説明

カメラ配置決定支援装置

【課題】監視レイアウトを含む顧客要求に基づいて、顧客要求を満たすカメラ配置を自動的に作成し、カメラ配置の決定を支援することができる装置を提供する。
【解決手段】監視レイアウトを含む顧客要求から、前記顧客要求を満たす複数の配置候補カメラのデータセットであるニーズ表を作成し、前記ニーズ表に基づいて、前記配置候補カメラのマップ上での配置を、クラスタリング手法を用いて計算し、前記カメラの配置の仮レイアウトを作成し、前記仮レイアウトに基づいて、前記監視レイアウトにおける前記カメラの配置レイアウトを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客のニーズから監視カメラの配置を決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の凶悪犯罪の多発化による社会不安の高まるなか、店舗や会社等の人の出入りが激しい場所に監視カメラを設置して、不審人物の監視する防犯システムの導入が進んでいる。防犯システムの導入は個人の住宅といった小規模なものから、大型ショッピングセンターや空港、または地域ぐるみといった広範囲なものまで、多岐に広がっている。それに伴い、カメラ台数や総コスト,監視領域,所望の機能といった顧客ニーズも様々である。従来、防犯システムの導入においては営業が顧客のニーズを聞き、実際に設置作業を行う専門家に相談し、専門家が己のノウハウでカメラ配置,設定を決定している。
【0003】
従来、カメラ配置の決定を自動化する方法として、特許文献1には、駐車場を監視するカメラの個数が予め与えられているときに、カメラ設置条件の組を選び、さまざまなカメラ設置条件の組に対して、それに対応する評価基準を算出し、算出された評価基準に基づいて最適なカメラ設置条件の組を決定することで、駐車場に監視カメラを効率的に配置するシステムについて記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、与えられたカメラ配置に対して有効性の尺度を計算し、その配置が許容可能であるかどうかを判定するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−74260号公報
【特許文献2】特表2005−505209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、営業が顧客のニーズを聞いて専門家に相談し、専門家が己のノウハウでカメラ配置,設定を決定する方法では、顧客のニーズを専門家に的確に伝えることが難しいこと、カメラ配置の精度が専門家の技量に依存してしまうこと、提案されたカメラ配置の効果が顧客に伝わりにくいこと、などの問題がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の技術では、最適なカメラ設置条件の組を決定するためには、膨大な量のカメラ設置条件の組に対してそれに対応する評価基準を算出する必要があり、計算コストが膨大になるという問題がある。また、カメラの個数を予め与える必要がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術では、その配置が許容可能であるかどうかを判断するだけなので、カメラ配置を与える必要がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、監視レイアウトを含む顧客要求に基づいて、顧客要求を満たすカメラ配置を自動的に作成し、カメラ配置の決定を支援することができる装置を提供することである。
【0010】
尚、上記した課題以外のその他の課題は、本願明細書全体の記載または図面から明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のカメラ配置決定支援装置は、監視レイアウトを含む顧客要求から、前記顧客要求を満たす複数の配置候補カメラのデータセットであるニーズ表を作成し、前記ニーズ表に基づいて、前記配置候補カメラのマップ上での配置を、クラスタリング手法を用いて計算し、前記カメラの配置の仮レイアウトを作成し、前記仮レイアウトに基づいて、前記監視レイアウトにおける前記カメラの配置レイアウトを決定する。
【0012】
尚、上記した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。また、上記した構成以外の本発明の構成の例は、本願明細書全体の記載または図面から明らかにされる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のカメラ配置決定支援装置によれば、監視レイアウトを含む顧客要求に基づいて、顧客要求を満たすカメラ配置を自動的に作成し、カメラ配置の決定を支援することができる。また、顧客の監視ニーズに最適な最小構成のカメラ配置を決定できる。本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1に係わるカメラ配置決定支援装置の一例を示すブロック図である。
【図2】カメラ配置のニーズ表作成部のブロック図である。
【図3】監視レイアウトと領域レイアウトの関係を示す図である。
【図4】顧客要求表作成の一例を示す図である。
【図5】ニーズ表の一例を示す図である。
【図6】クラスタリング部のブロック図である。
【図7】SOMの学習ステップの図である。
【図8】領域レイアウトと競合層のノード対応の図である。
【図9】本発明におけるSOMの処理フロー図である。
【図10】仮レイアウト調整部におけるカメラ統合を示す図である。
【図11】カメラ配置決定支援装置の実施例2を示すブロック図である。
【図12】カメラ配置表作成部のブロック図である。
【図13】カメラ配置決定支援装置の応用の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。尚、各図および各実施例において、同一又は類似の構成要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1に係わるカメラ配置決定支援装置100の一例を示すブロック図である。カメラ配置決定支援装置100は、顧客要求10を入力とし、顧客要求10を満たす監視カメラの配置レイアウト20を出力する。ここで、顧客要求10は、監視領域のレイアウトを示す監視レイアウト,監視レイアウトにおける所定の領域においてカメラに求められる所望の機能(以下、領域と所望の機能と呼ぶ)、カメラ画像の分解能、または監視カメラの台数などである。配置レイアウト20は、顧客要求10を満たす、最適なカメラ配置を示すレイアウトである。この配置レイアウト20には、カメラの種類(検知機能や分解能や広角などの機能を含む)、カメラの位置,カメラの方向,カメラの台数などの情報が含まれる。
【0017】
カメラ配置決定支援装置100は、カメラ配置のニーズ表作成部T1,クラスタリング部T2,仮レイアウト調整部T3からなる。カメラ配置のニーズ表作成部T1は、監視レイアウトを含む顧客要求10から、顧客要求10を満たす複数の配置候補カメラのデータセットであるニーズ表を作成する。クラスタリング部T2は、監視レイアウトに基づいてマップを作成し、ニーズ表に基づいて、配置候補カメラのマップ上での配置をクラスタリング手法を用いて計算し、カメラの配置の仮レイアウトを作成する。仮レイアウト調整部は、仮レイアウトに基づいて、監視レイアウトにおけるカメラの配置レイアウト20を決定する。
【0018】
より具体的には、カメラ配置のニーズ表作成部T1は、顧客要求10を多次元ベクトルのデータセットへ変換する処理部である。クラスタリング部T2は、多次元ベクトルの集合を部分集合(クラスタ)に切り分けて、それぞれの部分集合に含まれるデータが(理想的には)ある共通の特徴を持つようにするクラスタリングを行い、カメラ配置の仮レイアウトを決定するブロックである。クラスタリング部T2では、カメラの種類と位置が計算される。仮レイアウト調整部T3は、仮レイアウトのカメラ配置を調整し、最終的なカメラ配置を決定するブロックである。具体的には、仮レイアウト調整部T3は、配置されたカメラの方向を予め決められたルールに従って決定し、顧客要求10の要求を満たすようにカメラ台数を絞り込む。これによって、カメラの方向と台数が計算される。また、仮レイアウト調整部T3は、クラスタリングで用いられているマップとそのマップ上での配置候補カメラの配置の情報とを含んだ仮レイアウトから、実際の監視レイアウトにおけるカメラの配置レイアウト20への変換を行ってカメラの配置レイアウトを決定する機能も有している。
【0019】
次に、図2を用いて、図1に示したカメラ配置のニーズ表作成部T1の詳細について説明する。カメラ配置のニーズ表作成部T1は、顧客要求10を入力とし、ニーズ表D70を出力する。ここで、顧客要求10は、監視レイアウトD10,領域と所望の機能D20,画像の分解能D30、または監視カメラの台数D40からなる。監視レイアウトD10は、監視カメラシステムを導入する実際のレイアウトである。領域と所望の機能D20は、監視レイアウトD10内における所定の領域と、その領域を監視するカメラに持たせたい監視機能の情報である。監視機能としては、例えば、動き検知,顔検知,滞留検知,いたずら検知などの画像認識機能だけではなく、音声認識機能やセンサ機能や認証機能などでもよい。画像の分解能D30は、カメラの解像度や画角,高感度などである。監視カメラの台数D40は、監視レイアウトD10に設置する顧客希望のカメラ台数である。尚、顧客要求10としては、監視レイアウトD10は必須であるが、領域と所望の機能D20,画像の分解能D30,監視カメラの台数D40は、特に要求がなければ省略してもよいオプション機能である。尚、領域と所望の機能D20を特に指定しない場合は、特別な画像認識機能使わず、監視レイアウトD10内の全域を録画するだけという場合に対応する。ニーズ表D70は、顧客要求10を領域ベクトルと所望の機能ベクトルからなる多次元ベクトルで表現した配置候補カメラのデータセットである。
【0020】
カメラ配置のニーズ表作成部T1は、レイアウトラベリング部T21,顧客要求表作成部T22,配置候補カメラデータセット生成部T23からなる。レイアウトラベリング部T21は,クラスタリング用の領域レイアウト(マップ)D50を作成する処理部である。顧客要求表作成部T22は、領域と所望の機能D20をベクトル表示したデータセットである顧客要求表D60を生成する処理部である。配置候補カメラデータセット生成部T23は、ニーズ表D70に必要なカメラ台数分の多次元ベクトルデータセット(配置候補カメラのデータセット)を作成する処理部である。
【0021】
図3は図2に示したレイアウトラベリング部T21の入力データと出力データである。
レイアウトラベリング部T21は、図3(A)に示す監視レイアウトD10を入力とし、領域レイアウトD50を出力とする。この領域レイアウトD50は、後述するクラスタリングで用いられるマップに対応する。監視レイアウトD10は監視カメラシステムを導入する実際のレイアウトの鳥瞰図である。領域レイアウトD50は、図3(B)に示すような、複数の小領域に分割し、ラベリングと呼ばれる画像上の画素の集合に番号をつけることで画素を分類する処理がされた、クラスタリングに用いる2次元レイアウトである。2次元レイアウトは、監視レイアウトに格子線を引いたもので、格子間隔が狭いほど、カメラ配置の精度が高くなる。格子間隔は監視レイアウトの広さを考慮して適当な値を設定する。領域の分割方法は、顧客要求に従って分割し、例えば部屋毎に分割することも考えられる。分割した各々の領域を例えばA,B,Cとしてラベリングする。
【0022】
本実施例では間取り図の図面を読み込むことで、監視レイアウトD10を入力するが、他の手段としては、例えば、ユーザによってGUI画面にレイアウトを記入してもらう手段が考えられる。
【0023】
次に、図4を用いて、図2に示した領域と所望の機能D20と顧客要求表D60の一例を詳細に説明する。ここで、領域と所望の機能D20と顧客要求表D60は、それぞれ顧客要求表作成部T22の入力、および出力である。
【0024】
領域と所望の機能D20は、図4(A)に示すように、ある領域における監視したい機能、例えば、動き検知,顔検知,滞留検知,いたずら検知などを纏めたデータである。領域と所望の機能D20は、監視レイアウトD10(あるいは領域レイアウトD50)の中の領域と、その領域において検知したい機能を列挙する。図4(A)は、「要求1」として全領域で動き検知、「要求2」として領域Bのみで顔検知、「要求3」として領域Cのみで滞留検知を行う場合の例である。尚、領域は先ほど説明した領域ラベル(A,B,C)を用いて表現する。
【0025】
一方、顧客要求表D60は、図4(B)に示すように、領域と所望の機能D20を、領域ラベルと、所望の機能を“1”または“0”で表現したベクトルとで構成されたデータセットである。領域毎に、ある要求の所望の機能、例えば動き検知機能が該当すれば“1”を、該当しなければ“0”を代入することで、所望の機能を2値で表現する。これを領域と所望の機能D20における要求項の全てに対して行う。以上には、領域と所望の機能D20のみを入力とした場合の例を示したが、画像の分解能D30を入力として追加しても良い。この場合、顧客要求表D60に“高解像度の画像”の列を加えることで対応可能である。また、動き検知等の特別な機能を必要とせず、全領域について単に録画だけを行えば十分な場合は、領域と所望の機能D20を省略することも可能である。その場合は、顧客要求表D60の所望の機能の欄は全て“0”とするか、顧客要求表D60に録画という列を追加してその欄を“1”とすればよい。あるいは、領域と所望の機能D20を省略せずに、全領域で録画という要求を設けてもよい。
【0026】
他の形態として、カメラ配置決定支援装置100は顧客要求入力のためのGUI画面を持つようにしてもよい。GUI画面では、監視レイアウトD10を表示して、領域を画面上で指定し、ラベリングすることができる。また、顧客が模擬的なカメラアイコンをレイアウト上に配置することで、配置されたレイアウトをクラスタリングの初期レイアウトに設置することが可能である。また、顧客要求10を文章で入力するだけでなく、選択肢から選び、入力することができる。
【0027】
次に、図5を用いて、図2に示した配置候補カメラデータセット生成部T23について説明する。配置候補カメラデータセット生成部T23は、領域レイアウトD50と顧客要求表D60を入力とし、ニーズ表D70を出力する。配置候補カメラデータセット生成部T23は、領域レイアウトD50と顧客要求表D60の領域情報を対応させ、領域をカバーできるカメラ台数を算出する。例えば、ある領域の広さを1台のカメラの視野範囲領域の広さで割り、その領域で必要なカメラ台数を求める。この方法は概算であるので、計算よりも多めにカメラ台数を見積もる。これを全ての顧客要求表D60の領域に対して行う。配置候補カメラデータセット生成部T23は、領域毎に、その領域をカバーできるカメラ台数分の配置候補カメラの多次元ベクトルのデータセットを生成する。この多次元ベクトルは、領域ベクトルおよび所望の機能ベクトルの2種類のベクトルで構成される。領域ベクトルとは、ある配置候補カメラが監視する領域を示し、所望の機能ベクトルはある配置候補カメラが監視する機能を示す。
【0028】
一例を図5に示す。候補カメラ(1),(2),(3)は顧客要求表D60の領域A,B,Cに対応する配置候補カメラである。配置候補カメラの領域ベクトルが、該当する領域は“1”、該当しない領域は“0”となる。図5の例において、カメラ台数の見積もりが領域Aに2台、同様に領域Bに3台、領域Cに2台の計7台であるとすると、各領域をカバーするために、領域Aに1台、領域Bに2台、領域Cに1台の計4台の配置候補カメラ(4)〜(7)を追加する。追加する配置候補カメラは、顧客要求表D60の領域A,B,Cに対応する配置候補カメラの値をコピーして生成する。
【0029】
しかしクラスタリングする際に、全てのベクトル要素が同じである多次元ベクトル同士は同一のデータと見なされるため、追加する(4)〜(7)の配置候補カメラの領域ベクトルの値は、顧客要求表D60に基づく配置候補カメラの領域ベクトルの値をそのままコピーして、所望の機能ベクトルの値を次に示す方法で変更する。例えば、同じ領域Aにおいて、顧客要求表D60に基づく配置候補カメラ(1)から追加する配置候補カメラ(4)の多次元ベクトルを生成する際に、領域ベクトルと、所望の機能ベクトルにおいて“0”の場合は(1)の値をそのままコピーして、所望の機能ベクトルが“1”の場合は0.9〜1の間の値をランダムに設定して追加ベクトル(4)を生成する。このとき、全てのベクトル要素が互いに同じとなる多次元ベクトルが生じないように、ランダムな値を選ぶ。同様の操作を残りの領域で行い、全ての領域をカバリングできるカメラ台数分の多次元ベクトルのデータセットをニーズ表D70として、クラスタリング部T2へ出力する。以上のようにして、監視レイアウト20をカバーできる配置候補カメラの台数を算出し、配置候補カメラと、監視レイアウト20上における領域と、その領域における所望の機能とを対応付けたデータセットを所定の数(この場合は監視レイアウト20をカバーできる配置候補カメラの台数分)作成することで、顧客要求10を満たす複数の配置候補カメラのデータセットであるニーズ表D70を作成する。
【0030】
次に、図6を用いて、図1に示したクラスタリング部T2の詳細について説明する。クラスタリング部T2は、配置候補カメラの多次元ベクトルをクラスタリングすることで、仮レイアウトを導出する。クラスタリング部T2は、ニーズ表D70を入力とし、仮レイアウトD80を出力とする。クラスタリング部T2は、分類処理部T31と終了判断部T32からなる。分類処理部T31はデータセットのクラスタリングを行う処理部である。
終了判断部T32は分類処理部が終了条件を満たしているか否かを判断するブロックである。分類処理部T31が終了条件を満たす時、仮レイアウトD80を仮レイアウト調整部T3へ出力し、否の場合は分類処理部T31のクラスタリング処理を繰り返す。分類処理部T31の一例として本実施例では自己組織化マップを用いる。
【0031】
本実施例においてクラスタリング手法は自己組織化マップ(Self Organization Map:以下、SOMと呼ぶ)を用いる。SOMは、入力層を入力とし、クラスタリングされた競合層を出力する。入力層とは、自由に次元が設定できる高次元のデータ空間であり、競合層は、入力層と同じ次元の参照ベクトルを持つノードが、自由に次元が設定できる多次元上に配置されたマップ空間である。通常、競合層は視覚的に見やすい2次元や3次元のマップが用いられる。SOMは近傍学習と呼ばれる教師なし学習によって、似た性質(参照ベクトル)を持つノードが競合層上でクラスタ形成を行う。規定回数、近傍学習を繰り返すことで、入力層の類似するデータが近くにマッピングされ、クラスタリングすることができる。また、SOMは、競合層を2次元にすることで、入力データ間の関係を表現することができる。
【0032】
競合層に5×5の2次元マップ空間を用いたSOMの学習の例を図7に示す。初期状態で、競合層の各ノードの参照ベクトルの値はランダムに設定する。
(1)入力層からある多次元ベクトルを入力する。
(2)(1)の入力ベクトルに対して競合層の各ノードの参照ベクトルとの類似度を比較し、類似度が最も高い参照ベクトルを持つノードを勝者ノードとする。
(3)勝者ノードと勝者ノード周辺の参照ベクトルを入力ベクトルに近づける近傍学習を行う。具体的には、勝者ノードを予め決められた学習率に従って、入力ベクトルの値に近づける。また、勝者ノードから距離の近いノードも、勝者ノードとの距離に応じて減少させた学習率に従って、入力ベクトルの値に近づける。
(4)入力層から次の多次元ベクトルを入力する。
【0033】
以下、これを繰り返す。
【0034】
本実施例では、競合層が領域レイアウトD50に、競合層の各ノードが領域レイアウトD50中の1ブロック(格子)に、入力層がニーズ表D70に、終了判断部T32の終了条件がSOMの学習回数に相当する。そして、クラスタリング部T2は、監視レイアウトD10に対応して生成されたマップ(領域レイアウトD50)と、ニーズ表D70とに基づいて、配置候補カメラのマップ上での配置をクラスタリング手法(この例ではSOM)を用いて計算し、カメラの配置の仮レイアウトD80を作成する。SOMを用いることで、入力層であるニーズ表の配置候補カメラがそれぞれの持つ多次元ベクトルの類似性に従って競合層である領域レイアウトD50上にマッピングされる。学習の初期段階では近傍学習の範囲が広いため、配置レイアウトが大きく変動するが、通常のSOMと同様に、時間と共に近傍を狭めることで、変動が収束し、カメラ配置が固定する。多次元ベクトルは領域ベクトルを含むため、監視レイアウトを考慮しつつ、効率よく監視カメラが配置される。
【0035】
通常のSOMでは競合層のレイアウトが元のレイアウトと比較して左回り、または右回りとなる回転や、元のレイアウトと比較して上下または左右が反対となるミラー反転が起こることがある。競合層の回転やミラー反転はSOMの学習結果として正しいが、本実施例の場合は監視レイアウトの回転やミラー反転は起こりえないため、好ましくない。回転や、ミラー反転を防ぐために、本実施例では通常のSOMに2つの制約条件を課す。
【0036】
第1の制約は、通常のSOMでは競合層の参照ベクトルの初期値をランダムに設定するのに対して、本手法では、領域レイアウトD50と競合層のノードを対応させた値に設定する。具体的には、領域をベクトル表現する際に、自分の領域には“1”を、隣接する他の領域には“0.5”を、接しない領域には“0”を設定する。このルールを領域A,B,Cの3つからなるレイアウトに適応すると、図8(A)に示すようなノードと領域の関係が得られる。この関係を領域レイアウトD50にラベリングすると図8(B)のようになる。このように、監視レイアウトD10(領域レイアウトD50)に対応してマップを生成している。この方法は、上記の回転や反転を防ぐだけでなく、競合層の領域ベクトルに実際の監視レイアウトの特徴をより反映させている。また、領域の境に壁が存在する際は、隣接する他の領域を“0”にすることによって、領域が断絶していることを表現することができる。但し、図8(B)では、説明をわかりやすくするために壁を考慮しない場合について示した。本実施例では領域ベクトルを“1”,“0.5”,“0”の単純な3値で表現したが、ファジィ集合で表現することによって、実際の監視レイアウトを細かく再現することもできる。
【0037】
第2の制約は、近傍学習の制限である。図9を用いて本実施例におけるSOMの処理フローを説明する。S0として、領域レイアウトD50の各ブロックが持つ参照ベクトルの初期化を行う。参照ベクトルのうち、領域ベクトルを領域レイアウトD50で設定された値に、所望の機能ベクトルをランダムに決定する(S0)。S1として、ニーズ表D70から配置候補カメラの多次元ベクトルが入力される。S2として、入力ベクトルと領域レイアウトD50の各ブロックが持つ参照ベクトルの距離が計算される。一番距離が短い、すなわち、類似度が高い領域レイアウトD50中のあるブロックが勝者となり、配置候補カメラがそのブロックに配置される。S3として、勝者ブロックと勝者ブロック周辺の近傍学習を行う。この近傍学習において、通常のSOMでは全ての参照ベクトルで学習を行い、値を更新するが、本手法では領域ベクトルと所望の機能ベクトルで構成される参照ベクトルのうち、領域ベクトルは学習を行わず、更新を行わない。これにより、更新される参照ベクトルと更新されない参照ベクトルの2種類の特徴ベクトルで構成される。この学習方法によって、競合層の領域ベクトルの初期値が維持されるため、学習が進んでも回転やミラーを防ぎ、監視レイアウトの特徴が維持される。S1からS3までの学習をニーズ表D70中のすべての候補カメラで行うことで一巡とし、1回の学習が終了する。S4として、S1からS3までの学習を規定回数繰り返す。S5として、規定回数後、仮レイアウトD80を得る。
【0038】
領域ベクトルの固定と近傍学習の制限という2つの条件によってニーズ表D70中の配置候補カメラの設置領域が参照ベクトルの初期値で設定される領域に制限されるため、監視レイアウトに即したカメラ配置が生成される。
【0039】
一般のSOMと同様に、どんな入力層に対しても勝者ブロックとなり、学習不良の原因となるスーパーブロックの出現を防ぐために、全ての競合層のブロックはニーズ表の一巡の入力の中で、1度しか勝者ブロックになれない条件を加える。さらに一巡の学習のなかで、勝者ブロックの適当な近傍範囲のブロックも勝者ユニットになれない制限を加える。
この適当な近傍範囲を監視カメラのカバリング領域とすることで、配置候補カメラ同士が必要以上に接近することを防ぐ。
【0040】
カメラの視野範囲を考慮すると、なるだけカメラ配置は中央よりも壁を背に設置するほうが良い。そのため、領域レイアウトD50の各ブロックで、なるべく壁際のブロックが勝者ブロックとなるように、近傍学習の近傍範囲をレイアウト中央側に狭く、レイアウト端末側に広く設定する。近傍範囲が広いレイアウト端側は学習が進み、勝ちやすくなり、逆に近傍範囲が狭いレイアウト中央側は学習が進まず、勝ちにくくなる。
【0041】
また異なる視野範囲の監視カメラを混ぜて用いる場合は、視野範囲の広いカメラと狭いカメラを組み合わせて配置したほうが、領域をカバーするのに効率が良い。視野範囲が2種類の場合、ニーズ表D70に、視野範囲の項を追加する。例えば、視野範囲が広いなら“1”を狭いなら“0”を代入する。学習の初期は視野範囲が“1”の配置候補カメラのみで学習を行い、視野範囲の広いカメラレイアウトがおおよそ固定するまで学習させる。
その後全部の配置候補カメラで学習することで、視野範囲の広いカメラ同士の間に視野範囲の狭いカメラが配置されやすくなる。このように時間によって学習条件をかえることで、視野範囲の異なるカメラでも、領域を効率よくカバーできるように配置することができる。
【0042】
他にも視野範囲の異なるカメラの組み合わせ配置は重要度の高いカメラを含む場合にも同様に適用できる。顔などを撮影する重要度の高いカメラを先に配置して、残りの空間を視野範囲の広いカメラを配置することで、領域を効率よくカバーできるように配置することができる。
【0043】
上記実施例ではオンライン学習型の手順を示したが、入力層の多次元ベクトルが学習中に不変であるため、バッチ学習でも良い。
【0044】
次に、図10を用いて、図1に示した仮レイアウト調整部T3について説明する。仮レイアウト調整部T3は、監視カメラの台数D40と、配置候補カメラが配置された仮レイアウトD80を入力とし、配置レイアウト20を出力する。尚、監視カメラの台数D40は、省略可能である。仮レイアウト調整部T3は、少なくともカメラの方向ルールを含む予め決められたルールと、仮レイアウトD80とに基づいて、監視レイアウト20におけるカメラの配置レイアウトを決定する。
【0045】
例えば、図10(A)に示すような仮レイアウトが得られた場合、図10(B)に示すよう2台のカメラ間隔が最も狭い組み合わせの2台を1台で置き換える。これを監視カメラの台数D40の値になるまで行う。あるいは、カメラ間隔が所定の間隔よりも狭い組み合わせがなくなるまで置き換えを行う。
【0046】
また、カメラの方向は仮レイアウトD80上で配置候補カメラが存在するブロックにおいて、カメラのカバレッジを最大化するために、
規則1.八近傍で最も距離が遠いブロックの反対方向
規則2.レイアウト中心方向
という、優先順位で方向を決定する。規則1は最も距離が遠いブロックは壁である可能性が高く、壁と反対方向がカメラの視野範囲が広いため、規則2は中心方向のほうが一般に視野角が広くなるためである。上記の処理を行った後のレイアウトを配置レイアウト20として出力する。仮レイアウトD80上で配置候補カメラが存在しないブロックは最近傍のカメラでカバリングされる。
【0047】
本実施例ではクラスタリングにSOMを用いたが、ニューラルガス等のベクトル量子化の機能を有するクラスタリング手法を用いても実現できる。この場合も、SOMの場合と同様に、更新される参照ベクトルと更新されない参照ベクトルの2種類の特徴ベクトルで構成されるようにする。ニューラルガスでは、SOMと同様の手順で領域レイアウトD50やニーズ表D70を作成する。ニーズ表D70の配置候補カメラの多次元ベクトルを順に入力し、SOMと同様に入力ベクトルと領域レイアウトD50中の各ブロックが持つ参照ベクトル間の距離を求める。入力ベクトルとの距離が小さい順番に各ブロックをランキングする。ランキング順に学習量が減少するように各ブロックの参照ベクトルは学習する。入力された多次元ベクトルに近づくように学習していく。本実施例と同様に、所望の機能ベクトルのみ、学習を行う。規定回数まで学習を繰り返す。また、SOMやニューラルガス以外にも、入力ベクトル間の類似性と幾何的な配置情報から、クラスタを形成することができるアルゴリズム一般を適用してもよい。本実施例により、監視レイアウトを含む顧客要求に基づいて、顧客要求を満たすカメラ配置を自動的に作成し、カメラ配置の決定を支援することができる。また、カメラ統合等により、顧客の監視ニーズに最適な最小構成のカメラ配置を決定できる。
【実施例2】
【0048】
図11は、本発明装置の実施例2の一例を示すブロック図である。実施例2のカメラ配置決定支援装置は、実施例1のカメラ配置決定支援装置の一部を変更したものである。機能ブロックレベルではクラスタリング部T2は、実施例1と同様であり、カメラ配置表作成部T101,仮レイアウト検討部T103が異なる。カメラ配置決定支援装置200は、顧客要求10を入力とし、監視カメラのカメラレイアウト120とアラーム130を出力する。顧客要求10は実施例1と同様であり、カメラレイアウト120は顧客要求10における監視カメラの台数D40の数だけ監視カメラを配置したレイアウトである。アラーム130はカメラレイアウト120における監視カメラの配置において、カバーしきれていない視野範囲の領域が、ある閾値以上のとき、アラームを発報する。
【0049】
カメラ配置決定支援装置200は、カメラ配置表作成部T101,クラスタリング部T2,仮レイアウト検討部T103からなる。カメラ配置表作成部T101は、顧客要求10から多次元ベクトルで表現された配置候補カメラのデータセットを作成する処理部である。その点では、カメラ配置表作成部T101は、カメラ配置のニーズ表作成部T1の一種である。但し、データセットを作成する際、カメラの視野範囲は考慮せずに、監視カメラの台数D40の数だけデータセットを作成する。仮レイアウト検討部T103は、配置されたカメラのカバリング範囲を考慮してカメラ配置の有効性を判断する処理部である。
【0050】
次に図12を用いて、図11に示したカメラ配置表作成部T101の詳細について説明する。カメラ配置表作成部T101は、顧客要求10を入力とし、配置カメラ表D150を出力する。配置カメラ表D150は、ニーズ表D70の一種であるが、ニーズ表D70と異なる点は、配置候補カメラ(配置カメラ)の数が、監視カメラの台数D40の数だけになっている点である。カメラ配置表作成部T101は、レイアウトラベリング部T21,顧客要求表作成部T22,配置カメラデータセット生成部T123からなる。レイアウトラベリング部T21,顧客要求表作成部T22は、実施例1と同様である。配置カメラデータセット生成部T123は、顧客要求表D60と領域レイアウトD50を対応づけ、カメラの視野範囲は考慮せずに、監視カメラの台数D40の数だけ多次元ベクトルのデータセットを作成する処理部である。
【0051】
続いて図12中の配置カメラデータセット生成部T123の詳細について説明する。配置カメラデータセット生成部T123は、監視カメラの台数D40と、領域レイアウトD50と、顧客要求表D60を入力とし、配置カメラ表D150を出力する。配置カメラデータセット生成部T123は、実施例1と同様に領域レイアウトD50と顧客要求表D60の領域情報を対応させる。監視カメラの台数D40が顧客要求表D60中の領域の数よりも多い場合は、監視カメラの台数D40と配置候補カメラの台数が等しくなるまで、実施例1と同様の方法で領域毎に追加の配置候補カメラの多次元ベクトルを生成する。但し、実施例1で行ったような領域をカバーできる配置候補カメラの台数の見積もりは行う必要はなく、ランダムに領域を選択して台数の上限に達するまで追加してゆけばよい。したがって、実施例1における台数よりも多くなる場合もあるし、少なくなる場合もある。尚、監視カメラの台数D40が顧客要求表D60中の領域の数よりも少ない場合は、ランダム、あるいは領域Aから順に領域を選んで、台数の上限に達するまで配置候補カメラの多次元ベクトルを生成すればよい。監視カメラの台数D40が顧客要求表D60中の領域の数と等しい場合は、ニーズ表D70は図5における「顧客要求表に基づく配置候補カメラ」の区分と同じになる。
【0052】
図11に示した仮レイアウト検討部T103は、仮配置レイアウトD160を入力とし、監視カメラのカメラレイアウト120とアラーム130を出力する。仮レイアウト検討部T103は、クラスタリング部T2の出力である仮配置レイアウトD160(仮レイアウトD80の一種)に基づいて、監視レイアウトにおけるカメラの配置レイアウトを決定するので、仮レイアウト調整部T3の一種である。カメラの方向を実施例1と同様に求め、カメラレイアウト120(カメラの配置レイアウトの一種)として出力する。仮配置レイアウトD160上で配置されたカメラのカバリング範囲に基づいて、カバリングされていないノードの数が予めきめられていた閾値以下の場合、カメラ配置設定が有効でないことをアラームで知らせる。
【0053】
もしくは、他の構成として図11に示した破線のように、カメラ1台増140においてカメラの台数を1台増やして、再度クラスタリングを行い、閾値を越えるまでこれを繰り返す方法が考えられる。
【0054】
このように、仮レイアウト検討部T103(仮レイアウト調整部T3の一種)は、カメラレイアウト120(実施例1の配置レイアウト20の一種)をカメラのカバリング範囲に基づいて評価することで、推奨カメラ台数またはカメラ配置の有効性を顧客にフィードバックする。
【0055】
本実施例により、顧客の所望する監視カメラの台数D40が足りない場合でも、なるだけ顧客の所望する監視カメラの台数D40に近いカメラ台数で実施する監視レイアウトを求めることができる。
【実施例3】
【0056】
図13は、本発明装置の実施例3の一例を示すブロック図である。カメラ配置決定支援装置100は、顧客要求10を入力とし、顧客要求を満たす監視カメラの配置レイアウト20を出力する。顧客要求10と配置レイアウト20は、実施例1と同様である。尚、顧客要求10に導入コストの項目を加えてもよい。
【0057】
監視システムコスト計算部500は本実施例における監視システムの総コストを計算する。監視システムコスト計算部500は配置レイアウト20とカメラスペック600を入力とし、導入コスト700を出力する。カメラスペック600は、カメラの監視機能や視野範囲、金額などのデータであり、導入コスト700は、監視システムを構築するカメラ全ての総額である。導入コスト700は視野範囲が過剰にカバーされる場合、あるいはカメラの数が少ない時は、顧客要求10にコストを増減するようにうながすメッセージを出してもよい。
【0058】
顧客要求10の監視カメラの台数D40から、クラスタリングを行うことで必要なカメラの内訳台数が見積もれるため、導入コストが計算でき、且つ顧客要求10を変更することで再見積もりをすることができる。
【0059】
以上、本発明の実施例を用いて説明してきたが、これまでの各実施例で説明した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。
また、それぞれの実施例で説明した構成は、互いに矛盾しない限り、組み合わせて用いても良い。
【0060】
本発明のカメラ配置決定支援装置によれば、例えば、監視カメラ,防犯カメラ等のインストーラーとして適用することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 顧客要求
20 配置レイアウト
100 カメラ配置決定支援装置
120 カメラレイアウト
130 アラーム
140 カメラ1台増
200 カメラ配置決定支援装置A
500 監視システムコスト計算部
600 カメラスペック
700 導入コスト
D10 監視レイアウト
D20 領域と所望の機能
D30 画像の分解能
D40 監視カメラの台数
D50 領域レイアウト(マップ)
D60 顧客要求表
D70 ニーズ表
D80 仮レイアウト
D150 配置カメラ表
T1 カメラ配置のニーズ表作成部
T2 クラスタリング部
T3 仮レイアウト調整部
T21 レイアウトラベリング部
T22 顧客要求表作成部
T23 配置候補カメラデータセット生成部
T31 分類処理部
T32 終了判断部
T101 カメラ配置表作成部
T103 仮レイアウト検討部
T123 配置カメラデータセット生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域を監視するカメラの配置の決定を支援するカメラ配置決定支援装置であって、 前記監視領域のレイアウトを示す監視レイアウトを小領域に区切ってマップを作成するとともに、前記監視レイアウトと、前記監視レイアウト上における領域とその領域において前記カメラに求められる所望の機能とを含む顧客要求から、前記配置候補カメラと、前記監視レイアウト上における領域と、その領域における前記所望の機能とを対応付けたデータセットを所定の数だけ作成することで、前記顧客要求を満たす複数の配置候補カメラのデータセットであるニーズ表を作成するニーズ表作成部と、
前記マップと、前記ニーズ表とに基づいて、前記配置候補カメラの前記マップ上での配置をクラスタリング手法を用いて計算し、前記カメラの配置の仮レイアウトを作成するクラスタリング部とを有することを特徴とするカメラ配置決定支援装置。
【請求項2】
請求項1において、
少なくともカメラの方向ルールを含む予め決められたルールと、前記仮レイアウトとに基づいて、前記監視レイアウトにおける前記カメラの配置レイアウトを決定する仮レイアウト調整部を有することを特徴とするカメラ配置決定支援装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記クラスタリング手法として、更新される参照ベクトルと更新されない参照ベクトルの2種類の特徴ベクトルで構成される自己組織化マップを用いることを特徴とするカメラ配置決定支援装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記特徴ベクトルは、前記所望の機能を前記更新される参照ベクトルとして表し、前記監視レイアウト上の領域を前記更新されない参照ベクトルとして表すことを特徴とするカメラ配置決定支援装置。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記自己組織化マップは、競合層の前記更新されない参照ベクトルが前記監視レイアウトにおける壁を含む領域境界の特徴を反映した形状で表現されることを特徴とするカメラ配置決定支援装置。
【請求項6】
請求項3において、
前記クラスタリング手法は、初期状態において前記更新される参照ベクトルはランダムに、前記更新されない参照ベクトルは前記監視レイアウトを反映した値で表現された前記自己組織化マップを用いることを特徴とするカメラ配置決定支援装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れかにおいて、
前記クラスタリング手法として、学習における近傍範囲の形状を工夫することで、意図的に勝ちやすいブロックを作る機能を有する自己組織化マップを用いることを特徴とするカメラ配置決定支援装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れかにおいて、
前記クラスタリング手法として、学習における勝者ノードの選び方に制限を加えることで、前記カメラの配置を意図的に制御する機能を有する自己組織化マップを用いることを特徴とするカメラ配置決定支援装置。
【請求項9】
請求項1または2において、
前記クラスタリング手法は、更新される参照ベクトルと更新されない参照ベクトルの2種類の特徴ベクトルで構成されるベクトル量子化の機能を有するクラスタリング手法を用いることを特徴とするカメラ配置決定支援装置。
【請求項10】
請求項1から9の何れかにおいて、
前記クラスタリング部は、視覚的なカバレッジの異なる複数のカメラを配置する際に、前記クラスタリング手法の学習条件を時間的に変動させることを特徴とするカメラ配置決定支援装置。
【請求項11】
請求項1から10の何れかにおいて、
前記クラスタリング手法は、繰り返しの学習において学習の条件を変更しながら前記配置候補カメラの前記マップ上での位置を更新することを特徴とするカメラ配置決定支援装置。
【請求項12】
請求項1から11の何れかにおいて、
前記仮レイアウト調整部は、前記配置レイアウトを前記カメラのカバリング範囲に基づいて評価することで、推奨カメラ台数またはカメラ配置の有効性を顧客にフィードバックすることを特徴とするカメラ配置決定支援装置。
【請求項13】
請求項1から12の何れかにおいて、
前記配置レイアウトとカメラスペックとから、顧客にフィードバックするために監視システムの総コストを計算する監視システムコスト計算部を有することを特徴とするカメラ配置決定支援装置。
【請求項14】
請求項1から13の何れかにおいて、
前記顧客要求は、カメラ画像の分解能と、前記カメラの台数と、コストとのうち、少なくともひとつ以上を有することを特徴とするカメラ配置決定支援装置。
【請求項15】
請求項1から14の何れかにおいて、
前記所望の機能は、動き検知,顔検知,滞留検知,いたずら検知,録画,音声認識機能,センサ機能,認証機能のうち、少なくともひとつ以上であることを特徴とするカメラ配置決定支援装置。
【請求項16】
請求項1から15の何れかにおいて、
前記ニーズ表作成部は、前記監視レイアウトをカバーできる配置候補カメラの台数を算出し、前記配置候補カメラのデータセットを前記台数分作成することを特徴とするカメラ配置決定支援装置。
【請求項17】
請求項1から15の何れかにおいて、
前記顧客要求は、前記カメラの台数を有し、
前記ニーズ表作成部は、前記配置候補カメラのデータセットを前記顧客要求で設定された前記カメラの台数分作成することを特徴とするカメラ配置決定支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−10210(P2012−10210A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145774(P2010−145774)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】