説明

カラーフィルタ、およびカラーフィルタの製造方法

【課題】低コストで、表示コントラストの低下等の不具合が生じにくく、良好な画像表示を行うことができるカラーフィルタ、これを用いた表示装置、および上記カラーフィルタを容易に製造することが可能なカラーフィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】透明基板1と、上記透明基板1上に形成された遮光部2と、上記遮光部により画された開口部に形成された画素部とを少なくとも有するカラーフィルタであって、上記遮光部2は、遮光部用着色層である赤色着色層2Rおよび青色着色層2Bが積層されてなるものであり、上記画素部は、少なくとも上記赤色着色層2Rおよび上記青色着色層2Bを有する画素部用着色層により形成されてなるものであり、上記赤色着色層2Rまたは上記青色着色層2Bの少なくとも一方は、上記画素部用着色層の膜厚が上記遮光部用着色層の膜厚より薄くなるように形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低コストで、表示コントラストの低下等の不具合を抑制することができるカラーフィルタ、これを用いた表示装置、および上記カラーフィルタを製造するカラーフィルタの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のカラー液晶表示装置のセルの構造は、基本的には、カラーフィルタと、TFTアレイ基板のような透明基板上に導電膜を形成した対向基板からなっているものである。また、上記カラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタは、通常、透明基板と、透明基板上の画素部に形成された複数色の着色層と、画素部の間に形成された遮光部とを有するものである。
【0003】
ここで、上記遮光部は、画素部を区画するために形成されるものであり、カラー液晶表示装置の表示コントラストを向上させ、またTFTなどの能動素子に光が入射して誤作動することを防ぐために設けられるものである。このような遮光部は、通常、透明基板上にクロムやニッケル等の金属またはそれらの酸化物等の薄膜を形成し、これをエッチング等によりパターニングすることによって形成される。しかしながら、このような遮光部を用いた場合、上記金属等は高価であり、遮光部を形成する工程も煩雑であることから、カラーフィルタの製造コストが高くなるといった問題があった。また、遮光部を形成する際には、環境汚染が懸念されており、また廃棄物処理コストが高くなるといった問題があった。
また、金属等以外の遮光部として、黒色顔料を用いた樹脂製の遮光部も用いられているが、この場合も、別途樹脂製の遮光部を形成する工程が必要となる。
【0004】
そこで、上述した遮光部のかわりに、2色以上の着色層を重ね合わせることにより形成された遮光部を有するカラーフィルタが提案されている(引用文献1)。このような遮光部は、上記金属等を用いることなく、また着色層を形成する際に、同時に遮光部を形成することが可能となることから、カラーフィルタを製造する工程が簡略になり、製造コストを抑えることが可能となる。
【0005】
しかしながら、上述した遮光部においては、画像表示に求められる所定の輝度や色度を有する着色層を積層させた場合、上記遮光部に形成される着色層は、画素部に形成される着色層と同等もしくは薄膜で形成されるため、上記遮光部の光学強度(OD値)が低くなり、表示コントラストの低下等が発生してしまうといった問題があった。
【0006】
また、上述した遮光部に求められるOD値に合わせて、各色の着色層の膜厚を調整した場合は、画素部に形成された着色層が、画像表示に適した輝度や色度を有さないものとなることから、良好な画像表示を行うことが困難であるといった問題があった。
【0007】
ここで、上記問題については、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタを例に挙げて説明したが、液晶表示装置に限らず、カラーフィルタが用いられた表示装置においては同様の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3171174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、低コストで、表示コントラストの低下等の不具合を抑制することが可能であり、良好な画像表示を行うことができるカラーフィルタ、これを用いた表示装置、および上記カラーフィルタを容易に製造することが可能なカラーフィルタの製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、透明基板と、上記透明基板上に形成された遮光部と、上記遮光部により画された開口部に形成された画素部とを少なくとも有するカラーフィルタであって、上記遮光部は、遮光部用着色層である赤色着色層および青色着色層が積層されてなるものであり、上記画素部は、少なくとも上記赤色着色層および上記青色着色層を有する画素部用着色層により形成されてなるものであり、上記赤色着色層または上記青色着色層の少なくとも一方は、上記画素部用着色層の膜厚が上記遮光部用着色層の膜厚より薄くなるように形成されていることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0011】
本発明によれば、上記赤色着色層または上記青色着色層の少なくとも一方は、上記画素部用着色層の膜厚が上記遮光部用着色層の膜厚よりも薄くなるように形成されていることから、上記遮光部のOD値を表示コントラストの低下等の不具合を生じない程度とし、かつ、上記画素部の輝度や色度を画像表示に適したものに調整することが可能である。よって、優れた画像表示を行うことが可能なカラーフィルタを低コストで得ることができる。
【0012】
本発明においては、上記遮光部用着色層の膜厚を1としたときの上記画素部用着色層の膜厚の膜厚比が0.7〜1.0の範囲内であることが好ましい。上記膜厚比が上記範囲内であることにより、上記画素部用着色層に膜荒れ等を生じさせず、均一な膜厚とすることが可能となる。
【0013】
本発明においては、上記遮光部は、上記透明基板上に上記青色着色層が形成され、上記青色着色層上に上記赤色着色層が積層されてなるものであることが好ましい。本発明のカラーフィルタを製造する際に、各部材の形成位置を固定するためのアライメントマークを上記青色着色層の材料を用いて形成することができることから、各部材の形成位置を精度高く定めることが可能となるため、高品質なカラーフィルタとすることが可能となる。
【0014】
本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された遮光部と、上記遮光部により画された開口部に形成された画素部とを少なくとも有し、上記遮光部は、遮光部用着色層である赤色着色層および青色着色層が積層されてなるものであり、上記画素部は、少なくとも上記赤色着色層および上記青色着色層を有する画素部用着色層により形成されてなるものであり、上記赤色着色層または上記青色着色層の少なくとも一方は、上記画素部用着色層の膜厚が上記遮光部用着色層の膜厚より薄くなるように形成されているカラーフィルタを有することを特徴とする表示装置を提供する。
【0015】
本発明によれば、上記カラーフィルタを有することにより、低コストで、表示コントラストの低下等の不具合がなく、良好な画像表示を行うことが可能な表示装置とすることが可能である。
【0016】
本発明は、透明基板上に、赤色着色層または青色着色層のいずれかの着色層を形成するための第1着色層形成用塗工液を塗布して、第1着色層形成用層を形成する第1着色層形成用層形成工程と、上記第1着色層形成用層に対してマスクを用いて露光し、現像することにより、第1遮光部用着色層および第1画素部用着色層を形成する第1着色層形成工程と、上記第1遮光部用着色層および上記第1画素部用着色層を覆うように、赤色着色層または青色着色層のうちの残りの着色層を形成するための第2着色層形成用塗工液を塗布して、第2着色層形成用層を形成する第2着色層形成用層形成工程と、上記第2着色層形成用層に対して、マスクを用いて露光し、現像することにより、第2遮光部用着色層および第2画素部用着色層を形成する第2着色層形成工程とを有し、上記第1遮光部用着色層上に上記第2遮光部用着色層が積層されて遮光部が形成されるカラーフィルタの製造方法であって、上記第1着色層形成工程または上記第2着色層形成工程の少なくとも一方の工程において、マスクとして階調マスクを用いて露光することにより、画素部用着色層の膜厚が遮光部用着色層の膜厚よりも薄くなるように形成されることを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
【0017】
本発明によれば、上記第1着色層形成工程または上記第2着色層形成工程の少なくとも一方の工程において、マスクとして階調マスクを用いて露光することにより、画素部用着色層の膜厚が遮光部用着色層の膜厚よりも薄くなるように形成されることによって、上記画素部の輝度や色度、および上記遮光部のOD値をそれぞれ画像表示に適したものに調整して、カラーフィルタを製造することが可能となる。
【0018】
本発明においては、上記遮光部用着色層の膜厚を1としたときの上記画素部用着色層の膜厚の膜厚比が0.7〜1.0の範囲内となるように上記赤色着色層および上記青色着色層を形成することが好ましい。これにより、現像時に膜荒れ等が生じず、画素部用着色層を均一な膜厚で形成することが可能となり、高品質なカラーフィルタを製造することが可能となる。
【0019】
本発明においては、上記第1着色層形成用層が、青色着色層形成用層であることが好ましい。本発明のカラーフィルタを製造する際に、各部材の形成位置を固定するためのアライメントマークを青色着色層の材料を用いて形成することができることから、各部材の形成位置を精度高く定めることが可能となるため、高品質なカラーフィルタを製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明においては、上記赤色着色層または上記青色着色層の少なくとも一方は、上記画素部用着色層の膜厚が上記遮光部用着色層の膜厚よりも薄くなるように形成されていることから、表示コントラストの低下等の不具合が生じにくく、良好な画像表示を行うことができるカラーフィルタを提供することが可能となる。また、これにより低コストで容易にカラーフィルタを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のカラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。
【図4】本発明のカラーフィルタの製造方法の他の一例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のカラーフィルタ、表示装置、およびカラーフィルタの製造方法についてそれぞれ説明する。
【0023】
A.カラーフィルタ
まず、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、透明基板と、上記透明基板上に形成された遮光部と、上記遮光部により画された開口部に形成された画素部とを少なくとも有するカラーフィルタであって、上記遮光部は、遮光部用着色層である赤色着色層および青色着色層が積層されてなるものであり、上記画素部は、少なくとも上記赤色着色層および上記青色着色層を有する画素部用着色層により形成されてなるものであり、上記赤色着色層または上記青色着色層の少なくとも一方は、上記画素部用着色層の膜厚が上記遮光部用着色層の膜厚より薄くなるように形成されていることを特徴とするものである。
【0024】
ここで、以下の説明においては、赤色着色層は、赤色遮光部用着色層および赤色画素部用着色層を指すものであり、同一の材料から形成されたものである。また、青色着色層は、青色遮光部用着色層および青色画素部用着色層を指すものであり、同一の材料から形成されたものである。また、遮光部用着色層は、赤色遮光部用着色層および青色遮光部用着色層を指すものとし、画素部用着色層は、少なくとも赤色画素部用着色層および青色画素部用着色層を指すものとする。
【0025】
本発明のカラーフィルタについて、図を用いて説明する。
図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、透明基板1上に形成された遮光部2と、遮光部2により画された開口部に形成された画素部3とを少なくとも有するものである。また、本発明においては、遮光部2は、赤色遮光部用着色層2Rおよび青色遮光部用着色層2Bが積層されてなるものであり、画素部3は、少なくとも赤色画素部用着色層3Rおよび青色画素部用着色層3Bを有するものである。また、図1においては、赤色画素部用着色層3Rの膜厚が赤色遮光部用着色層2Rの膜厚よりも薄くなるように形成され、かつ、青色画素部用着色層3Bの膜厚が青色遮光部用着色層2Bの膜厚よりも薄くなるように形成されている例について示している。さらに、画素部3は、通常、赤色画素部用着色層3Rおよび青色画素部用着色層3Bの他に、緑色画素部用着色層3Gを有するものである。
【0026】
本発明によれば、上記赤色着色層または上記青色着色層の少なくとも一方は、上記画素部用着色層の膜厚が上記遮光部用着色層の膜厚よりも薄くなるように形成されていることから、上記遮光部のOD値を表示コントラストの低下等の不具合を生じない程度とし、かつ、上記画素部の輝度や色度を画像表示に適したものに調整することが可能である。よって、優れた画像表示を行うことが可能なカラーフィルタを低コストで得ることができる。
【0027】
ここで、「遮光部のOD値」とは、次の式で表される値である。
OD=−log10(Y/100)(関係式1)
また、関係式1においてYは、遮光部における輝度を指すものであり、下記の関係式2に示すように、各波長における透過光量と緑の視感度曲線の積の可視光領域の全波長内の積分値から得られる値である。
Y(輝度)=∫I(λ)(使用標準光強度)Y(λ緑の等色関数)R(λ反射率)dλ(関係式2)
なお、関係式2において、λは可視光の波長である。また、使用標準光強度は、例えば白色光源、C光源等の測定に用いられる光の強度を指すものである。また、緑の等色関数は明所での緑の視感度曲線に相当するものである。また、Yは、555nmの波長に近いほど大きな値を示すものである。よって、本発明においては、緑に近い光の波長における遮光部の輝度が大きいものである程、上記遮光部のOD値は小さな値を示すこととなる。
また、関係式1において−log10(Y/100)の100は、透明基板の輝度を指すものである。
【0028】
上記遮光部のOD値としては、本発明のカラーフィルタを表示装置に用いて画像表示を行った際に、表示コントラストを良好なものとすることができる程度であれば特に限定されるものではないが、2.5〜3.5の範囲内、なかでも3.0〜3.5の範囲内であることが好ましい。上記遮光部のOD値が上記の値に満たない場合は、本発明のカラーフィルタを表示装置に用いた際に、表示コントラストが低下し、良好な画像表示を行うことが困難となる可能性があるからである。また、上記遮光部のOD値が上記範囲を超えるような遮光部を形成することは困難である。
【0029】
なお、上記遮光部のOD値は以下の測定方法により測定されるものである。
まず、透明基板単層の透過スペクトルを測定し、このときの輝度Ygを100とする。これは、遮光部等が一切形成されていない場合の透明基板から透過された光の輝度が100%に値するものとしている。
次に、透明基板上に形成された遮光部の透過スペクトルを、上記透明基板の透過スペクトルをベースとして補正した条件で測定する。また、このとき輝度Yも同時に測定する。上記輝度Yは、上記遮光部の透過スペクトルと同様に、透明基板の輝度をベースとして補正された値である。
上記遮光部の輝度Yを用いて、OD=−log10(Y/100)からOD値を算出する。
なお、本発明における透明基板および遮光部の透過スペクトルおよび輝度は、分光光度計:OSP−SP200(オリンパス製)を用いて行い、バックライトはC光源を使用して測定した値である。
【0030】
また、本発明における画素部としては、良好な画像表示を行うことが可能であれば特に限定されるものではない。
ここで、画素部が良好な画像表示が可能であることを示すパラメータとしては、色度、輝度およびコントラスト比がある。以下、それぞれについて説明する。
【0031】
ここで、色度とは、色刺激を明度を除いて数量的に表したものである。色度としてxyY表色系を例にとると、xy色度座標においては、xの値が大きい程、濃い赤色を示し、yの値が大きい程、濃い緑色を示し、x値およびy値の値が小さい程、濃い青色を示す。
一方、上記濃い色においては輝度Yが大きい程、明るい色となる。一般的に、画素部の色が薄いと明るい色となるが、この場合は、全体的に表示が白くなり鮮明さがなくなることから、良好な表示を行う場合は、色が濃く、明るい色が必要となる。
【0032】
上記画素部用着色層の色度としては、本発明のカラーフィルタを表示装置に用いた際に、良好な画像表示を行うことができる程度の色度とすることができるものであれば、特に限定されるものではない。
上記色度としては、具体的には、赤色画素部用着色層の色度が、x値が0.400〜0.800の範囲内、y値が0.150〜0.650の範囲内、なかでもx値が0.450〜0.800の範囲内、y値が0.150〜0.600の範囲内、特にx値が0.500〜0.800の範囲内、y値が0.150〜0.550の範囲内であることが好ましい。
また、青色画素部用着色層の色度としては、x値が0.010〜0.500の範囲内、y値が0.010〜0.500の範囲内、なかでもx値が0.010〜0.450の範囲内、y値が0.010〜0.450の範囲内、特にx値が0.010〜0.400の範囲内、y値が0.010〜0.300の範囲内であることが好ましい。
上記画素部用着色層の色度が上記範囲に満たない場合、もしくは上記範囲を超える場合は、本発明のカラーフィルタを表示装置に用いた場合に良好な画像表示を行うことが困難となるからである。
【0033】
上記画素部用着色層の輝度としては、本発明のカラーフィルタを透過型液晶表示装置に用いた際に良好な画像表示を行うことができる程度とすることができるものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、赤色画素部用着色層のY値が10〜50の範囲内、なかでもY値が10〜45の範囲内、特にY値が10〜40の範囲内であることが好ましく、青色画素部用着色層のY値が10〜50の範囲内、なかでもY値が10〜45の範囲内、特にY値が10〜40の範囲内であることが好ましい。上記画素部用着色層の輝度が上記範囲に満たない場合もしくは上記範囲を超える場合は、本発明のカラーフィルタを表示装置に用いた際に良好な画像表示を行うことが困難となるからである。
【0034】
なお、上記画素部用着色層の色度および輝度は、分光光度計:OSP−SP200(オリンパス製)を用いて行い、バックライトはC光源を使用して測定した値である。
【0035】
また、画素部のコントラスト比とは、本発明のカラーフィルタを用いた反射型表示装置において、反射型表示装置における表示部に用いられる画素部の最大輝度および最小輝度の比である(最大輝度が分子、最小輝度が分母になる)。上記画素部のコントラスト比が小さいと、表示装置の表示部では全体的に白くにごった表示になるため、上記画素部のコントラスト比は大きいほどよい。
【0036】
上記画素部のコントラスト比、例えば、以下のような測定により求めることができる。
まず、同種の2枚の偏光板(以下、偏光板Aおよび偏光板Bと称して説明する。)を準備し、2枚の偏光板の間にカラーフィルタを水平に挟み、2枚の偏光板のいずれか一方のカラーフィルタ側とは反対側にバックライトを設置する。
次に、2枚の偏光板の光の偏光方向を同等にし、このときバックライトから2枚の偏光板およびカラーフィルタを透過した光の輝度を測定して最大輝度を求める。
次に、2枚の偏光板の光の偏光方向を90度とし、このときバックライトから2枚の偏光板およびカラーフィルタを透過した光の輝度を測定して最小輝度を求める。
上述したように、測定した最大輝度および最小輝度の比を算出することにより、上記画素部のコントラスト比を求めることができる。
なお、上述した輝度の測定におけるバックライトや偏光板については、カラーフィルタの用途により適宜選択することができる。
【0037】
上記画素部のコントラスト比(最大輝度/最小輝度)としては、良好な画像表示を行うことができる程度であれば特に限定されるものではなく、大きな値であるほど好ましいが、具体的には、2000〜3000程度とすることができる。
上記画素部のコントラスト比が上記範囲に満たない場合は、良好な画像表示を行うことが困難となるからであり、上記画素部のコントラスト比が上記範囲を超えるようなカラーフィルタを形成することは困難であるからである。
【0038】
以下、本発明のカラーフィルタに用いられる各部材についてそれぞれ説明する。
【0039】
1.遮光部
本発明に用いられる遮光部は、後述する透明基板上に形成されるものであり、遮光部用着色層である赤色遮光部用着色層および青色遮光部用着色層が積層されてなるものである。以下、遮光部用着色層について説明する。
【0040】
(1)遮光部用着色層
本発明に用いられる遮光部用着色層は、赤色遮光部用着色層および青色遮光部用着色層からなるものである。
【0041】
上記遮光部用着色層は、少なくとも顔料および感光性樹脂を含有する着色層形成用組成物を用いて形成されるものである。また、本発明においては、上記遮光部用着色層と、後述する画素部用着色層とは同一の着色層形成用組成物を用いて形成されるものである。
【0042】
上記着色層形成用組成物に用いられる顔料としては、上記遮光部のOD値を所定の値とすることが可能な遮光部用着色層を形成することができ、かつ、画素部において良好な画像表示を行うことが可能な画素部用着色層を形成することができる赤色着色層の顔料および青色着色層の顔料であれば特に限定されるものではない。
また、本発明においては、上記赤色着色層の顔料および青色着色層の顔料をそれぞれ選択して組み合わせることにより上記遮光部のOD値を調整することがより好ましい。このような赤色着色層の顔料および青色着色層の顔料の組み合わせとしては、特に赤色着色層の顔料としてC.I.ピグメントレッド254を、青色着色層の顔料としてC.I.ピグメントブルー15:6を組み合わせて用いることが好ましい。赤色着色層の顔料および青色着色層の顔料を上記の組み合わせとすることにより、上記遮光部のOD値を容易に調整することが可能となる。
なお、「C.I.ピグメント」とは、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物であって、カラーインデックス(C.I.)番号が付されているものをいう。
【0043】
上記赤色着色層の顔料および青色着色層の顔料を上記の組み合わせとすることにより、上記遮光部のOD値を容易に調整することが可能となる理由については明らかではないが、次のように考えられる。
上記OD値は、遮光部の輝度に依存するものであり、遮光部の輝度が大きくなるほどOD値は小さくなるものである。また、上記遮光部の輝度は、波長555nm付近の波長の光に対して大きくなるものである。
例えば、可視光の波長領域での平均透過率の大きな遮光部と、波長555nm付近の波長での透過率の大きな遮光部とでは、後者の遮光部の方がOD値が低くなる場合もある。よって、本発明においては、波長555nm付近の波長と透過率が小さくなるようにすることが好ましい。
【0044】
ここで、一般的に、赤色着色層の透過率は、波長555nm付近で小さな値となり、長波長側で大きくなる。また青色着色層の透過率は、波長555nm付近で小さな値となり、短波長側で大きくなる。また、これらを積層させて遮光部とした場合の透過率は、各々の画素部用着色層の透過率の積で得られることから、長波長側および短波長側の透過率については小さなものとすることができるので、遮光部全体の透過率を小さなものとすることができる。
上記顔料を用いた場合、赤色遮光部用着色層および青色遮光部用着色層の透過率は、波長555nmからより離れた波長領域で大きくなる傾向にあることから、上記赤色遮光部用着色層および青色遮光部用着色層を積層された場合の遮光効果が大きくなるものと考えられる。
【0045】
上記着色層形成用組成物の固形分中の顔料濃度としては、上記遮光部のOD値を所定の値とすることができ、かつ、後述する画素部の輝度や色度を良好な画像表示を行うことができる程度とすることができるものであれば特に限定されるものではない。しかしながら、上記着色層形成用組成物の固形分中の顔料濃度を、一般的なカラーフィルタの着色層と同等とした場合は、上記遮光部のOD値を所定の値とするためには、上記遮光部用着色層を厚膜に形成する必要が生じる。そのため、本発明のカラーフィルタを表示装置として用いる際に、予め定められている上記カラーフィルタおよび表示装置の対向基板のセルギャップよりも、上記遮光部の高さが高くなることで、本発明のカラーフィルタ自体を表示装置に用いることが困難となる可能性が考えられる。
【0046】
よって、本発明において、上記着色層形成用組成物の固形分中の顔料濃度としては、本発明のカラーフィルタを表示装置とした場合の上記カラーフィルタおよび表示装置の対向基板の所定のセルギャップよりも、上記遮光部の高さが低くなる程度の顔料濃度とすることが好ましい。
なお、ここで「遮光部の高さ」とは、図1に示すように、透明基板1表面から遮光部2の上面までの垂直方向の高さtである。
【0047】
上記着色層形成用組成物に用いられる感光性樹脂としては、ネガ型感光性樹脂であってもよいし、ポジ型感光性樹脂であってもよい。上記ネガ型感光性樹脂およびポジ型感光性樹脂としては、一般的なカラーフィルタの着色層に用いられているものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。また、上記着色層形成用組成物は、顔料および感光性樹脂の他にも、増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等の添加剤を有していてもよい。
【0048】
上記遮光部用着色層の膜厚としては、上記遮光部を所定のOD値とすることができ、かつ、後述する画素部を画することができる程度の膜厚とすることができるのであれば特に限定されるものではなく、赤色遮光部用着色層または青色遮光部用着色層のいずれか一方が薄く形成され、他方が厚く形成されていてもよいし、赤色遮光部用着色層および青色遮光部用着色層が同等の膜厚で形成されていてもよい。
上記赤色遮光部用着色層および青色遮光部用着色層が同等の膜厚で形成されている場合、上記遮光部用着色層の膜厚としては、1.5μm〜2.2μmの範囲内、なかでも1.7μm〜2.2μmの範囲内、特に2.0μm〜2.2μmの範囲内であることが好ましい。上記遮光部用着色層が上記範囲に満たない場合は、上記遮光部に所定のOD値を付与することが困難となるからであり、上記遮光部用着色層が上記範囲を超える場合は、上記遮光部が、表示装置のセルギャップよりも高くなり、本発明のカラーフィルタを表示装置に用いることが困難となる可能性が考えられるからである。
【0049】
上記遮光部用着色層の形成方法については、特に限定されるものではないが、例えば後述する「C.カラーフィルタの製造方法」の項で説明する方法を用いることができる。
【0050】
(2)遮光部
上記遮光部は、上述した赤色遮光部用着色層および青色遮光部用着色層が積層されてなるものである。また、後述する画素部を画するために形成されるものである。
【0051】
本発明においては、上記遮光部としては、上記赤色遮光部用着色層および青色遮光部用着色層が積層されることにより、所定のOD値を有し、かつ、後述する画素部を画することができるものであれば特に限定されるものではないが、上記遮光部が、後述する透明基板上に青色遮光部用着色層が形成され、上記青色遮光部用着色層上に赤色遮光部用着色層が積層されてなるものであることが好ましい。
【0052】
ここで、一般的なカラーフィルタの製造時においては、画素部を形成する前に予め、金属等の遮光部材料により、透明基板上に各部材の形成位置を固定するアライメントマークが遮光部と共に形成される。また、上記アライメントマークは通常、赤外線を用いて検出されるものである。
一方、本発明は、上記金属等からなる遮光部を有しないことを特徴とするものであることから、上記アライメントマークは着色層材料により形成されるものである。本発明においては、金属等の遮光部材料の代わりに、赤外線の透過率の低い青色遮光部用着色層の材料を用いてアライメントマークを形成したのち、他の色の画素部用着色層等を形成することによって、上記各部材を形成位置の精度を高く形成することが可能となる。よって、上記遮光部を上記の構成とすることが好ましいのである。
【0053】
本発明における赤色遮光部用着色層および青色遮光部用着色層が積層されてなる遮光部の膜厚としては、後述する透明基板上に均一な膜厚で形成することが可能であり、後述する画素部を画することができる程度の膜厚であれば特に限定されるものではないが、3.0μm〜4.4μmの範囲内、なかでも4.0μm〜4.4μmの範囲内とすることができる。なお、ここで遮光部の膜厚とは、図1に示される遮光部2の高さt1を指すものであり、赤色遮光部用着色層2Rの膜厚および青色遮光部用着色層2Bの膜厚を和を指すものである。
【0054】
2.画素部
次に本発明に用いられる画素部について説明する。
本発明に用いられる画素部は、後述する透明基板上に形成されるものであり、上記遮光部により画された開口部に形成されるものであり、少なくとも赤色画素部用着色層および青色画素部用着色層を有する画素部用着色層を有するものである。
まず、上記画素部における画素部用着色層について以下に説明する。
【0055】
(1)画素部用着色層
本発明に用いられる画素部用着色層は、少なくとも赤色画素部用着色層および青色画素部用着色層を有するものであれば特に限定されず、赤色および青色以外の画素部用着色層を有することができるものである。しかしながら、上記赤色画素部用着色層および青色画素部用着色層と、赤色および青色以外の画素部用着色層とは多くの点で異なることから、赤色および青色以外の画素部用着色層については後述する「(2)画素部」の項で説明する。以下の画素部用着色層についての説明は、赤色画素部用着色層および青色画素部用着色層に関するものである。
【0056】
本発明においては、上記赤色着色層または青色着色層の少なくとも一方は、上記画素部用着色層の膜厚が上記遮光部用着色層の膜厚よりも薄くなるように形成されているものである。このような画素部用着色層の膜厚および遮光部用着色層の膜厚の膜厚比としては、上記画素部の輝度や色度を画像表示を良好に行うことが可能な程度のものとすることができるのであれば特に限定されるものではないが、上記遮光部用着色層の膜厚を1とした場合に、上記画素部用着色層の膜厚の膜厚比が0.7〜1.0の範囲内、なかでも0.7〜0.9の範囲内、特に0.7〜0.8の範囲内であることが好ましい。上記膜厚比が上記範囲に満たない場合は、上記画素部用着色層を均一な膜厚で形成することが困難となるからであり、上記膜厚比が上記範囲を超える場合は、上記画素部の輝度や色度が低下するため、本発明のカラーフィルタを用いて、良好な画像表示を行うことが困難になるからである。
【0057】
上記画素部用着色層の膜厚としては、上記透明基板上に均一な膜厚で形成することが可能であり、良好な画像表示を行うことが可能な画素部の輝度や色度とすることができるのであれば特に限定されるものではないが、1.5μm〜2.9μmの範囲内、なかでも1.5μm〜2.5μmの範囲内、特に1.5μm〜1.6μmの範囲内であることが好ましい。上記画素部用着色層の膜厚が上記範囲に満たない場合は、上記画素部用着色層を均一な膜厚で形成することが困難となるからであり、上記膜厚が上記範囲を超える場合は、画素部の輝度や色度が低下するため、本発明のカラーフィルタを用いて良好な画像表示を行うことが困難となるからである。
【0058】
上記画素部用着色層に用いられる着色層形成用組成物については上述した遮光部用着色層に用いられるものと同様であるため、ここでの記載は省略する。
【0059】
また、上記画素部用着色層の形成方法については、特に限定されるものではなく、例えば「C.カラーフィルタの製造方法」の項で説明する方法を用いることができる。
【0060】
(2)画素部
本発明に用いられる画素部のパターンとしては、本発明のカラーフィルタを用いて表示装置を組み立てた際に、画像表示を行うことができるのであれば特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルタに用いられる画素部のパターンと同様とすることができ、具体的には、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができる。また、画素部面積は任意に設定することができる。
【0061】
本発明における画素部は、少なくとも上述した赤色画素部用着色層および青色画素部用着色層を有するものであれば特に限定されるものではなく、赤色および青色以外の画素部用着色層を有していてもよい。このような画素部用着色層としては、黄色画素部用着色層や緑色画素部用着色層等を挙げることができる。
【0062】
上記赤色および青色以外の画素部用着色層としては、上述した画素部の輝度や色度を有することが可能であれば特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルタに用いられる画素部用着色層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0063】
3.透明基板
本発明に用いられる透明基板は、上記透明基板上に上述した画素部および遮光部を形成することができるものであれば特に限定されるものではない。
【0064】
このような透明基板としては、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板と同様とすることができ、例えば、石英ガラス、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材等が挙げられる。特に無アルカリガラスは信頼性とコストの点で好ましい。また、上記透明基板の膜厚等については、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0065】
4.その他の部材
本発明は、上述した透明基板、画素部および遮光部を有するものであれば特に限定されるものではなく、必要な部材を適宜追加して形成することが可能である。
また、上記部材としては、例えば柱状スペーサやリブ材等を挙げることができる。なお、本発明に用いられる柱状スペーサ、リブ材等については一般的なカラーフィルタに用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0066】
5.カラーフィルタ
本発明のカラーフィルタは、上記赤色着色層または上記青色着色層の少なくとも一方が、上記画素部用着色層の膜厚が上記遮光部用着色層の膜厚より薄くなるように形成されているのであれば、特に限定されるものではなく、例えば図1に示すように、赤色着色層2R、3Rおよび青色着色層2B、3Bがそれぞれ画素部用着色層3の膜厚が遮光部用着色層2の膜厚より薄くなるように形成されていてもよいし、また例えば図2に示すように、赤色着色層2R、3Rまたは青色着色層2B、3Bのいずれか一方のみが画素部用着色層3の膜厚が遮光部用着色層2の膜厚より薄くなるように形成されているものであってもよい。なお、図2においては、青色着色層2B、3Bのみが、青色画素部用着色層3Bの膜厚が青色遮光部用着色層2Bの膜厚よりも薄くなるように形成されており、赤色画素部用着色層3Rおよび赤色遮光部用着色層2Rが同等の膜厚で形成されている例について示している。また、図2において説明していない符号については図1と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0067】
B.表示装置
本発明の表示装置は、「A.カラーフィルタ」の項で説明したカラーフィルタを用いたことを特徴とするものである。
【0068】
本発明によれば、上述したカラーフィルタを有することにより、画像表示の際に、表示コントラストの低下を抑制し、良好な画像表示を行うことが可能であり、また製造コストを下げることが可能となる。
【0069】
本発明の表示装置においては、白表示状態とした際の輝度をTon、黒表示状態とした際の輝度をToffとしたとき、Ton/Toffの比で表わされる表示コントラストが500以上、中でも800以上、特に1000以上であることが好ましい。上記範囲に満たない場合、表示コントラストが低く、表示品位が損なわれる可能性があるからである。
【0070】
上記表示コントラストの測定方法については、カラーフィルタが用いられる表示装置の種類により適宜選択され、いずれも一般的な方法とすることができる。
上記表示コントラストの測定方法として、具体的には、本発明のカラーフィルタが用いられる表示装置が有機EL表示装置、またはプラズマ表示装置の場合は、電源OFFの黒色表示の状態の輝度と、電源ONの白色表示の状態の輝度とを測定することにより求めることができる。
また、本発明のカラーフィルタが用いられる表示装置が電子ペーパーである場合は、電子ペーパー全面に黒色を表示させた状態の輝度と、電子ペーパー全面に白色を表示させた状態の輝度とを測定することにより求めることができる。
また、本発明のカラーフィルタが用いられる表示装置が液晶表示装置である場合は、表示装置を電源ONにした際の黒表示の輝度と、白表示の輝度とを測定することにより求めることができる。
【0071】
このような表示装置としては、上記カラーフィルタを用いて画像等を表示することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置、電子ペーパー等を挙げることができる。本発明においては、なかでも液晶表示装置であることが好ましい。
【0072】
このような液晶表示装置としては、通常、カラーフィルタ、対向基板、および液晶層を有するものである。上記カラーフィルタについては、「A.カラーフィルタ」の項で説明したので、ここでの説明は省略する。
【0073】
また、対向基板としては、本発明における液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
【0074】
上記液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定されるものではなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、および、MVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
【0075】
本発明における液晶層は、カラーフィルタおよび対向基板間に設けられるものである。液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、およびこれらの混合物を用いることができる。
【0076】
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタおよび対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタおよび対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
【0077】
本発明における液晶表示装置は、通常、上記カラーフィルタと、上記対向基板と、上記液晶層とを有するものとされるが、このような構成に限られるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
【0078】
C.カラーフィルタの製造方法
本発明のカラーフィルタの製造方法は、透明基板上に、赤色着色層または青色着色層のいずれかの着色層を形成するための第1着色層形成用塗工液を塗布して、第1着色層形成用層を形成する第1着色層形成用層形成工程と、上記第1着色層形成用層に対してマスクを用いて露光し、現像することにより、第1遮光部用着色層および第1画素部用着色層を形成する第1着色層形成工程と、上記第1遮光部用着色層および上記第1画素部用着色層を覆うように、赤色着色層または青色着色層のうちの残りの着色層を形成するための第2着色層形成用塗工液を塗布して、第2着色層形成用層を形成する第2着色層形成用層形成工程と、上記第2着色層形成用層に対して、マスクを用いて露光し、現像することにより、第2遮光部用着色層および第2画素部用着色層を形成する第2着色層形成工程とを有し、上記第1遮光部用着色層上に上記第2遮光部用着色層が積層されて遮光部が形成されるカラーフィルタの製造方法であって、上記第1着色層形成工程または上記第2着色層形成工程の少なくとも一方の工程において、マスクとして階調マスクを用いて露光することにより、画素部用着色層の膜厚が遮光部用着色層の膜厚よりも薄くなるように形成されることを特徴とする製造方法である。
【0079】
本発明のカラーフィルタの製造方法について、図を用いて説明する。図3(a)〜(c)および図4(a)〜(d)は本発明のカラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。図3(a)〜(c)および図4(a)〜(d)においては、第1着色層として青色着色層を形成し、第2着色層として赤色着色層を形成する例について示している。
【0080】
図3(a)〜(c)に示すように、本発明のカラーフィルタの製造方法においては、まず、透明基板1上に、青色着色層を形成するための青色着色層形成用塗工液を塗布して青色着色層形成用層23Bを形成する青色着色層形成用層形成工程(図3(a))が行われ、次に、青色着色層形成用層23Bに対して階調マスク20を用い、露光光30を照射して露光し(図3(b))、現像を行うことにより、青色遮光部用着色層2Bおよび青色画素部用着色層3Bを形成する青色着色層形成工程(図3(c))が行われる。
【0081】
次に、図4(a)〜(d)に示すように、透明基板1上に形成された青色遮光部用着色層2Bおよび青色画素部用着色層3Bを覆うように、赤色着色層を形成するための赤色着色層形成用塗工液を塗布して、赤色着色層形成用層23Rを形成する赤色着色層形成工程(図4(a))が行われ、次に、赤色着色層形成用層23Rに対して階調マスク20を用い、露光光30を照射して露光し(図4(b))、現像を行うことにより、赤色遮光部用着色層2Rおよび赤色画素部用着色層3Rを形成する赤色着色層形成工程(図4(c))を有するものである。また、上記赤色着色層形成工程においては、青色遮光部用着色層2B上に赤色遮光部用着色層2Rが積層されて、遮光部2が形成される。また、本発明のカラーフィルタの製造方法は、図4(d)に示すように、赤色画素部用着色層3Rおよび青色画素部用着色層3Bの他に、通常、緑色画素部用着色層3Gを形成する工程を有するものである。
【0082】
本発明によれば、上記第1着色層形成工程または上記第2着色層形成工程の少なくとも一方の工程において、マスクとして階調マスクを用いて露光することにより、画素部用着色層の膜厚が遮光部用着色層の膜厚よりも薄くなるように形成されることによって、上記遮光部のOD値、および画素部の輝度や色度をそれぞれ画像表示に適したものに調整して、カラーフィルタを製造することが可能となる。
なお、上記遮光部のOD値および画素部の輝度や色度については、「A.カラーフィルタ」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法における各工程についてそれぞれ説明する。
【0083】
(1)第1着色層形成用層形成工程
本工程は、透明基板上に、赤色着色層または青色着色層のいずれかの着色層を形成するための第1着色層形成用塗工液を塗布して、第1着色層形成用層を形成する工程である。
【0084】
上記第1着色層形成用塗工液は、上述した「A.カラーフィルタ」の項で説明した着色層形成用組成物を含むものである。また、上記第1着色層形成用塗工液は、上記着色層形成用組成物の他に、溶剤を含んでいてもよい。このような溶剤としては、一般的なカラーフィルタを製造する際に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0085】
また、本工程に用いられる透明基板については、「A.カラーフィルタ」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0086】
本工程に用いられる第1着色層形成用塗工液の塗布方法としては、上記第1着色層形成用層を均一な膜厚で形成することができるのであれば特に限定されるものではなく、具体的には、スピンコート法やダイコート法等を挙げることができる。中でも好適に用いられる方法としては、スピンコート法が挙げられる。
【0087】
本工程により形成される第1着色層形成用層の厚みとしては、上記透明基板上に均一な膜厚で形成することが可能であり、かつ、後述する第1着色層形成工程で、第1遮光部用着色層および第1画素部用着色層を所定の膜厚に形成することができるのであれば特に限定されるものではない。本工程においては、後述する第1遮光部用着色層が、上述した「A.カラーフィルタ」の項で記載した好ましい遮光部用着色層の膜厚の範囲内となるように、第1着色層形成用層の厚みを調整することが好ましい。
【0088】
本工程においては、上記第1着色層形成用層が赤色着色層形成用層であってもよいし、青色着色層形成用層であってもよいが、青色着色層形成用層であることが好ましい。本工程および後述する第1着色層形成工程においては、通常、第1着色層とともに、各部材を形成する形成位置を固定するためのアライメントマークが形成されるものである。また、上記アライメントマークは、赤外線を用いて読み取られるものであることから、赤外線の透過率の低い青色着色層材料を用いてアライメントマークを形成することにより、各部材を決定した形成位置に精度よく形成することが可能となるからである。
【0089】
2.第1着色層形成工程
本工程は、上記第1着色層形成用層に対してマスクを用いて露光し、現像することにより、第1遮光部用着色層および第1画素部用着色層を形成する工程である。
【0090】
本工程に用いられるマスクとしては、本工程により形成される第1遮光部用着色層および第1画素部用着色層の膜厚を所定の膜厚とすることができるのであれば特に限定されるものではない。
【0091】
本工程において、形成される第1画素部用着色層の膜厚が第1遮光部用着色層の膜厚よりも薄いものである場合は、上記マスクとしては、階調マスクが用いられる。上記階調マスクとしては、上記階調マスクを用いて第1着色層形成用層を露光する際に、第1着色層形成用層に照射される露光光を調整して、第1遮光部用着色層および第1画素部用着色層の膜厚をそれぞれ所定の膜厚とすることができるのであれば特に限定されるものではなく、スリットマスクであってもよいし、ハーフトーンマスクであってもよいが、ハーフトーンマスクであることが好ましい。上記ハーフトーンマスクを用いることにより、露光量を容易に調整することができるからである。
【0092】
このようなハーフトーンマスクとしては、具体的には、上記第1着色層形成用層にネガ型感光性樹脂が用いられている場合は、第1遮光部用着色層に対応する領域に遮光部、第1画素部用着色層に対応する領域に半透過部、その他の領域に透光部が形成されているものを挙げることができる。また、上記第1着色層形成用層にポジ型感光性樹脂が用いられている場合は、第1遮光部用着色層に対向する領域に透光部、第1画素部用着色層に対応する領域に半透過部、その他の領域に遮光部が形成されているものを挙げることができる。
【0093】
一方、本工程において上記第1遮光部用着色層および第1画素部用着色層を同一の膜厚で形成する場合は、マスクとしては、金属マスク等を用いることができる。上記金属マスクとしては、一般的なフォトリソグラフィー法に用いられる金属マスクと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0094】
また、本工程の露光に用いられる紫外線については、上記第1着色層形成用層を露光可能であれば、特に限定されるものではなく、上記第1着色層形成用層の種類に応じて適宜選択される。このような紫外線としては、一般的な着色層形成用層を露光するために用いられる紫外線と同様のものとすることができ、例えば超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ等が挙げられる。
【0095】
本工程における露光量は上記第1画素部用着色層が適度に硬化する程度であれば特に限定しないが、30mJ/cm〜200mJ/cmの範囲が好ましく、中でも40mJ/cm〜200mJ/cmの範囲が好ましい。露光量が、上記を超える範囲では第1着色層形成用層の硬化が進み、目的とする膜厚差が得られないからである。また露光量が、上記に満たない範囲では、透明基板上の第1着色層形成用層が硬化しない可能性があるためである。
【0096】
本工程に用いられる現像方法については、一般的なカラーフィルタの製造の際に用いられる方法と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0097】
本工程により形成される第1着色層の第1遮光部用着色層および第1画素部用着色層については「A.カラーフィルタ」の項で説明した遮光部用着色層および画素部用着色層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0098】
3.第2着色層形成用層形成工程
本工程は、上記第1遮光部用着色層および上記第1画素部用着色層を覆うように、赤色着色層および青色着色層のうちの残りの着色層を形成するための第2着色層形成用塗工液を塗布して、第2着色層形成用層を形成する工程である。
【0099】
上述したように、本発明のカラーフィルタの製造方法においては、第1着色層形成用層が青色着色層形成用層であることが好ましいことから、本工程においては、第2着色層形成層は赤色着色層形成用層であることが好ましい。
【0100】
また、本工程は、上述した第1着色層形成工程後に行われるのであれば特に限定されるものではなく、第1着色層形成工程直後に本工程を行ってもよいし、第1着色層形成工程後に他の工程を行った後、本工程を行ってもよい。
【0101】
本工程について、上記の点以外については、上述した「1.第1着色層形成用層形成工程」と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0102】
3.第2着色層形成工程
本工程は、上記第2着色層形成用層に対して、マスクを用いて露光し、現像することにより、第2遮光部用着色層および第2画素部用着色層を形成する工程である。また、本工程により、上記第1遮光部用着色層上に上記第2遮光部用着色層が積層されることから、遮光部が形成される。
【0103】
本発明のカラーフィルタの製造方法においては、上記第1着色層形成工程および上記第2着色層形成工程の少なくとも一方の工程において、マスクとして階調マスクを用いて露光することにより、画素部用着色層の膜厚が遮光部用着色層の膜厚よりも薄くなるように形成されるのであれば特に限定されるものではない。
上記第1着色層が、第1画素部用着色層の膜厚が第1遮光部用着色層の膜厚よりも薄くなるように形成されている場合は、本工程により形成される第2着色層は、第2画素部用着色層の膜厚が第2遮光部用着色層の膜厚よりも薄くなるように形成されていてもよいし、第2遮光部用着色層の膜厚および第2画素部用着色層の膜厚が同等の膜厚であってもよい。
また、上記第1着色層が、第1遮光部用着色層の膜厚および第1画素部用着色層の膜厚が同等に形成されている場合は、本工程により形成される第2着色層は、画素部用着色層の膜厚が遮光部用着色層の膜厚よりも薄くなるように形成されるものである。
【0104】
上述した第2着色層の膜厚については、形成された第2画素部用着色層が所定の画素部の輝度や色度を有し、かつ、第1遮光部用着色層および第2遮光部用着色層が積層されてなる遮光部が所定のOD値を有するように調整して形成されるものである。
【0105】
本工程に用いられるマスク、および露光・現像の方法については、上述した第1着色層形成工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0106】
本工程により形成される第2着色層の第2遮光部用着色層および第2画素部用着色層については、上述した「A.カラーフィルタ」の項で説明した遮光部用着色層および画素部用着色層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。また、本発明により形成される遮光部についても、上述した「A.カラーフィルタ」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0107】
5.その他の工程
本発明のカラーフィルタの製造方法は、上述した第1着色層形成用層形成工程、第1着色層形成工程、第2着色層形成用層形成工程、および第2着色層形成工程を有するものであれば特に限定されるものではなく、必要な工程を適宜追加することができる。
【0108】
このような工程としては、例えば赤色および青色以外の画素部用着色層を形成する画素部用着色層形成工程を挙げることができる。本発明のカラーフィルタの製造方法において上記画素部用着色層形成工程が行われる順番としては、上記赤色および青色以外の画素部用着色層を透明基板上の所定の形成位置に形成することができ、かつ、第1着色層の後に第2着色層が形成されるような順番であれば特に限定されるものではなく、例えば上記第1着色層形成用層形成工程前であってもよいし、また例えば、上記第1着色層形成工程後で上記第2着色層形成用層形成工程前であってもよいし、また例えば、上記第2着色層形成工程後であってもよい。上述したように、本発明においては、青色着色層材料を用いて、各部材の形成位置を固定するためのアライメントマークを形成することが好ましいことから、上記画素部用着色層形成工程としては、少なくとも第1着色層形成工程で青色着色層を形成した後に行われることがより好ましい。
【0109】
上記画素部用着色層形成工程については、一般的なカラーフィルタの製造時に用いられる画素部用着色層を形成する工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0110】
また本発明においては、上記画素部用着色層形成工程の他にも、例えばカラーフィルタに柱状スペーサ、リブ材、およびオーバーコート層等の部材を形成する工程等を行うことができる。上記工程については、一般的なカラーフィルタの製造時に用いられる柱状スペーサ、リブ材、およびオーバーコート層等の部材を形成する工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0111】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0112】
本発明について、実施例および比較例を用いてさらに詳しく説明する。
[実施例1]
1.着色層形成用塗工液の調製
(共重合樹脂溶液の調製)
重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63質量部、アクリル酸(AA)を12質量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)を6質量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88質量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を7質量部添加し、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、更にメタクリル酸グリシジル(GMA)を7質量部、トリエチルアミンを0.4質量部、及びハイドロキノンを0.2質量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
【0113】
(硬化性樹脂組成物の調製)
次に下記材料を室温で攪拌、混合して硬化性樹脂組成物を得た。
<硬化性樹脂組成物の組成>
・上記共重合樹脂溶液(固形分50%) 16質量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社 SR399)
24質量部
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社 エピコート180S70) 4質量部
・2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン
4質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 52質量部
【0114】
(赤色着色層形成用塗工液および青色着色層形成用塗工液の調製)
得られた硬化性樹脂組成物を用いて、下記組成の赤色着色層形成用塗工液および青色着色層形成用塗工液を得た。
【0115】
<赤色着色層形成用塗工液の組成>
・C.I.ピグメントレッド254(IRGAPHOR RED BK-CF、Ciba製)
10質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 3質量部
・上記硬化性樹脂組成物 5質量部
・酢酸−3−メトキシブチル 82質量部
【0116】
<青色着色層形成用塗工液の組成>
・C.I.ピグメントブルー15:6(Fastogen Blue EP-7、DIC社製)
10質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 3質量部
・上記硬化性樹脂組成物 5質量部
・酢酸−3−メトキシブチル 82質量部
【0117】
上記赤色着色層形成用塗工液、および青色着色層形成用塗工液を用いて、評価用のカラーフィルタを以下のように作製した。
上記青色着色層形成用塗工液をガラス基板上に塗布し、ハーフトーンマスクを用いて露光し、現像することにより青色遮光部用着色層(膜厚1.7μm)および青色画素部用着色層(膜厚1.5μm)を形成した。
次に、青色着色層が形成されたガラス基板上に、上記赤色着色層形成用塗工液を塗布し、ハーフトーンマスクを用いて露光し、現像することにより青色遮光部用着色層上に赤色遮光部用着色層(膜厚1.7μm)を形成し、ガラス基板上に赤色画素部用着色層(膜厚1.5μm)を形成した。
これにより、青色遮光部用着色層および赤色遮光部用着色層からなる遮光部と、赤色画素部用着色層および青色画素部用着色層を有する評価用のカラーフィルタを得た。
【0118】
[実施例2]
着色顔料としてC.I.ピグメンとレッド254を含む一般的な赤色着色層形成用塗工液、および着色顔料としてC.I.ピグメントブルー15:6を含む一般的な青色着色層形成用塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、青色遮光部用着色層(膜厚1.7μm)および赤色遮光部用着色層(膜厚1.7μm)からなる遮光部と、青色画素部用着色層(膜厚1.5μm)および赤色画素部用着色層(膜厚1.5μm)からなる評価用カラーフィルタを作製した。
【0119】
[比較例]
青色遮光部用着色層(膜厚1.5μm)および赤色遮光部用着色層(膜厚1.5μm)からなる遮光部としたこと以外は、実施例2と同様にして評価用カラーフィルタを作製した。
【0120】
[評価]
実施例1〜2および比較例で得られた評価用カラーフィルタについて、遮光部のOD値、および輝度、画素部用着色層の色度、輝度およびOD値の測定を行った。結果を表1に示す。なお、上述した各々の値の測定方法については、「A.カラーフィルタ」の項で説明した方法を用いた。
【0121】
【表1】

【0122】
(実施例1について)
(遮光部のOD値の評価)
上記遮光部のOD値を測定したところ、2.90であった。上記数値は、実際に遮光部としてこの条件でも十分使用できる値である。また、遮光部と各色の画素部用着色層との段差は2.0μm以下であり、従来使用するスペーサの高さである3.5μmで十分対応できる段差を造ることが可能になった。
【0123】
(画素部用着色層の色度、輝度およびOD値の評価)
遮光部用着色層の膜厚よりも画素部用着色層の膜厚を薄く形成することにより、上記画素部の輝度や色度、および上記遮光部のOD値をそれぞれ画像表示に適したものに調整されたカラーフィルタを得ることができた。
【0124】
(実施例2について)
実施例2に示すように、遮光部用着色層の膜厚よりも画素部用着色層の膜厚を薄く形成することにより、上記画素部の輝度や色度、および上記遮光部のOD値をそれぞれ画像表示に適したものに調整されたカラーフィルタを得ることができた。
【0125】
(比較例について)
比較例のように、遮光部用着色層の膜厚と画素部用着色層の膜厚を同等とした場合は、上記遮光部のOD値が小さくなることから、十分な遮光効果を有さないことが考えられる。
【符号の説明】
【0126】
1 … 透明基板
2 … 遮光部
2R … 赤色遮光部用着色層
2B … 青色遮光部用着色層
3 … 画素部
3R … 赤色画素部用着色層
3B … 青色画素部用着色層
3G … 緑色画素部用着色層
10 … カラーフィルタ
20 … 階調マスク
23R … 赤色着色層形成用層
23B … 青色着色層形成用層
30 … 露光光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、前記透明基板上に形成された遮光部と、前記遮光部により画された開口部に形成された画素部とを少なくとも有するカラーフィルタであって、
前記遮光部は、遮光部用着色層である赤色着色層および青色着色層が積層されてなるものであり、
前記画素部は、少なくとも前記赤色着色層および前記青色着色層を有する画素部用着色層により形成されてなるものであり、
前記赤色着色層または前記青色着色層の少なくとも一方は、前記画素部用着色層の膜厚が前記遮光部用着色層の膜厚より薄くなるように形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
前記遮光部用着色層の膜厚を1としたときの前記画素部用着色層の膜厚の膜厚比が0.7〜1.0の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記遮光部は、前記透明基板上に前記青色着色層が形成され、前記青色着色層上に前記赤色着色層が積層されてなるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
透明基板と、前記透明基板上に形成された遮光部と、前記遮光部により画された開口部に形成された画素部とを少なくとも有し、前記遮光部は、遮光部用着色層である赤色着色層および青色着色層が積層されてなるものであり、前記画素部は、少なくとも前記赤色着色層および前記青色着色層を有する画素部用着色層により形成されてなるものであり、前記赤色着色層または前記青色着色層の少なくとも一方は、前記画素部用着色層の膜厚が前記遮光部用着色層の膜厚より薄くなるように形成されているカラーフィルタを有することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
透明基板上に、赤色着色層または青色着色層のいずれかの着色層を形成するための第1着色層形成用塗工液を塗布して、第1着色層形成用層を形成する第1着色層形成用層形成工程と、
前記第1着色層形成用層に対してマスクを用いて露光し、現像することにより、第1遮光部用着色層および第1画素部用着色層を形成する第1着色層形成工程と、
前記第1遮光部用着色層および前記第1画素部用着色層を覆うように、赤色着色層または青色着色層のうちの残りの着色層を形成するための第2着色層形成用塗工液を塗布して、第2着色層形成用層を形成する第2着色層形成用層形成工程と、
前記第2着色層形成用層に対して、マスクを用いて露光し、現像することにより、第2遮光部用着色層および第2画素部用着色層を形成する第2着色層形成工程とを有し、
前記第1遮光部用着色層上に前記第2遮光部用着色層が積層されて遮光部が形成されるカラーフィルタの製造方法であって、
前記第1着色層形成工程または前記第2着色層形成工程の少なくとも一方の工程において、マスクとして階調マスクを用いて露光することにより、画素部用着色層の膜厚が遮光部用着色層の膜厚よりも薄くなるように形成されることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項6】
前記遮光部用着色層の膜厚を1としたときの前記画素部用着色層の膜厚の膜厚比が0.7〜1.0の範囲内となるように前記赤色着色層および前記青色着色層を形成することを特徴とする請求項5に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
前記第1着色層形成用層が、青色着色層形成用層であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のカラーフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−173459(P2012−173459A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34359(P2011−34359)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】