説明

カラオケシステム及びカラオケ装置

【課題】ユーザーが他室に移動した場合であっても楽曲の予約状況を通知する。
【解決手段】本発明のカラオケシステムは、自カラオケ装置にログインしているログインユーザーのユーザー識別子を検出するログイン状態取得処理と、ログインユーザーによって指定された楽曲識別子と、当該ログインユーザーのユーザー識別子を予約リストに記録する楽曲予約処理と、予約リストに記憶する楽曲識別子に対応する楽曲情報を楽曲演奏手段に演奏させる楽曲演奏処理と、他のカラオケ装置が記憶する予約リスト中、自カラオケ装置にログインしているログインユーザーのユーザー識別子が有る場合、当該ログインユーザーに対して通知を行う通知処理を実行することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏予約可能なカラオケ装置がネットワークで接続されたカラオケシステム、並びに、当該カラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、カラオケシステムでは、リモコン装置を利用した遠隔操作によって歌唱する楽曲の予約が行われることが一般的である。従来のリモコン装置は、テンキーを備えた赤外線通信を使用するものが一般的であったが、情報処理装置の発達に伴い、表示画面を備えることでユーザーに対して各種情報を提供すると共に、高速無線通信を利用した大量のデータ送受信も可能となっている。このようなリモコン装置では、ユーザー情報を扱うことで、各ユーザーに対応したサービスを提供することも可能となっている。
【0003】
ところで、カラオケボックスなど部屋毎に、リモコン装置、カラオケ装置が設置された施設を利用する場合、カラオケを楽しむ一般的なグループの人数(数人程度)や、部屋の面積、椅子数、テーブルサイズなどから、予めその部屋のサービスを許容する人数が設定されていることが多い。ところが、例えば、結婚式などの2次会などで、カラオケボックスが想定した各部屋の許容人数を超えるグループで利用されることがある。このような場合、施設側はグループに対して複数の部屋を割り当てて利用してもらうこととなる。
【0004】
特許文献1には、このような複数の部屋を使用する状況下において、任意のグループの構成メンバーが任意のカラオケ演奏端末にログインしている期間内に、他のカラオケ演奏端末において、当該グループの構成メンバーがログインすると、当該グループの構成メンバーがログインしている一のカラオケ演奏端末において、他のカラオケ演奏端末に現にログインしている当該グループの構成メンバーを仮想ログイン利用者としてコピーして認証することが開示されている。このような構成によれば、利用者は複数の部屋でログイン及びログアウトの操作を行う必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−282254公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように1つのグループが複数の部屋を使用する状況下では、グループ内のユーザーは、部屋間を行き来してグループ内の多数のユーザーと交流を図るとともに、歌唱を楽しむことができる。ところで、カラオケ装置では事前にリモコン装置などを介して楽曲を予約して、通常予約順に演奏を行うことが一般的である。したがって、ユーザーが楽曲を予約をした後で部屋間を行き来した場合、予約した楽曲が予約者本人の居ない間に演奏されてしまう可能性がある。このような場合、予約者本人が居ない部屋の他のユーザーが代わって歌唱することも考えられるが、誰も歌唱しない場合には、予約した楽曲が演奏される中、他のユーザが演奏中止の操作を行わなければならないなど、盛り上がっていた場の雰囲気が消沈してしまう可能性もある。
【0007】
本発明は、このような状況を鑑みたものであって、ユーザーが楽曲を予約した後に、他の部屋に移動した場合であっても、移動先の部屋にて自分の予約した楽曲の演奏を確認することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため本発明に係るカラオケシステムは、
複数のカラオケ装置がネットワークを介して接続されたカラオケシステムにおいて、
前記カラオケ装置は、楽曲演奏手段と、通信手段と、制御手段と、記憶手段を備え、
前記楽曲演奏手段は、楽曲情報に基づいて演奏を行い、
前記通信手段は、他のカラオケ装置との通信を可能とし、
前記制御手段は、ログイン状態取得処理と、楽曲予約処理と、楽曲演奏処理と、通知処理とを実行可能とし、
前記ログイン状態取得処理は、自カラオケ装置にログインしているログインユーザーのユーザー識別子を検出し、
前記楽曲予約処理は、ログインユーザーによって指定された楽曲識別子と、当該ログインユーザーのユーザー識別子とを対応づけて記憶手段に記憶する予約リストに記録し、
前記楽曲演奏処理は、前記予約リストに記憶する楽曲識別子に対応する楽曲情報を前記楽曲演奏手段に演奏させ、
前記通知処理は、他のカラオケ装置が記憶する予約リスト中、自カラオケ装置にログインしているログインユーザーのユーザー識別子を有する場合、当該ログインユーザーに対して通知することを特徴とする。
【0009】
さらに本発明に係るカラオケシステムにおいて、
前記通知処理は、自カラオケ装置にログインしているログインユーザーを予約リストに有する他のカラオケ装置を識別する情報を通知することを特徴とする。
【0010】
さらに本発明に係るカラオケシステムにおいて、
前記通知処理は、他のカラオケ装置が記憶する予約リスト中、自カラオケ装置にログインしているログインユーザーが予約した楽曲が演奏開始されるまでの時間を通知することを特徴とする。
【0011】
さらに本発明に係るカラオケシステムにおいて、
前記通知処理における通知は、前記カラオケ装置に接続された表示装置、または、前記カラオケ装置に対して指示可能なリモコン装置の少なくとも一方に対して行われることを特徴とする。
また本発明に係るカラオケ装置は、
楽曲演奏手段と、通信手段と、制御手段を備えたカラオケ装置において、
前記楽曲演奏手段は、楽曲情報に基づいて演奏を行い、
前記通信手段は、他のカラオケ装置との通信を可能とし、
前記制御手段は、ログイン状態取得処理と、楽曲予約処理と、楽曲演奏処理と、通知処理とを実行可能とし、
前記ログイン状態取得処理は、自カラオケ装置にログインしているログインユーザーのユーザー識別子を検出し、
前記楽曲予約処理は、ログインユーザーによって指定された楽曲識別子と、当該ログインユーザーのユーザー識別子を予約リストに記録し、
前記楽曲演奏処理は、前記予約リストに記憶する楽曲識別子に対応する楽曲情報を前記楽曲演奏手段に演奏させ、
前記通知処理は、他のカラオケ装置が記憶する予約リスト中、自カラオケ装置にログインしているログインユーザーのユーザー識別子を有する場合、当該ログインユーザーに対して通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カラオケボックスなど複数の部屋にカラオケ装置が各々設置された状況下において、多人数のグループで利用する場合など1つのグループが、複数の部屋に分
かれてカラオケ装置を各々利用する場合、ユーザーが楽曲を予約した後、予約した部屋から別の部屋へ移動して新たにログインしてカラオケを開始していた場合であっても、移動先の部屋において、移動する以前の部屋での予約状況を通知することが可能となる。
【0013】
さらに本発明では、移動先の部屋に設置されたカラオケ装置において、楽曲を予約した部屋のカラオケ装置を識別する情報を通知することで、どこで自分の予約した楽曲が演奏されるかを事前に確認することが可能となる。
【0014】
さらに本発明では、移動先の部屋に設置されたカラオケ装置において、以前の部屋で予約した楽曲が演奏されるまでの時間を通知することで、いつ自分の予約した楽曲が演奏開始されるかを確認することが可能となる。
【0015】
さらに本発明では、移動先の部屋に設置されたカラオケ装置に接続された表示装置、または、このカラオケ装置に対して指示可能なログインや予約操作に用いるリモコン装置に対して、ユーザによって他室でなされた楽曲の予約を当該ユーザへ通知を行わせることにより、既存のカラオケシステムの構成を利用しながら、ユーザによって他室でなされた楽曲の予約を当該ユーザへ通知する手段として利用することが可能となる。
【0016】
例えば、カラオケ装置に接続された表示装置にて通知を行う場合には、他室で予約したユーザーが歌唱している際に通知することで、的確に当該ユーザーに対して通知を行うことが可能となる。また、ログインや予約操作に用いるリモコン装置に対して通知を行う場合には、他室で予約したユーザーが、ログインや予約操作に用いるリモコン装置を利用可能なユーザ(アクティブユーザー)として、そのリモコン装置の画面が、当該ユーザの操作画面に切り替えられているときに通知を行うことで、同様に当該ユーザーに対して的確に通知を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るカラオケシステムの構成を示す図
【図2】本発明の実施形態に係るコマンダの構成を示す図
【図3】本発明の実施形態に係るリモコン装置の構成を示す図
【図4】本発明の実施形態に係るリモコン装置のログイン初期画面を示す図
【図5】本発明の実施形態に係るカラオケシステムの処理を示すフロー図
【図6】本発明の実施形態に係るログイン情報、楽曲予約情報のデータ構成を示す図
【図7】本発明の実施形態に係るカラオケを利用する部屋の状況を説明するための図
【図8】本発明の実施形態に係る他室予約状況取得処理を示すフロー図
【図9】本発明の実施形態に係る他室予約状況情報(部屋2)のデータ構成を示す図
【図10】本発明の実施形態に係る通知処理を示すフロー図
【図11】本発明の実施形態に係る通知処理によるリモコン装置への表示画面を示す図
【図12】本発明の実施形態に係る通知処理によるモニタへの表示画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るカラオケシステムの構成を示す図である。ここでは説明を簡易なものとするため2つの部屋に設置されたカラオケシステムを例にとって説明する。実際には、部屋の数については2つに限られるものではない。また、1つのグループが隣接する部屋についても隣接する必要はなく、同じカラオケ店舗内の部屋であれば自由に設定可能である。各部屋には、コマンダ2A、2B(本発明における「カラオケ装置」に相当)、リモコン装置1A、1Bが設置されており、これらは店舗内のネットワークを介して通信可能に接続されている。部屋1にみられるように複数のリモコン装置1A−1、1A−2を設置することも可能である
【0019】
さらに本実施形態のカラオケシステムは、コマンダ2A、2B、リモコン装置1A、1Bに対して各種情報を提供する、あるいは、コマンダ2A、2B、リモコン装置1A、1B、店舗サーバ装置6の利用状況など各種情報を収集ためのカラオケ用ホスト5に接続可能とされている。そのためカラオケシステムのネットワークには、カラオケ用ホスト5に接続するため通信手段としてのルータ120が設けられている。
【0020】
さらに、本実施形態のコマンダ2A、2B、リモコン装置1A、1Bは、インターネットを介してカラオケ用ホスト5に接続される。カラオケ用ホスト5の記憶手段としての記憶部51には、楽曲情報やユーザー情報など、各種サービスに必要な情報が記憶されている。記憶部51に新たに追加された楽曲情報は、コマンダ2に対して送信されることで配信による新曲の追加が可能となる。また、ユーザー情報は、事前に会員登録したユーザーに関する情報であって、リモコン装置1にてユーザー識別子、パスワードを入力するログイン処理を実行することでリモコン装置1のメモリ14に記憶される。ログインしたユーザーは、ユーザー情報に基づいて自己に適したサービスを受けることが可能となる。
【0021】
ユーザー情報を利用したサービスとしては、ユーザーが事前に登録した自己のお気に入り楽曲やお気に入り歌手(アーティスト)をユーザー情報から読み出して、簡易な楽曲選択を実現するサービス、あるいは、楽曲を歌唱した際の採点結果(採点情報)を、他の登録ユーザーと競うサービスなどがある。なお、本実施形態ではカラオケ独自の利用形態を考慮して、1人のユーザーが複数のリモコン装置1で同時にログイン(いわゆる二重ログイン)することが可能となっている。
【0022】
具体的にリモコン装置1によるログイン認証の例を説明しておく。図1において、あるユーザーがリモコン装置1A−1を使用してログインした場合、同じコマンダ2Aに対応づけられた他のリモコン装置1A−2においてもログインした状況となる。リモコン装置1を複数のユーザーで共有して利用する装置では、このように1台のリモコン装置1A−1にてログインした場合、同じコマンダ2A内の他のリモコン装置1A−2に対してもログインした状態となり、ユーザーはどちらのリモコン装置1A−1、1A−2を利用することが可能とされている。
【0023】
また、本実施形態では、ユーザーがリモコン装置1A−1を利用してログインした状態においても、コマンダ2Bのリモコン装置1Bを利用してログインする、いわゆる二重ログインすることも可能とされている。コマンダ2Aを利用していたユーザーは、ログアウトすることなくコマンダ2Bを利用することが可能戸である。これは秘匿性よりも利便性を重視したカラオケシステムの利用特性を反映した機能となっている。
【0024】
図2は、本発明の実施形態に係るコマンダの構成を示す図である。カラオケシステムを構成するコマンダ2は、楽曲を演奏するための楽曲演奏手段として音響制御部33を備えている。また、ユーザーからの各種入力を受け付けるスイッチなどで構成される入力手段としての操作部21、動作にあたって必要とされるプログラム、各種情報を記憶する記憶手段としてのHDD32(ハードディスク)、LAN100に接続してネットワークに加入するための通信手段としての通信部24を備えている。また、モニタ41に対して歌詞映像、背景映像を表示させる映像再生手段を備える。映像再生手段は、映像再生部29、ビデオRAM28、映像制御部31を備えて構成される。
【0025】
そして、これら各構成を統括して制御するための制御手段として、CPUにて構成される制御部30、各種プログラムを実行するにあたって必要となる情報を一時記憶するためのメモリ27を備えて構成される。
【0026】
このような構成にてコマンダ2は、制御部30によって各種処理を実行することとなるが、コマンダ2の主な機能として、楽曲予約処理、楽曲演奏処理、映像表示処理などを実行可能としている。楽曲予約処理は、ユーザーからの指定に基づいて楽曲を指定、予約するための処理であってリモコン装置1と連携して実行される。リモコン装置1から送信された予約情報をメモリ27に記憶する予約リストに登録する。楽曲演奏処理は、予約リストに登録された予約情報に基づいて順次楽曲を音響制御部33にて演奏させる処理である。音響制御部33にて演奏された楽曲は、歌唱用マイク44a、44bから入力される歌唱音声と一緒にスピーカー42から放音される。この楽曲演奏処理と同時に映像表示処理が実行される。この映像再生処理は、映像制御部31にて各種映像情報、歌詞情報などを再生させ、モニタ41を介した視覚情報をユーザーに提供し、歌唱補助を行う処理である。
【0027】
図3は、本発明の実施形態に係るリモコン装置の構成を示す図である。リモコン装置1は、楽曲の演奏を予約する楽曲予約情報など、コマンダ2に対して各種指示を発行するとともに、コマンダ2、カラオケ用ホスト5などから各種情報を受信する。このリモコン装置1は、表示手段としての表示部11、ユーザーからの各種入力を受け付ける入力手段としての操作部17、アクセスポイント110に無線接続し、ネットワークに加入するための通信手段としての無線LAN通信部16、楽曲検索に必要とされるデータベース、各種プログラム、並びに、プログラム実行に伴って発生する各種情報を記憶する記憶手段としてメモリ14、そして、これら構成を統括して制御するためのリモコン側制御手段を備えて構成される。
【0028】
リモコン側制御手段には、CPUにて構成される制御部15、表示制御部13に対して表示する映像を形成する映像制御部13、表示する映像情報を一時的に蓄えるビデオRAM12、操作部17からの入力を解釈して制御部15に伝達する操作処理部18が含まれている。また、リモコン装置1の表示部11と操作部17は一体となってタッチパネル表示画面を形成することとしてもよい。
【0029】
また、リモコン装置1は、無線LAN通信部16によって、アクセスポイント110と無線接続されることで、LAN100によって構成されるネットワークに接続される。また、各リモコン装置1は、特定のコマンダ2に対して事前に対応付け(くくりつけ、紐付けと呼ばれることもある)されている。リモコン装置1から出力される各種命令は、対応付けされたコマンダ2にて受信されることとなる。なお、LAN100が利用できない状況を考え、リモコン装置1とコマンダ2とは赤外線、Bluetooth(登録商標)などを利用
した近距離通信を予備的に設けることとしてもよい。
【0030】
このようなリモコン装置1の構成により、制御部15は、ユーザーからの各種入力を操作部17にて受付けるとともに、映像情報を表示部11に表示してユーザーに対して各種情報を提供するとともに、コマンダ2あるいはカラオケ用ホスト5に対して楽曲予約などの各種指示を送信することが可能とされている。
【0031】
では、本発明の実施形態に係るリモコン装置1の利用について詳細な説明を行う。図4は、本発明の実施形態に係るカラオケリモコン装置の画面を示す図である。前述したように、本実施形態のリモコン装置1は、ログイン処理を実行することで各ユーザーに適したサービスを受けることができる。また、複数のユーザーが集ってリモコン装置1を共有して使用するカラオケの利用形態を考慮して、1台のリモコン装置1に対して複数のユーザーが同時にログインすることができる。
【0032】
図4には複数のユーザーがログインした状況下におけるリモコン装置1の表示部11の画面(表示枠101、詳細は後述する)が示されている。ユーザーは、ログインしている
ユーザーの中から自己を特定する特定情報を選択することで、自己のユーザー情報を利用したサービスに切り替えることができる。サービスとしては、事前に登録している楽曲や歌手を簡易に検索するサービスや、これまでに歌唱した楽曲の履歴を閲覧するなどのサービスがある。本実施形態では、自己を特定する特定情報として自己を模した、あるいは、ユーザーが作成したアバター(分身像)とユーザー名が使用されている。
【0033】
図4に表示される状態は、ログインしている4人のユーザー(AさんからDさん)の中から「Aさん」が選択されている状態であって、画面右側には「Aさん」の全身のアバターが表示されており、「Aさん」のユーザー情報に基づいて「Aさん」に特化したサービスが行われる状態となっている。なお、サービスを受けているユーザーのことをアクティブユーザーと呼ぶこととする。図4の状態は「Aさん」がアクティブユーザーということができる。
【0034】
アクティブユーザーの切替は、画面左上方に表示される表示枠101中の特定情報(本実施形態ではアバターとユーザー名により構成)を選択することで実行される。表示枠101を超えた人数がログインしている場合には、移動ボタン102a、102bを操作して表示枠101内に選択するユーザーの特定情報を表示させた上で特定情報を選択することで、アクティブユーザーの切替が行われる。
【0035】
ログインしたユーザーは、この画面から楽曲の検索(「曲を探す」ボタンを操作)、あるいは、ユーザー情報を利用した十八番機能などの各種サービス(「マイページ」ボタンを操作)を利用することが可能となる。
【0036】
図5は、本実施形態におけるログイン処理、並びに、楽曲予約処理について、リモコン装置1、コマンダ2、カラオケ用ホスト5との情報の送受信の様子を説明する模式図である。本実施形態では、ユーザーによるリモコン装置1の操作に基づいて発生するログイン情報は、コマンダ2を介すことなく直接、カラオケ用ホスト5に送信され、カラオケ用ホスト5にてログイン処理が実行される。このログイン処理は、ユーザーの認証、並びに、記憶部51内のデータベース内に記憶されたユーザーに関する各種情報(ユーザー情報)の読み出しなどを行う処理である。
【0037】
図6には、このログイン情報のデータ構成が示されている。本実施形態のログイン情報には、ユーザー識別子、リモコン識別子、パスワードなどの認証情報、対応づけられているコマンダ2のコマンダ識別子が含まれている。カラオケ用ホスト5は、受信したログイン情報に基づいて記憶部51内のデータベースを参照し、認証を行うと共にユーザー情報を読み出して、ログイン操作が行われたリモコン装置1に対してユーザー情報を送信するなどのログイン応答を実行する。また、ログイン情報中には、当該リモコン装置1に対応づけられているコマンダ2のコマンダ識別子が含まれており、カラオケ用ホスト5は、これを利用して、当該コマンダ2に対して、どのユーザーがログインしたかを伝えるログイン関連情報を送信する。
【0038】
このような処理を実行することで、リモコン装置1は、ログインしたユーザーのサービスに必要な各種情報を取得することが可能となると共に、カラオケ用ホスト5及びログイン操作が行われたリモコン装置1に対応づけられたコマンダ2では、どのユーザーがログインしているかを把握することが可能となっている。本実施形態ではこのようにコマンダ2を介さずにリモコン装置1とカラオケ用ホスト5が直接通信を行うことでログイン処理を実行することとしているが、このような形態に限ることなく、リモコン装置1、コマンダ2、カラオケ用ホスト5の順でログイン情報を送信することでログイン処理を実行するようにすることも考えられる。
【0039】
ログインを終えたユーザーは、リモコン装置を操作することで楽曲予約を行うことが可能である。図6のフロー図には、リモコン装置1とコマンダ2との間で行われる楽曲予約の様子が模式的に示されている。ログインしたユーザーは、リモコン装置1を操作して所望の楽曲を選択し、予約操作を実行する。このときリモコン装置1からコマンダ2に対して楽曲予約情報が送信される。図6には楽曲予約情報のデータ構成が示されている。本実施形態の楽曲予約情報には、ユーザー識別子、リモコン識別子、楽曲識別子、楽曲演奏時間が含まれている。この他、予約時に音程調整、テンポ(速度)調整を行う場合にはそれを指定する情報が含まれる。
【0040】
コマンダ2では受信した楽曲予約情報に基づいて楽曲予約処理を実行する。楽曲予約処理は、受信した楽曲予約情報を、HDD32あるいはメモリ27などの記憶手段に記憶する予約リストに順次する処理である。予約リストに記録された楽曲予約情報は、順次、読み出され、演奏手段としての音響制御部33にて、楽曲識別子に対応する楽曲情報の演奏が実行される。なお、ここではログインしたユーザーによる楽曲予約に関する処理についてのみ説明しているが、コマンダ2ではログインしていないユーザーによる楽曲予約についてもゲストユーザーとして受け付けることが可能である。
【0041】
では、このようなカラオケシステムにおいて、複数の部屋を跨いで利用する場合の問題について説明する。図7は、カラオケを利用する部屋の状況を説明するための図である。カラオケボックスなどにおいて大人数のグループが来店した場合、グループの人数が各部屋の許容人数を上回ることがある。このような場合、店舗側は複数の部屋を利用してもらうことで対応がとられる。図7には図1で説明した2つのコマンダ2A、2Bが各部屋1、2に設置された利用状況が示されている。この状況はAさんからGさん、7人のグループで来店した場合であって、部屋の許容人数の関係上、入店時は、AさんからDさんの4人のグループ(部屋1:コマンダ2Aの利用)と、EさんからGさんの3人のグループ(部屋2:コマンダ2Bの利用)に分けられた場合が示されている。
【0042】
このような場合、たとえ部屋が分かれても同じグループでの来店であるから、ユーザー同士の交流を図るため、ユーザーが部屋を移動することがある。図7には破線丸印で囲まれたように、当初部屋1にいたAさんが部屋2に移動した状況が示されている。このような場合、Aさんが部屋1のリモコン装置1aあるいは1bにて楽曲を予約し、当該楽曲の演奏が開始される前に部屋2に移動してしまうことが考えられる。楽曲の演奏が開始される前にAさんが部屋1に戻ってくれば問題はないが、Aさんがいない間に楽曲の演奏が開始された場合、誰も歌うユーザーがいなければ途中で演奏中止が実行されることとなってしまう。
【0043】
本実施形態のカラオケシステムは、このような複数の部屋に跨がった利用を鑑みたものであって、ユーザーが他の部屋に移動した場合であっても、移動先の部屋に対して、楽曲の演奏予約の存在を通知することとしている。
【0044】
では、本発明の実施形態に係るカラオケシステムの処理について図8〜図12を用いて詳細に説明する。図8は、本発明の実施形態に係る他室予約状況取得処理を示すフロー図である。ここでは図1、図7に示すように2つのカラオケシステム3A、3Bを対象として説明するが、カラオケシステム3の数は2つ以上、任意の数で設けることが可能である。
【0045】
他室予約状況取得処理は、定期的(例えば1分毎)にコマンダ2にて実行される処理であって、カラオケ店舗内に設置されている他のコマンダ2の予約状況、すなわち、他の各コマンダ2に記憶している予約リスト中の情報を取得する処理である。他室予約状況取得処理が開始されると、コマンダ2は、同じ店舗内に設置されたコマンダ2に対して予約状
況取得要求を実行する(S101)。店舗内に設置されたコマンダ2の判別方法としては、ネットワーク(LAN100)を使用するものであれば各種手法を採用することができる。
【0046】
第1の手法としては、コマンダ2が店舗内に設置される他のコマンダ2の識別情報(IPアドレスなど)を事前に取得しておき、これを参照して他のコマンダ2を判別することが可能とされる。なお、同じ店舗内のコマンダ2の識別情報の取得方法としては、カラオケ用ホスト5に記憶するデータベースから事前に取得しておいてもよいし、店舗内でのサービスマンなどによる設定操作にて記憶させることとしてもよい。
【0047】
このとき、上記データベースの情報や、店舗内でのサービスマンなどによる設定操作にて記憶される情報に、コマンダ2の識別情報(IPアドレスなど)と、コマンダ2が設置された部屋の名前(部屋1)とを予め対応付けておくとよい。こうすれば、楽曲を予約した部屋のカラオケ装置を識別する情報を通知するときに、コマンダ2が設置された部屋の番号で通知(例えば、部屋2のリモコン1Bに表示する情報は、コマンダ2Aの「IPアドレス」ではなく「部屋1」を表示する)することができる。よって、ユーザーは、予約した楽曲が演奏される部屋の番号を、移動後の部屋でも知ることが可能となる。
【0048】
第2の手法としては、店舗内に予約状況取得を要求する情報をブロードキャスト、すなわち、対象機器を制限することなく送信し、受信したコマンダ2側で自分に対する要求であることを判断することで他のコマンダ2に対して予約状況取得を要求する情報を伝えるとが考えられる。
【0049】
S102では、このような予約状況取得要求に応じて返信された予約リストの受信を判別し、受信した場合(S102:Yes)には、予約リストを他室予約状況情報として保存する。なお、同室について既に他室予約状況情報を保存されている場合には、新しい予約リストにて他室予約状況情報を更新することとなる。S104では、他の全コマンダ2から予約リストを受信したか否かを判断し、受信した場合(S104:Yes)には、一連の他室予約状況取得処理を終了する。
【0050】
図9には他室予約状況情報の例として、図7に示す部屋2(Aさんの移動先)における他室予約状況情報の例が模式的に示されている。部屋1に設置されたコマンダAの予約リストは、図に示されるように楽曲識別子、ユーザー識別子、楽曲演奏時間が予約順に並んで構成されている。なお、各部屋から受信した予約リストには、各部屋の名称(部屋1など)が付されている。これは他室に設置されたコマンダにて添付された情報であって、コマンダ2を識別する情報に相当している。
【0051】
図7のような状況において、部屋2に設置されているコマンダBは、この他室予約状況情報を参照し、自コマンダBにログインしているユーザーがこの他室予約状況情報中に含まれていないかを監視することで、当該ユーザーに対する予約状況の通知を行うこととしている。
【0052】
図10は、本発明の実施形態に係る通知処理を示すフロー図である。通知処理は、定期的、あるいは、所定の条件を満足した場合に実行されるログインユーザー毎の処理である。所定の条件としては、例えば、コマンダ2にてユーザーが歌唱している場合、あるいは、リモコン装置1においてアクティブユーザーとして利用している場合などが考えられる。
【0053】
この通知処理が開始されると、まず、自コマンダ2に記憶している予約リストと、他室予約状況情報取得処理にて取得した他室予約状況情報とを対比し、自コマンダ2にログイ
ンしているユーザー識別子が、他室予約状況情報中に含まれていないかを判定する(S201)。自コマンダ2にログインしているユーザー識別子が、他室予約状況情報中に含まれている場合(S202:Yes)には、S203にて一致したユーザー識別子に対応する楽曲識別子を他室予約状況情報から取得する。同様に他室予約状況情報から、S204では部屋の名称を取得する。
【0054】
S205では、S203にて一致したユーザー識別子に対応する楽曲識別子に対応する楽曲が演奏されるまでの時間が算出される。本実施形態では、各楽曲予約情報中に楽曲演奏時間が含まれているため、他室予約状況情報中、対象となっている楽曲より前に演奏される楽曲演奏時間を合計することで算出することが可能である。なお、本実施形態では楽曲予約情報中に楽曲演奏時間を含めることで、楽曲が演奏されるまでの時間を算出することとしているが、楽曲演奏時間を楽曲予約情報に含めずに、楽曲識別情報に基づいてコマンダ2内に記憶する楽曲情報、あるいは、楽曲情報の関連情報を参照し、楽曲が演奏されるまでの時間を算出することとしてもよい。
【0055】
S206では、以上の処理の結果に基づいてユーザーに通知を行う。通知は、コマンダ2に接続されているモニタ41(本発明における「表示装置」)。コマンダ2と同室に設置された、すなわち、コマンダ2に対応づけられているリモコン装置1に対して行うことなどが考えられる。図11は、本発明の実施形態に係るリモコン装置1への表示画面であり、図12は、本発明の実施形態に係るモニタ41への表示画面が示されている。これらの表示画面中、予約状況メッセージを表示することでユーザーへの通知が行われる。
【0056】
通知は適宜タイミングで実行することとしてもよいが、対象となっているユーザーにより確実に通知するため以下のようにするとよい。例えば、対象となっているユーザーが歌唱している最中であれば、歌詞が表示されるモニタ41に対して表示することが好ましい。
【0057】
歌唱すべき歌詞を確認するためユーザーはモニタ41を目視しているため、このモニタ41に表示することで当該ユーザーに対して他室での予約状況を的確に通知することが可能となる。また、対象となっているユーザーがリモコン装置1上でアクティブユーザーである場合に通知することとしてもよい。アクティブユーザーとして利用している場合には、当該ユーザーがリモコン装置1を操作している可能性が高く、このリモコン装置1の表示部11に対して通知することで、当該ユーザーに対して的確に通知することが可能となる。なお、通知の手法としては、モニタ41などによる視覚的手法のみならず、スピーカーなどを用いた聴覚的手法を採用することとしてもよい。
【0058】
図7で説明したAさんの移動状況を例にとって説明する。Aさんは、部屋1にて楽曲を予約した後、部屋2に移動した状況である。この場合、部屋2に設置されたコマンダ2Bは、他室予約状況情報を参照し、部屋2にてログインしたAさんの他室での予約状況を検索する。その結果、図9に示されるように部屋1に設置されたコマンダ2AにてAさんが楽曲識別子「A000301」に対応する楽曲を予約していることが判別される。また、当該楽曲は8分後に演奏開始されることも判別される。このような判別結果に基づいて、図11、図12に示される予約状況メッセージを表示することによる通知が実行される。
【0059】
なお、本実施形態では楽曲名、部屋名、演奏開始までの時間を通知に含めることとしているが、他室での予約状況を伝えるためにはこれら情報は必ずしも必須ではなく、他室で予約が行われている旨だけを通知するのみでも構わない。ユーザーは、どの部屋で予約したかを記憶している場合が多く、このような簡易な通知でも予約した部屋に戻ることが可能である。
【0060】
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0061】
1…リモコン装置、2…コマンダ(カラオケ装置)、11…表示部、12…ビデオRAM、13…映像制御部、14…メモリ、15…制御部、16…無線LAN通信部、17…操作部、18…操作処理部、21…操作部、22…操作処理部、24…通信部、27…メモリ、28…ビデオRAM、29…映像再生部、30…制御部、31…映像制御部、32…HDD(ハードディスク)、33…音響制御部、41…モニタ、42…スピーカー、44a、44b…歌唱用マイク、100…LAN、110…アクセスポイント、120…ルータ、5…カラオケ用ホスト、51…記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカラオケ装置がネットワークを介して接続されたカラオケシステムにおいて、
前記カラオケ装置は、楽曲演奏手段と、通信手段と、制御手段と、記憶手段を備え、
前記楽曲演奏手段は、楽曲情報に基づいて演奏を行い、
前記通信手段は、他のカラオケ装置との通信を可能とし、
前記制御手段は、ログイン状態取得処理と、楽曲予約処理と、楽曲演奏処理と、通知処理とを実行可能とし、
前記ログイン状態取得処理は、自カラオケ装置にログインしているログインユーザーのユーザー識別子を検出し、
前記楽曲予約処理は、ログインユーザーによって指定された楽曲識別子と、当該ログインユーザーのユーザー識別子とを対応づけて記憶手段に記憶する予約リストに記録し、
前記楽曲演奏処理は、前記予約リストに記憶する楽曲識別子に対応する楽曲情報を前記楽曲演奏手段に演奏させ、
前記通知処理は、他のカラオケ装置が記憶する予約リスト中、自カラオケ装置にログインしているログインユーザーのユーザー識別子を有する場合、当該ログインユーザーに対して通知することを特徴とする
カラオケシステム。
【請求項2】
前記通知処理は、自カラオケ装置にログインしているログインユーザーを予約リストに有する他のカラオケ装置を識別する情報を通知することを特徴とする
請求項1に記載のカラオケシステム。
【請求項3】
前記通知処理は、他のカラオケ装置が記憶する予約リスト中、自カラオケ装置にログインしているログインユーザーが予約した楽曲が演奏開始されるまでの時間を通知することを特徴とする
請求項1または請求項2に記載のカラオケシステム。
【請求項4】
前記通知処理における通知は、前記カラオケ装置に接続された表示装置、または、前記カラオケ装置に対して指示可能なリモコン装置の少なくとも一方に対して行われることを特徴とする
請求項1から請求項3の何れか1項に記載のカラオケシステム。
【請求項5】
楽曲演奏手段と、通信手段と、制御手段を備えたカラオケ装置において、
前記楽曲演奏手段は、楽曲情報に基づいて演奏を行い、
前記通信手段は、他のカラオケ装置との通信を可能とし、
前記制御手段は、ログイン状態取得処理と、楽曲予約処理と、楽曲演奏処理と、通知処理とを実行可能とし、
前記ログイン状態取得処理は、自カラオケ装置にログインしているログインユーザーのユーザー識別子を検出し、
前記楽曲予約処理は、ログインユーザーによって指定された楽曲識別子と、当該ログインユーザーのユーザー識別子を予約リストに記録し、
前記楽曲演奏処理は、前記予約リストに記憶する楽曲識別子に対応する楽曲情報を前記楽曲演奏手段に演奏させ、
前記通知処理は、他のカラオケ装置が記憶する予約リスト中、自カラオケ装置にログインしているログインユーザーのユーザー識別子を有する場合、当該ログインユーザーに対して通知することを特徴とする
カラオケ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−114161(P2013−114161A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261911(P2011−261911)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】