説明

カメラ装置及びスルー画像表示方法

【課題】 撮影待機状態における使い勝手を向上させることができるカメラ装置及びスルー画像表示方法を提供する。
【解決手段】 例えば撮影条件の異なる複数の撮影モードを見本画像を介して選択可能なベストショット撮影機能を備えたデジタルカメラに、スルー画像や記録画像を表示する液晶モニタとして縦横比が縦横比が「3:6」の横長の表示画面9aを備えたものを使用する。撮影待機状態では、所定間隔で撮像された被写体画像に基づき、通常のスルー画像G1と、ベストショット撮影機能等により選択された撮影モードの撮影条件を反映させたプレビュー画像G3を生成する。表示画面9aを、「3:4」の縦横比を有する最大表示領域Aとその他の領域B,Cとに分割し、最大表示領域Aにプレビュー画像G3を表示させ、他の領域B,Cにスルー画像G1と見本画像G2を表示させ、撮影待機状態で、選択中の撮影モードによる効果を確認可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影条件の異なる複数の撮影モードを備えたデジタルカメラ等のカメラ装置、及びそのカメラ装置におけるスルー画像表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、CCD等の撮像素子を用いて撮像した画像をデジタルデータとして記録するデジタルカメラにおいては、電子ファインダーとして機能する液晶モニタを備えたものが一般的であり、ユーザーは液晶モニタに表示されるスルー画像、すなわち逐次撮像される被写体画像に基づく画像よってフレーミングの状態を確認しながら撮影操作を行うことが可能となっている。
【0003】
また、デジタルカメラにおいては、ポートレート、風景、夜景等の複数の撮影モードが設けられており、ユーザーは被写体に対応する撮影モードを予め選択しておくことにより、シャッタースピード、絞り値等の撮影条件を被写体に適したものに簡単に設定できるものが多い。さらに、デジタルカメラにおいては、互いに異なる撮影条件に基づく撮影結果を例示する見本画像を多数用意しておき、撮影者に、これから撮影しようとする被写体と同様の撮影シーン、或いは好みに応じた雰囲気の撮影シーンを見本画像を介して選択させ、撮影時には、選択された撮影シーンに対応するシャッタースピードや絞り値、色バランス等の撮影条件を自動的に設定する撮影機能(以下、ベストショット撮影機能と言う。)を備えたものが、下記の特許文献1において公知である。係るベストショット撮影機能を備えたものでは、被写体の種類や撮影環境、あるいは好みに適した多種多様な撮影シーンに応じた撮影モードが見本画像を介して簡単に選択できるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−10134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したように被写体の種類に応じた複数の撮影モードが用意されていたとしても、撮影者は、実際に撮影を行ってその結果を確認するまでは、撮影結果がどの様な画像となるのかを知ることができない。また、前述したベストショット撮影機能を有していれば、見本画像によって、そのときの撮影モードによる撮影結果がどの様な画像となるのかを知ることができるが、見本画像はあくまでも撮影結果の例示に過ぎない。そのため、撮影者は、撮影結果を自分でイメージしながら構図等を決めなければならず、使い勝手が未だ十分とは言えなかった。
【0006】
本発明は、かかる実情に課題に鑑みてなされたものであり、撮影待機状態における使い勝手を向上させることができるカメラ装置及びスルー画像表示方法と、それらを実現させるためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため請求項1の発明にあっては、請求項1の発明にあっては、撮像手段により撮像された被写体画像のスルー画像を表示手段に表示しながら、撮影操作に応答した撮影動作により前記被写体画像を記録する撮影動作を行う一方、撮影動作時における撮影条件が異なる、選択可能な複数の撮影モードを備えたカメラ装置において、前記撮像手段により撮像された被写体画像に、選択されている撮影モードの撮影条件の内容に対応する処理を施し確認画像を生成する生成手段と、撮影待機状態で、前記生成手段により生成された確認画像を前記スルー画像と共に前記表示手段に表示させる表示制御手段とを備えたものとした。
【0008】
かかる構成においては、撮影待機状態にあるとき、確認画像とスルー画像との違いによって、そのとき選択されている撮影モードによる効果を使用者に確認させることができる。
【0009】
また、請求項2の発明にあっては、撮影待機状態で、使用者による所定の変更操作に応答して撮影モードを変更する制御手段を備えたものとした。
【0010】
かかる構成においては、撮影待機状態のまま撮影モードによる効果を確認させながら、撮影モードを変更することができる。
【0011】
また、請求項3の発明にあっては、前記撮影モードは、複数種の撮影条件による撮影結果を例示する複数の見本画像の選択操作により選択される撮影モードであるものとした。
【0012】
また、請求項4の発明にあっては、前記表示制御手段は、前記表示手段の表示画面を複数領域に分割し、前記スルー画像と前記確認画像とを互いに異なる表示領域に表示させるものとした。
【0013】
かかる構成においては、撮影モードによる効果を確認に際してスルー画像と確認画像との全体像を同時に比較させることができる。
【0014】
また、請求項5の発明にあっては、前記表示制御手段は、前記表示手段の表示画面を複数領域に分割し、前記スルー画像と前記確認画像と前記見本画像とを互いに異なる表示領域に表示させるものとした。
【0015】
かかる構成においては、選択されている撮影モードを見本画像を介して使用者に知らせることができる。
【0016】
また、請求項6の発明にあっては、前記表示手段の表示画面は前記撮像手段により撮像される被写体画像と異なる縦横比を有し、前記表示制御手段は、その表示画面を、前記被写体画像と同一の縦横比を有する表示可能な最大サイズの最大表示領域を含む複数の表示領域とに分割するとともに、前記最大表示領域に前記確認画像を表示させるものとした。
【0017】
かかる構成においては、確認画面をスルー画像よりも大きくすることにより、撮影モードによる効果を、より分かりやすく使用者に教えることができる。
【0018】
また、請求項7の発明にあっては、前記表示制御手段は、前記確認画像の所定領域に前記スルー画像を縮小して表示させるものとした。
【0019】
かかる構成においても、確認画面をスルー画像よりも大きくすることにより、撮影モードによる効果を、より分かりやすく使用者に教えることができる。
【0020】
また、請求項8の発明にあっては、前記表示制御手段は、前記確認画像の所定領域に前記スルー画像と前記見本画像とを縮小して表示させるものとした。
【0021】
かかる構成においても、そのとき選択されている撮影モードを見本画像を介して使用者に知らせることができる。
【0022】
また、請求項9の発明にあっては、撮像手段により撮像された被写体画像のスルー画像を表示手段に表示しながら、撮影操作に応答した撮影動作により前記被写体画像を記録する撮影動作を行う一方、その撮影動作時における撮影条件が異なる選択可能な複数の撮影モードを備えたカメラ装置において、撮影待機状態で、前記撮像手段により撮像された被写体画像に、選択されている撮影モードの撮影条件の内容に対応する処理を施し確認画像を生成する工程と、生成した確認画像を前記スルー画像と共に前記表示手段に表示する工程とを含む方法とした。
【0023】
かかる方法によれば、撮影待機状態にあるとき、確認画像とスルー画像との違いによって、そのとき選択されている撮影モードによる効果を使用者に確認させることができる。
【0024】
また、請求項10の発明にあっては、撮像手段により撮像された被写体画像のスルー画像を表示手段に表示しながら、撮影操作に応答した撮影動作により前記被写体画像を記録する撮影動作を行う一方、その撮影動作時における撮影条件が異なる選択可能な複数の撮影モードを備えたカメラ装置が有するコンピュータに、撮影待機状態で、前記撮像手段により撮像された被写体画像に、選択されている撮影モードの撮影条件の内容に対応する処理を施し確認画像を生成させる手順と、生成された確認画像を前記スルー画像と共に前記表示手段に表示させる手順とを実行させるためのプログラムとした。
【発明の効果】
【0025】
本発明にあっては、撮影待機状態にあるとき、確認画像とスルー画像との違いによって、そのとき選択されている撮影モードによる効果を使用者に確認させることができるようにしたことから、撮影モードによる効果に相応しい構図が決定しやすくなる等、撮影待機状態における使い勝手を向上させることが可能となる。
【0026】
また、本発明のカメラ装置によれば、撮影待機状態のまま撮影モードによる効果を確認させながら、撮影モードを変更することができるようにしたことから、撮影待機状態における使い勝手をより一層向上させることが可能となる。
【0027】
また、撮影モードによる効果を確認に際してスルー画像と確認画像との全体像を同時に比較させたり、確認画面をスルー画像よりも大きくすることにより、撮影モードによる効果を、より分かりやすく使用者に教えることができるようにした。それによっても、撮影待機状態における使い勝手をより一層向上させることが可能となる。
【0028】
また、撮影モードが、複数種の撮影条件による撮影結果を例示する複数の見本画像の選択操作により選択される撮影モードであるものにおいて、そのとき選択されている撮影モードを、見本画像を介して使用者に知らせることができるようにした。よって、上記撮影モードでの撮影待機状態における使い勝手をより一層向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の各実施の形態に共通するデジタルカメラの外観斜視図であって、(A)は正面側、(B)は背面側から観た図である。
【図2】同デジタルカメラの電気的構成の概略を示すブロック構成図である。
【図3】シーンデータの構成を示す模式図である。
【図4】撮影条件データの制御項目と、シーン番号毎の制御項目のパラメータの例を示した模式図である。
【図5】オートベストショットモードでの撮影時における動作を示すフローチャートである。
【図6】プレビュー画像の生成処理の内容を示すフローチャートである。
【図7】オートベストショットモードでの撮影待機状態におけるTFT液晶モニタの表示画面例を示す図である。
【図8】他の実施の形態を示す図7に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。本実施の形態は、撮影者等が被写体の種類や撮影環境、あるいは好みに適した多種多様な撮影シーンに応じた撮影モードを見本画像を介して選択可能な、従来技術で既説したベストショット撮影機能を備えたデジタルカメラに関するものである。
【0031】
図1は、本実施の形態におけるデジタルカメラ1の外観を示す図であって、図1(A)は正面上方側、同図(B)は背面上方側から観た斜視図である。図示する如く、デジタルカメラ1の直方体の平板状の筐体であるカメラ本体2の上面、右端部寄りには、電源キー3と、シャッターキー4とが配設されている。電源キー3は、電源のオン/オフ状態を切換えるものであり、シャッターキー4は、その操作により記録モード時にシャッタ動作を行わせる他、各種動作モードのメニュー項目を表示されている状態では選択/実行キーとしても機能する。
【0032】
また、デジタルカメラ1の背面には、光学ファインダ5、記録(REC)/再生(PLAY)切換スイッチ6、メニュー(MENU)キー7、表示されたメニュー項目等を選択するためのカーソルキー8、及び表示手段であるTFT液晶モニタ(以下、単に液晶モニタという。)9が配設されている。記録/再生切換スイッチ6は、記録モードと再生モードとを切換えるためのスライドスイッチであり、メニューキー7は、各種動作モードのメニュー項目等を表示させるためのものであり、カーソルキー8は、表示されたメニュー項目等を移動するためのものである。
【0033】
液晶モニタ9は、バックライト付きのカラー液晶表示パネルで構成され、記録モードによる撮影待機状態では被写体画像(スルー画像)をモニタ表示する他、上記メニューキー7の操作により動作モード等の選択状態等も表示する。前記カラー液晶表示パネルは通常のものに比べ横長であり、液晶モニタ9は通常の縦横比(3:4)よりも横長の縦横比(本実施の形態では3:6)を備えた表示画面9aを有している。さらに、カメラ本体2の正面には、撮影レンズ10、光学ファインダ窓11、セルフタイマランプ12、及びストロボ発光部13が配設されている。
【0034】
図2は、前記デジタルカメラ1の電気的構成の概略を示すブロック構成図である。デジタルカメラ1は撮像手段であるCCD22を備えるとともに、CCD22により撮像した画像を圧縮・伸張し、所定フォーマット、例えば統一規格DCF(Design rule for Camera File system)やJPEG(Joint Photographic Expert Group)に準拠するフォーマットの画像ファイルを生成・再生する画像処理機能を備えたMPU23を中心に構成されている。CCD22の受光面には、前記撮影レンズ10、フォーカスレンズ25、絞り26を通過して被写体の光学像が結像される。フォーカスレンズ25はAFモータ等からなる駆動機構27に保持されており、MPU23からの制御信号によりAFドライバー28が出力する駆動信号が駆動機構27に供給されることにより光軸上を前後に移動する合焦動作を行う。絞り26は、MPU23からの制御信号に基づき絞り駆動部29が発生する駆動信号により駆動しCCD22に入射する被写体像の光量を調整する。
【0035】
また、MPU23には、タイミング信号を発生するTG(Timing Generator)30が接続されており、TG30が発生したタイミング信号に基づきVドライバー31(垂直方向ドライバー)がCCD22を駆動し、それに伴いCCD22により被写体像の輝度に応じたアナログの撮像信号が出力されユニット回路32へ送られる。ユニット回路32は、CCD22から出力された撮像信号を保持するCDSと、CDSから撮像信号を供給されるアナログアンプであるゲイン調整アンプ(AGC)と、ゲイン調整アンプに増幅され調整されたアナログの撮像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器(AD)とからなり、CCD22の出力信号は、ここで黒レベルを合わせてサンプリングされデジタル信号としてMPU23に送られる。
【0036】
MPU23には、図1に示した各種のスイッチ群を含む操作キー部33、前記液晶モニタ9、ストロボ34、DRAM35、MROM36、フラッシュメモリ37、充電池を含む電源回路38が接続されている。
【0037】
DRAM35は作業用のメモリ、フラッシュメモリ37は画像記録用のメモリであり、CCD22からMPU23に送られたデジタル信号(撮像信号)はDRAM35に一時保存されるとともに、MPU23によって各種の画像処理が施された後、最終的には圧縮された画像データとしてフラッシュメモリ37に記録される。なお、フラッシュメモリ37はカメラ本体2に着脱自在なカード型のものであってもよい。
【0038】
フラッシュメモリ37に記録された画像データは、必要に応じてMPU23に読み出され、伸長処理、輝度信号及び色信号の付加等の処理を経てデジタルビデオ信号やアナログビデオ信号に生成された後、液晶モニタ9によって表示される。また液晶モニタ9には、記録モードにおいて周期的に撮像された画像が、所定の画素数に間引きされた後、スルー画像として表示される。
【0039】
MROM36は、MPU23における各部の制御及びデータ処理に必要な各種の動作プログラムが記録されたプログラムROMである。MROM36には撮影時の適正な露出値(EV)に対応する絞り値(F)とシャッタースピードとの組み合わせを示すプログラム線図を構成するプログラムAEデータや等の各種データが格納されている。なお、上記の動作プログラムや各種データは、フラッシュメモリ37に記録されていてもよい。また、MROM36が、記憶内容の書き換えが可能なEPPROM等の不揮発性メモリである場合には、上記の動作プログラム等はパソコン等の他の機器、或いはインターネット等を用いた通信手段を介して他の装置から供給された構成であってもよい。
【0040】
MPU23は、前記プログラム線図に従い、シャッター速度である前記CCD22の電荷蓄積時間や、前記絞り26の開放度、前記ユニット回路32におけるゲイン調整アンプ(AGC)のゲインの制御によるAE制御を行うとともに、所定のプログラムに従い前記フォーカスレンズ25を駆動するAF(オートフォーカス)制御、AWB(オートホワイトバランス)制御を行う。また、シャッターキー4が操作された時(撮影操時)には、必要に応じてストロボ34による撮影補助光の発光、及びその発光量を制御する。
【0041】
また、MPU23は、記録(REC)モードの下位モードであるベストショット・モードでは、使用者の操作に応じた見本画像等の表示制御や、ユーザーにより選択された見本画像(撮影シーン)に応じた撮影条件の設定に関する制御を行い、本発明の生成手段、表示制御手段、制御手段として機能する。
【0042】
フラッシュメモリ37には、撮影により取得された画像データが記録される領域とは別に設けられた所定領域に、上記ベストショット・モードで使用されるシーンデータ101が多数記憶されている。
【0043】
図3は、前記シーンデータ101の構成を示す模式図である。図示したようにシーンデータ101は、データ管理用のシーン番号201と、それに対応する見本画像202、撮影条件203、コメント情報204各データから構成されている。見本画像データ202は、シーンセレクトモードでのシーン選択時に液晶モニタ9に表示される画像データであり、例えば各種のポートレート、二人の人物が並ぶツーショット、人と風景、夕日を浴びた山、遊園地、都市の夜景、ペット、花畑など各種の撮影シーンを示す見本画像のデータである。
【0044】
前記撮影条件データ203は、後述するシーンセレクトモードの設定時に選択可能な複数の撮影モードの各々に対応して予め設定されているデジタルカメラ1の撮影条件を示すデータ、すなわちフォーカス制御、シャッター速度、絞り、EVシフト量、感度、・・・といった電子スチルカメラ1において制御可能な複数の制御項目の内容を示すパラメータである。なお、図4は、撮影条件データ203の制御項目と、シーン番号毎の制御項目のパラメータの例を示した図である。また、コメント情報204は、見本画像と共に液晶モニタ9に表示されるシーン名称やシーン説明等の文字データである。
【0045】
次に、以上の構成からなるデジタルカメラ1において、ユーザーによりベストショット・モードが設定されたときの動作について説明する。図5は、その場合におけるMPU3の処理手順を示したフローチャートである。
【0046】
MPU3は、まずフラッシュメモリ37に記憶されている前述したシーンデータ101を読み出し、見本画像と、それに対応するシーン名称等からなる図示しないシーン選択画面を液晶モニタ9に表示させる一方(ステップS1)、ユーザーにカーソルキー8を操作させ、上記シーン選択画面内の見本画像及びシーン名称等を所定の順に送り表示することにより所望の撮影シーンを選択させる(ステップS2)。そして、ユーザーによる所定の決定操作(シャッターキー4の押下等)によって撮影シーンが決定したら(ステップS3でYES)、その時点でシーン選択画面に表示している見本画像に対応するシーン番号201の撮影条件データ203を読み出し、それを撮影動作時の撮影条件として設定する(ステップS4)。
【0047】
引き続き、ここで決定した撮影条件での撮影モードによる撮影待機状態に移行し、CCD2による所定間隔での撮像、つまり被写体画像の取り込みを開始するとともに(ステップS5)、取り込んだ画像の画素数を所定数に間引いて通常のスルー画像を生成し、それをDRAM35に一時記憶する(ステップS6)。さらに、取り込んだ画像に、その時点で設定されている撮影条件に応じた所定の画像処理を施しプレビュー画像(確認画像)を生成する(ステップS7)。
【0048】
すなわち図6に示したように、撮影条件にEVシフト量に標準以外の設定があれば、そのシフト量に応じて画像の明るさを増減し、同様にコントラストの設定があれば、コントラストを増減させる(ステップS101〜S104)。また、撮影条件に色フィルタやホワイトバランス(WB)や色強調といった画像の色合いに関する設定があれば、それらに応じて画像全体の色合いを調整し、彩度の設定があれば、設定されている度合に応じて彩度を増大させる(ステップS106〜S109)。さらに、撮影条件にシャープネスの設定があれば、設定されている度合に応じた強さのシャープネス用のフィルタ処理を行い、処理後のDRAM35に一時記憶する(ステップS110〜S112)。なお、図6に示した処理の内容は一例であり、上記以外にも撮影待機状態において、撮像された画像に反映させることができる撮影条件が存在する場合には、その撮影条件に対応した処理を施すこととなる。
【0049】
しかる後、図7に示したように液晶モニタ9の表示画面9aを、その左辺全体を左辺とする3:4の縦横比の第1の表示領域(最大表示領域)Aと、残りの右側領域を上下に2分した3:4の縦横比の第2及び第3の表示領域(他の領域)B,Cとにそれぞれ分割し、ステップS7で生成したプレビュー画像G3を第1の表示領域Aに、ステップS2で読込んでいた選択中の撮影シーンの見本画像G2を第2の表示領域Bに、ステップS6で生成したスルー画像G1を第3の表示領域Cにそれぞれ表示させる(ステップS8)。なお、このとき、見本画像G2(第2の表示領域B)の下辺に沿ってシーン名称Mを表示させる。
【0050】
それ以後、シャッターキー4が押されるまでは(ステップS12でNO)、ステップS5へ戻って前述した処理を繰り返すことにより、被写体画像を新たに取り込む毎にスルー画像G1とプレビュー画像G3とを更新する。これにより、ユーザー(撮影者)は、フレーミングを行っている間に、スルー画像G1とプレビュー画像G3との違いを確認することにより、自分が選択した撮影シーンに対応する撮影条件(設定中の撮影モード)による効果を確認することができる。
【0051】
また、MPU3は、上述した撮影待機中にユーザーによってシーン変更操作(カーソルキー8の操作)があると(ステップS9でYES)、その操作に応じ、選択されている撮影シーンの前又は後のシーン番号の見本画像を読み出すとともに(ステップS10)、設定中の撮影条件を、新たに選択された撮影シーン(見本画像)に対応する撮影条件に変更する(ステップS11)。そして、ステップS7へ戻り前述した処理を繰り返すことによって、液晶モニタ9に表示している見本画像G2(及びシーン名称M)とプレビュー画像G3とを更新する。
【0052】
そして、上述した処理を伴う撮影待機中にシャッターキーが押されたら(ステップS12でYES)、その時点で設定されている撮影条件での撮像を行い、撮像した画像を記録する(ステップS13)。これにより、ベストショット・モードによる一回の撮影操作を完了する。なお、これ以後は、ベストショット・モードの設定が解除されるまで、前述したステップS6以降の処理を繰り返すこととなる。
【0053】
以上のように本実施の形態では、ベストショット・モードでの撮影待機中において、ユーザーは、スルー画像G1とプレビュー画像G3との違いによって、その時点で設定されている撮影モードによる効果を事前に確認することができる。したがって、その効果に相応しい構図の決定が行いやすくなり、撮影待機中における使い勝手がよくなる。また、例えばプレビュー画像G3のイメージが自分が思い描くイメージと異なる場合には、その時点で、撮影シーンを再選択して撮影条件が異なる他の撮影モードへ変更することができる。つまり無駄な撮影操作を行わずに済む。
【0054】
また、撮影モードの変更を撮影待機状態のまま行うことができる、つまり他の撮影モードによる効果を実際の被写体で確認しながら行うことができる。しかもスルー画像G1及びプレビュー画像G3と共に見本画像G2等が表示されているため、所望の撮影モード(撮影シーン)が選択しやすい。これらによっても撮影待機中における優れた使い勝手を確保することができる。なお、見本画像G2は必ずしも表示させなくともよい。
【0055】
また、液晶モニタ9が、CCD22によって撮像される画像の縦横比よりも横長の縦横比の表示画面9aを有したものであり、撮影待機状態では、その表示画面9aを第1〜第3の表示領域A〜Cに分割し、もっとも大きな第1の表示領域にプレビュー画像G3を表示させるため、設定されている撮影モードによる効果が確認しやすく、便利である。しかも、本実施の形態においては表示画面9aの縦横比が「3:6」であるため、表示画面9a全体を用いながら、プレビュー画像G3をスルー画像G1よりも大きく表示させることができるため都合がよい。
【0056】
また、本実施の形態においては、表示画面9aがCCD22によって撮像される画像の縦横比よりも横長の縦横比を有する場合について説明したが、表示画面9aの縦横比は、例えば撮像される画像と同様の「3:4」や、或いはそれ以外の比率であっても構わない。但し、「3:4」以外であれば、本実施の形態と同様にプレビュー画像G3をスルー画像G1よりも大きく表示させる際には、それが行いやすくなる。また、液晶モニタ9の表示画面9aの縦横比がどのような比率である場合であっても、その分割の形態は任意である。
【0057】
また、本実施の形態では、デジタルカメラ1がベストショット撮影機能を有しており、撮影動作時における撮影条件が互いに異なる撮影モードを見本画像の選択操作によって選択可能であるものについて説明したが、ベストショット撮影機能を有していないデジタルカメラにも本発明は適用可能である。例えば夜景モードのように被写体の種類等に応じた特定の撮影モードを有するものでは、それらの撮影モードが設定されたときの撮影待機状態においてスルー画像と共に前述したようなプレビュー画像を表示させれば、その撮影モードの効果に相応しい構図の決定が行いやすくなる。したがって、その場合においても、撮影待機中における使い勝手を向上させることができる。
【0058】
(他の実施の形態)
次に、本発明に係る他の実施の形態について説明する。本実施の形態は、図1及び図2に示した構成において、前記TFT液晶モニタ9が「3:4」の通常の縦横比を有するとともに、MROM36に、MPU23に以下の表示制御を行わせるためのプログラムが格納されたデジタルカメラに関するものである。
【0059】
本実施の形態においても、MPU23は、ユーザーによりベストショット・モードが設定されたときには、図5及び図6を以て説明したと同様の処理を実施し、ユーザーに所望する撮影シーンを選択させるとともに、撮影待機状態においては、前述したスルー画像及びプレビュー画像を生成する。そして、図8に示したように液晶モニタ9の表示画面9aにプレビュー画像G3を全域表示すると共に、プレビュー画像G3の下辺側の右よりにスルー画像G1と見本画像G2とを縮小して表示させ、見本画像G2の下辺にはシーン名称Mを上書き表示させる。なお、これ以外の処理については、先に説明した実施の形態と同様である。
【0060】
かかる実施の形態においても、ベストショット・モードでの撮影待機中において、ユーザーは、スルー画像G1とプレビュー画像G3との違いによって、その時点で設定されている撮影モードによる効果を事前に確認することができる。したがって、その効果に相応しい構図の決定が行いやすくなり、撮影待機中における使い勝手がよくなるとともに、無駄な撮影操作を行わずに済む。
【0061】
また、撮影モードの変更を撮影待機状態のまま行うことができ、しかもスルー画像G1及びプレビュー画像G3と共に見本画像G2等が表示されているため、所望の撮影モード(撮影シーン)が選択しやすい。これらによっても撮影待機中における優れた使い勝手を確保することができる。なお、見本画像G2は必ずしも表示させなくともよい。
【0062】
また、本実施の形態では、プレビュー画像G3の下辺に沿った領域にスルー画像G1と見本画像G2を表示させる場合を示したが、これ以外の領域にスルー画像G1と見本画像G2(又はスルー画像G1のみ)を表示させるようにしても構わない。さらには、スルー画像G1等の表示位置をユーザーが選択できるようにしてもよい。例えば所定の操作に応じて、スルー画像G1等の表示位置をプレビュー画像G3の下辺側と上辺側とに切り替えるようにしてもよい。
【0063】
また、プレビュー画像G3を全域表示してスルー画像G1と見本画像G2とを縮小表示させる場合を示したが、スルー画像G1を全域表示して、その所定領域にプレビュー画像G3、又はそれと見本画像G2とを縮小表示させるものとしてもよい。また、ユーザーによる所定の操作に応じて、プレビュー画像G3を全域表示させる場合においてはスルー画像G1等を、またスルー画像G1を全域表示させる場合においてはプレビュー画像G3等を、それぞ一時的に消すことができる構成としてもよい。
【0064】
さらに、TFT液晶モニタ9が通常の縦横比(3:4)を有する構成においても、先の実施の形態と同様、表示画面9aを複数の領域に分割し、プレビュー画像G3とスルー画像G1と見本画像G2とを異なる領域に個別に表示させるようにしてもよく、その場合、ユーザーが所定の操作によって各画像の表示位置を切り替えることができるようにしてもよい。
【0065】
なお、以上の実施の形態においては本発明をデジタルカメラに適用したものを示したが、これに限らず本発明は、携帯電話等の携帯情報端末に内蔵されているカメラにも採用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 デジタルカメラ
4 シャッターキー
7 メニューキー
9 TFT液晶モニタ
9a 表示画面
22 CCD
23 MPU
36 MROM
37 フラッシュメモリ
101 シーンデータ
G1 スルー画像
G2 見本画像
G3 プレビュー画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段により撮像された被写体画像のスルー画像を表示手段に表示しながら、撮影操作に応答した撮影動作により前記被写体画像を記録する撮影動作を行う一方、撮影動作時における撮影条件が異なる、選択可能な複数の撮影モードを備えたカメラ装置において、
前記撮像手段により撮像された被写体画像に、選択されている撮影モードの撮影条件の内容に対応する処理を施し確認画像を生成する生成手段と、
撮影待機状態で、前記生成手段により生成された確認画像を前記スルー画像と共に前記表示手段に表示させる表示制御手段と
を備えたことを特徴とするカメラ装置。
【請求項2】
撮影待機状態で、使用者による所定の変更操作に応答して撮影モードを変更する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のカメラ装置。
【請求項3】
前記撮影モードは、複数種の撮影条件による撮影結果を例示する複数の見本画像の選択操作により選択される撮影モードであることを特徴とする請求項1又は2記載のカメラ装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記表示手段の表示画面を複数領域に分割し、前記スルー画像と前記確認画像とを互いに異なる表示領域に表示させることを特徴とする請求項1,2又は3記載のカメラ装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記表示手段の表示画面を複数領域に分割し、前記スルー画像と前記確認画像と前記見本画像とを互いに異なる表示領域に表示させることを特徴とする請求項3記載のカメラ装置。
【請求項6】
前記表示手段の表示画面は前記撮像手段により撮像される被写体画像と異なる縦横比を有し、前記表示制御手段は、その表示画面を、前記被写体画像と同一の縦横比を有する表示可能な最大サイズの最大表示領域を含む複数の表示領域とに分割するとともに、前記最大表示領域に前記確認画像を表示させることを特徴とする請求項4又は5記載のカメラ装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記確認画像の所定領域に前記スルー画像を縮小して表示させることを特徴とする請求項1又は2記載のカメラ装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記確認画像の所定領域に前記スルー画像と前記見本画像とを縮小して表示させることを特徴とする請求項3記載のカメラ装置。
【請求項9】
撮像手段により撮像された被写体画像のスルー画像を表示手段に表示しながら、撮影操作に応答した撮影動作により前記被写体画像を記録する撮影動作を行う一方、その撮影動作時における撮影条件が異なる選択可能な複数の撮影モードを備えたカメラ装置において、
撮影待機状態で、前記撮像手段により撮像された被写体画像に、選択されている撮影モードの撮影条件の内容に対応する処理を施し確認画像を生成する工程と、
生成した確認画像を前記スルー画像と共に前記表示手段に表示する工程と
を含むことを特徴とするスルー画像表示方法。
【請求項10】
撮像手段により撮像された被写体画像のスルー画像を表示手段に表示しながら、撮影操作に応答した撮影動作により前記被写体画像を記録する撮影動作を行う一方、その撮影動作時における撮影条件が異なる選択可能な複数の撮影モードを備えたカメラ装置が有するコンピュータに、
撮影待機状態で、前記撮像手段により撮像された被写体画像に、選択されている撮影モードの撮影条件の内容に対応する処理を施し確認画像を生成させる手順と、
生成された確認画像を前記スルー画像と共に前記表示手段に表示させる手順と
を実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−253797(P2012−253797A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172746(P2012−172746)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2009−23389(P2009−23389)の分割
【原出願日】平成16年2月13日(2004.2.13)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】