説明

カラミチックメソゲン化合物

【課題】カラミチックメソゲン化合物を提供する。
【解決手段】本発明は、負の光学的分散を有する複屈折フィルムにおける使用に特に適する新規なカラミチックメソゲン化合物と、それらを含む新規な液晶(LC)調合物およびポリマーフィルムと、光学的、電気光学的、電子的、半導体性または発光性部品または装置における前記化合物、調合物およびフィルムの使用とに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負の光学的分散を有する複屈折フィルムにおける使用に特に適する新規なカラミチックメソゲン化合物と、それらを含む新規な液晶(LC)調合物およびポリマーフィルムと、光学的、電気光学的、電子的、半導体性または発光性部品または装置における前記化合物、調合物およびフィルムの使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
負の光学的リターデーション分散を示す異方性光学的フィルムに対する要求がある。例えば、負の分散の複屈折材料で作製された1/4波長フィルムは大部分が色消しとなる。そのような1/4波長フィルムを利用する反射型LCDなどの装置は、着色されていない暗状態を有することとなる。現在のところ、この効果を達成するために、そのような装置は2枚の位相差フィルムを使用しなければならない。そのようなフィルムの分散能は多くの方法で決定できるが、1つの一般的な方法は、450nmで光学的リターデーションを測定し、これを550nmで測定した光学的リターデーションによって割る(R450/R550)ことである。負のリターデーション分散フィルムの軸上リターデーションが550nmにおいて137.5nmであり、R450/R550の値が0.82の場合、可視光の全ての波長に対して、そのようなフィルムは大部分が1/4波長となり、液晶ディスプレイ装置(LCD)で、このフィルムを例えば円偏光子として使用すると、実質的に黒色の外観を有することとなる。一方、軸上が137.5nmで作製されたフィルムが通常の正の分散(典型的には、R450/R550=1.13)を有すると、1つの波長(550nm)に対してのみ1/4波長となり、LCD装置で、このフィルムを例えば円偏光子として使用すると、紫色の外観を有することとなる。この情報を表すもう一つの方法は、複屈折の変化を波長の関数としてプロットすることである。図1に、商業的に入手可能な反応性メソゲンRM257(メルク社、ダルムスタット市、ドイツ国)より作製され重合されたフィルムについて、波長に対する典型的な複屈折のプロットを示す。この化合物についてR450/R550は、ほぼ1.115である。
【0003】
棒形状で光学的に異方性の分子より形成された異方性の光学的フィルムにおいて、リターデーション分散の原因は、異方性分子の2つの屈折率n、n(nは長分子軸に平行な方向における「異常屈折率」であり、nは長分子軸に垂直な方向における「通常屈折率」である)が波長により異なる割合で変化し、可視波長スペクトルの青色端に向かってnがnよりも急速に変化するという事実による。低いかまたは負のリターデーション分散の材料を調製する1つの方法は、n分散が増加されn分散が減少された分子を設計することである。このことを図2に概略的に示す。そのような取り組みは、負の複屈折および正の分散を有するLCならびに正の複屈折および負の分散を有する化合物を与える先行技術において示されてきた。
【0004】
よって、負または反転リターデーション分散の特性を示す異方性フィルムに形成し得る分子が、先行技術において開示されてきた。例えば、日本国特許出願公開第2005−208416号公報(特許文献1)および国際特許出願公開第2006/052001号パンフレット(特許文献2)には、「カルド」核基を基礎とする重合性材料が開示されている。日本国特許出願公開第2005−208414号公報(特許文献3)には、共有結合されたディスクおよびロッドを有する分子が開示されている。日本国特許出願公開第2005−208415号公報(特許文献4)および日本国特許出願公開第2002−267838号公報(特許文献5)には、より長くより低い屈折率の部分と交差された分子の短く屈折率が高い部分の交差形状を有する材料が開示されている。国際特許出願公開第2005−085222号パンフレット(特許文献6)には、より高い屈折率の架橋部分によって接続された2つより低い屈折率の部分を有する分子が開示されている。架橋は、縮合5員ヘテロ環式環を介して、大部分がロッドに接続されている。全ての上述の文献には、負の分散を示すのみならず少なくとも1個の重合性基を含有し、従って、熱またはUV照射のいずれかに曝されると重合できる分子が開示されている。これらの材料は、単一の材料として、または混合物としてのいずれかで加工でき、適当な条件下において均一な異方性の特性を示すことのできる薄膜を与える。混合物に光開始剤も含まれている場合、フィルムをUV照射に曝露することで、異方性の特性を固定できる。光学的フィルムを調製するこの方法は、良く知られている。
【0005】
負の複屈折を示すとして特許請求され、もう一つに分類される材料が米国特許第6,139,771号明細書(特許文献7)に開示されており、一般に、アセチレンまたはビス−アセチレン架橋基により接続された2つの棒形状LC部分から成る化合物が記載されている。架橋基は、ベンゼン環を使用して2つの棒形状部分に接続されている。しかしながら、同文献には、これらの化合物の重合性のものは開示されておらず、示唆もされていない。
【0006】
米国特許第6,203,724号明細書(特許文献8)には、一般に、高度に分散性の架橋基により接続された2つの棒形状LC部分から成る分子が開示されている。架橋基は、シクロヘキサン環の軸方向の位置を介して棒形状部分に接続されている。しかしながら、同文献には、負の光学的分散を有する光学的ポリマーフィルムを調製するために、そのような化合物を使用することは開示されておらず、示唆もされていない。
【0007】
米国特許第5,567,349号明細書(特許文献9)には、架橋基がフェニル環を介して分子の棒形状部分に接続されている2量体(またはH形状RM)が開示されているが、この文献には、分子が負の分散または負の複屈折を示すことは報告されていない。
【0008】
しかしながら、既に文献で開示された材料は、標準的な工業的プロセス下における加工には適していない熱的特性を有するか、標準的な工業的プロセスにおいて一般に使用される溶媒に不溶であるか、標準的な工業的プロセスにおいて一般に使用されるホストRM材料と適合しないか、または製造には高価過ぎる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】日本国特許出願公開第2005−208416号公報
【特許文献2】国際特許出願公開第2006/052001号パンフレット
【特許文献3】日本国特許出願公開第2005−208414号公報
【特許文献4】日本国特許出願公開第2005−208415号公報
【特許文献5】日本国特許出願公開第2002−267838号公報
【特許文献6】国際特許出願公開第2005−085222号パンフレット
【特許文献7】米国特許第6,139,771号明細書
【特許文献8】米国特許第6,203,724号明細書
【特許文献9】米国特許第5,567,349号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、先行技術の材料の欠点を有しておらず、負の分散を有するLC調合物およびポリマーフィルムにおいて使用するための改良された化合物を提供することを目的とする。
【0011】
本発明のもう一つの目的は、専門家が入手可能で負の分散を有する材料およびポリマーフィルムの蓄積を広げることである。他の目的は、以下の記載より専門家には直ちに明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの目的は、本発明において特許請求される通りの化合物、材料およびフィルムを提供することにより達成できることが見出された。
【0013】
本発明は、以下の式の構造要素を有するカラミチックメソゲン化合物に関する。
【0014】
【化1】

式中、
Mは、−C(=O)−または−C(GG’)−であり、
G、G’は、それぞれ互いに独立に、H、アルキルまたはB’であり、
B’は、高い分極率を有する一価または二価の基であり、
R、R’は、それぞれ互いに独立に、少なくとも1個の環を含むメソゲン基である。
【0015】
これらの化合物は液晶材料中に負の光学的分散を誘発または増大する機能を有し、負の分散を示すポリマーフィルムを製造するために使用できる。
【0016】
本発明は、より具体的には、以下の式の1つ以上の構造要素を含む化合物に関する。
【0017】
【化2】

式中、
Mは、−C(=O)−または−C(G)−であり、
1〜3は、それぞれ互いに独立に、H、C1〜6−アルキルまたはB’であり、
B’は、−(B)−または−(B)−Rであり、
Bは、−C≡C−、−CY=CY−または置換されていてもよい芳香族またはヘテロ芳香族基であり、
qは、1〜10の整数、好ましくは、1、2、3、4、5または6であり、
1、2は、それぞれ互いに独立に、H、F、Cl、CNまたはRであり、
1〜4は、それぞれ互いに独立に、1個以上の基Rで置換されていてもよい非芳香族、芳香族またはヘテロ芳香族炭素環式またはヘテロ環式基より選択される同一または異なる基であり、
1、2は、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−(CH−、−(CH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=CH−、−CY=CY−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、CR00または単結合より選択される同一または異なる基であり、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルであり、
mおよびnは、それぞれ互いに独立に、0、1、2、3または4であり、
1〜3は、それぞれ互いに独立に、H、ハロゲン、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR00、−C(=O)X、−C(=O)R、−NH、−NR00、−SH、−SR、−SOH、−SO、−OH、−NO、−CF、−SF、P−Sp−、置換されていてもよいシリル、置換されていてもよく1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよい1〜40個のC原子のカルビルまたはヒドロカルビルより選択される同一または異なる基であるか、またはPまたはP−Sp−を表すか、またはPまたはP−Sp−で置換されており、ただし、該化合物は、PまたはP−Sp−で表されるか置換されている基R1〜3を少なくとも1個含み、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合である。
【0018】
好ましくは、化合物は、B’および/またはGが−(B)−Rであり上で定義される通りの構造要素を1個含む単量体であるか、または、−(B)−を表す基B’またはGで連結されており上で定義される通りの構造要素を2個含む2量体である。
【0019】
本発明は、更に、上および下で記載される通りの1種類以上の化合物を含むLC調合物に関する。
【0020】
本発明は、更に、上および下で記載される通りの1種類以上の化合物、および1種類以上の更なる化合物を含み、ただし、該化合物の少なくとも1種類は重合性である重合性LC調合物に関する。
【0021】
本発明は、更に、上および下で記載される通りの化合物またはLC調合物を、好ましくは、それのLC相において配向された状態で薄膜の形態で重合して得ることができる複屈折ポリマーに関する。
【0022】
本発明は、更に、R450/R550<1の複屈折ポリマーフィルムに関し、ただし、R450は450nmの波長における光学的軸上リターデーションであり、R550は550nmの波長における光学的軸上リターデーションであり、前記フィルムは上および下で記載される通りの1種類以上の化合物またはLC調合物を重合して得ることができる。
【0023】
本発明は、更に、光学的、電子的および電気光学的部品および装置における、好ましくは、負の光学的分散を有する光学的フィルム、リターダまたはコンペンセータにおける上および下で記載される通りの化合物、LC調合物およびポリマーの使用に関する。
【0024】
本発明は、更に、上および下で記載される通りの化合物、LC調合物またはポリマーを含む光学的、電子的または電気光学的部品または装置に関する。
【0025】
前記装置および部品としては、限定することなく、電気光学的ディスプレイ、LCD、光学的フィルム、偏光子、コンペンセータ、ビームスプリッター、反射フィルム、配向層、カラーフィルター、ホログラフィック素子、ホットスタンプ箔、着色画像、装飾またはセキュリティーマーク、LC顔料、接着剤、非線形光学(NLO)装置、光学情報記憶装置、電子装置、有機半導体、有機電界効果トランジスタ(OFET)、集積回路(IC)、薄膜トランジスタ(TFT)、無線識別(RFID)タグ、有機発光ダイオード(OLED)、有機発光トランジスタ(OLET)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、有機光起電(OPV)装置、有機太陽電池(O−SC)、有機レーザーダイオード(O−レーザー)、有機集積回路(O−IC)、照明装置、センサー装置、電極材料、光導電体、光検出器、電子写真記録装置、キャパシタ、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、導電性基材、導電性パターン、光導電体、電子写真用途、電子写真記録、有機記憶装置、バイオセンサー、バイオチップ、複数の波長において同様の位相シフトを必要とする光電子装置、複合CD/DVD/HD−DVD/ブルーレイ、読み出し、書き込み、再書き込み、データ記憶システム、またはカメラが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】先行技術の反応性メソゲンより作製され重合されたフィルムについて、波長に対する複屈折のプロットを示す。
【図2】n分散が増加されn分散が減少されたことを示す、低いかまたは負のリターデーション分散のモデル分子の波長に対する屈折率のプロットを示す。
【図3a】負の光学的分散の化合物について、波長に対する複屈折のプロットを示す。
【図3b】正の光学的分散の化合物について、波長に対する複屈折のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<用語および定義>
用語「液晶またはメソゲン化合物」は、1個以上のカラミチック(棒または板/ラス形状)またはディスコチック(ディスク形状)メソゲン基を含む化合物を意味する。
【0028】
用語「カラミチック化合物」または「カラミチック基」は、棒または板/ラス形状の化合物または基を意味する。
【0029】
用語「メソゲン基」は液晶(LC)相挙動を誘発できる基を意味する。メソゲン基を含む化合物は、必ずしもそれ自体がLC相を示す必要はない。それらが他の化合物との混合物中においてのみ、またはメソゲン化合物またはそれらの混合物が重合された場合にLC相挙動を示すことも可能である。簡潔のため、以下において用語「液晶」を、メソゲンおよびLC材料の両方に用いる。定義の概要につては、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.PelzlおよびS.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁を参照。
【0030】
用語「スペーサー」または「スペーサー基」は下で「Sp」とも呼ばれ、当業者に既知であり、文献に記載されている。例えば、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁を参照。他に明言しない限り、用語「スペーサー」または「スペーサー基」は、上および下で、重合性メソゲン化合物(「RM」)においてメソゲン基および重合性基(1つまたは多数)を接続している屈曲性の有機基を表す。
【0031】
カラミチックメソゲン基は、通常、それぞれ互いに直接または連結基を介して接続された1個以上の芳香族または非芳香族環式基から成るメソゲン核を含み、メソゲン核の端に結合された末端基を含んでいてもよく、メソゲン核の長い側に結合された1個以上の側鎖基(ラテラル基;横方向基)を含んでいてもよく、ただし、通常、これらの末端および側鎖基は、例えば、カルビルまたはヒドロカルビル基、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシなどの極性基、または重合性基より選択される。
【0032】
用語「反応性メソゲン」(RM)は、重合性メソゲンまたは液晶化合物を意味する。
【0033】
1個の重合性基を有する重合性化合物は「一反応性」化合物とも呼ばれ、2個の重合性基を有する化合物は「二反応性」化合物とも呼ばれ、2個より多い重合性基を有する化合物は「多反応性」化合物とも呼ばれる。重合性基を持たない化合物は、「非反応性」化合物とも呼ばれる。
【0034】
用語「フィルム」としては、機械的に安定な、剛直または柔軟な、自己支持性または自立性フィルム、ならびに支持基板上または2つの基板間の被膜または層が挙げられる。
【0035】
用語「パイ共役」は、sp混成のC原子を主に含有し、またはsp混成でもよく、ヘテロ原子で置き換えられていてもよい基を意味する。最も単純な場合で、これは、例えば、C−C一重結合と二重結合、または三重結合を交互に有する基であるが、1,3−または1,4−フェニレンなどの基も挙げられる。また、この意味において、例えば、アリールアミン、アリールホスフィンおよび特定のヘテロ環(即ち、N、O、PまたはS原子を介する共役)などの基も挙げられる。
【0036】
用語「カルビル基」は、非炭素原子を一切伴わない(例えば、−C≡C−など)か、またはN、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどの少なくとも1個の非炭素原子が混在(例えば、カルボニルなど)してもよいかのいずれかで、少なくとも1個の炭素原子を含む任意の一価または多価有機基構造成分を意味する。用語「ヒドロカルビル基」は、1個以上のH原子を付加的に含有し、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどのヘテロ原子を1個以上含有してもよいカルビル基を表す。また、3個以上のC原子の鎖を含むカルビルまたはヒドロカルビル基は、直線状、分岐状および/または環状でもよく、スピロおよび/または縮合環を含む。
【0037】
分子レベルにおいて、液晶の複屈折は分極率の異方性(Δα=α-−α)に依存する。「分極率」は、原子または分子中の電子分布を歪めることができる容易さを意味する。電子の数がより多く、電子雲がより拡散するほど分極率は増加する。分極率は、例えば、Jpn.J.Appl.Phys.42巻、(2003年)3463頁に記載される通りの方法を使用して計算できる。
【0038】
液晶または複屈折材料の層の、ある波長における「光学的リターデーション」R(λ)(nmにおいて)は、その波長における複屈折率Δn(λ)および層厚みd(nmにおいて)の積として、式
R(λ)=Δn(λ)・d
に従い定義される。光学的リターデーションRは、複屈折材料を通過する際にS偏光およびP偏光が進む光路長の違いをナノメータで表す。「軸上」リターデーションとは、サンプル表面に対して垂直入射におけるリターデーションを意味する。
【0039】
用語「負の(光学的)分散」は、波長(λ)の増加に伴い複屈折率(Δn)の大きさも増加する、反転複屈折分散を示す複屈折または液晶材料または層を言う。即ち、|Δn(450)|<|Δn(550)|またはΔn(450)/Δn(550)<1であり、ただし、Δn(450)およびΔn(550)は、それぞれ450nmおよび550nmの波長で測定された材料の複屈折率である。対照的に、正の(光学的)分散」は、|Δn(450)|>|Δn(550)|またはΔn(450)/Δn(550)>1を有する材料または層を意味する。また、例えば、A.Uchiyama、T.Yatabe「Control of Wavelength Dispersion of Birefringence for Oriented Copolycarbonate Films Containing Positive and Negative Birefringent Units」J.Appl.Phys.42巻、6941〜6945頁(2003年)も参照。
【0040】
これを図3aに概略的に示す。
【0041】
ある波長における光学的リターデーションは、上記[R(λ)=Δn(λ)・d]の通り、複屈折率および層厚みの積として定義されるため、光学的分散は、比Δn(450)/Δn(550)により「複屈折分散」として、または比R(450)/R(550)により「リターデーション分散」のいずれかとして表現でき、ただし、R(450)およびR(550)は、それぞれ450nmおよび550nmの波長で測定された材料のリターデーションである。波長によって層厚みdは変化しないため、R(450)/R(550)はΔn(450)/Δn(550)に等しい。よって、負または反転分散の材料または層はR(450)/R(550)<1または|R(450)|<|R(550)|を有し、正または正常分散の材料または層はR(450)/R(550)>1または|R(450)|>|R(550)|を有する。
【0042】
本発明において、他に明言しない限り、「光学的分散」はリターデーション分散、即ち、比(R(450)/R(550)を意味する。
【0043】
材料のリターデーション(R(λ))は分光エリプソメータ、例えば、J.A.Woollam社製M2000分光エリプソメータを使用して測定できる。この装置は、典型的には、370nm〜2000nmの波長範囲にわたって、複屈折サンプル、例えば、石英の光学的位相差をナノメータで測定できる。このデータより、材料の分散(R(450)/R(550)またはΔn(450)/Δn(550))を計算することが可能である。
【0044】
これらの測定を行うための方法は、2006年10月、N.SinghによるNational Physics Laboratory(ロンドン、英国)、表題「Spectroscopic Ellipsometry、Part1−Theory and Fundamentals、Part 2−Practical Examples and Part 3−measurements」で提示された。J.A.Woollam社(リンカーン市、ネブラスカ州、アメリカ合衆国)によって出版されたRetardation Measurement(RetMeas)Manual(2002年)and Guide to WVASE(2002年)(Woollam Variable Angle Spectroscopic Ellipsometer)に記載される測定手順に従う。他に明言しない限り、この方法を、本発明で記載される材料、フィルムおよび装置のリターデーションを決定するために使用する。
【0045】
<本発明の詳細な記載>
好ましくは、以降「ゲスト成分」または「ゲスト化合物」と呼ぶ上および下で記載される通りの構造的特徴を有する1種類以上のカラミチック化合物を含み、更に、以降「ホスト成分」または「ホスト混合物」と呼び、単一の化合物または化合物の混合物のいずれでも構わないLC材料、好ましくは、ネマチック相を有する重合性LCホスト混合物を含むLC調合物を重合することで本発明による複屈折ポリマーフィルムを調製する。用語「ゲスト」および「ホスト」は、最終LC混合物におけるゲスト成分の量が50重量%を超え、最終LC混合物におけるホスト成分の量が50重量%未満となる可能性を除外するものではない。
【0046】
複屈折ポリマーフィルムは、好ましくは、正の複屈折および負(または「反転」)の分散を有する。
【0047】
ホスト成分は、好ましくは、正の複屈折および正(または「正常」)の分散を有する。
【0048】
ゲスト成分は、好ましくは
(1)550nmにおいて負の複屈折および正常(正)の複屈折分散(例えば、負のカラミチック化合物)、または
(2)550nmにおいて正の複屈折および反転(負)の複屈折分散を有する。この場合、ゲスト成分が450nmにおいて負の複屈折を有するのであれば、Δn(450)/Δn(550)は負となり得る。
【0049】
カラミチック化合物において、メソゲン基は、好ましくは、カラミチック基であり、非常に好ましくは棒形状基である。
【0050】
カラミチック化合物において、メソゲン基R、R’は、好ましくは、芳香族またはヘテロ芳香族環、および非芳香族、例えば全または部分飽和の炭素環式またはヘテロ環式基より選択される1種類以上の基を含み、前記基は直接または連結基を介してそれぞれ互いに連結されている。
【0051】
好ましくは、メソゲン基R、R’は、それらが低い分極率を示すように選択される。これは、例えば、好ましくは主に非芳香族、最も好ましくは全飽和の炭素環式またはヘテロ環式基を含み、直接または連結基を介して接続されているメソゲン基を使用することで達成でき、ただし、「主に」は、それぞれのメソゲン基が不飽和または芳香族環よりも多い飽和環を含み、非常に好ましくは、1個よりも多い不飽和または芳香族環を含まないことを意味する。
【0052】
高い分極率を有する基B’は、パイ共役直線状基、芳香族およびヘテロ芳香族基より選択される1個以上のサブ基Bから、好ましくは主に、非常に好ましくは排他的に成る。
【0053】
好ましくは、基B’は、120°以上の結合角、好ましくは180°の角度を有する基より選択される1個以上のサブ基Bから、非常に好ましくは排他的に成る。適切で好ましいサブ基Bとしては、限定することなく、−C≡C−などのsp混成C原子を含む基、例えば、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,6−ジイルまたはチエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイルなどの、それと隣接する基にパラ位で接続されている二価の芳香族基が挙げられる。
【0054】
基B’は約180°の結合角を有するサブ基Bから成る直線状の基で、sp混成C原子(即ち、約109°の結合角)を介してカラミチック化合物に連結されているため、本発明の化合物はH形状の構造を有しており、メソゲン基は実質的にそれぞれ互いに平行であり、基B’に対して実質的に垂直である。
【0055】
パイ共役を有するサブ基Bから本質的に成る基B’は高い分極率および高い屈折率を有する。メソゲン基R、R’が低い分極率および低い屈折率を有するように選択されると、結果として、化合物は、それらの正確な構造に依存して、図3aで概略的に示される通り正の複屈折および負の分散を示すか、または図3bで概略的に示される通り正の分散を伴って負の複屈折を示すかのいずれかとなる。
【0056】
参考として、通常のカラミチック材料は正の複屈折および正の分散を有する。波長が短くなるほどΔnの大きさが減少する材料を入手することが望ましく、正の分散および負の複屈折の両者を有する化合物をホスト材料と混合することができ、(ドーパントおよびホストの濃度に依存して)正の分散を伴う正の複屈折から負の分散を伴う正の複屈折まで変えた分散の範囲を有する混合物を与える。
【0057】
好ましくは、カラミチック化合物は式IおよびIIから選択される。
【0058】
【化3】

式中、B’は−(B)−Rであり、B、q、M、G1〜3、A1〜4、Z1、2、m、nおよびR1〜3は上で与えられる意味を有する。
【0059】
特に、基−A−(Z−A−Rおよび−A−(Z−A−Rが、それぞれ互いに異なる式Iのものである本発明の化合物が特に好ましい。
【0060】
基−A−(Z−A−Rおよび−A−(Z−A−Rが、それぞれ互いに異なり、2個の基R−(A−Z−A−が、それぞれ互いに同一であり、2個の基−A−(Z−A−Rが、それぞれ互いに同一である式IIの化合物が更に好ましい。
【0061】
、GおよびGは、好ましくは、B’と異なり、非常に好ましくは、HまたはC1〜6−アルキル、最も好ましくは、HまたはCHである。
【0062】
Mは、好ましくは、−CO−または−CH−である。
【0063】
サブ基Bは、好ましくは、120°以上の結合角、好ましくは180°の角度を有する基より選択される。−C≡C−基、または、例えば、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,6−ジイルまたはチエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイルなどの、それと隣接する基にパラ位で接続されている二価の芳香族基が非常に好ましい。
【0064】
更に可能なサブ基Bとしては、−CH=CH−、−CY=CY−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−および−CH=CR−が挙げられ、ただし、Y、Y、Rは、上で与えられる意味を有する。
【0065】
好ましくは、式Iにおける−(B)−などの架橋基は、−C≡C−、置換されていてもよい1,4−フェニレンおよび置換されていてもよい9H−フルオレン−2,7−ジイルから成る群より選択される1個以上の基を含む。サブ基、または式IにおけるBは、−C≡C−、置換されていてもよい1,4−フェニレンおよび置換されていてもよい9H−フルオレン−2,7−ジイルから成る群より好ましくは選択され、ただし、フルオレン基において、9位のH原子はカルビルまたはヒドロカルビル基で置き換えられていてもよい。
【0066】
非常に好ましくは、架橋基、または式Iにおける−(B)−は、−C≡C−、−C≡C−C≡C−、−C≡C−C≡C−C≡C−、−C≡C−C≡C−C≡C−C≡C−、
【0067】
【化4】

より選択され、
式中、rは、0、1、2、3または4であり、Lは下に記載される通りの意味を有する。
【0068】
1〜4などの芳香族基は、単核、即ち、1個のみの芳香族環を有する(例えば、フェニルまたはフェニレンなど)、または、多核、即ち、2個以上の縮合環を有して(例えば、ナフチルまたはナフチレンなど)のいずれでも構わない。縮合環を含んでいてもよく置換されていてもよい25個までのC原子の単環式、二環式または三環式の芳香族またはヘテロ芳香族基が特に好ましい。
【0069】
好ましい芳香族基としては、限定することなく、ベンゼン、ビフェニレン、トリフェニレン、[1,1’:3’,1”]ターフェニル−2’−イルエン、ナフタレン、アントラセン、ビナフチレン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フルオレン、インデン、インデノフルオレン、スピロビフルオレンなどが挙げられる。
【0070】
好ましいヘテロ芳香族基としては、限定することなく、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールなどの5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジンなどの6員環、およびカルバゾール、インドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフタイミダゾール、フェナントライミダゾール、ピリダイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾキサゾール、ナフトキサゾール、アントロキサゾール、フェナントロキサゾール、イソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、ジチエノピリジン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェンなどの縮合系、またはそれらの基の組み合わせが挙げられる。
【0071】
1〜4などの非芳香族炭素環式およびヘテロ環式環としては、飽和(「完全に飽和」とも言う)、即ち、それらは単結合で接続されたC原子またはヘテロ原子のみを含有するもの、および不飽和(「部分的に飽和」とも言う)、即ち、それらは二重結合で接続されたC原子またはヘテロ原子も含有するものが挙げられる。また、非芳香族環は1個以上のヘテロ原子も含んでよく、好ましくは、Si、O、NおよびSより選択される。
【0072】
非芳香族炭素環式およびヘテロ環式基は、単核、即ち、1個のみの環を有するもの(例えば、シクロヘキサンなど)、または、多核、即ち、2個以上の縮合環を有するもの(例えば、デカヒドロナフタレンまたはビシクロオクタンなど)のいずれでも構わない。特に好ましくは、完全に飽和している基である。更に、25個までのC原子を有する単環式、二環式または三環式の非芳香族基が好ましく、縮合環を含んでいてもよく、置換されていてもよい。非常に好ましくは、5員、6員、7員または8員の炭素環式環で、ただし、1個以上のC原子はSiで置き換えられていてもよく、および/または1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよく、および/または1個以上の隣接していないCH基は−O−および/または−S−で置き換えられていてもよく、それら全ては置換されていてもよい。
【0073】
好ましい非芳香族基としては、制限することなく、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフラン、ピロリジンなどの5員環、シクロヘキサン、シリナン、シクロヘキセン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、ピペリジンなどの6員環、シクロヘプタンなどの7員環、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、インダン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、オクタヒドロ−4,7−メタノ−インダン−2,5−ジイルなどの縮合系、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0074】
好ましくは、A1〜4などの非芳香族および芳香族環は、トランス−1,4−シクロヘキシレンおよび1個以上の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレンより選択される。
【0075】
非常に好ましくは、メソゲン基は1個よりも多い芳香族環を含まない。
【0076】
mおよびnが0、1または2、特に、mおよびnの一方が0で他方が1である式IおよびIIの化合物が非常に好ましい。
【0077】
本発明のカラミチック化合物において、Z1〜4などの、メソゲン基における芳香族および非芳香族環式基を接続している連結基は、好ましくは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−(CH−、−(CH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=CH−、−CY=CY−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、CR00または単結合より選択され、非常に好ましくは、−COO−、−OCO−および単結合からである。
【0078】
本発明のカラミチック化合物において、「L」とも呼ばれる環上の置換基は、好ましくは、P−Sp−、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR00、−C(=O)X、−C(=O)OR、−C(=O)R、−NR00、−OH、−SF、置換されていてもよいシリル、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子のアリールまたはヘテロアリール、および1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子の直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択され、ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよく、ただし、RおよびR00は式Iにおいて定義される通りであり、Xはハロゲンである。
【0079】
好ましい置換基は、F、Cl、CN、NOまたは1〜12個のC原子の直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択されるか(ただし、アルキル基はペルフルオロ化されていてもよい)、またはP−Sp−である。
【0080】
非常に好ましい置換基は、F、Cl、CN、NO、CH、C、C(CH、CH(CH、CHCH(CH)C、OCH、OC、COCH、COC、COOCH、COOC、CF、OCF、OCHF、OCまたはP−Sp−、特には、F、Cl、CN、CH、C、C(CH、CH(CH、OCH、COCHまたはOCF、最も好ましくは、F、Cl、CH、C(CH、OCHまたはCOCH、またはP−Sp−より選択される。
【0081】
【化5】

式中、Lは、それぞれ独立に、上で与えられる意味の1つを有する。
【0082】
カルビルおよびヒドロカルビル基R1〜3は、1〜40個、好ましくは、1〜25個のC原子の直鎖状、分岐状または環状アルキルより好ましくは選択され、無置換であるか、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されており、ただし、1個以上の隣接していないCH基は、それぞれの場合で互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR00−、−CY=CY−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、ただし、YおよびYは、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNであり、RおよびR00は、それぞれ互いに独立に、H、または置換されていてもよい1〜20個のC原子の脂肪族または芳香族炭化水素である。
【0083】
非常に好ましくは、RおよびRは、C〜C20−アルキル、C〜C20−オキサアルキル、C〜C20−アルコキシ、C〜C20−アルケニル、C〜C20−アルキニル、C〜C20−チオアルキル、C〜C20−シリル、C〜C20−エステル、C〜C20−アミノ、C〜C20−フルオロアルキルより選択される。
【0084】
は、好ましくは、Hまたはメチルである。
【0085】
アルキルまたはアルコキシ基、即ち、末端CH基が−O−によって置き換えられている場合、直鎖状でも分枝状でもよい。それは、好ましくは、直鎖状で2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有し、従って、好ましくは、例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、またはオクトキシ、更に、メチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0086】
オキサアルキル、即ち、1個のCH基が−O−によって置き換えられている場合、好ましくは、例えば、直鎖状の2−オキサプロピル(即ち、メトキシメチル)、2−(即ち、エトキシメチル)または3−オキサブチル(即ち、2−メトキシエチル)、2−、3−、または4−オキサペンチル、2−、3−、4−、または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0087】
1個以上のCH基が−CH=CH−で置き換えられているアルキル基は、直鎖状でも分枝状でもよい。それは、好ましくは、直鎖状で2〜10個のC原子を有し、従って、好ましくは、ビニル、プロパ−1−、またはプロパ−2−エニル、ブタ−1−、2−またはブタ−3−エニル、ペンタ−1−、2−、3−またはペンタ−4−エニル、ヘキサ−1−、2−、3−、4−またはヘキサ−5−エニル、ヘプタ−1−、2−、3−、4−、5−またはヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、2−、3−、4−、5−、6−またはオクタ−7−エニル、ノナ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−またはノナ−8−エニル、デカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−またはデカ−9−エニルである。
【0088】
特に好ましいアルケニル基は、C〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニル、C〜C−4−アルケニル、C〜C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニル、特に、C〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニルおよびC〜C−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までのC原子を有する基が一般に好ましい。
【0089】
1個のCH基が−O−により、および1個が−CO−により置き換えられているアルキル基において、これらの基は、好ましくは、隣り合っている。従って、これらの基は、一緒となってカルボニルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を形成する。好ましくは、この基は直鎖状で、2〜6個のC原子を有している。それは、従って、好ましくは、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、4−(メトキシカルボニル)−ブチルである。
【0090】
2個以上のCH基が−O−および/または−COO−で置き換えられているアルキル基は、直鎖状または分岐状でよい。それは、好ましくは、直鎖状で、3〜12個のC原子を有する。従って、それは、好ましくは、ビス−カルボキシ−メチル、2,2−ビス−カルボキシ−エチル、3,3−ビス−カルボキシ−プロピル、4,4−ビス−カルボキシ−ブチル、5,5−ビス−カルボキシ−ペンチル、6,6−ビス−カルボキシ−ヘキシル、7,7−ビス−カルボキシ−ヘプチル、8,8−ビス−カルボキシ−オクチル、9,9−ビス−カルボキシ−ノニル、10,10−ビス−カルボキシ−デシル、ビス−(メトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(メトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(メトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(メトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(メトキシカルボニル)−ペンチル、6,6−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘキシル、7,7−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘプチル、8,8−ビス−(メトキシカルボニル)−オクチル、ビス−(エトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(エトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(エトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(エトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(エトキシカルボニル)−ヘキシルである。
【0091】
CNまたはCFで一置換されているアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは、直鎖状である。CNまたはCFによる置換は、任意の所望の位置でよい。
【0092】
ハロゲンによって少なくとも一置換されているアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは、直鎖状である。ハロゲンは、好ましくは、FまたはClで、多置換の場合、好ましくは、Fである。結果として生じる基は、ペルフルオロ化された基も含む。一置換の場合、FまたはCl置換は任意の所望の位置でよいが、好ましくはω位である。末端F置換を有する特に好ましい直鎖状の基の例は、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルである。しかしながら、Fの他の位置が除外されるものではない。
【0093】
およびR00は、好ましくは、H、1〜12個のC原子の直鎖状または分岐状のアルキルより選択される。
【0094】
−CY=CY−は、好ましくは、−CH=CH−、−CF=CF−または−CH=C(CN)−である。
【0095】
ハロゲンは、F、Cl、BrまたはI、好ましくは、FまたはClである。
【0096】
1〜3は、アキラルでもキラル基でもよい。特に好ましいキラル基は、例えば、2−ブチル(即ち、1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、特に、2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メトキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6−メチルオクタノイルオキシ、5−メチルヘプチルオキシカルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−クロロプロピオニルオキシ、2−クロロ−3−メチルブチリルオキシ、2−クロロ−4−メチルバレリルオキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル、2−フルオロメチルオクチルオキシである。2−ヘキシル、2−オクチル、2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキシル、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシが非常に好ましい。
【0097】
好ましいアキラルな分岐状の基は、イソプロピル、イソブチル(即ち、メチルプロピル)、イソペンチル(即ち、3−メチルブチル)、イソプロポキシ、2−メチル−プロポキシおよび3−メチルブトキシである。
【0098】
重合性基Pは、ラジカル性またはイオン性鎖重合、重付加または重縮合などの重合反応に関与できるか、または、例えば、縮合または付加により、ポリマーに類似反応においてポリマー主鎖上へグラフトできる基である。特に好ましくは、ラジカル性、カチオン性またはアニオン性重合などの連鎖重合反応のための重合性基である。非常に好ましくは、C−C二重または三重結合を含む重合性基、およびオキセタン類またはエポキシド類などの開環反応により重合できる重合性基である。
【0099】
適切で好ましい重合性基としては、限定することなく、CH=CW−COO−、CH=CW−CO−、
【0100】
【化6】


CH=CW−(O)k1−、CH−CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、(CH=CH−CHN−CO−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、CH=CH−(CO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびWSi−が挙げられ、ただし、Wは、H、F、Cl、CN、CF、フェニルまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、ClまたはCHであり、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子のオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子のアルキルであり、Pheは1,4−フェニレン{好ましくは、上で定義される通りの1個以上の基L(P−Sp−の意味は除く)で置換されていてもよい}であり、kおよびkは、それぞれ互いに独立に、0または1である。
【0101】
非常に好ましい重合性基は、CH=CW−COO−、CH=CW−CO−、
【0102】
【化7】

(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、(CH=CH−CHN−CO−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、CH=CH−(CO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびWSi−より選択され、ただし、Wは、H、F、Cl、CN、CF、フェニルまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、F、ClまたはCHであり、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子のオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子のアルキルであり、Pheは1,4−フェニレン{好ましくは、上で定義される通りの1個以上の基L(P−Sp−の意味は除く)で置換されていてもよい}であり、、kおよびkは、それぞれ互いに独立に、0または1である。
【0103】
最も好ましい重合性基は、CH=CH−COO−、CH=C(CH)−COO−、CH=CF−COO−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、
【0104】
【化8】

より選択される。
【0105】
重合は、通常の専門家に既知で、文献、例えば、D.J.Broer;G.Challa;G.N.Mol、Macromol.Chem、1991年、192巻、59頁に記載される方法に従い、行うことができる。
【0106】
スペーサー基Spは、好ましくは、P−Sp−がP−Sp’−X’−となるように、式Sp’−X’から選択され、式中、
Sp’は、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよい1〜20個のC原子、好ましくは、1〜12個のC原子のアルキレンであり、ただし、1個以上の隣接していないCH基は、それぞれの場合で互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルであり、および
およびYは、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNである。
【0107】
X’は、好ましくは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−または単結合である。
【0108】
典型的な基Sp’は、例えば、−(CHp1−、−(CHCHO)q1−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−または−CHCH−NH−CHCH−または−(SiR00−O)p1−であり、ただし、p1は2〜12の整数、q1は1〜3の整数、およびRおよびR00は上で与えられる意味を有する。
【0109】
特に好ましい基Sp’は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシ−ブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。更に、キラルなスペーサー基が好ましい。
【0110】
スペーサー基Spなしで重合性基がメソゲン基に直接結合している化合物が更に好ましい。
【0111】
2個以上の基P−Sp−を有する化合物の場合、重合性基Pおよびスペーサー基Spは同一でも異なっていてもよい。
【0112】
もう一つの好ましい実施形態において、カラミチック化合物は、2個以上の重合性基PまたはP−Sp−(多官能重合性基)で置換されている1個以上の末端基R1、2または置換基LまたはRを含む。この型の適切な多官能重合性基は、例えば、米国特許第7,060,200号明細書または米国特許出願公開2006/172090号公報で開示されている。以下の式より選択される1個以上の多官能重合性基を含む化合物が非常に好ましい。
【0113】
【化9】

式中、
alkylは、直鎖状または分岐状で1〜12個のC原子を有するアルキレン(無置換であるか、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されており、ただし、1個以上の隣接していないCH基は、それぞれの場合で互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR00−、−CY=CY−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、ただし、RおよびR00は上で与えられる意味を有する)であるか、または、alkylは単結合を表し、
aaおよびbbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2、3、4、5または6であり、
X’は、上で定義される通りであり、および
1〜5は、それぞれ互いに独立に、上でPに対して与えられる意味の1つを有する。
【0114】
式Iの非常に好ましい化合物は、以下のサブ式のものである。
【0115】
【化10】


式中、B’は上で定義される通りであり、R”およびR”’は、それぞれ互いに独立に、上で与えられるRの意味の1つを有し、Zは、上で与えられるZの意味の1つを有する。好ましくは、R”およびR”’の一方または両方は、P−またはP−Sp−を表す。B’は、好ましくは、(B)−Hであり、Bおよびqは上で定義される通りである。Zは、好ましくは、−COO−、−OCO−または単結合である。フェニル環は、上で定義される通りの1個以上、好ましくは、1個または2個の基Lで置換されていてもよい。
【0116】
式IIの非常に好ましい化合物は、以下のサブ式のものである。
【0117】
【化11】


式中、Bおよびqは上で定義される通りであり、R”およびR”’は、それぞれ互いに独立に、上で与えられるRの意味の1つを有し、Zは、それぞれの出現において互いに独立に、上で与えられるZの意味の1つを有する。好ましくは1個以上のR”およびR”’、非常に好ましくは両方の基R”および/または両方の基R”’が、P−またはP−Sp−を表す。Zは、好ましくは、−COO−、−OCO−または単結合である。フェニル環は、上で定義される通りの1個以上、好ましくは、1個または2個の基Lで置換されていてもよい。
【0118】
以下のサブ式の化合物が特に好ましい。
【0119】
【化12】

【0120】
【化13】

【0121】
【化14】

【0122】
【化15】

【0123】
【化16】

式中、P、Sp、R”、R”’、Z、Lおよびrは、上で定義される通りであり、ただし、メソゲン基におけるフェニル環は、上で定義される通りの1個以上、好ましくは、1個または2個の基Lで置換されていてもよい。式Ia1〜Ia3およびIb1〜Ib3において、好ましくは、R”およびR”’の一方または両方がP−またはP−Sp−を表す。
【0124】
これらの好ましい化合物におけるP−Sp−は、好ましくは、P−Sp’−X’であり、X’は、好ましくは、−O−、−COO−または−OCOO−である。Zは、好ましくは、−COO−、−OCO−または単結合である。
【0125】
本発明の化合物は、文献および、例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie、Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの有機化学の標準的な著作に記載されており、それ自身は既知である方法に類似して従い合成できる。特に適切で好ましい合成方法は、下および例に記載されている。
【0126】
式IおよびIIの化合物は、一般に、フリーデル−クラフツのアシル化を経由してシクロヘキシルメチル・フェニル・ケトン調製することで合成できるか、または、シクロヘキサンカルボン酸クロリド類またはニトリル類と、適切に置換された臭化ベンジル類より調製されたグリニャール試薬{Cereghettら、HELVETICA CHIMICA ACTA−65、Fasc.4(1982年)−Nr.125、1318中で開示される通り}との反応を経由してベンジル・シクロヘキシル・ケトンを調製することで合成できる。ケトン類は保護されたアセチレンまたはジハロベンゼンと反応でき、エチニル−アルコールまたはフェニル−アルコール中間体を、それぞれ与える。ヒドロキシル基は、例えば、トリエチルシランで処理することで除去できる。側鎖アセチレン中間体の場合、ここで、これらの中間体を園頭条件下においてアリールハライド類と反応させることができ、式Iの化合物を与えるか、または、ジハロ芳香族中間体と反応させることができ、式IIの化合物を与える。
【0127】
特に好ましくは、
a)シクロヘキシルメチル・フェニル・ケトンまたはベンジル・シクロヘキシル・ケトンを保護されたアセチレン、例えば、1−(トリアルキルシリル)アセチレン、好ましくは、1−(トリメチルシリル)アセチレンおよびn−ブチルリチウムと反応させて、アルコール−アセチレン中間体を与える工程と、
b)例えば、Tetrahedron Letters、38巻、6号、1013〜1016頁、1997年で開示される通りに、トリエチルシランを使用して上の中間体を還元する工程と、
c)好ましくは園頭条件下において、アリールハライドと、またはジハロ芳香族中間体とのカップリング反応を経由して、工程b)で形成された側鎖アセチレン化合物を側鎖フェニルアセチレンに転化するか、または、ホモカップリング{即ち、工程b)からの2個の側鎖アセチレン分子をカップリングする}により2量体に転化する工程とを含む方法である。
【0128】
上および下に記載される通りのカラミチック化合物の調製方法は、本発明のもう一つの様態である。
【0129】
本発明のもう一つの様態は、上および下で記載される通りの1種類以上のゲスト化合物と、好ましくは、メソゲンまたは液晶および/または重合性である1種類以上の追加の化合物とを含む重合性調合物、好ましくは、重合性LC調合物である。非常に好ましくは、LC調合物は、反応性メソゲン(RM)より選択され、最も好ましくは、一反応性および二反応性のRMより選択される1種類以上の追加の化合物を含む。これらの追加の化合物は、重合性LCホスト成分を構成する。
【0130】
好ましくは、本発明によるポリマーフィルムは架橋されており、重合性ゲスト化合物および/または重合性ホスト成分は、2個以上の重合性基を有する(二反応性または多反応性)少なくとも1種類の化合物を含む。
【0131】
重合性LC調合物(ゲストおよびホスト成分の両者を含む)における本発明のゲスト化合物(1種類または複数)の濃度は、好ましくは、5〜90重量%、非常に好ましくは、30〜70重量%である。
【0132】
重合性LCホスト調合物の追加のRMは、それ自身は既知で、例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie、Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの有機化学の標準的な著作に記載されている方法によって調製できる。適切なRMは、例えば、国際特許出願公開第93/22397号パンフレット、欧州特許第0 261 712号明細書、ドイツ国特許第195 04 224号明細書、国際特許出願公開第95/22586号パンフレット、国際特許出願公開第97/00600号パンフレット、米国特許第5,518,652号明細書、米国特許第5,750,051号明細書、米国特許第5,770,107号明細書および米国特許第6,514,578号明細書で開示されている。特に適切で好ましいRMの例を、以下のリストに示す。
【0133】
【化17】

【0134】
【化18】

【0135】
【化19】

【0136】
【化20】

【0137】
【化21】

式中、
は、複数出現する場合、互いに独立に重合性基であり、好ましくは、アクリル、メタクリル、オキセタン、エポキシ、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテルまたはスチレン基であり、
およびBは、複数出現する場合、互いに独立に、1個、2個、3個または4個の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレン、またはトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、
は、複数出現する場合、互いに独立に、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
は、1個以上、好ましくは1〜15個のC原子を有し、フッ素化されていてもよいアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、または、YまたはP−(CH−(O)−であり、
は、F、Cl、CN、NO、OCH、OCN、SCN、SF、1〜4個のC原子を有し、フッ素化されていてもよいアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、または、1〜4個のC原子を有し、モノフッ素化、オリゴフッ素化またはポリフッ素化されたアルキルまたはアルコキシであり、
01、02は、それぞれ互いに独立に、H、RまたはYであり、
は、2−メチルブチル、2−メチルオクチル、2−メチルブトキシまたは2−メチルオクトキシなどの、4個以上、好ましくは、4〜12個のC原子を有するキラルなアルキルまたはアルコキシ基であり、
Chは、コレステリル、エストラジオール、または、メンチルまたはシトロネリルなどのテルペノイド基より選択されるキラル基であり、
Lは、複数出現する場合、互いに独立に、H、F、Cl、CNまたは1〜5個のC原子を有し、ハロゲン化されていてもよいアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
rは、0、1、2、3または4であり、
tは、複数出現する場合、互いに独立に、0、1、2または3であり、
uおよびvは、それぞれ互いに独立に、0、1または2であり、
wは、0または1であり、
xおよびyは、それぞれ互いに独立に、0または同一または異なって1〜12の整数であり、
zは0または1であり、隣接するxまたはyが0の場合、zは0であり、
ただし、ベンゼンおよびナフタレン環は、1個以上の同一または異なる基Lで付加的に置換されていてもよい。
【0138】
特に好ましくは、重合性LCホスト成分はアキラルな化合物のみを含有し、キラルな化合物は含有しない。
【0139】
更に好ましくは、重合性LCホスト成分は、式MR3、MR4、MR7、MR8、MR9、MR10、MR18、DR6、DR7およびDR8、更には、DR1およびDR5より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0140】
更に好ましくは、重合性LCホスト成分は、以下の式より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0141】
【化22】

式中、P、R、x、y、およびzは、上で定義される通りである。
【0142】
更に好ましくは、重合性LCホスト成分は、以下の式より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0143】
【化23】

【0144】
【化24】


式中、L”はHまたは上で定義される通りのLであり、好ましくは、HまたはCHである。
【0145】
好ましくは、重合性LCホスト成分の重合性化合物は、低い複屈折率を有し、非常に好ましくは、一反応性または二反応性のRMの化合物より選択される。
【0146】
0.01〜0.2、非常に好ましくは、0.04〜0.16の複屈折率の絶対値を有する重合性ホスト成分が特に好ましい。
【0147】
本発明によるポリマーLCフィルムの一般的な調製は通常の専門家に既知であり、文献、例えば、D.J.Broer;G.Challa;G.N.Mol、Macromol.Chem、1991年、192巻、59頁に記載されている。典型的には、重合性LC材料(即ち、化合物または混合物または調合物)を基板上にコーティングまたはそうでなければ塗布し、そこで均一な方向に配向させ、例えば、熱または化学線照射に曝露して、好ましくは光重合により、非常に好ましくはUV−光重合により、選択された温度において、それのLC相中でその場で重合し、LC分子の配向を固定する。必要に応じて、LC材料をせん断またはアニールする、基板の表面処理、またはLC材料に界面活性剤を添加するなどの付加的な方法により均一な配向を促進できる。
【0148】
基板として、例えば、ガラスまたは石英シートまたはプラスチックフィルムを使用できる。重合前および/または重合中および/または重合後において、コーティングされた材料の最表面上に第2の基板を配置することも可能である。重合後、基板を取り除いても取り除かなくても構わない。2つの基板を使用して化学線照射により硬化する場合、少なくとも一方の基板は、重合のために使用される化学線照射に対して透過性を有していなければならない。等方性または複屈折性の基板を使用できる。重合後に重合されたフィルムから基板を取り除かない場合、好ましくは等方性基板を使用する。
【0149】
適切で好ましいプラスチック基板は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレン−ナフタレート(PEN)などのポリエステルのフィルム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート(PC)またはトリアセチルセルロース(TAC)、非常に好ましくは、PETまたはTACフィルムである。複屈折性基板としては、例えば、一軸延伸プラスチックフィルムを使用できる。PETフィルムは、例えば、帝人デュポンフィルム株式会社より商標名Melinex(登録商標)で商業的に入手可能である。
【0150】
重合性材料は、スピンコートまたはブレードコートなどの従来の塗工技術により、基板上に塗布できる。また、従来の印刷技術によっても基板に塗布でき、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、リール−ツー−リール式印刷、レタープレス印刷、グラビア印刷、ロトグラビア印刷、フレキソ印刷、インタリオ印刷、パッド印刷、熱シール印刷、インクジェット印刷またはスタンプまたは印刷板を利用する印刷など専門家に既知である。
【0151】
重合性材料を適切な溶媒に溶解することも可能である。次いで、この溶液を、例えば、スピンコートまたはプリントまたは他の既知の技術により、基板上に塗工または印刷し、重合前に溶媒を蒸発させる。多くの場合、溶媒の蒸発を促進するために、混合物を加熱することが適切である。溶媒としては、例えば、標準的な有機溶媒を使用できる。溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンまたはシクロヘキサノンなどのケトン類;メチル、エチルまたはブチルアセテートまたはメチルアセトアセテートなどの酢酸エステル類;メタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコールなどのアルコール類;トルエンまたはキシレンなどの芳香族溶媒類;ジ−またはトリ−クロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類;PGMEA(プロピルグリコールモノメチルエーテルアセテート)などのグリコール類またはそれらのエステル類、γ−ブチロラクトンなどより選択できる。また、上の溶媒の2元または3元以上の混合物も使用できる。
【0152】
重合性LC材料の初期配向(例えば、平面配向)は、例えば、基板をラビング処理する、塗工中または後に材料をせん断する、重合前に材料をアニールする、配向層を塗布する、塗工された材料に磁界または電界を印加する、または材料に表面活性化合物を添加することで達成できる。配向技術の総説は、例えば、I.Sage、「Thermotropic Liquid Crystals」中、G.W.Gray編、John Wiley & Sons社、1987年刊、75〜77頁;およびT.UchidaおよびH.Seki、「Liquid Crystals−Applications and Uses、第3巻」中、B.Bahadur編、World Scientific Publishing社、Singapore、1992年刊、1〜63頁に与えられている。配向材料および技術の総説は、J.Cognard、Mol.Cryst.Liq.Cryst.、78巻、補足1(1981年刊)、1〜77頁に与えられている。
【0153】
LC分子の特定の表面配向を促進する1種類以上の界面活性剤を含む重合性材料が特に好ましい。適切な界面活性剤は、例えば、J.Cognard、Mol.Cryst.Liq.Cryst.、78巻、補足1、1〜77頁(1981年刊)に記載されている。平面配向のための好ましい配向剤は、例えば、非イオン性界面活性剤、好ましくは、商業的に入手可能なFluorad FC−171(登録商標)(3M社製)またはZonyl FSN(登録商標)(デュポン社製)などのフッ化炭素界面活性剤、英国特許第2 383 040号明細書に記載される通りの多重ブロック界面活性剤または欧州特許第1 256 617号明細書に記載される通りの重合性界面活性剤である。
【0154】
また、基板上に配向層を塗布し、この配向層上に重合性材料を提供することも可能である。適切な配向層は、例えば、米国特許第5,602,661号明細書、米国特許第5,389,698号明細書または米国特許第6,717,644号明細書に記載される通りのラビングされたポリイミドまたは光配向で調製された配向層など当該技術において既知である。
【0155】
また、好ましくは重合前に、それの重合温度に昇温して、重合性LC材料をアニールすることで、配向を誘発または改良することも可能である。
【0156】
重合は、例えば、重合性材料を熱または化学線照射に曝露することで達成される。化学線照射とは、UV光、IR光または可視光などの光の照射、X線またはガンマー線の照射またはイオンまたは電子などの高エネルギー粒子の照射を意味する。好ましくは、重合をUV照射により行う。化学線照射の線源としては、例えば、単一のUVランプまたはUVランプのセットを使用できる。高いランプパワーを使用すれば、硬化時間を短縮できる。化学線照射のもう1つの可能な線源は、例えば、UV、IRまたは可視光レーザーなどのレーザーである。
【0157】
重合は、好ましくは、化学線照射の波長で吸収のある開始剤の存在下で行われる。この目的のためには、重合性LC材料は、好ましくは、1種類以上の開始剤を、好ましくは、0.01〜10%、非常に好ましくは、0.05〜5%の濃度で含む。例えば、UV光を利用する重合の場合、UV照射下で分解し、重合反応を開始するフリーラジカルまたはイオンを生成する光開始剤を使用できる。アクリレートまたはメタクリレート基の重合には、好ましくは、ラジカル光開始剤が使用される。ビニル、エポキシドまたはオキセタン基の重合には、好ましくは、カチオン性の光開始剤が使用される。また、加熱されると分解して重合を開始するフリーラジカルまたはイオンを生成する熱重合開始剤を使用することも可能である。典型的なラジカル性光開始剤は、例えば、商業的に入手可能なIrgacure(登録商標)またはDarocure(登録商標)(Ciba Geigy社、Basel市、スイス国)である。典型的なカチオン性光開始剤は、例えば、UVI6974(Union Carbide社)である。
【0158】
また、重合性材料は、望ましくない自発的な重合を予防するため、例えば、商業的に入手可能なIrganox(登録商標)(Ciba Geigy社、Basel市、スイス国)などの安定剤または禁止剤を1種類以上含んでもよい。
【0159】
硬化時間は、重合性材料の反応性、塗工層の厚み、重合開始剤のタイプおよびUVランプの出力にとりわけ依存する。硬化時間は、好ましくは5分以下、非常に好ましくは3分以下、最も好ましくは1分以下である。大量生産には、30秒以下の硬化時間が好ましい。
【0160】
好ましくは、重合は、窒素またはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気内で行う。
【0161】
また、重合性材料は、重合のために使用される照射の波長で吸収が最大となるよう調整された色素、例えば、4,4”−アゾキシアニソールまたはTinuvin(登録商標)色素(Ciba Geigy社製、Basel市、スイス国)などの特にUV色素を1種類以上含んでもよい。
【0162】
もう1つの好ましい実施形態において、重合性材料は1種類以上の一反応性の重合性の非メソゲン性化合物を含み、好ましくは、0〜50%、非常に好ましくは、0〜20%の量である。典型的な例は、アルキルアクリレート類またはアルキルメタクリレート類である。
【0163】
もう1つの好ましい実施形態において、二反応性または多反応性の重合性のメソゲン性化合物に代えるか加えて、重合性材料は1種類以上の二反応性または多反応性の重合性の非メソゲン性化合物を含み、好ましくは0〜50%、非常に好ましくは0〜20%の量で含む。二反応性の非メソゲン性化合物の典型的な例は、1〜20個のC原子のアルキル基を有するアルキルジアクリレート類またはアルキルジメタクリレート類である。多反応性の非メソゲン性化合物の典型的な例は、トリメチルプロパントリメタクリレートまたはペンタエリスリトールテトラアクリレートである。
【0164】
また、ポリマーフィルムの物理的特性を修正するために、1種類以上の連鎖移動剤を重合性材料に加えることも可能である。特に好ましくは、チオール化合物類で、例えば、ドデカンチオールなどの一官能性チオール類またはトリメチルプロパントリ(3−メルカプトプロピオネート)などの多官能性チオール類である。非常に好ましくは、例えば、国際特許出願公開第96/12209号パンフレット、国際特許出願公開第96/25470号パンフレットまたは米国特許第6,420,001号明細書中に開示される通りのメソゲン性またはLCチオール類である。連鎖移動剤を使用することで、ポリマーフィルム中の束縛されていないポリマー鎖の長さおよび/または2つの架橋間のポリマー鎖の長さを制御できる。連鎖移動剤の量を増加すると、ポリマーフィルム中のポリマー鎖長は減少する。
【0165】
また、重合性材料は、重合体バインダーまたは重合体バインダーを形成できる1種類以上の単量体および/または1種類以上の分散助剤を含むこともできる。適切なバインダーおよび分散助剤は、例えば、国際特許出願公開第96/02597号パンフレットに開示されている。好ましくは、しかしながら、重合性材料は、バインダーまたは分散助剤を含まない。
【0166】
重合性材料は、例えば、触媒、増感剤、安定剤、禁止剤、連鎖移動剤、共反応性単量体、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、粘着性剤、流動性改良剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、補助剤、着色剤、色素、顔料またはナノ粒子などの1種類以上の添加剤を付加的に含んで構わない。
【0167】
本発明によるポリマーフィルムの厚みは、好ましくは、0.3〜5ミクロン、非常に好ましくは、0.5〜3ミクロン、最も好ましくは、0.7〜1.5ミクロンである。配向層としての使用には、0.05〜1、好ましくは0.1〜0.4ミクロンの厚みの薄膜が好ましい。
【0168】
本発明のポリマーフィルムおよび材料は、例えば、LCD中において広視野角におけるコントラストおよび輝度を改良し、色度を低減するために、リターデーションまたはコンペンセーションフィルムとして使用できる。それはLCDのスイッチ可能なLCセルの外側または基板間で使用でき、通常、ガラス基板でスイッチ可能なLCセルを形成し、スイッチ可能なLC媒体を含有する(セル内用途)。
【0169】
本発明のポリマーフィルムおよび材料は従来のLCディスプレイ中で使用でき、例えば、DAP(deformation of aligned phases:配向相変形)、ECB(electrically controlled birefringence:電気制御複屈折)、CSH(colour super homeotropic:有色スーパーホメオトロピック)、VA(vertically aligned:垂直配向)、VANまたはVAC(vertically aligned nematicまたはcholesteric:垂直配向ネマチックまたはコレステリック)、MVA(multi−domain vertically aligned:複数領域垂直配向)、PVA(patterned vertically aligned:パターン化垂直配向)またはPSVA(polymer stabilised vertically aligned:ポリマー安定化垂直配向)モードなどの垂直配向のディスプレイ;OCB(optically compensated bend cellまたはoptically compensated birefringence:光学的補償ベンドセルまたは光学的補償複屈折)、R−OCB(reflective OCB:反射OCB)、HAN(hybrid aligned nematic:ハイブリッド配向ネマチック)またはパイ−セル(π−cell)モードなどのベンドまたはハイブリッド配向のディスプレイ;TN(twisted nematic:ツイストネマチック)、HTN(highly twisted nematic:高度ツイストネマチック)、STN(super twisted nematic:スーパーツイストネマチック)、AMD−TN(active matrix driven TN:アクティブマトリクス駆動TN)モードなどのツイスト配向のディスプレイ;IPS(in plane switching:面内スイッチング)モードのディスプレイ、または光学的等方相においてスイッチするディスプレイである。
【0170】
本発明の層、フィルムおよび材料は各種タイプの光学的フィルム用に使用でき、好ましくは、光学的一軸フィルム(Aプレート、Cプレート、負のCプレートまたはOプレート)、例えば、ツイスト1/4波長箔(QWF)、色消しリターダ、色消しQWFまたは半波長箔(HWF)などのツイスト光学的リターダ、および光学的二軸フィルムより選択する。層および材料におけるLC相構造は、コレステリック、スメクチック、ネマチックおよびブルー相より選択できる。層におけるLC材料の配向は、ホメオトロピック、スプレイ、チルト、平面およびブルー相配向より選択できる。層は均一に配向しても、または異なる配向のパターンを示すこともできる。
【0171】
フィルムは、LCDの視野角増大のための光学的コンペンセーションフィルムとして、または輝度増強フィルムにおける部品として、更には、反射型または半透過型LCDにおける色消し素子として使用できる。更に好ましい用途および装置としては、
−複合CD/DVD/HD−DVD/ブルーレイなどで、読み出し、書き込み、再書き込み、データ記憶システムを含む、複数の波長において同様の位相シフトを必要とする光電子装置におけるリターディング部品
−カメラなどの光学的装置用の色消しリターダ
−OLEDおよびLCDを含むディスプレイ用の色消しリターダが挙げられる。
【0172】
以下の例は、本発明を制限することなく説明することを意図している。また、以下に記載される方法、構造および特性を、本発明において特許請求されているが、先述の明細書または例において明らかには記載されていない材料にも適用または転用できる。
【0173】
上および下において、パーセンテージは重量パーセントである。全ての温度は摂氏度で与えられる。m.p.は融点を表し、cl.p.は透明点を表し、Tgはガラス転移温度を表す。更に、Cは結晶状態、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、Iは等方相である。これらの記号の間のデータは転移温度を表す。Δnは589nmおよび20℃において測定される光学異方性(Δn=n−n、ただし、nは分子の長軸に平行な屈折率を表し、nはそれに垂直な屈折率を表す)を表す。他に明記しない限り、光学的および電気光学的データは20℃で測定される。
【0174】
本明細書の記載および請求項において、他に明言しない限り、リターデーションおよび分散は上記の通りの方法によって決定される。
【0175】
他に明言しない限り、上および下で与えられる通りの重合性混合物の成分のパーセンテージは混合重合性混合物中の固形分の総量を言うもので、即ち、溶媒を含まない。
【実施例】
【0176】
<例1>
例1(化合物1.9)を、スキーム1に示す経路を経由して調製する。
【0177】
【化25】


フリーデル−クラフツ条件下において、アニソールおよび酸塩化物であるトランス−4−プロピル−シクロヘキサンアセチルクロリドを共に反応させ、ケトン(1.1)を与える。メチル基を脱保護し、アルコール(1.2)を生じる。アルコール(1.2)をDHPと反応させ、THP保護されたケトン(1.3)を与える。このケトンをトリメチルシリルアセチレンおよびBuLiと反応させて付加物(1.4)を与え、引き続き、塩基で処理してトリメチルシリル基を脱離し、トリメチルシランで還元してアセチレン(1.6)を与える。最初に、このアセチレンをホモカップリングしてジアセチレンを与え、THP保護基を除去してジアセチレン−ジアルコール(1.8)を与える。4−[3−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)プロポキシ]−安息香酸で引き続きエステル化し、クロロプロピオネート基よりHClを脱離後に目的生成物(1.9)を与える。
【0178】
シラン還元を行うための典型的な条件は、「Ruthenium−catalyzed propargylic reduction of propargylic alcohols with silanes」、Nishibayashi、Yoshiaki;Shinoda、Akira;Miyake、Yoshihiro;Matsuzawa、Hiroshi;Sato、Mitsunobu著;Angewandte Chemie、International Edition(2006年)、45巻(29号)、4835〜4839頁)に開示されている。
【0179】
アセチレン基のα−炭素上に結合された側鎖アセチレン基を有するエチル連結された化合物の調製方法は、Meyers、Marvin J.ら、Journal of Medicinal Chemistry(2001年)、44巻(24号)、4230〜4251頁で開示されている。
【0180】
<例2>
例1からの化合物(1.8)(「中間体1」)を使用し、スキーム2に示す通り化合物(2.4)を調製する。
【0181】
【化26】




中間体であるジアルコール−ジアセチレン(中間体1)(1.8)をトランス−4−[6−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)ヘキシルオキシ]シクロヘキサンカルボン酸(2.1)でエステル化する。この飽和酸は、「The synthesis of liquid−crystalline diacrylates derived from cyclohexane units」、Lub、J.;van der Veen、J.H.;ten Hoeve、W.Recueil des Travaux Chimiques des Pays−Bas(1996年)115巻(6号)、321〜328頁で開示されている方法に従って調製できる。このエステル化反応の生成物(2.2)を脱保護して、ジアルコール(2.3)を与える。塩化アクリロイルでエステル化して、ジアクリレート(2.4)を与える。
【0182】
<例3>
例1からの化合物(1.6)(「中間体2」)を使用し、スキーム3に示す通り化合物(3.2)を調製する。
【0183】
【化27】


中間体2(1.6)よりTHP保護基を脱離して、ジアセチレン−ジアルコール(3.1)を与える。4−[3−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)プロポキシ]−安息香酸で引き続きエステル化し、クロロプロピオネート基よりHClを脱離後に目的生成物(3.2)を与える。
【0184】
<例4>
例3からの化合物(3.1)(「中間体3」)を使用し、スキーム4に示す通り化合物(4.3)を調製する。
【0185】
【化28】

中間体3(3.1)をトランス−4−[6−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)ヘキシルオキシ]シクロヘキサンカルボン酸(2.1)でエステル化する。この飽和酸は、「The synthesis of liquid−crystalline diacrylates derived from cyclohexane units」、Lub、J.;van der Veen、J.H.;ten Hoeve、W.Recueil des Travaux Chimiques des Pays−Bas(1996年)115巻(6号)、321〜328頁で開示されている方法に従って調製できる。このエステル化反応の生成物(4.1)を脱保護して、ジアルコール(4.2)を与える。塩化アクリロイルでエステル化して、アクリレート(4.3)を与える。
【0186】
<例5>
例4からの化合物(4.2)(「中間体4」)を使用し、スキーム5に示す通り化合物(5.1)を調製する。
【0187】
【化29】

<例6>
スキーム6に従い、化合物(6.7)を調製する。テトラヒドロピランで保護されたケトン(1.3)をn−ブチルリチウム存在下において1,4−ジブロモベンゼンと反応させ、化合物(6.1)を与える。同様の反応が、Caronら、Synlett(2004年)8号、1440〜1442頁に記載されている。例1に記載されるものと同様の条件を使用して、結果として生じるアルコールを化合物(6.2)に還元する。園頭条件下で臭化アリール(6.2)をトリメチルシリルアセチレンと反応させて化合物(6.3)を与え、トリメチルシリル基を脱離して化合物(6.4)を与える。園頭反応下における(6.4)および(6.2)の第2のアセチレンカップリング反応によって中間体(6.5)を与え、THP基の脱保護および適当な酸によるエステル化後、最終目的化合物(6.7)を与える。
【0188】
【化30】


<例7>
スキーム7に従い、化合物(7.4)を調製する。例1における化合物(1.6)に類似の方法において中間体(7.1)を調製するが、しかしながら、この場合、出発物質は酸塩化物である4’−プロピル−[トランス(トランス)]−[1,1’−ビシクロヘキシル]−4−アセチルクロリドであり、例えば、日本国特許第87−289132号明細書、欧州特許第86−107430号明細書およびドイツ国特許第3317597号明細書に開示されている。化合物(7.1)を脱保護してアルコール(7.2)を与え、4−[3−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)プロポキシ]−安息香酸でエステル化し、そしてアセチレン基を1−ヨード−4−メトキシベンゼンとカップリング後、目的化合物(7.4)を与える。
【0189】
【化31】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の1つ以上の構造要素を含む化合物。
【化1】

(式中、
Mは、−C(=O)−または−C(G)−であり、
1〜3は、それぞれ互いに独立に、H、C1〜6−アルキルまたはB’であり、
B’は、−(B)−または−(B)−Rであり、
Bは、−C≡C−、−CY=CY−または置換されていてもよい芳香族またはヘテロ芳香族基であり、
qは、1〜10の整数、好ましくは、1、2、3、4、5または6であり、
1、2は、それぞれ互いに独立に、H、F、Cl、CNまたはRであり、
1〜4は、それぞれ互いに独立に、1個以上の基Rで置換されていてもよい非芳香族、芳香族またはヘテロ芳香族炭素環式またはヘテロ環式基より選択される同一または異なる基であり、
1、2は、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−(CH−、−(CH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=CH−、−CY=CY−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、CR00または単結合より選択される同一または異なる基であり、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルであり、
mおよびnは、それぞれ互いに独立に、0、1、2、3または4であり、
1〜3は、それぞれ互いに独立に、H、ハロゲン、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR00、−C(=O)X、−C(=O)R、−NH、−NR00、−SH、−SR、−SOH、−SO、−OH、−NO、−CF、−SF、P−Sp−、置換されていてもよいシリル、置換されていてもよく1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよい1〜40個のC原子のカルビルまたはヒドロカルビルより選択される同一または異なる基であるか、またはPまたはP−Sp−を表すか、またはPまたはP−Sp−で置換されており、ただし、該化合物は、PまたはP−Sp−で表されるか置換されている基R1〜3を少なくとも1個含み、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合である。)
【請求項2】
以下の式より選択される請求項1に記載の化合物。
【化2】


(式中、B’は−(B)−Rであり、B、q、M、G1〜3、A1〜4、Z1、2、m、nおよびR1〜3は請求項1において与えられる意味を有する。)
【請求項3】
−(B)−が、−C≡C−、−C≡C−C≡C−、−C≡C−C≡C−C≡C−、−C≡C−C≡C−C≡C−C≡C−、
【化3】

(式中、rは、0、1、2、3または4であり、Lは、P−Sp−、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR00、−C(=O)X、−C(=O)OR、−C(=O)R、−NR00、−OH、−SF、置換されていてもよいシリル、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子のアリール、および1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子の直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択され、ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよく、ただし、RおよびR00は請求項6において定義される通りであり、Xはハロゲンである。)
より選択されることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
1〜4は、トランス−1,4−シクロヘキシレンおよび請求項3で定義される通りの1個以上の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレンより選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
1、2は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−(CH−、−(CH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=CH−、−CY=CY−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、CR00または単結合より選択され、ただし、R、R00、YおよびYは、請求項1で与えられる意味を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Pは、CH=CW−COO−、CH=CW−CO−、
【化4】

CH=CW−(O)k1−、CH−CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、(CH=CH−CHN−CO−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、CH=CH−(CO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびWSi−より選択され、ただし、Wは、H、F、Cl、CN、CF、フェニルまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、F、ClまたはCHであり、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子のオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子のアルキルであり、Pheは置換されていてもよい1,4−フェニレンであり、kおよびkは、それぞれ互いに独立に、0または1であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Spは、P−Sp−がP−Sp’−X’−となるように、式Sp’−X’から選択され、式中、
Sp’は、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよい1〜20個のC原子、好ましくは、1〜12個のC原子のアルキレンであり、ただし、1個以上の隣接していないCH基は、それぞれの場合で互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
および、R、R00、YおよびYは、請求項2で与えられる意味を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
以下のサブ式より選択される請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【化5】

【化6】

(式中、B’は請求項1において定義される通りであり、R”およびR”’は、それぞれ互いに独立に、請求項1において与えられるRの意味の1つを有し、Zは請求項1において与えられるZの意味の1つを有し、フェニル環は、請求項3において定義される通りの1個以上、好ましくは1個または2個の基Lで置換されていてもよい。)
【請求項9】
以下のサブ式より選択される請求項2〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

(式中、P、Sp、L、r、R”、R”’およびZは、請求項1、3および8において定義される通りである。)
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の1種類以上の化合物を含むLC調合物。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の1種類以上の化合物、および1種類以上の更なる化合物を含み、ただし、前記化合物の少なくとも1種類は重合性である重合性LC調合物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物またはLC調合物を、それのLC相において配向された状態で薄膜の形態で重合して得ることができる複屈折ポリマーフィルム。
【請求項13】
450/R550<1の複屈折ポリマーフィルムであって、ただし、R450は450nmの波長における光学的軸上リターデーションであり、R550は550nmの波長における光学的軸上リターデーションであり、前記フィルムは請求項1〜11のいずれか一項に記載の1種類以上の化合物またはLC調合物を重合して得ることができる複屈折ポリマーフィルム。
【請求項14】
光学的、電子的および電気光学的部品および装置における、好ましくは、負の光学的分散を有する光学的フィルム、リターダまたはコンペンセータにおける請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物、LC調合物およびポリマーフィルムの使用。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物、LC調合物またはポリマーフィルムを含む光学的、電子的または電気光学的部品または装置。
【請求項16】
Aプレート、Cプレート、負のCプレートまたはOプレート、ツイスト光学的リターダ、ツイスト1/4波長箔(QWF)、光学的二軸フィルム、色消しリターダ、色消しQWFまたは半波長箔(HWF)、コレステリック、スメクチック、ネマチックまたはブルー相を有するフィルム、ホメオトロピック、スプレイ、チルト、平面またはブルー相配向を有するフィルムより選択され、均一に配向しているか、または異なる配向のパターンを示す光学的一軸フィルムであることを特徴とする請求項15に記載の光学的部品。
【請求項17】
LCDの視野角増大のための光学的コンペンセーションフィルム、輝度増強フィルムにおける部品、または反射型または半透過型LCDにおける色消し素子であることを特徴とする請求項15に記載の光学的部品。
【請求項18】
電気光学的ディスプレイ、LCD、光学的フィルム、偏光子、コンペンセータ、ビームスプリッター、反射フィルム、配向層、カラーフィルター、ホログラフィック素子、ホットスタンプ箔、着色画像、装飾またはセキュリティーマーク、LC顔料、接着剤、非線形光学(NLO)装置、光学情報記憶装置、電子装置、有機半導体、有機電界効果トランジスタ(OFET)、集積回路(IC)、薄膜トランジスタ(TFT)、無線識別(RFID)タグ、有機発光ダイオード(OLED)、有機発光トランジスタ(OLET)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、有機光起電(OPV)装置、有機太陽電池(O−SC)、有機レーザーダイオード(O−レーザー)、有機集積回路(O−IC)、照明装置、センサー装置、電極材料、光導電体、光検出器、電子写真記録装置、キャパシタ、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、導電性基材、導電性パターン、光導電体、電子写真用途、電子写真記録、有機記憶装置、バイオセンサー、バイオチップ、複数の波長において同様の位相シフトを必要とする光電子装置、複合CD/DVD/HD−DVD/ブルーレイ、読み出し、書き込み、再書き込み、データ記憶システム、またはカメラより選択されることを特徴とする請求項15に記載の装置または部品。
【請求項19】
a)シクロヘキシルメチル・フェニル・ケトンまたはベンジル・シクロヘキシル・ケトンを保護されたアセチレンおよびn−ブチルリチウムと反応させて、アルコール−アセチレン中間体を与える工程と、
b)トリエチルシランを使用して工程a)からの前記中間体を還元し、側鎖アセチレン化合物を形成する工程と、
c)工程b)からの前記側鎖アセチレンをホモカップリングして2量体を形成するか、または、工程b)からの前記側鎖アセチレンをアリールハライドまたはジハロ芳香族中間体とカップリングして側鎖フェニルアセチレンを形成する工程と
を含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物を調製する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2010−537954(P2010−537954A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522209(P2010−522209)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/006445
【国際公開番号】WO2009/030332
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】