説明

カモミールエキスの製造方法

【課題】 カモミールから香気成分、抗酸化成分などの有効成分を効率よく抽出する方法を提供すること。
【解決手段】 カモミールに配糖体分解酵素と、プロテアーゼおよび/またはペクチナーゼを作用させることを特徴とする香気が増強され、かつ抗酸化力が増強されたカモミールエキスの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は香気が強化され、かつ抗酸化力が増強されたカモミールエキスを製造するための酵素処理法に関する。
【背景技術】
【0002】
カモミールは古くから発汗、下熱、鎮痛、消炎、健胃などの目的で使用されている。また、よい香りがすることからハーブとしての需要もあり、例えば、加工食品では、飲料類、菓子類であるキャンディーやクッキー、ケーキ、ゼリーなど、さらに化粧品・トイレタリー製品類などとしての使用が増えている。
【0003】
また、カモミール中に含まれるフラボノイド類の抗酸化力に着目して、食品、化粧品などへの応用についての提案もなされている(特許文献1、2および3参照)。
【0004】
カモミールから有効成分を抽出する方法としては、例えば、カモミール花をアルカノール含量が40〜100%の間にある水性C〜C−アルカノールで抽出する方法(特許文献4参照)、カモミールなどの薬用植物材料の凍結粉砕処理物を水性媒体の存在下にプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼおよびペクチナーゼよりなる群からえらばれた分解酵素の少なくとも一種で酵素処理する方法(特許文献5参照)、カモミールの茎および/または葉の水−アルコール混合溶媒で抽出する方法(特許文献6および7参照)などが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−168429号公報
【特許文献2】特開2004−75646号公報
【特許文献3】特開2004−262852号公報
【特許文献4】特公平6−41414号公報
【特許文献5】特開昭60−109526号公報
【特許文献6】特公平6−104621号公報
【特許文献7】特開平5−112459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記したカモミールから香気成分、抗酸化成分などの有効成分を抽出する方法は、これらの有効成分を十分抽出しきれているとは言い難く、カモミール中に含まれる香気成分、抗酸化成分を有効に利用するという観点からは不十分なものである。
【0007】
したがって、本発明の目的は、カモミールから香気成分、抗酸化成分などの有効成分を効率よく抽出する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
各種の植物に配糖体分解酵素を作用させると、配糖体が分解し、新たな香気の生成が見られることは既に知られている。ところが、今回驚くべきことに、カモミールに配糖体分解酵素と、プロテアーゼおよび/またはペクチナーゼを作用させると、香気物質が格段に増加すること、そしてさらに、抗酸化効果が増強されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
かくして、本発明は、カモミールに配糖体分解酵素と、プロテアーゼおよび/またはペクチナーゼを作用させることを特徴とする香気が増強され、かつ抗酸化力が増強されたカモミールエキスの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来行われていたカモミールの抽出物に比較し、数十倍の香気物質が得られ、かつ抗酸化効果が格段に増強されたカモミールエキスを提供することができる。本発明の方法によって得られるカモミールエキスを、例えば、飲食品に配合することにより従来の方法によって得られるカモミールエキスを配合した場合に比べ香気が強く、かつ抗酸化性の増強された飲食品を提供することができる。またさらに、例えば、化粧品・トイレタリー製品に配合することにより、香りの強い製品を提供でき、また、衣類を保護し、人体に対して酸化的条件を緩和することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0012】
本発明の方法において原料で使用しうるカモミールとは、キク科(Compositae)、シカギク(カミツレ)属(Matricaria)の植物であり、ジャーマンカモミル(Matricaria chamomilla L.)、その他、同属種のイヌカミルレ(M.inodora L.)、コシカギク(M.matricaroides(Less.)Porter)、シカギク(M.tetragonosperma(Fr.Schm.)Hara et Kitam.)等、またローマンカモミル(Anthemis nobilis)などを用いることができる。本発明では、これらのカモミールの花、花弁、茎、葉、根茎、種子、全草を用いることができるが、好ましくは花弁を用いる。本発明で使用される上記のカモミールは、生でも乾燥品でも使用することができるが、処理のしやすさなどから乾燥品を用いるのが好ましい。
【0013】
本発明は前記の通り、これらのカモミールに、配糖体分解酵素と、プロテアーゼおよび/またはペクチナーゼを作用させることにより香気を増強させ、かつ抗酸化力を増強させることを特徴とするものである。
【0014】
配糖体酵素処理に使用するβ−グルコシダーゼとしては、具体的には、例えばアスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾプス属、シュードモナス属、ピキア属などに属するβ−グルコシダーゼ生産菌を、小麦ふすま、米ぬかなどの固体栄養培地または液体栄養培地で常法に従って固体培養又は液体培養し、得られる培養物またはその処理物を常法により精製処理したものを挙げることができる。β−グルコシダーゼとしては、また、バニラ豆、生茶葉などの植物より精製処理し得られるものも使用することができ、さらに、シグマアルドリッチ社から市販されているアーモンド由来のエムルシン、またはβ−グルコシダーゼ含む酵素製剤セルラーゼA(アマノエンザイム社製)、セルラーゼT(アマノエンザイム社製)などから分離したものも使用することができる。β−キシロシダーゼとしては、例えば、ペニシリウム属、アスペルギルス属、リゾプス属、ムコール属などに属するβーキシロシダーゼ生産菌を小麦ふすま、米ぬかなどの固体栄養培地または液体栄養培地で常法に従って固体培養または液体培養し、得られる培養物またはその処理物を常法により精製処理したものを挙げることができる。また、シグマアルドリッチ社から市販されている黒麹菌(Aspergillus niger)由来のものまたはβ−キシロシダーゼを含む酵素製剤スミチームACH(新日本化学工業社製)などから分離したものも使用することができる。β−プリメベロシダーゼは、例えば、セルロモナス属、ペニシリウム属、アスペルギルス属などに属するβープリメベロシダーゼ生産菌を小麦ふすま、米ぬかなどの固体培地または液体培地で常法に従って固体培養もしくは液体培養し、得られる培養物またはその処理物を常法により精製処理したものを挙げることができ、また、生茶葉などの植物中より分離精製したものも使用することができる。これらの配糖体分解酵素の使用量は、力価などにより異なり一概には言えないが、通常、カモミール原料の重量を基準として0.001〜10U/gの範囲内を例示することができる。
【0015】
またプロテアーゼとしては、特に制限はなく動植物由来または微生物由来のプロテアーゼを1種もしくは2種以上組み合わせて使用することができ、例えば、プロテアーゼA,プロテアーゼM, プロテアーゼP、ウマミザイム、ペプチダーゼR、ニューラーゼA、ニューラーゼF(以上、アマノエンザイム社製の麹菌由来プロテアーゼ);スミチームAP, スミチームLP, スミチームMP, スミチームFP, スミチームLPL(以上、新日本化学工業社製の麹菌由来プロテアーゼ);プロチンFN(大和化成社製の麹菌由来プロテアーゼ);デナプシン2P、デナチームAP、XP−415(以上、ナガセケムテックス社製の麹菌由来プロテアーゼ);オリエンターゼ20A、オリエンターゼONS、テトラーゼS(以上、エイチビィアイ社製の麹菌由来プロテアーゼ);モルシンF、PD酵素、IP酵素、AO−プロテアーゼ(以上、キッコーマン社製の麹菌由来プロテアーゼ);サカナーゼ(科研ファルマ社製の麹菌由来プロテアーゼ);パンチダーゼYP−SS、パンチダーゼNP−2、パンチダーゼP(以上、ヤクルト薬品工業社製の麹菌由来プロテアーゼ);フレーバザイム(ノボザイムズ社製の麹菌由来プロテアーゼ);コクラーゼSS、コクラーゼP(以上、三共ライフテック社製の麹菌由来プロテアーゼ);VERON PS、COROLASE PN−L(以上、ABエンザイム社製の麹菌由来プロテアーゼ);プロテアーゼN、プロテアーゼNL、プロテアーゼS、プロレザーFG−F(以上、アマノエンザイム社製の細菌由来プロテアーゼ);プロチンP、デスキン、デピレイス、プロチンA、サモアーゼ(以上、大和化成社製の細菌由来プロテアーゼ);ビオプラーゼXL−416F、ビオプラーゼSP−4FG、ビオプラーゼSP−15FG(以上、ナガセケムテックス社製の細菌由来プロテアーゼ);オリエンターゼ90N、ヌクレイシン、オリエンターゼ10NL、オリエンターゼ22BF(以上、エイチビィアイ社製の細菌由来プロテアーゼ);アロアーゼAP−10(ヤクルト薬品工業社製の細菌由来プロテアーゼ);プロタメックス、ニュートラーゼ、アルカラーゼ(以上、ノボザイムズ社製の細菌由来プロテアーゼ);COROLASE N、COROLASE 7089、VERON W、VERON P(以上、ABエンザイム社製の細菌由来プロテアーゼ);エンチロンNBS(洛東化成工業社製の細菌由来プロテアーゼ);アルカリプロテアーゼGL440、ピュラフェクト4000L、プロテアーゼ899、プロテックス6L(以上、ジェネコン協和社製の細菌由来プロテアーゼ);アクチナーゼAS、アクチナーゼAF(以上、科研ファルマ社製の放線菌由来プロテアーゼ);タシナーゼ(ジェネコン協和社製の放線菌由来プロテアーゼ);パパインW−40(アマノエンザイム社製の植物由来プロテアーゼ);食品用精製パパイン(ナガセケムテックス社製の植物由来プロテアーゼ);その他動物由来のペプシン、トリプシンなどを挙げることができる。これらのプロテアーゼの使用量は、力価などにより異なり一概には言えないが、通常、カモミール原料の重量を基準として0.01〜100U/gの範囲内を例示することができる。
【0016】
またペクチナーゼは細菌、カビ、酵母、高等植物、カタツムリなどに含まれていることが知られており、本発明では、これらをはじめとする生物から取得したペクチナーゼを広く使用することができる。また、市販のペクチナーゼ製剤を使用してもよい。市販のペクチナーゼ製剤としては、例えば、スクラーゼ(三共ライフテック社製)、ペクチネックスウルトラSP−L(ノボザイムズ社製)、メイセラーゼ(明治製菓社製)、ウルトラザイム(ノボザイムズ社製)、ニューラーゼF(天野エンザイム社製)などを例示することができる。これらのペクチナーゼの使用量は、力価などにより異なり一概には言えないが、通常、カモミール原料の重量を基準として10〜2000U/gの範囲内を例示することができる。
【0017】
以上述べた酵素によるカモミールの処理は、それ自体既知の方法、例えば特許庁公報周知・慣用技術集(香料)第II部 食品香料(2000.1.14発行)微生物・酵素フレーバー(P46〜P57)等の刊行物に記載の方法に準じて行うことができる。本発明の一実施態様を例示すれば次の通りである。カモミール原料1重量部に水を8〜30重量部を添加して、約60〜約121℃で約2秒〜約20分間殺菌した後冷却し、上記の配糖体分解酵素とプロテアーゼおよび/またはペクチナーゼを添加して、約20〜約60℃で約30分〜約24時間酵素処理を行う。酵素処理後、約60〜約121℃で約2秒〜約20分間加熱することにより酵素失活した後冷却し、遠心分離、濾紙濾過等の適宜な分離手段によってカモミール原料を分離することにより清澄なカモミールエキスを得ることができる。得られるカモミールエキスは、所望により、適宜な濃縮手段、例えば減圧濃縮、逆浸透膜濃縮、凍結濃縮により濃縮液の形態とすることもできる。さらに、得られるカモミールエキスは、その後、所望により、ペースト状、粉末状などの任意の形態にすることもできる。
【0018】
かくして得られる本発明のカモミールエキスは、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、乳飲料、機能性飲料などの飲料類;キャンディー、クッキー、ケーキ、ゼリーなどの菓子類などの飲食品類に配合することができる。またさらに、例えば、シャンプー類、ヘアクリーム類、その他の毛髪化粧料基剤;オシロイ、口紅、その他の化粧用基剤や化粧用洗剤類基剤;洗濯用洗剤類、消毒用洗剤類、防臭洗剤類、その他各種の保健・衛生用洗剤類;歯磨き、ティシュー、トイレトペーパーなどの各種保健・衛生材料類;医薬品類などに配合することができる。
【0019】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。
【実施例】
【0020】
実施例1
ローマンカモミール(日本緑茶センター社製)12gに軟水180gを加え、これを80℃まで攪拌下加熱した。これを40℃まで冷却し、エムルシン(シグマアルドリッチ社製)5ユニット、β−キシロシダーゼ(シグマアルドリッチ社製)5ユニット、プロテアーゼA(アマノエンザイム社製)0.02gおよびスクラーゼN(三共社製)0.02gを加え、攪拌を止め、40℃で16時間静置して反応させた後、再度攪拌下加熱し、75℃で15分間加熱失活を行い、40℃まで冷却した。反応液をさらし布でろ過し、さらに遠心分離(800g×20分)した後、珪藻土をプリコートしたろ紙でろ過し、カモミールエキス155g(Bx3.0:本発明品1)を得た。
【0021】
比較例1
実施例1において、酵素を全て使用しない以外は実施例1と同様に処理してカモミールエキス120g(Bx1.5:比較品1)を得た。
【0022】
実施例2
実施例1において、ローマンカモミールをジャーマンカモミール(日本緑茶センター社製)に変更した以外は実施例1と同様に処理してカモミールエキス135g(Bx3.8:本発明品2)を得た。
【0023】
比較例2
実施例2において、酵素を全て使用しない以外は実施例2と同様に処理してカモミールエキス115g(Bx2.0:比較品2)を得た。
【0024】
実施例3
実施例2において、プロテアーゼAを使用しない以外は実施例2と同様に処理してカモミールエキス130g(Bx3.6:本発明品3)を得た。
【0025】
実施例4
実施例2において、スクラーゼNを使用しない以外は実施例2と同様に処理してカモミールエキス125g(Bx3.4:本発明品4)を得た。
(官能評価)
本発明品1〜4および比較品1〜2のそれぞれのカモミールエキスについて、イオン交換水にて10倍に希釈し、その風味をよく訓練された10名のパネラーにより官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
(香気分析)
本発明品1および比較品1と、本発明品2および比較品2のカモミールエキスについて、下記に示すダイナミックヘッドスペース法により香気分析を行い、香気の差について比較した。
【0028】
香気分析法(ダイナミックヘッドスペース法)
本発明品1、2および比較品1、2のそれぞれのカモミールエキス5gを500mL2径フラスコに採取し、試料が40℃を保つように保温しながら、一方の口からキャピラリー管を通じて試料中に流速50mL/分にて窒素ガスを吹き込み、他方の口に冷却管とその先に吸着剤(TENAX TA)を接続し、試料から追い出される香気を30分間吸着させた。香気を吸着させた吸着剤はGERSTEL社製Themo Desoption Systemにより香気成分を加熱脱着し、下記の条件でガスクロマトグラフィー分析を行ない、得られたガスクロマトグラムを図1および図2に示す。
【0029】
ガスクロマトグラフィー分析条件
機種:ヒューレットパッカード HP−6890
カラム:Fused Silica Capillary
OV101 60m×0.25mm
カラム温度:70〜220℃(3℃/min)
Injection温度:250℃
Detector温度:250℃
キャリアガス:N2 1.8Kg/cm
(ガスクロマトグラフィー分析結果)
比較品1のサンプルの総積算値25045.2に対して、本発明品1のサンプルの総積算値は37315.5であり、本発明品1の方が香気量が多かった。すなわち、ローマンカモミールを酵素処理することにより総積算値が1.5倍に増加した。本発明品1の方が比較品1に比べて積算値が顕著に増加した成分はイソブチルアルデヒド、メチルビニルケトン、ジアセチル、2−メチル−3−ブテン−2−オールであった。
【0030】
また、比較品2のサンプルの総積算値2711.0に対して、本発明品2のサンプルの総積算値は9927.6であり、ジャーマンカモミールを酵素処理することにより総積算値が3.7倍に増加した。本発明品2の方が比較品2に比べて積算値が顕著に増加した成分は2−メチルブタノール、イソアミルアルコール、3−メチル−3−ブテノール、2−ヘプタノール、プレニルアルコール、トランス−3−ヘキセノール、シス−3−ヘキセノール、2,5,5−トリメチル−3,6−ヘプタジエン−2−オール、トランス−2−ヘキセノール、ヘプタノール、オクタノール、シス−3−ノネノール等のアルコール類、メチルヘプテノン、アルテミシアケトン等のケトン類であった。
【0031】
(抗酸化性)
本発明品1および比較品1と、本発明品2および比較品2のそれぞれのカモミールエキスについて、下記に示すヒポキサンチン−キサンチンオキシダーゼ系抗酸化能測定法により各カモミールエキスの抗酸化性を測定した。
ヒポキサンチン−キサンチンオキシダーゼ系抗酸化能
[1]試薬
(a)基質(ポンプ注入用)
ヒポキサンチン24.5mgを、100mMのリン酸2水素カリウム緩衝液(EDTA 0.05mM含有、pH7.5:以下、単に緩衝液と略称する)250mLに溶解したものを用いた。
(b)酵素液
キサンチンオキシダーゼ(シグマアルドリッチ社製X−4500;25U)6μLに緩衝液994μLを添加し、0.1U/mLに調整した。
(c)発色試薬
AB−2950MPEC(2−メチル−p−メトキシフェニルイミダゾピラジノン)をイオン交換水で10倍に希釈して用いた。
【0032】
[2]サンプル液
(d)ポジティブブランク
緩衝液180μL、酵素液60μLおよび発光試薬10μLを混合した。
(e)試料測定用液
緩衝液170μL、酵素液60μL、発光試薬10μLおよび試料溶液10μL(10倍希釈または300倍希釈)を混合した。
(f)ネガティブブランク
緩衝液230μL、発光試薬10μLおよび試料溶液10μL(10倍希釈または300倍希釈)を混合した。
(g)SOD溶液
スーパーオキサイドジスムターゼ(シグマアルドリッチ社製S−2515;3000U)1.0gを純水に溶解し3mLとし、1,000U/mLの溶液を調整した。この溶液を純水にて希釈し0.1U/mL、1U/mL、10U/mL、100U/mLとした。
【0033】
[3]測定
ルミネッセンサーJNR2(アトー株式会社製)を使用し、以下の条件でd、e、f、gの測定を行った。
測定条件
基質分注量:50μL
測定モード:瞬間発光
測定時間 :20秒間の積算発光量
測定温度 :20℃
なお、ネガテイブブランクは各試料自体が発光しないことを確認した。
【0034】
[4]計算
発光阻害率(%)=〔1−(e)/(d)〕×100
(d)ポジティブブランクの発光積算値
(e)試料測定用液の発光積算値
SOD希釈液の発光阻害率は検量線とし、各サンプルのSOD相当量を算出し、その結果を図3に示す。
【0035】
図3の結果から明らかなように、酵素処理した本発明品1および本発明品2は、酵素未処理品である比較品1および比較品2に比べ抗酸化性(SOD様活性)が増強された。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明品1および比較品1のカモミールエキスをダイナミックヘッドスペース法により測定したガスクロマトグラムを示す図である。
【図2】本発明品2および比較品2のカモミールエキスをダイナミックヘッドスペース法により測定したガスクロマトグラムを示す図である。
【図3】本発明品1、2および比較品1、2のカモミールエキスをヒポキサンチン−キサンチンオキシダーゼ系抗酸化能測定法により抗酸化性を測定した測定値を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カモミールに配糖体分解酵素と、プロテアーゼおよび/またはペクチナーゼを作用させることを特徴とする香気が増強され、かつ抗酸化力が増強されたカモミールエキスの製造方法。
【請求項2】
配糖体分解酵素がβ−グルコシダーゼ、β−プリメベロシダーゼおよびβ−キシロシダーゼから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の製造方法により得られるカモミールエキス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−199891(P2006−199891A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−15682(P2005−15682)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(000214537)長谷川香料株式会社 (176)
【Fターム(参考)】