説明

カラオケルームインタフォンシステム

【課題】カラオケルームの利用者がインタフォンを使用する際、ルーム内に設置されたカラオケ演奏装置が演奏中の場合でも演奏中でない場合でも、利用者に手間を強いらず、演奏有無の状況に係わらず、常に通話を聞き取り易くできるシステムの提供。
【解決手段】カラオケルーム内に設置された所定のカラオケ演奏装置と、当該カラオケルームの利用者との通話に使用するためのインタフォンとを主体とし、カラオケ演奏装置の動作状態に基づき、演奏中か否かの種別をリアルタイムに判断し、それぞれの種別信号に基づき、インタフォンが、カラオケ演奏装置が演奏中の場合は、演奏中でない場合よりも相対的に音量を高めに自動調整するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケルーム内に設置された所定のカラオケ演奏装置と、当該カラオケルームの利用者との通話に使用するためのインタフォンとを主体とするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラオケは老若男女を問わずポピュラーな娯楽として定着し、最近では、多数のカラオケルームを備えたカラオケ店舗が全国的に広がっている。そして、通常、各カラオケルーム内には、ルーム利用者と店舗のフロント担当者との通話に使用するためのインタフォンが設置されている。このインタフォンに関しては、従来、家庭用などに普及している一般のものと同じで、カラオケルーム用に特別な機能を付与したものはあまり想到されていなかった。それでも、特許文献1では、カラオケルーム内での演奏中では呼び出し音が聞き取り難いため、呼び出し時には自動的に光を点滅させ、利用者に呼び出しを気付かせるインタフォンが開示されている。
【0003】
【特許文献1】実開平6−54343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例え呼び出しに気付いても、カラオケルーム内にて演奏中であれば、利用者にとって、通話は聞き取り難い。従来、カラオケルーム内に設置されているインタフォンの中には音声出力の音量を手動調整する機能を有するものもあるが、利用者に手間を掛けるだけでなく、演奏中に高めた音量を低めに再調整しないと、今度は演奏していない状態では不用意に大音量に聞こえてしまい、非常に不都合となる。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みなされたもので、すなわち、カラオケルームの利用者がインタフォンを使用する際、ルーム内に設置されたカラオケ演奏装置が演奏中の場合でも演奏中でない場合でも、利用者に手間を強いらず、演奏有無の状況に係わらず、常に通話を聞き取り易くできるシステムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を鑑み、本発明者は、カラオケルーム内に設置された所定のカラオケ演奏装置と、当該カラオケルームの利用者との通話に使用するためのインタフォンとを主体とし、カラオケ演奏装置の動作状態に基づき、演奏中か否かの種別をリアルタイムに判断し、それぞれの種別信号に基づき、インタフォンが、任意の通話時において、カラオケ演奏装置が演奏中の場合は、演奏中でない場合よりも相対的に音量を高めに自動調整するシステムを提供することで上記課題を解決できることを見出し、本発明のカラオケルームインタフォンシステムを想到した。
【0007】
すなわち、本発明のカラオケルームインタフォンシステムは、カラオケルーム内に設置された所定のカラオケ演奏装置と、当該カラオケルームの利用者との通話に使用するためのインタフォンとを主体とするシステムであって、
(ア)前記カラオケ演奏装置は、
当該カラオケ演奏装置の動作状態に基づき、任意のカラオケ楽曲が演奏中か否かの種別をリアルタイムに判断するための動作種別判断手段と、
前記判断された種別信号を継続的に発信するための種別信号発信手段とを有し、
(イ)前記インタフォンは、
音声出力の音量を調整可能な音量調整手段と、
前記種別信号発信手段からの種別信号を受信するための種別信号受信手段とを有し、
前記音量調整手段は、任意の通話時において、前記種別信号受信手段から受信した種別信号に基づき、演奏中の場合は、演奏中でない場合よりも相対的に音量を高めに自動調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカラオケルームインタフォンシステムによれば、カラオケ演奏装置の動作状態に基づき、演奏中か否かの種別をリアルタイムに判断し、インタフォンが、任意の通話時において、カラオケ演奏装置が演奏中の場合は、演奏中でない場合よりも相対的に音量を高めに自動調整することから、利用者に手間を強いらず、演奏有無の状況に係わらず、常に通話を聞き取り易くできるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明のカラオケルームインタフォンシステムにつき、好適な実施例を挙げて説明するが、先ず、図1に示す、本発明のシステムに係わるカラオケ演奏装置の主要構成図と、図2に示す、演奏中か否かの種別の判断方法概念図と、図3に示す、本発明のシステムに係わるブロック構成図に基づき、本発明における各機能手段について詳述する。
【実施例1】
【0010】
図1に示すように、本発明のカラオケ演奏装置(P)は、基本的な機構としては、従来の演奏装置とほぼ同じくする。例えば、中央制御手段(11)はシステム全体の統括制御をするもので、CPU、ROM、RAMなどを含んで構成され、各種の周辺機器類が接続されている。具体的には、大容量の記憶手段としてのハードディスク装置(12)、CD−ROMやDVD−ROMといった光ディスク再生手段(16)、ADSL回線やISDN回線あるいは光通信回線を介してカラオケホスト装置との通信を行うための通信制御手段(14)、利用者からの入力と利用者に向けての応答のやり取りを行うための利用者インタフェイス(13)、MIDI形式やMP3形式などの音楽演奏データに基づいてカラオケ伴奏音楽の音響信号を生成するための音楽生成手段(15)、カラオケ伴奏音楽やカラオケマイク(M)からの音響信号を増幅してスピーカ(S)から放音するための音響制御手段(18)、CRTやLCDあるいはPDPなどを用いたディスプレイ(D)に表示すべきデータを処理するための表示制御手段(17)などがある。
【0011】
また、利用者インタフェイス(13)には、演奏装置本体の操作パネルやカラオケリモコン装置が含まれ、さらに、最近のリモコン装置には、利用者IDを識別する機能や双方向通信が可能な短距離無線通信機能などを備えているものもある。中央制御手段(11)は、利用者インタフェイス(13)から予約演奏コマンドを受信すると、その信号に含まれている楽曲IDコードを受け取った順に、これらを待ち行列に登録する。そして、待ち行列から登録順に楽曲IDコードを取り出し、該当する音楽演奏データを順次演奏処理に供する。
【0012】
ハードディスク装置(12)にはカラオケデータベースが構築されており、カラオケ楽曲別の各楽曲IDコード(12a)にそれぞれ対応するカラオケデータを蓄積している。このカラオケデータとは、具体的には、MIDIデータやADPCMデータなどで表現されたカラオケ伴奏音楽の起源となる音楽演奏データ(12b)や、カラオケ伴奏音楽に同期した歌詞字幕を表示するための歌詞字幕データ(12c)、さらには、カラオケ伴奏音楽の出力期間に歌詞字幕の背景として表示すべき背景映像データ(12d)などのデータ群である。
【0013】
そして、本発明のシステムに係わる機能手段として、カラオケ演奏装置(P)の動作状態に基づき、任意のカラオケ楽曲が演奏中か否かの種別をリアルタイムに判断するための動作種別判断手段(2)と、所定のインタフォン(F)に対し、それぞれの種別信号を継続的に発信するための種別信号発信手段(3)が設けられている。ここで、図2に示す、演奏中か否かの種別の判断方法概念図に基づき、この動作種別判断手段(2)について詳述する。
【0014】
演奏中か否かの種別の判断基準としては、本発明では、演奏動作に入っているか否かを確認できるものであれば特に限定するものではない。例えば、本実施例では、現演奏中の楽曲を含めて予約待ち行列に演奏予約楽曲がない状態を非演奏中であると判断するのに加え、例え演奏予約が入っていても、音楽演奏データに含まれる初期設定パラメータ(セットアップデータ)を音源に送り、これを初期設定する時点から演奏開始までの動作状態も非演奏中であると判断する。具体的には、(a)に示すように、演奏曲間、例えば、A曲の演奏が終了し、B曲の音楽演奏データに含まれる初期設定パラメータを音源に送って、これを初期設定する時点からB曲の演奏開始までの動作状態も非演奏中として判断する。そして、この非演奏中以外の状態を演奏中と判断する。
【0015】
次に、図3に示すシステム(1)につき、さらに詳述する。先ず、利用者が送受話器(図示省略)を取り上げ、フックスイッチ(9)がフックオフされると呼び出し状態から通話状態へと移行し、CPU(8)はレシーバアンプ(6)やマイクアンプ(図示省略)と共に種別信号受信手段(4)を能動状態とする。種別信号受信手段(3)は、カラオケ演奏装置(P)側の動作種別判断手段(2)よりリアルタイムで発信している種別信号を種別信号発信手段(3)から受信し、この種別信号に基づき、音量調整手段(5)は、レシーバアンプ(6)に対し、演奏中の場合は演奏中でない場合よりも相対的に音量を高めに自動調整し、通話用スピーカ(7)から通話音が放音される。なお、通常は、演奏中でない場合の音量を所定のデフォルト設定をし、演奏中の場合の音量はこれより高めの所定値を予め設定し、それぞれへの音量変更はデジタルボリューム機構を用いて調整する。
【0016】
以下、図4に示す、本発明のシステムに係わるフロー図に基づき、本発明のシステムに基づく各機能手段の動作手順について説明する。
【0017】
先ず、インタフォンが受信して呼び出し音が鳴り、利用者が送受話器を取り上げると通話接続が確認される(S1)。すると、インタフォンのCPUは、種別信号受信手段に対して、その時点で発信されている識別信号を受信させる(S2)。すると、識別信号を受信した識別信号受信手段は、この識別信号を音量調整手段に送出する(S3)。音量調整手段は識別信号を受け取ると、その識別信号が演奏中のものか否かを確認し(S4)、演奏中のものであれば、音量をデフォルト音量よりも高めの所定値に調整し(S5)、演奏中のものでなければ、音量をデフォルト音量に調整する(S6)。そして、通話の接続が切れたか否かに応じ(S7)、接続状態では、送信された識別信号が通話中に変化したとしても繰り返し同様な処理が行われ、接続が切れた状態になると終了する。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上、詳述したように、本発明のカラオケルームインタフォンシステムによれば、カラオケ演奏装置の動作状態に基づき、演奏中か否かの種別をリアルタイムに判断し、インタフォンが、任意の通話時において、カラオケ演奏装置が演奏中の場合は、演奏中でない場合よりも相対的に音量を高めに自動調整することから、利用者に手間を強いらず、演奏有無の状況に係わらず、常に通話を聞き取り易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のシステムに係わるカラオケ演奏装置の主要構成図。
【図2】演奏中か否かの種別の判断方法概念図。
【図3】本発明のシステムに係わるブロック構成図。
【図4】本発明のシステムに係わるフロー図。
【符号の説明】
【0020】
1 カラオケルームインタフォンシステム
2 動作種別判断手段
3 種別信号発信手段
4 種別信号発信手段
5 音量調整手段
6 レシーバアンプ
7 通話用スピーカ
8 CPU
9 フックスイッチ
P カラオケ演奏装置
F インタフォン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケルーム内に設置された所定のカラオケ演奏装置と、当該カラオケルームの利用者との通話に使用するためのインタフォンとを主体とするシステムであって、
(ア)前記カラオケ演奏装置は、
当該カラオケ演奏装置の動作状態に基づき、任意のカラオケ楽曲が演奏中か否かの種別をリアルタイムに判断するための動作種別判断手段と、
前記判断された種別信号を継続的に発信するための種別信号発信手段とを有し、
(イ)前記インタフォンは、
音声出力の音量を調整可能な音量調整手段と、
前記種別信号発信手段からの種別信号を受信するための種別信号受信手段とを有し、
前記音量調整手段は、任意の通話時において、前記種別信号受信手段から受信した種別信号に基づき、演奏中の場合は、演奏中でない場合よりも相対的に音量を高めに自動調整することを特徴とするカラオケルームインタフォンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−276555(P2006−276555A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96780(P2005−96780)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】