説明

カラオケ集合店舗における飲食物セルフオーダーPOSシステムと連携するカラオケ客室システム

【課題】注文履歴を時系列にカラオケ演奏履歴とともにカラオケ装置で残す。
【解決手段】カラオケ集合店舗の各客室において、電子メニュー注文装置は、品目IDに対応付けした品目情報を集約したメニューデータベースと、映像IDと品目IDとを対応付けした映像指定テーブルを記憶し、客の操作入力に応答してメニューデータベースの各品目情報を表示させて注文入力を受け付け、POSシステムに出力するとともにカラオケ装置に通知し、カラオケ装置は、演奏した楽曲IDを時系列に記憶するとともに、その記録に対応付けして通知された品目IDを時系列に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カラオケ集合店舗における飲食物セルフオーダーPOSシステムと連携するカラオケ客室システムに関し、とくに、カラオケ利用動向と飲食物注文動向とを結びつけたマーケティング情報を収集するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、大規模にチェーン展開しているファミリーレストランや居酒屋などの飲食店業界では、かなり前から高機能POSシステムがとりいれられており、POSシステムによるマーケティング情報システムが経営分析に活用されている(たとえば特開2000−20826号・特開2004−310679号公報)。
【0003】
また周知のように、通信カラオケシステムは、大規模な通信システムを応用したマルチメディアシステムであり、各端末の稼働状況の詳細をホストコンピュータに集約して運用管理する仕組みがシステムの根幹をなしており、これを利用してさまざまなマーケティング情報を収集している(たとえば特許第3143456号公報)。
【0004】
最近のカラオケ店では、分厚いカラオケ目次本に代わり、タブレットコンピュータにより構成された電子目次本装置(デンモク、キョクNAVI、ナビカラといった商品名の製品)が普及している。タブレットコンピュータの持つ演算能力・記憶能力・通信能力はきわめて大きいので、この種の電子目次本装置をカラオケに関連したさまざまな用途に供する開発が進められ、非特許文献1に説明されているように電子目次本装置を電子メニュー注文装置としても機能させるセルフオーダーPOSシステムが実用化された。
【特許文献1】特開2000−20826号公報
【特許文献2】特開2004−310679号公報
【特許文献3】特許第3143456号公報
【非特許文献1】株式会社エクシング、「オーダーエントリーシステム」、[online]、平成17年11月9日、[平成17年12月20日検索]、インターネット<URL:http://www.xing.co.jp/news/news051109.html>
【発明の開示】
【0005】
この発明の目的は、カラオケ集合店舗の各客室において電子メニュー注文装置とカラオケ装置が通信可能に装備されたカラオケ客室システムにおいて、カラオケ利用動向と飲食物注文動向とを結びつけた有意義なマーケティング情報を収集することにある。
【0006】
この発明に係るカラオケ客室システムは、つぎの事項(1)〜(7)により特定されるものである。
(1)カラオケ集合店舗の各客室において電子メニュー注文装置とカラオケ装置が通信可能に装備されたカラオケ客室システムであること
(2)電子メニュー注文装置は、制御手段と、品目情報を品目IDに対応付けて集約したメニューデータベースと、入力手段と、表示手段を備えること
(3)制御手段は、メニュー処理と、POS処理と、通知処理を行うこと
(4)メニュー処理は、操作入力に応答してメニューデータベースの各品目情報を表示させて注文入力を受け付けること
(5)POS処理は、メニュー処理にて受け付けた注文入力をPOSシステムに出力すること
(6)通知処理は、メニュー処理にて受け付けた注文入力の品目IDをカラオケ装置に通知すること
(7)カラオケ装置は、演奏した楽曲IDを時系列に記録するとともに、その記録に対応付けして電子メニュー注文装置から通知された品目IDを時系列に記録すること
【0007】
この発明において、カラオケ装置は、楽曲IDと品目IDの記録をホストコンピュータに送信する構成も採れる。
【0008】
===発明の効果===
この発明によれば、カラオケ集合店舗の客室にて客が歌った曲の楽曲IDの時系列の記録と、その客が注文した飲食物の品目IDの時系列の記録を対応付けして収集することができる。このように収集される情報は、分析の仕方によっては、きわめて有意なマーケティング情報となる。多数のカラオケ装置にて記録された情報をホストコンピュータに集約し、消費者の動向を分析することで、音楽業界や飲食物の製造販売に関わる業界あるいは広告業界に有用な情報を解析抽出することができる。
【0009】
収集した情報について相関分析を行うことで、たとえばカラオケパーティで「ベルギービール」を多く飲む人たちが好んで歌う曲の傾向を知ることができ、この解析情報を「ベルギービール」のテレビコマーシャルの企画制作に活かすことができる。同様に、あるアーティストの新曲の宣伝映像に「ベルギービール」を小道具に使うといったアイデアを導き出すことができる。
【0010】
また、収集した情報について時系列分析と相関分析を組み合わせて行うことで、3時間ほどのカラオケパーティの間に、歌われる曲の傾向がどのように変化し、その変化に合わせて飲食物の注文傾向がどのように変化するのかを解析することが可能である。このようにして解析した情報を活用し、パーティで使用中のカラオケ装置や電子メニュー注文装置のディスプレイに飲食物のお薦め広告を効果的に流すことができる。
【0011】
カラオケ業界や飲食物関連業界では、これまで、カラオケパーティにて歌われる曲と、歌いながら飲食したものとを結びつけて消費者の動向を調査するようなマーケティングリサーチは行われていなかった。この発明のカラオケ客室システムによれば、上記のように斬新で有意義なマーケティング情報の収集を大規模かつ自動的に行うことが可能となる。
【実施例】
【0012】
===カラオケ集合店舗の情報処理システムの概要===
本発明のカラオケ客室システムの構成を図1に例示している。カラオケ事業者が運営するカラオケ店舗には、多数の客室のそれぞれに設置されているカラオケ装置1と客室端末(客席端末)2とを含み、各装置が店舗内LAN5に接続されている。カラオケ装置1はインターネットを利用したVPNを介してカラオケサーバーやその他の外部サーバー装置とも通信可能である。
【0013】
カラオケ装置1に付帯する客室端末2は、タブレットタイプの一体型パソコンであり、客席の利用者によって操作されるものである。透明タッチパネルを搭載した液晶表示器からなるユーザインタフェースを備え、利用者と対話形式で情報交換を行えるように構成されている。無線アダプターを介して店舗LAN5に接続され、LAN5を介してカラオケ装置1や管理コンピュータ3とデータ通信可能である。後述するように、カラオケリモコン装置としてカラオケのリクエスト曲を検索させて予約を受け付けたり、電子メニュー注文装置として飲食物メニューを表示して注文を受け付けたりする。
【0014】
店舗内LAN5には、管理コンピュータ3も接続されている。管理コンピュータ3は、店員やオーナーが店内の管理情報を入力したり閲覧したりユーザインタフェースを備えている。この管理コンピュータ3はPOSシステムへのゲートウェイコンピュータも兼ねており、利用者の注文に基づく発注信号を受け取ってPOSシステムを構成する適宜な装置に振り分けたり、注文に関する情報を集積したりして統括する。たとえば、厨房に設置されたプリンタに品目や配膳先の客室番号を印刷出力したり、カラオケ店舗のフロントに設置されたPOS対応レジスタに向けて出力したりする。
【0015】
===カラオケ装置1の構成===
カラオケ装置1は、周知の通信カラオケシステムの演奏端末であって、汎用パソコンの応用装置である。メインコンピュータ11が全体を統括し、ハードディスク装置12には、メインコンピュータのプログラムのほか、カラオケデータベース、映像データベースなどの各種情報を格納している。操作/表示パネル部13は、利用者により各種の情報が入力可能であるとともに、利用者に向けて各種の情報を表示可能である。通信処理部14は、通信回線を介して外部のカラオケサーバーや事業者運営の各種サーバーと通信する。またLAN5を介して同室内の客室端末2と通信可能に構成されている。
【0016】
カラオケ利用者がカラオケ装置1の操作/表示パネル13やカラオケリモコン装置としての客室端末4を用いて指定したリクエスト曲について、カラオケ装置1はカラオケデータベースから該当の楽曲のカラオケデータを取り出して演奏処理部15に受け渡す。各曲のカラオケデータは、楽曲番号とMIDI演奏データと録音データと歌詞字幕データと映像指定データとを組織化したデータ集合である。
【0017】
メインコンピュータ11の制御によって演奏処理部15が、カラオケデータに基づいてステレオ伴奏音楽を演奏し、音楽信号をミキシングアンプ16で増幅してスピーカより放音する。また映像処理部17が、該当楽曲用の歌詞字幕データに基づいて、演奏の進行に同期して歌詞字幕を色替え表示するとともに、映像指定データに基づいて映像データベースから映像データを取り出して、歌詞字幕の背景映像をディスプレイ18に表示する。
【0018】
===客室端末2の構成===
客室端末2は、液晶ディスプレイとタッチセンサとを積層したタッチパネルを主体としたユーザインタフェースを備え、内蔵するフラッシュメモリやハードディスク装置などの外部記憶には、カラオケ装置に蓄積されているものと同様の目次情報や、タッチパネルに表示される各種画像情報などが蓄積されている。また、演奏予約などの操作対象となる同室内のカラオケ装置1の所在情報(IPアドレスなど)も記憶されている。
【0019】
リモコン制御部がCPU・RAM・ROM・ビデオRAMなどを含んで全体を統括し、タッチパネルへの入力情報に基づいて各種画像情報や文字情報をビデオRAMにビットマップ展開し、そのビットマップデータに基づいてLCDドライバを駆動してタッチパネルに適宜な情報を表示する。また外部記憶に蓄積されている目次情報を楽曲索引データベースとして管理している。さらに、外部記憶にはカラオケ店舗で提供可能な飲食物の品目情報を蓄積し、メニューデータベースとして管理している。
【0020】
リモコン制御部は、利用者とのタッチパネルを介した対話を通じて、楽曲索引データベースから利用者の希望する楽曲の目次情報を検索して提示したり、利用者の演奏予約する旨の指示入力を受け付けて演奏予約コマンドを生成しカラオケ装置1に転送したりする。また、メニューデータベースから利用者の希望する飲食物の品目情報を検索して提示したり、利用者の注文入力を受け付けて発注信号を生成して管理コンピュータ3に転送したりする。
【0021】
===利用履歴の収集===
利用客が入室する際や退室時には、店員が管理コンピュータ1から所定の操作を行って客室番号とともに利用開始時間情報や終了時間情報を入力している。利用人数や性別やその他の利用者グループの情報なども入力される。これらの入力情報は適宜にPOSシステムの装置や客室端末2に転送され、各装置が利用開始や利用終了、利用者グループの情報を認識・利用可能に構成されている。
【0022】
客室端末2は、先述のとおり、カラオケリモコン装置としての機能と、電子メニュー注文装置としての機能を備える。例えば客室端末2のトップメニューに配設された「飲食メニュー」ボタンを利用者が指示入力することにより、電子メニュー注文装置として利用できるようになる。
【0023】
電子メニュー注文装置としての客室端末2は、利用者からの飲食物の注文を受け付けた場合に、品目IDを含む発注信号を生成して管理コンピュータ3に転送するとともに、品目IDを所定の信号に含めてカラオケ装置1に通知する。注文入力された時間情報を含めてもよい。
【0024】
カラオケ装置1は、品目IDを受け取ると、そのときの時間情報を読み取って(客室端末2から注文の時間情報もあわせて通知された場合には、通知された時間情報と)品目IDと対応付けして適宜な記憶部に記憶し、これを注文履歴簿として管理する。
【0025】
カラオケ装置1は注文履歴簿の他に、カラオケ演奏した曲の楽曲IDと演奏の時間情報とを演奏履歴簿として記録している。2つの履歴簿は共通して時間情報を含み、容易に対応付けられる。もちろん、図3に例示しているように、注文履歴簿と演奏履歴簿とを一体的に、時間情報に品目ID・楽曲IDの双方を対応付けした構成で記録してもよい。
【0026】
これらの注文履歴簿と演奏履歴簿は、客室の利用開始時に記録が開始され、客室の利用終了時に記録が終了する。カラオケ装置1は、管理コンピュータ3から当該客室の利用開始の旨とともに利用開始時間情報を受け取ると履歴簿の記録を開始し、終了時刻情報を受け取ると当該履歴簿の記録を終了させる。このときの利用者の人数や性別、識別情報などが客室の利用開始にあわせて管理コンピュータ3などからを入力されている場合には、それも履歴簿に追加しておくと、マーケティング情報として有用である。
【0027】
なお、利用者がカラオケ店の登録会員である場合には、客室端末2にて所定の方式でログインして、各利用者の登録情報を管理コンピュータ3やホストコンピュータなどからダウンロードし(特開2005−134570号公報参照)、個人別の電子目次本をはじめとする各種の会員対象サービスを利用している。ログインした利用者が飲食物を注文したり楽曲を演奏予約したりする場合には、各コマンドには会員IDが対応付けられて発信される。そのような場合に履歴簿には、ログインした利用者の会員IDやログイン時間をはじめ、品目IDや楽曲IDに会員IDも対応付けして記録しておくと、より詳細なマーケティング情報を採取できる。
【0028】
===利用履歴の出力===
カラオケ装置1では、定期的なメンテナンス時間などの適宜な時間帯に、これらの履歴簿を適宜な形式で適宜なコンピュータに出力する。この出力を受けたコンピュータがこれらの履歴簿に基づいて客室の利用状況を分析する。たとえば、これらの履歴簿を客室番号を含めて管理コンピュータ3に転送し、管理コンピュータ3が集約して各客室での利用状況を分析する。
【0029】
または、各店舗の管理コンピュータ3に集約された履歴簿を通信ネットワークを介してカラオケ事業者運営のホストコンピュータに集約し、ホストコンピュータにて全国的な利用状況を分析する構成もとれる。
【0030】
なお、注文履歴簿はPOSシステム側(たとえばゲートウェイとしての管理コンピュータ3)にて記録しておき、適時にカラオケ装置1がPOSシステム側から注文履歴簿を取り寄せて、演奏履歴簿と対応付けする構成もとれる。もちろん管理コンピュータ3やホストコンピュータがカラオケ装置1・POSシステム側のそれぞれから各履歴簿を集約して分析する構成でもよい。
【0031】
または客室端末2内で注文履歴簿を記録しておき、適時にカラオケ装置1が注文履歴簿を取り寄せて演奏履歴簿と対応付ける構成でもよいし、客室端末2がカラオケ装置1から演奏履歴簿を取り寄せて注文履歴簿と対応付けてもよい。
【0032】
客室端末2内でも注文履歴簿を管理しておき、同じ客室端末2でおこなった楽曲検索や演奏予約などの利用履歴を時間情報と対応付けして利用履歴簿として管理し、これらの履歴を対照することも可能である。そうすると飲食物の注文と実際に演奏された楽曲との相関だけでなく、飲食物の注文と演奏予約曲との相関や、お気に入り曲への登録などの行動との相関も抽出して分析することができるようになる。
【0033】
以上に説明したカラオケ客室システムによれば、カラオケと客室内での歌唱と飲食の履歴情報を収集できるので、相関があれば簡単に調べられる。したがって、そのような相関を見越したサービスを提供したり、利用客に時機を得た飲食メニューの提案をすることなどが可能となり、カラオケ店舗の収益の向上に役立てることができる貴重なマーケティング情報を簡単に収集できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施例に係るカラオケ客室システムのシステム構成を例示した図である。
【図2】本実施例に係るカラオケ装置のブロック構成を例示した図である。
【図3】本実施例に係る注文履歴簿および演奏履歴簿の論理構成を例示した図である。
【符号の説明】
【0035】
1 カラオケ装置
2 客室端末
4 厨房端末
5 LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ集合店舗の各客室において電子メニュー注文装置とカラオケ装置が通信可能に装備されたカラオケ客室システムであって、
電子メニュー注文装置は、制御手段と、品目情報を品目IDに対応付けて集約したメニューデータベースと、入力手段と、表示手段を備え、
制御手段は、メニュー処理と、POS処理と、通知処理を行い、
メニュー処理は、操作入力に応答してメニューデータベースの各品目情報を表示させて注文入力を受け付け、
POS処理は、メニュー処理にて受け付けた注文入力をPOSシステムに出力し、
通知処理は、メニュー処理にて受け付けた注文入力の品目IDをカラオケ装置に通知し、
カラオケ装置は、演奏した楽曲IDを時系列に記録するとともに、その記録に対応付けして電子メニュー注文装置から通知された品目IDを時系列に記録する
カラオケ客室システム。
【請求項2】
カラオケ装置は、楽曲IDと品目IDの記録をホストコンピュータに送信する
請求項1に記載のカラオケ客室システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate