説明

カメラ用照明装置

【課題】発熱および電力消費に関する問題を緩和する照明の解決法を提供し、かつ、照明装置の光学出力を効率的に制御して、カメラおよび特定の使用の場合の照明に対する要求に合わせる照明の解決法を提供する。
【解決手段】カメラ(1)により観察される光景を照らすための照明装置および方法は、照明装置(4)から第1の距離(D1)において、所定の大きさの第1領域内に実質的に照明をもたらすよう配置された、第1レンズ(7)を有する第1発光源(5)と、照明装置(4)から第2の距離(D3)において、所定の大きさの第2領域内に実質的に照明をもたらすよう配置された、第2レンズ(8)を有する第2発光源(6)とを含み、第1および第2発光源(5、6)の出力強度は個別に制御可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラにより観察される光景を照らすための照明装置、および、カメラにより観察される光景を照らす方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の場の観察に用いられる監視カメラは、それらを用いて観察する環境の良好な映像を提供することができるように追加のライティングを必要とすることがある。これは例えば、自然光ではカメラにとって不十分である屋外における夜間の場合である。そこで、何らかの種類のライティングを、監視カメラと組み合わせて用いることができる。一般的には、監視カメラにより観察される光景を照らすために赤外光または白色光を発する発光ダイオード、すなわちLEDを用いることが選択される。LEDは、外部ユニットに装着してもよく、または、カメラ筐体またはカメラの機械構造と一体化することもできる。
【0003】
例えばLEDの形態のそのような追加のライティングをカメラと一体化すると、ユーザにとってより単純な設置プロセスを提供することができる。これにより、別途ライティング設備を設置する必要はない。そして、設置コストを削減できる。また、照明がカメラの視線に正しく向けられるようにしやすい。しかしながら、一体化LEDを用いる際は、これらLEDが、多くの熱を発生しがちであり、これが今度はカメラの撮像センサの性能に悪影響を与えかねないという問題がある。また、LEDは、大量の電力を消費しがちであり、このことにより、カメラの消費電力が増大してしまう。
【0004】
別の問題としては、カメラと一体化されたLEDまたは外部のLEDによりもたらされる照明は、設置が完了すると、LEDユニットを物理的に交換しなければ再構成も適合もできないことが多い。その代わりに、監視カメラの実際の設置に先立って、設置施設における撮像条件に合う正しい照明範囲を選択する必要があり、このことが、場合によっては多くの努力を要する煩雑な作業でありうる。これは、動作中の光学部品類の撮像設定が固定された固定焦点カメラを設置する際によく行われていることである。
【0005】
しかしながら、可変焦点カメラでは、ライティングの設定を事前に選択することは、同じ程度には実現可能でない。というのも、これらのカメラは、動作中に焦点および/またはズーム位置を動的に変化させるからである。動作中にある特定のカメラ用の対象となりうる距離すべてをカバーするために広い範囲を有するLEDユニットが、可変焦点カメラに選択されることがよくある。しかしながら、この結果、動作時間の大部分で必要以上に消費電力が増大し、かつ、熱の発生が多くなる。
【0006】
過剰な発熱および消費電力に伴う問題は、ライティングが、カメラに必要な光に合わせて制御可能であれば軽減される可能性がある。
【0007】
特許文献1において、ある数の赤外ダイオードを含むTVカメラ用の赤外線ライティングが開示されている。赤外線ライティングからの放射強度は、該ライティングを駆動する定電圧を変化させることにより制御可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許発明第3622025号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記知られている解決法においては、ダイオードからの光は常に広い領域にもたらされ、カメラの焦点が合っている領域または被写体に適合不可能である。したがって、LEDの光学出力を制御して、カメラおよび特定の使用の場合の照明に対する要求に効率的に合わせることにより発熱および電力消費に関する問題を軽減する照明の解決法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、発熱および電力消費に関する上記問題を緩和する照明の解決法を提供し、かつ、照明装置の光学出力を効率的に制御して、カメラおよび特定の使用の場合の照明に対する要求に合わせることの可能な照明の解決法を提供することを目的とする。
【0011】
この目的およびさらなる目的は、請求項1に規定される特徴を有する照明装置により達成され、好適な実施形態は従属請求項において規定されている。本発明の実施形態によると、カメラにより観察される光景を照らすための照明装置は、照明装置から第1の距離において、所定の大きさの第1領域内に実質的に照明をもたらすよう配置された第1レンズを有する第1発光源と、照明装置から第2の距離において、所定の大きさの第2領域内に実質的に照明をもたらすよう配置された第2レンズを有する第2発光源とを含む。第1および第2発光源の出力強度は、個別に制御可能である。
【0012】
これにより、カメラから可変の距離に位置する被写体の照明を達成するようにもたらされた照明を適合することができる。同時に、発光源からの発光をより効率的に使用することにより、発熱および消費電力が低減される。
【0013】
上記照明装置は、被写体の実質的に均一な照明をもたらすよう配置されてもよく、これにより、カメラの画質を向上させることができる。
【0014】
第1レンズは、枠の形態の照明パターンを作り出すよう配置されてもよく、該枠は、例えば、リング形または矩形のいずれかとすることができる。さらに、第2レンズは、枠内の領域を満たす照明パターンを作り出すよう配置されてもよい。このように、いくつかの距離において被写体の実質的に均一な照明が容易に達成され、かつ、ある大きさの領域内に実質的に照明をもたらすことも可能であり、これにより今度は、さらなる電力節減および発熱のさらなる低減を生み出しうるのみならず、画質のさらなる向上ももたらされる。
【0015】
第1および第2発光源の各々が、LEDを含んでもよく、該LEDがIR放射を発するよう適合されていてもよい。このことは、夜間の撮像環境において特に有用である。
【0016】
照明装置は、カメラからズーム範囲値を受け取り、受け取ったズーム範囲値を用いて、カメラからズーム範囲値に対応する距離に位置する被写体を実質的に均一に照明するように、第1および第2発光源の出力強度を制御するよう配置されていてもよい。これにより、カメラの焦点があっている被写体に対して電力効率よく適正な照明を確保することができるようになる。
【0017】
あるいは、照明装置は、ユーザ入力インタフェースと接続されており、かつ、ユーザ入力インタフェースから第3の距離を受け取り、第3の距離を用いて、カメラから第3の距離に存在する被写体を実質的に均一に照明するように、第1および第2発光源の出力強度を制御するよう配置されていてもよい。これにより、ユーザにとって易しく固定焦点カメラに対する照明を設定できるようになる。また、カメラの設置後に、必要であれば、照明設定を変更することも容易である。
【0018】
上記の利点はまた、本発明の実施形態に係る照明装置を含む方法およびカメラによっても達成される。
【0019】
本発明の実施形態に係る光景を照らすための方法は、
照明装置から第1の距離において、所定の大きさの第1領域内に実質的に照明をもたらすよう配置された、第1レンズを有する第1発光源を設ける工程と、
照明装置から第2の距離において、所定の大きさの第2領域内に実質的に照明をもたらすよう配置された、第2レンズを有する第2発光源を設ける工程と、
第1および第2発光源の出力強度を個別に制御する工程と
を含んでもよい。
【0020】
該方法は、
カメラから、照明装置から第4の距離における実際の光強度に関する情報および第4の距離における所望の光強度に関する情報を受け取る工程と、
受け取った情報に基づいて、発光源の出力強度を適合させる工程と
をさらに含んでもよい。
【0021】
このように、照明装置へのフィードバックが作成され、これにより、カメラの要求に照明をより一層正確に適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
ここで、実施例により、かつ、添付の模式図を参照することにより、本発明をさらに詳細に説明する。
【0023】
【図1】図1は、光景を観察しているカメラを示す。
【図2】図2は、照明装置の一例の詳細な模式図を示す。
【図3】図3は、被写体を照らす際に図2における照明装置がどのように用いられるかを示す。
【図4】図4は、照明装置の別の一例の詳細な模式図を示す。
【図5】図5は、種々の距離にある被写体を照らす際の図4における照明装置を示す。
【図6】図6は、光景を照らす方法のフローチャートを示す。
【図7】図7は、光景を照らす別の方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
カメラ1は、被写体3が現れる可能性のある光景2を観察する。カメラ1は、固定焦点監視カメラとすることも、カメラから種々の距離にある被写体に焦点を合わせることのできる可変焦点監視カメラとすることもできる。可変焦点カメラの場合、該カメラは、ズーム機能を有していても有していなくてもよく、かつ、ズームは、手動または電気制御のいずれであってもよい。該カメラはさらに、固定またはパン・あおり方式で可動のいずれであってもよい。カメラ1は、照明装置4に接続されており、該照明装置4は、例えば、カメラ1と一体化することも、カメラ1の外部に装着することもできる。カメラ1と照明装置4とは、ケーブルにより、または、無線接続により接続されていてもよく、これに加えて、直接接続されていても、ネットワークを介して接続されていてもよい。図1において、照明装置4は、カメラ1の筐体内に装着されて示されている。
【0025】
2つのLEDユニット5および6を含む照明装置4の模式図を図2に示す。LEDユニット5および6の各々は、LEDユニットからの発光が対応するレンズ7および8を通過するように装着されている。照明装置は、カメラ1の要求に照明をより一層適合させるために、各々が対応するレンズを有する3つ以上のLEDユニットを含んでいてもよい。図2は、明確さのために一定の縮尺にしたがっていないことに留意されたい。レンズ7および8の各々が、LEDユニット5および6からの発光に対する発散角A1およびA2を規定している。LEDユニット5および6からの発光の強度は、LEDユニット5および6に供給される電力を制御することにより制御可能である。これにより今度は、LEDユニット5および6に対する照明円錐のおおよその長さB1およびB2、この場合はつまり、各LEDユニットが、単位領域あたりの例えばmWFluxで測定される所望の光強度を供する距離が制御される。例として、10mWFlux/mが望まれる光強度であるかもしれず、そこで、照明円錐の長さは、LEDユニットが単位領域あたりでその光強度を供する距離として定義される。
【0026】
言い換えると、各LEDユニット5および6の発散角A1およびA2は、対応するレンズ7および8の光学特性により異なり、かつ、照明円錐の長さB1およびB2は、対応するLEDユニット5および6の出力強度により異なる。本実施例において、LEDユニット5の発散角A1は、他方のLEDユニット6の発散角A2より大きい。LEDユニット5の照明範囲は、照明円錐の長さB1および発散角A1により定義される。同様に、LEDユニット6の照明範囲は、照明円錐の長さB2および発散角A2により定義される。
【0027】
一例として、ズーム機能を有するカメラ1において、レンズ7および8は、カメラ1のズームレンズが完全にズームアウトしている際にカメラ1の視野に収まっている人物の全身像を第1LED5および第1レンズ7が均一に照らすように、設計または選択してもよく、そのとき、その人物への距離は、B1に等しい。第2レンズ8および第2LED6は、カメラ1のズームレンズが完全にズームインしている際にカメラ1の視野に収まっている人物の全身像を均一に照らすように設計される。そのとき、その人物への距離は、B2に等しい。
【0028】
異なる種類のLEDまたはその他の発光源を照明装置4に用いてもよい。一般的に、夜間にカメラ1とともに用いられ、赤外線写真撮影用に適合されるものとしては、例えば、赤外、より具体的には近赤外(〜850nm)スペクトルにおける光を発するLEDが選択されるだろうが、白色光LEDを用いてもよい。
【0029】
照明装置4を例示する実施形態をより詳細に説明するにあたり、図3は、図2の照明装置4をどのように用いて、カメラ1から種々の距離D1、D2およびD3に位置する被写体3を照らすことができるかを模式的に示している。本発明者らが気づいたように、照明は、カメラ1の焦点が合っている領域または被写体に主に必要とされ、必ずしもカメラ1により観察されている光景2の背景には必要ではない。ズーム機能を有するカメラ1を用いる際は、カメラ1と対応する被写体3との間の距離とは無関係に、被写体3は、概ね同じ大きさを有し、すなわち、カメラから見ると照らす必要のある領域も同じ大きさを有する。言い換えると、照らす必要のある領域の大きさは、ある被写体3に対して一定である。ズームを有するカメラとして、被写体3がカメラ1から離間するにつれて、被写体3を追跡することができる。ゆえに、カメラ1により見られる被写体3の大きさは概ね一定であり、必要とされる照明領域もまた一定である。
【0030】
図3においてカメラ1に比較的近接して示されている距離D1にある被写体3は、より大きな発散角A1を有するLEDユニット5に、距離D1にある被写体3を照らす範囲をカバーするのに十分な入力電力を供給し、LEDユニット6に入力電力を供給しないことにより、照らすことができる。その代わりに、カメラ1からさらに離間した距離D3にある被写体3が存在する場合、その被写体3は、より小さい発散角A2を有するLEDユニット6に、距離D3にある被写体3を照らすのに適した範囲をもたらすのに十分な入力電力を供給することにより、照らしてもよい。この場合、LEDユニット5には電力を供給しない。距離D3と距離D1とにおける照明領域の大きさは、実質的に同じであり、すなわち、これらの距離において、被写体3は、実質的に同じように照らされる、つまり、同じ大きさおよび強度の光が被写体3に届けられる。図3において、被写体3は通常、D1とD3との間の範囲におけるカメラ1からの距離に現れると推定することができる。
【0031】
場合によっては、いくつかのLEDユニットからの照明範囲を組み合わせて、カメラ1の撮像条件に合う全体照明範囲を作ってもよい。
【0032】
これは、距離D1とD3との間の距離D2に位置する被写体3についての場合である。この場合、LEDユニット5とLEDユニット6との両方からの光を用いて、被写体3を照らし、例えば、各LEDユニットの最大動作入力電力の50%を用いてもよい。
【0033】
LEDユニット5および6に対する入力電力の制御は、各LEDに対して「オン」および「オフ」状態を有することにより、または、対応するLEDユニット5、6に対する入力電力を連続してもしくはこれらユニットに対する最大入力電力の例えば0%、25%、50%、75%および100%といったいくつかのデジタル段階で調節することにより行ってもよい。これが今度は、カメラ1のある特定の撮像設定またはある特定の使用の場合に対する照明は、異なるLEDユニット5、6の入力電力を制御することにより調整することができるということになる。カメラ1の上記特定の撮像条件については必要ない照明範囲をもたらす1つまたは複数のLEDユニットは、電力供給されない。これにより、全LEDユニットが常時電力供給されている場合と比較して、熱の発生と電力消費との両方が低減される。被写体を照らすためのある数のLEDを組み合わせる際、熱に関連する性能の問題の危険性は低くなり、エネルギー効率は向上するだろう。この向上は、一般的に温度が上昇するにつれてLEDはより多くの電力を要するからであり、すなわち、1つのLEDをその電力の100%で用いるより2つのLEDをそれらの最大電力の50%で組み合わせる方がよりエネルギー効率が高いということである。
【0034】
照明装置においてある数のLEDおよびレンズを組み合わせることはまた、特定の状況における要求に照明を調整することができるという利点がある。
【0035】
照明装置4を用いて、動作中に撮像条件に照明を動的に合わせることができるが、また、カメラ1を構成および設置するときに正しい照明を単純かつ効率的に選択することもできる。また、いったん配置したカメラ1の照明設定をLEDユニットを交換する必要なしに変更することも容易である。一例として、LEDユニット5および6に対する入力電力を制御するために、電動ズーム可能なカメラの撮像レンズのズーム値を入力パラメータとして用いることができる。別の例として、照明範囲―または被写体3への(予想)距離―をユーザインタフェース、例えば、固定焦点カメラのユーザインタフェースにおいてユーザにより設定可能である。別の任意選択としては、高度画像処理を用いて焦点面までの距離を、それから最適なライティング設定を計算し、次いでそれに応じて照明装置4を制御する。一実施形態において、ズーム値は、起動すべきLEDを選択し、こうして、照明の角度を規定するのに用いられる第1段階に含まれる。第2段階において、焦点面までの距離を用いて、LEDに対する入力電力を制御し、こうして、照明の強度を規定する。
【0036】
さらなる例として、ある距離においてカメラ1により測定された実際の光強度を、その距離における所望の光強度と比較してもよく、その結果を用いて、LEDへ供給される電力を適合させてもよい。
【0037】
図4および図5に示されているように、円形の対称な照明円錐以外の照明パターンを作り出すための高度なレンズ技術を用いることができる。照明装置4の図4に示されているレンズ7は、本実施例では、LEDユニット5がカメラ1により見える光景の周辺部の一部のみを照らすように設計されていてもよい、すなわち、レンズ7は、枠形の照明パターン10をもたらすように設計されている一方で、第2レンズ8は、LEDユニット6からの発光が実質的に円形の形状またはパターン11の中の上記枠形形状10内に収まるように設計されていてもよい。このようにして、LEDユニットの効率的な使用が達成される。図4に示されているように、これは、LED5のものよりさらにより大きな発散角A3をもたらし、かつ、今度は照明枠10を取り囲む枠形の照明パターン9を作り出すレンズ13を有する第3LEDユニット12を照明装置4内に追加することによりさらに促進される。LED12の照明範囲は、照明円錐の長さB3(すなわち、LEDが単位範囲あたりある光強度をもたらす距離)と発散角A3とにより規定される。
【0038】
なお、円形以外の形状を作り出すレンズを用いて一式全体を実装してもよく、例えば、いくつかの場合においては、矩形の形状またはパターンが有用であることがある。別の任意選択としては、ブレゼル(Bresel)型の枠、すなわち、枠の中心点に対して内側側面が凸形状となっている枠形状を用いることがある。カメラ用の適切な照明設定を作り出すために必要なことによっては、その他の形状またはパターンを用いてもよい。
【0039】
なお、図4および図5の実施例におけるレンズは、カメラ1からの所与の距離にある照明領域の大きさが実質的に同じであるように設計されている。図5において、これは、3つのLED5、6および12の組み合わせが、組み合わされた際に実質的に同じ大きさの均一に照明された領域をもたらす距離D9、D10およびD11における場合である。図5において、照明円錐の直径が3つのLED5、6および12のすべてに対して等しくなるような量の電力をLEDユニット5、6および12に供給するとき、言い換えると、各LED5、6または12からの単位領域あたりのある強度の光を実質的に所定の大きさの領域内にもたらすときのLEDユニット5、6および12の各々の照明円錐が示されている。これは例示的目的のために過ぎず、実際の状況においては、用いられるLED5、6および12は、これらの照明円錐が1つの同じ距離にある被写体に到達するような電力が供給されることとなる。一例として、カメラ1から距離D11にある被写体を照らすためには、照明パターン11を作り出すLED6のみに電力が供給され、その後、LED6からの照明円錐が距離D11においてその距離にある被写体を均一に照らすために(例えば、単位領域あたりのmWFluxで測定される)所望の光強度を供するような量まで供給される。これが、例えば、LED6に全電力の100%が供給されるときでありうる。
【0040】
別の例として、距離D10において、照明パターン10を有するLED5および照明パターン11を有するLED6は両者とも、それらの照明円錐が距離D10における被写体に到達し、実質的に均一に照らすような量まで照らされる電力を供給される。実質的に均一な照明は、本文脈において、被写体の識別を困難にするような程度にまで露出過度または露出不足の部分を有さずに、カメラが被写体の認識可能な映像を作り出せるようにする被写体の照明をもたらすものとして解釈されてもよい。例えば、これは、照明パターン10を有するLED5がその最大定格入力電力の100%で点灯され、かつ、照明パターン11を有するLED6が50%で点灯されるときとすることも可能である。照明パターン9を作り出すLEDは、この状況では必要なく、かつ、まったく電力供給されない。次いで、LED6は、距離D10における全照明パターンの内側部分を照らし、かつ、LED5は、周辺部分を照らす。組み合わせて、これらは、その距離における被写体の均一な照明をもたらす。
【0041】
最後の例において、距離D9にある被写体は、3つのLED5、6および12のすべてを組み合わせることにより均一に照らしてもよい。次いで、照明パターン11を有するLED6は、電力の例えば25%が供給され、照明パターン10を有するLED5は75%が供給され、照明パターン9を作り出すLED12は、その最大電力の100%が供給されることとなる。これは合計で、距離D9に位置する被写体の均一な照明を作り出す。
【0042】
内側照明形状を取り囲む照明枠を作り出すある数のLEDおよびレンズを用いることにより、カメラからの種々の距離において概ね同じ大きさを有する領域内で均一な照明をもたらすことができる。図4および図5に示されている実施例においては、3つのLEDおよびレンズが用いられているが、当面の状況に適したように、いかなる数のLEDおよびレンズを用いることもできる。各距離において、その距離における均一の照明をもたらすための各LEDに供給される電力量を、その場でまたは事前に計算する。後者の場合、LEDに対する電力設定は、照明装置内または該装置に接続されている何らかの種類のメモリにおけるテーブルに保存してもよい。
【0043】
レンズによりもたらされる形状またはパターンの外側に明らかに何らかの光が到達する可能性があることに気づくかもしれないが、LEDからの光の大部分、例えば80%以上が、所与の距離にある所定の大きさの領域内に到達するだろうと仮定することは合理的である。なお、LEDおよびレンズにより作り出される種々の照明パターンまたは形状の中心点が少なくともおおよそ共通の軸を有していると、すなわち、LEDからの光円錐の中心軸が互いに実質的に一致して、均一な照明を作り出していることが好適であるかもしれない。これに加えて、LEDにより照らされている領域は、互いに実質的にまたは概ね平行であることが分かるだろう。
【0044】
図6において、本発明の実施形態に係る光景を照らす方法を説明するフローチャートを示す。工程12において、第1および第2発光源を設ける。フローチャートでは、LEDという用語が用いられているが、その他の光源を用いてもよい。発光源の各々が、照明装置から第1の距離D1において第1発光源が所定の大きさの第1領域内に実質的に照明をもたらし、かつ、照明装置から第2の距離D3において第2発光源が所定の大きさの第2領域内に実質的に照明をもたらすように配置されたレンズを有する。工程13において、第1および第2発光源の出力強度を個別に制御して、所望の照明をもたらす。図7に示されているように、任意の工程14では、カメラ1が、ある距離にある被写体における光強度を測定し、これを所望の光強度と比較してもよく、次いで、この情報をフィードバックして、工程13において発光源を制御してもよい。
【0045】
本発明の実施形態に係る方法および照明装置は、上で触れたように、数多くの種々のカメラにおいて有用であるかもしれない。固定焦点レンズを有するカメラにおいては、照明を設置およびセットするユーザにとってより易しい方法が提供される。照明領域の光強度は、カメラに設けることもできる、例えば、グラフィカルまたはその他の種類のユーザインタフェースを介して容易に制御可能である。
【0046】
可変焦点のズームできないレンズを有するカメラでは、本発明の実施形態を用いて、カメラの焦点にしたがって照明の強度を制御する、例えば、短距離における露出過度に対処することもできる。上記調節は、カメラから焦点面への距離に基づいて行ってもよく、該距離は、ユーザインタフェースにおいて手入力しても、画像処理を介して計算してもよい。
【0047】
ズームカメラが、前に説明したようにズーム可能なレンズを持つ光学ズームを有するズームカメラか、デジタルズームを有するズームカメラのいずれか、または、これら2つの組み合わせを有するズームカメラである際に、カメラレンズがズームインまたはアウトする距離において適正な照明がもたらされるように、前に説明したように、照明強度の調節をズームおよび/または焦点値に追従させることが可能であろう。
【0048】
最後に、パンまたはあおり機能を有するカメラにおいて、本発明の実施形態はまた有用である可能性がある。カメラの可動部内に光源を配置してもよい。パン・あおりカメラが監視巡回に追従するとき、視界は完全に照らされる。ただし、特定の被写体が見つかれば、その後、照明をある地点に集中させて、その地点の照明を強めてもよく、その代わりに画像全体の周辺部がここではより暗い領域を有するようになる。目的とする被写体は、実質的に均一に照らされるようになる。あるいは、カメラの固定部上に光源を配置してもよく、カメラの視線方向に基づいて照明角度を制御する。前に説明したように、照明強度は、ズーム値および焦点面への距離により制御される。
【符号の説明】
【0049】
1 カメラ
2 光景
3 被写体
4 照明装置
5 LEDユニット
6 LEDユニット
7 レンズ
8 レンズ
9 照明パターン
10 照明パターン
11 照明パターン
12 LEDユニット
13 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ(1)により観察される光景(2)を照らすための照明装置であって、前記装置(4)が、
枠(9、10)の形態の照明パターンを作り出すよう配置された第1レンズ(7)を有する第1発光源(5)と、
枠内の領域を満たす照明パターン(11)を作り出すよう配置された第2レンズ(8)を有する第2発光源(6)と
を含み、
第1および第2発光源(5、6)の出力強度が個別に制御可能である照明装置。
【請求項2】
照明装置(4)が被写体(3)の実質的に均一な照明をもたらすよう配置されている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
第1レンズ(7)がリング形の照明パターン(10)を作り出すよう配置されている、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
第1レンズ(7)が矩形枠形の照明パターンを作り出すよう配置されている、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項5】
第1および第2発光源(5、6)の各々がLEDを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
第1および第2発光源(5、6)がIR放射を発する、請求項1から5のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
照明装置(4)が、カメラ(1)からズーム範囲値を受け取り、受け取ったズーム範囲値を用いて、カメラ(1)からズーム範囲値に対応する距離にある被写体を実質的に均一に照明するように、第1および第2発光源(5、6)の出力強度を制御するよう配置されている請求項1から6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
照明装置(4)が、ユーザ入力インタフェースと接続されており、かつ、ユーザ入力インタフェースから第3の距離を受け取り、この第3の距離を用いて、カメラから第3の距離にある被写体を実質的に均一に照明するように、第1および第2発光源(5、6)の出力強度を制御するよう配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項9】
カメラにより観察される光景を照らす方法であって、
枠(9、10)の形態の照明パターンを作り出すよう配置された、第1レンズ(7)を有する第1発光源(5)を設けることと、
枠内の領域を満たす照明パターン(11)を作り出すよう配置された、第2レンズ(8)を有する第2発光源(6)を設けることと、
第1および第2発光源(5、6)の出力強度を個別に制御することと
を含む方法。
【請求項10】
カメラ(1)からズーム範囲値を受け取ることと、
受け取ったズーム範囲値を用いて、カメラ(1)からズーム範囲値に対応する距離にある被写体を実質的に均一に照明するように、第1および第2発光源(5、6)の出力強度を制御することと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
照明装置(4)をユーザ入力インタフェースと接続することと、
ユーザ入力インタフェースから第3の距離を受け取ることと、
第3の距離を用いて、カメラ(1)から第3の距離にある被写体を実質的に均一に照明するように、第1および第2発光源(5、6)の出力強度を制御することと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
照明装置(4)から第4の距離における実際の光強度に関する情報および第4の距離における所望の光強度に関する情報をカメラ(1)から受け取ることと、
受け取った情報に基づいて、発光源(5、6)の出力強度を適合させることと
をさらに含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
リング形の照明パターン(10)を作り出すよう第1レンズ(7)を配置する、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
矩形枠形の照明パターンを作り出すよう第1レンズ(7)を配置する、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から8のいずれか一項に記載の照明装置(4)を含むカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−173738(P2012−173738A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−10638(P2012−10638)
【出願日】平成24年1月23日(2012.1.23)
【出願人】(502208205)アクシス アーベー (39)
【Fターム(参考)】