説明

カラーフィルタおよびこれを用いた液晶表示装置

【課題】バックライトに青色LEDと赤色LEDと緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDを用いた場合に、液晶表示装置の色再現性を高く保ち輝度を向上させるカラーフィルタ、液晶表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも赤色、緑色、青色画素で構成され、緑色画素にC.I.ピグメントグリーン58が含有されていること。緑色画素にC.I.ピグメントグリーン58とC.I.ピグメントイエロー150が含有されていること。緑色画素にC.I.ピグメントグリーン58とC.I.ピグメントイエロー138が含有されていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C.I.ピグメントグリーン58を含有する緑色画素を有するカラーフィルタ、およびこれを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置はテレビ画像表示装置、コンピュータ端末表示装置、モバイル用途である携帯端末液晶表示装置や車載用途の液晶表示装置など数多くの用途で急速に普及してきており、年々製造コスト面や、表示画質面での競争が激化してきている。
【0003】
テレビはもちろんコンピュータ端末やモバイル端末でもテレビ画像が配信されるようになったこと、また、地上デジタル放送開始などの影響に伴い、全てのアプリケーションで従来のテレビ規格と同等またはそれ以上の画質への要求が多く、あらゆる液晶表示装置において高コントラスト性、高速応答性、高色再現性、高輝度性などが求められている。
【0004】
中でも高色再現性や高輝度性は、液晶表示装置に具備されているバックライト光源やカラーフィルタに依存する特性であるが、バックライトについては、従来の光源である冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)では、応答性が悪い、光量調整が難しい、消費電力が大きい、発熱が多い、ノイズが多い、振動や衝撃に弱いなどの種々な難点を有していた。
そこで、上記のような難点の無いバックライトとして、LED、特に赤色LED、緑色LED、青色LEDを組み合わせて混色させた白色LEDよりも、コスト的に安価となる、青色LEDと赤色LEDと緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDをバックライトとして用いる手法がとられている。LEDはCCFLに比較し、水銀フリーで対環境性に優れるといったメリットも有しているため、用途が拡大している。
【0005】
カラーフィルタにおいては、下記の特許文献1および特許文献2に開示されるように、緑色画素の着色剤にC.I.ピグメントグリーン36を用いることが公知となっているが、透過率が高いものが得られておらず、赤色LED、緑色LED、青色LEDを組み合わせて混色させた白色LEDを光源として用いた場合においても輝度を向上するため、透過率の高いものが望まれている。
【0006】
また、色再現性を向上させるために顔料濃度を上げ、高色純度のカラーフィルタを使用する方法が最も有力な方法として提示されているが、色純度が上がるほどカラーフィルタを通過する光の量が減少して輝度が低くなるという問題があり、高色再現性と高輝度性を両立することが困難であった。
【特許文献1】特開2004−163902号公報
【特許文献2】特開2006−47975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためのものであり、バックライトに青色LEDと赤色LEDと緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDを用いた場合に、液晶表示装置の色再現性を高く保ちながら輝度を向上させることのできるカラーフィルタ、および、これを用いた液晶表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、青色LEDと赤色LEDと緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDをバックライトとした液晶表示装置に用いられるカラーフィルタであって、該カラーフィルタは少なくとも赤色画素、緑色画素、青色画素で構成され、該緑色画素にC.I.ピグメントグリーン58が含有されていることを特徴とするカラーフィルタである。
【0009】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタにおいて、前記緑色画素にC.I.ピグメントグリーン58とC.I.ピグメントイエロー150が含有されていることを特徴とするカラーフィルタである。
【0010】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタにおいて、前記C.I.ピグメントグリーン58とC.I.ピグメントイエロー150の重量百分率比が、〔96〜16〕:〔4〜84〕であることを特徴とするカラーフィルタである。
【0011】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタにおいて、前記緑色画素にC.I.ピグメントグリーン58とC.I.ピグメントイエロー138が含有されていることを特徴とするカラーフィルタである。
【0012】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタにおいて、前記C.I.ピグメントグリーン58とC.I.ピグメントイエロー138の重量百分率比が、〔100〜17〕:〔0〜83〕であることを特徴とするカラーフィルタである。
【0013】
また、本発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載するカラーフィルタを用いたことを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、赤色画素、緑色画素、青色画素で構成され、該緑色画素にC.I.ピグメントグリーン58が含有されているカラーフィルタであるので、バックライトに青色LEDと赤色LEDと緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDを用いた場合に、液晶表示装置の色再現性を高く保ちながら輝度(表示の明るさ)を向上させることのできるカラーフィルタとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明のカラーフィルタおよび液晶表示装置について、その実施の形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置は、バックライトとして青色LEDと赤色LEDと緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDを用いる。この白色LEDの一例は図1に示すような発光特性を有しており、図2に示す従来の液晶表示装置に用いられていた冷陰極蛍光管(CCFL)の一例の発光スペクトル特性とは異なる。
【0016】
そこで本発明は、液晶表示装置において、バックライトに青色LEDと赤色LEDと緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDを用い、緑色画素にC.I.ピグメントグリーン58を含有するカラーフィルタを備えることで、色再現性を高く保ちながら輝度を向上させることを実現した。
また、緑色画素には、調色用としてC.I.ピグメントイエロー150またはC.I.ピグメントイエロー138が含有されていることを特徴としている。
【0017】
図4に示すように、C.I.ピグメントグリーン58は、490nm〜630nmの透過率がC.I.ピグメントグリーン36より高く、色相が黄味であることから、調色に用いる黄色顔料の配合比率を少なくすることができる。これにより、C.I.ピグメントグ
リーン36を用いた場合に比べて濁りの少ない、色純度に優れ、且つ明るいカラーフィルタとすることができる。
【0018】
本実施形態に係る液晶表示装置に具備するカラーフィルタは、少なくとも透明基板上に赤色画素、緑色画素、青色画素を備えるカラーフィルタであって、これらの各色画素は、有機顔料と透明樹脂を主成分としたものである。また各色画素には、更にイエロー、マゼンタ、シアン、オレンジなどを同一に配列したものでも適応可能である。
【0019】
以下に、本発明によるカラーフィルタを得るための方法を詳述する。
カラーフィルタの基板に用いられる透明基板は可視光に対してある程度の透過率を有するものが好ましく、より好ましくは80%以上の透過率を有するものを用いることができる。一般に液晶表示装置に用いられているものでよく、PETなどのプラスチック基板やガラスが挙げられるが、通常はガラス基板を用いるとよい。遮光パターンを用いる場合はあらかじめ該透明基板上にクロム等の金属薄膜や遮光性樹脂による格子状パターンを公知の方法で付けたものを用いればよい。
【0020】
透明基板上への各色画素の作製方法は、公知のインクジェット法、印刷法、フォトレジスト法、エッチング法など何れの方法で作製しても構わない。しかし、高精細、分光特性の制御性及び色再現性等を考慮すれば、透明な樹脂中に顔料を、光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤に分散させた感光性着色組成物を透明基板上に塗膜として形成し、塗膜へのパターン露光、現像をすることで一色の画素を形成する工程を各色毎に繰り返し行ってカラーフィルタを作製するフォトレジスト法が好ましい。
【0021】
各色画素の形成に用いる感光性着色組成物の調製は、例えば、以下の方法に従う。着色剤となる顔料を透明な樹脂中に分散させた後、光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤と混合させる。着色剤となる顔料と透明樹脂を分散させる方法としてはミルベース、3本ロール、ジェットミル等様々な方法があり特に限定されるものではない。
【0022】
各色画素の形成に用いる感光性着色組成物に用いることのできる有機顔料の具体例をカラーインデックス番号で示す。
赤色顔料としては、C.I. Pigment Red 254、7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、255、264、272、279等が挙げられる。
【0023】
黄色顔料としては、C.I. Pigment Yellow 150、PY138の他に、PY1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、139、144、146、147、148、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。
【0024】
橙色顔料としてはC.I. Pigment Orange 36、43、51、55
、59、61、71、73等が挙げられる。
緑色顔料としては、C.I. Pigment Green58の他にPG7、10、36、37等が挙げられる。
青色顔料としては、C.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等が挙げられる。
紫顔料としては、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料があげられる。
【0025】
上記顔料は、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0026】
感光性着色組成物に用いる透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれる。透明樹脂には、必要に応じて、その前駆体である、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0027】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0028】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン-無水マレイン酸共重合物やα-オレフィン-無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0029】
光架橋剤として用いることのできる重合性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルなどが代表例に挙げられる。これらは単独または2種以上混合して用いることができ、さらに光硬化性を適正に保つ目的で、必要に応じ、他の重合性モノマーおよびオリゴマーを混合して用いることが出来る。
【0030】
その他の重合性モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシ
エチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらについても、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0031】
感光性着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化する場合には、光重合開始剤等が添加される。光重合開始剤としては、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド、3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル(4'-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、O-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4'-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が用いられる。これらの光重合開始剤は1種または2種以上混合して用いることができる。光重合開始剤の使用量は、感光性着色組成物の全固形分量を基準として0.5〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜30質量%である。
【0032】
さらに、増感剤として、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エ
チル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系化合物を併用することもできる。これらの増感剤は1種または2種以上混合して用いることができる。増感剤の使用量は、光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0.5〜60質量%が好ましく、より好ましくは3〜40質量%である。
【0033】
さらに、感光性着色組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。
【0034】
また必要に応じて、熱架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。メラミン樹脂としては、アルキル化メラミン樹脂(メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂など)、混合エーテル化メラミン樹脂等があり、高縮合タイプであっても低縮合タイプであってもよい。エポキシ樹脂としては、例えば、グリセロール・ポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン・ポリグリシジルエーテル、レゾルシン・ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール・ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオール・ジグリシジルエーテル、エチレングリコール(ポリエチレングリコール)・ジグリシジルエーテル等がある。これらは、いずれも単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。
【0035】
感光性着色組成物は、必要に応じて有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル-nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0036】
以上のような各成分の配合方法としては、例えば、透明樹脂と顔料とを2本ロールを用いて良く練り合わせてチップ化し、その後溶剤を加えてペーストとし、このペーストに重合成モノマー、光重合開始剤、増感剤を必要に応じて添加して、感光性着色組成物を得る方法がとられる。
【0037】
透明基板上に、感光性着色組成物を塗布し、プリベークを行う。塗布する手段はスピンコート、ディップコート、ダイコートなどが通常用いられるが、40〜60cm角程度の基板上に均一な膜厚で塗布可能な方法ならばこれらに限定されるものではない。プリベークは50〜120℃で10〜20分ほどすることが好ましい。塗布膜厚は任意であるが、分光透過率などを考慮すると通常はプリベーク後の膜厚で2μm程度である。感光性着色
組成物を塗布し塗膜を形成した基板にフォトマスクを介して露光を行う。光源には通常の高圧水銀灯などを用いればよい。
【0038】
続いて現像を行う。現像液にはアルカリ性水溶液を用いる。アルカリ性水溶液の例としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、または両者の混合水溶液、もしくはそれらに適当な界面活性剤などを加えたものが挙げられる。現像後、水洗、乾燥して任意の一色の画素が得られる。
【0039】
以上の一連の工程を、感光性着色組成物およびフォトマスクを替え、必要な数だけ繰り返すことで必要な色数が組み合わされた各色画素を備えるカラーフィルタを得ることができる。
【0040】
バックライトとしてLED、およびカラーフィルタを備えた液晶表示装置の構成の一例について説明する。
図3は本発明の液晶表示装置の概略断面図である。図3の液晶表示装置はTFT駆動型液晶表示装置の典型例であり、対向して配置された透明基板11、21を備え、それらの間には、液晶(LC)が封入されている。本発明の液晶表示装置には、TN (Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In-Planes Switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)、強誘電性液晶等の液晶が適用できる。
【0041】
第1の透明基板11の内面には、TFT(Thin Film Transistor)アレイ12が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層13が形成されている。透明電極層13の上には、配向層14が設けられている。また、透明基板11の外面には、偏光板15が形成されている。
【0042】
他方、第2の透明基板21の内面には、本発明のカラーフィルタ22が形成されている。カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色画素は、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。カラーフィルタ22を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層23が形成され、透明電極層23を覆って配向層24が設けられている。また、透明基板21の外面には、偏光板25が形成されている。なお、偏光板15の下方には、本発明のバックライトユニット30が設けられる。
【実施例】
【0043】
(顔料分散ペーストの調製)
顔料分散ペーストは、表1に示すように顔料及びアクリル樹脂と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAとする)を均一に攪拌混合し、直径1.0mmのジルコニアビーズを用いて、サンドミルにて3時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、顔料分散ペーストを調製した。なお、組成比は全て重量比である。
【0044】
【表1】

(感光性着色組成物の調製)
感光性着色組成物は、各成分を表2に示す割合で調合し、スターラーにて各成分が完全に溶解するまで攪拌混合し、1μmのフィルタで濾過することにより調製した。
【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】
【表5】

赤色画素の形成に用いる赤色感光性着色組成物は、表6のような顔料比率(重量百分率)の赤色感光性着色組成物である(表2中、R−1は、〔54.25:4.08〕=〔93:7〕)。
【0049】
【表6】

また、緑色画素の形成に用いる緑色感光性着色組成物は、表7、8のような顔料比率(重量百分率)の緑色感光性着色組成物G−1〜G−20である。
【0050】
【表7】

【0051】
【表8】

また、青色画素の形成に用いる青色感光性着色組成物は、表9ような顔料比率(重量百分率)の青色感光性着色組成物である。
【0052】
【表9】

上記顔料比率の感光性着色組成物について、赤色画素はx=0.640、緑色画素はy=0.600、青色画素はy=0.600になるよう調整し、下記実施例および比較例で示す組み合わせで3色カラーフィルタを作製した。調整色度値は放送規格であるEBU規格値に基づいたものであるが、この範囲に限定されるものではない。
【0053】
赤色感光性着色組成物は表2(表6)のR−1を、青色感光性着色組成物は表5(表9)のB−1を、緑色感光性着色組成物は表2、3(表7)のG−1〜G−10用い、上記指定色度ねらいにて3色カラーフィルタを作製した。このカラーフィルタと青色LEDと赤色LEDと緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDを具備するバックライトの組み合わせを実施例1〜10とした。
【0054】
また、赤色感光性着色組成物は表2(表6)のR−1を、青色感光性着色組成物は表5(表9)のB−1を、緑色感光性着色組成物は表4、5(表8)のG−11〜G−20用い、上記指定色度ねらいにて3色カラーフィルタを作製した。このカラーフィルタと青色LEDと赤色LEDと緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDを具備するバックライトの組み合わせを比較例11〜20とした。
【0055】
〔評価項目〕
(明度)
緑色画素の明度(G−Y)、およびカラーフィルタとしての白表示における明度(W−Y)を、C.I.ピグメントグリーン58(PG58)とC.I.ピグメントグリーン36(PG36)を用いた場合で比較し、明度の高い方を〇、低い方を×とした。
【0056】
〔評価結果〕
実施例1〜10の評価結果を表10に、比較例11〜20 の結果を表11に示す。表10、11中の色度値は、CIE1931 XYZ表色系におけるxy色度およびY(明度)である。
【0057】
【表10】

【0058】
【表11】

表10、11の結果から、以下のことが明らかである。即ち、緑色画素の明度(G−Y
)、およびカラーフィルタとしての白表示における明度(W−Y)を、C.I.ピグメントグリーン58(PG58)とC.I.ピグメントグリーン36(PG36)を用いた場合で比較した結果、何れの色度値においても(G−Y)および(W−Y)は、C.I.ピグメントグリーン58(PG58)を用いた場合に高くなり、高輝度を実現していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】青色LEDと赤色LEDと緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDの一例の発光特性を示す特性図である。
【図2】冷陰極蛍光管(CCFL)の一例の発光特性を示す特性図である。
【図3】液晶表示装置の構造例の概略の断面図である。
【図4】C.I.ピグメントグリーン58の分光透過率曲線である。
【符号の説明】
【0060】
11、21・・・透明基板
12・・・TFTアレイ
13、23・・・透明電極
14、24・・・配向膜
15、25・・・偏光板
22・・・カラーフィルタ
30・・・バックライトユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色LEDと赤色LEDと緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDをバックライトとした液晶表示装置に用いられるカラーフィルタであって、該カラーフィルタは少なくとも赤色画素、緑色画素、青色画素で構成され、該緑色画素にC.I.ピグメントグリーン58が含有されていることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
前記緑色画素にC.I.ピグメントグリーン58とC.I.ピグメントイエロー150が含有されていることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記C.I.ピグメントグリーン58とC.I.ピグメントイエロー150の重量百分率比が、〔96〜16〕:〔4〜84〕であることを特徴とする請求項2記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記緑色画素にC.I.ピグメントグリーン58とC.I.ピグメントイエロー138が含有されていることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
前記C.I.ピグメントグリーン58とC.I.ピグメントイエロー138の重量百分率比が、〔100〜17〕:〔0〜83〕であることを特徴とする請求項4記載のカラーフィルタ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載するカラーフィルタを用いたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−192663(P2009−192663A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31414(P2008−31414)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】