の第3の実施形態に関して、他の好ましい構成を説明する。図26(a)を参照すると、本発明の第3の実施の形態の第7のタイプにおいて、遮光部材作動装置のエンジン部570は、ロータ571と、ロータ571の周りに隙間をもって配置されたヨーク572と、ロータ571とヨーク572との間に配置されたコイル573とを備える。内径が大きい第1円筒状部分572cと、第1円筒状部分572cの内径よりも内径が小さい第2円筒状部分572dが、ヨーク572に形成される。第1円筒状部分572cと第2円筒状部分572dとの間に第1の境界内壁部分574fと、第2の境界内壁部分574gが形成される。第1の境界内壁部分574fと、第2の境界内壁部分574gは、ロータ571の回転中心軸線570Aに対して平行な面で構成するのが好ましい。第1の境界内壁部分574fと、第2の境界内壁部分574gは、同一平面にあるように構成するのが好ましい。2つの境界内壁部分、すなわち、第1の境界内壁部分574f、第2の境界内壁部分574gは、ロータ571を位置決めするための手段を構成する。第2円筒状部分572dをヨーク572に形成する位置は、前述した磁性板140の先端部141と、先端部142との間の位置に対応するように配置するのがよい。この構成は、部品の製造および組立が容易である。
【0067】
(3・8)第8のタイプ:
次に、本発明の第3の実施形態に関して、更なる他の好ましい構成を説明する。図26(b)を参照すると、本発明の第3の実施の形態の第8のタイプにおいて、遮光部材作動装置のエンジン部580は、ロータ581と、ロータ581の周りに隙間をもって配置されたヨーク582と、ロータ581とヨーク582との間に配置された2つのコイル583、584とを備える。第1のコイル583がある側において、内径が小さい第1円筒状部分582dが、ヨーク582に形成される。第2のコイル584がある側において、内径が小さい第2円筒状部分582eが、ヨーク582に形成される。第1円筒状部分582dの一方の端部と、第2円筒状部分582eの一方の端部とを連結するように、第1円筒状部分582dの内径よりも内径が大きい第3円筒状部分582bがヨーク582に設けられる。また、第1円筒状部分582dの他方の端部と、第2円筒状部分582eの他方の端部とを連結するように、第1円筒状部分582dの内径よりも内径が大きい第4円筒状部分582cがヨーク582に設けられる。第1円筒状部分582dの内径は、第2円筒状部分582eの内径と等しく形成するのがよい。第3円筒状部分582bの内径は、第4円筒状部分582cの内径と等しく形成するのがよい。
【0068】
ヨーク582は、第1円筒状部分582d、第4円筒状部分582c、第2円筒状部分582e、第3円筒状部分582bが円周方向に連続するように形成される。第1円筒状部分582dの内径と、第2円筒状部分582eの内径は同じ寸法に形成するのが好ましい。また、第3円筒状部分582bの内径と、第4円筒状部分582cの内径は同じ寸法に形成するのが好ましい。
【0069】
第1円筒状部分582dと第4円筒状部分582cとの間に第1の境界内壁部分584gが形成される。第4円筒状部分582cと第2円筒状部分582eとの間に第2の境界内壁部分584jが形成される。第3円筒状部分582bと第2円筒状部分582eとの間に第3の境界内壁部分584hが形成される。第1円筒状部分582dと第3円筒状部分582bとの間に第4の境界内壁部分584fが形成される。第1の境界内壁部分584g、第2の境界内壁部分584j、第3の境界内壁部分584h、第4の境界内壁部分584fは、ロータ581の回転中心軸線580Aに対して平行な面で構成するのが好ましい。第1の境界内壁部分584fと、第2の境界内壁部分584gは、同一平面にあるように構成するのが好ましい。第2の境界内壁部分584jと、第3の境界内壁部分584hは、同一平面にあるように構成するのが好ましい。
【0070】
4つの境界内壁部分、すなわち、第1の境界内壁部分584g、第2の境界内壁部分584j、第3の境界内壁部分584h、第4の境界内壁部分584fは、ロータ581を位置決めするための手段を構成する。第4の境界内壁部分584f、第1の境界内壁部分584gをヨーク582に形成する位置は、前述した磁性板440(図19参照)の先端部441、先端部442の位置にそれぞれ対応するように配置するのがよい。第2の境界内壁部分584j、第3の境界内壁部分584hをヨーク582に形成する位置は、前述した磁性板444(図19参照)の先端部445、先端部446の位置にそれぞれ対応するように配置するのがよい。この構成は、部品の製造および組立が容易である。
【0071】
(4)第4の実施の形態:
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。以下の説明は、本発明の第4の実施形態が本発明の第1の実施形態と異なる点を主に述べる。したがって、以下に記載がない個所は、前述した本発明の第1の実施形態についての説明をここに準用する。
【0072】
図23を参照すると、本発明の第4の実施の形態において、本発明のシャッタ作動装置を搭載した撮像レンズ600は、エンジン部602と、鏡筒部640と、レンズ枠部641に保持されたレンズ系642とを有する。エンジン部602は、ロータ610と、ヨーク620と、ロータ610とヨーク620との間に配置されたコイル630とを備える。ロータ610は、回転中心軸線610Aを有する。ロータ610は、ロータ磁石612と、ロータ軸614とを有する。シャッタ作動部材660が、ロータ軸614の下軸部に設けられる。シャッタ作動部材660は、作動軸662と、作動レバー664と、作動ピン666とを含む。作動軸662は、レンズ系642の周囲に配置することができる。作動軸662は、ロータ軸614と一体に形成することもできるし、或いは、ロータ軸614と別体に形成して、ロータ軸614と同軸になるように固定することもできる。この構成では、ロータ軸を下方に延長することができ、エンジン部とシャッタ羽根室部とを離して配置することが可能となり、レンズユニット内のスペースを有効に活用することができる。
【0073】
1個又は2個のシャッタ羽根670が、作動ピン666の回転により回転することができるように、レンズ枠部641に支持される。エンジン部602が作動することによってロータ610が回転して、シャッタ羽根670が回転するように構成される。シャッタ羽根670は、ロータ610が回転することによって回転された一方の位置でレンズ系642の光路を完全に遮断し、ロータ610が回転することによって回転された他方の位置でレンズ系642の光路を遮断しないように構成される。この構成は、絞り装置に適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明により、エンジン部の高さを低くすることができるように構成した遮光部材作動装置を製造することができる。また、本発明により、ロータの回転初速度を速くすることができ、ロータの回転初トルクを大きくすることが可能であるように構成した遮光部材作動装置を製造することができる。本発明により、コイルに電流を通電していないときに、ロータを停止位置に確実に保持することができるように構成した遮光部材作動装置を製造することができる。本発明の遮光部材作動装置は、部品の製造および組立が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施形態において、ロータの軸線方向の中間部において破断したエンジン部を示す水平横断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態において、エンジン部を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態において、エンジン部を示す底面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態において、上ケースを外した状態におけるエンジン部の一部を示す部分平面図である図4(a)は、ロータが時計回り方向に回転したときの状態を示す平面図である。図4(b)は、ロータが反時計回り方向に回転したときの状態を示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態において、コイルの概略形状を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態において、エンジン部を示す分解斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施形態において、シャッタ装置を示す縦断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態において、閉じた状態における上ケースを外した状態のシャッタ装置を示す平面図である(本発明の第2の実施形態の部品は、想像線で図示している)。
【図9】本発明の第1の実施形態において、開いた状態における上ケースを外した状態のシャッタ装置を示す平面図である(本発明の第2の実施形態の部品は、想像線で図示している)。
【図10】本発明の第1の実施形態において、作動していない状態における上ケースを外した状態の絞り装置を示す平面図である(本発明の第2の実施形態の部品は、想像線で図示している)。
【図11】本発明の第1の実施形態において、作動した状態における上ケースを外した状態の絞り装置を示す平面図である(本発明の第2の実施形態の部品は、想像線で図示している)。
【図12】本発明の第1の実施形態において、シャッタユニットを示す斜視図である。
【図13】本発明の第1の実施形態において、撮像レンズとシャッタユニットを示す分解斜視図である。
【図14】本発明の実施形態において、回路の概略構成を示すブロック図である。図14(a)は、本発明の第1の実施形態におけるブロック図である。図14(b)は、本発明の第2の実施形態におけるブロック図である。
【図15】本発明の第1の実施形態において、撮影装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図16】本発明の第2の実施形態において、ロータの軸線方向の中間部において破断したエンジン部を示す水平横断面図である。
【図17】本発明の第2の実施形態において、エンジン部を示す縦断面図である。
【図18】本発明の第2の実施形態において、エンジン部を示す底面図である。
【図19】本発明の第2の実施形態において、上ケースを外した状態におけるエンジン部の一部を示す部分平面図である。図19(a)は、ロータが時計回り方向に回転したときの状態を示す平面図である。図19(b)は、ロータが反時計回り方向に回転したときの状態を示す平面図である。
【図20】本発明の第2の実施形態において、エンジン部を示す分解斜視図である。
【図21】本発明の第3の実施形態において、上ケースを外した状態におけるエンジン部の一部を示す部分平面図である。図21(a)は、第1のタイプにおける部分平面図である。図21(b)は、第2のタイプにおける部分平面図である。図21(c)は、第3のタイプにおける部分平面図である。図21(d)は、第4のタイプにおける部分平面図である。
【図22】本発明の第3の実施形態において、上ケースを外した状態におけるエンジン部の一部を示す部分平面図である。図22(a)は、第5のタイプにおける部分平面図である。図22(b)は、第6のタイプにおける部分平面図である。
【図23】本発明の第4の実施形態において、エンジン部を示す縦断面図である。
【図24】ロータの軸線方向の中間部において破断した従来の電磁アクチュエータを示す水平横断面図である。
【図25】従来の電磁アクチュエータを示す縦断面図である。
【図26】本発明の第3の実施形態の更なる構成において、上ケースを外した状態におけるエンジン部の一部を示す部分平面図である。図26(a)は、第7のタイプにおける部分平面図である。図26(b)は、第8のタイプにおける部分平面図である。
【符号の説明】
【0076】
100 エンジン部
110 ロータ
120 ヨーク
130 コイル
140 磁性板
150 上ケース
154 下ケース
160 作動部材
162 作動レバー
164 作動ピン
180 第1のエンジン部
182 第2のエンジン部
200 遮光部材作動装置
210 シャッタ地板
220 第1シャッタ羽根
222 第2シャッタ羽根
230 絞り板
240 隔離板
250 羽根室カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ用の遮光部材作動装置において、
回転中心軸線を有するロータを備え、前記ロータは、前記回転中心軸線を含む磁極境界面を基準としてN極およびS極の二極に着磁されたロータ磁石を含んでおり、前記ロータは、ケースに対して回転可能に支持されており、
さらに、磁性材料で形成された円筒状のヨークを備え、前記ヨークは、前記ロータの周りに隙間をもって配置されており、
さらに、前記ロータと前記ヨークとの間に配置されたコイルと、
磁性材料で形成されたロータ位置決め手段とを備え、前記ロータ位置決め手段は、前記ヨークに対して設けられており、
前記ロータの回転に基づいて回転するように設けられた遮光部材と、
を備えることを特徴とする遮光部材作動装置。
【請求項2】
前記コイルは、前記ヨークの内周部に沿うように湾曲して形成されることを特徴とする、請求項1に記載の遮光部材作動装置。
【請求項3】
前記コイルは、前記ロータの回転中心軸線に平行に配置された2つの直線部分を含むことを特徴とする、請求項1に記載の遮光部材作動装置。
【請求項4】
前記ロータ位置決め手段は、前記コイルの2つの直線部分の間の内側であって、かつ、前記ヨークの内側の位置に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の遮光部材作動装置。
【請求項5】
さらに、前記ロータの回転に基づいて前記遮光部材を回転させるための作動部材を備え、前記コイルの中心は、前記作動部材が回転する範囲の中間の位置における前記ロータの前記磁極境界平面を含む平面の上に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の遮光部材作動装置。
【請求項6】
さらに、前記ロータの回転に基づいて前記遮光部材を回転させるための作動部材を備え、前記作動部材が回転された状態における前記ロータの磁極の磁束密度が最大である前記ロータの外周部分は、前記コイルの前記直線部分の1つに対して隙間をもって対向するように配置されることを特徴とする、請求項3に記載の遮光部材作動装置。
【請求項7】
前記ロータ位置決め手段は、コの字状に形成された磁性板で構成され、前記磁性板の2つの先端部は、それぞれ前記ロータの外周部分に対して隙間をもって対向するように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の遮光部材作動装置。
【請求項8】
前記ロータ位置決め手段は、前記ヨークの円筒状の部分よりも前記ロータに近いように形成された前記ヨークの内壁部分によって構成されることを特徴とする、請求項1に記載の遮光部材作動装置。
【請求項9】
前記ロータ位置決め手段は、前記ヨークの円筒状の部分の内側でコイルの内側に配置された1個又は複数の磁性ピンで構成され、前記磁性ピンの側面は、前記ロータの外周部分に対して隙間をもって対向するように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の遮光部材作動装置。
【請求項10】
さらに、前記ロータの回転に基づいて前記遮光部材を回転させるための作動部材を備え、前記作動部材が前記遮光部材に力を加える作用部は、前記ロータの前記磁極境界平面を含む平面の上に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の遮光部材作動装置。
【請求項11】
さらに、前記ロータの回転に基づいて前記遮光部材を回転させるための作動部材を備え、前記作動部材は、前記ロータの中心軸の端部に固定されることを特徴とする、請求項1に記載の遮光部材作動装置。
【請求項12】
さらに、前記コイルに電流を流して、前記ロータを回転させるための磁界を発生させるための駆動回路を備えることを特徴とする、請求項1に記載の遮光部材作動装置。
【請求項13】
カメラ用の遮光部材作動装置において、
回転中心軸線を有するロータを備え、前記ロータは、前記回転中心軸線を含む磁極境界面を基準としてN極およびS極の二極に着磁されたロータ磁石を含んでおり、前記ロータは、ケースに対して回転可能に支持されており、
さらに、磁性材料で形成された円筒状のヨークを備え、前記ヨークは、前記ロータの周りに隙間をもって配置されており、
さらに、前記ロータと前記ヨークとの間に配置された2つのコイルと、
磁性材料で形成されたロータ位置決め手段とを備え、前記ロータ位置決め手段は、前記コイルの各々の穴の内側であって、かつ、前記ヨークの内側の位置にそれぞれ配置されており、
さらに、前記ロータの回転に基づいて回転するように設けられた遮光部材を備える、
備えることを特徴とする遮光部材作動装置。
【請求項14】
前記コイルの各々は、前記ヨークの内周部に沿うように湾曲して形成されることを特徴とする、請求項13に記載の遮光部材作動装置。
【請求項15】
前記コイルの各々は、前記ロータの回転中心軸線に平行に配置された2つの直線部分を含むことを特徴とする、請求項13に記載の遮光部材作動装置。
【請求項16】
さらに、前記ロータの回転に基づいて前記遮光部材を回転させるための作動部材を備え、前記コイルの各々の中心は、前記作動部材が回転する範囲の中間の位置における前記ロータの前記磁極境界平面を含む平面の上に配置されることを特徴とする、請求項16に記載の遮光部材作動装置。
【請求項17】
さらに、前記ロータの回転に基づいて前記遮光部材を回転させるための作動部材を備え、前記作動部材が回転された状態における前記ロータの磁極の磁束密度が最大である前記ロータの外周部分は、前記コイルの各々の前記直線部分の1つに対して隙間をもって対向するように配置されることを特徴とする、請求項13に記載の遮光部材作動装置。
【請求項18】
前記ロータ位置決め手段の各々は、コの字状に形成された磁性板で構成され、前記ロータ位置決め部材の各々の2つの先端部は、それぞれ前記ロータの外周部分に対して隙間をもって対向するように配置されることを特徴とする、請求項13に記載の遮光部材作動装置。
【請求項19】
さらに、前記ロータに固定され、かつ、前記ロータの回転に基づいて前記遮光部材を回転させるための作動部材を備え、前記遮光部材と前記作動部材との連動部は、前記磁極境界面に位置することを特徴とする、請求項1又は13に記載の遮光部材作動装置。
【請求項20】
さらに、前記コイルに電流を流して、前記ロータを回転させるための磁界を発生させる駆動回路を備えることを特徴とする、請求項1又は13に記載の遮光部材作動装置。
【請求項21】
光学系を含む撮像レンズにおいて、請求項1から11、13から19のいずれか1項に記載の遮光部材作動装置を含み、前記遮光部材は、絞りの羽根であるか、或いは、シャッタの羽根であることを特徴とする撮像レンズ。
【請求項22】
光学系を含む撮像レンズにおいて、請求項1から11、13から19のいずれか1項に記載の遮光部材作動装置を2つ含み、前記遮光部材作動装置のうちの一方の遮光部材は絞りの羽根であり、前記遮光部材作動装置のうちの他方の遮光部材はシャッタの羽根であることを特徴とする撮像レンズ。
【請求項23】
光学系を含む撮像レンズを有する撮影装置において、請求項1から11、13から19のいずれか1項に記載の遮光部材作動装置を含み、前記遮光部材は、絞りの羽根であるか、或いは、シャッタの羽根であり、前記遮光部材作動装置のコイルに電流を流して、前記遮光部材作動装置のロータを回転させるための磁界を発生させる駆動回路を備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項24】
光学系を含む撮像レンズを有する撮影装置において、請求項1から11、13から19のいずれか1項に記載の遮光部材作動装置を2つ含み、前記遮光部材作動装置のうちの一方の遮光部材は絞りの羽根であり、前記遮光部材作動装置のうちの他方の遮光部材はシャッタの羽根であり、前記2つの遮光部材作動装置のそれぞれのコイルに電流を流して、前記2つの遮光部材作動装置のそれぞれのロータを回転させるための磁界を発生させる駆動回路を備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項25】
前記ヨークには、内径が大きい第1円筒状部分と、第1円筒状部分の内径よりも内径が小さい第2円筒状部分とが形成され、前記ロータ位置決め手段は、前記ヨークの第1円筒状部分よりも前記ロータに近いように形成された前記ヨークの第2円筒状部分によって構成されることを特徴とする、請求項1に記載の遮光部材作動装置。
【請求項26】
第1のコイルがある側において、内径が小さい第1円筒状部分が、前記ヨークに形成され、第2のコイルがある側において、内径が小さい第2円筒状部分が、前記ヨークに形成され、前記第1円筒状部分の一方の端部と、前記第2円筒状部分の一方の端部とを連結するように、前記第1円筒状部分の内径よりも内径が大きい第3円筒状部分が前記ヨークに設けられ、前記第1円筒状部分の他方の端部と、前記第2円筒状部分の他方の端部とを連結するように、前記第1円筒状部分の内径よりも内径が大きい第4円筒状部分が前記ヨークに設けられており、前記第1円筒状部分と前記第4円筒状部分との間に第1の境界内壁部分が形成され、前記第4円筒状部分と前記第2円筒状部分との間に第2の境界内壁部分が形成され、前記第3円筒状部分と前記第2円筒状部分との間に第3の境界内壁部分が形成され、前記第1円筒状部分と前記第3円筒状部分との間に第4の境界内壁部分が形成され、前記4つの境界内壁部分は、前記ロータを位置決めするための手段を構成することを特徴とする、請求項13に記載の遮光部材作動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−96945(P2008−96945A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344487(P2006−344487)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000133227)株式会社タムロン (355)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】