説明

カラオケリモコン装置及びカラオケシステム

【課題】歌詞情報を有していない楽曲に対しても歌詞表示を行うことのできるリモコン装置を提供する。
【解決手段】選択している楽曲に対して、歌詞表示指示の入力を検出した場合、選択している楽曲の検索データ中、歌詞フラグが有効である場合には第1処理を、歌詞フラグが無効である場合には第2処理を実行して歌詞情報を取得して表示手段に表示させ、第1処理は、選択している楽曲の検索用データに含まれる楽曲識別子に対応する歌詞情報を取得し、第2処理は、選択している楽曲の検索用データに含まれるグループ識別子を有すると共に、歌詞フラグが有効である検索用データに含まれる楽曲識別子に対応する歌詞情報を取得することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏にあわせて歌唱を楽しむカラオケ装置に対して各種指令を出力することのできるカラオケリモコン装置に関するものであり、特に、記憶する楽曲検索用データを利用して歌詞を表示することのできるカラオケリモコン装置、並びに、カラオケ装置を含んで構成されるカラオケシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カラオケ装置に対して楽曲選択(選曲)を行う場合、冊子で構成された早見本に記載される楽曲番号をリモコン装置のテンキーで打ち込んでカラオケ装置に転送することで行われていた。近年、情報端末装置の発達に伴い、カラオケに利用されるリモコン装置で記憶できる容量も大きくなると共に、ユーザーに視認させる表示画面も大画面化が図られている。このようなリモコン装置では、ユーザーにて指定されるキーワードなどに基づいて、楽曲検索を行うことができる。
【0003】
このようなカラオケのリモコン装置として、特許文献1には、先頭歌詞部分(歌い出し部分)に限ることなく歌詞全体を対象として、楽曲を検索することのできるリモコン装置(選曲予約装置)が開示されている。このリモコン装置では、ユーザーが記憶している歌詞部分を入力することで歌唱したい楽曲を検索することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−184766公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、選曲を行うためのカラオケリモコン装置では、歌唱する楽曲について、楽曲名、歌手名、歌い出しの歌詞部分など楽曲に関連する情報を提供することで、ユーザーに歌唱する楽曲を確認させることとしている。楽曲に関連する情報としては、歌い出し以外の歌詞部分(例えば、歌詞全体)を表示できるものもみられる。
【0006】
また、カラオケ装置では同じ楽曲について、タイプ(バージョン)の異なる複数の楽曲が存在する場合がある。例えば、同じ楽曲について、MIDI情報にて構成される標準的な楽曲、生演奏の録音による楽曲の他、ガイドボーカル付き、本人映像、歌入り、歌唱指導付きなど複数のタイプの存在が考えられる。このような各種タイプの楽曲のそれぞれに対しては、対応する楽曲識別子が設けられており、選曲した楽曲(タイプ毎)に対応する楽曲識別子がカラオケリモコン装置からカラオケ装置に対して伝送され、楽曲識別子に対応した演奏が実行される。
【0007】
ところで、前述した歌詞全体の表示を行うに際し、カラオケ装置で再生されるカラオケ情報に含まれる歌詞情報(テキスト情報)を使用することが考えられる。このような形態では、カラオケリモコン装置で表示させる歌詞情報を別途用意する必要が無いと共に、歌詞情報の記憶に必要なデータ量の削減を図ることが可能である。前述した各種タイプ中に存在する、MIDI情報にて構成される標準的な楽曲については、テキスト情報で形成された歌詞情報に基づいて歌詞表示が行われるため、この歌詞情報を利用することが可能である。しかしながら、本人映像タイプの楽曲は、アーティスト(歌手本人)を撮影した映像中に、歌詞映像が組み込まれているため、テキスト情報による歌詞情報のみを取り出すことはできず、リモコン装置側での利用を行うことはできない。
【0008】
このような本人映像タイプの楽曲を選択したユーザーが歌詞全体を確認したい場合、一度、同じ楽曲について別タイプの楽曲(歌詞全体が確認できる楽曲)を選択し直すことで、歌詞を確認することができる。しかしながら、本人映像タイプの楽曲にて歌唱したいユーザーは、再度、本人映像タイプの楽曲を選択し直して楽曲の予約を行うこととなる。従来は、このように全歌詞を確認できる楽曲と確認できない楽曲が混在していたため、全歌詞を確認したいユーザーに対して面倒な操作が強いられるものであった。
【0009】
本発明は、このようなカラオケリモコン装置における歌詞表示の問題を鑑みたものであって、歌詞表示を行うことのできない楽曲に対して、新たに歌詞情報を追加することなく、歌詞表示を可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのため、本発明に係るカラオケリモコン装置は、
楽曲毎の検索用データを含んで構成された楽曲検索用データベースを記憶する記憶手段と、
ユーザーからの各種入力を受け付け可能とする入力手段と、
楽曲演奏を実行するカラオケ装置と通信可能とする通信手段と、
歌詞表示処理を実行可能とする制御手段と、を備え、
前記検索用データは、楽曲識別子と、グループ識別子と、歌詞フラグを含み、
前記歌詞表示処理は、選択している楽曲に対して、歌詞表示指示の入力を検出した場合、選択している楽曲の検索データ中、歌詞フラグが有効である場合には第1処理を、歌詞フラグが無効である場合には第2処理を実行して歌詞情報を取得して表示手段に表示させ、
前記第1処理は、選択している楽曲の検索用データに含まれる楽曲識別子に対応する歌詞情報を取得し、
前記第2処理は、選択している楽曲の検索用データに含まれるグループ識別子を有すると共に、歌詞フラグが有効である検索用データに含まれる楽曲識別子に対応する歌詞情報を取得することを特徴とする。
【0011】
さらに本発明に係るカラオケリモコン装置において、
前記カラオケ装置は、歌詞フラグが有効とされた楽曲の歌詞情報を記憶し、
前記第1処理、前記第2処理は、楽曲識別子をカラオケ装置に送信し、対応する歌詞情報を受信することで歌詞情報の取得を行うことを特徴とする。
【0012】
さらに本発明に係るカラオケリモコン装置において、
前記第2処理は、複数の検索用データが存在した場合、最新の検索用データに基づいて歌詞情報を取得することを特徴とする。
【0013】
さらに本発明に係るカラオケリモコンシステムは、
楽曲毎の検索用データを含んで構成された楽曲検索用データベースを記憶する記憶手段と、
ユーザーからの各種入力を受け付け可能とする入力手段と、
楽曲演奏を実行するカラオケ装置と通信可能とする通信手段と、
歌詞表示処理を実行可能とする制御手段と、を備えるカラオケリモコン装置と、
歌詞フラグが有効とされた楽曲の歌詞情報を記憶するカラオケ装置を有し、
前記検索用データは、楽曲識別子と、グループ識別子と、歌詞フラグを含み、
前記歌詞表示処理は、選択している楽曲に対して、歌詞表示指示の入力を検出した場合、選択している楽曲の検索データ中、歌詞フラグが有効である場合には第1処理を、歌詞フラグが無効である場合には第2処理を実行して歌詞情報を受信して表示手段に表示させ

前記第1処理は、選択している楽曲の検索用データに含まれる楽曲識別子を前記カラオケ装置に送信して対応する歌詞情報を受信し、
前記第2処理は、選択している楽曲の検索用データに含まれるグループ識別子を有すると共に、歌詞フラグが有効である検索用データに含まれる楽曲識別子を前記カラオケ装置に送信して対応する歌詞情報を受信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、歌詞情報を表示することのできない楽曲に対し、歌詞情報を表示することのできる同一楽曲(バージョン違い)に対応する歌詞情報を利用して表示することで、歌詞表示できない楽曲であっても歌詞表示を行うことのできるカラオケリモコン装置を利用することができる。
【0015】
さらに本発明では、歌詞情報をカラオケ装置から取得することで、カラオケ装置にて再生するカラオケ情報に含まれた歌詞情報を利用することが可能となる。このような形態では、カラオケリモコン装置で表示させるための歌詞情報を別途用意する必要が無いため、歌詞情報を重複して記憶する必要が無いと共に、カラオケリモコン装置側での使用記憶容量の削減を図ることが可能となる。
【0016】
さらに本発明では、歌詞情報を有する、すなわち歌詞フラグが有効とされた楽曲が複数存在する場合、最新の検索用データに基づいて歌詞情報を取得することとしている。バージョンが異なる楽曲が提供される場合、歌詞情報が新たに作成され直すことが考えられる。本実施形態では最新の歌詞情報を利用することが可能となるため、記載間違いなどの少ない歌詞情報の利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るカラオケシステムの構成を示す図
【図2】本発明の実施形態に係る楽曲確認画面表示処理を示すフロー図
【図3】本発明の実施形態に係る楽曲関連情報のデータ構成を示す図
【図4】本発明の実施形態に係る楽曲間の関係を示した模式図
【図5】本発明の実施形態に係る楽曲情報のデータ構成を示す図
【図6】本発明の実施形態に係る楽曲確認画面(全歌詞対応楽曲)を示す図
【図7】本発明の実施形態に係る楽曲タイプ選択画面を示す図
【図8】本発明の実施形態に係る楽曲確認画面(全歌詞非対応楽曲)を示す図
【図9】本発明の実施形態に係る楽曲詳細画面を示す図
【図10】本発明の実施形態に係る全歌詞表示ボタン押下時処理を示すフロー図
【図11】本発明の実施形態に係る歌詞要求情報のデータ構成を示す図
【図12】本発明の実施形態に係るコマンダ側応答処理を示すフロー図
【図13】本発明の実施形態に係る全歌詞表示画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るカラオケシステムの構成を示す図である。本実施形態におけるカラオケシステムは、コマンダ2(カラオケ装置)と、リモコン装置1にて構成されており、コマンダ2とリモコン装置1は、LAN100、アクセスポイント110を利用して有線、無線で互いに通信可能なように接続されている。
【0019】
店舗に設置されるコマンダ2は、リモコン装置1(例えば、1a、1b)によりユーザーからの各種指示を受け付けることが可能となっている。リモコン装置1は表示部11(本発明における「表示手段」)と操作部17(本発明における「入力手段」)とで構成されるタッチパネル表示画面を備え、ユーザーに対して各種情報を提供することが可能とな
っている。リモコン装置1は、通信手段としての無線LAN通信部によって、アクセスポイント110と無線接続されることで、LAN100によって構成されるネットワークに接続される。また、各リモコン装置1は、特定のコマンダ2に対して事前に対応付けされている。リモコン装置1から出力される各種命令は、対応付けされたコマンダ2にて受信されることとなる。なお、LAN100が利用できない状況を考え、リモコン装置1とコマンダ2とは赤外線、Bluetooth(登録商標)などを利用した近距離通信を予備的に設け
ることとしてもよい。
【0020】
さらに、本実施形態のカラオケシステムでは、ユーザーに各種サービスを提供するためインターネットを介してカラオケ用ホスト5(サーバ装置)が設けられ、その記憶部51には、楽曲情報やユーザー情報など、各種サービスに必要な情報を記憶している。コマンダ2、リモコン装置1は、ルータ120を通じて、カラオケ用ホスト5に対して各種情報の送受信が行えるように構成されている。
【0021】
コマンダ2は、制御部30、ビデオRAM、映像制御部13、メモリ14、操作処理部18を含む制御手段を中心として機能し、主な機能として、楽曲予約処理、楽曲演奏処理、映像表示処理などを実行可能としている。楽曲予約処理は、ユーザーからの指定に基づいて楽曲を指定、予約するための処理である。本実施形態ではリモコン装置1と連携して実行することとなる。楽曲演奏処理は、楽曲予約処理で指定、予約された楽曲に対応する演奏情報を音響制御部70にて演奏させ、スピーカー42から放音させる処理である。ユーザーは、歌唱用マイク44a、44bを用いて歌唱を行うことで、演奏音に合わせて歌唱を楽しむことができる。また、この楽曲演奏処理と同時に映像表示処理が実行される。この映像再生処理は、映像制御部31にて各種映像情報、歌詞情報などを再生させ、モニタ41を介した視覚情報をユーザーに提供し、歌唱補助を行う処理である。
【0022】
では、このようなカラオケシステムにおいて、ユーザーが楽曲を指定する際に利用するリモコン装置1の処理について説明する。
【0023】
図2は、本発明の実施形態に係る楽曲確認画面表示処理を示すフロー図である。この楽曲確認画面表示処理は、リモコン装置1で行われる処理であって、ユーザーにより特定された1つの楽曲に関する各種情報をリモコン装置1の表示部11に表示して、予約する楽曲に間違いがないかを確認させるための処理である。ユーザーは、例えば、歌手名、楽曲名などを検索キーとして絞り込んだ楽曲の絞り込みを行い、選択した楽曲についての詳細な情報を確認することができる。
【0024】
ユーザーによりタッチパネル表示画面(表示部11)から楽曲名などがタッチ入力操作(操作部17)されることで、1つの楽曲が特定されると、制御部15は、記憶手段としてのメモリ14に記憶するデータベース(本発明における「楽曲検索用データベース」)をアクセスして楽曲関連情報から、特定された楽曲、すなわち、詳細な情報を表示すべき楽曲の楽曲ID(楽曲識別子)を取得する(S101)。そしてS102では、S101で取得した楽曲IDに対応する他の楽曲関連情報(楽曲タイプ、歌手名など)も、記憶手段としてのメモリ14に記憶するデータベース(本発明における「楽曲検索用データベース」)から取得する。
【0025】
図3には、本発明の実施形態に係る楽曲関連情報のデータ構成が示されている。本実施形態の楽曲関連情報(本発明における「検索用データ」)は、楽曲ID(楽曲識別子)、グループID(グループ識別子)、全歌詞フラグ、楽曲タイプ、バージョン番号(楽曲情報が、カラオケ用ホスト5からコマンダ2へ配信した時期を特定する情報としてのバージョン番号:図示せず)の他、ユーザーに提示するための表示情報を備えて構成されている。本実施形態のカラオケシステムでは、同じ楽曲であっても異なるタイプの楽曲を有する
楽曲を選択することが可能となっている。これら楽曲のタイプは、楽曲関連情報の楽曲タイプに示されるように、同じ楽曲名ではあるが、MIDIデータを含んで構成されたスタンダード(フラグ:0)、背景映像に歌手本人が登場する本人映像(フラグ:1)、生演奏を録音して構成された生演奏(フラグ:2)、歌唱練習のための模範歌唱を収録したガイドボーカル(フラグ:3)、歌手本人のライブの音声、映像に基づいて作成されたライブ映像(フラグ:4)などである。
【0026】
ユーザーは、同じ名前の楽曲についてもこれら異なるタイプの楽曲から、自分の好むものを指定して演奏させることができる。図5には、コマンダ2側にて再生される楽曲情報のデータ構成例を示す図であって、図5(a)には、スタンダードタイプの楽曲情報が、また、図5(b)には、本人映像タイプの楽曲情報のデータ構成が示されている。これらコマンダ2にて再生される楽曲情報は、予め、カラオケ用ホスト5からコマンダ2へインターネットを介して配信され、HDD(ハードディスク)32に記憶されている。
【0027】
図5(a)に示されるスタンダードタイプの楽曲情報は、楽曲を特定するための楽曲ID(楽曲識別子)をヘッダに有するとともに、演奏情報と全歌詞情報を含んで構成されている。演奏情報は、電子楽器の制御情報としてよく知られたMIDIデータで構成されており、このMIDIデータにて音響制御部70内のMIDI音源を駆動することで演奏を実行することが可能である。また、全歌詞情報は、テキストデータで構成されたテロップデータであって、演奏の進行にあわせてモニタ41に表示、色替えを実行することで、歌唱すべき箇所をユーザーに提示し歌唱補助を行うことが可能とされている。
【0028】
一方、図5(b)に示される本人に映像タイプの楽曲情報のデータ構成は、楽曲IDをヘッダに有するとともに、オーディオ・ビデオ情報を含んで構成されている。このオーディオ・ビデオ情報は、MPEG形式などで圧縮されたファイルとなっている。オーディオ情報は、前述のMIDIデータと異なり、録音して作成された情報であり、また、ビデオ情報は、本人を撮影した映像に対して歌唱すべき歌詞をスーパーインポーズして作成されたものとなっている。
【0029】
本実施形態におけるリモコン装置1にて行われる全歌詞表示は、コマンダ1側に記憶している楽曲情報中の全歌詞情報を利用することとしている。そのため、リモコン装置1側のメモリ14に記憶するデータベースには、全歌詞情報を記憶する必要が無く、メモリ14の記憶容量を抑えることが可能となる。ところで、図5(a)のスタンダードタイプのように全歌詞情報を含んで構成された楽曲と、図5(b)の本人映像タイプのように全歌詞情報を含まない楽曲とが存在している。このような場合、スタンダードタイプの楽曲については、全歌詞情報を利用した全歌詞表示を行うことができるが、本人映像タイプの楽曲については全歌詞表示を行うことができないことになる。
【0030】
このような不都合を避けるため本実施形態にて設けられている情報がグループID(グループ識別子)と全歌詞フラグである。図4には、本発明の実施形態に係る楽曲間の関係を示した模式図が掲載されている。図に示されるように同じ楽曲であって異なるタイプの楽曲には、共通するグループIDが付与される。また、各タイプの楽曲には、楽曲情報中に全歌詞情報を有するか否かを示す全歌詞フラグが付与されている。本実施形態では、リモコン装置1にて特定した楽曲について、全歌詞フラグを参照して全歌詞表示できるか否かを判断し、全歌詞表示できない場合には、共通のグループIDを有する楽曲中、全歌詞フラグが有効とされた楽曲の全歌詞情報を利用することで全歌詞表示を行うことを可能としている。
【0031】
本実施形態のグループID、全歌詞フラグ、楽曲タイプは、表示情報を有する楽曲関連情報中に埋め込む構成としているが、これらの情報にて、表示情報とは異なる新規なデー
タベースを構築することとしてもよい。
【0032】
図2の楽曲確認画面表示処理のフロー図に戻り、S103では、S102で取得した楽曲関連情報から全歌詞フラグが取得される。S104では、全歌詞フラグの有効性が判断される。図3に示すように全歌詞フラグが無効(フラグ:0)の場合は、対応する楽曲情報に全歌詞情報が含まれていない楽曲タイプであり、全歌詞フラグが有効(フラグ:1)の場合は、対応する楽曲に全歌詞情報が含まれている楽曲タイプであることを示している。
【0033】
全歌詞フラグが有効である場合(S104:Yes)には、S101で取得した楽曲IDを、全歌詞表示できる歌詞情報が埋め込まれている楽曲であると判断し、そのまま全歌詞情報を取得するための歌詞情報取得楽曲IDとして記憶する(S105)。そして、S106では、表示部11に表示する楽曲確認画面(図6)に、楽曲関連情報中の表示情報などとともに、全歌詞情報ボタン111を表示する。
【0034】
図6は、本発明の実施形態に係る楽曲確認画面(全歌詞対応楽曲)を示した図である。図に示されるように、画面右側には、「歌詞の続きを見る」と表示された全歌詞表示ボタン111がタッチパネル(表示部11)に表示されており、ユーザーはこの全歌詞表示ボタン111をタッチ操作(操作部17)することで、表示部11の画面は、全歌詞表示画面(図13)に移動し、この楽曲の全歌詞を確認することができる。図13には、この全歌詞表示画面の一例が示されている。表示枠中に全歌詞が収まりきらない場合には、「前ページ」ボタン、「後ろページ」ボタンを操作することで、歌詞をスクロールさせて確認することができる。
【0035】
また、楽曲確認画面には、曲名、歌手名、歌い出し、原曲キーなどといった楽曲関連情報中の表示情報の他、楽曲ID、楽曲タイプ、キー設定が表示されている。本実施形態の楽曲確認画面では、このような楽曲を確認するための各種情報の他、楽曲タイプの変更、そして、歌唱する際のキー設定変更を行うことが可能とされている。図には選択した楽曲の楽曲タイプとしてスタンダードタイプが選択された状態が示されているが、「変更」ボタンを操作することで、同じ楽曲であって、利用可能な楽曲タイプに変更することが可能である。
【0036】
図7には、本発明の実施形態に係る楽曲タイプ選択画面が示されている。図6の楽曲確認画面中、楽曲タイプの欄に表示された「変更」ボタンを操作すると、この楽曲タイプ選択画面に遷移して、同じ楽曲であって、利用可能な楽曲タイプの候補が表示される。この例では、楽曲名「夏の海」について、スタンダード、生演奏、ガイドボーカル入りの異なる楽曲タイプが存在し、ユーザーはこの候補の中から好みの楽曲タイプを選択することが可能となっている。楽曲タイプの選択を終えたユーザーは、「閉じる」ボタンを操作して、楽曲確認画面に戻る。
【0037】
キー設定は、歌唱する際のキー(音程)を変更する機能であって、キー設定の欄に表示された「変更」ボタンを操作することで、設定用の別画面(図示せず)に遷移し、カラオケ歌唱用に設定されたキー設定に対して半音単位で調整することが可能である。図に示した状態でのキー設定は「−4」となっている。これを「+2」に変更した場合には、原曲キー、すなわち、歌手が歌唱している音程設定となる。
【0038】
さらに、本実施形態の楽曲確認画面には、「この曲をもっと詳しく」と表記された楽曲詳細表示ボタン112が設けられている。この楽曲詳細表示ボタン112を操作することで、楽曲詳細画面に遷移して、楽曲確認画面に表示されていない楽曲関連情報を確認することができる。図9は、この楽曲詳細画面を示した図であって、図2の楽曲確認画面にて
楽曲詳細表示ボタン112を操作した後の状態が示されている。この楽曲詳細画面では、楽曲確認画面で表示されていた歌手名、楽曲名、歌い出し、に加え、使用された番組の番組名や、使用されたCMの商品名などを示す番組・CM情報の他、付加情報が表示されている。さらに、この楽曲の歌手、使用された番組に関する楽曲を検索することも可能とされている。そして、この楽曲詳細確認画面においても、楽曲確認画面と同様、「歌詞の続きを見る」と表記された全歌詞表示ボタン113が設けられている。この全歌詞表示ボタン113を操作することで、図13に示される全歌詞表示画面に遷移し、歌詞を確認することができる。
【0039】
図2の楽曲確認画面表示処理に戻り、特定された楽曲について、全歌詞フラグが無効(S104:No)である場合には、他の楽曲検索情報を検索し、特定された楽曲の楽曲検索情報のグループIDと、共通のグループIDを有する他の楽曲の楽曲検索情報を抽出する。そして共通のグループIDを有する各楽曲検索情報において、それぞれ全歌詞フラグが有効とされた楽曲の有無が判定される。図3、図4で説明したようにカラオケ装置では、同じ楽曲であっても異なる楽曲タイプが複数存在する場合がある。そのため、本実施形態ではグループID(グループ識別子)によって、同じ楽曲同士が関連づけられている。例えば、図4において、楽曲IDが「2222」の楽曲が特定されている場合を考えてみる。この楽曲関連情報を参照するとこの楽曲は、全歌詞フラグが「無効」であるため、コマンダ2側に記憶する楽曲情報中には全歌詞情報が存在しないことが分かる。
【0040】
このような場合、共通のグループIDを有する他の楽曲について、全歌詞フラグが「有効」である楽曲の有無が確認される。図4の場合、楽曲ID:1111、楽曲ID:3333、楽曲ID:4444の3つの楽曲が全歌詞フラグが「有効」となっていることが分かる。このような場合(S107:Yes)には、全歌詞フラグが「有効」とされた楽曲の楽曲IDを取得し(S109)、取得した楽曲IDのうちの1つを、全歌詞情報を取得するための楽曲ID(以下、歌詞情報取得楽曲ID)としてメモリ14に記憶する。図4のように全歌詞フラグが「有効」とされた楽曲が複数存在する場合には、何れか1つの楽曲IDを歌詞情報取得楽曲IDとすることとなる。その場合、ランダムに選択してもよいが、楽曲検索情報の追加時間を比較し、最新の楽曲、すなわち、最も最後に追加された楽曲を用いることが好ましい。
【0041】
最新の楽曲の判定には、楽曲IDが所定の順で追加されている場合には、楽曲IDにて判定することが可能である。図4の場合において、楽曲IDの付与規則が、新たに追加された楽曲程、数値が大きくなるときには、全歌詞フラグが「有効」とされた楽曲のうち、最新の楽曲(楽曲ID:4444)が、歌詞情報取得楽曲IDとして選択される。このように最新の楽曲の全歌詞情報を利用することで、新たな種類の楽曲タイプの楽曲情報が、コマンダ2へ追加記録された時に、以前の種類の楽曲情報の全歌詞情報の記載間違いが修正された場合など、正しい全歌詞情報を利用することが可能となる。以前の種類と新たな種類を区別する具体的な手順は図示していないが、一般的には、カラオケ用ホスト5からコマンダ2へ楽曲情報を配信し、HDD32へ記録するとき、及び、カラオケ用ホスト5からリモコン装置1へ楽曲関連情報を配信し、メモリ14の楽曲検索用データベースを更新するときに、予めカラオケ用ホスト5側において、楽曲情報、楽曲関連情報それぞれに、先に述べたバージョン番号も付与しておけば、以前の種類か、新たな種類か、を特定することができる。
【0042】
S111では、全歌詞情報を取得することが可能であるため、S106と同様、楽曲確認画面中に全歌詞表示ボタン111を表示させる。一方、共通のグループIDを有する楽曲においても全歌詞フラグが「有効」とする楽曲が存在しない場合(S107:No)には、全歌詞表示ボタン111を非表示とし、ユーザーが全歌詞表示を選択できない状態にして楽曲確認画面を表示させる。図8は、本発明の実施形態に係る楽曲確認画面(全歌詞
非対応楽曲)を示す図であって、破線で示すように全歌詞表示ボタン111は非表示とされており、ユーザーは全歌詞表示の機能を利用することができない状態となる。この場合、図9の楽曲詳細画面においても全歌詞表示ボタン113を非表示の状態、あるいは、操作しても反応しない半非表示の状態にする。
【0043】
以上、図2のフロー図に基づいて楽曲確認画面表示処理を説明したが、本実施形態では、全歌詞表示が可能な場合には、楽曲確認画面中の全歌詞表示ボタン111、あるいは、楽曲詳細画面中の全歌詞表示ボタン113を操作可能な表示状態とし、全歌詞表示が不可能な場合には、操作不能な非表示状態、あるいは、半非表示状態とすることで、ユーザーに対して全歌詞表示機能の利用不可を視覚的に確認させることが可能となる。また、楽曲情報中に全歌詞情報を含まない場合においても、グループIDが共通する楽曲中において、全歌詞情報を有するものを利用することが可能となる。
【0044】
では、リモコン装置1にて、図6の楽曲確認画面中の全歌詞表示ボタン111、あるいは、図9の楽曲詳細画面中の全歌詞表示ボタン113が操作され、図13に示される全歌詞表示画面が表示される処理について説明する。図10は、本発明の実施形態に係る全歌詞表示ボタン押下時処理を示すフロー図であり、図11は、本発明の実施形態に係る歌詞要求情報のデータ構成を示す図であり、図12は、本発明の実施形態に係るコマンダ側応答処理を示すフロー図である。
【0045】
図10に示される全歌詞表示ボタン押下時処理は、ユーザによって全歌詞表示ボタン111、113が押下されたときに制御部15によって開始される処理である。処理が開始されると、楽曲確認画面表示処理にてメモリ14に記憶した歌詞情報取得楽曲IDが読み出される(S201)。そして、取得した歌詞情報取得楽曲IDを含む歌詞要求情報を、無線LAN通信部16を介して、予め対応付けされているコマンダ2に対して送信する(S202)。
【0046】
図11には、歌詞要求情報のデータ構成が示されている。歌詞要求情報には、発信元を示すための自己のリモコン装置ID、送信内容が歌詞要求情報であることを示す歌詞要求フラグ、そして、歌詞情報取得楽曲ID(楽曲ID)を含んで構成される。なお、リモコン装置1において、予め対応付けされているコマンダ2のID保持している場合には、コマンダIDを含めることとしてもよい。リモコン装置ID,コマンダIDは、各装置のIPアドレス、製造番号などを用いることで相手を特定することができる。
【0047】
歌詞要求情報を送信し、コマンダ2からの通信応答が有り(S203:Yes)、かつ、通信応答時に得られた応答情報が取得成功を示す(S204:Yes)の場合には、応答情報に含まれる全歌詞情報を取得(S205)して、全歌詞情報を表示部11に表示することで、図13の全歌詞表示画面を形成する(S206)。一方、所定時間待ってもコマンダ2からの通信応答がない場合(S203:No)には、表示部11に通信エラーを示すメッセージを表示する。そして、応答情報が取得失敗を示す場合(S204:No)には、表示部11に取得失敗エラーを示すメッセージを表示する。
【0048】
一方、図12には、リモコン装置1から歌詞要求情報をインタフェース部24を介して受信したコマンダ2側での制御部30による応答処理が示されている。本実施形態のカラオケシステムでは、リモコン装置1とコマンダ2は、LAN100、アクセスポイント110を介して同じネットワーク内で接続されている。リモコン装置1から送信された各種情報は、同じネットワークに接続されるリモコン装置1あるいはコマンダ2にブロードキャスト配信され、各リモコン装置1あるいはコマンダ2にて自分宛の情報か否かを判定して処理を実行する。
【0049】
S301では、リモコン装置1からの送信情報を受信し、当該送信情報に含まれるリモコン装置IDを抽出する(S302)。S303では、抽出したリモコン装置IDが自己宛の送信情報か否かを判定する。リモコン装置1とコマンダ2間は事前に対応付けされており、本実施形態では、コマンダ2に対応付けされたリモコン装置1のID(リモコン装置ID)が記憶されている。この記憶されたリモコン装置IDに基づいて自己宛の送信情報か否かを判定することができる。リモコン装置1からの送信情報にコマンダIDが含まれている場合には、これを利用して自己宛の送信情報か否かを判定することもできる。
【0050】
自己宛の送信情報でないと判定した場合(S303:No)には、当該送信情報を破棄する。一方、自己宛の送信情報である場合(S303:Yes)には、当該送信情報の種別を判定することで、対応する処理が実行されることとなる。S305では、送信情報が楽曲予約情報であるか否かが判定される。楽曲予約情報は、図6の楽曲確認画面において「予約」ボタンが操作されたときにリモコン装置1から送信される情報であって、コマンダ2に対して、楽曲確認画面に表示された楽曲を演奏させるための情報である。この楽曲予約情報には、演奏させるための楽曲IDが含まれて構成されている。
【0051】
楽曲予約情報を受信した場合、送信情報に含まれる楽曲IDを予約テーブルに追加して一連の処理を終了する。コマンダ2は、予約テーブルに追加されている楽曲IDに対応した演奏情報を順次、音響制御部70に演奏させる演奏処理を実行する。
【0052】
送信情報が図11で説明した歌詞要求情報である場合(S307:Yes)には、HDD32に記憶する楽曲情報を検索し、歌詞要求情報に含まれる歌詞情報取得楽曲IDに対応する楽曲情報から全歌詞情報を抽出する(S308)。抽出された全歌詞情報は、応答情報に含められ、歌詞要求情報が送信されたリモコン装置1に、歌詞要求情報の通信応答としてインタフェース部24を介して返信される(S309)。また、自己宛の送信情報が他の無いようである場合には、その内容に応じた処理が実行されることとなる(S310)。そして、リモコン装置1側においては、応答情報を、コマンダ2から無線LAN通信部16を介して受信し、制御部15が、先に述べた(S205)、(S206)処理を実行することで、タッチパネルの表示部11に、ユーザが指定した楽曲IDと同じ楽曲名の異なる楽曲タイプの歌詞全文が、楽曲IDの歌詞全文として表示される(図13)。
【0053】
以上、本実施形態のリモコン装置1では、コマンダ2側にて記憶する全歌詞情報を利用することで、リモコン装置1側にて全歌詞情報を記憶する必要が無く、リモコン装置1側の記憶容量を抑えることが可能となる。また、同じ楽曲であって異なる楽曲タイプの楽曲間にて全歌詞情報を共有して利用することで、コマンダ2側においても記憶容量を抑えることが可能となる。さらに、古い楽曲についても新たに全歌詞情報を追加する更新を行う必要もないため、メンテナンスの簡略化を図ることも可能となる。なお、本実施形態では、楽曲内で歌唱される全ての歌詞(全歌詞情報)としたが、1コーラスの歌詞とするなど一部分の歌詞情報を利用した形態であってもよい。
【0054】
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0055】
1…リモコン装置、11…表示部、12…ビデオRAM、13…映像制御部、14…メモリ、15…制御部、16…無線LAN通信部、17…操作部、18…操作処理部、2…コマンダ(カラオケ装置)、21…操作部、22…操作処理部、24…インターフェイス部、27…メモリ、28…ビデオRAM、29…映像再生部、30…制御部、31…映像制御部、32…HDD(ハードディスク)、41…モニタ、42…スピーカー、44a、44b…歌唱用マイク、100…LAN、110…アクセスポイント、120…ルータ、5
…カラオケ用ホスト、51…記憶部、70…音響制御部、111、113…全歌詞表示ボタン、112…楽曲詳細表示ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲毎の検索用データを含んで構成された楽曲検索用データベースを記憶する記憶手段と、
ユーザーからの各種入力を受け付け可能とする入力手段と、
楽曲演奏を実行するカラオケ装置と通信可能とする通信手段と、
歌詞表示処理を実行可能とする制御手段と、を備え、
前記検索用データは、楽曲識別子と、グループ識別子と、歌詞フラグを含み、
前記歌詞表示処理は、選択している楽曲に対して、歌詞表示指示の入力を検出した場合、選択している楽曲の検索データ中、歌詞フラグが有効である場合には第1処理を、歌詞フラグが無効である場合には第2処理を実行して歌詞情報を取得して表示手段に表示させ、
前記第1処理は、選択している楽曲の検索用データに含まれる楽曲識別子に対応する歌詞情報を取得し、
前記第2処理は、選択している楽曲の検索用データに含まれるグループ識別子を有すると共に、歌詞フラグが有効である検索用データに含まれる楽曲識別子に対応する歌詞情報を取得することを特徴とする
カラオケリモコン装置。
【請求項2】
前記カラオケ装置は、歌詞フラグが有効とされた楽曲の歌詞情報を記憶し、
前記第1処理、前記第2処理は、楽曲識別子をカラオケ装置に送信し、対応する歌詞情報を受信することで歌詞情報の取得を行うことを特徴とする
請求項1に記載のカラオケリモコン装置。
【請求項3】
前記第2処理は、複数の検索用データが存在した場合、最新の検索用データに基づいて歌詞情報を取得することを特徴とする
請求項1または請求項2に記載のカラオケリモコン装置。
【請求項4】
楽曲毎の検索用データを含んで構成された楽曲検索用データベースを記憶する記憶手段と、
ユーザーからの各種入力を受け付け可能とする入力手段と、
楽曲演奏を実行するカラオケ装置と通信可能とする通信手段と、
歌詞表示処理を実行可能とする制御手段と、を備えるカラオケリモコン装置と、
歌詞フラグが有効とされた楽曲の歌詞情報を記憶するカラオケ装置を有し、
前記検索用データは、楽曲識別子と、グループ識別子と、歌詞フラグを含み、
前記歌詞表示処理は、選択している楽曲に対して、歌詞表示指示の入力を検出した場合、選択している楽曲の検索データ中、歌詞フラグが有効である場合には第1処理を、歌詞フラグが無効である場合には第2処理を実行して歌詞情報を受信して表示手段に表示させ、
前記第1処理は、選択している楽曲の検索用データに含まれる楽曲識別子を前記カラオケ装置に送信して対応する歌詞情報を受信し、
前記第2処理は、選択している楽曲の検索用データに含まれるグループ識別子を有すると共に、歌詞フラグが有効である検索用データに含まれる楽曲識別子を前記カラオケ装置に送信して対応する歌詞情報を受信することを特徴とする
カラオケシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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