カラービーズ製造装置、カラービーズ製造方法及びバイオ分析装置
【課題】着色する色に応じた正確な配合での練り込み工程を用いず、バイオ分析における多種類のカラービーズを容易に製造する。
【解決手段】光に感応して発色する有機金属化合物14を含有する基材11に光を照射することにより着色する着色部20と、照射される光の強度及び波長を着色する色に応じて制御するための強度制御用フィルタ22A〜22C、駆動部23及び制御用コントローラ24と、着色された基材11からビーズを形成する形成部30と、形成されたビーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質を付着する処理部50とを備えたカラービーズ13の製造装置。
【解決手段】光に感応して発色する有機金属化合物14を含有する基材11に光を照射することにより着色する着色部20と、照射される光の強度及び波長を着色する色に応じて制御するための強度制御用フィルタ22A〜22C、駆動部23及び制御用コントローラ24と、着色された基材11からビーズを形成する形成部30と、形成されたビーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質を付着する処理部50とを備えたカラービーズ13の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多種類のカラービーズを有するバイオチップ装置に関連したカラービーズ製造装置、カラービーズ製造方法及びバイオ分析装置に係り、特にカラービーズを容易に製造し得るカラービーズ製造装置、カラービーズ製造方法及びバイオ分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DNAチップ装置やプロテインチップ装置等のバイオチップ装置の開発が進んでいる。ここで、バイオチップ装置は、表面に付着した検出用物質をバイオ分析装置により分析するためのものである。このようなバイオチップ装置においては、微小な球体のビーズが使用されるものがある。
【0003】
図11は従来のバイオチップ装置による分析過程の概念を示す図である。このバイオチップ装置90は、ポリスチレン球のビーズ91に1次抗体である検出用物質92を予めコーティングしておき、被検出用物質93と反応させて抗原抗体反応が生ずるか否かを検出するものである(図11(A),(B))。
【0004】
ここで、抗原抗体反応が生ずるか否かは、蛍光標識付き2次抗体94を作用させることにより検出する(図11(C))。詳しくは、ビーズ91表面上の検出用物質92と被検出用物質93が反応した生成物に蛍光標識付き2次抗体94を作用させた後、紫外線95を照射すると2次抗体94が蛍光を発する。この蛍光を観測することで、ビーズ91表面上の検出用物質92と被検出物質93の反応が生じたか否かを検出する(図11(D))。
【0005】
このようなバイオチップ装置90では、ビーズ91を使用する際に、ビーズ91と検出用物質92の対応関係を記録しておく必要がある。具体的には、検出用物質92が無数に存在するので、ビーズ91もこれに対応して数十から数千種類(場合によってはそれ以上)用意し、検出用物質92との対応関係を記録しておく必要がある。
【0006】
しかしながら、ビーズ91は直径が1mm以下のものが多く、場合によっては直径が数10μmである。そのため、ビーズ91は記号を刻んだり、RF−IDタグなどのシリコンチップを貼りつけることが困難である。すなわち、1個1個のビーズ91に異なる表面処理を施し、ビーズ毎に識別することが困難である。
【0007】
これに対し、予め着色を施したビーズ91の色とビーズ表面上に付着させた検出用物質92との対応関係を定めておくことで、ビーズ毎の認識を容易にする技術が知られている。
【0008】
この際、着色を施したビーズ(以下、カラービーズという。)の製造方法としては、例えば顔料や染料を樹脂にそれぞれ異なった正確な割合で練り込む工程や、ビーズ表面に着色物を付着された染色によって表面近傍に色を付ける工程により、数百種類以上のカラービーズの製造を可能としている。
【0009】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては特許文献1がある。特許文献1には、「…レーザビームの熱エネルギ、光或は波長に対して発色する感熱発色色素を混入して成形した被加工品にレーザビームを照射することによって被加工品に適宜の色彩を発色させた加工を施すようにした装飾品のレーザ加工方法。」が記載されている。
【特許文献1】特開2001−96995号公報(請求項5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したカラービーズの製造方法は、非常に手間がかかるものである。例えば、1000個のビーズに個別に1000種類程度の着色をするためには1000種類の顔料や染料を樹脂にそれぞれ異なった正確な割合で練りこむ必要がある。
【0011】
また、着色する色に応じた正確な配合での練り込み工程を用いない観点から、ビーズ表面に感光材料を形成してカラービーズを製造する方式が考えられる。しかしながら、この方式で得られたカラービーズでは、非常に微量の化学物質が問題となるバイオチップ装置における使用に適さないものになる可能性がある。その理由は、表面に感光材料を形成したカラービーズでは、有機溶剤や、酸、アルカリ洗浄などに対する感光材料の耐性を維持することが困難なためである。
【0012】
このように、従来の方法では、バイオチップ装置における1000種類に及ぶような多種類のカラービーズを製造することは困難である。
【0013】
また、特許文献1に記載の方法は、装飾品に適宜な色彩を発色させる内容であるので、上述した多種類のカラービーズを正確に着色する技術には直接に応用できないと考えられる。
【0014】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、着色する色に応じた正確な配合での練り込み工程を用いず、バイオ分析における多種類のカラービーズを容易に製造し得るカラービーズ製造装置及びカラービーズ製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
さらに本発明の他の目的は、容易且つ正確に製造される多種類のカラービーズを用いたバイオ分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に対応する発明は、光に感応して発色する発色物質を含有する基材に光を照射することにより、前記基材を着色する着色手段と、前記着色手段により照射される光の強度及び波長のうち、少なくとも一方を前記着色する色に応じて制御する光制御手段と、前記光制御手段及び前記着色手段により着色された基材から球形状のカラービーズを形成するビーズ形成手段と、前記カラービーズの色に対応して、互いに異なる検出用物質あるいは互いに異なる被分析材料を当該カラービーズに付着させる物質付着手段とを備えたカラービーズ製造装置である。
【0017】
請求項2に対応する発明は、光に感応して発色する発色物質を含有する基材から球形状のビーズを形成するビーズ形成手段と、前記形成されたビーズに光を照射することにより、当該ビーズを着色してカラービーズを得る着色手段と、前記着色手段により照射される光の強度及び波長のうち、少なくとも一方を前記着色する色に応じて制御する光制御手段と、前記光制御手段及び前記着色手段により得られたカラービーズの色に対応して、互いに異なる検出用物質あるいは互いに異なる被分析材料を当該カラービーズに付着させる物質付着手段とを備えたカラービーズ製造装置である。
【0018】
請求項3に対応する発明は、請求項1または請求項2に対応するカラービーズ製造装置において、前記基材は、クロムヘキサカルボニル、モリブデンヘキサカルボニル、コバルトオクタカルボニル、クロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、臭化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)、ジカルボニルニッケル、シクロペンタジエニル(トリエチルホスフィン)、銅(I)、クロロトリフェニルホスフィン金(I)、銅(II)i−ブチレート、ジクロロ(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(O)及びメチルトリオキソレニウム(VII)からなる群から選択される有機金属化合物を前記発色物質として含有するカラービーズ製造装置である。
【0019】
請求項4に対応する発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に対応するカラービーズ製造装置において、前記ビーズ形成手段は、前記基材を直径2mm以下の複数の球形状に形成するカラービーズ製造装置である。
【0020】
請求項5に対応する発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に対応するカラービーズ製造装置において、前記着色手段は、赤外波長領域又は紫外波長領域の光を照射するカラービーズ製造装置である。
【0021】
請求項6に対応する発明は、光に感応して発色する発色物質を含有する基材に光を照射することにより、前記基材を着色する着色工程と、前記着色工程により照射される光の強度及び波長のうち、少なくとも一方を前記着色する色に応じて制御する光制御工程と、前記光制御工程及び前記着色工程により着色された基材から球形状のカラービーズを形成するビーズ形成工程と、前記形成されたカラービーズの色に対応して、互いに異なる検出用物質あるいは互いに異なる被分析材料を当該カラービーズに付着させる物質付着工程とを備えたカラービーズ製造方法である。
【0022】
請求項7に対応する発明は、光に感応して発色する発色物質を含有する基材から球形状のビーズを形成するビーズ形成工程と、前記形成されたビーズに光を照射することにより、当該ビーズを着色してカラービーズを得る着色工程と、前記着色工程により照射される光の強度及び波長のうち、少なくとも一方を前記着色する色に応じて制御する光制御工程と、前記光制御工程及び前記着色工程により得られたカラービーズの色に対応して、互いに異なる検出用物質あるいは互いに異なる被分析材料を当該カラービーズに付着させる物質付着工程とを備えたカラービーズ製造方法である。
【0023】
請求項8に対応する発明は、請求項6または請求項7に対応するカラービーズ製造方法において、前記基材は、クロムヘキサカルボニル、モリブデンヘキサカルボニル、コバルトオクタカルボニル、クロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、臭化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)、ジカルボニルニッケル、シクロペンタジエニル(トリエチルホスフィン)、銅(I)、クロロトリフェニルホスフィン金(I)、銅(II)i−ブチレート、ジクロロ(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(O)及びメチルトリオキソレニウム(VII)からなる群から選択される有機金属化合物を前記発色物質として含有するカラービーズ製造方法である。
【0024】
請求項9に対応する発明は、請求項6乃至請求項8のいずれか1項に対応するカラービーズ製造方法において、前記ビーズ形成工程では、前記基材を直径2mm以下の複数の球形状に形成するカラービーズ製造方法である。
【0025】
請求項10に対応する発明は、請求項6乃至請求項9のいずれか1項に対応するカラービーズ製造方法において、前記着色工程では、赤外波長領域又は紫外波長領域の光を照射するカラービーズ製造方法である。
【0026】
請求項11に対応する発明は、光に感応して発色する発色物質を含有する球形状の複数のビーズに光を照射することにより、当該各ビーズを着色して各カラービーズを得る着色手段と、前記カラービーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質を付着させる検出用物質付着手段と、前記カラービーズ表面の検出用物質に被検出用物質を反応させる反応手段と、前記反応手段による反応があったか否かを判定する判定手段と、前記判定の結果、反応のあった場合に、当該反応のあったカラービーズの色を識別し、識別結果を出力する色識別手段とを備えたバイオ分析装置である。
【0027】
請求項12に対応する発明は、請求項11に対応するバイオ分析装置において、前記検出用物質付着手段は、液体中で特異的に特定物質を吸着する抗体を前記検出用物質として前記カラービーズに付着させるバイオ分析装置である。
【0028】
請求項13に対応する発明は、請求項11または請求項12に対応するバイオ分析装置において、前記反応手段は、前記反応として、前記被検出用物質としての抗原と前記検出用物質としての抗体とによる物質の特異的吸着をさせるバイオ分析装置である。
【0029】
請求項14に対応する発明は、請求項11乃至請求項13のいずれか1項に対応するバイオ分析装置において、前記判定手段は、前記反応があり、反応により検出用物質と被検出用物質との合成物が得られた場合に、当該合成物に蛍光標識付き2次抗体を結合させて、この蛍光標識付き2次抗体が発する蛍光を観測する蛍光観測手段を備えたバイオ分析装置である。
【0030】
請求項15に対応する発明は、請求項11乃至請求項14のいずれか1項に対応するバイオ分析装置において、前記検出用物質付着手段は、前記検出用物質としてタンパク質を付着させるバイオ分析装置である。
【0031】
請求項16に対応する発明は、請求項11乃至請求項14のいずれか1項に対応するバイオ分析装置において、前記検出用物質付着手段は、前記検出用物質として核酸を付着させるバイオ分析装置である。
【0032】
<作用>
従って、請求項1,6に対応する発明は以上のような手段を講じたことにより、光に感応する発色物質を含有する基材に光を照射して着色する着色手段と、照射される光の強度及び波長を着色する色に応じて制御する光制御手段と、着色された基材からカラービーズを形成するビーズ形成手段と、カラービーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質を付着する検出用物質付着手段とを備えた構成により、着色する色に応じた正確な配合での練り込み工程を用いず、バイオチップ装置における多種類のカラービーズを容易に製造できるカラービーズ製造装置及びカラービーズ製造方法を提供できる。
【0033】
請求項2,7に対応する発明は、光に感応する発色物質を含有する基材からビーズを形成するビーズ形成手段と、ビーズに光を照射して着色する手段と、着色されたカラービーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質を付着する検出用物質付着手段とを備えた構成により、着色する色に応じた正確な配合での練り込み工程を用いず、バイオチップ装置における多種類のカラービーズを容易に製造できるカラービーズ製造装置及びカラービーズ製造方法を提供できる。
【0034】
請求項3,8に対応する発明は、基材が、所定の発色物質の群から選択される有機金属化合物を含有しているので、請求項1,2,6,7に対応する作用に加え、多色の着色を施したカラービーズを提供できる。
【0035】
請求項4,9に対応する発明は、ビーズ形成手段が基材を直径2mm以下の球形状に形成するので、請求項1〜3,6〜8に対応する作用に加え、微小なビーズが必要とされるバイオチップ装置にカラービーズを提供できる。
【0036】
請求項5,10に対応する発明は、着色手段が赤外波長領域又は紫外波長領域の光を照射するので、請求項1〜4,6〜9に対応する作用に加え、基材に光を感応させやすく、多色の着色を施すことができる。
【0037】
請求項11に対応する発明は、光に感応する発色物質を含有する複数のビーズに光を照射して着色する着色手段と、着色されたカラービーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質を付着する検出用物質付着手段と、検出用物質に被検出用物質を反応させる反応手段と、反応があったか否かを確認する確認手段と、反応のあった場合に、反応のあったカラービーズの色を識別する色識別手段とを備えた構成により、容易且つ正確に製造される多種類のカラービーズを用い、カラービーズの色から抗原抗体反応等を確認できるバイオ分析装置を提供できる。
【0038】
請求項12に対応する発明は、検出用物質付着手段が液体中で特異的に特定物質を吸着する抗体を付着させるので、請求項11の作用に加えて、液体中でバイオチップ装置を使用できるバイオ分析装置を提供できる。
【0039】
請求項13に対応する発明は、反応手段が抗原と抗体とによる物質の特異的吸着をさせるので、請求項11,12の作用に加えて、カラービーズの色から抗原と抗体とによる物質の特異的吸着を確認することができるバイオ分析装置を提供できる。
【0040】
請求項14に対応する発明は、判定手段が検出用物質と被検出用物質との反応による合成物に蛍光標識付き2次抗体を結合させて、蛍光標識付き2次抗体が発する蛍光を観測するので、請求項11〜13の作用に加えて、蛍光標識付き2次抗体とカラービーズの色から抗原抗体反応等を確認できるバイオ分析装置を提供できる。
【0041】
請求項15に対応する発明は、検出用物質付着手段がタンパク質を付着させるので、請求項11〜14の作用に加えて、プロテインチップ装置として機能するバイオチップ装置を用いるバイオ分析装置を提供することができる。
【0042】
請求項16に対応する発明は、検出用物質付着手段が核酸を付着させるので、請求項11〜14の作用に加えて、DNAチップ装置として機能するバイオチップ装置を用いるバイオ分析装置を提供することができる。
【0043】
なお、本発明において、「着色」とは、外部からの光(紫外線や赤外線も含む)の照射に対し、互いに区別されるべき複数のビーズ間で、異なる反射特性あるいは透過特性となるようにすることを指す。言い換えると、互いに異なる光の反射スペクトルあるいは吸収スペクトルを持たせることを意味する。
【発明の効果】
【0044】
以上説明したように本発明によれば、着色する色に応じた正確な配合での練り込み工程を用いず、バイオ分析における多種類のカラービーズを容易に製造できるカラービーズ製造装置及びカラービーズ製造方法を提供できる。さらに、容易且つ正確に製造される多種類のカラービーズを用いたバイオ分析装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0046】
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態に係るカラービーズ製造装置の構成を示す模式図であり、図2〜図7はカラービーズ製造装置の各構成要素を説明するための模式図である。なお、既に説明した部分と同一部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する。なお、以下の各実施形態も同様にして重複した説明を省略する。
【0047】
カラービーズ製造装置10は、基材11から検出用物質92が付着されたカラービーズ13を製造するために、着色部20、形成部30、着色確認部40、処理部50、及び制御部60を備えている。
【0048】
ここで、基材11は、活性エネルギー線の光に感応して発色する有機金属化合物14及び透明樹脂15を含有している樹脂成形体であり、レーザー光源21A〜21Cにより、光が照射されると着色されるものである。
【0049】
例えば、Nd:YAGレーザー(波長1064nm)を、7.0〜9.0kW/cm2の強度で照射すると、基材11の内部にカラーマーキングが施され着色される。なお、レーザー光の照射強度を内部マーキング時の約1.5倍(10.0〜14.0kW/cm2)とすると、基材11の内部に白色マーキングが施される。さらに、レーザー光の照射強度を内部マーキング時の約3倍(20.0〜27kW/cm2)とすると、基材11の表面に白色のマーキングが施される。
【0050】
この基材11は、有機金属化合物14を、押し出し機、ニーダー、ミキサー、ロール等の混練機を用いて均一に混合し(例えば、溶融混練する)、次いで、押し出し成型機、射出成型機、圧縮成型機等の慣用の成型機を用いて成型されるものである。
【0051】
また、基材11としては、樹脂塑性物から成形されたフィルム又はシートを、透明な樹脂又はガラスに、貼り合わせまたは挟み込んで積層体とすることもできる。このような積層体とすることで、樹脂塑性物の用途が広がり、更には耐候性や機械的特性が向上可能となっている。
【0052】
有機金属化合物14は、光に感応して発色する発色物質であり、クロムヘキサカルボニル、モリブデンヘキサカルボニル、コバルトオクタカルボニル、クロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、臭化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)、ジカルボニルニッケル、シクロペンタジエニル(トリエチルホスフィン)、銅(I)、クロロトリフェニルホスフィン金(I)、銅(II)i−ブチレート、ジクロロ(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(O)及びメチルトリオキソレニウム(VII)からなる群から選択される有機金属化合物を用いることができる。
【0053】
また、発色物質としては、有機金属化合物14以外にも、遷移金属ハロゲン化物及びアルカリ金属ハロゲン化物などを用いることもできる。具体的には、遷移金属ハロゲン化物としては塩化銀(II)などがあり、アルカリ金属ハロゲン化物としてはヨウ化カリウムなどがある。
【0054】
これら有機金属化合物14等の発色物質は、樹脂塑性物に対し、0.001〜10重量%の範囲にあることが好ましく、さらには0.005〜5重量%の範囲にあることがより好ましい。
【0055】
着色部20は、基材11に光を照射することにより着色するものである。例えば、図2,3に示すように、レーザー光源21A,21B,21C、強度制御用フィルタ22A〜22C、駆動部23A1〜A3,23Bおよび制御用コントローラ24を備えている。
【0056】
レーザー光源21A〜21Cは、赤外波長領域又は紫外波長領域で強い発光を持つ活性エネルギー線を発生し、安価で且つパルス動作の可能なものから選定される。例えば、Nd:YAG(波長1064nm)、Nd:YAG第二高調波(波長532nm)、Nd:YAG第三高調波(波長355nm)、Nd:YAG第四高調波(波長266nm)、YVO4、YLF等の固体レーザー、半導体レーザー、炭酸ガスレーザー等が挙げられるが、これらには限定されない。これらの中でも特に、Nd:YAGを代表とする固体レーザーは、Qスイッチモードにより高いピークを得られるので、本実施形態の装置に最適である。そこで本実施形態においては、レーザー光源21A〜21Cは、それぞれ1064nm,532nm,355nmの波長をもつレーザー光を強度制御用フィルタ22A〜22Cに出力する。
【0057】
なお、上記のようなレーザー光を照射する場合、レーザー光をQスイッチモードで、繰り返し周波数1〜100kHz、好ましくは1.0〜3.0kHz、平均出力20W以下で動作させ、基材11に集中照射し、レーザー光の焦点をスキャン速度100〜300mm/secで移動させて照射する。
【0058】
なお、発振したレーザー光は、強度制御用フィルタ22A〜22Cや制御用コントローラ24により照射量が調節され、コリメータ25,スリット26等によりコリメート(平行)ビーム状にされて、基材11に照射される。
【0059】
レーザー光源21A〜21Cが照射する光に対しては、前述した有機金属化合物14のうち、図4に示すような物質が照射するレーザーの波長に応じて感応し、発色する。すなわち、レーザー光源21Aからの光に対しては、チオ尿素,臭化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II),チオ尿素,クロロトリフェニルホスフィン金(I)等が発色する。レーザー光源21Bからの光に対しては、臭化ビス(トリフェニルホスフィン)、イミノ化合物等が発色する。レーザー光源21Cからの光に対しては、チオ尿素、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)等が発色する。
【0060】
また、レーザー光源21A〜21Cによる光を、基材11に照射したときの吸収スペクトルは、例えば図5に示すような形状となる。ここで、図5(A)〜(C)は、それぞれレーザー光源21A〜21Cによるビーズの吸収スペクトルを示している。すなわち、異なる3つの波長に対して異なる顕著な特徴を有する吸収量を示す。これらの3つの波長は光の3原色を構成するので、基材11にそれぞれの光を異なる割合で吸収させると、基材11に多色の着色を施すことができる。
【0061】
3つの光を吸収した基材11の色を識別する方法としては、スペクトルの曲線を記憶してパターン認識させる方法だけでなく、線型理論に基づいて直接3つのレーザー光強度の線型結合として求めても良い。これらの解析手法はあらゆる方法を採用でき具体的な方法も公知であって、ここではこれ以上説明しない。
【0062】
さらに、光を吸収させるだけでなく、光を蛍光材料含有の基材11に照射して、蛍光機能を奪う事によって識別する方法についても本発明は除外しない。例えば紫外線を照射する事で蛍光を発する材料はよく知られており、根本特殊化学株式会社販売のD1120(レッド)、D1164(グリーン)、D1230(ブルー)等がある。
【0063】
なお、本発明はレーザー光を用いて説明しているが、ビーズの内部を発色させるのに必要なエネルギーを供給する電磁波であれば、レーザー光でなくともよく、可視光である必要もない。
【0064】
すなわち、非接触でかつマーキング速度が早く、自動化工程管理が容易なことからレーザー光を用いることが好ましいが、活性エネルギー線の照射手段としては、水銀ランプやNd:YAG、YVO4、YLF等の固体レーザー、半導体レーザー、炭酸ガスレーザー等を使用してもよい。
【0065】
強度制御用フィルタ22A〜22Cは、例えばそれぞれレーザー光軸上に直列に配置された複数枚のND(neutral-density)フィルタからなり、レーザー光源21A〜21Cにより発振されたレーザー光の強度を変化させて、複数のミラー23A1〜23A3を介して、基材11に照射する。例えば10%透過用、20%透過用、…、80%透過用、90%透過用の各NDフィルタを用いれば、10〜100%の間で10段階に光強度を制御可能である。ここで、3通りのレーザー光の強度をそれぞれ10段階に制御可能なことから、103通りの種類の光が照射可能となり、1000種類の着色が可能となる。なお、レーザー光の強度の変化は、制御用コントローラ24により調節される。
【0066】
駆動部23は、基材11とレーザー光との相対的位置関係を変化させて、基材11にレーザー光が照射されるようにするものであり、制御用コントローラ24により制御される。例えば、複数のミラー23A1〜23A3をガルバノメータにより駆動してレーザー光の進行方向を変化させるものでも良いし、樹脂成形体である基材11を固定した2次元操作が可能なXYステージ23Bを駆動させるものでもよい。
【0067】
制御用コントローラ24は、強度制御用フィルタ22A〜22Cによるレーザー光の透過光強度を調節するとともに、駆動部23を制御して基材11の適切な位置にレーザー光を照射するものである。具体的には例えば、PCIバスを備えたパーソナルコンピュータなどを用いることができる。ここで、強度制御用フィルタ22A〜22C、駆動部23及び制御用コントローラ24は、光制御手段を構成している。
【0068】
形成部30は、基材11からカラービーズ13を形成するものである。基材11を、例えば図6に概念を示すように、球加工する。すなわち、基材11をダイサー等を使用して切断して、着色された直方体の樹脂成形体を形成し、球加工してカラービーズ13を形成する。なお、球加工においては、基材11を直径が2mm以下の球形状に加工している。
【0069】
着色確認部40は、予め設定された対応関係に基づいた検出用物質92を選択するために、カラービーズ13の着色を確認するものである。例えば図7に概念を示すように、白色光源41、光学系42、スペクトル測定器43及び着色記録部44を備えている。
【0070】
白色光源41は、白色光を発生させて光学系42に入射光45Aを入射する。
【0071】
光学系42は、入射光45Aの導波路を形成し、カラービーズ13Eに入射光45Aを照射する。また、カラービーズ13Eからの反射光45Bの導波路を形成し、スペクトル測定器43に反射光45Bを導くものである。
【0072】
スペクトル測定器43は、反射光45Bの波長及び強度のスペクトル測定をして、測定結果を着色記録部44に通知する。
【0073】
着色記録部44は、スペクトル測定器43によるカラービーズ13Eのスペクトル測定の結果を記録する。また、予め設定された検出用物質92の識別データとカラービーズ13Eの反射光スペクトルとの対応関係のデータを記録してあり、当該データに基づいて、カラービーズ13Eのスペクトル測定結果に対応する検出用物質92の識別データを抽出して処理部50に通知する。
【0074】
処理部50は、着色記録部44により抽出された検出用物質92の識別データに基づいて、該当する検出用物質92で満たされた薬液51にカラービーズ13を浸し、検出用物質92を付着させるものである。例えば、図7に概念を示すように、検出用物質92としての抗体や核酸等で満たされた薬液51A〜51Eのいずれかに、カラービーズ13A〜13Hが浸される。
【0075】
制御部60は、着色部20、形成部30、着色確認部40及び処理部50を構成する機器等を制御するためのコンピュータ等であり、例えば各機器のオンオフ制御や通信制御等を実行する。
【0076】
次に、以上のように構成されたカラービーズ製造装置10の動作を説明する。
【0077】
始めに、基材11は、着色部20により着色される。具体的には、着色部20においては、レーザー光源21A〜21Cから出射されたレーザー光が、強度制御用フィルタ22や制御用コントローラ24により、各波長毎に10段階に照射量が調節されて1000通りのスペクトルを有して基材11に照射される。このとき、着色部20は、XYステージ23Bをスキャン速度100〜300mm/secで移動させながらレーザー光を照射する。また、レーザー光はQスイッチモードで、繰り返し周波数1〜100KHz、好ましくは1.0〜3.0KHz、平均出力20W以下で動作させる。これにより、基材11は1000種類の色に着色される。なお、基材11とレーザー光との相対的位置関係は、駆動部23により調整されている。
【0078】
続いて、着色された基材11は、形成部30により、球加工されカラービーズ13が形成される。具体的には、着色された基材11はダイサー等を使用して切断され、着色された立方体の樹脂成形体となる。立方体の樹脂成形体は、球形状に加工されて直径が2mm以下のカラービーズ13が形成される。
【0079】
次に、カラービーズ13は、着色確認部40により、スペクトル測定されて対応する検出用物質92が選択される。具体的には、白色光源41が白色光を発生し、発生した白色光を光学系42が入射光45Aとしてカラービーズ13に照射する。カラービーズ13からの反射光45Bはスペクトル測定器43に入射する。スペクトル測定器43は反射光45Bの波長及び強度の分布からなるスペクトルを測定し、測定結果を着色記録部44に通知する。着色記録部44は、予め設定された検出用物質92とカラービーズ13の反射光スペクトルとの対応関係のデータから、カラービーズ13のスペクトル測定の結果に対応する検出用物質92の識別データを抽出して処理部50に通知する。
【0080】
続いて、カラービーズ13は、処理部50により薬液処理される。具体的には、カラービーズ13は、検出用物質92の識別データに基づき、該当する検出用物質92で満たされた薬液51に浸される。
【0081】
これにより、検出用物質92が付着されたカラービーズ13を製造することができる。製造されたカラービーズ13は、カラービーズ13の色とビーズ表面上に付着させた検出用物質92との対応関係を定めておくことで、各ビーズ毎に容易に識別できるため、多種類のカラービーズを配列させたバイオチップ装置に使用することができる。
【0082】
上述したように本実施形態によれば、バイオチップ装置における検出用物質92が付着されるビーズにおいて、検出用物質92と予め対応関係を有する(反射光スペクトルをもつ)色で着色されたカラービーズ13を製造することができる。
【0083】
また、光に感応して発色する有機金属化合物14を含有する基材11に光を照射して着色する着色部20と、照射される光の強度及び波長を着色する色に応じて制御するための強度制御用フィルタ22A〜22C、駆動部23及び制御用コントローラ24と、着色された基材11からカラービーズを形成する形成部30と、形成されたカラービーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質92を付着させる処理部50とを備えた構成により、着色する色に応じた正確な配合での練り込み工程を用いず、バイオチップ装置における多種類のカラービーズ13を容易に製造できるカラービーズ製造装置10を提供できる。
【0084】
さらに、光を感応して発色する有機金属化合物14を有する基材11が、所定の発色物質からなる群から選択される有機金属化合物を含有しているので、基材11に多色の着色を施すことができる。
【0085】
また、形成部30による球加工により、着色された基材11から直径2mm以下の球形状のカラービーズを形成するので、微小なビーズが必要とされるバイオチップ装置にカラービーズ13を提供できる。
【0086】
さらに、着色部20が赤外波長領域又は紫外波長領域の光を照射するので、基材11に光を感応させやすく、多色の着色を施したカラービーズを提供できる。
【0087】
<第2の実施形態>
本実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、着色部20と形成部30の順序を逆にし、形成部30により球形状のビーズを形成した後、着色部20によりビーズを着色する構成となっている。換言すると、本実施形態は、着色した基材11をビーズ13Sに形成してからカラービーズ13を製造するのではなく、基材11をビーズ13Sに形成してから着色してカラービーズ13を製造している。
【0088】
カラービーズ製造装置10は、第1の実施形態におけるものと同一の装置を使用することができるので説明は省略し、ここでは効果の違いを主に述べる。
【0089】
本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、基材11をビーズ13Sに形成してから着色してカラービーズ13を製造することにより、カラービーズ13をオンデマンドで(必要時に必要なだけ)製造することが可能となる。すなわち、カラービーズ13の在庫リスクをなくすことができる。
【0090】
補足すると、従来の練り込み法で、100種類、10000種類以上に及ぶような非常に多数の着色されたカラービーズを用意することは、経済的に困難である。また、頻繁に使用する色のカラービーズを多く用意したり、僅かにしか需要の無いカラービーズを用意することは明らかに無駄が多い。しかしながら、本実施形態によれば、カラービーズをオンデマンドで製造できるので、このような無駄を避けることができる。
【0091】
また、発色物質としての有機金属化合物14を含有する基材11からビーズを形成する形成部30と、形成されたビーズに光を照射して着色する着色部20と、照射光を制御する強度制御用フィルタ22A〜22C、駆動部23及び制御用コントローラ24と、着色されたカラービーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質92を付着させる処理部50とを備えた構成により、着色する色に応じた正確な配合での練り込み工程を用いず、バイオチップ装置における多種類のカラービーズを容易に製造できるカラービーズ製造装置10を提供できる。
【0092】
なお、着色したカラービーズの表面を、ポリスチレン等の樹脂や有機材料等によってコーティングすることを本発明は除外しない。このようなコーティングは、ビーズ基材に含まれる発色材料の外部への漏出を防止する観点と、発色による化学反応がビーズ表面の化学特性を変化させて、反応プロセスに誤差を生じるのを防ぐ観点から有効である。
【0093】
また、着色前にコーティングを行い、その後にレーザーを用いて着色すれば、完全に均一な表面を維持しながら異なる色に発色させることができる。
【0094】
このように、本発明は、ビーズ内部に対して外部から発色を制御できるため、ビーズの表面状態によって測定結果が左右されるバイオ分野において、反応を検出する用途に、非常に適している。
【0095】
<第3の実施形態>
本実施形態は第2の実施形態の変形例であり、着色部20による着色の際に、ビーズを溶液中で着色する構成である。
【0096】
例えば、図8に概念を示すように、ビーズ13Sを、屈折低減用溶液27で満たされた石英ガラス容器28A,28B内に入れて、レーザー光源21からの光によって着色する。このとき、屈折低減用溶液27は、ビーズ13Sの屈折率に可能な限り近い屈折率を有する溶液である。
【0097】
次に、第2の実施形態の発明に比べた本実施形態の効果を述べる。
【0098】
一般的に球の屈折率は大きく、例えば図9に示すように、ビーズ13S自身の形状によって内部に集光してしまい、ビーズ13S全体が不均一に着色される。すなわち、着色不足になる領域r1と着色過多になる領域r2が生じる。
【0099】
このようにビーズ13S全体の着色具合が不均一になると、着色確認部40によるスペクトル測定の精度が低下してしまうという問題が生じる。
【0100】
そのため、ビーズ13Sに近い屈折率を有する屈折低減用溶液27中でレーザー光を照射することで、ビーズ13S全体を均一に着色することができる。
【0101】
これにより、着色確認部40によるスペクトル測定の精度を一定に維持することができる。
【0102】
また、水中での生化学的な測定用途で本発明を実施する場合、ビーズ13Sを液中からわざわざ取り出して乾燥させる必要がなく、液中で処理可能であるので、水中での生化学的な測定要素におけるプロセスを簡素にすることができる。
【0103】
なお、複数のレーザー光に対して、溶液は透明である必要があることから、各レーザー光の照射を異なるプロセスに分けて行い、且つ異なる溶液中で照射することを本発明は除外しない。
【0104】
また、本実施形態における溶液中での着色とは異なり、積分球のような光学系を利用して球の様々な方位からレーザー光を照射し、ビーズ13Sを均一に着色する方法も考えられるが、この方法は非常に手間がかかるのはいうまでもない。
【0105】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態は、予め着色前の球形状の各ビーズを準備しておき、被検出用物質93を測定する際に、ビーズの着色から反応確認までを実行する構成となっている。
【0106】
図10は本発明の第4の実施形態に係るバイオ分析装置の構成を示す模式図である。
【0107】
バイオ分析装置70は、着色部20、着色確認部40T、処理部50、反応部55、反応確認部56、及び制御部60を備えている。
【0108】
着色確認部40Tは、予め設定された対応関係に基づいた検出用物質92を選択するために、カラービーズ13の着色を確認するとともに、反応確認部56により検出用物質92と被検出用物質93との反応のあった旨が確認された場合に、検出用物質92が付着したカラービーズ13の色を識別し、識別結果を制御部60に出力するものである。なお、本実施形態としては、バイオチップ形成部(図示せず)を備え、このバイオチップ形成部により、検出用物質92が付着した各カラービーズ13を配列させてバイオチップ装置を形成する構成としてもよい。
【0109】
反応部55は、カラービーズ表面の検出用物質92に被検出用物質93を反応させるものである。具体的には、検出用物質92のタンパク質に対して特異的吸着をする被検出用物質93のタンパク質を反応させたり、検出用物質92の核酸に対して特異的吸着をする被検出用物質93の核酸を反応させる。
【0110】
反応確認部56は、反応部55による検出用物質92と被検出用物質93との反応があったか否かを確認(判定)するものである。具体的には、検出用物質92と被検出用物質93とが反応して合成した場合に、該合成物に蛍光標識付き2次抗体94を結合させ、紫外線95を照射して該蛍光標識付き2次抗体94が発する蛍光を観測することで、検出用物質92と被検出用物質93の反応があったか否かを判定する。
【0111】
上述したように本実施形態によれば、光に感応して発色する有機金属化合物14を含有した球形状のビーズ13に光を照射して着色する着色部20と、着色されたカラービーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質92を付着させる処理部50と、この検出用物質92に被検出用物質93を反応させる反応部55と、この反応があったか否かを確認する反応確認部56と、反応のあった場合に検出用物質が付着されたカラービーズの色を識別する着色確認部40Tとを備えた構成により、カラービーズ13の色から抗原抗体反応等を確認できるバイオ分析装置70を提供できる。
【0112】
また、処理部50で特異的に特定物質を吸着する抗体を付着させるので、液体中でカラービーズ又はそれを配列させたバイオチップ装置を使用できるバイオ分析装置70を提供できる。
【0113】
さらに、反応部55が被検出用物質92(抗原)と検出用物質93(抗体)とによる物質の特異的吸着をさせるので、カラービーズ13の色から抗原と抗体とによる物質の特異的吸着を確認することができるバイオ分析装置70を提供できる。
【0114】
また、反応確認部56が検出用物質92と被検出用物質93とが反応して合成した場合に、該合成物に蛍光標識付き2次抗体94を結合させて、該蛍光標識付き2次抗体94が発する蛍光を観測するので、該蛍光標識付き2次抗体94とカラービーズ13の色から抗原抗体反応等を確認できるバイオ分析装置70を提供できる。
【0115】
さらに、処理部50がタンパク質を付着させる場合には、プロテインチップ装置として機能するバイオチップ装置を用いるバイオ分析装置70を提供することができる。
【0116】
また、処理部50が核酸を付着させる場合には、DNAチップ装置として機能するバイオチップ装置を用いるバイオ分析装置70を提供することができる。
【0117】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るカラービーズ製造装置の構成を示す模式図である。
【図2】着色部の構成を示す模式図である。
【図3】着色部の構成を示す模式図である。
【図4】レーザー光源が照射する光と発色する物質の関係を示す図である。
【図5】ビーズの吸収スペクトルを示す図である。
【図6】形成部による球加工の概念を示す図である。
【図7】着色確認部の構成を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るカラービーズ製造装置の概念を示す模式図である。
【図9】不均一に着色されるビーズの概念を示す図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係るバイオ分析装置の構成を示す模式図である。
【図11】従来のバイオチップ装置による分析過程の概念を示す図である。
【符号の説明】
【0119】
10・・・カラービーズ製造装置、11・・・基材、13・・・カラービーズ、13S・・・ビーズ、14・・・有機金属化合物、15・・・透明樹脂、20・・・着色部、21A〜21C・・・レーザー光源、22A〜22C・・・強度制御用フィルタ、23・・・駆動部、23A1〜23A3・・・ミラー、23B・・・XYステージ、24・・・制御用コントローラ、25・・・コリメータ、26・・・スリット、27・・・屈折低減用溶液、28・・・石英ガラス容器、30・・・形成部、40・・・着色確認部、41・・・白色光源、42・・・光学系、43・・・スペクトル測定器、44・・・着色記録部、45A・・・入射光、45B・・・反射光、50・・・処理部、51A〜51E・・・薬液、60・・・制御部、70・・・バイオ分析装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、多種類のカラービーズを有するバイオチップ装置に関連したカラービーズ製造装置、カラービーズ製造方法及びバイオ分析装置に係り、特にカラービーズを容易に製造し得るカラービーズ製造装置、カラービーズ製造方法及びバイオ分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DNAチップ装置やプロテインチップ装置等のバイオチップ装置の開発が進んでいる。ここで、バイオチップ装置は、表面に付着した検出用物質をバイオ分析装置により分析するためのものである。このようなバイオチップ装置においては、微小な球体のビーズが使用されるものがある。
【0003】
図11は従来のバイオチップ装置による分析過程の概念を示す図である。このバイオチップ装置90は、ポリスチレン球のビーズ91に1次抗体である検出用物質92を予めコーティングしておき、被検出用物質93と反応させて抗原抗体反応が生ずるか否かを検出するものである(図11(A),(B))。
【0004】
ここで、抗原抗体反応が生ずるか否かは、蛍光標識付き2次抗体94を作用させることにより検出する(図11(C))。詳しくは、ビーズ91表面上の検出用物質92と被検出用物質93が反応した生成物に蛍光標識付き2次抗体94を作用させた後、紫外線95を照射すると2次抗体94が蛍光を発する。この蛍光を観測することで、ビーズ91表面上の検出用物質92と被検出物質93の反応が生じたか否かを検出する(図11(D))。
【0005】
このようなバイオチップ装置90では、ビーズ91を使用する際に、ビーズ91と検出用物質92の対応関係を記録しておく必要がある。具体的には、検出用物質92が無数に存在するので、ビーズ91もこれに対応して数十から数千種類(場合によってはそれ以上)用意し、検出用物質92との対応関係を記録しておく必要がある。
【0006】
しかしながら、ビーズ91は直径が1mm以下のものが多く、場合によっては直径が数10μmである。そのため、ビーズ91は記号を刻んだり、RF−IDタグなどのシリコンチップを貼りつけることが困難である。すなわち、1個1個のビーズ91に異なる表面処理を施し、ビーズ毎に識別することが困難である。
【0007】
これに対し、予め着色を施したビーズ91の色とビーズ表面上に付着させた検出用物質92との対応関係を定めておくことで、ビーズ毎の認識を容易にする技術が知られている。
【0008】
この際、着色を施したビーズ(以下、カラービーズという。)の製造方法としては、例えば顔料や染料を樹脂にそれぞれ異なった正確な割合で練り込む工程や、ビーズ表面に着色物を付着された染色によって表面近傍に色を付ける工程により、数百種類以上のカラービーズの製造を可能としている。
【0009】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては特許文献1がある。特許文献1には、「…レーザビームの熱エネルギ、光或は波長に対して発色する感熱発色色素を混入して成形した被加工品にレーザビームを照射することによって被加工品に適宜の色彩を発色させた加工を施すようにした装飾品のレーザ加工方法。」が記載されている。
【特許文献1】特開2001−96995号公報(請求項5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したカラービーズの製造方法は、非常に手間がかかるものである。例えば、1000個のビーズに個別に1000種類程度の着色をするためには1000種類の顔料や染料を樹脂にそれぞれ異なった正確な割合で練りこむ必要がある。
【0011】
また、着色する色に応じた正確な配合での練り込み工程を用いない観点から、ビーズ表面に感光材料を形成してカラービーズを製造する方式が考えられる。しかしながら、この方式で得られたカラービーズでは、非常に微量の化学物質が問題となるバイオチップ装置における使用に適さないものになる可能性がある。その理由は、表面に感光材料を形成したカラービーズでは、有機溶剤や、酸、アルカリ洗浄などに対する感光材料の耐性を維持することが困難なためである。
【0012】
このように、従来の方法では、バイオチップ装置における1000種類に及ぶような多種類のカラービーズを製造することは困難である。
【0013】
また、特許文献1に記載の方法は、装飾品に適宜な色彩を発色させる内容であるので、上述した多種類のカラービーズを正確に着色する技術には直接に応用できないと考えられる。
【0014】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、着色する色に応じた正確な配合での練り込み工程を用いず、バイオ分析における多種類のカラービーズを容易に製造し得るカラービーズ製造装置及びカラービーズ製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
さらに本発明の他の目的は、容易且つ正確に製造される多種類のカラービーズを用いたバイオ分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に対応する発明は、光に感応して発色する発色物質を含有する基材に光を照射することにより、前記基材を着色する着色手段と、前記着色手段により照射される光の強度及び波長のうち、少なくとも一方を前記着色する色に応じて制御する光制御手段と、前記光制御手段及び前記着色手段により着色された基材から球形状のカラービーズを形成するビーズ形成手段と、前記カラービーズの色に対応して、互いに異なる検出用物質あるいは互いに異なる被分析材料を当該カラービーズに付着させる物質付着手段とを備えたカラービーズ製造装置である。
【0017】
請求項2に対応する発明は、光に感応して発色する発色物質を含有する基材から球形状のビーズを形成するビーズ形成手段と、前記形成されたビーズに光を照射することにより、当該ビーズを着色してカラービーズを得る着色手段と、前記着色手段により照射される光の強度及び波長のうち、少なくとも一方を前記着色する色に応じて制御する光制御手段と、前記光制御手段及び前記着色手段により得られたカラービーズの色に対応して、互いに異なる検出用物質あるいは互いに異なる被分析材料を当該カラービーズに付着させる物質付着手段とを備えたカラービーズ製造装置である。
【0018】
請求項3に対応する発明は、請求項1または請求項2に対応するカラービーズ製造装置において、前記基材は、クロムヘキサカルボニル、モリブデンヘキサカルボニル、コバルトオクタカルボニル、クロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、臭化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)、ジカルボニルニッケル、シクロペンタジエニル(トリエチルホスフィン)、銅(I)、クロロトリフェニルホスフィン金(I)、銅(II)i−ブチレート、ジクロロ(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(O)及びメチルトリオキソレニウム(VII)からなる群から選択される有機金属化合物を前記発色物質として含有するカラービーズ製造装置である。
【0019】
請求項4に対応する発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に対応するカラービーズ製造装置において、前記ビーズ形成手段は、前記基材を直径2mm以下の複数の球形状に形成するカラービーズ製造装置である。
【0020】
請求項5に対応する発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に対応するカラービーズ製造装置において、前記着色手段は、赤外波長領域又は紫外波長領域の光を照射するカラービーズ製造装置である。
【0021】
請求項6に対応する発明は、光に感応して発色する発色物質を含有する基材に光を照射することにより、前記基材を着色する着色工程と、前記着色工程により照射される光の強度及び波長のうち、少なくとも一方を前記着色する色に応じて制御する光制御工程と、前記光制御工程及び前記着色工程により着色された基材から球形状のカラービーズを形成するビーズ形成工程と、前記形成されたカラービーズの色に対応して、互いに異なる検出用物質あるいは互いに異なる被分析材料を当該カラービーズに付着させる物質付着工程とを備えたカラービーズ製造方法である。
【0022】
請求項7に対応する発明は、光に感応して発色する発色物質を含有する基材から球形状のビーズを形成するビーズ形成工程と、前記形成されたビーズに光を照射することにより、当該ビーズを着色してカラービーズを得る着色工程と、前記着色工程により照射される光の強度及び波長のうち、少なくとも一方を前記着色する色に応じて制御する光制御工程と、前記光制御工程及び前記着色工程により得られたカラービーズの色に対応して、互いに異なる検出用物質あるいは互いに異なる被分析材料を当該カラービーズに付着させる物質付着工程とを備えたカラービーズ製造方法である。
【0023】
請求項8に対応する発明は、請求項6または請求項7に対応するカラービーズ製造方法において、前記基材は、クロムヘキサカルボニル、モリブデンヘキサカルボニル、コバルトオクタカルボニル、クロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、臭化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)、ジカルボニルニッケル、シクロペンタジエニル(トリエチルホスフィン)、銅(I)、クロロトリフェニルホスフィン金(I)、銅(II)i−ブチレート、ジクロロ(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(O)及びメチルトリオキソレニウム(VII)からなる群から選択される有機金属化合物を前記発色物質として含有するカラービーズ製造方法である。
【0024】
請求項9に対応する発明は、請求項6乃至請求項8のいずれか1項に対応するカラービーズ製造方法において、前記ビーズ形成工程では、前記基材を直径2mm以下の複数の球形状に形成するカラービーズ製造方法である。
【0025】
請求項10に対応する発明は、請求項6乃至請求項9のいずれか1項に対応するカラービーズ製造方法において、前記着色工程では、赤外波長領域又は紫外波長領域の光を照射するカラービーズ製造方法である。
【0026】
請求項11に対応する発明は、光に感応して発色する発色物質を含有する球形状の複数のビーズに光を照射することにより、当該各ビーズを着色して各カラービーズを得る着色手段と、前記カラービーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質を付着させる検出用物質付着手段と、前記カラービーズ表面の検出用物質に被検出用物質を反応させる反応手段と、前記反応手段による反応があったか否かを判定する判定手段と、前記判定の結果、反応のあった場合に、当該反応のあったカラービーズの色を識別し、識別結果を出力する色識別手段とを備えたバイオ分析装置である。
【0027】
請求項12に対応する発明は、請求項11に対応するバイオ分析装置において、前記検出用物質付着手段は、液体中で特異的に特定物質を吸着する抗体を前記検出用物質として前記カラービーズに付着させるバイオ分析装置である。
【0028】
請求項13に対応する発明は、請求項11または請求項12に対応するバイオ分析装置において、前記反応手段は、前記反応として、前記被検出用物質としての抗原と前記検出用物質としての抗体とによる物質の特異的吸着をさせるバイオ分析装置である。
【0029】
請求項14に対応する発明は、請求項11乃至請求項13のいずれか1項に対応するバイオ分析装置において、前記判定手段は、前記反応があり、反応により検出用物質と被検出用物質との合成物が得られた場合に、当該合成物に蛍光標識付き2次抗体を結合させて、この蛍光標識付き2次抗体が発する蛍光を観測する蛍光観測手段を備えたバイオ分析装置である。
【0030】
請求項15に対応する発明は、請求項11乃至請求項14のいずれか1項に対応するバイオ分析装置において、前記検出用物質付着手段は、前記検出用物質としてタンパク質を付着させるバイオ分析装置である。
【0031】
請求項16に対応する発明は、請求項11乃至請求項14のいずれか1項に対応するバイオ分析装置において、前記検出用物質付着手段は、前記検出用物質として核酸を付着させるバイオ分析装置である。
【0032】
<作用>
従って、請求項1,6に対応する発明は以上のような手段を講じたことにより、光に感応する発色物質を含有する基材に光を照射して着色する着色手段と、照射される光の強度及び波長を着色する色に応じて制御する光制御手段と、着色された基材からカラービーズを形成するビーズ形成手段と、カラービーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質を付着する検出用物質付着手段とを備えた構成により、着色する色に応じた正確な配合での練り込み工程を用いず、バイオチップ装置における多種類のカラービーズを容易に製造できるカラービーズ製造装置及びカラービーズ製造方法を提供できる。
【0033】
請求項2,7に対応する発明は、光に感応する発色物質を含有する基材からビーズを形成するビーズ形成手段と、ビーズに光を照射して着色する手段と、着色されたカラービーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質を付着する検出用物質付着手段とを備えた構成により、着色する色に応じた正確な配合での練り込み工程を用いず、バイオチップ装置における多種類のカラービーズを容易に製造できるカラービーズ製造装置及びカラービーズ製造方法を提供できる。
【0034】
請求項3,8に対応する発明は、基材が、所定の発色物質の群から選択される有機金属化合物を含有しているので、請求項1,2,6,7に対応する作用に加え、多色の着色を施したカラービーズを提供できる。
【0035】
請求項4,9に対応する発明は、ビーズ形成手段が基材を直径2mm以下の球形状に形成するので、請求項1〜3,6〜8に対応する作用に加え、微小なビーズが必要とされるバイオチップ装置にカラービーズを提供できる。
【0036】
請求項5,10に対応する発明は、着色手段が赤外波長領域又は紫外波長領域の光を照射するので、請求項1〜4,6〜9に対応する作用に加え、基材に光を感応させやすく、多色の着色を施すことができる。
【0037】
請求項11に対応する発明は、光に感応する発色物質を含有する複数のビーズに光を照射して着色する着色手段と、着色されたカラービーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質を付着する検出用物質付着手段と、検出用物質に被検出用物質を反応させる反応手段と、反応があったか否かを確認する確認手段と、反応のあった場合に、反応のあったカラービーズの色を識別する色識別手段とを備えた構成により、容易且つ正確に製造される多種類のカラービーズを用い、カラービーズの色から抗原抗体反応等を確認できるバイオ分析装置を提供できる。
【0038】
請求項12に対応する発明は、検出用物質付着手段が液体中で特異的に特定物質を吸着する抗体を付着させるので、請求項11の作用に加えて、液体中でバイオチップ装置を使用できるバイオ分析装置を提供できる。
【0039】
請求項13に対応する発明は、反応手段が抗原と抗体とによる物質の特異的吸着をさせるので、請求項11,12の作用に加えて、カラービーズの色から抗原と抗体とによる物質の特異的吸着を確認することができるバイオ分析装置を提供できる。
【0040】
請求項14に対応する発明は、判定手段が検出用物質と被検出用物質との反応による合成物に蛍光標識付き2次抗体を結合させて、蛍光標識付き2次抗体が発する蛍光を観測するので、請求項11〜13の作用に加えて、蛍光標識付き2次抗体とカラービーズの色から抗原抗体反応等を確認できるバイオ分析装置を提供できる。
【0041】
請求項15に対応する発明は、検出用物質付着手段がタンパク質を付着させるので、請求項11〜14の作用に加えて、プロテインチップ装置として機能するバイオチップ装置を用いるバイオ分析装置を提供することができる。
【0042】
請求項16に対応する発明は、検出用物質付着手段が核酸を付着させるので、請求項11〜14の作用に加えて、DNAチップ装置として機能するバイオチップ装置を用いるバイオ分析装置を提供することができる。
【0043】
なお、本発明において、「着色」とは、外部からの光(紫外線や赤外線も含む)の照射に対し、互いに区別されるべき複数のビーズ間で、異なる反射特性あるいは透過特性となるようにすることを指す。言い換えると、互いに異なる光の反射スペクトルあるいは吸収スペクトルを持たせることを意味する。
【発明の効果】
【0044】
以上説明したように本発明によれば、着色する色に応じた正確な配合での練り込み工程を用いず、バイオ分析における多種類のカラービーズを容易に製造できるカラービーズ製造装置及びカラービーズ製造方法を提供できる。さらに、容易且つ正確に製造される多種類のカラービーズを用いたバイオ分析装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0046】
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態に係るカラービーズ製造装置の構成を示す模式図であり、図2〜図7はカラービーズ製造装置の各構成要素を説明するための模式図である。なお、既に説明した部分と同一部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する。なお、以下の各実施形態も同様にして重複した説明を省略する。
【0047】
カラービーズ製造装置10は、基材11から検出用物質92が付着されたカラービーズ13を製造するために、着色部20、形成部30、着色確認部40、処理部50、及び制御部60を備えている。
【0048】
ここで、基材11は、活性エネルギー線の光に感応して発色する有機金属化合物14及び透明樹脂15を含有している樹脂成形体であり、レーザー光源21A〜21Cにより、光が照射されると着色されるものである。
【0049】
例えば、Nd:YAGレーザー(波長1064nm)を、7.0〜9.0kW/cm2の強度で照射すると、基材11の内部にカラーマーキングが施され着色される。なお、レーザー光の照射強度を内部マーキング時の約1.5倍(10.0〜14.0kW/cm2)とすると、基材11の内部に白色マーキングが施される。さらに、レーザー光の照射強度を内部マーキング時の約3倍(20.0〜27kW/cm2)とすると、基材11の表面に白色のマーキングが施される。
【0050】
この基材11は、有機金属化合物14を、押し出し機、ニーダー、ミキサー、ロール等の混練機を用いて均一に混合し(例えば、溶融混練する)、次いで、押し出し成型機、射出成型機、圧縮成型機等の慣用の成型機を用いて成型されるものである。
【0051】
また、基材11としては、樹脂塑性物から成形されたフィルム又はシートを、透明な樹脂又はガラスに、貼り合わせまたは挟み込んで積層体とすることもできる。このような積層体とすることで、樹脂塑性物の用途が広がり、更には耐候性や機械的特性が向上可能となっている。
【0052】
有機金属化合物14は、光に感応して発色する発色物質であり、クロムヘキサカルボニル、モリブデンヘキサカルボニル、コバルトオクタカルボニル、クロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、臭化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)、ジカルボニルニッケル、シクロペンタジエニル(トリエチルホスフィン)、銅(I)、クロロトリフェニルホスフィン金(I)、銅(II)i−ブチレート、ジクロロ(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(O)及びメチルトリオキソレニウム(VII)からなる群から選択される有機金属化合物を用いることができる。
【0053】
また、発色物質としては、有機金属化合物14以外にも、遷移金属ハロゲン化物及びアルカリ金属ハロゲン化物などを用いることもできる。具体的には、遷移金属ハロゲン化物としては塩化銀(II)などがあり、アルカリ金属ハロゲン化物としてはヨウ化カリウムなどがある。
【0054】
これら有機金属化合物14等の発色物質は、樹脂塑性物に対し、0.001〜10重量%の範囲にあることが好ましく、さらには0.005〜5重量%の範囲にあることがより好ましい。
【0055】
着色部20は、基材11に光を照射することにより着色するものである。例えば、図2,3に示すように、レーザー光源21A,21B,21C、強度制御用フィルタ22A〜22C、駆動部23A1〜A3,23Bおよび制御用コントローラ24を備えている。
【0056】
レーザー光源21A〜21Cは、赤外波長領域又は紫外波長領域で強い発光を持つ活性エネルギー線を発生し、安価で且つパルス動作の可能なものから選定される。例えば、Nd:YAG(波長1064nm)、Nd:YAG第二高調波(波長532nm)、Nd:YAG第三高調波(波長355nm)、Nd:YAG第四高調波(波長266nm)、YVO4、YLF等の固体レーザー、半導体レーザー、炭酸ガスレーザー等が挙げられるが、これらには限定されない。これらの中でも特に、Nd:YAGを代表とする固体レーザーは、Qスイッチモードにより高いピークを得られるので、本実施形態の装置に最適である。そこで本実施形態においては、レーザー光源21A〜21Cは、それぞれ1064nm,532nm,355nmの波長をもつレーザー光を強度制御用フィルタ22A〜22Cに出力する。
【0057】
なお、上記のようなレーザー光を照射する場合、レーザー光をQスイッチモードで、繰り返し周波数1〜100kHz、好ましくは1.0〜3.0kHz、平均出力20W以下で動作させ、基材11に集中照射し、レーザー光の焦点をスキャン速度100〜300mm/secで移動させて照射する。
【0058】
なお、発振したレーザー光は、強度制御用フィルタ22A〜22Cや制御用コントローラ24により照射量が調節され、コリメータ25,スリット26等によりコリメート(平行)ビーム状にされて、基材11に照射される。
【0059】
レーザー光源21A〜21Cが照射する光に対しては、前述した有機金属化合物14のうち、図4に示すような物質が照射するレーザーの波長に応じて感応し、発色する。すなわち、レーザー光源21Aからの光に対しては、チオ尿素,臭化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II),チオ尿素,クロロトリフェニルホスフィン金(I)等が発色する。レーザー光源21Bからの光に対しては、臭化ビス(トリフェニルホスフィン)、イミノ化合物等が発色する。レーザー光源21Cからの光に対しては、チオ尿素、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)等が発色する。
【0060】
また、レーザー光源21A〜21Cによる光を、基材11に照射したときの吸収スペクトルは、例えば図5に示すような形状となる。ここで、図5(A)〜(C)は、それぞれレーザー光源21A〜21Cによるビーズの吸収スペクトルを示している。すなわち、異なる3つの波長に対して異なる顕著な特徴を有する吸収量を示す。これらの3つの波長は光の3原色を構成するので、基材11にそれぞれの光を異なる割合で吸収させると、基材11に多色の着色を施すことができる。
【0061】
3つの光を吸収した基材11の色を識別する方法としては、スペクトルの曲線を記憶してパターン認識させる方法だけでなく、線型理論に基づいて直接3つのレーザー光強度の線型結合として求めても良い。これらの解析手法はあらゆる方法を採用でき具体的な方法も公知であって、ここではこれ以上説明しない。
【0062】
さらに、光を吸収させるだけでなく、光を蛍光材料含有の基材11に照射して、蛍光機能を奪う事によって識別する方法についても本発明は除外しない。例えば紫外線を照射する事で蛍光を発する材料はよく知られており、根本特殊化学株式会社販売のD1120(レッド)、D1164(グリーン)、D1230(ブルー)等がある。
【0063】
なお、本発明はレーザー光を用いて説明しているが、ビーズの内部を発色させるのに必要なエネルギーを供給する電磁波であれば、レーザー光でなくともよく、可視光である必要もない。
【0064】
すなわち、非接触でかつマーキング速度が早く、自動化工程管理が容易なことからレーザー光を用いることが好ましいが、活性エネルギー線の照射手段としては、水銀ランプやNd:YAG、YVO4、YLF等の固体レーザー、半導体レーザー、炭酸ガスレーザー等を使用してもよい。
【0065】
強度制御用フィルタ22A〜22Cは、例えばそれぞれレーザー光軸上に直列に配置された複数枚のND(neutral-density)フィルタからなり、レーザー光源21A〜21Cにより発振されたレーザー光の強度を変化させて、複数のミラー23A1〜23A3を介して、基材11に照射する。例えば10%透過用、20%透過用、…、80%透過用、90%透過用の各NDフィルタを用いれば、10〜100%の間で10段階に光強度を制御可能である。ここで、3通りのレーザー光の強度をそれぞれ10段階に制御可能なことから、103通りの種類の光が照射可能となり、1000種類の着色が可能となる。なお、レーザー光の強度の変化は、制御用コントローラ24により調節される。
【0066】
駆動部23は、基材11とレーザー光との相対的位置関係を変化させて、基材11にレーザー光が照射されるようにするものであり、制御用コントローラ24により制御される。例えば、複数のミラー23A1〜23A3をガルバノメータにより駆動してレーザー光の進行方向を変化させるものでも良いし、樹脂成形体である基材11を固定した2次元操作が可能なXYステージ23Bを駆動させるものでもよい。
【0067】
制御用コントローラ24は、強度制御用フィルタ22A〜22Cによるレーザー光の透過光強度を調節するとともに、駆動部23を制御して基材11の適切な位置にレーザー光を照射するものである。具体的には例えば、PCIバスを備えたパーソナルコンピュータなどを用いることができる。ここで、強度制御用フィルタ22A〜22C、駆動部23及び制御用コントローラ24は、光制御手段を構成している。
【0068】
形成部30は、基材11からカラービーズ13を形成するものである。基材11を、例えば図6に概念を示すように、球加工する。すなわち、基材11をダイサー等を使用して切断して、着色された直方体の樹脂成形体を形成し、球加工してカラービーズ13を形成する。なお、球加工においては、基材11を直径が2mm以下の球形状に加工している。
【0069】
着色確認部40は、予め設定された対応関係に基づいた検出用物質92を選択するために、カラービーズ13の着色を確認するものである。例えば図7に概念を示すように、白色光源41、光学系42、スペクトル測定器43及び着色記録部44を備えている。
【0070】
白色光源41は、白色光を発生させて光学系42に入射光45Aを入射する。
【0071】
光学系42は、入射光45Aの導波路を形成し、カラービーズ13Eに入射光45Aを照射する。また、カラービーズ13Eからの反射光45Bの導波路を形成し、スペクトル測定器43に反射光45Bを導くものである。
【0072】
スペクトル測定器43は、反射光45Bの波長及び強度のスペクトル測定をして、測定結果を着色記録部44に通知する。
【0073】
着色記録部44は、スペクトル測定器43によるカラービーズ13Eのスペクトル測定の結果を記録する。また、予め設定された検出用物質92の識別データとカラービーズ13Eの反射光スペクトルとの対応関係のデータを記録してあり、当該データに基づいて、カラービーズ13Eのスペクトル測定結果に対応する検出用物質92の識別データを抽出して処理部50に通知する。
【0074】
処理部50は、着色記録部44により抽出された検出用物質92の識別データに基づいて、該当する検出用物質92で満たされた薬液51にカラービーズ13を浸し、検出用物質92を付着させるものである。例えば、図7に概念を示すように、検出用物質92としての抗体や核酸等で満たされた薬液51A〜51Eのいずれかに、カラービーズ13A〜13Hが浸される。
【0075】
制御部60は、着色部20、形成部30、着色確認部40及び処理部50を構成する機器等を制御するためのコンピュータ等であり、例えば各機器のオンオフ制御や通信制御等を実行する。
【0076】
次に、以上のように構成されたカラービーズ製造装置10の動作を説明する。
【0077】
始めに、基材11は、着色部20により着色される。具体的には、着色部20においては、レーザー光源21A〜21Cから出射されたレーザー光が、強度制御用フィルタ22や制御用コントローラ24により、各波長毎に10段階に照射量が調節されて1000通りのスペクトルを有して基材11に照射される。このとき、着色部20は、XYステージ23Bをスキャン速度100〜300mm/secで移動させながらレーザー光を照射する。また、レーザー光はQスイッチモードで、繰り返し周波数1〜100KHz、好ましくは1.0〜3.0KHz、平均出力20W以下で動作させる。これにより、基材11は1000種類の色に着色される。なお、基材11とレーザー光との相対的位置関係は、駆動部23により調整されている。
【0078】
続いて、着色された基材11は、形成部30により、球加工されカラービーズ13が形成される。具体的には、着色された基材11はダイサー等を使用して切断され、着色された立方体の樹脂成形体となる。立方体の樹脂成形体は、球形状に加工されて直径が2mm以下のカラービーズ13が形成される。
【0079】
次に、カラービーズ13は、着色確認部40により、スペクトル測定されて対応する検出用物質92が選択される。具体的には、白色光源41が白色光を発生し、発生した白色光を光学系42が入射光45Aとしてカラービーズ13に照射する。カラービーズ13からの反射光45Bはスペクトル測定器43に入射する。スペクトル測定器43は反射光45Bの波長及び強度の分布からなるスペクトルを測定し、測定結果を着色記録部44に通知する。着色記録部44は、予め設定された検出用物質92とカラービーズ13の反射光スペクトルとの対応関係のデータから、カラービーズ13のスペクトル測定の結果に対応する検出用物質92の識別データを抽出して処理部50に通知する。
【0080】
続いて、カラービーズ13は、処理部50により薬液処理される。具体的には、カラービーズ13は、検出用物質92の識別データに基づき、該当する検出用物質92で満たされた薬液51に浸される。
【0081】
これにより、検出用物質92が付着されたカラービーズ13を製造することができる。製造されたカラービーズ13は、カラービーズ13の色とビーズ表面上に付着させた検出用物質92との対応関係を定めておくことで、各ビーズ毎に容易に識別できるため、多種類のカラービーズを配列させたバイオチップ装置に使用することができる。
【0082】
上述したように本実施形態によれば、バイオチップ装置における検出用物質92が付着されるビーズにおいて、検出用物質92と予め対応関係を有する(反射光スペクトルをもつ)色で着色されたカラービーズ13を製造することができる。
【0083】
また、光に感応して発色する有機金属化合物14を含有する基材11に光を照射して着色する着色部20と、照射される光の強度及び波長を着色する色に応じて制御するための強度制御用フィルタ22A〜22C、駆動部23及び制御用コントローラ24と、着色された基材11からカラービーズを形成する形成部30と、形成されたカラービーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質92を付着させる処理部50とを備えた構成により、着色する色に応じた正確な配合での練り込み工程を用いず、バイオチップ装置における多種類のカラービーズ13を容易に製造できるカラービーズ製造装置10を提供できる。
【0084】
さらに、光を感応して発色する有機金属化合物14を有する基材11が、所定の発色物質からなる群から選択される有機金属化合物を含有しているので、基材11に多色の着色を施すことができる。
【0085】
また、形成部30による球加工により、着色された基材11から直径2mm以下の球形状のカラービーズを形成するので、微小なビーズが必要とされるバイオチップ装置にカラービーズ13を提供できる。
【0086】
さらに、着色部20が赤外波長領域又は紫外波長領域の光を照射するので、基材11に光を感応させやすく、多色の着色を施したカラービーズを提供できる。
【0087】
<第2の実施形態>
本実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、着色部20と形成部30の順序を逆にし、形成部30により球形状のビーズを形成した後、着色部20によりビーズを着色する構成となっている。換言すると、本実施形態は、着色した基材11をビーズ13Sに形成してからカラービーズ13を製造するのではなく、基材11をビーズ13Sに形成してから着色してカラービーズ13を製造している。
【0088】
カラービーズ製造装置10は、第1の実施形態におけるものと同一の装置を使用することができるので説明は省略し、ここでは効果の違いを主に述べる。
【0089】
本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、基材11をビーズ13Sに形成してから着色してカラービーズ13を製造することにより、カラービーズ13をオンデマンドで(必要時に必要なだけ)製造することが可能となる。すなわち、カラービーズ13の在庫リスクをなくすことができる。
【0090】
補足すると、従来の練り込み法で、100種類、10000種類以上に及ぶような非常に多数の着色されたカラービーズを用意することは、経済的に困難である。また、頻繁に使用する色のカラービーズを多く用意したり、僅かにしか需要の無いカラービーズを用意することは明らかに無駄が多い。しかしながら、本実施形態によれば、カラービーズをオンデマンドで製造できるので、このような無駄を避けることができる。
【0091】
また、発色物質としての有機金属化合物14を含有する基材11からビーズを形成する形成部30と、形成されたビーズに光を照射して着色する着色部20と、照射光を制御する強度制御用フィルタ22A〜22C、駆動部23及び制御用コントローラ24と、着色されたカラービーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質92を付着させる処理部50とを備えた構成により、着色する色に応じた正確な配合での練り込み工程を用いず、バイオチップ装置における多種類のカラービーズを容易に製造できるカラービーズ製造装置10を提供できる。
【0092】
なお、着色したカラービーズの表面を、ポリスチレン等の樹脂や有機材料等によってコーティングすることを本発明は除外しない。このようなコーティングは、ビーズ基材に含まれる発色材料の外部への漏出を防止する観点と、発色による化学反応がビーズ表面の化学特性を変化させて、反応プロセスに誤差を生じるのを防ぐ観点から有効である。
【0093】
また、着色前にコーティングを行い、その後にレーザーを用いて着色すれば、完全に均一な表面を維持しながら異なる色に発色させることができる。
【0094】
このように、本発明は、ビーズ内部に対して外部から発色を制御できるため、ビーズの表面状態によって測定結果が左右されるバイオ分野において、反応を検出する用途に、非常に適している。
【0095】
<第3の実施形態>
本実施形態は第2の実施形態の変形例であり、着色部20による着色の際に、ビーズを溶液中で着色する構成である。
【0096】
例えば、図8に概念を示すように、ビーズ13Sを、屈折低減用溶液27で満たされた石英ガラス容器28A,28B内に入れて、レーザー光源21からの光によって着色する。このとき、屈折低減用溶液27は、ビーズ13Sの屈折率に可能な限り近い屈折率を有する溶液である。
【0097】
次に、第2の実施形態の発明に比べた本実施形態の効果を述べる。
【0098】
一般的に球の屈折率は大きく、例えば図9に示すように、ビーズ13S自身の形状によって内部に集光してしまい、ビーズ13S全体が不均一に着色される。すなわち、着色不足になる領域r1と着色過多になる領域r2が生じる。
【0099】
このようにビーズ13S全体の着色具合が不均一になると、着色確認部40によるスペクトル測定の精度が低下してしまうという問題が生じる。
【0100】
そのため、ビーズ13Sに近い屈折率を有する屈折低減用溶液27中でレーザー光を照射することで、ビーズ13S全体を均一に着色することができる。
【0101】
これにより、着色確認部40によるスペクトル測定の精度を一定に維持することができる。
【0102】
また、水中での生化学的な測定用途で本発明を実施する場合、ビーズ13Sを液中からわざわざ取り出して乾燥させる必要がなく、液中で処理可能であるので、水中での生化学的な測定要素におけるプロセスを簡素にすることができる。
【0103】
なお、複数のレーザー光に対して、溶液は透明である必要があることから、各レーザー光の照射を異なるプロセスに分けて行い、且つ異なる溶液中で照射することを本発明は除外しない。
【0104】
また、本実施形態における溶液中での着色とは異なり、積分球のような光学系を利用して球の様々な方位からレーザー光を照射し、ビーズ13Sを均一に着色する方法も考えられるが、この方法は非常に手間がかかるのはいうまでもない。
【0105】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態は、予め着色前の球形状の各ビーズを準備しておき、被検出用物質93を測定する際に、ビーズの着色から反応確認までを実行する構成となっている。
【0106】
図10は本発明の第4の実施形態に係るバイオ分析装置の構成を示す模式図である。
【0107】
バイオ分析装置70は、着色部20、着色確認部40T、処理部50、反応部55、反応確認部56、及び制御部60を備えている。
【0108】
着色確認部40Tは、予め設定された対応関係に基づいた検出用物質92を選択するために、カラービーズ13の着色を確認するとともに、反応確認部56により検出用物質92と被検出用物質93との反応のあった旨が確認された場合に、検出用物質92が付着したカラービーズ13の色を識別し、識別結果を制御部60に出力するものである。なお、本実施形態としては、バイオチップ形成部(図示せず)を備え、このバイオチップ形成部により、検出用物質92が付着した各カラービーズ13を配列させてバイオチップ装置を形成する構成としてもよい。
【0109】
反応部55は、カラービーズ表面の検出用物質92に被検出用物質93を反応させるものである。具体的には、検出用物質92のタンパク質に対して特異的吸着をする被検出用物質93のタンパク質を反応させたり、検出用物質92の核酸に対して特異的吸着をする被検出用物質93の核酸を反応させる。
【0110】
反応確認部56は、反応部55による検出用物質92と被検出用物質93との反応があったか否かを確認(判定)するものである。具体的には、検出用物質92と被検出用物質93とが反応して合成した場合に、該合成物に蛍光標識付き2次抗体94を結合させ、紫外線95を照射して該蛍光標識付き2次抗体94が発する蛍光を観測することで、検出用物質92と被検出用物質93の反応があったか否かを判定する。
【0111】
上述したように本実施形態によれば、光に感応して発色する有機金属化合物14を含有した球形状のビーズ13に光を照射して着色する着色部20と、着色されたカラービーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質92を付着させる処理部50と、この検出用物質92に被検出用物質93を反応させる反応部55と、この反応があったか否かを確認する反応確認部56と、反応のあった場合に検出用物質が付着されたカラービーズの色を識別する着色確認部40Tとを備えた構成により、カラービーズ13の色から抗原抗体反応等を確認できるバイオ分析装置70を提供できる。
【0112】
また、処理部50で特異的に特定物質を吸着する抗体を付着させるので、液体中でカラービーズ又はそれを配列させたバイオチップ装置を使用できるバイオ分析装置70を提供できる。
【0113】
さらに、反応部55が被検出用物質92(抗原)と検出用物質93(抗体)とによる物質の特異的吸着をさせるので、カラービーズ13の色から抗原と抗体とによる物質の特異的吸着を確認することができるバイオ分析装置70を提供できる。
【0114】
また、反応確認部56が検出用物質92と被検出用物質93とが反応して合成した場合に、該合成物に蛍光標識付き2次抗体94を結合させて、該蛍光標識付き2次抗体94が発する蛍光を観測するので、該蛍光標識付き2次抗体94とカラービーズ13の色から抗原抗体反応等を確認できるバイオ分析装置70を提供できる。
【0115】
さらに、処理部50がタンパク質を付着させる場合には、プロテインチップ装置として機能するバイオチップ装置を用いるバイオ分析装置70を提供することができる。
【0116】
また、処理部50が核酸を付着させる場合には、DNAチップ装置として機能するバイオチップ装置を用いるバイオ分析装置70を提供することができる。
【0117】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るカラービーズ製造装置の構成を示す模式図である。
【図2】着色部の構成を示す模式図である。
【図3】着色部の構成を示す模式図である。
【図4】レーザー光源が照射する光と発色する物質の関係を示す図である。
【図5】ビーズの吸収スペクトルを示す図である。
【図6】形成部による球加工の概念を示す図である。
【図7】着色確認部の構成を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るカラービーズ製造装置の概念を示す模式図である。
【図9】不均一に着色されるビーズの概念を示す図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係るバイオ分析装置の構成を示す模式図である。
【図11】従来のバイオチップ装置による分析過程の概念を示す図である。
【符号の説明】
【0119】
10・・・カラービーズ製造装置、11・・・基材、13・・・カラービーズ、13S・・・ビーズ、14・・・有機金属化合物、15・・・透明樹脂、20・・・着色部、21A〜21C・・・レーザー光源、22A〜22C・・・強度制御用フィルタ、23・・・駆動部、23A1〜23A3・・・ミラー、23B・・・XYステージ、24・・・制御用コントローラ、25・・・コリメータ、26・・・スリット、27・・・屈折低減用溶液、28・・・石英ガラス容器、30・・・形成部、40・・・着色確認部、41・・・白色光源、42・・・光学系、43・・・スペクトル測定器、44・・・着色記録部、45A・・・入射光、45B・・・反射光、50・・・処理部、51A〜51E・・・薬液、60・・・制御部、70・・・バイオ分析装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光に感応して発色する発色物質を含有する基材に光を照射することにより、前記基材を着色する着色手段と、
前記着色手段により照射される光の強度及び波長のうち、少なくとも一方を前記着色する色に応じて制御する光制御手段と、
前記光制御手段及び前記着色手段により着色された基材から球形状のカラービーズを形成するビーズ形成手段と、
前記カラービーズの色に対応して、互いに異なる検出用物質あるいは互いに異なる被分析材料を当該カラービーズに付着させる物質付着手段と
を備えたことを特徴とするカラービーズ製造装置。
【請求項2】
光に感応して発色する発色物質を含有する基材から球形状のビーズを形成するビーズ形成手段と、
前記形成されたビーズに光を照射することにより、当該ビーズを着色してカラービーズを得る着色手段と、
前記着色手段により照射される光の強度及び波長のうち、少なくとも一方を前記着色する色に応じて制御する光制御手段と、
前記光制御手段及び前記着色手段により得られたカラービーズの色に対応して、互いに異なる検出用物質あるいは互いに異なる被分析材料を当該カラービーズに付着させる物質付着手段と
を備えたことを特徴とするカラービーズ製造装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカラービーズ製造装置において、
前記基材は、クロムヘキサカルボニル、モリブデンヘキサカルボニル、コバルトオクタカルボニル、クロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、臭化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)、ジカルボニルニッケル、シクロペンタジエニル(トリエチルホスフィン)、銅(I)、クロロトリフェニルホスフィン金(I)、銅(II)i−ブチレート、ジクロロ(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(O)及びメチルトリオキソレニウム(VII)からなる群から選択される有機金属化合物を前記発色物質として含有することを特徴とするカラービーズ製造装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のカラービーズ製造装置において、
前記ビーズ形成手段は、前記基材を直径2mm以下の複数の球形状に形成することを特徴とするカラービーズ製造装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のカラービーズ製造装置において、
前記着色手段は、赤外波長領域又は紫外波長領域の光を照射することを特徴とするカラービーズ製造装置。
【請求項6】
光に感応して発色する発色物質を含有する基材に光を照射することにより、前記基材を着色する着色工程と、
前記着色工程により照射される光の強度及び波長のうち、少なくとも一方を前記着色する色に応じて制御する光制御工程と、
前記光制御工程及び前記着色工程により着色された基材から球形状のカラービーズを形成するビーズ形成工程と、
前記形成されたカラービーズの色に対応して、互いに異なる検出用物質あるいは互いに異なる被分析材料を当該カラービーズに付着させる物質付着工程と
を備えたことを特徴とするカラービーズ製造方法。
【請求項7】
光に感応して発色する発色物質を含有する基材から球形状のビーズを形成するビーズ形成工程と、
前記形成されたビーズに光を照射することにより、当該ビーズを着色してカラービーズを得る着色工程と、
前記着色工程により照射される光の強度及び波長のうち、少なくとも一方を前記着色する色に応じて制御する光制御工程と、
前記光制御工程及び前記着色工程により得られたカラービーズの色に対応して、互いに異なる検出用物質あるいは互いに異なる被分析材料を当該カラービーズに付着させる物質付着工程と
を備えたことを特徴とするカラービーズ製造方法。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のカラービーズ製造方法において、
前記基材は、クロムヘキサカルボニル、モリブデンヘキサカルボニル、コバルトオクタカルボニル、クロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、臭化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)、ジカルボニルニッケル、シクロペンタジエニル(トリエチルホスフィン)、銅(I)、クロロトリフェニルホスフィン金(I)、銅(II)i−ブチレート、ジクロロ(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(O)及びメチルトリオキソレニウム(VII)からなる群から選択される有機金属化合物を前記発色物質として含有することを特徴とするカラービーズ製造方法。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載のカラービーズ製造方法において、
前記ビーズ形成工程では、前記基材を直径2mm以下の複数の球形状に形成することを特徴とするカラービーズ製造方法。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載のカラービーズ製造方法において、
前記着色工程では、赤外波長領域又は紫外波長領域の光を照射することを特徴とするカラービーズ製造方法。
【請求項11】
光に感応して発色する発色物質を含有する球形状の複数のビーズに光を照射することにより、当該各ビーズを着色して各カラービーズを得る着色手段と、
前記カラービーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質を付着させる検出用物質付着手段と、
前記カラービーズ表面の検出用物質に被検出用物質を反応させる反応手段と、
前記反応手段による反応があったか否かを判定する判定手段と、
前記判定の結果、反応のあった場合に、当該反応のあったカラービーズの色を識別し、識別結果を出力する色識別手段と
を備えたことを特徴とするバイオ分析装置。
【請求項12】
請求項11に記載のバイオ分析装置において、
前記検出用物質付着手段は、液体中で特異的に特定物質を吸着する抗体を前記検出用物質として前記カラービーズに付着させることを特徴とするバイオ分析装置。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載のバイオ分析装置において、
前記反応手段は、前記反応として、前記被検出用物質としての抗原と前記検出用物質としての抗体とによる物質の特異的吸着をさせることを特徴とするバイオ分析装置。
【請求項14】
請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載のバイオ分析装置において、
前記判定手段は、前記反応があり、反応により検出用物質と被検出用物質との合成物が得られた場合に、当該合成物に蛍光標識付き2次抗体を結合させて、この蛍光標識付き2次抗体が発する蛍光を観測する蛍光観測手段を備えたことを特徴とするバイオ分析装置。
【請求項15】
請求項11乃至請求項14のいずれか1項に記載のバイオ分析装置において、
前記検出用物質付着手段は、前記検出用物質としてタンパク質を付着させることを特徴とするバイオ分析装置。
【請求項16】
請求項11乃至請求項14のいずれか1項に記載のバイオ分析装置において、
前記検出用物質付着手段は、前記検出用物質として核酸を付着させることを特徴とするバイオ分析装置。
【請求項1】
光に感応して発色する発色物質を含有する基材に光を照射することにより、前記基材を着色する着色手段と、
前記着色手段により照射される光の強度及び波長のうち、少なくとも一方を前記着色する色に応じて制御する光制御手段と、
前記光制御手段及び前記着色手段により着色された基材から球形状のカラービーズを形成するビーズ形成手段と、
前記カラービーズの色に対応して、互いに異なる検出用物質あるいは互いに異なる被分析材料を当該カラービーズに付着させる物質付着手段と
を備えたことを特徴とするカラービーズ製造装置。
【請求項2】
光に感応して発色する発色物質を含有する基材から球形状のビーズを形成するビーズ形成手段と、
前記形成されたビーズに光を照射することにより、当該ビーズを着色してカラービーズを得る着色手段と、
前記着色手段により照射される光の強度及び波長のうち、少なくとも一方を前記着色する色に応じて制御する光制御手段と、
前記光制御手段及び前記着色手段により得られたカラービーズの色に対応して、互いに異なる検出用物質あるいは互いに異なる被分析材料を当該カラービーズに付着させる物質付着手段と
を備えたことを特徴とするカラービーズ製造装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカラービーズ製造装置において、
前記基材は、クロムヘキサカルボニル、モリブデンヘキサカルボニル、コバルトオクタカルボニル、クロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、臭化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)、ジカルボニルニッケル、シクロペンタジエニル(トリエチルホスフィン)、銅(I)、クロロトリフェニルホスフィン金(I)、銅(II)i−ブチレート、ジクロロ(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(O)及びメチルトリオキソレニウム(VII)からなる群から選択される有機金属化合物を前記発色物質として含有することを特徴とするカラービーズ製造装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のカラービーズ製造装置において、
前記ビーズ形成手段は、前記基材を直径2mm以下の複数の球形状に形成することを特徴とするカラービーズ製造装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のカラービーズ製造装置において、
前記着色手段は、赤外波長領域又は紫外波長領域の光を照射することを特徴とするカラービーズ製造装置。
【請求項6】
光に感応して発色する発色物質を含有する基材に光を照射することにより、前記基材を着色する着色工程と、
前記着色工程により照射される光の強度及び波長のうち、少なくとも一方を前記着色する色に応じて制御する光制御工程と、
前記光制御工程及び前記着色工程により着色された基材から球形状のカラービーズを形成するビーズ形成工程と、
前記形成されたカラービーズの色に対応して、互いに異なる検出用物質あるいは互いに異なる被分析材料を当該カラービーズに付着させる物質付着工程と
を備えたことを特徴とするカラービーズ製造方法。
【請求項7】
光に感応して発色する発色物質を含有する基材から球形状のビーズを形成するビーズ形成工程と、
前記形成されたビーズに光を照射することにより、当該ビーズを着色してカラービーズを得る着色工程と、
前記着色工程により照射される光の強度及び波長のうち、少なくとも一方を前記着色する色に応じて制御する光制御工程と、
前記光制御工程及び前記着色工程により得られたカラービーズの色に対応して、互いに異なる検出用物質あるいは互いに異なる被分析材料を当該カラービーズに付着させる物質付着工程と
を備えたことを特徴とするカラービーズ製造方法。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のカラービーズ製造方法において、
前記基材は、クロムヘキサカルボニル、モリブデンヘキサカルボニル、コバルトオクタカルボニル、クロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、臭化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)、ジカルボニルニッケル、シクロペンタジエニル(トリエチルホスフィン)、銅(I)、クロロトリフェニルホスフィン金(I)、銅(II)i−ブチレート、ジクロロ(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)、パラジウム(O)及びメチルトリオキソレニウム(VII)からなる群から選択される有機金属化合物を前記発色物質として含有することを特徴とするカラービーズ製造方法。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載のカラービーズ製造方法において、
前記ビーズ形成工程では、前記基材を直径2mm以下の複数の球形状に形成することを特徴とするカラービーズ製造方法。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載のカラービーズ製造方法において、
前記着色工程では、赤外波長領域又は紫外波長領域の光を照射することを特徴とするカラービーズ製造方法。
【請求項11】
光に感応して発色する発色物質を含有する球形状の複数のビーズに光を照射することにより、当該各ビーズを着色して各カラービーズを得る着色手段と、
前記カラービーズに予め設定された対応関係に基づいて検出用物質を付着させる検出用物質付着手段と、
前記カラービーズ表面の検出用物質に被検出用物質を反応させる反応手段と、
前記反応手段による反応があったか否かを判定する判定手段と、
前記判定の結果、反応のあった場合に、当該反応のあったカラービーズの色を識別し、識別結果を出力する色識別手段と
を備えたことを特徴とするバイオ分析装置。
【請求項12】
請求項11に記載のバイオ分析装置において、
前記検出用物質付着手段は、液体中で特異的に特定物質を吸着する抗体を前記検出用物質として前記カラービーズに付着させることを特徴とするバイオ分析装置。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載のバイオ分析装置において、
前記反応手段は、前記反応として、前記被検出用物質としての抗原と前記検出用物質としての抗体とによる物質の特異的吸着をさせることを特徴とするバイオ分析装置。
【請求項14】
請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載のバイオ分析装置において、
前記判定手段は、前記反応があり、反応により検出用物質と被検出用物質との合成物が得られた場合に、当該合成物に蛍光標識付き2次抗体を結合させて、この蛍光標識付き2次抗体が発する蛍光を観測する蛍光観測手段を備えたことを特徴とするバイオ分析装置。
【請求項15】
請求項11乃至請求項14のいずれか1項に記載のバイオ分析装置において、
前記検出用物質付着手段は、前記検出用物質としてタンパク質を付着させることを特徴とするバイオ分析装置。
【請求項16】
請求項11乃至請求項14のいずれか1項に記載のバイオ分析装置において、
前記検出用物質付着手段は、前記検出用物質として核酸を付着させることを特徴とするバイオ分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−194830(P2006−194830A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9364(P2005−9364)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(502003150)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(502003150)
【Fターム(参考)】
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