説明

カラーカード,カラーカード群及びカラーカード帳

【課題】 まとまりのある複数の色を選択することや一色に対して統一感のある色を選択することなど、少ないスペースに多くの色を調和が取れた状態で配色にすることで容易になり、又一枚のカラーカードに表示された個々の色やカラーカード相互間に関連性を持たせることで、希望する色を適確で、簡単に選択することができるカラーカード,カラーカード群及びカラーカード帳を提供する。
【解決手段】 複数の色を同一面内に表示したカラーカードであって、その複数の色のa値が異なり、そのa値の範囲が−50〜50の範囲であり、その複数の色の中で、最低a値と最高a値とのa値の差が0.5〜50である。
また、複数の色を同一面内に表示したカラーカードであって、その複数の色のb値が異なり、そのb値の範囲が−40〜70の範囲であり、その複数の色の中で、最低b値と最高b値とのb値の差が2〜70である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、色を選択するためのものであって、建築物などの構造物の塗装に用いられる塗料について、その塗料から得られる色を示し、それらの色から希望する色を選択するためのカラーカード,カラーカード群及びカラーカード帳に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から複数の色を表示した色見本カードやその色見本カードを複数枚組合わせた色見本帳を用い、色の提案や色の選択を行い、色を決定することが多い。この場合、決定された色は、塗料などにより被塗布物に対して色を付与することが多く、その色見本カードや色見本帳には、塗料などが乾燥硬化した後に発揮する色が表示されている。
この複数の色を表示した色見本カードの多くは、その色見本カードに表示されている複数の色がマンセル値などにより数値化,記号化した色をその数値,記号を元に順番に配列して表示したもので、それらの色見本カードを更に順番に配列して表示した見本帳が多く存在している。
【0003】
このマンセル値は、色を色相,明度,彩度に区分し、それぞれを数値化し、その3つの数値を組合わせて表したものである。
【非特許文献1】(社)日本塗料工業会 塗料用標準見本帳 この見本帳は、色見本帳の代表的なもので、多くの場合に用いられるものであり、色相順に色を配置し、明度,彩度の順番に変化させた色を順番に並べ表したものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような色見本カード,色見本帳では、一枚の色見本カードに数値順に並べた複数色を表示していることが多く、そのため、それら複数色の違いをはっきりさせなければならないことが多く、又、色見本帳を構成する色見本カード相互間であっても同じである。このため、色の色相,明度,彩度など色を構成する要素の数値を離れたものとする場合が多い。
【0005】
それにより一つの色見本カードにあるそれぞれの色や色見本カード相互間に関連性が少なく、色の調和を考慮していないことから色見本全体の色の統一感が薄く、色見本帳自体の配色に滑らかさやしなやかさが欠けるものであり、希望する色を適確に選択することが困難な場合がある。又、色の選択作業が単調で、機械的なることがものである。
また、このような色見本カード,色見本帳などを用いた場合では、まとまりのある二以上の色を選択すること,ある一色に対して統一感のある色を選択することなど、二以上の色を調和の取れた配色にすることが難しいことがある。
【0006】
特に、建築物などの構造物では、統一感,まとまり感といった調和のある色を選択することが必要な場合が多くある。調和の取れた色を選択できない場合では、その構造物の外観に関して、構造物の外観上、色彩の違和感が生じ、周りの自然環境,建築物などとの協調し難いことがある。又、室内においては、色彩の違和感から落ち着きがなくなることがある。
つまり、従来のものでは、単色としての色を表現したものであり、それにより複数の色を組合わせて、調和の取れたものではなかった。
【0007】
この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、まとまりのある複数の色を選択することや一色に対して統一感のある色を選択することなど、複数色を調和の取れた配色にすることが容易で、一枚のカラーカードに表示された個々の色やカラーカード相互間に関連性を持たせることで、複数の色が表示されたカラーカード,それらを集めたカラーカード帳自体の配色が滑らかで、しなやかな配列となり、希望する色を適確で、簡単に選択することができるカラーカード,カラーカード群及びカラーカード帳を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のカラーカードは、複数の色を同一面内に表示したカラーカードであって、その複数の色のa値が異なり、そのa値の範囲が−50〜50の範囲であり、その複数の色の中で、最低a値と最高a値とのa値の差が0.5〜50であることを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明のカラーカードは、複数の色を同一面内に表示したカラーカードであって、その複数の色のb値が異なり、そのb値の範囲が−40〜70の範囲であり、その複数の色の中で、最低b値と最高b値とのb値の差が2〜70であることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明のカラーカードは、請求項1又は請求項2に記載の発明において、さらに、L値が異なることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明のカラーカード群は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカラーカードを複数枚集めたカラーカード群であって、各カラーカードのa値及び/又はb値の範囲が上記範囲内で、重複しながら、異なった範囲のものであることを要旨とする。
請求項5の記載の発明のカラーカード帳は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカラーカード又は請求項5に記載のカラーカード群を複数集め、束ねたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1又は請求項2に記載の発明のカラーカードによれば、まとまりのある複数の色を選択することや一色に対して統一感のある色を選択することなど、少ないスペースに多くの色を調和が取れた状態で配色にすることで容易になり、又一枚のカラーカードに表示された個々の色やカラーカード相互間に関連性を持たせることで、複数の色が表示されたカラーカード,それらを集めたカラーカード帳自体の配色が滑らかで、しなやかな配列となり、希望する色を適確で、簡単に選択することができるものである。
【0013】
請求項3に記載の発明のカラーカードによれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、多くの色の配色を滑らかに表示することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明のカラーカード群によれば、カラーカード間で色相が大きく異なる場合であってもまとまりよく調和の取れた配色になり、逆に、色相が近い場合であっては、個々の色を十分に区別して認識することができ、調和の取れた配色のものである。
【0015】
請求項5に記載の発明のカラーカード帳によれば、まとまりのある独立したカラーサンプル群により構成されたものであることで、色が整理された状態で、多くの色が滑らかに配色された状態で表示されものであり、その多彩なカラーサンプル帳から適切に希望する色を適確で、簡単にイメージに合う色の選択がより容易なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態を詳細に説明する。
この発明でのカラーカードは、複数の色を同一面内に表示したカラーカードであって、その複数の色のa値が異なり、そのa値の範囲が−50〜50の範囲であり、その複数の色の中で、最低a値と最高a値とのa値の差が0.5〜50であり、又、その複数の色のb値が異なり、そのb値の範囲が−40〜70の範囲であり、その複数の色の中で、最低b値と最高b値とのb値の差が2〜70である。
一般的にカラーカードやカラーカード帳は、選択した色と得られた色が同じであるかを確認することや実際の物体の色やその物体のに付与される予定の色の選択を行うことに用いるものである。
【0017】
しかし、色の確認のみの場合では、複数の色が表示されているカラーカード,カラーカード帳を用いることなく、一色のみ表示されているカラーサンプルを用いれば済むことから、この発明のカラーカード,カラーカード帳は、複数色を表示しているものであることから、主に実際の物体の色やその物体に付与される予定の色の選択を行う場合に用いるものである。
このように色を選択する場合では、より多くの色が表示されているカラーカードやそのカラーカードが複数枚により構成されたカラーカード帳を用いることで、十分に納得した色の選択を行うことができる。
【0018】
この色の選択には、例えば、塗料などの流動性のある着色材が乾燥硬化した後に形成される塗膜,その塗膜により被覆される物体の色を選択などがあり、多く用いられ、特に経年で塗り替えられる住宅などの構造物の色選択に用いられる機会が多い。この構造物の外壁等の外部においての色選択では、その対象となる構造物の周辺に存在する構築物,自然物等の環境との調和を考慮する必要がある。又、内壁等の室内においての色選択では、その室内に存在する家具等の物品との調和を考慮する必要がある。
このような色を付与する物体とその物体の周りにあるものとの調和を考慮した場合の色選択において、この発明のカラーカード,カラーカード帳は、特に有効であり、その効果である希望する色を適確で、簡単に選択することができるものである。
【0019】
このカラーカードは、一枚に複数の色が表示されたものであり、そのカラーカードの形態の一例を図1に示す。まず、図1(a)に示したカラーカード11は、一枚のカラーカード11に一列で三色の色がそれぞれ色表示部12a〜12c色表示部に表示されている。又、図1(b)のカラーカード11では、一列に四色あり、その列が三列で、一枚のカラーカード11に十二色の色がそれぞれ色表示部12a〜色表示部12lに表示されている。
【0020】
また、立体的に一つのカラーサンプル11に複数の色を表示することも可能である。このカラーサンプル11は、一例として、立方体のそれぞれの面に一色づつ六の色表示部を設け表示することもできる。
しかしながら、このカラーカード11は、長方形などの矩形状のものが多く、それらが好ましく用いられる。これは、矩形状であることにより、カラーカード内に効率的に多くの色を表示することが可能であり、そのため、カラーカード11又はそのカラーカード11を複数枚束ねたカラーカード帳をコンパクトにまとめることができ、それらの持ち運び,保管などに有利な点が多くあるためである。
【0021】
このカラーカード11にある複数の色を表示するための各色表示部12の形状は、矩形状,円形状など特に制限はないが、限られたカラーカード11内により多くの色を表示し、且つ、その表示された色の見易さなどの点から、矩形状のものが好ましく使われている。又、その各表示部12の表示面積は、全て同じであっても良く、図2に示したカラーカード11のように各色表示部12の表示面積が異なったものであっても良く、この形態が好ましく用いられる。
このような形態は、色から受ける印象がその色の濃淡とその色の表示面積により与える影響を少なくすることに効果的な場合が多い。これは、例えば、一つのカラーカード11の中に淡色と濃色があり、この二つが同じ表示面積であった場合、濃色の面積の方が大きく感じることがあり、淡色を濃色に比べ大きく表示することで、このような色の濃淡などの影響を少なくすることができ、そのため、色の表示面積を変化させることが好ましい場合がある。
【0022】
図2のカラーカード11は、図1(a)とはその形態が類似したものではあるが、この図2のカラーカード11には、五色が表示され、その五色は、表示面積が一番大きい色表示部12cが最も薄い色であり、色表示部12d,12eの表示面積が同じで一番小さく最も濃い色を表示したものである。色表示部12a,12bは、そのカラーカード11内では、中間的な濃さの色を表示したものである。
この色表示部12の配列は、特に制限されるものではないが、一つのカラーカード11内にある複数の色の中で目立ち難い淡色を目立つような位置に配色することが好ましい。この目立つような位置としては、カラーサンプル11の形状などにもよるが、そのカラーカード11の中央部又は端部が最も目立つことが多く、好ましく、その位置に配置されることになる。図2に示したカラーカード11では、その中央部に、一番大きい色表示部12cを設け、その表示色が最も薄い色である淡色を示したものである。
【0023】
図1(a),図2では、矩形状の複数色の色が表示されたカラーカード11であることにより、その表示された複数の色は、一枚のカラーカード11の同一面内に表示させることになり、比較的少ないスペースで、より多くの色を効率的で、配色を滑らかに表示することができ、その色毎の比較が容易なものであることより、好ましいカラーカードの形態の一つとされている。
また、この形態のカラーカード11は、それらを複数枚束ねることで、容易に図3に示したようなカラーカード帳13を得ることができる。このカラーカード帳13の広げた状態を図4に示す。
【0024】
図3,図4に示したカラーカード帳13は、複数枚のカラーカード11を集め、組合せ束ねたものであり、カラーカード11端部を留め具14である鋲によって留めたもので、多くの場合、このような形態で用いられることが多い。このような形態をとることで、順序立てて、束ねられた複数のカラーカード11の順序を乱すことなく、その順序を維持しながら、色の選択が容易に行うことができるものとなる。図3,図4に示したカラーカード帳13は、複数枚のカラーカード11をそれらカラーカード11の端部中央を留め具14で束ねたものである。この留め具による留め位置が、サンプルであるが、端部中央に限らずカラーカードの隅角部であっても良い。
また、留め具14による束ね方以外としては、複数のカラーカード11がバラバラにならず、まとまった形態を維持することができればよいことからゴム,紐などで束ねたりケースに収めたりすることもある。
【0025】
つぎに、この発明でa値,b値及びL値について、説明する。これらは、色の表示を数値化したものの一つで、この三要素により色を表す表色系である。
この中でL値は、色の明るさの度合いを指すものであり、a値及びb値は、その組合せで、色相と鮮やかさの関係を示している。これら三つの値を組み合わせ、図5に示したように空間座標により色の位置を表し、その座標値により色を表現するものである。
この図5からも解るようにa値は、+側に赤い色相,その色相の鮮やかさにより変化するもので、−側では、緑の色相,その色相の鮮やかさにより変化するものである。又、そのb値は、+側に黄い色相,その色相の鮮やかさにより変化するもので、−側では、青の色相,その色相の鮮やかさにより変化するものである。
【0026】
この発明は、複数の色を表示したカラーカード11であって、前記a値,b値を利用したものであり、その複数の色のa値がそれぞれ異なり、そのa値の範囲が−50〜50の範囲であり、その複数の色の中で、最低a値と最高a値とのa値の差が0.5〜50である。又は、その複数の色のb値がそれぞれ異なり、そのb値の範囲が−40〜70の範囲であり、その複数の色の中で、最低b値と最高b値とのb値の差が2〜70である。
このような形態のカラーカード11では、複数の色のa値,b値を一定範囲内でまとめ、それぞれの最低値と最高値の差を設定することから、一枚のカラーカード11に表示された個々の色が調和を持ち、このカラーカード11,これらを集めたカラーカード帳13自体の配色が滑らかで、しなやかな配列となることで、まとまりのある配色に優れたカラーカード11を得ることができ、そのカラーカード11を複数束ねたカラーカード帳13は、カラーカード11相互間に関連性を持たせることができる。
【0027】
そして、そのカラーカード11,カラーカード帳13を用いて、色の選択,決定を行う場合では、一色に対して統一感のある色を選択することや希望する色,希望する色に対して配色される色を適確で、簡単に選択することができる。
前記a値の範囲が−50〜50の範囲であり、その最低a値と最高a値とのa値の差が0.5〜50であることで、まとまりのある優れた配色にとすることができ、逆に、この範囲外であった場合では、赤い色相から緑の色相への色相,鮮やかさの範囲が広くなり、まとまりに欠けたカラーカード11となる。又、前記b値の場合も同様で、前記範囲外である場合には、黄い色相から青の色相への色相,鮮やかさの範囲が広くなり、まとまりに欠けたカラーカード11となる。
【0028】
さらに、一枚のカラーカード11にある複数の色のL値がそれぞれ異なることが好ましく、それにより、多くの色の配色を滑らかに表示することができる。又、それぞれの色のa値又はb値が上記範囲内で、近い数値であった場合でも調和を保ちながら、まったく雰囲気の異なった色として表示することができるものとなる。
【0029】
上記記載のようなカラーカード11を複数枚集め、それをカラーカード群とし、そのカラーカード群を構成する複数のカラーカード11相互間が、上記a値,b値の範囲が上記範囲内で、重複しながら、異なった範囲のものであるカラーカード群であることが好ましい。このような形態であるカラーカード群を形成することで、カラーカード11間で色相が大きく異なる場合であってもまとまりよく調和の取れた配色になり、逆に、色相が近い場合であっては、個々の色を十分に区別して認識することができ、調和の取れた配色のものである。
【0030】
また、このようなカラーカード群を設けることで、そのカラーカード群毎に色に関するテーマや色から連想するテーマに設定することができ、色の選択の際に、前もってイメージしている色から、先ずテーマを選択し、そのテーマにある色から最適な色を選択することも可能である。このようにカラーカード群を設定することで、色の選択及び決定が容易で、速いものとなる。更に、選択した色に対して、調和の取れた異なる色を選択することができ、その選択も容易なものとなる。
さらに、そのテーマを簡単に表現する名称などをつけることで、よりテーマの選択が簡単なものとなる。
【0031】
このカラーカード群を複数群用意し、集め束ねたカラーカード帳13であることがより好ましい形態のものである。これにより、まとまりのある独立したカラーサンプル群により構成されたものであることで、色が整理された状態で、多くの色が滑らかに配色された状態で表示されるものであり、その多彩なカラーサンプル帳から適切に希望する色を適確で、簡単にイメージに合う色の選択がより容易なものとなる。
さらに、前もって色に対するイメージがない場合であっても、より多くの色がテーマ別のカラーカード群が設定されているため、まず、イメージによりある程度の色を絞り込み、そのテーマを決め、決められたテーマにある複数の色より適切な色を選択することができ、イメージとした色を効率的で、適確に決定することができるものである。
【実施例】
【0032】
次に、カラーカード11、カラーカード帳13及びカラーカード群について、上記図2に示したカラーカード11及び図3,4を用いて、より具体的に説明する。
まず、実施例1として、カラーカード11a〜カラーカード11cのそれぞれの色表示部12に下記のような色を示したものを例示する。
【0033】
(実施例1)
カラーカード11a
表示部 a値 b値 L値
色表示部12a −12.58 2.25 74.43
色表示部12b −11.38 3.30 80.52
色表示部12c −6.27 5.15 92.05
色表示部12d −17.96 4.76 52.19
色表示部12e −13.92 7.47 43.84
a値の範囲:−17.96〜−6.27 a値の差:11.69
b値の範囲: 2.25〜 7.47 b値の差: 5.22
L値の範囲: 43.84〜92.05 L値の差:48.21
【0034】
カラーカード11b
表示部 a値 b値 L値
色表示部12f −16.92 8.10 75.00
色表示部12g −12.40 6.62 81.49
色表示部12h −4.84 4.60 90.52
色表示部12i −48.70 4.78 68.96
色表示部12j −14.81 7.77 48.43
a値の範囲:−48.70〜−4.84 a値の差:43.86
b値の範囲: 4.60〜 7.77 b値の差: 3.17
L値の範囲: 48.43〜90.52 L値の差:42.09
【0035】
カラーカード11c
表示部 a値 b値 L値
色表示部12k −17.45 15.25 77.95
色表示部12l −13.65 12.78 86.98
色表示部12m −8.74 11.88 91.69
色表示部12n −24.36 21.43 64.05
色表示部12o −21.02 17.95 53.68
a値の範囲:−24.36〜−8.74 a値の差:15.62
b値の範囲: 21.43〜11.88 b値の差:−9.55
L値の範囲: 53.68〜91.69 L値の差:38.01
【0036】
この実施例1にある三枚のカラーカード11の中のカラーカード11bは、そのカラーカード11bの中の色の内、色表示部12iに表示された色のa値が−48.70と比較的緑が強い色にもかかわらずカラーカード11b全体に統一感のあり、又、カラーカード11bに表示されている5色の色のa値の範囲の最高値と最低値の差が43.86と比較的広いものであっても、表示されている色がまったく違和感なく感じることができるものである。これは、他のa値,L値がそれぞれ一定範囲内で異なったものであることによるものである。
また、これら三枚のカラーカード11は、それぞれ一枚のカラーカードに表示された個々の色が一定範囲内で異なったa値,b値,L値であり、それらのいずれかの範囲が三枚のカラーカード11それぞれの範囲が一部重なっていて、カラーカード11相互間に関連性を有することで、複数の色が表示されたカラーカード,それらを集めたカラーカード帳自体の配色が滑らかで、しなやかな配列となったものである。
【0037】
つぎに、実施例2として、カラーカード11a〜カラーカード11cのそれぞれの色表示部12に下記のような色を示したものを例示する。
(実施例2)
カラーカード11a
表示部 a値 b値 L値
色表示部12a 27.63 31.38 69.27
色表示部12b 15.04 16.05 82.55
色表示部12c 3.62 10.06 90.76
色表示部12d 31.49 36.26 65.69
色表示部12e 33.41 29.01 54.55
a値の範囲: 3.62〜33.41 a値の差:29.79
b値の範囲: 10.06〜36.26 b値の差:26.20
L値の範囲: 54.55〜90.76 L値の差:36.21
【0038】
カラーカード11b
表示部 a値 b値 L値
色表示部12f 20.24 16.03 78.00
色表示部12g 16.74 13.35 81.54
色表示部12h 4.94 9.99 90.20
色表示部12i 37.04 28.03 61.34
色表示部12j 38.01 21.71 50.00
a値の範囲: 4.94〜38.01 a値の差:33.07
b値の範囲: 9.99〜28.03 b値の差:18.04
L値の範囲: 50.00〜90.20 L値の差:40.20
【0039】
カラーカード11c
表示部 a値 b値 L値
色表示部12k 25.92 9.94 74.77
色表示部12l 16.82 12.09 81.40
色表示部12m 3.37 6.36 91.39
色表示部12n 39.82 20.37 58.77
色表示部12o 42.58 21.07 55.56
a値の範囲: 3.37〜42.58 a値の差:39.21
b値の範囲: 6.36〜21.07 b値の差:14.71
L値の範囲: 55.56〜91.39 L値の差:35.83
【0040】
この実施例2にある三枚のカラーカード11の中のカラーカード11bは、実施例1の場合とは異なり、その色表示部12iに表示された色のa値が38.01と比較的赤が強い色にもかかわらずカラーカード11b全体に統一感のあり、表示されている色がまったく違和感なく感じることができるものである。
また、実施例1同様で、三枚のカラーカード11は、一枚のカラーカードに表示された個々の色が一定範囲内で異なったa値,b値,L値であり、それらのいずれかの範囲が三枚のカラーカード11それぞれの範囲が一部重なっていて、カラーカード11相互間に関連性を有するものである。
【0041】
(実施例3)
カラーカード11a
表示部 a値 b値 L値
色表示部12a 0.16 6.21 93.53
色表示部12b −0.63 3.04 93.41
色表示部12c 0.01 4.07 90.88
色表示部12d −0.07 5.67 92.84
色表示部12e 0.10 4.55 91.98
a値の範囲: −0.63〜 0.16 a値の差: 0.79
b値の範囲: 3.04〜 6.21 b値の差: 3.17
L値の範囲: 90.88〜93.53 L値の差: 2.55
【0042】
カラーカード11b
表示部 a値 b値 L値
色表示部12f −0.46 5.52 95.03
色表示部12g −0.42 5.97 94.74
色表示部12h −2.00 7.07 95.06
色表示部12i 0.31 5.71 92.24
色表示部12j −1.05 6.35 93.95
a値の範囲: −2.00〜 0.31 a値の差: 2.31
b値の範囲: 6.42〜17.66 b値の差:11.24
L値の範囲: 5.52〜 7.07 L値の差: 1.55
【0043】
カラーカード11c
表示部 a値 b値 L値
色表示部12k −0.71 3.95 92.62
色表示部12l 0.23 6.52 93.11
色表示部12m −0.68 8.00 88.93
色表示部12n 0.06 3.34 89.23
色表示部12o −0.50 5.23 90.30
a値の範囲: −0.71〜 0.23 a値の差: 0.94
b値の範囲: 3.34〜 8.00 b値の差: 4.66
L値の範囲: 88.93〜93.11 L値の差: 4.18
【0044】
この実施例3にある三枚のカラーカード11の中のカラーカード11aは、実施例1の場合とは異なり、a値の範囲の最高値と最低値の差が0.79と比較的狭いものであっても、表示されている色がまったく異なったもので、違和感なく感じることができるものである。
また、カラーカード11aに表示されている色の中で、色表示部12hにある色は、L値が95.06と比較的高く明るい色のものであるが、そのカラーカード11aにある五色の色の中でも目立つことなく調和が取れ、違和感なく感じることができるものである。
【0045】
さらに、このカラーカード11aは、L値の範囲の最高値と最低値の差が2.65と比較的狭いものであっても、一枚のカラーカードに表示された個々の色が一定範囲内で異なったa値,b値であることにより、表示されている色がまったく異なったもので、違和感なく感じることができるものである。
このように実施例3の複数のカラーカード11であっても、実施例1同様で、一枚のカラーカードに表示された個々の色が一定範囲内で異なったa値,b値,L値であり、それらのいずれかの範囲が三枚のカラーカード11それぞれの範囲が一部重なっていて、カラーカード11相互間に関連性を有するものである。
【0046】
(実施例4)
カラーカード11a
表示部 a値 b値 L値
色表示部12a −7.86 −22.33 73.47
色表示部12b −10.12 −16.41 80.63
色表示部12c −6.20 −7.33 89.12
色表示部12d −6.74 −32.16 54.60
色表示部12e −1.79 −30.69 43.17
a値の範囲:−10.12〜−1.79 a値の差: 8.33
b値の範囲:−32.16〜−7.33 b値の差:24.83
L値の範囲: 43.17〜89.12 L値の差:45.95
【0047】
この実施例4にあるカラーカード11aの色の内、色表示部12dに表示された色のb値が−32.16と比較的青が強い色にもかかわらず、カラーカード11b全体に統一感のあり、表示されている色がまったく違和感なく感じることができるものである。これは、他のa値,L値がそれぞれ一定範囲内で異なったものであることによるものである。
【0048】
(実施例5)
カラーカード11a
表示部 a値 b値 L値
色表示部12a −2.20 47.40 90.36
色表示部12b −1.92 27.50 92.84
色表示部12c −1.68 8.38 94.92
色表示部12d −2.62 71.28 87.47
色表示部12e 0.67 72.60 88.31
a値の範囲: −2.62〜 0.67 a値の差: 3.29
b値の範囲: 8.38〜72.60 b値の差:64.22
L値の範囲: 87.47〜94.92 L値の差: 7.45
【0049】
この実施例5にあるカラーカード11aの色の内、色表示部12eに表示された色のb値が72.60と比較的黄が強い色にもかかわらず、そのカラーカード11aは、全体に統一感のあり、又、カラーカード11aに表示されている5色の色のb値の範囲の最高値と最低値の差が64.22と比較的広いものであっても、表示されている色がまったく違和感なく感じることができるものである。これは、他のa値,L値がそれぞれ一定範囲内で異なったものであることによるものである。
【0050】
(実施例6)
カラーカード11a
表示部 a値 b値 L値
色表示部12a 3.94 2.23 75.72
色表示部12b 2.77 1.91 82.00
色表示部12c 0.81 2.62 90.23
色表示部12d 4.27 2.65 61.71
色表示部12e 4.56 3.16 40.77
a値の範囲: 0.81〜 4.56 a値の差: 3.75
b値の範囲: 1.91〜 3.16 b値の差: 1.25
L値の範囲: 40.77〜90.23 L値の差:49.46
【0051】
この実施例6にあるカラーカード11aは、b値の範囲の最高値と最低値の差が1.25と比較的狭いものであっても、一枚のカラーカードに表示された個々の色が一定範囲内で異なったa値,L値であることにより、表示されている色がまったく異なったもので、違和感なく感じることができるものである。
【0052】
最後に、実施例7として、カラーカード11aのそれぞれの色表示部12に下記のような色を示したものを例示する。
(実施例7)
カラーカード11a
表示部 a値 b値 L値
色表示部12a 2.88 9.25 6.44
色表示部12b 1.99 8.25 75.28
色表示部12c 1.22 4.95 85.17
色表示部12d 2.72 7.57 53.06
色表示部12e 4.36 7.58 41.96
a値の範囲: 1.22〜 4.36 a値の差: 3.14
b値の範囲: 4.95〜 9.25 b値の差: 4.30
L値の範囲: 6.44〜85.17 L値の差:78.73
【0053】
この実施例7にあるカラーカード11aは、L値の範囲の最高値と最低値の差が78.73と比較的、広いにもかかわらず、そのカラーカード11a全体に統一感のあり、表示されている色がまったく違和感なく、まとまったように感じることができるものである。これは、他のa値,b値がそれぞれ一定範囲内で異なったものであることによるものである。
【0054】
これら実施例に示したカラーカード11などは、まとまりのある複数の色を選択することや一色に対して統一感のある色を選択することなど、複数色を調和の取れた配色にすることが容易なものであって、一枚のカラーカードに表示された個々の色やカラーカード相互間に関連性を持たせることで、複数の色が表示されたカラーカード,これらカラーカードを利用したカラーカード帳などは、配色が滑らかで、しなやかな配列となり、希望する色を適確で、簡単に選択することができるものである。
また、L値が異なるものであることにより、多くの色の配色を滑らかに表示することができるものである。
【0055】
さらに、これら実施例に示したカラーカード11の用途は、主に構造物壁面などの色選択に用いられるものであり、この用途では、a値の範囲が−48.70〜42.58で、そのカラーカード11にある複数の色の最低a値と最高a値との差が0.79〜39.21であり、b値の範囲が−32.16〜72.60で、そのカラーカード11にある複数の色の最低b値と最高b値との差が3.17〜64.22であり、更に、L値の範囲が5.52〜94.92で、そのカラーカード11にある複数の色の最低L値と最高L値との差が1.55〜78.73である。
これにより、構造物において、統一感,まとまり感といった調和のある色を選択することができ、構造物の外観上、色彩の違和感が生じ、周りの自然環境,建築物などとの協調する配色となる色を選択することができる。又、室内においては、色彩の違和感から落ち着きのある配色となる色を選択することができる。
【0056】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(A)請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカラーカードに表示された色は、塗料などの流動性のある着色材が乾燥硬化した後に形成される塗膜の色であることを特徴とするカラーカード。
これにより、その塗膜により被覆される経年で塗り替えられる住宅などの構造物の色選択において、構造物の外壁等の外部においての色選択では、その対象となる構造物の周辺に存在する構築物,自然物等の環境との調和する色を容易に選択することができ、室内においては、その室内に存在する家具等の物品との調和する色を容易に選択することができ、希望する色を適確で、簡単に選択すること
ができるものである。
【0057】
(B)上記カラーカードの形状が矩形状であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカラーカード。
このことにより、カラーカード内に効率的に多くの色を表示することが可能であり、カラーカード又はそのカラーカードを複数枚束ねたカラーカード帳をコンパクトにまとめることができ、それらの持ち運び,保管などに有利な点が多くあるためである。
【0058】
(C)カラーカードにある複数の色を表示するための色表示部の形状が矩形状であり、その複数ある色表示部の表示面積が異なったものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカラーカード。
このことにより、一枚のカラーカードに多くの色を表示し、且つ、その表示された色が見易いものであり、色から受ける印象がその色の濃淡とその色の表示面積により与える影響を少なくすることに効果的なものである。
【0059】
(D)上記カラーカードにある複数の色を表示するための色表示部の表示面積が異なるものであって、表示面積が一番大きい色表示部の色がそのカラーカード中の複数色の内最も薄い色であり、表示面積が一番小さい色表示部の色が最も濃い色を表示したものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカラーカード。
このことにより、淡色を濃色に比べ大きく表示することで、このような色の濃淡などの影響を少なくすることができるものである。
【0060】
(E)上記カラーカードに表示された複数の色の中で、最も薄い淡色の表示部が中央部又は端部であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカラーカード。
このことにより、カラーカード内にある複数の色の中で目立ち難い淡色を目立つような位置に配色することができる。
【0061】
(F)上記カラーカードが構造物壁面などの色選択に用いられるものであり、a値の範囲が−48.70〜42.58で、そのカラーカード11にある複数の色の最低a値と最高a値との差が0.79〜39.21であり、b値の範囲が−32.16〜72.60で、そのカラーカード11にある複数の色の最低b値と最高b値との差が3.17〜64.22であり、更に、L値の範囲が5.52〜94.92で、そのカラーカード11にある複数の色の最低L値と最高L値との差が1.55〜78.73であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカラーカード。
これにより、構造物において、統一感,まとまり感といった調和のある色を選択することができ、構造物の外観上、色彩の違和感が生じ、周りの自然環境,建築物などとの協調する配色となる色を選択することができる。又、室内においては、色彩の違和感から落ち着きのある配色となる色を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】カラーカードの形態の一例を示したもの。
【図2】カラーカードの形態の一例を示したもの。
【図3】カラーカード帳の形態の一例を示したもの。
【図4】カラーカード帳の広げた状態を示したもの。
【図5】空間座標により色の位置を示したもの。
【符号の説明】
【0063】
11…カラーカード。12…色表示部。13…カラーカード帳。14…留め具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色を同一面内に表示したカラーカードであって、
その複数の色のa値が異なり、そのa値の範囲が−50〜50の範囲であり、
その複数の色の中で、最低a値と最高a値とのa値の差が0.5〜50であることを特徴とするカラーカード。
【請求項2】
複数の色を同一面内に表示したカラーカードであって、
その複数の色のb値が異なり、そのb値の範囲が−40〜70の範囲であり、
その複数の色の中で、最低b値と最高b値とのb値の差が2〜70であることを特徴とするカラーカード。
【請求項3】
さらに、L値が異なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカラーカード。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカラーカードを複数枚集めたカラーカード群であって、各カラーカードのa値及び/又はb値の範囲が上記範囲内で、重複しながら、異なった範囲のものであることを特徴とするカラーカード群。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカラーカード又は請求項5に記載のカラーカード群を複数集め、束ねたことを特徴とするカラーカード帳。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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